JPH08310944A - 肝疾患治療剤 - Google Patents

肝疾患治療剤

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JPH08310944A
JPH08310944A JP5313796A JP5313796A JPH08310944A JP H08310944 A JPH08310944 A JP H08310944A JP 5313796 A JP5313796 A JP 5313796A JP 5313796 A JP5313796 A JP 5313796A JP H08310944 A JPH08310944 A JP H08310944A
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formula
compounds
therapeutic agent
liver
ethanolamine
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Application number
JP5313796A
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English (en)
Inventor
Hajime Sasaki
一 佐々木
Atsushi Nemoto
淳 根本
Hisae Kume
久枝 粂
Hiroshi Tsuboi
洋 坪井
Kenji Mizumoto
憲司 水本
Naochika Takahashi
直躬 高橋
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Meiji Dairies Corp
Original Assignee
Meiji Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 はH又はホスホノ基、R2 はH又は-(CH2)
n-OR1、nは2〜5の整数を示す〕で表わされるアミノ
アルコール類又はその塩を有効成分とする肝疾患治療
剤。 【効果】 肝細胞増殖活性や肝障害修復効果を有し、急
性肝炎、慢性肝炎、肝硬変等の治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、急性肝炎、慢性肝
炎、肝硬変などの肝疾患治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】肝は再生力の旺盛な臓器であり、ラット
で70%以上の実質を削除すると残りの肝葉に増殖が起
こる。この肝再生は何らかの液性因子の関与によって行
われていると考えられていたが、長い間その実体は不明
であった。
【0003】1984年、中村らによって初めて成熟ラ
ット初代培養肝細胞のDNA合成を指標に、肝再生中の
ラット血液中に肝細胞増殖因子(Hepatocyte
Growth Factor、HGF)が見出された
(Nakamura,T.et al.:Bioche
m.Biophys.Res.Commun.,12
2:1450−1459,1984)。その後、HGF
cDNAのクローニングがなされ、その全一次構造が
決定された(Nakamura,T.et al.:N
ature,342:440−443,1989)。そ
の結果、HGFはこれまでにその構造が明らかにされて
いるいろいろな増殖因子、例えば、上皮細胞増殖因子
(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、神経細胞
増殖因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDG
F)、血管内皮細胞増殖因子(ECGF)などの何れと
もホモロジーのない新しい増殖因子であることが明らか
となった。
【0004】一方、高橋らは、ウシ小腸上皮粘膜組織由
来の抽出物を用いて、ラット肝細胞を長期培養し、培地
中で、肝細胞が分裂増殖し、整然とした細胞の集合・配
列を経て、肝組織類似の構造物を形成し、肝機能の一部
を新たに発現する事実を見出した(Takahash
i,N.et al.:In vitro Cellu
lar & Developmental Biolo
gy,25:365−372,1989)。この抽出物
に含まれる増殖因子の単離・精製及び構造決定が試みら
れたが現在までのところ成功していない。
【0005】中村らの発見した前記のHGFは、肝細胞
以外にも、腎尿細管上皮細胞、皮膚ケラチノサイトやメ
ラノサイト、肺胞II型上皮細胞、胃粘膜上皮細胞などの
初代培養に対して強力なマイトゲンとして作用すること
が明らかとなった。また、細胞運動を促すモトーゲンと
しての機能や、癌細胞の増殖を抑制する作用などが存在
することも明らかとなっている。
【0006】このようなHGFの多彩な生物活性を利用
した医薬品の研究開発が現在盛んに行われており、例え
ば、肝炎、腎障害の治療・予防や、肝手術後の肝再生促
進、創傷治療、抗癌剤などへのHGFの臨床応用が試み
られているが、現在まだ医薬品として実用化されたもの
は一つもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は従来公知のHGF以外の肝実質細胞を増殖させる因子
又は成分を見出し、これを医薬品に応用することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは前記
のウシ小腸上皮粘膜組織抽出液に着目し、肝細胞増殖促
進活性を指標として種々分画してそれぞれの画分につい
て検討してきたところ、in vitroにおいては、
高分子画分は単独で肝細胞増殖活性を示すが、低分子画
分は単独ではその活性が弱く、高分子画分の存在下で初
めて活性を示すものであった。ところが、in viv
oにおける肝細胞増殖活性を検討したところ、低分子画
分は単独投与で優れた活性を示すことが判明した。そし
て更に研究を進めたところ、その低分子画分の活性本体
がエタノールアミンであり、同様な活性が他のアルカノ
ールアミンにもあること、更に、これらのアルカノール
アミン類が種々の肝疾患モデルに対しても優れた治療作
用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】〔式中、R1 は水素原子又はホスホノ基を
示し、R2 は水素原子又は-(CH2)n-OR 1を示し、nは2
〜5の整数を示す〕で表わされるアミノアルコール類又
はその塩を有効成分とする肝疾患治療剤を提供するもの
である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるアミノアルコ
ール類(1)としては、モノエタノールアミン、モノプ
ロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノペンタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールア
ミン、ホスホエタノールアミン、ホスホプロパノールア
ミン等が挙げられるが、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、ホスホエタノールアミン及びモノプロパ
ノールアミンが好ましい。また、一般式(1)中、nは
2又は3がより好ましい。またアミノアルコール類
(1)の塩としては薬学上許容される塩であれば特に制
限されないが、塩酸塩、硫酸塩などの酸付加塩が好まし
い。
【0013】これらのアミノアルコール類(1)は、市
販品を直接用いてもよいし、自体公知の手段により化学
合成してもよい。またエタノールアミンは前記の如くウ
シ小腸上皮粘膜組織抽出液から分画した低分子画分をそ
のまま用いてもよい。
【0014】ここで、ウシ小腸上皮粘膜組織からエタノ
ールアミンを含む低分子画分を採取するには、例えばウ
シ小腸上皮粘膜組織からメタノールで抽出し、所望によ
り低温条件で沈澱する成分を除去すればよい。
【0015】アミノアルコール類(1)又はその塩は、
肝細胞増殖活性を有し、更に肝炎モデルや肝硬変モデル
において治療作用を有し、かつ安全性も高いので急性肝
炎、慢性肝炎、肝硬変等の治療剤、肝手術後の肝再生促
進剤として有用である。
【0016】アミノアルコール類(1)又はその塩は、
経口、非経口いずれの方法によっても投与することが可
能であり、本発明の肝疾患治療剤は、各種の剤型、例え
ば散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、アンプル
剤等の経口投与剤;皮下、筋肉又は静脈注射剤;坐剤等
とすることができる。
【0017】上記製剤化は、アミノアルコール類(1)
単独又はアミノアルコール類(1)と賦形剤、増量剤、
結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散
剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被覆剤等の薬学上
許容される担体を適宜組合わせて処方することにより製
造することができる。
【0018】斯くして得られた本発明肝疾患治療剤の投
与量は、症状、投与ルート等によっても異なるが、一般
的に成人において、アミノアルコール類(1)として1
0〜5,000mg/日、好ましくは50〜2,000mg
/日であり、これを通常1日3〜4回に分けて投与する
のが好適である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではな
い。
【0020】実施例1 高分子因子及び低分子因子粗抽
出液の調製法 水洗したウシ小腸より上皮粘膜組織を、剃刀を用いて筋
肉層より剥離採取し、−80℃で凍結保存した。
【0021】凍結保存組織500gあたり2lのメタノ
ールを加え室温に放置し解凍した後、ミキサーでホモジ
ェナイズし、4℃で約8時間放置した。ブフナーロート
で濾過し抽出液を得た。更にロート上に残った残渣に1
lのメタノールを加え、一晩放置後、同様にして抽出液
を採取し上記抽出液に加えた。抽出液中のメタノールを
蒸発させ抽出液を濃縮した。約50mlに濃縮した抽出液
に同量のメタノールを加え生じた沈澱を遠心分離(3,
000rpm、10分)により取り除いた。上清のメタノ
ールを蒸発させた後精製水を加え全量を50mlとした。
この抽出液を4℃に保存した。保存中に生じた沈澱物を
除いた後に、低分子因子粗抽出液を得た。当該抽出液は
低分子因子の精製出発材料に利用した。
【0022】低分子因子を抽出した後の残査100gに
リン酸緩衝生理食塩水(10mM リン酸ナトリウム pH
7.4、150mM NaCl)500mlを加え4℃で一
晩攪拌抽出した。4℃で遠心分離(10,000rpm
で30分)した上清を高分子因子抽出液として利用し
た。当該抽出液は小分けにし−20℃で保存した。
【0023】実施例2 肝細胞増殖活性を示す因子の分
離同定 ウシ小腸上皮組織由来の肝細胞活性を示す低分子因子の
分離・同定には、ラット初代培養肝細胞系を用いて、高
分子因子抽出液(1%)及びインスリン(10μg /m
l)、又はEGF(20ng/ml)及びインスリン(10
-7M)、の存在下で、精製途中のウシ小腸上皮組織粗抽
出液の画分を上記培養系に加え、3H−TdRのラット
肝細胞核内DNAへの取込み量をアッセイ系として用い
た。
【0024】ウシ小腸上皮粘膜組織粗抽出液10mlをS
ephacryl S100カラム(5×28cm、Ph
armacia)で分画し、15mlごとの画分を上記ア
ッセイ系に加え3H−TdRの取込み量を測定した。な
お、上記カラムは精製水で平衡化し、3ml/分の流速で
展開した。検出は紫外吸光度(280nm)によった。
【0025】Sephacryl S100ゲル濾過の
活性画分を集め、ロータリーエバポレーターを用いて6
0℃で10〜20倍に濃縮した。この濃縮液2mlをCa
pcel Pac C18逆相カラム(2×25cm、5
μm 粒子径、資生堂)に負荷した。溶出はアイソクラテ
ィック法で行い、緩衝液は3%アセトニトリルを含む2
0mMトリス塩酸(pH7.4)溶液を用いた。流速は4ml
/分、検出は紫外吸光度(220nm)によった。
【0026】しかしながら良い分離結果が得られなかっ
たため、各画分に含まれる活性成分のアミノ基に、疎水
性基のフェニルイソチオシアネート(phenylis
othiocyanate、PITC)を結合させPT
C誘導体を作製し、逆相HPLCカラムに吸着しやすく
した。すなわち、上記活性画分1mlに対し、エタノール
7ml、トリエチルアミン1ml、PITC 1mlを加え、
室温で30分反応させ、遠心濃縮機で乾燥した。これ
を、0.5mlのメタノールに溶解し1.5mlの精製水を
加え稀釈した。
【0027】ついで上記希釈液を0.45μm の濾過膜
で濾過した後、当該濾液を40℃に設定したカラムオー
ブン中に設置したC18逆相カラム(2×25cm、Hi
bar C18、RT250−20、Cica−Mer
ck、関東化学株式会社)に負荷した。カラムに吸着し
た成分を、A液(3%アセトニトリル、17mM酢酸ナト
リウム(pH5.4))及びB液(90%アセトニトリ
ル、17mM酢酸ナトリウム(pH5.4))を混合した溶
出液でアセトニトリルの濃度勾配を作り、溶出した。
【0028】PTC誘導体作製の前に、活性を測定した
際に、活性を認めた画分のみに存在する成分がPTC誘
導体として検出できたので、LC−MASSによりこの
成分の分子量を測定した。その結果、PITCが結合す
る以前の分子量は61であることが判明した。更にPT
C誘導体となった成分を分取し、これをNMRで構造解
析したところ、NH2CH2CH2OHの化学構造を持つ物質であ
ることが明らかとなった。
【0029】この物質はモノエタノールアミンであるた
め、市販のモノエタノールアミンを上記ラット初代培養
肝細胞系に加え3H−TdRの取込み活性を測定した。
その結果、高分子因子抽出液もしくはEGFの存在下で
ウシ小腸粘膜上皮粗抽出物から得られた低分子活性成分
が示すと同様の相乗的な活性促進効果を示した(図1、
なお図1中には他のアルカノールアミンの効果もあわせ
て示す。この結果、小腸上皮粘膜組織抽出液中の活性は
モノエタノールアミンによるものであることが明らかと
なった。
【0030】実施例3 肝再生実験 ラットSD雄 6−8週令(200g−250g)をす
べての実験に用いた。ラットは通常のえさ、水を与え飼
育した。70%肝切除は、方形葉・内側左葉(medi
an lobe)及び外側左葉(left later
al lobe)の切除によった。
【0031】肝再生実験は、以下に述べる方法で行っ
た。陰性コントロールとして、生理食塩液1ml/ラッ
ト、対照薬としてグリチルリチン(SNMC)2mg/ラ
ット、被験試料として和光特級モノエタノールアミンを
塩酸でpH6.84に調整し生理食塩液で希釈して100
mMモノエタノールアミンHCl(EA−HCl)とした
もの1ml/ラット及びウシ小腸上皮粘膜粗抽出液1ml/
ラットを使用した。
【0032】投与して22時間後BrdU(5−ブロモ
デオキシウリジン)10mg/ml(Sigma)、5−フ
ルオロ−2′−デオキシウリジン1mg/ml(Sigm
a)混合液をラットあたり2.5ml腹腔に注射し、2時
間後開腹して肝臓を取り出し、100%メタノールで一
晩固定した。エタノールで脱水後、キシレンで脱アルコ
ールし、58℃でパラフィン包埋した。4μmにパラフ
ィン切片を作りプレパラートにつけ以下のように免疫組
織化学を行った。
【0033】通常の方法で脱パラフィンを行い、内因性
のパーオキシダーゼをブロックするために0.3%H2
2(メタノール中)で30分(室温)処理し、H2Oで
2回、各3分洗浄した。次に2N HClで30分(室
温)処理し、0.1N Na 247で中和し(3分)
PBSで3回、各3分洗った。そしてこれ以後の反応
は、セルプロリフェレーションキット(Cell pr
oliferationkit;Amersham R
PN20)(GRATZNER,H.G.etal,E
xp.Cell.Res.,95,pp.88−94,
1975.、GRATZNER,H.G.,Scien
ce,218,pp.474−475,1982.)を
用いて行った。まずBrdUと室温で1時間反応させ、
PBSで3回各3分洗浄した。次に、ペルオキシダーゼ
抗マウスIgG2aと室温で30分反応させ、PBS
で3回、各3分洗浄した。最後に、DAB(3,3′−
ジアミノベンジジン)500mg/1lリン酸バッファー
で5分(室温)反応させた。その後、蒸留水で2回、各
3分洗い脱水封入した。
【0034】BrdUを取り込んだ細胞は茶色〜黒に核
が染まる。結果の集計は、総細胞数が4,000個以上
になるように写真撮影を行い、BrdUを取り込んだ核
数/総細胞数×100(ラベリングインデックス
(%))を求めた。尾状葉と右葉について同時に免疫組
織化学をおこなった。結果はほぼ同じであった。しかし
右葉ではときどき尾状葉よりも低い値を示すことがあっ
たので今回は尾状葉の結果を示した。結果を表1及び表
2に示す。
【0035】また、参考として表3に正常ラットにモノ
エタノールアミンを投与した場合のラベリングインデッ
クスを示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】実施例4 GOT・GPT試験 四塩化炭素肝障害マウスを用い、血清トランスアミナー
ゼ(GOT・GPT)の低下を指標に、エタノールアミ
ン(肝細胞増殖因子)の肝障害修復効果の検討を行っ
た。
【0040】(1)使用動物 ddY系雄マウスを5週令で購入し、予備飼育を3日間
行い、健康状態を確認後、使用した。 (2)群分け 購入した全マウスの体重を測定して体重により層別化
し、各層から各群の平均体重がほぼ等しくなるように動
物を抽出し、1群を10匹として群を構成した。群構成
は、投与開始日の投与前に実施した。 (3)四塩化炭素及びエタノールアミンの調製 ・四塩化炭素 四塩化炭素(和光純薬)の5mlをガラスバイアルに採
り、パナセート800(日本油脂製)を45ml加え、1
0%(v/v)溶液を調製した。 ・エタノールアミン 腹腔投与:エタノールアミン42μl を生理食塩水に溶
解し、塩酸でpH7とした後、全量50mlとした。この溶
液10mlを生理食塩水20mlで希釈した。経口投与:エ
タノールアミン2.0mlを生理食塩水に溶解し、塩酸で
pHを7とした後、全量50mlとした。この溶液2mlを生
理食塩水38mlで希釈した。 (4)投与方法及び投与量 1群の動物数は10匹とした。四塩化炭素投与24時間
前より水のみを与え、絶食させた。1ml/kg用量の10
%四塩化炭素/パナセート溶液を腹腔内投与した。四塩
化炭素投与24時間後に被験物質であるエタノールアミ
ン及び対照物である生理食塩水を投与した。腹腔投与の
場合は一回目のエタノールアミン投与から12時間後に
再度投与し、その6時間後に採血した。経口投与の場合
はエタノールアミン投与は一回のみとし、その24時間
後に採血した。エタノールアミンの腹腔内投与群では、
エタノールアミン換算で2.8mg/kgの用量と対照群を
設定した。経口投与群ではエタノールアミン換算で16
mg/kgの用量と対照群を設定した。以下に無処理対照
(Control)、腹腔内投与及び経口投与の群構成を、表
4及び表5にそれぞれ示す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】動物はジエチルエーテル(和光純薬製)で
麻酔をかけた後開腹し、1mlディスポーサブルシリンジ
(テルモ製)により腹大動脈より採血し、1.5mlエッ
ペンドルフチューブに分注、5000rpm、10分の遠
心分離操作により血清を得た。得られた血清中の血清ト
ランスアミナーゼ(GOT・GPT)の活性を測定し
た。測定はCobas Miraシステム(バクスター製)を用い
て行った。
【0044】(5)結果 得られた結果を図2〜図5に示す。これらの図から明ら
かなように、エタノールアミン腹腔内投与群(2.8mg
/kg)及び経口投与群(16mg/kg)において、GOT
及びGPTが、いずれも有意に低下することが認められ
た。また、肝病理組織像のネクローシス部分の面積が縮
小する傾向が認められた。
【0045】実施例5 肝硬変に対する効果 N−ニトロソジエチルアミンにより肝硬変を誘発したラ
ットを用い、病理組織標本の所見を指標として、エタノ
ールアミン(肝細胞増殖因子)の肝硬変治療効果を検討
した。
【0046】(1)使用動物 Sprague-Dawley系雄ラット(日本エスエルシー製)を5
週令で50匹購入し、予備飼育を5日間行い、健康状態
を確認後に使用した。 (2)群分け 購入した全ラットの体重を測定して体重により層別化
し、各層から各群の平均体重がほぼ等しくなるように動
物を30匹抽出して、1群を10匹として3群構成し
た。群構成は、投与開始日の投与前に実施した。 (3)N−ニトロソジエチルアミン及びエタノールアミ
ンの調製 ・N−ニトロソジエチルアミン N−ニトロソジエチルアミン溶液の5.32ml(比重
0.94のため5gに相当)をガラスピペットでメスシ
リンダーに取り、生理食塩水を加えて100mlに調製
後、2分間の超音波処理(Sine Sonic 150、形式U
A150、神明台工業製)により均一溶液にし、50mg
/ml溶液を調製した。 ・エタノールアミン 3.05mlのエタノールアミンを生理食塩水に溶解し、
塩酸で中和した後に生理食塩水で50mlとした。このエ
タノールアミン溶液10mlを生理食塩水36mlで希釈し
た。 (5)投与方法及び投与量 1群の動物数は10匹とした。N−ニトロソジエチルア
ミンの初回投与日をday 0として、day 0、7、14、
21及び28の午前中1回、100mg/2ml/kgのN−
ニトロソジエチルアミンを腹腔内投与した。エタノール
アミン投与は、N−ニトロソジエチルアミン投与1日後
(day 1,8,15,22)に、更にN−ニトロソジエ
チルアミン投与3日後(day 3,10,17,24,3
1)の午前中1回腹腔内投与した。対照としてエタノー
ルアミンの代わりに生理食塩水を投与した。エタノール
アミンの腹腔内投与群では、エタノールアミン塩基換算
で40mg/kgの用量と対照群を設定した。以下に無処理
(Control)及び腹腔内投与の群構成を表6に示す。
【0047】
【表6】
【0048】ラットはN−ニトロソジエチルアミン最終
投与後6日目に一夜絶食させ、7日目に解剖した。ジエ
チルエーテル(和光純薬製)で麻酔をかけた後、胸腹部
を開腹し、肝臓を摘出し、肉眼所見を得た後、重量を測
定、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した。24時間
以上の固定の後、常法によりパラフィン包埋し、薄切切
片を作製した。薄切切片はヘマトキシリン・エオジン染
色、マッソン染色を施し、肝硬変化の病理組織学的観察
に用いた。肝硬変化の指標として、肉眼観察では結節の
形成を、病理組織学的観察では明細胞性小増殖巣の形成
を用い、その変化を4段階に程度分けし、程度ごとの個
体数を結果として表わした。
【0049】(6)結果 病理組織学的所見で全群の全例に明細胞性小増殖巣(cl
ear cell foci)が認められた。表7にこれらの変化の
程度を軽度(+1)、中等度(+2)、高度(+3)、
極めて高度(+4)の4段階に評価し、各群10例中の
例数を示した。
【0050】
【表7】
【0051】明細胞性小増殖巣は、肝細胞の過形成病巣
で周囲実質を圧迫し、周縁は明瞭で、偽小葉又は小結節
とは直接的な相関はなく、NTP(The National Toxic
ology Program)の命名法によるfoci of cellular alte
rationに相当するものであった。この小増殖巣は、対照
群では全例が中程度から極めて高度であったが、被験物
質群では軽度が6例に認められ、対照群に比し被験物質
群は軽度であった。Dunnett法による統計検定により、
対照群と被験物質群との間で明細胞性小増殖巣の形成の
程度にP<0.05の危険率で有意差が認められた。
【0052】実施例6 急性毒性試験 モノエタノールアミン・HClを0.6g/mlの濃度に
生理食塩水に溶解した。pHは5N NaOHで7.0に
調整した。これより低濃度の溶液は生理食塩水で希釈し
調整した。マウス(ICR、雌、6週令、29g)に上
記溶液を240μl 腹腔注射し生存率を求めた。5.0
及び2.5g/kgの用量で投与したものは30分以内に
死亡したが、1.25g/kg以下の用量のものは6日後
も死亡することはなかった。結果を表8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】
【発明の効果】本発明の肝細胞増殖活性を示すアミノア
ルコール類(1)又はその塩は、哺乳動物小腸上皮粘膜
抽出液の高分子画分あるいはEGF存在下で肝細胞の増
殖を相乗的に促進し、低分子であり、生体成分でもある
ので、生体に投与した場合に抗原性、毒性等の問題が出
ない。生体に投与した場合は、アミノアルコール類
(1)又はその塩のみの投与で肝細胞分裂促進を誘導で
き、また肝障害修復効果を示すので、例えば急性肝炎、
慢性肝炎、肝硬変の治療や肝手術後の肝再生促進に有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種アミノアルコール類の肝細胞増殖活性を3
H−TdR取込み量(cpm)で示す。
【図2】四塩化炭素肝障害マウスへのエタノールアミン
腹腔投与によるGOT値の低下を示す。
【図3】四塩化炭素肝障害マウスへのエタノールアミン
腹腔投与によるGPT値の低下を示す。
【図4】四塩化炭素肝障害マウスへのエタノールアミン
経口投与によるGOT値の低下を示す。
【図5】四塩化炭素肝障害マウスへのエタノールアミン
経口投与によるGPT値の低下を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪井 洋 神奈川県小田原市成田540番地 明治乳業 株式会社ヘルスサイエンス研究所内 (72)発明者 水本 憲司 神奈川県小田原市成田540番地 明治乳業 株式会社ヘルスサイエンス研究所内 (72)発明者 高橋 直躬 東京都世田谷区桜上水5−2−9

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子又はホスホノ基を示し、R2
    水素原子又は-(CH2)n-OR 1を示し、nは2〜5の整数を
    示す〕で表わされるアミノアルコール類又はその塩を有
    効成分とする肝疾患治療剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)中、nが2又は3である請
    求項1記載の肝疾患治療剤。
  3. 【請求項3】 アミノアルコール類(1)が、モノエタ
    ノールアミン、ジエタノールアミン、ホスホエタノール
    アミン及びモノプロパノールアミンからなる群より選ば
    れた化合物である請求項1記載の肝疾患治療剤。
JP5313796A 1995-03-13 1996-03-11 肝疾患治療剤 Pending JPH08310944A (ja)

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