JPH08316016A - 希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石の製造方法と焼結原料 - Google Patents

希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石の製造方法と焼結原料

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JPH08316016A
JPH08316016A JP7119794A JP11979495A JPH08316016A JP H08316016 A JPH08316016 A JP H08316016A JP 7119794 A JP7119794 A JP 7119794A JP 11979495 A JP11979495 A JP 11979495A JP H08316016 A JPH08316016 A JP H08316016A
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Wataru Takahashi
渉 高橋
Nobushige Hiraishi
信茂 平石
Yoshihisa Kishimoto
芳久 岸本
Naoyuki Ishigaki
尚幸 石垣
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Proterial Ltd
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Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高性能のNd−Fe−B系またはNd−Fe−Co−B
系合金からなる焼結永久磁石を、金型潤滑を行わずに、
内部潤滑剤のみで、粉末冶金法により連続プレス成形を
行いながら製造する。 【構成】 ガスアトマイズ法で得た平均粒径500 μm以
下の球状粉末を、場合により1000℃以下の真空中または
不活性雰囲気中で熱処理した後、微粉砕して得た、平均
粒径1〜20μm、合金組織の平均結晶粒径1〜30μmの
合金粉末100 重量部と、内部潤滑剤としてホウ酸エステ
ル系化合物0.01〜2重量部との混合物を用いて、プレス
成形および焼結を行い、焼結永久磁石を製造する。 【効果】 金型潤滑を行わずに連続プレス作業でき、(B
H)max の高い磁石特性に優れた永久磁石が生産性よく製
造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的安価で磁石特性
{残留磁束密度(Br)、固有保磁力(iHc) 、および最大磁
気エネルギー積 [(BH)max]}に優れた希土類・鉄・ボロ
ン系永久磁石の製造方法と、この方法に用いる原料粉末
とに関する。より詳しくは、本発明は合金粉末を粉末冶
金法の手法で成形および焼結することにより得られる、
希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石の製造方法および原
料粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】永久磁石は、一般家庭の各種電気製品か
ら大型コンピューターの周辺端末機器に至る幅広い分野
で使用されている重要な電気、電子材料の一つである。
最近の電気製品の小型化、高効率化の要求に伴い、永久
磁石にもますます高性能化が求められている。
【0003】永久磁石には、フェロ磁性またはフェリ磁
性を有する永久磁石材料の粉末をバインダーを用いて成
形したボンド磁石と、この磁石材料粉末を粉末冶金法の
手法で成形および焼結した焼結磁石とがあり、バインダ
ーを含有せず、実質的に磁石粉末のみからなる焼結磁石
の方が磁石特性が高くなる。
【0004】従来の代表的な永久磁石材料は、アルニ
コ、ハードフェライト、および希土類コバルト磁石であ
る。近年のコバルトの原料事情の不安定化にともない、
コバルトを20〜30wt%含有するアルニコ磁石の需要は減
り、鉄の酸化物を主成分とする安価なハードフェライト
が磁石材料の主流を占めるようになった。
【0005】一方、希土類コバルト磁石はコバルトを50
〜60wt%も含むうえ、希土類鉱石中にあまり含まれてい
ないSmを使用するため非常に高価であるが、他の磁石に
比べて磁石特性が格段に高いため、主として小型で付加
価値の高い磁気回路に多用されるようになった。
【0006】より安価で磁石特性に優れた永久磁石とし
て、高価なSmやCoを必ずしも含有する必要のないR−Fe
−B系 (RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1
種) 合金からなる永久磁石が提案された (特開昭59−46
008 号公報) 。この永久磁石は磁気異方性を示すため、
特定方向には希土類コバルト磁石を凌ぐ高い磁石特性を
示す。また、このR−Fe−B系磁石の温度特性を改良す
るために、Feの一部をCoで置換して合金のキュリー点を
上昇させたR−(Fe +Co) −B系の磁気異方性焼結体か
らなる永久磁石も提案された (特開昭59−64766 号公
報) 。
【0007】本明細書では、このR−Fe−B系とR−(F
e +Co) −B系とをまとめて、R−T−B系または希土
類・鉄・ボロン系という。ここで、TはFeまたはFeおよ
びCoである。このR−T−B系永久磁石は、比較的安価
で磁石特性に優れていることから、希土類コバルト磁石
に代わる高性能磁石として、急速にその使用量が増大し
ている。
【0008】このR−T−B系磁石の磁石特性をさらに
改善するために、特開昭60−17905号公報には、溶湯を
鋳造したインゴット材の粉砕により得た合金粉末ではな
く、ガスアトマイズ法により合金溶湯を急冷凝固させて
得た磁石粉末(アトマイズ粉末)を使用することが提案
されている。この磁石粉末は、インゴット法で得た粉末
(インゴット粉末)に比べて特に固有保磁力に優れてい
る。また、この磁石粉末を真空中で熱処理すると固有保
磁力がさらに向上することも上記公報に記載されてい
る。
【0009】粉末冶金法による焼結磁石の製造は一般に
次のような工程で行われる。まず、磁石材料を粗粉砕お
よび微粉砕して、焼結原料となる平均粒径1〜20μmの
磁石粉末を得る。この粉末をプレス成形し、得られた圧
粉体を焼結し、通常は最後に時効処理する。必要によ
り、耐食性を付与するために、焼結体にNiめっき等の防
食被覆を施してもよい。R−T−B系磁石のように磁気
異方性を示す磁石の場合には、プレス成形を磁場中で行
って、各粉末の磁化容易方向を一定方向に整列、即ち、
配向させる。
【0010】磁石粉末のプレス成形では、成形時に磁石
粉末の流動性を確保し、金型との焼付けを防止し、脱型
時の離型を容易にするために、金型潤滑 (金型に離型潤
滑剤を塗布) および内部潤滑 (粉末に内部潤滑剤を混
合) の一方または両方を行うことができる。
【0011】磁石粉末のプレス成形時に内部潤滑剤とし
て使用できることが知られている化合物には次のような
ものがある:オレイン酸、オレイン酸化合物、ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸 (特開昭63−138706号、特開平4−
214803号各公報等) 、高級アルコール、ポリエチレング
リコール (特開平4−191302号公報) 、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビトール脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン誘導
体 (特開平4−124202号公報) 、固形パラフィン、ショ
ウノウ等 (特開平4−214804号公報) 、パラフィンとソ
ルビタン脂肪酸エステルもしくはグリセリン脂肪酸エス
テルとの混合物 (特開平4−52203 号公報) など。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、R−
T−B系合金のアトマイズ粉末は、それ自体が磁石特性
に優れているが、表面が活性であるためプレス成形時に
金型への焼付きが起こり易く、この焼付きは上記の従来
の内部潤滑剤では有効に防止できないため、磁石の工業
生産に必要な連続プレス成形作業に支障を来すことが判
明した。
【0013】具体的には、上記の従来の内部潤滑剤をR
−T−B系合金のアトマイズ粉末に添加しても、金型潤
滑剤を塗布せずに連続プレス成形を行った場合、成形時
のダイス壁面等との摩擦により焼付きが起こり、ダイス
面および圧粉体表面に傷、剥がれ、割れ等が発生し易く
なる。また、従来の内部潤滑剤は、揮発性が不十分で、
焼結後の残炭量が多く、それによる磁石特性の低下も避
けられなかった。
【0014】大量の内部潤滑剤を添加すれば、焼付きは
ある程度防止できる。しかし、内部潤滑剤を大量添加す
ると焼結後の残炭量がますます増加し、得られる焼結磁
石の固有保磁力が著しく低下する。また、潤滑剤は一般
に凝集性が極めて高く、混合後も磁石合金粉末中に凝集
粒子として存在するため、焼結後に大きな空孔となり、
Niめっき等の防食膜を塗布した際、ピンホール発生の原
因となる。
【0015】一方、R−T−B系合金のアトマイズ粉末
を用いて、内部潤滑剤を添加せず、金型潤滑法のみでプ
レス成形しても圧粉体を得ることができるが、これから
最終的に得られる焼結磁石は、インゴット粉末から製造
したものよりは磁石特性に優れているものの、十分に高
いとはいえない。また、金型潤滑法と内部潤滑法とを併
用しても、やはり磁石特性はなお完全には満足できる水
準に達しない。
【0016】さらに、金型潤滑法における金型への離型
潤滑剤の塗布は、連続プレス成形作業の中断が必要であ
り、連続プレス成形の生産性を著しく低下させる。従っ
て、工業的な永久磁石の大量生産には、金型潤滑法は不
向きである。
【0017】よって、本発明の目的は、R−T−B系合
金のアトマイズ粉末を焼結原料として用いて、金型潤滑
法を採用することなく、内部潤滑剤のみでプレス成形す
ることが可能な、連続プレス成形作業に支障を来すこと
なく磁石特性に優れた希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁
石を製造するための方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、R−T−
B系合金のアトマイズ粉末のプレス成形性を改善できる
内部潤滑剤について調査した結果、ホウ酸エステル系化
合物が最適であることを見出した。即ち、ホウ酸エステ
ル系化合物は少量の添加で上記粉末の潤滑性を高め、そ
れにより金型潤滑法を併用しなくても大連続プレス成形
が可能となり、得られた圧粉体を焼結すると、配向性が
高く、(BH)max 値の高い高性能焼結磁石が得られること
が判明した。また、ホウ酸エステル系化合物は揮発性が
比較的高いので、焼結中にほぼ完全に揮発して磁石から
除去されるため、残炭量が少ない点でも有利である。
【0019】ここに、本発明は、不活性ガスアトマイズ
法で得た球状粉末を微粉砕することにより調製した平均
粒径1〜20μm、合金組織の平均結晶粒径1〜30μmの
R−T−B系(RはYを含む希土類元素から選ばれた少
なくとも1種、TはFeまたはFeおよびCo)合金粉末と、
少なくとも1種のホウ酸エステル系化合物との混合物か
らなる、希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石製造用の焼
結原料である。
【0020】別の側面からは、本発明は、R−T−B系
(RはYを含む希土類元素から選ばれた少なくとも1
種、TはFeまたはFeおよびCo)合金からなる希土類・鉄
・ボロン系焼結永久磁石の製造方法であって、所定組成
の合金溶湯を不活性ガスアトマイズ法により急冷凝固し
て、平均結晶粒径1〜30μmの組織を有する平均粒径50
0 μm以下の球状粉末を得た後、この合金粉末を平均粒
径が1〜20μmになるように微粉砕し、この微粉砕中ま
たは微粉砕の前後に少なくとも1種のホウ酸エステル系
化合物を合金粉末に添加し、プレス成形および焼結を行
うことを特徴とする、希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁
石の製造方法である。
【0021】好適態様にあっては、不活性ガスアトマイ
ズ法で得た球状粉末を真空中または不活性雰囲気中1000
℃以下で熱処理して結晶粒を粗大化させることにより、
平均結晶粒径が1〜30μm、好ましくは3〜30μmの組
織を有する平均粒径500 μm以下の球状粉末を得た後、
この合金粉末を微粉砕し、微粉砕中または微粉砕後にホ
ウ酸エステル系化合物を添加して原料粉末を調製する。
【0022】
【作用】本発明で製造する焼結永久磁石の材料は、希土
類金属と、鉄または鉄およびコバルトと、ボロンとを主
成分とするR−T−B系(希土類・鉄・ボロン系)合金
である。この合金は、R2 14Bの結晶粒を主体とする
金属間化合物からなる合金である。
【0023】希土類金属Rは、イットリウム (Y) 、軽
希土類 (LaからEuまで) 、および重希土類 (GdからLuま
で) を包含する。Rとしては軽希土類だけで十分であ
り、特にNdおよびPrが好ましい。通例、Rは1種だけで
よいが、原料入手上その他の理由により、安価な2種以
上の希土類元素の混合物 (ミッシュメタル、ジジム等)
を使用することもできる。Sm、Y、La、Ce、Gd等はNdお
よび/またはPr等との混合物として用いることが好まし
い。Rは純希土類元素である必要はなく、工業上入手可
能な純度のものでよい。即ち、製造上不可避な不純物が
混入していても差し支えない。
【0024】R−T−B系合金の成分組成は、R2 14
B結晶粒を主体とする合金が生成する限り特に制限され
ないが、一般に重量%でR:27〜38%、T:51〜72%、
B:0.2〜4.5 %の範囲内が望ましい。R含有量は一般
に少ないほど残留磁束密度が向上するが、R含有量が27
%より少ないとα−Fe相当の鉄に富む相が析出し、粉砕
に悪影響を与え、また残留磁束密度もそれ以上は向上し
なくなる。一方、R含有量が38%を超えると、残留磁束
の低下が目立ち、高い磁石特性が得られなくなる。B含
有量が0.2 %より少ないと固有保磁力が低下し、4.5 %
より多いと残留磁束密度が低下する。
【0025】TとしてFeに加えてCoを共存させると、合
金のキュリー点が上昇し、永久磁石の温度特性が向上す
る。しかし、Coが多くなりすぎると高い固有保磁力が得
られなくなるので、CoはT全体の30wt%以下とすること
が望ましい。
【0026】さらに固有保磁力の改善、低コスト化、生
産性改善などの目的で、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、
Nb、Sn、Ge、Ga、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ta、Hf、
P、Sなどの1種もしくは2種以上の元素を加えてもよ
いが、これらは合計で6重量%%を越えると、残留磁束
密度が低下するので、添加する場合の合計添加量を6重
量%以下とすることが好ましい。
【0027】本発明によれば、まず、適当な原料金属ま
たは合金の混合物を溶解して、所定組成を持つR−T−
B系合金を溶製する。この溶解は無酸化雰囲気 (例、ア
ルゴン雰囲気) 中で行う。得られた合金の溶湯をガスア
トマイズ法により粉末化する。ガスアトマイズ法では、
周知のようにほぼ真球に近い球状粉末が生成する。
【0028】本発明では、合金の酸化を防止するため、
不活性ガスを用いたガスアトマイズ法により、平均粒径
500 μm以下の球状粉末が生成するように合金溶湯を急
冷凝固する。それにより、平均結晶粒径30μm以下の組
織を有する球状粉末が得られる。好ましくは、平均粒径
30〜500 μmで平均結晶粒径1〜30μmの組織を有する
球状粉末を得る。
【0029】特開昭60−17905 号公報に記載されている
ように、ガスアトマイズ法により得たR−T−B系合金
粉末は、実質的に主相 (R2Fe14B層) とRリッチ相
(希土類金属Rが主相より多い相) との複合組織からな
る。本発明において、合金組織の平均結晶粒径とは、R
リッチ相で囲まれる主相の結晶粒の直径の平均値を意味
する。この平均結晶粒径は、合金粉末の断面の走査電子
顕微鏡 (SEM) による組織写真から求めることができ
る。また、合金粉末の平均粒径はふるい法により求める
ことができる。
【0030】ガスアトマイズ条件 (例、溶湯用のノズル
径、不活性ガスの圧力など) は、上記範囲内の平均粒径
の球状粉末が得られるように調整すればよいが、ノズル
径は2〜6mm、ガス圧力は15〜100 kg/cm2の範囲が望ま
しい。アトマイズ用の不活性ガスとしては、アルゴンの
ほか、ヘリウムなども使用できる。
【0031】アトマイズ粉末の平均粒径が500 μmを越
えると、平均結晶粒径が30μm以上となる確率が高く、
次の微粉砕工程での粉砕性が劣化したり、焼結磁石の磁
石特性が低下するようになる。一方、平均粒径が30μm
以下になると、平均結晶粒径が1μm以下となる確率が
高く、プレス成形工程で磁場を印加しても、高配向が得
られず、磁石特性が劣化する。好ましいアトマイズ粉末
の平均粒径は50〜150μm、平均結晶粒径3〜15μmの
範囲である。
【0032】ただし、次に説明するように、アトマイズ
粉末の平均結晶粒径は、適切な熱処理によって結晶粒を
成長させることにより大きくなる。従って、アトマイズ
粉末の平均粒径が30μm以下と小さく、それにより平均
結晶粒径が1μm以下の組織を有する粉末が生成して
も、熱処理により平均結晶粒径を1μm以上、好ましく
は3μm以上に成長させれば、優れた磁石特性を得るこ
とができる。従って、アトマイズ粉末の粒径の下限は特
に規定されない。
【0033】得られたアトマイズ粉末の合金組織の平均
結晶粒径が1μm以下より小さい場合には、前述したよ
うに、アトマイズ粉末を1000℃以下の温度で熱処理し
て、平均結晶粒径が1μm以上、好ましくは3μm以上
になるように結晶粒を成長させる。この熱処理は、アト
マイズ粉末の平均結晶粒径が1μmより大きい場合、或
いは好ましい下限値である3μmより大きい場合にも実
施できるが、熱処理後の平均結晶粒径が30μm、好まし
くは15μmを超えないようにする。
【0034】熱処理は、熱処理中のアトマイズ粉末の酸
化を防止するために、真空中または不活性ガス (例、ア
ルゴン) 中で行う。熱処理温度が1000℃を超えると、ア
トマイズ粉末の一部が融解することがある。熱処理条件
(温度および時間) は、熱処理後の平均結晶粒径が1〜
30μm、好ましくは3〜15μmの範囲内の所望の値とな
るよう調整する。
【0035】不活性ガスアトマイズ法で得られ、場合に
より上記のように熱処理したR−T−B系合金のアトマ
イズ粉末を、次いで粉末冶金法に適した粒径になるまで
微粉砕する。この微粉砕は、通常の水素化粉砕法+ジェ
ットミル粉砕法を適用して行うことが好ましい。或い
は、ジェットミルまたはボールミルのみ、またはスタン
プミル+ジェットミルまたはボールミルを適用すること
により微粉砕することもできる。
【0036】微粉砕は、得られた粉末の平均粒径が1〜
20μm、好ましくは2〜10μm、特に好ましくは3〜4
μmの範囲になるように行う。この微粉砕後の粉末の平
均粒径は、空気透過法(FSSと略記する) により求めるこ
とができる。ガスアトマイズ法により急冷凝固させたR
−T−B系合金粉末は、通常のインゴット粉末に比べて
粉砕性に優れ、粒度分布幅の狭い、粒径がよく揃った微
粉末を容易に得ることができる。それにより、平均粒径
1〜20μm、平均結晶粒径1〜30μmのR−T−B系合
金粉末が得られる。
【0037】本発明によれば、この微粉砕中、微粉砕
前、または微粉砕後に、R−T−B系合金の粉末に、内
部潤滑剤としてホウ酸エステル系化合物を混合し、この
混合物を用いて粉末冶金法により焼結磁石を作製する。
即ち、この混合物をプレス成形および焼結してR−T−
B系合金の焼結永久磁石を製造する。
【0038】本発明において、ホウ酸エステル系化合物
とは、ホウ酸 (オルトホウ酸H3BO3とメタホウ酸HBO2
含む) または無水ホウ酸 (B2O3) を1種もしくは2種以
上の1価または多価アルコールと反応させてエステル化
することにより得られる、ホウ酸トリエステル型の化合
物を意味する。
【0039】ホウ酸または無水ホウ酸のエステル化に使
用できる1価または多価アルコールとしては、下記(1)
〜(4) の化合物が例示される。 (1) 一般式:R1 −OHで示される1価アルコール、 (2) 下記一般式で示されるジオール、
【0040】
【化1】
【0041】(3) グリセリンまたは置換グリセリンとそ
れらのモノまたはジエステル、 (4) 上記(2) および(3) 以外の多価アルコールならびに
そのエステルもしくはアルキレンオキサイド付加物。
【0042】上記一般式において、R1 は炭素数3〜22
の脂肪族、芳香族または複素環式の飽和または不飽和有
機基であり、R2 、R3 、R4 、R5 は、同一でも異な
るものでよく、それぞれHまたは炭素数1〜15の脂肪族
または芳香族の飽和または不飽和1価有機基であり、R
6 は、単結合、−O−、−S−、−SO2 −、−CO−、ま
たは炭素数1〜20の脂肪族もしくは芳香族の飽和もしく
は不飽和有機2価基である。
【0043】(1) の1価アルコールとしては、例えばn
−ブタノール、iso −ブタノール、n−ペンタノール、
n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノー
ル、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノー
ル、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、
テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノー
ル、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノ
ール等が挙げられ、好ましくは炭素数3〜18のアルコー
ルである。そのほか、アリルアルコール、クロチルアル
コール、プロパルギルアルコール等の脂肪族不飽和アル
コール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の
脂環式アルコール、ベンジルアルコール、シンナミルア
ルコール等の芳香族アルコール、フルフリルアルコール
等の複素環式アルコールも使用できる。炭素数2以下の
1価アルコール (メタノール、エタノール) とのホウ酸
エステルは沸点が低く、R−T−B系合金粉末と混合し
た後に揮散する可能性があるので、好ましくない。ま
た、炭素数22を超える1価アルコールとのホウ酸エステ
ルは、融点が高く、均一混合性にやや劣る上、焼結後に
残炭として残存する可能性がある。
【0044】(2) のジオール (2価アルコール) の例と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタ
ンジオール、2-メチル-2,4- ペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタ
ンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオー
ル、1,10- デカンジオールなどのα, ω−グリコール
類;ピナコール、ヘキサン-1,2- ジオール、オクタン-
1,2- ジオール、ブタノイル−α−グリコールなどの対
称α−グリコール類が挙げられる。総炭素数が10以下
で、融点が比較的低いジオールが、合成が容易でコスト
的にも有利であることから好ましい。
【0045】(3) のグリセリン類の例としては、グリセ
リンそれ自体、ならびにグリセリンと炭素数8〜18の脂
肪酸とのモノエステルまたはジエステルが挙げられる。
これらのエステルの代表例はラウリン酸モノおよびジグ
リセライド、オレイン酸モノおよびジグリセライド等で
ある。また、置換グリセリン (例、ブタン-1,2,3- トリ
オール、2-メチルプロパン-1,2,3- トリオール、ペンタ
ン-2,3,4- トリオール、2-メチルブタン-1,2,3- トリオ
ール、ヘキサン-2,3,4- トリオール等) それ自体、なら
びにそれらと炭素数8〜18の脂肪酸とのモノエステルま
たはジエステルも使用できる。
【0046】(4) の多価アルコールの例としては、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリトリット、アラビッ
ト、ソルビット、ソルビタン、マンニット、マンニタン
などが挙げられる。また、これらの多価アルコールと炭
素数8〜18の脂肪酸とのモノエステル、ジエステルまた
はトリエステル等のエステル化物 (但し、少なくとも1
個のOH基が残留) 、ならびにこれらの多価アルコール
にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド等) を1〜20モル、好ましくは4〜18モ
ル付加させたエーテル型の付加物も使用できる。
【0047】ホウ酸または無水ホウ酸と上記アルコール
とのエステル化反応は、これらの反応成分を単に一緒に
加熱するだけで容易に進行する。反応温度はアルコール
の種類によっても異なるが、通常は 100〜180 ℃程度で
ある。反応成分は、ほぼ化学量論比で反応させることが
好ましい。得られたホウ酸エステル系化合物の性状は通
常は液体もしくは固体である。
【0048】ホウ酸エステル系化合物からなる潤滑剤の
アトマイズ粉末への添加時期は、前述のように、アトマ
イズ粉末の微粉砕の前か後、または微粉砕中のいずれで
よく、添加後の混合方式も、乾式混合と溶剤を用いた湿
式混合のいずれでもよい。例えば、アトマイズ粉末を湿
式法により微粉砕する場合、湿式微粉砕中またはその前
後のスラリー状態の合金粉末に潤滑剤を添加し、湿式混
合してもよく、或いは湿式微粉砕後の乾燥工程中または
その前後に乾式で潤滑剤を混合することもできる。
【0049】また、乾式混合の場合、ホウ酸エステル系
化合物の合金粉末への均一混合性を向上させるために、
この潤滑剤を溶媒で希釈してから、合金粉末に添加し、
乾式混合することもできる。
【0050】湿式混合に用いる溶媒、或いは乾式混合に
おける潤滑剤の希釈に用いる溶媒としては、芳香族炭化
水素 (例、トルエン、キシレン等) 、炭素数6〜18の脂
肪族炭化水素 (例、デカン、n−ドデカン等) などが適
当である。ホウ酸エステル系化合物は揮発性が比較的高
いため、合金粉末への潤滑剤の混合は室温〜50℃の温度
で行うことが好ましい。これより温度が高くなると、混
合中の潤滑剤の損失が大きくなる。
【0051】潤滑剤として添加するホウ酸エステル系化
合物の量は、原料合金粉末の粒度、ダイスと圧粉体の形
状、寸法および摩擦面積、プレス成形条件、および潤滑
剤の添加時期等に応じて、望ましい成形性改善効果が達
成されるように選定すればよい。ホウ酸エステル系化合
物は、従来の潤滑剤とは異なり、少量の添加で著しい成
形性改善効果がある。添加量の増大とともに抜き圧力な
どの成形性は向上するが、多量に添加すると、プレス成
形で得られた圧粉体の強度が低下し、後続の工程時に割
れ、欠け等による歩留まりの低下を惹起するのみなら
ず、焼結工程において焼結体に炭素が残留して磁石特性
が低下するようになる。
【0052】このような観点から、ホウ酸エステル系化
合物からなる潤滑剤の好ましい配合量は、合金粉末100
重量部に対して潤滑剤0.01〜2重量部の範囲、より好ま
しくは 0.1〜1重量部の範囲である。ただし、潤滑剤を
ガスアトマイズ法で得た合金粉末の微粉砕前に添加する
場合には、微粉砕工程で潤滑剤の揮発による損失が起こ
るので、微粉砕中の損失分を見込んで、多めに (例、2
倍量程度まで) 潤滑剤を添加することができる。ホウ酸
エステル系化合物は1種または2種以上使用できる。
【0053】R−T−B系合金のアトマイズ粉末に潤滑
剤としてホウ酸エステル系化合物を混合した混合物を用
いて、好ましくは磁場中でプレス成形を行う。この内部
潤滑剤の添加により、合金粉末の滑り性が向上し、各粉
末粒子が磁場印加時に容易に回転できるようになる。そ
のため、磁場中でのプレス成形により、各粒子の磁化容
易方向が磁場方向に揃うため、配向性(磁化容易方向の
整列度)が飛躍的に向上する。しかも配合量が少なくて
すむため、残炭量が低下するので、高い磁石特性が得ら
れるのである。同時に、金型との潤滑性も良好であり、
金型潤滑を行わなくても、連続プレス成形時の焼付が防
止されるので、金型潤滑法を行う場合に比べて生産性が
約20%向上する。
【0054】なお、プレス成形中の磁場強度は8KOe 以
上が必要であり、好ましくは10 KOe以上である。また、
成形圧力は 0.5〜3 t/cm2の範囲内が好ましい。プレス
成形後の焼結は、例えば、アルゴンなどの不活性雰囲気
中または真空中、1000〜1100℃で1〜8hr程度行うのが
通常である。得られた焼結磁石は、通常は600 ℃前後で
時効処理したのち、耐食性向上のため、Niめっき等の防
錆処理を行う。
【0055】本発明の方法により製造されたR−T−B
系焼結永久磁石は、ホウ酸エステル系化合物を混合せず
に金型潤滑法により同一条件下で製造した焼結永久磁石
と比べて、磁石特性、特に固有保磁力 (iHc)と最大エネ
ルギー積[(BH)max] が極めて高かった。また、インゴッ
ト粉末に潤滑剤としてホウ酸エステル系化合物を混合し
て得た焼結永久磁石と比べても、はるかに高い磁石特性
を示した。つまり、ガスアトマイズ法により得た急冷凝
固法粉末とホウ酸エステル系化合物を用いた内部潤滑プ
レス成形法とを組合わせることで高性能磁石を得ること
が可能であり、このいずれかの条件が欠けると磁石特性
は大きく低下するのである。
【0056】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。実施例中、%および部は特に指定のない限
り、重量%および重量部である。なお、実施例で用いた
R−Fe−B系合金粉末の製造原料は、純度99.9%の電解
Fe、Bを19.4%含有し残部はFeおよびC等の不純物から
なるフェロボロン合金、純度99.7%以上のNd、純度99.7
%以上のDy、純度99.9%以上のCoであった。
【0057】
【実施例1】上記原料をアルゴン雰囲気中で高周波炉に
より溶解して、30.5%Nd、1.5 %Dy、2.5 %Co、1.0 %
B、残部Feの組成を持つ合金溶湯を調製し、これを加熱
したタンディッシュに傾注し、ノズル径4mm、ガス圧力
30 kg/cm2 の条件のアルゴンスアトマイズ法により球状
粉末状の母合金Aを製造した。得られたアトマイズ粉末
の平均粒径 (ふるい法により測定) は60μm、合金組織
の平均結晶粒径 (粉末断面のSEM組織写真により測
定) は5μmであった。
【0058】比較のために、上と同じ組成の合金溶湯よ
り、キャビティ幅50 mm の水冷鋳型に注湯して、インゴ
ット材の母合金Bを得た。これらの母合金AおよびBを
通常の水素化粉砕法+ジェットミル粉砕法により微粉砕
し、FSS 法により求めた平均粒径が3〜4μmの合金粉
末を得た。これらの各合金粉末について、内部潤滑剤を
混合したものと、混合しないものの、2種類を調製し、
焼結原料として用いた。
【0059】本実施例で用いた内部潤滑剤は、n−ブタ
ノールとホウ酸を3:1のモル比で110 ℃において4時
間加熱し、縮合反応させて得た、下記構造のホウ酸エス
テル系化合物(a) であった。内部潤滑剤の混合は、上記
の各合金粉末100 部に対して0.1 部の割合でホウ酸エス
テル系化合物を添加し、万能混合攪拌機により常温で乾
式混合して、合金粉末中に均一に分散させることにより
行った。
【0060】
【化2】
【0061】これらの焼結原料を用いて、12 kOeの磁場
を印加しながら1.5 t/cm2 の成形圧力でプレス成形を連
続50回行って、直径29 mm ×厚さ10 mm のディスク型の
圧粉体を得た。この連続プレス成形において、焼結原料
が内部潤滑剤 (ホウ酸エステル系化合物) を含有する場
合には、金型潤滑を省略した。一方、焼結原料が内部潤
滑剤を含有しない場合には、離型潤滑剤として脂肪酸エ
ステルを金型に塗布して金型潤滑を行った。
【0062】得られた圧粉体を、アルゴン中1070℃で4
時間加熱して焼結させ、冷却後にアルゴン中 500℃で1
時間の時効処理を行って、磁気異方性を示すR−T−B
系焼結永久磁石を作製した。このときの連続プレス成形
性 (圧粉体の疵、割れ、剥がれ等の有無、成形時の異音
等) 、圧粉体の嵩密度、焼結後の残炭量、磁石特性の結
果を表1にまとめて示す。
【0063】
【表1】
【0064】内部潤滑剤としてホウ酸エステル系化合物
を混合することにより、母合金が不活性ガスアトマイズ
法により得たアトマイズ粉末Aである場合には、金型潤
滑の場合と同様に、金型との焼付のない良好なプレス成
形性が確保された。しかも、金型潤滑の場合に比べて圧
粉体嵩密度が約0.2 g/cm3 も高い、高密度の圧粉体を得
ることができた。焼結磁石中の残炭量は、ホウ酸エステ
ル系化合物を混合した場合も、金型潤滑品と大差ない低
レベルであった。
【0065】一方、磁石特性を見ると、アトマイズ粉末
Aを微粉砕した原料粉末に内部潤滑剤としてホウ酸エス
テル系化合物を混合してプレス成形して作製した本発明
例の焼結磁石は、iHc 、(BH)max が極めて高く、高性能
であった。これに対し、母合金が同じアトマイズ粉末A
であっても、金型潤滑の場合には、磁石特性が劣ってい
た。これは、アトマイズ粉末の場合には圧粉体嵩密度が
高い上、ホウ酸エステル系化合物の潤滑効果により、磁
場印加下での粉末の回転性が向上し、その配向性が向上
したためであると考えられる。
【0066】母合金がインゴット材Bである場合も、内
部潤滑剤としてホウ酸エステル系化合物を添加すること
で、インゴット材の金型潤滑の例に比べていくらの磁石
特性の向上は認められた。しかし、この内部潤滑剤によ
る磁石特性の向上効果は、アトマイズ粉末Aの場合に比
べて小さかった。しかも、インゴット材Bでは、内部潤
滑剤を使用した場合でも、磁石特性は本発明例に遠く及
ばなかった。
【0067】
【実施例2】実施例1と同様に調製した合金溶湯を用い
て、ガス圧力を15〜100 kg/cm2の範囲で変化させたアル
ゴンガスアトマイズ法(ノズル径は4mm)により、平均
粒径が25μm、40μm、200 μm、500 μm、800 μm
のアトマイズ粉末を得た。平均粒径が25μmおよび40μ
mのアトマイズ粉末については、その一部を真空中900
℃で、平均結晶粒径が5.0 μmになるまで熱処理した。
【0068】これらの粉末を母合金として、実施例1と
同様の方法で、微粉砕、内部潤滑剤であるホウ酸エステ
ル系化合物(a) の混合、プレス成形、焼結、および時効
処理を行い、R−T−B系焼結磁石を作製した。得られ
た磁石の(BH)max と母合金の平均結晶粒径および微粉砕
後の合金粉末のFSS 法で求めた平均粒径を表2に示す。
なお、平均粒径が800 μmのアトマイズ粉末は粉砕性が
低く、水素化粉砕法+ジェットミル粉砕法による微粉砕
中の特にジェットミルへの給粉量を十分に低くしないと
微粉砕が不十分となった。
【0069】
【表2】
【0070】表1と表2とからわかるように、アトマイ
ズ粉末の平均粒径と合金組織の平均結晶粒径には相関関
係があり、アトマイズ粉末の平均粒径が30μmより小さ
くなると、平均結晶粒径が1μmを下回り、この粉末を
直接微粉砕して原料粉末を得ると、(BH)max が低下した
焼結磁石になった。しかし、このように平均結晶粒径が
1μm未満と小さくても、微粉砕前に熱処理を行って平
均結晶粒径が3μm以上となるように結晶粒を成長させ
ると、(BH)max が高い焼結磁石を得ることができた。
【0071】一方、アトマイズ粉末の平均粒径が500 μ
mを超えるほどに大きいと、平均結晶粒径が30μmを超
え、粉砕性が低下し、(BH)max の低い焼結磁石になっ
た。即ち、プレス成形に用いるR−T−B系合金粉末の
合金組織の平均結晶粒径が1〜30μm、特に3〜15μm
の範囲内である場合に、ホウ酸エステル系化合物を内部
潤滑剤として、磁石特性に優れた焼結永久磁石を得るこ
とができた。
【0072】
【発明の効果】本発明により、R−T−B系合金の不活
性ガスアトマイズ法により得た急冷凝固材の原料粉末に
内部潤滑剤としてホウ酸エステル系化合物を用いて粉末
冶金法により希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石を製造
すると、生産性を著しく低下させる金型潤滑を行わず
に、原料粉末を連続プレス成形することができ、しかも
得られた焼結永久磁石は、金型潤滑によるものに比べて
高い磁石特性を示す。従って、本発明は、高性能のR−
T−B系希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石を生産性よ
く製造する上で工業的価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 41/02 H01F 1/04 H (72)発明者 岸本 芳久 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 石垣 尚幸 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不活性ガスアトマイズ法で得た合金組織
    の平均結晶粒径1〜30μmの球状粉末を微粉砕すること
    により調製した、平均粒径1〜20μmのR−T−B系
    (RはYを含む希土類元素から選ばれた少なくとも1
    種、TはFeまたはFeおよびCo)合金粉末と、少なくとも
    1種のホウ酸エステル系化合物との混合物からなる、希
    土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石製造用の焼結原料。
  2. 【請求項2】 不活性ガスアトマイズ法で得た球状粉末
    を真空中または不活性雰囲気中1000℃以下で熱処理して
    得た合金組織の平均結晶粒径1〜30μmの粉末を微粉砕
    することにより調製した、平均粒径1〜20μmのR−T
    −B系(RはYを含む希土類元素から選ばれた少なくと
    も1種、TはFeまたはFeおよびCo)合金粉末と、少なく
    とも1種のホウ酸エステル系化合物との混合物からな
    る、希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石製造用の焼結原
    料。
  3. 【請求項3】 R−T−B系(RはYを含む希土類元素
    から選ばれた少なくとも1種、TはFeまたはFeおよびC
    o)合金からなる希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石の
    製造方法であって、所定組成の合金溶湯を不活性ガスア
    トマイズ法により急冷凝固して、平均結晶粒径1〜30μ
    mの組織を有する平均粒径500 μm以下の球状粉末を得
    た後、この合金粉末を平均粒径が1〜20μmになるよう
    に微粉砕し、この微粉砕中または微粉砕の前後に少なく
    とも1種のホウ酸エステル系化合物を合金粉末に添加
    し、プレス成形および焼結を行うことを特徴とする、希
    土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 R−T−B系(RはYを含む希土類元素
    から選ばれた少なくとも1種、TはFeまたはFeおよびC
    o)合金からなる希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁石の
    製造方法であって、所定組成の合金溶湯を不活性ガスア
    トマイズ法により急冷凝固し、得られた粉末を真空中ま
    たは不活性雰囲気中1000℃以下で熱処理することによ
    り、平均結晶粒径1〜30μmの組織を有する平均粒径50
    0 μm以下の球状粉末を得た後、この合金粉末を平均粒
    径が1〜20μmになるように微粉砕し、この微粉砕中ま
    たは微粉砕の前後に少なくとも1種のホウ酸エステル系
    化合物を合金粉末に添加し、プレス成形および焼結を行
    うことを特徴とする、希土類・鉄・ボロン系焼結永久磁
    石の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010047839A (ja) * 2009-09-01 2010-03-04 Napura:Kk コンポジット構造を有するナノ球状粒子、粉末、及び、その製造方法
CN103521758A (zh) * 2013-10-22 2014-01-22 爱科科技有限公司 一种钕铁硼合金制粉的方法
JP2021527961A (ja) * 2018-06-18 2021-10-14 アーベーベー・シュバイツ・アーゲーABB Schweiz AG 磁性粉末の製造方法

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