JPH08321079A - 光ディスク - Google Patents

光ディスク

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JPH08321079A
JPH08321079A JP7127803A JP12780395A JPH08321079A JP H08321079 A JPH08321079 A JP H08321079A JP 7127803 A JP7127803 A JP 7127803A JP 12780395 A JP12780395 A JP 12780395A JP H08321079 A JPH08321079 A JP H08321079A
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recording layer
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optical disk
layer forming
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Minoru Kikuchi
稔 菊地
Shuichi Igarashi
修一 五十嵐
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部環境の温度変化による反りの発生を抑
え、記録或いは/及び再生が正しく行われるようにす
る。 【構成】 一主面上に少なくとも一層の機能膜よりなる
記録層2が形成される円板状の基板1の記録層2形成面
と反対側の主面の中心部近傍に、基板1構成材料よりも
熱膨張係数の小さい材料よりなる円板状の反り防止板9
を配する。なお、上記機能膜は金属膜及び/又は誘電体
膜であることが好ましい。さらに、室温状態の基板の形
状が、全体としては基板の記録層形成面の反対側の主面
側の内周側が凸となるように沿っており、かつ基板の記
録層形成面と反対側の主面が凹となるように沿った形状
であり、基板の記録層形成面と反対側の主面の反り角が
外周側よりも内周側において大であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は円板状の基板の一主面上
に記録層が形成された、いわゆる単板構造の光ディスク
に関するものである。詳しくは、基板の記録層形成面と
反対側の主面に基板構成材料よりも熱膨張係数の小さい
材料よりなる反り防止板を配することにより反りの発生
が抑えられた光ディスクに係るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録の分野においては光学情
報記録方式に関する研究が各所で進められている。この
光学情報記録方式は、非接触で記録・再生が行えるこ
と、磁気記録方式に比べて一桁以上も高い記録密度が達
成できること、再生専用型,追記型,書換可能型のそれ
ぞれのメモリー形態に対応できる等の数々の利点を有
し、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式とし
て産業用から民生用まで幅広い用途の考えられているも
のである。
【0003】そして、上記再生専用型の記録媒体として
は、デジタルオーディオディスクや光学式ビデオディス
ク等の光ディスクが普及しており、書換可能型の記録媒
体としては光磁気ディスク等の光ディスクが普及してい
る。
【0004】なお、上記各光ディスク共に、ポリカーボ
ネート等よりなる透明基板上に各種機能膜よりなる記録
層が形成された構成とされている。
【0005】例えば、上記光磁気ディスクにおいては、
透明基板上に機能膜としてカー効果やファラデー効果等
の磁気光学特性を有するTbFeCo合金等の希土類−
遷移金属非晶質合金等よりなる垂直磁化膜等が形成され
て記録層を構成しいる。また、上記追記型の記録媒体で
ある追記型光ディスクにおいては、機能膜として低融点
金属薄膜,相変化膜,有機色素を含有する膜等が形成さ
れて記録層を構成している。
【0006】さらに、各光ディスク共に記録層の上層及
び/又は下地層として記録層への水分の侵入による腐食
防止、多重干渉による信号増大を目的とするSiN,S
iO等よりなる誘電体膜が形成されることが多い。
【0007】加えて、各光ディスク共に反射膜が形成さ
れることが多く、この反射膜としては高反射率を有し、
かつ熱的に良導体であることからアルミニウムよりなる
薄膜を使用することが多い。
【0008】なお、再生専用型の光ディスクにおいて
は、基板の表面に情報信号を表す凹凸部を形成し、その
上に機能膜として反射膜を設けるようにして上記凹凸部
と反射膜により記録層を形成している。
【0009】また、これら光ディスクは一枚で使用され
て片面のみに記録層を有する単板構成とされる他、片面
に記録層の形成された光ディスクを二枚貼り合わせて表
裏面の両方から記録再生可能な両板構成等とされて使用
されている。なお、上記光磁気ディスクにおいては、高
密度記録化や高アクセス化が可能であることからその記
録方法として磁界変調方式を適用することが好ましく、
この点から単板構成とされることが好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な光ディスクにおいては、その周方向及び径方向に反り
が生じることがある。
【0011】これは、以下のような理由による。すなわ
ち、上記のような光ディスクの基板とされるポリカーボ
ネート等の樹脂よりなる基板には、外部環境の温度上昇
により体積が膨張する性質がある。一方、記録層を構成
する金属よりなる膜や誘電体膜等も外部環境の温度上昇
により体積が膨張するものの、その膨張率は基板と比較
して1〜2桁も小さい。従って、外部環境の温度変化が
生じた場合、基板と記録層の膨張率に差が生じ、光ディ
スクに反りが発生する。なお、周方向の反りは径方向の
反りと比較して非常に小さいため、一般に、光ディスク
の反りとしては径方向の反りのみを考慮している。
【0012】このように光ディスクに反りが生じると、
情報の記録或いは/及び再生時に光ディスクの記録層形
成面と反対側の主面に対物レンズから照射されるレーザ
光が基板に対して垂直方向に入射しなくなる。その結
果、反射光は対物レンズ等の受容体に正確に戻らなくな
り、サーボのずれや信号の記録或いは/及び再生が正し
く行われなくなる。
【0013】なお、上記の光ディスクの反り量は水平方
向の基準面に対する光ディスクの基板の記録層形成面の
反り角θにより表される。すなわち、図10に示される
ように、光ディスク101が基板102側が凸となるよ
うに反っている場合に、これにレーザ光等の光を照射す
る対物レンズ103が図中矢印M1 で示すように図中A
で示される内周側から図中Bで示される外周側に半径方
向に図中ΔRだけ移動すると、基板102の記録層形成
面102aに焦点を合わせるために対物レンズ103は
図中矢印M2 で示すように図中上方向に図中Δdだけ移
動する必要がある。従って、図中Aにおける対物レンズ
103の記録層形成面102aへの焦点を含む水平面を
基準面とすると、図中Bにおける記録層形成面102a
の上記基準面への反り角θは数1のように表される。
【0014】
【数1】
【0015】なお、基板の記録層形成面とこれと反対側
の主面は平行であることから、上記記録層形成面と反対
側の主面の反り角は記録層形成面の反り角と同じであ
る。
【0016】そこで、上記のような外部環境の温度変化
による光ディスクの反りの発生を抑えるために、特開平
4−291035号公報に示されるように基板の記録層
形成面と反対側の主面に熱膨張係数の非常に小さい無機
材料よりなる透明膜、例えばリチウム酸化物,酸化アル
ミニウム,二酸化珪素,酸化チタン等よりなる膜を形成
し、基板の両側を記録層の金属膜や誘電体膜等の無機材
料膜と上記無機材料よりなる透明膜で挟み込むといった
手法も提案されている。
【0017】また、特開平4−195745号公報に示
されるように基板の記録層形成面と反対側の主面にSi
x の化学式で示される窒化珪素でx<4/3の範囲と
なる窒化珪素よりなる膜を形成する手法も提案されてい
る。
【0018】しかしながら、上述の手法では基板の記録
層形成面と反対側の主面に無機材料を成膜するための真
空チャンバーが必要となる。さらに、記録層形成面に記
録層を成膜した後、この面と反対側の主面が表を向くよ
うに基板を反転させる装置等も新たに必要となり、製造
コストが高価となってしまうという不都合が生じる。
【0019】そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、外部環境の温度変化による反りの発
生を抑え、記録或いは/及び再生が正しく行われる光デ
ィスクを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明は、円板状の基板の一主面上に少なくとも一
層の機能膜よりなる記録層が形成され、その中心部近傍
を除いた部分が情報記録領域とされている光ディスクに
おいて、基板の記録層形成面と反対側の主面の中心部近
傍に基板構成材料よりも熱膨張係数の小さい材料よりな
る円板状の反り防止板が配されていることを特徴とする
ものである。
【0021】また、本発明においては、機能膜が金属膜
及び/又は誘電体膜であることが好ましい。
【0022】さらに本発明においては、室温状態の基板
の形状が、全体としては基板の記録層形成面の反対側の
主面側の内周側が凸となるように沿っており、かつ基板
の記録層形成面と反対側の主面が凹となるように沿った
形状であり、基板の記録層形成面と反対側の主面の反り
角が外周側よりも内周側において大であることが好まし
い。
【0023】
【作用】本発明は、円板状の基板の一主面上に少なくと
も一層の機能膜よりなる記録層が形成され、その中心部
近傍を除いた部分が情報記録領域とされている光ディス
クの基板の記録層形成面と反対側の主面の中心部近傍に
基板構成材料よりも熱膨張係数の小さい材料よりなる円
板状の反り防止板を配している。上記構成の光ディスク
においては、記録層の熱膨張係数が基板の熱膨張係数に
比べて小さいことから、外部環境の温度上昇により、通
常、基板側が凸となるような反りが生じる。しかしなが
ら、本発明のように基板の記録層形成面と反対側の主面
に基板構成材料よりも熱膨張係数の小さい材料よりなる
円板状の反り防止板を配していれば、基板側が凸となる
ような挙動が抑えられ、光ディスクの反りの発生が抑え
られる。
【0024】また、本発明の光ディスクにおいては、外
部環境の温度上昇があった場合、反り防止板の影響で内
周側に基板側が凹となるような反りが生じ、外周側に基
板側が凸となるような反りが生じ易いが、このとき、室
温状態の基板の形状を、全体としては基板の記録層形成
面の反対側の主面側の内周側が凸となるように沿ってお
り、かつ基板の記録層形成面と反対側の主面が凹となる
ように沿った形状であり、基板の記録層形成面と反対側
の主面の反り角が外周側よりも内周側において大である
形状としておけば、元々の基板の形状により外部環境の
温度上昇による反りが相殺され、光ディスクの反りの発
生が更に抑えられる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて実験結果に基づいて説明する。
【0026】実験例1 先ず、従来の光磁気ディスクを製造し、該光磁気ディス
クにおける外部環境温度の変化による反りの発生につい
て調査した。
【0027】すなわち、図1に示すように基板1の一主
面1a上に記録層2及び上記記録層2を保護する平均膜
厚15μmの紫外線硬化型樹脂よりなる保護膜3が形成
されてなる光磁気ディスクサンプル1を用意した。な
お、上記光磁気ディスクサンプル1においては、図2に
示すように基板1の半径D1 を60mmとし、上記基板
1の半径D2 が20mmの中心部近傍部8を除いた部分
に記録層2を形成し、情報記録領域とした。なお、図2
中においては保護膜3の図示を省略した。
【0028】また、上記記録層2は基板1上に厚さ11
0nmのSiN膜よりなる第1の誘電体膜4,厚さ23
nmのTbFeCo合金膜よりなる記録磁性膜5,厚さ
35nmのSiN膜よりなる第2の誘電体膜6,厚さ5
5nmのアルミニウム膜よりなる反射膜7を順次積層形
成させることにより形成した。
【0029】そして、上記光磁気ディスクサンプル1を
恒温恒湿槽内に配し、所定の温度,湿度の条件下で保存
した時の径方向の反り角(以下、ラジアルスキューと称
する。)を調査した。なお、周方向の反り角(以下、タ
ンジェンシャルスキューと称する。)はラジアルスキュ
ーと比較すると非常に小さいため、測定しないものとし
た。
【0030】なお、上記ラジアルスキューの測定は、上
記恒温恒湿槽内にスキュー測定機を配することにより行
い、スキュー測定機に配される対物レンズの径方向の移
動距離と上下方向の移動距離を測定し、前述の方法で基
板の記録層形成面の反り角として算出するものとし、半
径が30mmの地点と56mmの地点でのラジアルスキ
ューを測定するものとした。
【0031】さらに、上記恒温恒湿槽内の温度,湿度の
条件は以下のように変化させた。すなわち、図3に示す
ように温度20℃で所定の時間保った後、30分かけて
温度60℃まで上昇させて所定の時間保つものし、湿度
は相対湿度50%に保ったままとした。ただし、図3中
においては温度の上昇を時間T0 から開始し、T30まで
行うものとする。
【0032】測定結果を図4に示す。図4中横軸は時間
を示すが、恒温恒湿槽内の温度を上昇させ始めた時点、
すなわち図3中時間T0 を時間零としている。また、図
4中縦軸はラジアルスキューを示し、図中●は半径30
mmの地点における結果を示し、○は半径56mmの地
点における結果を示している。
【0033】図4の結果から、ラジアルスキューの変化
は半径56mmの地点の方が大きく、外周に行くほど大
きいことが確認された。そして、上記半径56mmの地
点において測定開始70分後に最大値11mradが測
定され、両地点におけるラジアルスキューの最小値が零
であることから光磁気ディスクサンプル1におけるラジ
アルスキューの最大変化量は11mradであることが
わかった。
【0034】実験例2 次に、上記実験例1で述べた構成の光磁気ディスクの基
板の記録層形成面と反対側の主面の中心部近傍、言い換
えれば情報記録領域の内周側に基板の構成材料と同様の
ポリカーボネートよりなる平面環状をなす円板状の反り
防止板を配した光磁気ディスクを光磁気ディスクサンプ
ル2として製造し、この光磁気ディスクの環境温度の変
化に対する変形を実験例1と同様に調査した。なお、基
板及び反り防止板は共に熱膨張係数7.0×10-5(1
/℃)のポリカーボネートにより構成するものとした。
【0035】すなわち、上記光磁気ディスクサンプル2
は、光磁気ディスクサンプル1と略同様の構成を有する
ものであり、図5(a)に示すように外径L1 が16.
5mm、内径L2 が11.5mmで図5(b)に示すよ
うに厚さTが0.5mmの平面環状をなす円板状の反り
防止板9を基板1と同様のポリカーボネートにより作製
し、図6に示すように上記反り防止板9を基板1の記録
層2の形成面の裏面側の情報記録領域よりも内周側、言
い換えれば図2に示した中心部近傍部8の裏面側に配し
たものである。
【0036】結果を図7に示す。図7中横軸は時間を示
すが、恒温恒湿槽内の温度を上昇させ始めた時点、すな
わち図3中時間T0 を時間零としている。また、図7中
縦軸はラジアルスキューを示し、図中●は半径30mm
の地点における結果を示し、○は半径56mmの地点に
おける結果を示している。
【0037】図7の結果から、初期状態(時間零分、温
度20℃,相対湿度50%)においては、反り防止板の
影響で半径30mm,半径56mmの両地点において1
mrad程度のラジアルスキューが生じ、基板が凸とな
る方向の反りが生じていることがわかる。
【0038】そして温度を50℃まで昇温させ、この状
態で放置したところ、ラジアルスキューの変化は半径5
6mmの地点の方が大きく、外周に行くほど大きいこと
が確認された。そして、上記半径56mmの地点におい
て最大値11mradが測定され、光磁気ディスクサン
プル2におけるラジアルスキューの最大変化量は10m
radであり、光磁気ディスクサンプル1よりも1mr
ad小さいことがわかった。
【0039】しかし、光磁気ディスクの基板の記録層形
成面と反対側の主面の中心部近傍に基板構成材料と同じ
熱膨張係数を有する材料よりなる反り防止板を配して
も、ラジアルスキューの変化を効果的に抑えることはで
きなかった。
【0040】実験例3 次に、上記実験例2で述べた構成の光磁気ディスクの基
板の反り防止板をステンレスにより構成して光磁気ディ
スクサンプル3として製造し、この光磁気ディスクの環
境温度の変化に対する変形を実験例1と同様に調査し
た。なお、上記基板は熱膨張係数7.0×10-5(1/
℃)のポリカーボネートにより構成し、反り防止板は熱
膨張係数1.5×10-5(1/℃)のステンレスにより
構成するものとし、上記反り防止板は紫外線硬化型接着
剤により接着した。
【0041】結果を図8に示す。図8中横軸は時間を示
すが、恒温恒湿槽内の温度を上昇させ始めた時点、すな
わち図3中時間T0 を時間零としている。また、図8中
縦軸はラジアルスキューを示し、図中●は半径30mm
の地点における結果を示し、○は半径56mmの地点に
おける結果を示している。
【0042】図8の結果から、初期状態(時間零分、温
度20℃,相対湿度50%)においては、反り防止板の
影響で半径30mmの地点においては3.4mrad、
半径56mmの地点においては2.3mradのラジア
ルスキューが生じ、基板が凸となる方向の反りが生じて
いることがわかる。
【0043】そして温度を50℃まで昇温させ、この状
態で放置したところ、半径56mmの地点では基板が凸
となる方向の反りが生じたものの、半径30mmの地点
では基板が凹となる方向の反りが生じた。また、半径5
6mmの地点ではラジアルスキューの最大値が6.5で
最小値が1.5であり、半径56mmの地点における最
大変化量は5.0mradであり、光磁気ディスクサン
プル1,2の半径56mmの地点における最大変化量の
半分以下に抑えられていた。さらに、半径30mmの地
点ではラジアルスキューの最小値が−2.5mrad
(基板が凸となる方向を正とした場合)であった。すな
わち、光磁気ディスクサンプル3のラジアルスキューの
最大変化量は9mradとなり、光磁気ディスクサンプ
ル1と比較して2mrad、光磁気ディスクサンプル2
と比較して1mrad小さくなっていた。
【0044】上記実験例1,2,3の結果から、光磁気
ディスクの基板の記録層形成面と反対側の主面の中心部
近傍に反り防止板を配する場合、光磁気ディスクサンプ
ル2のように反り防止板として基板と同様の熱膨張係数
を有する材料よりなるものを配した場合には、環境温度
の上昇により上記反り防止板は基板と同様に熱膨張する
ため、反り防止板の配されていない光磁気ディスクサン
プル1と同様の反りが生じてしまい、反り抑制効果が低
いことがわかった。
【0045】一方、光磁気ディスクサンプル3のように
反り防止板として基板よりも熱膨張係数の小さい材料よ
りなるものを配した場合には、環境温度の上昇により基
板に熱膨張が生じてもこれを反り防止板が妨げ、反り防
止板近傍の内周側においてはむしろ基板が凹となるよう
な反りが生じ、外周側においては反りの発生が抑えら
れ、全体的な反り量が大幅に低減されることが確認され
た。すなわち、本発明を適用した光磁気ディスクサンプ
ル3においては、反りの発生が抑えられるため、情報の
再生が良好に行われることがわかった。
【0046】実験例4 実験例3の結果から、光磁気ディスクサンプル3のよう
に基板の記録層形成面と反対側の主面の中心部近傍に基
板構成材料よりも熱膨張係数の小さい材料よりなる反り
防止板を配すると、反り防止板近傍の内周側と外周側に
おいて発生する反りの方向が反対となり、それぞれの方
向にラジアルスキューは5〜6mrad程度変化するこ
とが確認された。
【0047】従って、このことから光磁気ディスクの基
板の室温状態における形状を上記反りを相殺するような
形状としておけば、光磁気ディスクの変形を最小限に止
めることが可能であるものと考えられる。
【0048】そこで、実験例3で述べた光磁気ディスク
サンプル3と同様の構成の光磁気ディスクの基板の室温
状態の基板の形状を、全体としては基板の記録層形成面
の反対側の主面側の内周側が凸となるように沿ってお
り、かつ基板の記録層形成面と反対側の主面が凹となる
ように沿った形状であり、半径30mmの地点で5mr
adのラジアルスキューを有し、半径56mmの地点で
0mradのラジアルスキューを有する形状とした光磁
気ディスクサンプル4を製造し、この光磁気ディスクの
環境温度の変化に対する変形を実験例1と同様に調査し
た。
【0049】なお、上記基板の記録層形成面と反対側の
主面の反り角は、前述のように記録層形成面の反り角、
言い換えれば上記ラジアルスキューにより表される。
【0050】結果を図9に示す。図9中横軸は時間を示
すが、恒温恒湿槽内の温度を上昇させ始めた時点、すな
わち図3中時間T0 を時間零としている。また、図9中
縦軸はラジアルスキューを示し、図中●は半径30mm
の地点における結果を示し、○は半径56mmの地点に
おける結果を示している。
【0051】図9の結果から、初期状態(時間零分、温
度20℃,相対湿度50%)においては、上記のように
半径30mmの地点においては5mradのラジアルス
キューが生じ、基板が凸となる方向の反りが生じ、半径
56mmの地点においてはラジアルスキューが0mra
dであることがわかる。
【0052】そして温度を50℃まで昇温させ、この状
態で放置したところ、光磁気ディスクサンプル3と同様
に、半径56mmの地点では基板が凸となる方向の反り
が生じ、半径30mmの地点では基板が凹となる方向の
反りが生じた。
【0053】図9の結果から、この光磁気ディスクサン
プル4においてはラジアルスキューの最大変化量は7m
radであることも確認できた。
【0054】従って、光磁気ディスクサンプル4のよう
に基板の室温状態の基板の形状を、全体としては基板の
記録層形成面の反対側の主面側の内周側が凸となるよう
に沿っており、かつ基板の記録層形成面と反対側の主面
が凹となるように沿った形状であり、記録層形成面と反
対側の主面の反り角が外周側よりも内周側において大で
ある形状としておけば、元々の基板の形状により外部環
境の温度上昇による反りが相殺され、光ディスクの反り
の発生が更に抑えられ、情報の再生が良好に行われるこ
とがわかった。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、円板状の基板の一主面上に少なくとも一層の機能膜
よりなる記録層が形成され、その中心部近傍を除いた部
分が情報記録領域とされている光ディスクの基板の記録
層形成面と反対側の主面の中心部近傍に基板構成材料よ
りも熱膨張係数の小さい材料よりなる円板状の反り防止
板を配している。上記構成の光ディスクにおいては、記
録層の熱膨張係数が基板の熱膨張係数に比べて小さいこ
とから、外部環境の温度上昇により、通常、基板側が凸
となるような反りが生じる。しかしながら、本発明のよ
うに基板の記録層形成面と反対側の主面に基板構成材料
よりも熱膨張係数の小さい材料よりなる円板状の反り防
止板を配していれば、基板側が凸となるような挙動が抑
えられ、光ディスクの反りの発生が抑えられ、情報の記
録或いは/及び再生が良好に行われる。
【0056】また、本発明の光ディスクにおいては、外
部環境の温度上昇があった場合、反り防止板の影響で内
周側に基板側が凹となるような反りが生じ、外周側に基
板側が凸となるような反りが生じ易いが、このとき、室
温状態の基板の形状を、全体としては基板の記録層形成
面の反対側の主面側の内周側が凸となるように沿ってお
り、かつ基板の記録層形成面と反対側の主面が凹となる
ように沿った形状であり、基板の記録層形成面と反対側
の主面の反り角が外周側よりも内周側において大である
形状としておけば、元々の基板の形状により外部環境の
温度変化による反りが相殺され、光ディスクの反りの発
生が更に抑えられ、情報の記録或いは/及び再生が良好
に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光磁気ディスクの一構成例を示す要部概略断面
図である。
【図2】光磁気ディスクの一構成例を示す要部概略斜視
図である。
【図3】恒温恒湿槽における時間に対する温度変化の様
子を示す特性図である。
【図4】光磁気ディスクサンプル1における時間に対す
るラジアルスキューの変化の様子を示す特性図である。
【図5】反り防止板の一例を示す平面図及び側面図であ
る。
【図6】反り防止板を配した光磁気ディスクを示す要部
概略斜視図である。
【図7】光磁気ディスクサンプル2における時間に対す
るラジアルスキューの変化の様子を示す特性図である。
【図8】光磁気ディスクサンプル3における時間に対す
るラジアルスキューの変化の様子を示す特性図である。
【図9】光磁気ディスクサンプル4における時間に対す
るラジアルスキューの変化の様子を示す特性図である。
【図10】光ディスクに反りが生じている場合の光ディ
スクと記録層形成面の反り角の関係を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 4 第1の誘電体膜 5 記録磁性層 6 第2の誘電体膜 7 反射膜 9 反り防止板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円板状の基板の一主面上に少なくとも一
    層の機能膜よりなる記録層が形成され、その中心部近傍
    を除いた部分が情報記録領域とされている光ディスクに
    おいて、 基板の記録層形成面と反対側の主面の中心部近傍に基板
    構成材料よりも熱膨張係数の小さい材料よりなる円板状
    の反り防止板が配されていることを特徴とする光ディス
    ク。
  2. 【請求項2】 機能膜が金属膜及び/又は誘電体膜であ
    ることを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  3. 【請求項3】 室温状態の基板の形状が、全体としては
    基板の記録層形成面の反対側の主面側の内周側が凸とな
    るように沿っており、かつ基板の記録層形成面と反対側
    の主面が凹となるように沿った形状であり、基板の記録
    層形成面と反対側の主面の反り角が外周側よりも内周側
    において大であることを特徴とする請求項1記載の光デ
    ィスク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6128274A (en) * 1997-11-19 2000-10-03 Sharp Kabushiki Kaisha Optical recording disk capable of suppressing bimetallic effects caused by thermal expansion
US7068588B2 (en) 2002-05-13 2006-06-27 Nec Corporation Optical disk medium having a predetermined change in the tilt of the surface

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US6128274A (en) * 1997-11-19 2000-10-03 Sharp Kabushiki Kaisha Optical recording disk capable of suppressing bimetallic effects caused by thermal expansion
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