JPH08311789A - オイルパーム葉柄部由来のパルプの漂白方法 - Google Patents

オイルパーム葉柄部由来のパルプの漂白方法

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JPH08311789A
JPH08311789A JP14007995A JP14007995A JPH08311789A JP H08311789 A JPH08311789 A JP H08311789A JP 14007995 A JP14007995 A JP 14007995A JP 14007995 A JP14007995 A JP 14007995A JP H08311789 A JPH08311789 A JP H08311789A
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bleaching
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whiteness
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Makoto Iwasaki
誠 岩崎
Yoshiori Hamaguchi
佳織 浜口
Yuji Nishi
裕二 西
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイルパーム葉柄から、上質紙用グレードの
高白色度で強度が高く、かつ退色性に優れたパルプを製
造する漂白方法の提供。 【構成】 オイルパーム葉柄をクラフト蒸解でカッパー
価が18以上、40以下の範囲に蒸解した後、酸素で脱
リグニンし、さらに過酸化水素処理工程を含む多段漂白
工程で処理することを特徴とするオイルパーム葉柄部由
来のパルプの漂白方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オイルパーム葉柄部由
来のパルプの漂白方法に関し、更に詳しくは、オイルパ
ームの葉柄部から得られるクラフトパルプ(以下KPと
略記)を、クロロホルムを発生させることなく、高白色
度でかつ退色性に優れたパルプに漂白処理する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在、熱帯あるいは亜熱帯地方で栽培さ
れるオイルパーム材(単子葉植物網、やし目、やし科、
アブラヤシ属)の実からは、パームオイルと呼ばれる油
が採取される。パームオイルは生分解性があることか
ら、近年、食用油や洗剤原料として多量に使用されるよ
うになった。ただ、生産量の増大に伴い、油を絞った後
のエンプティーフルーツバンチ(EFB)と呼ばれる粕
と、実を取る際に切断される葉柄および25年周期で伐
採される幹が、副産物として多量に排出される。
【0003】しかし、これらのオイルパーム副産物は、
有効利用されておらず、ほとんどは放棄されているの
が、現状である。特に、葉柄部分は実の収穫の際に多量
に排出されること、また重量があることのために、排出
量としてはオイルパーム副産物の中では、最も量が多
く、その有効利用法が切望されている。有効利用の一方
法として、オイルパーム副産物を蒸解、漂白してパルプ
を製造し、それから紙を作る方法がある。この有効利用
方法は、オイルパーム材を産出する国の紙の需要をまか
なうばかりではなく、CO2 発生量の低減といった地球
環境の面で望ましい方法といえる。
【0004】紙の製造法には、苛性ソーダなどの薬品で
木材あるいは非木材などの原料を蒸解し、原料中のリグ
ニンを除去する化学パルプ化法の他に、原料を機械的な
方法で、すリ潰す機械パルプ化法がある。特開昭62−
282089号公報および特開平4−65591号公報
には、オイルパームの葉柄を薬剤添加後、機械パルプ化
する方法が開示されているが、未晒パルプの白色度は2
6%以下と低く、上質紙原料としては利用できないこと
が記載されている。また、CELLULOSECHEM
ISTRY AND TECHNOLOGY,21、
(1987)p191〜p197には、化学パルプとし
ては漂白しやすいEFBを用いた過酸化水素晒が検討さ
れているが、過酸化水素を絶乾パルプあたり10%添加
しても白色度は55%しか達しないことが述べられてい
る。
【0005】一方、化学パルプ化法により紙を製造する
場合、オイルパーム副産物の内、EFBおよび幹から得
られる繊維は蒸解しやすく、また漂白もしやすいので、
これらの副産物からパルプを作り、上質の紙を得ること
には特に支障となることはない。しかしながら、葉柄の
蒸解と漂白については、CELLULOSE CHEM
ISTRY AND TECHNOLOGY、22、
(1988)p449〜p456に、葉柄をクラフト蒸
解した後、次亜塩素酸塩のみで漂白する方法が報告され
ているが、未晒パルプの白色度は19%〜26%と非常
に低い。そのため次亜塩素酸塩添加率を15%(有効塩
素として)と、未晒木材パルプの場合の通常添加率1%
以下からすると、多量に添加しても、上質紙用の晒木材
パルプの通常の白色度84〜85%に較べると低い8
2.9%の白色度しか得られないこと、また、漂白後の
パルプの退色が大きいことが述べられている。
【0006】さらに、オイルパームに似たラフィアパー
ムの葉柄をクラフト蒸解したCELLULOSE CH
EMISTRY AND TECHNOLOGY,2
0、(1986)p73〜p82の結果では、蒸解後の
カッパー価が29と高く、脱リグニンされにくい試料で
あると報告されている。また、該誌の20巻、p869
〜p878、(1986)には、ラフィアパームの葉柄
をクラフト蒸解でカッパー価を15〜22にした後、C
/D−E−H−Dのシーケンスで漂白した結果、晒薬品
添加率を有効塩素換算で6.5%〜5.9%と多量に添
加すれば、白色度は87%ないし89%に達するもの
の、PC価は、上質用パルプに多く用いられる晒広葉樹
パルプに較べて高く、退色性に問題があることが報告さ
れている。またこの晒パルプの強度も、広葉樹晒パルプ
に較べて低い。
【0007】上記のように、今まで廃棄されていたオイ
ルパーム副産物を有効利用することは、地球環境の点か
ら望ましいが、雑誌や書籍などの上質紙用の白色度の高
いパルプを得るのに、多量の塩素系薬品を必要とするこ
とは地球環境面でも望ましくない。また次亜塩素酸塩は
漂白中にクロロホルムを生成するなどの問題もあり、薬
品添加量が少なく、白色度と強度が高くかつ白色度安定
性の高いパルプの製造法が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、オイ
ルパームの副産物に内、排出量が最も多い葉柄を用いた
場合、機械パルプを漂白しても白色度が高く、強度の高
い晒パルプを得ることは困難であった。一方、KP蒸解
された未晒パルプの白色度は非常に低く、段ボール中芯
などの低白色度用途に限定して使用せざるを得なかっ
た。また未晒パルプの白色度を上げる目的で、蒸解工程
で脱リグニンを進めると、未晒パルプの白色度は上昇す
るものの、強度が低下し、さらに収率も低下するため、
蒸解段だけの工夫では、白色度も強度も高い上質用のパ
ルプを作ることは不可能であった。
【0009】また未晒パルプの白色度が低いまま、多段
漂白段の初段に塩素を用いる従来の漂白方法によって、
白色度の高い晒パルプを製造するには、多量の塩素系薬
品の添加が必要であり、そのため強度が大きく低下する
こと、さらに、高白色度になっても、退色性が大きいこ
と等から上質紙のパルプ原料として利用する技術は未だ
確立されていなかった。
【0010】そこで本発明者等は、かかる現状に鑑み、
オイルパーム葉柄部由来のパルプの漂白方法について多
角的に検討したところ、蒸解段でカッパー価を適切に保
った未晒パルプを造った後、この未晒パルプを酸素脱リ
グニンし、過酸化水素を含む漂白シーケンスを行えば、
高白色度で強度が高く、かつ退色の少ないパルプの製造
が可能であることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】本発明は、オイルパーム葉柄部由来の未晒
クラフトパルプの白色度が低いといった欠点を克服し、
次亜塩素酸塩を用いないために、クロロホルムを生成す
ることもなく、白色度の安定した上質紙の漂白パルプが
得られる漂白法を提供することを目的とするものであ
る。さらに別の目的は、COD負荷の小さい漂白法を提
供することであり、さらに他の目的は以下の記載から明
らかになるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、オイルパーム
葉柄部をクラフト蒸解して得られるパルプを、酸素脱リ
グニン処理した後、過酸化水素処理工程を含む多段漂白
工程により処理することを特徴とする漂白方法であり、
さらに、クラフト蒸解して得られるパルプのカッパー価
が、18以上、40以下であることを特徴とするオイル
パーム葉柄部由来のパルプの漂白方法である。
【0013】本発明は、特にオイルパーム葉柄をカッパ
ー価が18以上、40以下まで蒸解した後、酸素脱リグ
ニンを行うことによって、漂白工程に入るパルプ中のリ
グニン量を下げることができ、このため漂白段での漂白
薬品量を下げることができる。
【0014】また漂白シーケンスに過酸化水素を用いる
ことにより、白色度が高く、かつ退色の少ないパルプの
製造が可能となる。さらに未晒パルプのカッパー価を適
切な範囲に調整することにより、漂白薬品量を従来の方
法に較べて少なくできるので、高強度の漂白パルプを、
より安価に製造できる。
【0015】本発明で使用されるオイルパームは、その
実から採取された油を製品とするためにマレーシア、イ
ンドネシアなどの東南アジアで広く栽培、植林されてい
るヤシであり、このオイルパームの葉の葉柄部が原料と
して用いられる。
【0016】本発明のクラフト蒸解においては、木材チ
ップを通常蒸解する条件が選ばれるが、容積重が木材チ
ップに較べると低いことから、液比は2〜15、好まし
くは5〜10であり、硫化度は5〜60%、好ましくは
10〜40%、有効アルカリの添加率は、絶乾チップあ
たり5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%であ
る。蒸解温度は110〜180℃、好ましくは130〜
170℃である。
【0017】蒸解法はクラフト法であれば、方法は特に
限定しないが、多硫化ソーダや公知の環状ケト化合物を
添加しても良く、連続式の蒸解法であるか、もしくはバ
ッチ式の蒸解法であるかも問わない。また蒸解液を多点
で添加する修正アルカリ蒸解法等の改良されたクラフト
蒸解法であっても良い。
【0018】本発明の酸素脱リグニン段は、木材パルプ
を通常処理する条件が選ばれるが、パルプ濃度は1〜2
0重量%であり、好ましくは5〜15%程度である。酸
素圧力は、高圧ほど効果は発揮されるが、耐圧容器の設
計を考慮すると、3〜7kg/cm2 の範囲が好まし
い。反応温度は70〜130℃、好ましくは80〜11
0℃である。反応時間は10〜120分、好ましくは2
0〜90分である。
【0019】用いられる酸素は、80%以上の酸素濃度
のものが好ましく、PSA(Pressure Swi
ng Adsorption)酸素、VSA(Vacu
mSwing Adsorption)酸素あるいは深
冷法酸素など工業的規模での使用が可能であるものなら
ば製造法は特に限定しない。酸素の添加は一回だけで
も、数度に分けて分割添加してもよく、種々の方法が適
用される。
【0020】本発明の過酸化水素段(以下P段ともい
う)の条件のうち、パルプ濃度は5〜15重量%であ
り、より好ましくは8〜12%である。反応温度は70
〜120℃であり、好ましくは50〜90℃の範囲であ
る。反応時間は過酸化水素が完全に消費されると白色度
が低下するので、過酸化水素の添加率に応じて、90〜
180分が好ましい。過酸化水素の添加率は、特に限定
するものではなく、残留するリグニン量あるいは目標と
する最終パルプの白色度によって、0.1〜5%の範囲
で選ぶことができるが、、好ましくは0.2〜2%であ
る。
【0021】このようにして漂白されるシーケンスとし
ては、酸素段をO、塩素段をC、アルカリ抽出をE、次
亜塩素酸塩段をH、二酸化塩素段をD、そして過酸化水
素段をPと略記すると、O−C−E−P−D(実施例
1)、O−C−E−P−D−P(実施例2)、O−C−
E−D−P−D、O−C−E/O−D−P(実施例
3)、O−C−E/O−P−D、O−D−P−D−P
(実施例4)などが挙げられ、その中から、適宜選ぶこ
とができる。なお漂白段間の(−)は洗浄段を示す。過
酸化水素段を用いることによって白色度が安定し、退色
しにくくなる理由は、退色に関与するセルロース中のカ
ルボニル基が過酸化水素によって、退色に関与しないカ
ルボキシル基に変換されるためと考えられる。
【0022】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。以下に示す実施例および
比較例において、%は特に断らない限り重量%を意味
し、またオイルバーム葉柄のクラフト蒸解の操作、酸素
脱リグニンの操作、漂白操作および漂白パルプの物理
的、光学的性質の測定は、特に示さない限り次の操作手
段によった。
【0023】クラフト蒸解の操作:マレーシア産オイル
パームの葉を除いた葉柄を、チッパーで処理し、風乾さ
せた後、磨砕ミルを用いて小片化し、さらに乾燥機で含
水率10%程度になるまで乾燥させた。このチップ36
0g(絶乾)を4リッター容オートクレーブに入れた
後、硫化度は25%、有効アルカリ添加率は24%(対
絶乾チップに対する重量%、Na2 O換算)、液比は8
にそれぞれ調整し、最高温度は160℃、最高温度での
保持時間はカッパー価が18以上、40以下になるよう
に2時間ないし6時間の範囲で調整することによって蒸
解した。蒸解されたチップを高濃度離解機により解繊
し、10カットのスクリーンプレートを有するラボ用フ
ラットスクリーンを用いて、未蒸解物を除去した。その
後パルプを遠心脱水し、該パルプを酸素脱リグニンおよ
び多段漂白工程に供した。
【0024】酸素脱リグニンの操作:遠心脱水したクラ
フトパルプ75g(絶乾)をビニール袋にとり、パルプ
濃度が10%(重量%)になるよう所定量の水を加え、
100℃の水浴中で予備加熱した後、カッパー価に比例
した(カッパー価×0.15%)量のアルカリを添加
し、充分攪拌後、100℃に保った2リッター攪拌羽付
きオートクレーブの中へパルプを入れ、オートクレーブ
内の空気を酸素で置換し、次いで酸素を5kg/cm2
になるまで圧入した。100℃で60分間反応させた
後、試料を取り出し、遠心機で、脱水洗浄した。
【0025】多段漂白の操作:酸素脱リグニン後のパル
プ30g(絶乾重量)をサラン袋に取り、イオン交換水
を加えて所定パルプ濃度に調節した後、対絶乾パルプあ
たり所定量の漂白薬品を添加し、よく攪拌した後、所定
温度で所定時間反応させた。反応終了後、試料を取り出
し、遠心機で脱水洗浄した。なお、漂白各段のパルプ濃
度、処理温度、反応時間については、表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】漂白パルプの物理的、光学的性質の測定:
漂白パルプの物理的、光学的性質の測定については、脱
水洗浄した漂白パルプをPFIミルでカナディアン・ス
タンダード・フリーネス360mlに叩解し、TAPP
I試験法T205os−71(JIS P 8209)
に従って手抄きした坪量60g/m2 のシートで測定し
た。なお、各々の試験法については、次の方法に従って
行った。
【0028】 (1)白色度 JIS P 8123 (2)カッパー価 JIS P 8211 (3)K価 JIS P 8206 (4)裂断長 JIS P 8113 (5)比破裂 JIS P 8112 (6)比引裂 JIS P 8116 (7)耐折強度 JIS P 8115
【0029】退色性の指標として、PC価を測定した。
PC価は漂白パルプシートを105℃の乾燥器で2時間
熱処理した後、白色度を測定し、以下の式から求めた。 PC価={(1−退色後白色度)2 /2×退色後白色度
−(1−退色前白色度)2 /2×退色前白色度}×10
【0030】実施例1 O−C−E−P−Dシーケンスによる漂白 オイルパーム葉柄をクラフト法で、カッパー価20.3
に蒸解した後、酸素脱リグニンを行いK価6.6にした
パルプに、Cl2 を対絶乾パルプあたり1%添加し、塩素
晒を行った後、イオン交換水で洗浄した。さらにNaOHを
0.6重量%添加してアルカリ抽出を行い、その後洗浄
し、H2O2を1.0%添加して過酸化水素晒を行った。再
度洗浄後ClO2を0.5%添加して二酸化塩素晒を行い、
最後に洗浄して完成漂白パルプを得た。以下の実施例と
比較例では、各段の反応終了後には常に洗浄を行うの
で、洗浄の記述は省略する。
【0031】実施例2 O−C−E−P−D−Pシーケンスによる漂白:実施例
1で使用した酸素脱リグニン後のパルプに、Cl2 を対絶
乾パルプあたり1重量%添加し、塩素晒を行った後、Na
OHを0.6%添加してアルカリ抽出を行った。その後H2
O2を0.5重量%添加して過酸化水素晒を行った後、次
いでClO2を0.3重量%添加して二酸化塩素晒を行い、
最後にH2O2を0.5%添加して過酸化水素晒を行った。
【0032】実施例3 O−C−E/O−D−Pシーケンスによる漂白:実施例
1で使用した酸素脱リグニン後のパルプに、Cl2 を対絶
乾パルプあたり1%添加し、塩素晒を行った後、NaOHを
0.6%添加し、同時に酸素で1.5kg/cm2まで加圧し
た状態で酸素併用のアルカリ抽出を行った。次いでClO2
を0.5%添加して二酸化塩素晒を行い、最後にH2O2
1.0%添加して過酸化水素晒を行った。
【0033】実施例4 O−D−P−D−Pシーケンスによる漂白:実施例1で
使用した酸素脱リグニン後のパルプに、ClO2を対絶乾パ
ルプあたり0.75%(ClO2として、重量%)添加し
て、二酸化塩素晒を行い、H2O2を1%添加して過酸化水
素晒を行う。さらにClO2を0.6%(ClO2として)添加
して二酸化塩素晒を行い、最後にH2O2を0.5%添加し
て過酸化水素晒を行った。
【0034】比較例1 C−E−H−D−Pシーケンスによる漂白:オイルパー
ム葉柄をクラフト法で、カッパー価20.3に蒸解した
後、Cl2 を対絶乾パルプあたり4.0%添加し、塩素晒
を行い、さらにNaOHを2.0%添加してアルカリ抽出を
行った。この後、NaClO を1.0%添加してハイポ晒を
行い、次にClO2を0.8%(ClO2として)添加して二酸
化塩素晒を行った後、最後にH2O2を0.8%添加して過
酸化水素晒を行った。
【0035】比較例2 C−E−H−D−Pシーケンスによる漂白:オイルパー
ム葉柄をクラフト法で、カッパー価15.5に蒸解した
後、Cl2 を対絶乾パルプあたり3.0%添加し、塩素晒
を行い、さらにNaOHを1.5%添加してアルカリ抽出を
行った。この後、NaClO を1.0%添加してハイポ晒を
行い、次にClO2を0.8%(ClO2として)添加して二酸
化塩素晒を行った後、最後にH2O2を0.8%添加して過
酸化水素晒を行った。
【0036】比較例3 O−C−E−H−Dシーケンスによる漂白:オイルパー
ム葉柄をクラフト法で、カッパー価42.2に蒸解した
後、酸素脱リグニン工程でK価を12.8にした。その
後Cl2 を対絶乾パルプあたり2.5%添加し、塩素晒を
行い、次にNaOHを1.5%添加してアルカリ抽出を行っ
た。さらに、NaClOを1.8%添加してハイポ晒を行
い、最後にClO2を0.8%(ClO2として)添加して二酸
化塩素晒を行った
【0037】比較例4 O−C−E−H−Dシーケンスによる漂白:オイルパー
ム葉柄をクラフト法で、カッパー価20.3に蒸解した
後、酸素脱リグニン工程でK価を6.6にした。その後
Cl2 を対絶乾パルプあたり1.0%添加し、塩素晒を行
い、次にNaOHを0.6%添加してアルカリ抽出を行っ
た。この後、NaClO を1.8%添加してハイポ晒を行
い、最後にClO2を0.8%(ClO2として)添加して二酸
化塩素晒を行った。
【0038】以上の実施例1〜4と比較例1〜4の結果
をまとめて表2に示す。またオイルパーム材からの晒パ
ルプの強度特性と比較するために、工場で製造された酸
素漂白工程を多段漂白の前に実施した国内産広葉樹晒ク
ラフトパルプ(参考例)の強度もあわせて表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2から明らかなように、蒸解段でのカッ
パー価をある一定の範囲にした後、酸素脱リグニン処理
を行い、さらに、過酸化水素段を含むシーケンスで漂白
する本発明の方法では、晒パルプの白色度は上質用の広
葉樹晒パルプ並であり、強度は高い。
【0041】これに対して、比較例1では、実施例に較
べて約倍の有効塩素薬品を添加しているにもかかわら
ず、白色度が低く、上質用のパルプとして用いることは
できない。また、比較例2では、蒸解工程で脱リグニン
度を高め、未晒パルプのカッパー価を下げることにより
未晒パルプ白色度はアップし、その結果晒パルプの白色
度は上昇したが、蒸解工程でカッパー価を下げたため
に、強度が大幅に低下している。
【0042】比較例3では、強度アップを目的に未晒カ
ッパー価を上げ、酸素脱リグニンの導入により、白色度
アップを図ったが、実施例より高い晒薬品添加率でも晒
パルプの白色度は低く、強度も低めである。さらに、比
較例4では、白色度はほぼ実施例並にはなるが、退色性
を評価するPC価は実施例に較べて高く、退色しやす
く、上質紙用のパルプとして使用できない。なお、オイ
ルパーム葉柄から得られたパルプの品質は、漂白シーケ
ンスによらず、参考例のL材に較べ、比引裂強度や裂断
長が20〜30%高く、特に耐折強度においては、約6
倍も優れていることが特徴的である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、オイル
パーム葉柄をクラフト蒸解してカッパー価を適切な範囲
に調整した未晒パルプを、酸素脱リグニン処理した後、
過酸化水素処理工程を含む漂白シーケンスで処理するこ
とによって、高白色度でかつ退色性に優れるパルプが製
造でき、その品質はL材と較べ、高いレベルにあるた
め、上質紙原料として適した高品質のパルプを提供でき
るという効果を奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オイルパーム葉柄部をクラフト蒸解して
    得られるパルプを、酸素脱リグニン処理した後、過酸化
    水素処理工程を含む多段漂白工程により処理することを
    特徴とするオイルパーム葉柄部由来のパルプの漂白方
    法。
  2. 【請求項2】 クラフト蒸解して得られるパルプのカッ
    パー価が、18以上、40以下であることを特徴する請
    求項1記載のオイルパーム葉柄部由来のパルプの漂白方
    法。
JP14007995A 1995-05-16 1995-05-16 オイルパーム葉柄部由来のパルプの漂白方法 Pending JPH08311789A (ja)

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JP2010090487A (ja) * 2008-10-03 2010-04-22 Crown Package Co Ltd 紙の製造方法、紙製容器の製造方法及び紙製容器
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