JPH08308780A - 殺菌消毒用拭掃除具 - Google Patents

殺菌消毒用拭掃除具

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JPH08308780A
JPH08308780A JP7119777A JP11977795A JPH08308780A JP H08308780 A JPH08308780 A JP H08308780A JP 7119777 A JP7119777 A JP 7119777A JP 11977795 A JP11977795 A JP 11977795A JP H08308780 A JPH08308780 A JP H08308780A
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Japan
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surfactant
alkaline
sterilizing
impregnated
wiping
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JP7119777A
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English (en)
Inventor
Shoji Hori
祥司 堀
Satoru Toyoshima
哲 豊島
Junichi Yamanaka
準一 山中
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Daiken Iki Co Ltd
Original Assignee
Daiken Iki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸
塩又はリン酸水素塩等のアルカリ性化合物が含浸されて
いる殺菌消毒用拭掃除具である。さらに界面活性剤が含
浸されていることが好ましい。 【効果】 拭掃除具自体に殺菌効果が付与されていて、
吸水させて湿潤状態とすることにより殺菌効果を即座に
発揮できるので、簡便かつ安全に床面等の広範囲部分を
殺菌消毒できる。界面活性剤が含浸されている場合に
は、殺菌とともに清掃も同時に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病院内、生化学工場な
どの床面や家具等の清掃、殺菌消毒に使用するモップ、
雑巾等に用いられる殺菌消毒用拭掃除具に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】病院内
での感染防止、トイレ内での衛生性のために、床面や壁
面等を殺菌消毒する方法として、従来より、希釈した殺
菌剤液(一般にクロルヘキシジングルコネート液、塩化
ベンザルコニウム液)を床等に散布し、これをモップ等
で塗り広げて拭掃する方法、又は殺菌剤液を入れたバケ
ツにモップを漬け、殺菌剤液を吸収したモップを用いて
拭掃する方法が一般的である。
【0003】これらの方法による殺菌剤の散布乃至塗布
作業は、作業者にとっても有害であることが多いため、
また殺菌剤は高価であるため、低濃度に希釈した殺菌剤
液を用いることが多い。しかし、低濃度の殺菌剤では、
殺菌効果の発現が遅いばかりでなく、殺菌剤の耐性菌を
生み出す原因ともなる。このため、安全かつ安価な清掃
用殺菌消毒剤として、電解酸性水が注目されている。電
解酸性水とは、水道水に微量の食塩を添加し、隔膜を介
して電解した場合、pH2.7以下の溶液として得られ
る水である。電解酸性中に含まれる次亜塩素酸(HCl
O)が強力な殺菌効果を発揮できる。
【0004】しかし、電解酸性水は、有機物の存在によ
り急激に殺菌効果が低下することが知られている(例え
ば、手術医学Vol15(4),1994年の511ペ
ージ等)。従って、電解酸性水を入れたバケツに、一旦
床等を拭き取った後のモップを何度も浸漬するという使
用には不適当である。一方、ある程度の殺菌効果を有
し、且つ作業性がよいものとして、近年、それ自体に殺
菌能力を付与した雑巾、モップ等の拭掃除具が提案され
ている。これらは、床面や壁面全体に殺菌剤を塗布する
必要がないため、使用が簡便かつ安全であるという長所
がある。具体的には、ClO2 水溶液を含浸させた使い
捨て雑巾や、銀イオンや銅イオン等の抗菌性を有する金
属イオンを溶出させることができる抗菌剤を付着させた
繊維で構成した不織布や布巾、あるいはこれらの抗菌剤
を分散含浸させたスポンジ体が挙げられる。
【0005】しかし、ClO2 水溶液を含浸させた使い
捨て雑巾は、湿潤状態で存在する次亜塩素酸(HCl
O)によって殺菌効果を発揮するものであり、上述のよ
うに有機物の存在により急激に殺菌力が低下するので、
1回の使用で捨てる必要があることはもちろん、病院内
や公共トイレ等の拭掃面積の広い場所の拭掃には不適当
である。また、ClO2 水溶液は、pH2以下の強酸性
になると、分解して有毒な塩素ガスを発生する危険があ
ることから、殺菌消毒とともに清掃も行いたい場合に
は、アルカリ性の界面活性剤を用いる必要がある。しか
し、アルカリ性では、殺菌力を発揮するHClO濃度が
急激に低下するので(例えば、手術医学Vol15
(4),1994年の509ページ参照)、消毒程度で
あればよいが、殺菌には不十分である。
【0006】一方、金属イオンを溶出する抗菌剤を含有
又は付着した繊維で構成される雑巾等の拭掃除具は、金
属イオンが溶出して殺菌力を発揮することから、雑巾等
で拭き取られて雑巾等に付着した菌類に対しては、殺菌
効果を発揮できるが、血液、汗等お体液や、フケ、毛
髪、塵埃等の有機物が付着している床面、壁面をこの種
の雑巾で単に拭掃しただけでは、床面等に多数生存して
いる菌の殺菌には十分な効果が得られない。また殺菌の
即効性という点においても、電解酸性水や塩化ベンザル
コニウム液等の殺菌剤に比べて劣っているのが実情であ
る。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、殺菌力を有するモップ等の拭
掃除具であって、安価で、作業者に安全で、しかも床面
等の清掃及び殺菌を同時に達成できる殺菌消毒用拭掃除
具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルカリ
金属塩の水溶液が広範な抗菌性を示し、クロルヘキシジ
ングルコネート液等の消毒剤耐性菌に対しても抗菌性を
有することを見出し、本発明の完成に到った。すなわ
ち、本発明の殺菌消毒用拭掃除具は、アルカリ性化合物
が含浸されていることを特徴とする。
【0009】アルカリ性化合物とともに、界面活性剤も
含浸されていることが好ましい。さらに、アルカリ性化
合物の一部は、水溶性樹脂で被覆されたマイクロカプセ
ルとして含浸されていることが好ましい。
【0010】
【実施例】本発明の殺菌消毒用拭清掃具の形態は特に限
定せず、モップ、雑巾、布巾等の最終製品に応じて適宜
選択されるが、その主要部分は、編み物、織物、不織
布、スポンジ、紐状体等(以下、これらをまとめて「繊
維製材」という)で構成されている。繊維製材として
は、後述するアルカリ性化合物含浸の必要性から、ある
程度の厚み(紐状体であれば太さ)を有することが好ま
しく、この点において、単独である程度の厚み製品を容
易に作ることができ、且つ繊維間間隙が多い不織布が好
ましい。また、使用後の焼却処分の簡便性から、可燃性
の不織布で構成することが好ましい。可燃性の不織布と
しては、綿、麻等の天然繊維;レーヨン等の再生繊維;
ポリエステル繊維、アクリル繊維等の可燃性の合成繊維
などからなる不織布が挙げられる。
【0011】繊維製材中には、殺菌消毒剤としてのアル
カリ性化合物がほぼ均一に含浸されている。アルカリ性
化合物としては、水溶液状態でアルカリ性を示す化合物
で、特にその種類は制限しない。例えば、水酸化ナトリ
ウム,水酸化カリウム等の金属水酸化物、アルカリ金属
と弱酸との塩が挙げられるが、これらのうち、使い易
さ、安全性の観点からアルカリ金属と弱酸の塩が好まし
く用いられる。アルカリ金属と弱酸との塩としては、例
えば、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等
の炭酸塩;炭酸水素リチウム,炭酸水素ナトリウム,炭
酸水素カリウム等の炭酸水素塩;ホウ酸リチウム,ホウ
酸ナトリウム,ホウ酸カリウム等のホウ酸塩;及びリン
酸水素二ナトリウム,リン酸水素二カリウム,リン酸水
素二リチウム等のリン酸水素塩が好ましく用いられる。
【0012】繊維製材中のアルカリ性化合物の含浸量
は、繊維製材の大きさ、繊維製材を構成している繊維の
種類等により相違するが、一般に水分を含んだ状態(湿
潤状態)でpH9〜12程度の水溶液状態となる量を含
浸させることが好ましい。アルカリ性化合物は、一般に
粉粒体の状態で含浸されるが、含浸量の一部をマイクロ
カプセルとして含浸することが好ましい。すなわち、ア
ルカリ性化合物の微粉末又は濃厚溶液を、水に徐々に溶
解する高分子物質の被膜で被覆したマイクロカプセルの
状態で繊維製材内に含浸することもできる。このような
マイクロカプセル状態では、拭掃除具の使用に際して何
度も水に漬けることにより、マイクロカプセルの被膜が
徐々に溶解して内部のアルカリ性化合物を放出するの
で、アルカリ性化合物の殺菌消毒効果をある程度の期間
にわたって保持し続けることができる。従って、アルカ
リ性化合物を、一部は粉粒体として、一部はマイクロカ
プセル化して含浸すると、使用初期に際しては、粉粒体
が殺菌効果を発揮し、次いで拭掃除具の繰り返しの水へ
の浸漬により、マイクロカプセルに内包されたアルカリ
性化合物が殺菌効果を発揮するので、繰り返し水に漬け
ても優れた殺菌効果を発揮し続けることができる。さら
に、マイクロカプセルの被膜として、水に対する溶解度
が異なる被膜を用いたマイクロカプセルを複数種類混合
して含浸したり、被膜を多層膜とすることにより、より
きめ細かく殺菌効果の即効性及び持続性を発揮できる殺
菌消毒用拭掃除具を作成することができる。
【0013】尚、マイクロカプセル化する方法は、従来
より公知の方法を利用することができ、例えば、芯物質
となるアルカリ性化合物を溶媒中で微粒子分散化し、こ
の溶液に被膜を構成するモノマーを加えて高分子膜を重
合生成させる方法、芯物質となるアルカリ性化合物を溶
媒中で微粒子分散化し、この表面に被膜を構成する高分
子物質の溶液を添加し、高分子物質の溶解度を低下させ
ることにより相分離を生じさせて微粒子表面を被覆する
方法等がある。
【0014】繊維製材中には、アルカリ性化合物ととも
に、界面活性剤の粉粒体を含浸することが好ましい。界
面活性剤とアルカリ性化合物とを併用すると、殺菌効果
の即効性が得られ、また相乗的に殺菌効果は向上する。
一方、界面活性剤のみを含浸させた繊維製材では、界面
活性剤をはじめとする消毒剤は、一般に数分〜数十分で
殺菌効果を発揮するという即効性はあるが、細菌をはじ
めとする有機物が存在する場合、その殺菌効果は時間の
経過とともに著しく低下する傾向にあり、広範囲の面積
の拭き掃除を終えるまで殺菌効果を持続することができ
ない。また、界面活性剤は、殺菌効果に寄与するだけで
なく、界面活性剤が本来有する洗浄剤としての効果も発
揮できるので、床面等の拭掃と殺菌消毒とを兼ねて行う
ことができる。この点、電解酸性水の場合は、十分な殺
菌効果を得るべく高HClO濃度を保持するためには、
界面活性剤を併用しないことが望ましい。また、界面活
性剤はアルカリ側で安定であることが多いので、電解酸
性水中で使用することは望ましくない。以上の理由によ
り、拭き掃除と殺菌消毒とを兼ねて行えることは、本発
明の拭掃除具に得られる特有の効果といえる。
【0015】繊維製材中の界面活性剤の含浸量は、アル
カリ性化合物の濃度がpH9〜12の水溶液の状態で、
界面活性剤の濃度が界面活性剤原液について0.1〜
0.5vol%となる量であることが好ましい。界面活
性剤の濃度が0.1vol%未満では、界面活性剤併用
による顕著な効果が認められないからである。一方、
0.5vol%以下とした理由は、一般に界面活性剤は
高濃度になる程その効果は大きくなるが、0.1〜0.
2vol%(通常の床面用消毒剤の濃度)でも必要十分
な効果が得られる上に、高濃度になる程高価格化が避け
られないからである。
【0016】本発明において使用される界面活性剤とし
ては、第4級アンモニウム塩,アルキルピリジニウム塩
等のカチオン界面活性剤;スルホン酸塩,硫酸塩等のア
ニオン界面活性剤;エーテル型,エステル型等の非イオ
ン界面活性剤;アミノ酸誘導体,ペタイン等の両性界面
活性剤;高分子界面活性剤が挙げられる。これらのう
ち、アルカリ性領域で安定に存在できるアニオン性界面
活性剤が用いられる。ここで、アニオン性界面活性剤と
は水溶液中でアニオンとなって存在し得る界面活性剤を
いい、アニオン界面活性剤の他、両性界面活性剤も含ま
れる。また、2種以上の界面活性剤を組み合わせて、そ
のうちの1種をアニオン性界面活性剤としてもよい。
【0017】以上のような構成を有する繊維製材は、繊
維を製織、製編、又はウェブを機械的若しくは熱的に融
解着すること等により布状体を形成し、あるいは複数の
繊維を撚って紐状体として、アルカリ性化合物の水溶液
(界面活性剤を含む場合には更に界面活性剤)を供給し
た後乾燥させるアルカリ性化合物含浸工程(及び界面活
性剤含浸工程)を経て製造される。繊維製材にアルカリ
性化合物の水溶液を供給する方法としては、高濃度のア
ルカリ水溶液を繊維製材に少量散布、あるいは高濃度の
アルカリ水溶液中に繊維製材を浸漬する方法が簡便であ
る。アルカリ性化合物だけでなく、界面活性剤も含浸さ
れる場合、界面活性剤含浸工程は、アルカリ性化合物含
浸工程の前又は後に行うよりも同時に行うことが好まし
い。すなわち、アルカリ性化合物及び界面活性剤の混合
溶液に繊維製材を浸漬することが好ましい。浸漬操作を
1回で済ますことにより、その後の乾燥も1回で済み、
効率よく製造できる。アルカリ性化合物(及び界面活性
剤)を含む溶液に繊維製材を浸漬した後乾燥すると、ア
ルカリ性化合物(及び界面活性剤)の粉粒体が、繊維製
材を構成する繊維間間隙に含浸乃至付着した状態で残存
している。
【0018】次に、本発明の殺菌消毒用拭掃除具の具体
的な利用方法について説明する。本発明の殺菌消毒用拭
掃除具は、モップ、雑巾などの最終製品の種類に応じて
若干異なるが、いずれも床面等を消毒乃至殺菌すること
を目的として、水分が供給された湿潤状態で床面や壁面
等の比較的広範囲を拭掃することに用いられる。例え
ば、殺菌消毒用拭掃除具が紐状体の集合体あるいは布状
体からなるモップの場合には、水を入れたバケツにモッ
プをつければ、モップを構成している繊維製材が吸水し
て湿潤状態となって所定の殺菌効果を発揮できるので、
このモップを用いて床面等を拭くと、床面等に散在して
いる菌を死滅させることができる。
【0019】バケツにはいっているのは電解酸性水のよ
うな消毒剤ではなくて、単なる(水道)水であり、また
モップ自体に殺菌効果が付与されているので、使用した
モップ、すなわち雑菌が付着したモップを再度湿潤状態
とするためにバケツにつけても有機物混入による殺菌力
の低下とは何ら関係ない。従って、電解酸性水等と比べ
て、広範囲の掃除を1つのモップで、殺菌作業をできる
という特徴がある。また、殺菌効果を有しているのはモ
ップ自体であり、使用するのは通常の水なので、必要に
応じて水を何回でも取り替えることができ、衛生的であ
る上、耐性菌の発生を回避することもできる。
【0020】もちろん、水の他に消毒剤の希釈液を併用
してもよい。消毒剤を併用することにより、消毒剤とア
ルカリ性化合物とが相乗的に作用して、より高い殺菌性
が得られる。消毒剤としては、塩化ベンザルコニウム、
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イルガサンDP
−300、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニ
トリル、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、
グルタルアルデヒド等のアルカリ域で安定な消毒剤が好
ましく用いられる。本質的には、モップ自体の殺菌効果
により殺菌するので、消毒液は、作業者の安全性及び価
格に十分対応できる程度の低濃度で十分である。
【0021】さらに、アルカリ性化合物とともに界面活
性剤も含浸された拭掃除具の場合には、殺菌効果を即座
に発揮できるだけでなく、殺菌とともに床面等の掃除も
同時に行えるという効果もある。尚、使用に際してモッ
プや雑巾を何度も水に漬けることにより、アルカリ性化
合物及び界面活性剤の濃度が低下することは否定できな
いが、高価な抗菌剤や殺菌剤を用いていないので、殺菌
力の低下が問題とならないうちに使い捨てとすればよ
い。また、アルカリ性化合物の一部をマイクロカプセル
状態で含浸させて、アルカリ性化合物を徐放させること
により、広範囲の拭掃のために繰り返し水に浸漬する場
合であっても、一定の殺菌力を発揮し続けることができ
る。
【0022】次に、アルカリ性水溶液及び界面活性剤の
殺菌効果について説明する。 〔アルカリ性水溶液の濃度と殺菌効果との関係〕殺菌効
果を調べるにあたり、菌として、Staphylococcus aureu
s IFO 12732 (黄色ブドウ球菌)及びPseudomonas aeru
ginosa IFO 3080 (緑膿菌)を用いた。また、アルカリ
性化合物として、炭酸ナトリウムを用いた。
【0023】滅菌した生理食塩水に、約107 cells/m
l になるように菌を加えて、菌懸濁液を調製した。この
菌懸濁液100ml に、最終濃度で1重量%、0.3重量
%、又は0.1重量%となるように炭酸ナトリウムを添
加して、室温(23〜25℃)にて一昼夜放置した。放
置後の菌懸濁液を生理食塩水で希釈し、希釈液の0.1
mlをトリプトソヤー寒天平板培地(日水製薬製)に塗
抹し、これをフラン器にて37℃で48時間培養し、得
られたコロニー数より菌数を測定した。
【0024】対照として、炭酸ナトリウムを添加しない
菌懸濁液を、室温で一昼夜放置した後、同様にして菌数
を測定した。測定結果を、表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から分かるように、黄色ブドウ球菌及
び緑膿菌のいずれに対しても、0.3〜1.0重量%で
有意な抗菌力を示した。尚、1%の炭酸ナトリウム水溶
液のpH値は10.6であり、0.3%の炭酸ナトリウ
ム水溶液のpH値は10.0であり、0.1%の炭酸ナ
トリウム水溶液のpH値は9.7であった。生理食塩水
のpH値は6.4であった。
【0027】次に、炭酸ナトリウムの代わりに、炭酸カ
リウムを用いて、同様にして殺菌効果を調べた。測定結
果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2からわかるように、炭酸カリウムを用
いた場合も、炭酸ナトリウムと同様に顕著な殺菌効果を
示した。一般に、水素イオンは菌体の細胞壁等を自由に
浸透することができるため、拡散により水素イオン濃度
は菌体内外において平衡に保たれる。しかし、微生物の
至適pHは2.5〜9(例えば、大腸菌の至適pHは
6.4〜7.8であり、コレラ菌の至適pHは7.8〜
8.4であり、真菌の至適pHは4.5〜6.0)であ
る。従って、菌体外の環境をpH9〜12のアルカリ性
に保持した場合、菌体内のpHも9〜12に変化し、そ
の結果、菌体の成育に必要な酵素等のタンパク質が変性
するため、菌体は死滅又は物理的な衝撃や乾燥等の環境
変化に対して破菌しやすくなる。このように、本発明に
おける殺菌の機構は、水素イオン濃度の変化による菌体
内のタンパクの変性等によると解されることから、他の
アルカリ性化合物の水溶液であってもpH値約9〜12
程度となる濃度に調節すれば同程度の抗菌力を発揮でき
る。さらに、水素イオン濃度による本発明の殺菌機構
は、抗生物質や消毒剤に比べて特異性が少ないことか
ら、広範な抗菌性を発揮できる上に、菌体において耐性
を獲得しにくい。 〔殺菌用繊維製材の殺菌効果〕本発明に係る繊維製材の
一実施例として、炭酸ナトリウム約5g含浸したレーヨ
ン製の不織布(920mm×780mm)を用いた。
【0030】乾燥状態の不織布に、菌懸濁液500ml
に浸漬した(炭酸ナトリウムの最終濃度約1重量%)。
尚、菌懸濁液としては、黄色ブドウ球菌、消毒剤耐性黄
色ブドウ球菌、緑膿菌をそれぞれ107 cells/ml とな
るように、生理食塩水に加えることにより調製した。菌
懸濁液に浸漬後、不織布を取り出して所定時間(1時
間,12時間,又は24時間)室温にて放置し、その
後、不織布を裁断して、100mm×100mmの試験
片を得た。この試験片をさらに5mm×20mm程度の
小片に裁断し、その小片を広口瓶に入れ、100mlの
生理食塩水を加えて200回転/分で1時間攪拌し、マ
ット本体試験片の小片に付着している菌を払拭して、菌
懸濁液を得た。尚、生理食塩水を100ml加えた後、
pH値を6.5〜7.5に調整した。pH値を調整した
菌懸濁液の0.1mlを、トリプトソヤー寒天平板培地
(日水製薬製)に塗抹し、これをフラン器にて37℃で
48時間培養し、得られたコロニー数より菌数を測定し
た。
【0031】対照として、炭酸ナトリウムを含浸してい
ない不織布単独で構成される同形同大の不織布に、菌懸
濁液500mlを散布し、菌懸濁液を不織布全体に均一
に拡散含浸させて、24時間放置した後、上述と同様に
して菌数を測定した。測定結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表3からわかるように、炭酸ナトリウムを
含浸した不織布では、いずれの菌に対しても、1時間経
過後には菌数が著しく減少しており、さらに24時間後
には菌の大部分が死滅していて、本発明の拭掃除具に係
る炭酸ナトリウムを含浸した不織布が殺菌効果を発揮し
ていることがわかる。特に、消毒剤耐性を獲得した黄色
ブドウ球菌についても、著しい菌数の減少が認められ、
消毒剤耐性を獲得していない菌と同様に殺菌性を発揮で
きることがわかる。
【0034】尚、対照実験において、処理前よりも24
時間放置後では、若干菌数が減少しているが、これは、
測定において不織布から付着している菌を完全には払拭
できなかったためと解される。 〔アルカリ性化合物と界面活性剤併用の効果〕殺菌効果
を調べるにあたり、菌として、Staphylococcus aureus
IFO 12732 (黄色ブドウ球菌)を用いた。また、アルカ
リ性化合物として、炭酸ナトリウムを用い、界面活性剤
として、株式会社オーディーアイ製のネストリーナ・マ
ーサ(商品名)を用いた。ネストリーナ・マーサは、非
イオン界面活性剤、アミン系ソープを主原料とした洗浄
剤JSB−1と弱酸〜弱アルカリで安定な界面活性剤O
DN−1との混合物である。
【0035】1重量%の炭酸ナトリウム水溶液99.7
mlに、ネストリーナ・マーサ原液0.3mlを加えて
混合した。この混合液のpHは10.5であり、界面活
性剤の最終的濃度は0.3vol%である。この混合液
に1〜7×106 cells/mlになるように菌を加え、10
分、1時間、6時間、12時間、24時間後の菌数を測
定した。24時間後(2日目)、再び1〜7×106 ce
lls/mlになるように菌を加え、10分、1時間、6時
間、12時間、24時間後の菌数を測定し、同様の操作
を6日間繰り返した。
【0036】測定結果を図1に示す。図1において、縦
軸は菌数(cells/ml)を示し、横軸は時間及び日数を示
している。また、図1中の〜は、菌の接種した時点
を、1日目をとして6日目まで各順に示している。比
較例として、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液(p
H10.5)に1〜7×106 cells/mlになるように菌
を加え、10分、1時間、6時間、12時間、24時間
後の菌数を測定し、同様の操作を6日間繰り返した。ま
た、0.3vol%のネストリーナ・マーサ水溶液に1
〜7×106 cells/mlになるように菌を加え、10分、
1時間、6時間、12時間、24時間後の菌数を測定
し、同様の操作を6日間繰り返した。測定結果を図2に
示す。図2において、縦軸は菌数(cells/ml)を示し、
横軸は時間及び日数を示している。また、直線(−○
−)は炭酸ナトリウム溶液の結果であり、点線(─●
─)はネストリーナ・マーサ水溶液の結果である。ま
た、図2中の〜は、菌の接種した時点を、1日目を
として6日目まで各順に示している。
【0037】図1及び図2の結果から次のようなことが
わかる。すなわち、界面活性剤のみの場合、1日目では
菌接種後約10分後には菌の大部分が死滅しているが、
日数が経つにつれて、殺菌効果がなくなり、4日後には
殺菌効果はほとんど認められない。また、炭酸ナトリウ
ム溶液のみの場合、優れた殺菌効果を少なくとも5日間
発揮することができるが、大部分の菌の死滅に最低でも
1時間要し、日数が経つにつれて菌死滅に要する時間が
長くなる。一方、炭酸ナトリウムとネストリーナ・マー
サとの混合液の場合、菌接種後10分間で大部分の菌が
死滅し、この殺菌の即効性及び殺菌効果は日数の経過に
より低下する傾向にあるものの、6日間にわたって十分
な殺菌効果が認められた。
【0038】
【発明の効果】本発明の殺菌消毒用拭掃除具は、それ自
体に殺菌効果が付与されていて、吸水させて湿潤状態と
することにより殺菌効果を即座に発揮できる。従って、
本発明の殺菌消毒用拭掃除具を用いれば、簡便かつ安全
に床面等の広範囲の部分を殺菌消毒できる。
【0039】また、アルカリ性化合物とともに界面活性
剤を含浸することにより、即座に殺菌効果を発揮できる
他、床面の清掃も同時に達成できる。さらに、アルカリ
性化合物の一部をマイクロカプセルに内包した状態で含
浸させることにより、繰り返し水に漬けて広範囲を殺菌
消毒する場合でも、所定の殺菌効果を発揮し続けること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】界面活性剤及びアルカリ性化合物併用の効果を
説明するためのグラフである。
【図2】界面活性剤及びアルカリ性化合物併用の効果を
説明するための比較例のグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ性化合物が含浸されていること
    を特徴とする殺菌消毒用拭掃除具。
  2. 【請求項2】 アルカリ性化合物及び界面活性剤が含浸
    されたことを特徴とする殺菌消毒用拭掃除具。
  3. 【請求項3】 界面活性剤は、アニオン性界面活性剤で
    あることを特徴とする請求項2に記載の殺菌消毒用拭掃
    除具。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ性化合物は、アルカリ金属
    の炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、又はリン酸水素塩で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    殺菌消毒用拭掃除具。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ性化合物の一部は、水溶性
    樹脂で被覆されたマイクロカプセルとして含浸されてい
    ることを特徴とする請求項1〜4に記載の殺菌消毒用拭
    掃除具。
JP7119777A 1995-05-18 1995-05-18 殺菌消毒用拭掃除具 Withdrawn JPH08308780A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10280299A (ja) * 1997-03-31 1998-10-20 Chisso Corp 抗菌紙
JP2003081842A (ja) * 2000-12-22 2003-03-19 Sekisui Chem Co Ltd 清拭シート
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EP4197417A1 (de) * 2021-12-14 2023-06-21 VERMOP Salmon GmbH Verfahren zur herstellung eines reinigungstextils sowie wischbezug

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