JPH08309761A - 複層成形品成形用金型及び複層成形品の製造方法 - Google Patents

複層成形品成形用金型及び複層成形品の製造方法

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JPH08309761A
JPH08309761A JP11734295A JP11734295A JPH08309761A JP H08309761 A JPH08309761 A JP H08309761A JP 11734295 A JP11734295 A JP 11734295A JP 11734295 A JP11734295 A JP 11734295A JP H08309761 A JPH08309761 A JP H08309761A
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JP11734295A
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English (en)
Inventor
Motohiro Kojima
基裕 小嶋
Kiyohiro Ozaki
清博 尾崎
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Kojima Industries Corp
Original Assignee
Kojima Press Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面の色や材質(特性)等が部分的に異な
り、しかも表面の全面にシボ等の所定の凹凸模様が良好
に付与せしめられた複層成形品を成形し得る金型の構造
と、そのような複層成形品の有利な製造方法とを、提供
すること。 【構成】 固定型12と可動型14との間に形成される
成形キャビティを、表面にシボ等の所定の凹凸模様が付
与された基材層32を配置せしめる基材層配置空間20
と、該基材層32の表面の一部に表皮層38を成形する
ための表皮層成形空間22と、該基材層配置空間20に
該基材層32が配置せしめられた状態下で、該基材層3
2の表面とそれに対向する固定型12若しくは可動型1
4との間に所定の隙間36を形成する隙間形成空間24
とにて構成すると共に、該基材層32を与える材料より
も軟らかい軟質材料にて構成され、該基材層32の表面
に当接して、それら表皮層成形空間22と隙間形成空間
24とを液密に仕切る仕切部材30を、該隙間形成空間
24を形成する固定型12若しくは可動型14に設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、表面にシボ等の所定の凹凸模様
が付与された基材層に対して、表皮層が一体的に積層さ
れて成る複層成形品の成形用金型と、そのような複層成
形品の有利な製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、車両用内装部品等は、所定の合
成樹脂材料からなる基材層に対して表皮層が一体的に積
層された複層成形品にて、構成されている。例えば、自
動車のコンソールボックスやインストルメントパネル等
は、硬質ウレタン製の基材層の表面上に、ポリ塩化ビニ
ル製の表皮層が、発泡ポリ塩化ビニル製の発泡層を介し
て、一体的に積層形成されて、構成されている。
【0003】そして、そのような複層成形品は、通常、
射出成形等により所定形状を有する基材層を成形する一
方、スラッシュ成形や真空成形等を行なって表皮層と発
泡層とを成形すると共に、それら表皮層と発泡層と基材
層とを互いに一体的に密着せしめることにより、製造さ
れている。
【0004】また、特に、自動車の内装部品等、比較的
高度な意匠性が要求される車両用内装部品としての複層
成形品を製造する際には、表皮層の成形時に、成形キャ
ビティを形成する内面にシボ加工の如き所定の凹凸模様
加工が施された金型が用いられて、表皮層の表面(意匠
面)に金型内面の凹凸模様(シボ)が転写され、それに
よって、目的とする複層成形品の表面(意匠面)に、例
えばシボにて与えられる皮模様等の所望の凹凸模様が付
与せしめられるようになっている。
【0005】しかしながら、そのような従来の複層成形
品の製造方法にあっては、最終的に得られる複層成形品
において、基材層の表面(意匠面)の全面が、1つの表
皮層にて覆われることになるため、部分的に、表面の色
や、例えば軟らかさ等の材質(特性)等を変えたりし
て、その意匠性や機能性の更なる向上を図ることが、極
めて困難であった。
【0006】なお、表面の色が部分的に異なる複層成形
品を得る方法としては、例えば、従来と同様にして基材
層を成形した後、該基材層の所定部分を塗装して、その
表面をツートンカラー等にする方法が容易に考えられ
る。しかるに、この方法においては、先ず、塗装作業に
先立って、基材層の塗装されない部分にマスキングする
といった余分な作業を行なわなければならないため、複
層成形品の製造工程の工程数が必然的に増加して、その
製造作業が煩雑なものとなってしまうといった欠点があ
る。しかも、そのような塗装による方法を実施する際に
は、マスキングを確実に行なう上で、塗装される部分と
塗装されない部分との境界部分に溝状のレリーフ部を形
成する必要があるため、そのレリーフ部によって、最終
的に得られる複層成形品の意匠性が著しく損ねられるこ
ととなり、更には、単に塗装するだけでは、複層成形品
の表面にシボ等の所定の凹凸模様を付与せしめることが
出来ず、また予め基材層の表面に凹凸模様が付与されて
いても、塗装によって表面が平滑化されて、凹凸模様が
消失してしまうことから、複層成形品の表面の全面に所
定の凹凸模様を良好に付与することが不可能となり、以
てそのような凹凸模様の付与による意匠性の向上が、到
底、望まれ得ないのである。
【0007】また、別の方法として、二色射出成形やイ
ンサート成形等の射出成形手法や、圧縮成形手法等を利
用する方法が考えられる。即ち、二色射出成形手法を利
用する場合には、従来から公知の二色射出成形機を用
い、それに設置される2種類の金型のうち、一方のもの
において基材層を予備成形した後、この基材層を他方の
ものの成形キャビティ内に配置せしめ、更にこの基材層
の表面上の一部に、表皮層を一体的に積層せしめるよう
に為すのである。また、インサート成形手法を利用する
場合においては、予め別途成形された基材層を所定の金
型の成形キャビティ内に配置した後、該基材層の特定の
部分に、表皮層を一体的に積層せしめるのである。更
に、圧縮成形手法を利用する場合には、先ず、目的とす
る複層成形品に対応した形状の成形キャビティを有する
金型を用い、この金型の成形キャビティ内に、基材層の
表面の一部を覆い得る大きさをもって予備成形された表
皮層をセットした後、所定の溶融樹脂材料を注入し、そ
の後、所定の圧力にてプレスして、該溶融樹脂材料を冷
却固化せしめ、それによって、基材層を成形すると共
に、表皮層に対して、該基材層を一体的に積層せしめる
のである。これらの方法によれば、基材層とその表面の
一部に一体的に積層せしめられた表皮層とをそれぞれ構
成する各合成樹脂材料の種類を変えることによって、単
に表面の色だけでなく、材質までもが部分的に異ならし
められた複層成形品を簡単に得ることが出来るのであ
る。
【0008】ところが、上述の如き圧縮成形手法を利用
する方法においては、そこで用いられる金型が、基材層
の成形時に、固定型若しくは可動型の何れか一方が、成
形キャビティにセットされた表皮層に対して、プレスに
伴う加圧状態下で当接して、位置せしめられるように構
成されており、また二色射出成形手法やインサート成形
手法を利用する方法にあっても、使用される金型が、表
皮層の成形時に、固定型若しくは可動型の何れか一方
が、成形キャビティ内にセットされた基材層に対して、
型閉めに伴う加圧状態下で当接して、位置せしめられる
ように構成されていることから、何れの方法を採用する
にしろ、圧縮成形時や射出成形時に、予備成形された基
材層や表皮層の表面に対して所定の凹凸模様を付与せし
めることが不可能であることは勿論、予備成形の段階
で、表皮層や基材層の表面に、所定の凹凸模様として、
例えばシボが付与されていても、圧縮成形時や射出成形
時における固定型や可動型の加圧状態下での当接によっ
て、表皮層や基材層の表面に「シボつぶれ」や「白
化」、「テカリ」等が惹起され、その結果として、予め
表皮層や基材層の表面に設けられたシボ(凹凸模様)が
消失してしまうのである。
【0009】要するに、二色射出成形やインサート成形
等の射出成形手法や圧縮成形手法等を利用する方法にお
いては、目的とする複層成形品の表面の色や材質(特
性)等を部分的に変えることは可能であるものの、前記
した塗装による方法と同様、表面の全面にシボ等の所定
の凹凸模様を付与せしめることが出来ないのである。
【0010】なお、例えば、射出成形により家電製品等
を製造する際には、図6に示される如く、可動型14に
組み付けられ、且つ予備成形された基材層32のシボが
付与される面の、表皮層38が積層されない部分に対向
するスライドコア16に対して、該基材層32側に向か
って所定寸法突出する突部42を設け、この突部42に
よって、表皮層38を形成する表皮層成形キャビティ4
4からの溶融樹脂材料34の流出を防止せしめつつ、そ
れら基材層32とスライドコア16との間に所定の隙間
36を形成せしめるようにした複層成形品成形用金型4
6が用いられる場合がある。この金型構造によれば、ス
ライドコア16と基材層32との間の隙間36の存在に
よって、射出成形時に、基材層32の表面に付与された
シボの大部分が良好に確保され得ることとなる。しかし
ながら、そのような金型46にあっても、スライドコア
16の突部42が基材層32に対して当接せしめられて
いることから、基材層32における突部42の当接部分
において、限られた部分であるにせよ、シボつぶれ等が
生じることとなり、やはり表面の全面に所定のシボ(凹
凸模様)を良好に付与せしめられることが不可能であっ
たのである。
【0011】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
に鑑みて為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、表面の色や材質(特性)等が部分的に異なり、
しかも表面の全面にシボ等の所定の凹凸模様が良好に付
与せしめられた複層成形品を成形し得る金型の改良され
た構造を提供することにある。また本発明においては、
そのような複層成形品を有利に製造し得る方法を提供す
ることをも、その解決課題とするものである。
【0012】
【解決手段】そして、本発明にあっては、かくの如き課
題の解決のために、固定型と、該固定型に対して相対的
に接近移動せしめられて該固定型との間に所定の成形キ
ャビティを形成する可動型とを含み、該成形キャビティ
を、表面にシボ等の所定の凹凸模様が付与された基材層
が配置せしめられる基材層配置空間と、該基材層の凹凸
模様が付与された側の面の一部に一体的に積層される表
皮層を成形するための表皮層成形空間と、前記基材層配
置空間内に基材層が配置せしめられた状態下で、該基材
層の凹凸模様が付与された側の面における前記表皮層が
積層されない部分とそれに対向する前記固定型若しくは
前記可動型との間に所定の隙間を形成する隙間形成空間
とにて構成すると共に、該基材層を与える材料よりも軟
らかい軟質材料にて構成され、前記隙間形成空間内にお
いて該基材層の凹凸模様が付与された側の面に当接し
て、それら表皮層成形空間と隙間形成空間とを液密に仕
切る仕切部材を、該隙間形成空間を形成する固定型若し
くは可動型に設けた複層成形品成形用金型を、その特徴
とするものである。
【0013】なお、そのような本発明に従う複層成形品
成形用金型の好ましい第一の態様によれば、前記可動型
が、前記固定型に対してそれぞれ相対的に接近離隔移動
可能とされた第一の可動型と第二の可動型とにて構成さ
れ、該第一の可動型と該第二の可動型の該固定型に対す
る接近移動によって、それら第一及び第二の可動型と固
定型との間に前記成形キャビティが形成せしめられると
共に、該成形キャビティが、該第一の可動型と該第二の
可動型と該固定型との間に形成される前記基材層配置空
間と、該基材層配置空間内に、前記基材層を、それら第
一及び第二の可動型に対して、その凹凸模様が付与され
た側の面が対向するように配置せしめた状態下で、該基
材層と該第一の可動型との間に形成される前記表皮層成
形空間と、該基材層と該第二の可動型との間に形成され
る前記隙間形成空間とにて構成される一方、該第二の可
動型に対して前記仕切部材が設けられて、構成されるこ
となる。
【0014】また、本発明に係る複層成形品成形用金型
の望ましい第二の態様によれば、前記仕切部材を構成す
る軟質材料が、40〜95°のショアー硬さ(D形)と
150℃以上の耐熱温度を有する合成樹脂材料にて構成
される。
【0015】そして、本発明にあっては、(a)固定型
と、該固定型に対して相対的に接近離隔移動可能とされ
た可動型とを備えた金型を準備する工程と、(b)該可
動型と該固定型の何れか一方に対して、表面にシボ等の
所定の凹凸模様が付与された基材層を、その表面が該可
動型と該固定型の何れか他方に対向せしめられるように
配置する工程と、(c)該可動型を該固定型に相対的に
接近移動せしめて、該基材層の凹凸模様が付与された側
の表面とそれに対向する可動型又は固定型との間に、表
皮層を成形するための表皮層成形空間と、所定の隙間を
形成する隙間形成空間とを形成せしめると共に、該基材
層の該表面に対向する可動型又は固定型に設けられた、
該基材層を与える材料よりも軟らかい軟質材料にて構成
される仕切部材を該隙間形成空間内において該基材層の
凹凸模様が付与された側の表面に当接せしめて、該仕切
部材にて、それら表皮層成形空間と隙間形成空間とを液
密に仕切る工程と、(d)該表皮層成形空間内に、該表
皮層を与える合成樹脂材料の溶融物を充満せしめて、固
化させる工程とを、含む複層成形品の製造方法をも、そ
の特徴とするものである。
【0016】なお、そのような本発明に従う複層成形品
の製造方法における有利な態様によれば、前記可動型が
複数準備され、そのうちの一つのものと前記固定型とが
用いられて、該一つの可動型に対向する側の表面にシボ
等の所定の凹凸模様が付与された前記基材層が成形され
ることにより、該固定型に対して、該基材層が、その表
面が該可動型に対向せしめられるように配置された後、
該基材層の成形に用いられた可動型とは別の可動型が該
固定型に相対的に接近移動せしめられて、該基材層のシ
ボが付与された側の表面とそれに対向する該別の可動型
との間に、前記表皮層成形空間が形成せしめられること
となる
【0017】
【作用・効果】要するに、本発明に従う複層成形品成形
用金型にあっては、型閉めにより固定型と可動型との間
で形成される成形キャビティが、基材層配置空間と表皮
層成形空間と隙間形成空間とにて構成され、該表皮層成
形空間内において、該基材層配置空間内に配置された基
材層の、シボ等の所定の凹凸模様が付与された側の表面
の一部に対して、表皮層が一体的に積層されるようにな
っていることから、そのような表皮層を与える合成樹脂
材料として、基材層を構成する合成樹脂材料とは異なる
色や材質(特性)等を有するものを用いれば、目的とす
る複層成形品において、基材層の表面上に表皮層が設け
られている部分とそうでない部分における表面の色や材
質(特性)等を異ならしめることが出来るのであり、更
に表皮層成形空間を形成する固定型又は可動型の内面形
状を考慮すれば、表皮層の表面に所定の凹凸模様を付与
せしめることが可能となるのである。
【0018】また、かかる複層成形品成形用金型におい
ては、成形キャビティの隙間形成空間の存在によって、
基材層配置空間内に基材層が配置せしめられた状態下
で、該基材層のシボ等の所定の凹凸模様が付与された側
の面における表皮層が積層されない部分と、それに対向
する固定型又は可動型との間に、所定の隙間が形成され
るようになっていると共に、そのような隙間形成空間内
において基材層の凹凸模様が付与された側の面に当接し
て、該隙間形成空間と前記表皮層成形空間を液密に仕切
る仕切部材が、該隙間形成空間を形成する固定型又は可
動型に設けられているところから、かかる隙間によっ
て、前記表皮層の成形時に、基材層における表皮層が積
層されない部分に対して、それに対向する固定型や可動
型が、型閉じやプレスに伴う所定の加圧状態下で当接す
ることが有利に回避せしめられ得るのであり、更には仕
切部材によって、表皮層を与える溶融樹脂材料が、表皮
層成形空間から、かかる隙間内に流れ込むようなことも
有利に阻止され得、それらの結果として、表皮層の成形
時に、固定型又は可動型との間で隙間形成空間を形成す
る、基材層の表皮層が積層されない部分の表面におい
て、「シボつぶれ」や「白化」、「テカリ」等が惹起さ
れたり、そのような表面が、表皮層を与える溶融樹脂材
料によって覆われたりすることが効果的に防止され得る
のである。
【0019】しかも、かかる複層成形品成形用金型にあ
っては、特にそのような仕切部材が、基材層を構成する
合成樹脂材料よりも軟らかい軟質材料にて構成されてい
ることから、基材層の仕切部材との当接部分において
も、「シボつぶれ」等が惹起せしめられるようなことが
有利に阻止され得、以てかかる部分の表面に付与された
凹凸模様が、何等消失せしめられることなく、極めて良
好に確保され得るのである。
【0020】従って、本発明に従う複層成形品成形用金
型を用いれば、表面の色や材質(特性)等が部分的に異
なり、しかも表面の全面にシボ等の所定の凹凸模様が良
好に付与せしめられた複層成形品が簡単に成形され得る
のである。そして、そのような複層成形品が、より一層
高度な意匠性や機能性を有する車両用内装部品等とし
て、極めて好適に使用され得ることとなるのである。
【0021】なお、上記した本発明に係る複層成形品成
形用金型の第一の態様に従う構成が採用される場合に
は、表皮層が、第一の可動型の表皮層成形空間を形成す
る内面形状に対応した形状をもって成形され得ると共
に、第二の可動型に設けられた仕切部材の該基材層に対
する当接により、該基材層の表皮層が形成されない部分
において、前記したシボつぶれ等の問題が惹起されるこ
とが有利に回避され得、更にはそれら第一の可動型と第
二の可動型とが、固定型に対する相対的な移動におい
て、互いに異なる挙動を為すように構成され得るのであ
る。従って、かかる場合においては、アンダカット部を
有する表皮層が、基材層とは色や材質(特性)等の異な
る合成樹脂材料にて、該表皮層自体の表面にも所定の凹
凸模様が付与せしめられ得る状態で、且つ基材層に付与
された凹凸模様を何等消失せしめることなく、該基材層
の凹凸模様が付与された側の面の一部に対して一体的に
積層され得るのであり、そして、その結果として、表面
の色や材質(特性)等が部分的に異なり、しかも表面の
全面にシボ等の所定の凹凸模様が良好に付与せしめられ
た複層成形品が、アンダカット部を有する比較的複雑な
形状を有するものであっても、容易に成形され得るので
ある。
【0022】また、本発明に係る複層成形品成形用金型
の第二の態様に従う構成が採用される場合には、成形キ
ャビティの表皮層成形空間と隙間形成空間とを仕切る仕
切部材が、所定の値以上の耐熱温度を有していることか
ら、表皮層を与える溶融樹脂材料の熱によって損傷せし
められるようなことが有利に防止され得ると共に、特定
の範囲内の硬度を有していることによって、基材層の仕
切部材との当接部分における「シボつぶれ」や「白
化」、「テカリ」の発生が、より効果的に阻止され得る
のである。
【0023】そして、本発明に従う複層成形品の製造方
法にあっては、表面にシボ等の所定の凹凸模様が付与さ
れた基材層が配置せしめられた可動型と固定型の何れか
一方に対して、その何れか他方を接近移動させて、該他
方のものと該基材層の凹凸模様が付与された側の表面と
の間に、表皮層を与える表皮層成形空間と、所定の隙間
を形成する隙間形成空間とを形成せしめると共に、該他
方のものに設けられた、該基材層を与える材料よりも軟
らかい軟質材料にて構成される仕切部材を該基材層の凹
凸模様が付与された側の表面に当接せしめて、該仕切部
材により、それら表皮層成形空間と隙間形成空間とを液
密に仕切り、その後、該表皮層成形空間内に、該表皮層
を与える溶融樹脂材料を充満させて、固化せしめるよう
に為しているところから、表皮層を与える溶融樹脂材料
として、基材層を構成する合成樹脂材料とは色や材質
(特性)等の異なるものを用いれば、基材層の表面上に
表皮層が積層される部分とそうでない部分とにおける色
や材質(特性)等が容易に異ならしめられ得るのであ
り、また、該表皮層の成形時に、前記固定型若しくは可
動型の何れか他方のものと対向する基材層の表面に付与
された凹凸模様が良好に確保され得ると共に、該表面に
おいて、前記仕切部材に当接する当接部分に付与されて
いる凹凸模様も、該仕切部材によってつぶれたりするよ
うなことが有利に防止され得るのである。
【0024】従って、このような本発明手法によれば、
何等特別な操作を加えることなく、通常の金型成形と同
様な操作を実施するだけで、表面の色や材質(特性)が
異なると共に、表面の全面にシボ等の所定の凹凸模様が
付与された複層成形品が極めて容易に製造され得るので
ある。
【0025】また、かくして得られた複層成形品を基材
層として用い、本発明手法に従って、かかる基材層(複
層成形品)に対して表皮層を部分的に積層形成し、更に
その操作を繰り返すことによって、表面が3色以上の色
や3種類以上の材質(特性)からなり、しかもそのよう
な表面の全面に所定の凹凸模様が付与された複層成形品
を、優れた生産性をもって有利に製造することが可能と
なるのである。
【0026】なお、前記した本発明手法の有利な態様に
従う構成が採用される場合には、基材層の成形時に使用
された金型の固定型内から、該基材層を取り出すことな
く、かかる固定型を利用して、該基材層の表面に表皮層
を一体的に積層形成することが出来ることから、それら
基材層の成形と該基材層に対する表皮層の一体的な積層
形成とが、可動型を交換するだけの、一つの連続した工
程によって実施され得、それによって、上述の如き優れ
た特徴を有する複層成形品が、より迅速且つ簡単に製造
され得るのであり、またそのような可動型を3つ以上用
いて、そのうちの一つの可動型と固定型との間で基材層
を成形した後、それ以外の可動型と該基材層が成形、配
置された該固定型とにて、かかる基材層の表面に、2層
以上の表皮層を部分的に成形するようにすれば、表面の
全面に所定の凹凸模様が良好に付与せしめられ、しかも
表面の色や材質(特性)等において、よりバラエティー
に富んだ複層成形品が、更に高度な生産性をもって、極
めて有利に製造され得ることとなるのである。
【0027】
【具体的構成・実施例】以下、本発明をより具体的に明
らかにするために、本発明に係る複層成形品成形用金型
及び複層成形品の製造方法の構成並びに実施例につい
て、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0028】先ず、図1には、射出成形手法を利用し
て、自動車のコンソールボックスを成形する際に用いら
れる、本発明に従う構造とされた複層成形品成形用金型
の一例の一部が概略的に示されている。かかる図からも
明らかなように、複層成形品成形用金型10は、固定型
12と第一の可動型としての可動型14と第二の可動型
としてのスライドコア16とを含んで、構成されてい
る。
【0029】また、この複層成形品成形用金型10は、
従来のものと同様にして、可動型14が、図1中、上下
方向と左右方向に所定寸法移動可能とされていると共
に、スライドコア16が、図1中、左右方向に移動し得
るように構成されており、該可動型14が下方に所定寸
法移動せしめられた後、右方向に移動せしめられ、それ
と同時に、スライドコア16が右方向に移動せしめられ
ることによって、それら可動型14とスライドコア16
とが、固定型12に対して相対的に接近移動せしめられ
て、型閉めされるようになっている(図2参照)。
【0030】そして、そのような複層成形品成形用金型
10にあっては、型閉めされた状態において、それら固
定型12、可動型14、スライドコア16との間に、目
的とする複層成形品の外形形状に対応した断面略L字形
状を呈する成形キャビティ18が、形成されるようにな
っている。
【0031】ところで、本実施例にあっては、特に、こ
の略L字状の成形キャビティ18が、3つの空間から構
成されている。即ち、図1に示される如く、成形キャビ
ティ18を二分するように、そのL字形に沿って延びる
仮想面:アを境にして、固定型12側の部分が基材層配
置空間20とされており、またそれとは反対の可動型1
4及びスライドコア16側の部分において、かかる部分
を上下2つに分割する、もう1つの仮想面:イを境界に
して、その上部側、即ち可動型14側の部分が表皮層成
形空間22とされている一方、その下部側、即ちスライ
ドコア16側の部分が隙間形成空間24とされている。
【0032】より詳しくは、基材層配置空間20は、仮
想面:アと固定型12の内面とに囲まれて成っており、
成形キャビティ18内における固定型12側部分の全体
を占める状態で、目的とする複層成形品を構成する基材
層の外形形状に対応した形状を有して、形成されてい
る。
【0033】また、表皮層成形空間22は、仮想面:ア
及び仮想面:イと固定型12、可動型14、スライドコ
ア16の各内面とに囲まれて構成され、成形キャビティ
18内における基材層配置空間20が形成される側とは
反対側の上部側部分を占める状態で、目的とする複層成
形品の表皮層の外形形状に対応した形状をもって、形成
されており、特に、該表皮層のアンダカット形状となる
下端部に対応する部位が、前記した如く、左右方向(固
定型12との対向方向)に移動せしめられて、固定型1
2に対して相対的に離隔、接近せしめられ得るように構
成されたスライドコア16によって形成されている。更
に、表皮層成形空間22にあっては、その上部側におい
て、樹脂流入口26を通じて、固定型12に設けられ
た、図示しない射出装置のノズルに通じるスプルーブッ
シュ28の内孔内に連通せしめられている。なお、図1
には明示されていないが、このような表皮層成形空間2
2を形成する固定型12と可動型14とスライドコア1
6の各内面には、70μm程度の高さを有する皮模様の
シボ加工が施されている。
【0034】一方、隙間形成空間24は、仮想面:ア及
び仮想面:イとスライドコア16とに囲まれて構成さ
れ、成形キャビティ18内における表皮層成形空間22
が形成される側の下部側部分を占める状態で、僅かな幅
をもって形成されており、その上部側において、表皮層
成形空間22の直下には、所定厚さを有する略帯状の仕
切部材30が、配置せしめられている。
【0035】なお、この仕切部材30は、目的とする複
層成形品の基材層を構成する合成樹脂材料よりも軟らか
い合成樹脂材料を用いて構成されている。そして、その
厚さ方向の一端側において、スライドコア16の隙間形
成空間24を形成する面に対して所定深さ埋設された状
態で、取り付けられている一方、その他端側が、隙間形
成空間24内に向かって所定高さ突出して、前記基材層
配置空間20内に僅かに入り込んで位置せしめられ、以
て隙間形成空間24と表皮層成形空間22とを仕切るよ
うに配置せしめられている。
【0036】かくして、複層成形品成形用金型10にあ
っては、図3に示される如く、予め別途に成形され、表
面に皮模様のシボが付与された基材層32が、成形キャ
ビティ18の基材層配置空間20内において、該表面の
上部側を、表皮層成形空間22を介して可動型14に、
またその下部側を、隙間形成空間24を介してスライド
コア16に、それぞれ対向せしめた状態で、配置され得
るようになっている。そして、そのような基材層32の
配置状態下において、スライドコア16に取り付けられ
た仕切部材30が、基材層配置空間20内に入り込んで
いる分だけ押圧変形せしめられて、該基材層32のシボ
が付与された側の表面に対して、所定の押圧力をもって
当接せしめられており、それによって、表皮層成形空間
22と隙間形成空間24とが、かかる仕切部材30に
て、液密に仕切られ得るようになっているのである。
【0037】また、図4及び図5に示される如く、かか
る複層成形品成形用金型10においては、所定の射出装
置(図示せず)から射出された溶融樹脂材料34が、ス
プルーブッシュ28及び樹脂流入口26を通じて、表皮
層成形空間22内に注入されるようになっており、その
際、仕切部材30にて表皮層成形空間22と隙間形成空
間24とが液密に仕切られていることによって、かかる
溶融樹脂材料34の隙間形成空間24内への流れ込みが
良好に阻止され得るようになっていると共に、基材層3
2のシボが付与された側の表面とスライドコア16との
間に、隙間形成空間24によって所定の隙間36が形成
され得るようになっているのである。そして、表皮層成
形空間22内に注入された溶融樹脂材料34が固化せし
められることによって、該表皮層成形空間22を形成す
る固定型12と可動型14とスライドコア16の各内面
のシボが転写されて、表面に皮模様のシボが付与された
表皮層38が、前記基材層32における、皮模様のシボ
が付与された側の面の上部側部分に対して、一体的に積
層されるようになっているのである。
【0038】なお、そのような構造とされた複層成形品
成形用金型10においては、隙間形成空間24の幅、即
ち基材層配置空間20の境界たる仮想面:アとスライド
コア16との間の距離(図1においてtにて示される寸
法)が、何等限定されるものではないが、基材層配置空
間20内に配置される基材層32の、スライドコア16
に対向する下部側部分、換言すれば、表皮層38が積層
されない部分の表面に付与せしめられたシボが、表皮層
38の成形時において、スライドコア16との当接によ
ってつぶれたりしないように、少なくとも、シボの高さ
(通常、40μm以上)よりも大きな寸法とされている
必要があり、その意味からして、その下限が0.1mm程
度とされていることが、望ましい。また、その上限は、
表皮層38の厚みや目的とする複層成形品の形状等を考
慮した上で、適宜に決定されるところであるが、一般
に、0.5mm程度とされる。
【0039】さらに、隙間形成空間24内に配置される
仕切部材30を与える合成樹脂材料の種類にあっても、
特に限定されるものではないものの、表皮層38の成形
時に、基材層32における仕切部材30の当接部分にお
いて、表面に付与されたシボがつぶれたりしないよう
に、また表皮層38を与える溶融樹脂材料34の熱によ
って仕切部材30が損傷しないように、基材層32を構
成する合成樹脂材料よりも低い硬度と、表皮層38の成
形温度に耐え得る耐熱性とを有するものである必要があ
る。なお、硬度が低過ぎると、表皮層成形空間22と隙
間形成空間24との間の液密性が損なわれる恐れがあ
る。従って、それらの点からして、仕切部材30を与え
る合成樹脂材料としては、その硬度が40〜95°(シ
ョアーD型硬度計による測定値)であり、且つ耐熱温度
が150℃以上であるものが好ましく、具体的には、例
えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やシ
リコン樹脂、ポリアミド樹脂等が選択されることが、望
ましい。
【0040】このように、本実施例に係る複層成形品成
形用金型10にあっては、成形キャビティ18の基材層
配置空間20内に配置された基材層32における皮模様
のシボが付与された側の面の上部側部分のみに、表皮層
38が一体的に積層されるようになっていることから、
基材層32とは色や材質等の異なる合成樹脂材料を用い
て表皮層38を成形すれば、目的とする複層成形品にお
いて、表皮層38が積層されている上部側部分とそうで
ない下部側部分とにおける表面の色や材質等を容易に異
ならしめることが出来るのである。
【0041】また、かかる複層成形品成形用金型10に
あっては、基材層配置空間20内への基材層32の配置
状態下において、スライドコア16に取り付けられた仕
切部材30が、基材層32の、シボが付与された側の面
に当接せしめられて、隙間形成空間24と表皮層成形空
間22とが液密に仕切られるようになっていると共に、
基材層32の下部側部分とスライドコア16との間に所
定の隙間36が形成されるようになっており、それによ
って、表皮層38を与える溶融樹脂材料34が該隙間3
6内に流れ込んで、該基材層32の下部側部分の表面が
溶融樹脂材料34にて覆われたり、該基材層32の下部
側部分にスライドコア16が当接して、かかる部分の表
面に、「シボつぶれ」や「白化」、「テカリ」等が惹起
されたりして、該基材層32の下部側部分の表面に付与
されたシボが消失してしまうようなことが有利に防止さ
れ得るようになっているのであり、しかもそれに加え
て、前記仕切部材30が、基材層32を構成する合成樹
脂材料よりも硬度が低い合成樹脂材料にて構成されて、
該基材層32における仕切部材30との当接部分の表面
に付与されたシボもつぶれたりしないようになっている
ところから、表皮層38の成形時において、基材層32
の下部側部分、換言すれば、表皮層38が積層されない
部分に付与されたシボが極めて良好に確保され得るので
ある。
【0042】さらに、かかる複層成形品成形用金型10
においては、可動型14の表皮層成形空間14を形成す
る内面にシボ加工が施されて、基材層32の上部側部分
に一体的に積層される表皮層38の表面に対しても、皮
模様のシボが付与せしめられ得るようになっている。
【0043】従って、本実施例に係る複層成形品成形用
金型10にあっては、容易に、表面の色や材質等が部分
的に異ならしめられ得ると共に、表面の全面に皮模様の
シボが良好に付与せしめられ得、以てより一層優れた意
匠性や機能性を有する複層成形品を極めて簡単に成形す
ることが出来るのである。
【0044】なお、かかる複層成形品成形用金型10に
おいては、表皮層成形空間22の下端部が、スライドコ
ア16によって形成されていることから、下端部がアン
ダカット形状とされた表皮層38が、基材層32に対し
て良好に積層形成され得ると共に、最終的に得られる複
層成形品の脱型操作が極めて容易に為され得るのであ
る。
【0045】また、本実施例に係る複層成形品成形用金
型10を用いれば、従来の塗装によって複層成形品を多
色化する方法を採用する場合とは異なり、基材層32に
対してレリーフ部を設ける必要が皆無ならしめられ得
て、そのようなレリーフ部によって、目的とする複層成
形品の意匠性が損なわれるようなことが効果的に回避さ
れ得るのである。
【0046】ところで、上述の如く、優れた意匠性や機
能性を備えた複層成形品を得る際には、図1に示される
如き構造を有する複層成形品成形用金型10が有利に用
いられるのであるが、そのような複層成形品は、具体的
には、例えば、以下の如くして、製造されることとな
る。
【0047】すなわち、先ず、図2に示される如く、予
備成形され、表面に皮模様のシボが付与された、PP製
で厚さ2.3mmの基材層32を、型開き状態とされた複
層成形品成形用金型10の固定型12にセットする。な
お、その際、基材層32は、シボが付与された側の面
が、固定型12とは反対の側に向かって位置するよう
に、配置されることとなる。
【0048】次いで、図3に示されるように、可動型1
4を所定寸法下方に移動せしめた後、右方向に移動せし
め、またそれと同時に、スライドコア16を右方向に移
動せしめて、複層成形品成形用金型10を型閉じ状態と
為し、それによって、基材層32のシボが付与された側
の面と可動型14との間に表皮層成形空間22を形成せ
しめると共に、かかる面とスライドコア16との間に隙
間36を形成する隙間形成空間24とを形成せしめる。
また、その際、スライドコア16に取り付けられた仕切
部材30を、押圧変形状態下で、基材層32のシボが付
与された側の面に当接させて、それら表皮層成形空間2
2と隙間形成空間24(隙間36)の間を液密に仕切
る。
【0049】その後、図4に示される如く、スプルーブ
ッシュ28及び樹脂流入口26を通じて、図示しない射
出装置から、表皮層成形空間22内に、基材層32を構
成するPP樹脂とは色の異なるTPO樹脂の溶融物34
を注入して、充満させた後、かかる溶融樹脂材料34を
固化させる。それによって、表皮層成形空間22内にお
いて、1.5mmの厚さと該表皮層成形空間22に対応し
た外形形状を有し、且つ可動型14の内面形状に対応し
て、表面に皮模様のシボが付与された表皮層38を成形
すると共に、該表皮層38を基材層32の上部側部分に
一体的に積層せしめる。
【0050】そして、その後、可動型14を所定寸法右
側に移動せしめた後、上方に移動せしめると共に、スラ
イドコア16を左方向に移動させて、複層成形品成形用
金型10を型開きさせ、その後、該金型10内から、基
材層32と表皮層38との一体成形品を取り出し、以て
部分的に色が異なり、しかも表面の全面に皮模様のシボ
が付与せしめられた、目的とする複層成形品40を得る
のである。
【0051】かくの如き製造手法によれば、射出成形手
法を利用した、通常の金型成形と同様な操作を実施する
だけで、優れた意匠性や機能性を備えた複層成形品40
が極めて容易に製造され得るのである。
【0052】なお、本実施例では、基材層32の表面に
対して、表皮層38の一層のみが積層形成されて、複層
成形品40が得られるようになっていたが、基材層配置
空間が、かかる複層成形品40に対応した形状を有する
と共に、仕切部材30が、該複層成形品40の表皮層3
8の表面に当接するように構成された複層成形品成形用
金型を用い、本実施例と同様にして、該複層成形品40
の表皮層38の表面の一部に、該表皮層38を与える合
成樹脂材料とは異なる色や材質を有する合成樹脂材料か
らなる別の表皮層を積層形成し、更に、そのように、基
材層配置空間の形状と仕切部材の配設位置が各々異なる
複層成形品用成形金型を用いて、同様な操作を繰り返し
実施することによって、基材層32の表面に2層以上の
表皮層を積層形成せしめるようにすることも可能であ
る。それによって、表面において、よりバラエティーに
富んだ色や材質を有し、しかもそのような表面の全面に
所定の凹凸模様が良好に付与された複層成形品が、有利
に得られることとなる。
【0053】また、本実施例では、第一の可動型として
の可動型14と第二の可動型としてのスライドコア16
とによって、可動型が構成されていたが、表皮層38が
アンダカット形状となる部分を有しない場合等は、可動
型をそのような2つのものにて構成することなく、1つ
のものにて構成することも可能である。なお、そのよう
な金型構造を採用する場合においては、本実施例とは異
なって、成形キャビティの可動型側に基材層配置空間
を、また固定型側に表皮層成形空間と隙間形成空間と
を、それぞれ形成せしめるようにしても良い。
【0054】さらに、本実施例では、成形キャビティ1
8の表皮層成形空間22を形成する固定型12と可動型
14とスライドコア16の内面に皮模様のシボ加工が施
されて、表皮層38の表面に皮の模様のシボが付与され
得るようになっていたが、それらの内面に皮模様以外の
シボ加工、或いは凹凸模様加工を施して、表皮層38の
表面に別の凹凸模様を付与せしめるようにすることも、
勿論可能である。そして、そのようにして、表皮層38
の表面に対して、基材層32の表面に付与されるものと
は異なる凹凸模様を付与せしめれば、目的とする複層成
形品40の表面の模様が部分的に異ならしめられ得、以
て該複層成形品40に対して、より一層優れた意匠性が
具備せしめられ得ることとなる。なお、表皮層成形空間
22を形成する固定型12、可動型14、スライドコア
16等の内面へのシボ加工等の凹凸模様加工は、必ずし
も必要ではなく、それらに対して所定の凹凸模様加工を
施さないでおけば、部分的に凹凸模様のない複層成形品
を得ることが出来る。
【0055】更にまた、本実施例では、予め別途に成形
された基材層32を固定型12にセットし、この基材層
32に対して表皮層38を一体的に積層形成する、所謂
射出成形におけるインサート成形手法を利用した方法が
採用されていたが、それら基材層32と表皮層38の一
体成形手法としては、特にこれに限定されるものではな
く、例えば、基材層32の成形と該基材層32に対する
表皮層38の積層形成を連続的な工程で行なう二色射出
成形手法や一般的な圧縮成形手法等を利用した方法が有
利に採用され得るのである。また、特に射出成形におい
て、一つの固定型に対して3つ以上の可動型を次々に対
応せしめて、3層以上の積層体を得る、所謂多色射出成
形手法を利用すれば、基材層の表面に2層以上の表皮層
が部分的に且つ一体的に積層形成することが可能とな
り、それによって、表面の色や材質がよりバラエティー
に富み、且つその表面の全面に所定の凹凸模様が良好に
付与された複層成形品が、有利に得られることとなる。
【0056】更にまた、本実施例では、表皮層成形空間
22と隙間形成空間24とを液密に仕切る仕切部材30
が、その厚さ方向の一端側において、スライドコア16
に所定深さ埋設されて、取り付けられていたが、この仕
切部材の取付位置や取付構造は、特にこれに限定される
ものではなく、隙間形成空間内において、基材層の凹凸
模様が付与された側の面に当接して、表皮層成形空間と
隙間形成空間とを液密に仕切り得るのであれば、如何な
る位置に対しても、また如何なる構造によっても、取り
付けられ得るのであり、従って、例えば、スライドコア
や可動型、或いは固定型の何れかに対して、上述の如き
状態で、表皮層成形空間と隙間形成空間とを仕切り得る
ように、貼り付ける等して、取り付けても、何等差し支
えないのである。
【0057】また、そのような仕切部材30の形状、更
には基材層32や表皮層38の形状も、本実施例におけ
る如きものに何等限定されるものではないことは、言う
までもないところである。
【0058】加えて、本実施例では、本発明を自動車の
コンソールボックスの成形用金型と該コンソールボック
スの製造方法に対して適用したものの具体例を示した
が、本発明が、その他、自動車のインストルメントパネ
ル、ドアトリム、ピラー、センタクラスタ、更には自動
車以外の車両用内装部品の成形用金型、及びそれらの部
品の製造方法の何れに対しても、有利に適用され得るも
のであることは、勿論である。
【0059】以上、本発明の具体的な構成及び代表的な
実施例について詳述してきたが、本発明が、上記の記載
によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言
うまでもないところである。また、本発明には、上記の
具体例並びに実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しな
い限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う複層成形品成形用金型の一例を示
す要部拡大断面説明図である。
【図2】本発明に従う複層成形品の製造方法における一
工程例を示す説明図であって、そこで用いられる金型に
対して、型開き状態下で、基材層をセットした状態を示
す。
【図3】本発明に従う複層成形品の製造方法における別
の工程例を示す説明図であって、金型を型閉じした状態
を示す。
【図4】本発明に従う複層成形品の製造方法における更
に別の工程例を示す説明図であって、金型内部に形成さ
れる表皮層成形空間内に、所定の溶融樹脂材料を充満さ
せて、固化せしめた状態を示す。
【図5】本発明に従う複層成形品の製造方法における他
の工程例を示す説明図であって、得られた複層成形品を
取り出すために、金型を型開きした状態を示す。
【図6】従来の複層成形品成形用金型を示す要部拡大断
面説明図である。
【符号の説明】
10 複層成形品成形用金型 12 固定型 14 可動型 16 スライドコ
ア 18 成形キャビティ 20 基材層配置
空間 22 表皮層成形空間 24 隙間形成空
間 30 仕切部材 32 基材層 34 溶融樹脂材料 36 隙間 38 表皮層 40 複層成形品

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定型と、該固定型に対して相対的に接
    近移動せしめられて該固定型との間に所定の成形キャビ
    ティを形成する可動型とを含み、該成形キャビティを、
    表面にシボ等の所定の凹凸模様が付与された基材層が配
    置せしめられる基材層配置空間と、該基材層の凹凸模様
    が付与された側の面の一部に一体的に積層される表皮層
    を成形するための表皮層成形空間と、前記基材層配置空
    間内に基材層が配置せしめられた状態下で、該基材層の
    凹凸模様が付与された側の面における前記表皮層が積層
    されない部分とそれに対向する前記固定型若しくは前記
    可動型との間に所定の隙間を形成する隙間形成空間とに
    て構成すると共に、該基材層を与える材料よりも軟らか
    い軟質材料にて構成され、前記隙間形成空間内において
    該基材層の凹凸模様が付与された側の面に当接して、そ
    れら表皮層成形空間と隙間形成空間とを液密に仕切る仕
    切部材を、該隙間形成空間を形成する固定型若しくは可
    動型に設けたことを特徴とする複層成形品成形用金型。
  2. 【請求項2】 前記可動型を、前記固定型に対してそれ
    ぞれ相対的に接近離隔移動可能とされた第一の可動型と
    第二の可動型とにて構成し、該第一の可動型と該第二の
    可動型の該固定型に対する接近移動によって、それら第
    一及び第二の可動型と固定型との間に前記成形キャビテ
    ィを形成せしめると共に、該成形キャビティを、該第一
    の可動型と該第二の可動型と該固定型との間に形成され
    る前記基材層配置空間と、該基材層配置空間内に、前記
    基材層を、それら第一及び第二の可動型に対して、その
    凹凸模様が付与された側の面が対向するように配置せし
    めた状態下で、該基材層と該第一の可動型との間に形成
    される前記表皮層成形空間と、該基材層と該第二の可動
    型との間に形成される前記隙間形成空間とにて構成する
    一方、該第二の可動型に対して前記仕切部材を設けたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の複層成形品成形用金
    型。
  3. 【請求項3】 前記仕切部材を構成する軟質材料が、4
    0〜95°のショアー硬さ(D形)と150℃以上の耐
    熱温度を有する合成樹脂材料である請求項1又は請求項
    2に記載の複層成形品成形用金型。
  4. 【請求項4】 固定型と、該固定型に対して相対的に接
    近離隔移動可能とされた可動型とを備えた金型を準備す
    る工程と、 該可動型と該固定型の何れか一方に対して、表面にシボ
    等の所定の凹凸模様が付与された基材層を、その表面が
    該可動型と該固定型の何れか他方に対向せしめられるよ
    うに配置する工程と、 該可動型を該固定型に相対的に接近移動せしめて、該基
    材層の凹凸模様が付与された側の表面とそれに対向する
    可動型又は固定型との間に、表皮層を成形するための表
    皮層成形空間と、所定の隙間を形成する隙間形成空間と
    を形成せしめると共に、該基材層の該表面に対向する可
    動型又は固定型に設けられた、該基材層を与える材料よ
    りも軟らかい軟質材料にて構成される仕切部材を該隙間
    形成空間内において該基材層の凹凸模様が付与された側
    の表面に当接せしめて、該仕切部材にて、それら表皮層
    成形空間と隙間形成空間とを液密に仕切る工程と、 該表皮層成形空間内に、該表皮層を与える合成樹脂材料
    の溶融物を充満せしめて、固化させる工程とを、 含むことを特徴とする複層成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記可動型を複数準備し、そのうちの一
    つのものと前記固定型とを用いて、該一つの可動型に対
    向する側の表面にシボ等の所定の凹凸模様が付与された
    前記基材層を成形することにより、該固定型に対して、
    該基材層を、その表面が該可動型に対向せしめられるよ
    うに配置した後、該基材層の成形に用いられた可動型と
    は別の可動型を該固定型に対して相対的に接近移動せし
    めて、該基材層のシボが付与された側の表面とそれに対
    向する該別の可動型との間に、前記表皮層成形空間を形
    成せしめるようにしたことを特徴とする請求項4に記載
    の複層成形品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017206139A (ja) * 2016-05-19 2017-11-24 ダイキョーニシカワ株式会社 加飾部品及びその製造方法
KR102212189B1 (ko) * 2020-02-14 2021-02-15 한화큐셀앤드첨단소재 주식회사 자동차 부품 제조용 습합형 금형의 버발생 억제구조

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