JPH0831014A - 光学情報記録媒体 - Google Patents

光学情報記録媒体

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JPH0831014A
JPH0831014A JP7052783A JP5278395A JPH0831014A JP H0831014 A JPH0831014 A JP H0831014A JP 7052783 A JP7052783 A JP 7052783A JP 5278395 A JP5278395 A JP 5278395A JP H0831014 A JPH0831014 A JP H0831014A
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JP7052783A
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Inventor
Masaru Suzuki
勝 鈴木
Tokuji Morishita
徳治 森下
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録感度を高め、記録消去特性に変動なくか
つ繰り返し特性に優れた相変化型光ディスクを提供する
ことを課題とする。 【構成】 透明基板から順次、第1の保護層、記録層、
第2の保護層および反射層が形成され、第1の保護層ま
たは第2の保護層の少なくとも一方の層が強誘電体材料
を含み、かつ強誘電体材料が金属の酸化物、窒化物、ふ
っ化物、及び硫化物の少なくとも一種と混合されるかま
たは記録層との間に第3の保護層が形成されることによ
って強誘電体材料のみが直接前記記録層に接していない
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学情報記録媒体に関
し、詳しくは光や熱などを用いて光学的に情報を高速か
つ高密度に記録、再生、消去することができる繰り返し
特性の優れた光学情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学記録層が結晶質と非晶質との間で可
逆的に相変化することを利用して情報の記録・消去を行
う、いわゆる相変化型光ディスクは、レーザービームの
パワーを変化させるだけで古い情報を消去しながら同時
に新たな情報を記録する(以下、オーバーライトとい
う)ことができるという利点を有している。
【0003】相変化型光ディスクの記録・消去の原理
は、記録膜にレンズにより絞り込まれた高いパワーのレ
ーザービームを照射し記録膜を融点以上に昇温させて一
旦溶融し(約500〜600℃)、続いてレーザービー
ムのパワーを下げることにより、記録膜は急速に冷却さ
れ非晶質状態になり、約1μm程度のマークが形成され
室温で安定な状態となる。これを一般的に記録と呼ぶ。
【0004】一方、このマークに弱いパワーのレーザー
ビームを照射し、融点より低い温度に昇温し非晶質のマ
ークを結晶化させる。一般的にこれを消去と呼んでい
る。このようなオーバーライト可能な相変化型光ディス
クの記録材料としては、In−Se系合金(Appl.
Phys.Lett.第50巻、667ページ、198
7年)やIn−Sb−Te(Appl.Phys.Le
tt.第50巻、16ページ、1987年)、Ge−T
e−Sb合金等のカルコゲン合金が主として用いられて
いる。
【0005】これらカルコゲン合金を用いて記録・消去
を行う場合は、記録・消去時の熱による基板の変形を防
止したり、光学記録層の酸化または変形を防止するため
に、光学記録層の両側もしくは一方に金属あるいは半金
属の酸化物、炭化物、フッ化物、硫化物、窒化物または
これらの混合物からなる保護層を設けている。特に記録
時には高いパワーのレーザービームが照射されるので、
ディスク基板またはその他の部分の熱損傷を防ぐため、
高い耐熱性を有する保護層が必要であった。
【0006】相変化型光ディスクは記録層に主としてT
e系を中心としたカルコゲン化合物の合金が使用されて
きたため、これらカルコゲン合金との密着性を保つため
に保護層にはカルコゲン系の保護層であるZnS(硫化
亜鉛)を主成分とした保護層が使用されている。従来、
ZnS等を保護層として用いる場合、オーバーライトに
よる記録・消去を繰り返すとZnSの結晶粒の粗大化が
生じ、耐熱性が不十分であった。
【0007】そこで、ZnSの耐熱性を高めるために、
ZnSにSiO2 等のガラス形成材料(酸化物等)を混
合させた保護層を使用し、ZnSの耐熱性を向上させて
いた(特開昭63−103453号公報)。このような
保護層を形成する方法として、一般的には蒸着法及びス
パッタ法が知られている。生産性を考慮すると蒸着法よ
りスパッタ法の方が優れているため、量産設備にはスパ
ッタ法が多く利用されている。スパッタ法で2種以上の
混合物からなる膜を形成する方法として、構成する物質
を各々のターゲットからスパッタして膜を形成する共ス
パッタ法、または各々の物質を粉末混合したターゲット
からスパッタする方法がよく利用されている。
【0008】一方、薄膜の温度上昇による透過率の上昇
を用いて、読み取りスポットを小さくし、再生機能を向
上させる目的で、強誘電体であるPLZTを基板側の保
護層に使用した例(特開平5−334680号公報)が
ある。しかし、このような材料はカルコゲン材料からな
る記録層との密着性がZnS系等の材料より劣るため、
剥離等の問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
はカルコゲン材料からなる記録材料と耐熱性に優れたZ
nSとSiO2 を混合させた保護層を用いて、各層の膜
厚を最適化することで、記録・消去特性を満足させ、か
つ繰り返し特性に優れた媒体を作成しようとしている。
【0010】しかし、SiO2 は後述の表1に示すよう
に熱伝導率が高いため、記録感度の観点からは、好まし
い材料とはいえなかった。また、特開平3−26362
6号公報に記載されているように、保護層としてSiO
2 等の材料が使用されているものがあるが、SiO2
屈折率が1.54と小さいため、光学的な干渉を利用し
ようとすると膜厚の自由度が少ないといった問題があっ
た。
【0011】さらに、特に繰り返し特性において、多数
回の急速な加熱・冷却が繰り返されることにより、保護
層自身が変形し、記録膜へダメージを与え、繰り返し特
性が劣化するといった問題があった。すなわち、記録層
の相変化特性を利用した光学情報記録媒体における繰り
返し特性の劣化を考える上で重要な点として、記録層両
側の保護層の熱変形がある。これは記録の際に記録層が
溶融するため、記録層に固体−液体間の体積膨張を生じ
たり、保護層が熱膨張するために誘発すると考えられて
いる。
【0012】この熱変形は、記録膜が溶融している間に
生じるため、記録層をディスクの回転方向に移動させる
ことになり、繰り返し特性の劣化につながるとされてい
る。この時、保護層の変形を防ぐためには、 1.変形に寄与する力をなくす。 2.変形に耐えられる膜を形成する。 の2点が考えられるが、前者の立場に立った考えに基づ
くと、保護層材料に要求される特性は、 (1)変形強度の高い材料 (2)耐熱性が高い材料 (3)化学的に安定であること (4)使用波長域で透明であること の4点が考慮されている。
【0013】さらに記録・消去の繰り返し特性を考慮す
ると上記の条件に加え保護層の熱伝導率の小さいものが
好ましい。なぜならレーザービームが記録膜に照射され
加熱・昇温する際、保護層の熱伝導率が小さいものの方
がより低いパワーで済むからである。また記録層と反射
層で挟まれた第2の保護層の膜厚を薄くすることによ
り、熱が早く反射層へ逃げて、記録・消去による膜への
ダメージを小さくすることができる。従って、第2の保
護層は膜厚が薄く、かつ保護層の熱伝導率の小さいもの
が好ましい。
【0014】さらに、記録層への密着性がよく、剥離し
にくい材料や構造である必要がある。本発明は、以上の
点に鑑み、記録感度を高め、記録消去特性に変動がな
く、かつ繰り返し特性に優れた相変化型光ディスクを提
供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱伝導率
が低く、耐熱性に優れた材料を鋭意検討した結果、従来
用いられてきたZnSとSiO2 の混合させた保護層の
代わりに、強誘電体材料に金属の酸化物、窒化物、ふっ
化物または硫化物の少なくとも一種とを混合した材料を
用いるか、または保護層を二層化し、一方の保護層に強
誘電体を含む部材を用いることで改善できることがわか
った。
【0016】つまり、上記要求される4点の特性に加
え、保護層の熱伝導率を考慮し、ディスクの記録・消去
特性に影響を及ぼさないものとして種々の材料を検討し
た結果、BaTiO3 、SrTiO3 、KH2 PO4
PbTiO3 、PbNb2 6、LiNbO3 、LiT
aO3 、(Sr、Ba)Nb2 6 、PbZrO3 −P
bTiO3 、CaTiO3 、(Ca、Sr)TiO3
NaKC4 4 6 ・4H2 O等に代表される強誘電体
の材料が適切であることが分かった。これら材料と金属
のカルコゲン化合物の一つであるZnSの熱伝導率の違
いを表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】薄膜にした際に上記の特性をそのまま再現
することは難しい場合もあるが、相対的な関係は薄膜に
なっても維持されていると思われる。また、強誘電体材
料に金属の酸化物、窒化物、ふっ化物または硫化物の少
なくとも一種とを混合するか、保護層を二層化し、強誘
電体層と記録層の間にZnS等の層を設けることによ
り、記録層への密着性にも優れた構造となることがわか
った。
【0019】すなわち、請求項1に係る発明は、基板上
にレーザービームを照射することにより、その光学定数
を変化させ、情報を記録および消去する記録層を有する
光学情報記録媒体において、透明基板から順次、第1の
保護層、記録層、第2の保護層および反射層が形成さ
れ、前記第1の保護層または第2の保護層の少なくとも
一方の層が強誘電体材料を含み、かつ前記強誘電体材料
が金属の酸化物、窒化物、ふっ化物、及び硫化物の少な
くとも一種と混合されるかまたは前記記録層との間に第
3の保護層が形成されることによって前記強誘電体材料
のみが直接前記記録層に接していないことを特徴とす
る。
【0020】また、請求項2に係る発明は、前記強誘電
体材料を含む保護層が金属のカルコゲン化合物と強誘電
体材料の混合物からなることを特徴とする。さらに、請
求項3に係る発明は、前記金属のカルコゲン化合物がZ
nSであり、前記強誘電体材料がBaTiO3 、SrT
iO3 のいずれかであることを特徴とする。
【0021】さらに、請求項4に係る発明は、前記第1
の保護層がZnSを主成分とする材料であり、かつ前記
第2の保護層がBaTiO3 、SrTiO3 のいずれか
と酸化物、窒化物、ふっ化物、及び硫化物の少なくとも
一種とを混合した材料からなることを特徴とする。さら
に、請求項5に係る発明は、前記第1または第2の保護
層の少なくとも一方が強誘電体を含む材料からなり、前
記第3の保護層及び前記強誘電体を含まない第1または
第2の保護層の部材としてZnSを主成分とする材料か
らなることを特徴とする。
【0022】さらに、請求項6に係る発明は、前記強誘
電体を含む保護層はBaTiO3 、SrTiO3 のいず
れかと、酸化物、窒化物、ふっ化物、及び硫化物の少な
くとも一種とを混合した材料であることを特徴とする。
さらに、請求項7に係る発明は、前記第1および第3の
保護層がZnSを主成分とする部材からなり、前記第2
の保護層がBaTiO3 、SrTiO3 のいずれかであ
ることを特徴とする。
【0023】さらに、請求項8に係る発明は、前記記録
層の部材としてTe、Ge、Sbを主成分とした部材を
用いることを特徴とする。強誘電体の耐熱性を高めるた
めに混合させる材料として、種々の材料が混合可能であ
る。例えば、強誘電体に、SiO2 、Ta2 5 、Zr
2 、TiO2 等の酸化物、Si3 4 、AlN等の窒
化物、ZnS、SmS、SrS、CeS等の硫化物、S
iCやC等の炭化物及びMgF2 等のフッ化物などを混
合させることも適用可能である。
【0024】また、この中でも記録層にTe系カルコゲ
ン化合物を適用した場合、金属のカルコゲン化合物、特
にZnS、ZnSe、ZnTe等がより好ましく、カル
コゲン化合物の保護層の特性を生かしつつ保護層の熱伝
導率を下げるため、これらカルコゲン化合物と強誘電体
の混合物が好ましい。本発明の光学情報記録媒体は、透
明基板から順次、第1の保護層、記録層、第2の保護層
および反射層を形成した層構成、いわゆる4層構造を採
用することができ、その構造を図1に示す。
【0025】このような構造とした場合、記録感度およ
び繰り返し特性に大きく影響するのは、第1の保護層お
よび第2の保護層の熱伝導率である。従って、第1の保
護層あるいは第2の保護層を所望の熱伝導率にするた
め、カルコゲン化合物等と強誘電体と混合させる場合
は、その混合比は目的とするディスクの特性に従って変
化させればよい。例えばカルコゲン化合物にZnSを用
い、強誘電体としてBaTiO3 を用いた場合、混合量
を次式(ZnS)1−x(BaTiO3 )x(xは、モ
ル%)で表した時、xは5mol%〜90mol%の範
囲が好ましい。さらに好ましくは10mol%〜60m
ol%の範囲である。
【0026】このような混合比において、第1の保護層
の膜厚は50nm以上600nm以下が好ましい。生産性を
考慮すると100nm以上400nm以下がさらに好まし
い。また第2の保護層の膜厚は2nm以上100nm以下が
好ましい。さらに本発明の目的である急冷構造を考慮す
ると、2nm以上50nm以下が好ましい。また、生産性を
考慮するとZnSにSiO2 を混合させた系の方が成膜
速度が速いので、膜厚の厚い第1の保護層にZnSを主
成分としたもの、例えばZnSにSiO2 を混合させた
ものを用い、一般的に第1の保護層より薄い第2の保護
層には本発明に係るカルコゲン化合物と強誘電体の混合
物を用いることもできる。
【0027】さらに、本発明の光学情報記録媒体は、透
明基板から順次、第1の保護層、記録層、第3の保護
層、第2の保護層および反射層を形成した層構造、いわ
ゆる5層構造を採用することもでき、この構造を図2に
示す。このような構成とした場合、第2の保護層として
強誘電体を用いた場合でも繰り返し特性が向上するが、
理由として、 1.強誘電体は一般に屈折率が高いため膜厚が薄くても
同じ光学長が得られる。従って、第2の保護層に屈折率
の小さい材料を使用した場合に比べて第2及び第3の保
護層の合算した膜厚が薄くできる、即ち急冷構造がとれ
る。
【0028】2.強誘電体材料の機械的特性(強度、硬
度、曲げ強さ等)が、繰り返し特性を向上されるのに適
したものになっている。等が考えられる。 以上のことから、第2の保護層と第3の保護層の膜厚は
所望の光学特性および感度が得られる程度に形成すれば
よい。一般的に、強誘電体材料は屈折率が高いので初期
の記録・消去特性の観点から第2の保護層を厚くしたほ
うが良い。従って繰り返し特性の向上と両立させるため
には、第3の保護層の膜厚は1nm以上50nm以下が
良く、さらに1nm以上20nm以下であればより好適
である。
【0029】また、第2の保護層の膜厚は記録感度とそ
の光学特性の観点から信号振幅が大きくなるように定め
れば良く、一般には1nm以上300nm以下が望まし
く、本発明で確認した線速11m/sで記録感度が22
mW以下で波長830nmの半導体レーザーを使用した
場合は、10nm〜50nmの範囲が好適である。さら
に、第2の保護層は記録層と直接接していないため、B
aTiO3 やSrTiO3 をそのまま使用することも可
能であるが、膜の強度や対環境安定性をさらに高めた
り、屈折率などの光学定数をコントロールするために、
強誘電体にSiO2 、Ta2 5 、ZrO2 、TiO2
等の酸化物、Si3 4 、AlN等の窒化物、ZnS、
SmS、SrS、CeS等の硫化物、SiCやC等の炭
化物及びMgF2 等のフッ化物などを混合させてもよ
い。
【0030】また、本発明に係る5層構造を採用した場
合、強誘電体を含まない保護層の材料としては、ZnS
を主成分とし、それにSiO2 、Ta2 5 、ZrO2
等の酸化物、Si3 4 、AlN等の窒化物、Sm2
3 、SrS、CeS等の硫化物、及びMgF2 等のフッ
化物、SiC、TiCやC等の炭化物、またはこれらの
混合物などを添加したものが適用可能である。
【0031】また、本発明に適する記録層材料として
は、Sb−Te−Ge、In−Sb−Te、In−Se
−Tl、Ge−Te−Sn−Au、Sb−Te−Ge−
Pd等のTeまたはSeをベースとする合金が好まし
い。中でもSb−Te−Ge合金またはSb−Te−G
e合金をベースにした合金系は、その組成により種々の
結晶化速度になるため、広い範囲のディスク線速度をカ
バーするために、本発明に係るディスク層構成における
保護層の膜厚の変化量を大きく変えることができ、記録
層として使用するのに好適である。
【0032】本発明に好適な反射層材料としては、A
l、Cr、Ni、Au、Ti、HfもしくはPd等の金
属、またはこれらの合金を用いれば良い。例えばAl−
Ti合金、Al−Cr合金、Al−Si合金、Al−H
f合金、Al−Ta合金、Al−Pd合金、Al−Si
−Mn合金等の合金系が好ましい。さらに、反射層の上
に膜の保護と強化のために、有機材料を塗布することが
好ましい。この材料としてUV硬化樹脂(ウレタン系、
アクリル系、シリコン系、ポリエステル系)またはホッ
トメルト系の接着材等を用いることができる。
【0033】また、本発明の光学情報記録媒体における
透明基板としては、従来光ディスクの基板として慣用さ
れているものを用いることができるが、光学的特性が良
好で機械的強度が大きく、かつ寸法安定性に優れるポリ
カーボネート、ガラスなどが好適である。これら保護
層、記録層、反射層材料を基板上に形成する方法とし
て、真空蒸着、スパッタ法、CVD法等いずれでも良
く、形成方法には制限がない。
【0034】また、例えば保護層をスパッタ法で形成す
る場合、ターゲットが上記の材料の少なくとも1種から
なるもので、例えばBaTiやSrTiの合金を用いた
ターゲットを使い、成膜中に酸素を導入することで基板
上で反応させ形成するような方法を用いても良い。また
カルコゲン化合物と強誘電体を混合したターゲットを用
いて形成しても良く本発明は作成方法によりなんら制限
を受けるものではない。
【0035】
【作用】本発明によれば、第1の保護層または第2の保
護層の少なくとも一方の層が強誘電体材料を含み、かつ
強誘電体材料が金属の酸化物、窒化物、ふっ化物、及び
硫化物の少なくとも一種と混合されるかまたは前記記録
層との間に第3の保護層が形成されることによって強誘
電体材料のみが直接記録層に接していないため、従来使
用されてきた保護層に比べ、記録感度が高く、かつ膜の
変形が小さくなり、記録消去の繰り返しに対して劣化を
防ぐことができ、広いパワー領域のレーザービームにお
いて安定な繰り返し特性を得ることができる。
【0036】
【実施例】以下本発明を詳細に説明する。
【0037】
【実施例1】以下に示す手順で図1に示すような光学情
報記録媒体を形成した。まず、予めピッチ1.6μmの
溝が設けられている厚さ1.2mmのポリカーボネート
のディスク基板1の上にZnS+BaTiO3 からなる
ターゲットを用いてRFスパッタリング法により180
nmの第1の保護層2を形成した。
【0038】次にこの保護層2の上に、記録層3として
Sb−Te−Ge系合金を25nm成膜した。次に、Z
nS+BaTiO3 からなる第2の保護層4を第1の保
護層と同様の方法によって20nm形成し、さらにAl
合金の反射層6を200nm形成した。この上にUV硬
化樹脂7をスピンコート法により10μm塗布しUV硬
化させた。
【0039】このディスクを作成する際、第1の保護層
2および第2保護層4について、ZnSとBaTiO3
の混合比を表2に示すように種々変化させたターゲット
を作成し膜を形成した。なお、比較例としてZnS(8
0mol%)+SiO2 (20mol%)の場合を作成
した。
【0040】
【表2】
【0041】このようにして作成されたディスクを回転
しながら保護層のZnSとBaTiO3 の混合比と記録
感度の関係を測定した。レーザー光の波長は830nm
である。線速はおよそ11m/sとし、記録パターンは
1.5Tパターンをオーバーライトモードで100回記
録した。レーザービームの発光強度(レーザービームの
パワー)は消去時のパワーを一定(PB =9mW)にし
て、記録時のパワ−を変化させ保護層のZnSとBaT
iO3 の混合比と記録感度の関係を調べた。評価指標と
して、C/N比(信号振幅対ノイズ比)を用い、記録パ
ワーを変化させて、C/N比が40dBを越えた最小パ
ワーをもって記録感度と定義した。つまりこの値が小さ
い程、記録感度が高いことを示している。
【0042】表2に混合比と記録感度の関係を示す。B
aTiO3 の混合比が20mol%以上のサンプルは、
ZnS(80mol%)+SiO2 (20mol%)の
サンプルより良い記録感度を示し、本発明者らが狙った
ように、保護層の熱伝導率が低くなり、記録感度が向上
していることが分かる。次に、保護層の材料を変えて、
基板を回転しながら動的にディスクの繰り返し特性を測
定した。レーザー光の波長は830nmである。線速は
およそ11m/sとし、記録パターンは1.5Tパター
ンと4.0Tパターンを交互にしたオーバーライトモー
ドで記録した。レーザービームの発光強度(レーザービ
ームのパワー)は、記録時のパワーと消去時のパワーの
比(PP /PB )が一定(PP =18mW、PB =9m
W)になるようにして評価した。
【0043】評価指標として、キャリアーレベルとノイ
ズレベルの変化を繰り返し回数の関数として表した。す
なわち、このキャリアーレベルとノイズレベルの差がC
/N比になり、差が大きい方が信号品質として高いこと
を示している。この評価結果を図3〜図6に示す。10
6 回繰り返した後のC/N比は、図6に示す従来のZn
S+SiO2 を用いたサンプルと比較すると、強誘電体
を混合した保護層を使用した図3〜図5に示す本発明の
サンプルの方が低下が押さえられている。例えば、10
6 回後では、BaTiO3 (30mol%)のサンプル
はZnS+SiO2 を用いた系に比べ、C/Nで8dB
以上、信号振幅にして2.5倍改善されていることがわ
かる。
【0044】
【実施例2】以下に示す手順で図1に示すような光学情
報記録媒体を形成した。まず、予め1.6μmのピッチ
の溝が設けられている厚さ1.2mmのポリカーボネー
トのディスク基板1上に、ZnS(80mol%)+S
iO2 (20mol%)からなるターゲットを用い、R
Fスパッタリング法により180nmの第1の保護層2
を形成した。
【0045】次にこの保護層2の上に、記録層3として
Sb−Te−Ge系合金を25nm成膜した。次に、Z
nS(70mol%)+BaTiO3 (30mol%)
よりなる第2の保護層4を第1の保護層2と同様の方法
によって20nm形成した。次にAl合金の反射層6を
200nm形成した。この上にUV硬化樹脂7をスピン
コート法により10μm塗布しUV硬化させた。
【0046】このようにして作成されたディスクを基板
を回転しながらディスクの繰り返し特性を動的に測定し
た。レーザー光の波長は830nmである。線速はおよ
そ11m/sとし、記録パターンは1.5Tパターンお
よび4.0Tパターンを交互にしたオーバーライトモー
ドで記録した。レーザービームの発光強度(レーザービ
ームのパワー)は、記録時のパワーと消去時のパワーの
比(PP /PB )を一定(PP =18mW、PB =9m
W)にして評価した。
【0047】評価指標として、実施例1と同様にキャリ
アーレベルとノイズレベルの変化を繰り返し回数の関数
として表した。その評価結果を図7に示す。106 回繰
り返した後のC/N比の値を比べると、従来のZnS+
SiO2 を用いたサンプルに比較して、第2の保護層に
ZnS(70mol%)+BaTiO3 (30mol
%)を使用したサンプルの方がC/N比の低下が押さえ
られている。106 回後では、ZnS+ SiO2 を用い
たサンプル(実施例1の比較例)よりC/Nで5dB以
上、信号振幅にして1.7倍改善されていることがわか
る。
【0048】このように、第1の保護層にZnS+20
mol%SiO2 を用い、第2の保護層にZnS+Ba
TiO3 を用いた媒体においても、繰り返し特性が向上
していることが分かった。
【0049】
【実施例3】以下に示す手順で図2に示すような光学情
報記録媒体を形成した。まず、予め1.6μmのピッチ
の溝が設けられている厚さ1.2mmのポリカーボネー
トのディスク基板11上にZnS(80mol%)+S
iO2 (20mol%)よりなるターゲットからRFス
パッタリング法により180nmの第1の保護層12を
形成した。
【0050】次に、この保護層12の上に記録層13と
してSb−Te−Ge系合金を25nm成膜した。次
に、ZnS(80mol%)+SiO2 (20mol
%)よりなる第3の保護層14を第1の保護層12と同
様の方法によって10nm形成した。この上に第2の保
護層15としてBaTiO3 の保護層を20nm形成し
たもの、SrTiO3 の保護層を20nm形成したも
の、及び比較例としてZnS(80mol%)+SiO
2 (20mol%)の保護層を20nm形成したものを
計3種作成した。
【0051】さらにこれらの上に、Al合金の反射層1
6を200nm形成した。次に、この上にUV硬化樹脂
17をスピンコート法により10μm塗布しUV硬化さ
せた。またサンプルの構造の詳細は表3にまとめた。
【0052】
【表3】
【0053】このようにして形成されたサンプルを基板
を回転しながら動的に測定した。レーザー光の波長は8
30nmである。線速はおよそ11m/sとし、記録パ
ターンは1.5Tパターンと4.0Tパターンを交互に
したオーバーライトモードで記録した。レーザービーム
の発光強度(レーザービームのパワー)は、記録時のパ
ワーと消去時のパワーの比(PP /PB )を一定(PP
=20mW、PB =9mW)にして評価した。
【0054】評価指標として、キャリアーレベルとノイ
ズレベルの変化を繰り返し回数の関数として表した。こ
の評価結果を図8に示す。従来のZnS+SiO2 を用
いたサンプルと比較すると、105 回繰り返した後のノ
イズレベルの増加はいずれも大差ないが、キャリア−レ
ベルを比べると、従来のZnS+SiO2 を用いたサン
プルに比べ、強誘電体( BaTiO3 、SrTiO3
を使用したサンプルの方が、キャリアーレベルの低下が
押さえられている。105 回後でBaTiO3 、SrT
iO3 とも5dB以上、信号振幅にして1.7倍、改善
されていることがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、第1の保護層または第
2の保護層の少なくとも一方の層が強誘電体材料を含
み、かつ強誘電体材料が金属の酸化物、窒化物、ふっ化
物、及び硫化物の少なくとも一種と混合されるかまたは
前記記録層との間に第3の保護層が形成されることによ
って強誘電体材料のみが直接記録層に接していないた
め、記録感度を向上でき、記録・消去に伴う膜の変形が
防止され、繰り返し特性が改善し、記録データの信頼性
を高め、信号品質に優れた光学情報記録媒体となること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における4層構造の光学情報記録媒体の
実施例を示す断面図である。
【図2】本発明における5層構造の光学情報記録媒体の
実施例を示す断面図である。
【図3】実施例1において第1および第2の保護層がZ
nS(70mol%)+BaTiO3 (30mol%)
からなる場合の繰り返し回数とキャリアー及びノイズ変
化の関係を示した図である。
【図4】実施例1において第1および第2の保護層がZ
nS(50mol%)+BaTiO3 (50mol%)
からなる場合の繰り返し回数とキャリアー及びノイズ変
化の関係を示した図である。
【図5】実施例1において第1および第2の保護層がZ
nS(30mol%)+BaTiO3 (70mol%)
からなる場合の繰り返し回数とキャリアー及びノイズ変
化の関係を示した図である。
【図6】従来の第1および第2の保護層がZnS(80
mol%)+SiO2 (20mol%)からなる場合の
繰り返し回数とキャリアー及びノイズ変化の関係を示し
た図である。
【図7】実施例2における第1の保護層がZnS(80
mol%)+SiO2 (20mol%)であり、第2の
保護層がZnS(70mol%)+BaTiO3 (30
mol%)である場合の繰り返し回数とキャリアー及び
ノイズ変化の関係を示した図である。
【図8】実施例3における第1および第3の保護層がZ
nS(80mol%)+SiO 2 (20mol%)であ
り、第2の保護層がSrTiO3 、BaTiO3 、Zn
S+SiO2 (比較例)である場合の繰り返し回数とキ
ャリアー及びノイズ変化の関係を示した図である。
【符号の説明】
1、11 ディスク基板 2、12 第1の保護層 3、13 記録層 4、15 第2の保護層 6、16 反射層 7、17 UV硬化樹脂 14 第3の保護層 8 入射光

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にレーザービームを照射すること
    により、その光学定数を変化させ、情報を記録および消
    去する記録層を有する光学情報記録媒体において、 透明基板から順次、第1の保護層、記録層、第2の保護
    層および反射層が形成され、前記第1の保護層または第
    2の保護層の少なくとも一方の層が強誘電体材料を含
    み、 かつ前記強誘電体材料が金属の酸化物、窒化物、ふっ化
    物、及び硫化物の少なくとも一種と混合されるかまたは
    前記記録層との間に第3の保護層が形成されることによ
    って前記強誘電体材料のみが直接前記記録層に接してい
    ないことを特徴とする光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記強誘電体材料を含む保護層が金属の
    カルコゲン化合物と強誘電体材料の混合物からなること
    を特徴とする請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記金属のカルコゲン化合物がZnSで
    あり、前記強誘電体材料がBaTiO3 、SrTiO3
    のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の光
    学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記第1の保護層がZnSを主成分とす
    る材料であり、かつ前記第2の保護層がBaTiO3
    SrTiO3 のいずれかと酸化物、窒化物、ふっ化物、
    及び硫化物の少なくとも一種とを混合した材料からなる
    ことを特徴とする請求項3に記載の光学情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記第1または第2の保護層の少なくと
    も一方が強誘電体を含む材料からなり、前記第3の保護
    層及び前記強誘電体を含まない第1または第2の保護層
    の部材としてZnSを主成分とする材料からなることを
    特徴とする請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記強誘電体を含む保護層はBaTiO
    3 、SrTiO3 のいずれかと、酸化物、窒化物、ふっ
    化物、及び硫化物の少なくとも一種とを混合した材料で
    あることを特徴とする請求項5に記載の光学情報記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 前記第1および第3の保護層がZnSを
    主成分とする部材からなり、前記第2の保護層がBaT
    iO3 、SrTiO3 のいずれかであることを特徴とす
    る請求項6に記載の光学情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記記録層の部材としてTe、Ge、S
    bを主成分とした部材を用いることを特徴とする請求項
    1乃至7に記載の光学情報記録媒体
JP7052783A 1994-05-10 1995-03-13 光学情報記録媒体 Withdrawn JPH0831014A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000021081A1 (fr) * 1998-10-07 2000-04-13 Hitachi, Ltd. Support d'enregistrement d'information et dispositif d'enregistrement d'information
US6117511A (en) * 1997-06-03 2000-09-12 Nec Corporation Optical recording media

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