JPH08308613A - 編込みスライドファスナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ファスナーエレメント列を寸法的に安定かつ
強固に取付けられて使用中においても噛合割れのしない
編込みスライドファスナーを得ること。 【構成】 経編の地組織をもったファスナーテープ１の
ファスナーエレメント取付部２に、連続状ファスナーエ
レメント列５をファスナーテープ１の編成と同時に編ん
だ編込みスライドファスナーにおいて、ファスナーエレ
メント取付部２の最外側端部に鎖編糸１５により鎖編目
を編成し、この鎖編目に複数の緯挿入糸１７，１８を各
別に交互に交絡反転させてファスナーエレメント取付部
２の地組織を編成すると同時に、この地組織にファスナ
ーエレメント列５を２本の固定用鎖編糸１０，１０によ
り編込み固定したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は経編ファスナーテープの
編成と同時に連続状ファスナーエレメント列をファスナ
ーテープの長手側縁部のファスナーエレメント取付部に
編込んで取付けるところの編込みスライドファスナーに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の編込みスライドファスナーとして
例えば特公昭３８−１１６７３号公報に示すように、フ
ァスナーテープを鎖編糸と緯挿入糸とにより編成し、そ
のファスナーテープの長手側縁部にファスナーエレメン
ト列を構成するナイロン糸をファスナーテープの編成と
同時に緯入して鎖編糸のシンカーループにより押えて固
定するようにしたもの、また特開平２−２５５１０４号
公報に示すように、鎖編糸と緯挿入糸とにより編成した
ファスナーテープの長手側縁部に、プラスチックモノフ
ィラメントを緯入してファスナーエレメント列を形成し
て、ファスナーテープの長手側縁部に突出して編成して
いる緯挿入糸に、各ファスナーエレメントの上脚部を押
え付ける鎖編目のウェールと、各ファスナーエレメント
の下脚部を押え付ける鎖編目のウェールとを絡ませて編
込んで、ファスナーエレメント列を取付けた編込みスラ
イドファスナーがそれぞれ知られていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記２件の編込みスラ
イドファスナーは鎖編糸と緯挿入糸で編成したファスナ
ーテープの長手側縁部に、プラスチックモノフィラメン
トを緯入して編込んだものであるが、前者は地組織のシ
ンカーループで、ファスナーエレメント列を単に上方よ
り押えているため鎖編目の長手方向の伸縮により寸法的
な安定が得られず、またファスナーエレメント列の地組
織への取付けが充分でなく、ファスナーエレメント列の
安定した取付姿勢を保持することができず、ファスナー
エレメント列の噛合が円滑に行なわれない点があり、ま
た後者はファスナーテープの長手側縁部に突出した緯挿
入糸に固定用の鎖編糸のニードルループを絡み合せてい
るが、ファスナーエレメント列の上面に配している２本
の固定用の鎖編糸のニードルループ列は単に並列し、各
固定用の鎖編糸の単一のニードルループは単に連接して
いるだけであるので寸法的に伸縮し易く、かつファスナ
ーエレメント列の固定が弱く、ファスナーエレメント列
の安定した取付姿勢が得られないためファスナーエレメ
ントの噛合が円滑に行われず、かつ使用中に噛合割れを
生じ易いという問題点を有していた。そこで本発明は、
従来の問題点を解消し、ファスナーエレメント取付部の
地組織を強化してファスナーエレメント列を寸法的に安
定しかつ地組織に強固に取付けられて、常にファスナー
エレメント列の安定した取付姿勢を保持することができ
て、ファスナーとしての機能を十分に維持して使用中に
おいてもファスナーエレメント列の噛合割れのしない編
込みスライドファスナーを提供することを目的としたも
のである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、経編の地組織よりなるファスナーテープの
長手側縁部のファスナーエレメント取付部に、連続状フ
ァスナーエレメント列をファスナーテープの編成と同時
に編込んだ編込みスライドファスナーにおいて、前記フ
ァスナーエレメント取付部の最外側端部に鎖編目を編成
し、この鎖編目に複数の緯挿入糸を各別に交互に交絡反
転させてファスナーエレメント取付部の地組織を編成す
ると同時に、該ファスナーエレメント取付部の地組織
に、連続状ファスナーエレメント列を複数の固定用鎖編
糸により編込み固定するようにして編込みスライドファ
スナーを構成したものである。また経編の地組織よりな
るファスナーテープの長手側縁部のファスナーエレメン
ト取付部に、連続状ファスナーエレメント列をファスナ
ーテープの編成と同時に編込んだ編込みスライドファス
ナーにおいて、前記ファスナーエレメント取付部の最外
側端部に鎖編目を編成し、この鎖編目に複数の緯挿入糸
を各別に交互に交絡反転させてファスナーエレメント取
付部の地組織を編成すると同時に、該ファスナーエレメ
ント取付部の地組織に、連続状ファスナーエレメント列
を複数の固定用鎖編糸をダブル組織に編込み固定するよ
うにして編込みスライドファスナーを構成したものであ
る。

【０００５】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。図１は本発明の第１実施例の組織図であり、図２は
その実施例で使用する編糸の組織図を示したものであ
り、また図３はファスナーエレメント列を取付けたファ
スナーテープの長手側縁部を模型的に示したものであ
り、図４は噛合したファスナーエレメントの横断面を示
したものである。この編込みスライドファスナー（以下
単にファスナーと呼ぶ）において、第１実施例および後
記の第２実施例、第３実施例のものは１列の針床をもっ
た一般の経編機によって編成されるもので、第１実施例
のファスナーは、ファスナーテープ１の長手側縁部にフ
ァスナーエレメント取付部２を有し、ファスナーエレメ
ント取付部２を除いたファスナーテープ１の地組織は、
図２に示すように鎖編糸１４（１−０／０−１）とトリ
コット編糸１６（１−２／１−０）と、４ウェール３に
またがってジグザグ状に挿入された緯挿入糸１７（０−
０／４−４）とから編成されている。なお緯挿入糸１７
は３ウェールにまたがってジグザグ状に挿入されたもの
であってもよく、またファスナーテープ１の全ウェール
３にわたり、コース４を変えて横方向に往復動して長手
方向にジグザグ状に挿入するものであってもよい。この
点後記の第２実施例および第３実施例のファスナーテー
プの地組織についても同様である。そしてファスナーテ
ープ１の長手側縁部のファスナーエレメント取付部２
は、ファスナーエレメント列５を載置する地組織と、フ
ァスナーエレメント列５を固定する編糸の組織とからな
っている。ファスナーエレメント列５を載置する地組織
は、最外側端部に１ウェール、ファスナーテープ１の地
組織と同じ鎖編糸１５（１−０／０−１）により鎖編目
が編成されており、この鎖編目にファスナーテープ１の
地組織を編成する緯挿入糸１７（０−０／４−４）の走
行端部が１コースおきに交絡反転して編成されている。
そしてその結果緯挿入糸１７の走行端部が交絡しない鎖
編目が１コースおきにあり、そのためにファスナーエレ
メント取付部２の地組織は粗、密の状態をくり返し波打
ち状態になっている。そこで本発明は緯挿入糸１７の走
行端部が交絡していない鎖編目に、別の緯挿入糸１８の
端部を交絡反転するように緯挿入糸１８を挿入して、緯
挿入糸１７が配置されていないコースを充足するように
３ウェールにまたがってジグザグ状に配置し編成して、
ファスナーエレメント取付部２の地組織を一様に密に構
成して、取付けるファスナーエレメント列５を寸法的に
安定しかつ強固に保持させるようにしたものである。な
お補強のために挿入する緯挿入糸１８は１本でもよい
が、図１の点線で示すように最外側端部の次の内側のウ
ェールのファスナーエレメント列５を固定する固定用鎖
編糸１０の鎖編目に、交絡反転する緯挿入糸１９を加え
て、補強用の緯挿入糸を２本にしてもよい。またファス
ナーエレメント列５を固定する編糸の組織は、２本の固
定用鎖編糸１０，１０（１−０／０−１）によって編成
されるもので、ファスナーエレメント列５はモノフィラ
メントを１コース４おきに同一コースを横方向に往復動
して形成され、この連続状のコイル状ファスナーエレメ
ント列５は、２ウェール３において編成される２本の固
定用鎖編糸１０，１０によりその上脚部６を押えられて
ファスナーテープ１の編成と同時にコイル状ファスナー
エレメント列５としてファスナーエレメント取付部２に
取付けられる。なおファスナーエレメント列５の固定に
おいて、図１の鎖線で示すように２本の固定用鎖編糸１
０の編目間に、固定用のトリコット編糸１３（１−２／
１−０）を配置して、固定用鎖編糸１０の横ずれを防止
して、ファスナーの使用中に起るファスナーエレメント
列５の噛合割れを防止するようにしてもよい。図３はフ
ァスナーエレメント取付部２にファスナーエレメント列
５を取付けた状態を模型的に示したもので（なお図３は
図解しやすくするため、ファスナーテープ側の緯挿入糸
１７は単に１本の線とし、各編糸は細くまた各ニードル
ループなどの編目は緩めた状態で示してあるが、実際に
は各種の糸は編込みスライドファスナーとしての機能を
考慮して太くしたり、細くしたり、また編目も緻密に引
き締ったものとなっている。また後記の図９および図１
２においても同趣旨で記載されている。）、ファスナー
テープ１の長手側縁部のファスナーエレメント取付部２
に取付けられるコイル状ファスナーエレメント列５は、
ナイロン、ポリエステル等の合成樹脂製のモノフィラメ
ントによって連続状に形成されるもので、モノフィラメ
ントに予め噛合部８および連結部９に相応する部分をス
タンピング加工を施して平坦にしておき、これを１コー
ス４おきに同一コース内を横方向に往復動させて緯入れ
を行い、噛合部８および連結部９の平坦部で屈曲させて
上脚部６と下脚部７とを重合した状態に配置してコイル
状に連続させて構成するものである。そしてこのファス
ナーエレメント列５は固定用の鎖編糸１０によって固定
される。この固定用の鎖編糸１０は、シンカーループ１
１を下方側に配して、ファスナーエレメント取付部２の
地組織を編成する２本の緯挿入糸１７，１８と編目を編
成することなく単に交絡してコイル状ファスナーエレメ
ント列を載置するファスナーエレメント取付部２の地組
織を構成する。そして固定用の鎖編糸１０のニードルル
ープ１２は上方側に配して図１および図３に示すように
長手方向に編成して連接したニードルループ群を構成
し、２コース毎の先位のニードルループ１２をコイル状
ファスナーエレメント列５の各上脚部６上に配し、後位
ニードルループ１２を各ファスナーエレメントの間隙に
配して、先位ニードルループ１２を各上脚部６から下脚
部７にかけて略逆Ｕ字状に囲んで押えつけるようにして
ファスナーエレメント列５を地組織に取付け固定するよ
うにしたものである。図４はファスナーエレメント取付
部２に取付けられたファスナーエレメント列５の横断面
を示したもので、ファスナーエレメントの上脚部６は固
定用鎖編糸１０のニードルループ１２により押えられて
固定され、ファスナーテープ１の長手側縁部の最外側の
端部２２は、２本の緯挿入糸１７，１８が交互に鎖編糸
１５の編目と交絡して地組織の粗密による波打ち状態を
是正して、平らな揃った端部２２を形成しており、スラ
イダー２０の摺動時に、ファスナーテープの端部２２の
編糸が、スライダーの案内溝部２１の中で局部的に当接
することがなくスライダー２０を円滑に作動することで
きる。

【０００６】図５は本発明の第２実施例の組織図であ
り、図６はその実施例で使用する緯挿入糸の組織図であ
る。第２実施例は第１実施例における緯挿入糸の組織を
変えた１例であって、第１実施例のファスナーエレメン
ト取付部２の地組織を編成する緯挿入糸１７の組織を変
えたものである。ファスナーテープ１ａの地組織は第１
実施例と同様に鎖編糸１４、トリコット編糸１６および
４ウェールにまたがる緯挿入糸１７（０−０／４−４）
とによって編成されているが、この緯挿入糸１７を図５
に示すようにファスナーエレメント取付部２ａにおいて
組織を変えて３ウェールにまたがる緯挿入糸１７ａ（０
−０／３−３）を配して、これによりファスナーエレメ
ント取付部２ａに挿入する３ウェールにまたがる補強用
の緯挿入糸１８，１９（３−３／０−０）と振り幅を同
じにして、仕上げ時の熱処理による糸の収縮のバランス
をとるようにした例である。またファスナーテープ１ａ
の地組織を編成する緯挿入糸１７に、ファスナーエレメ
ント取付部２ａを含めてすべて３ウェールにまたがる緯
挿入糸を用いて編成するようにしてもよい。なお緯挿入
糸１７，１８，１９の振り幅はファスナーエレメント取
付部に取付けるファスナーエレメント列の大きさ、ファ
スナーテープ１の柔軟度等を考慮して種々に採択できる
ものである。

【０００７】図７は本発明の第３実施例の組織図であ
り、図８はその実施例で使用する編糸の組織図であり、
また図９はファスナーエレメント列を取付けたファスナ
ーテープの長手側縁部を模型的に示したものである。第
３実施例は、第１実施例のファスナーエレメント列５の
上脚部６を、固定用の鎖編糸１０のニードルループ１２
によって押えて固定するようにしたものに対して固定用
の鎖編糸のシンカーループ１１ｂによって押えて固定す
るようにしたものである。そして第３実施例のファスナ
ーテープ１ｂは第１実施例と同様に鎖編糸１４とトリコ
ット編糸１６および４ウェールにまたがってジグザグ状
に挿入された緯挿入糸１７とから編成されている。また
ファスナーテープ１ｂの長手側縁部のファスナーエレメ
ント取付部２ｂは、ファスナーエレメント列５を載置す
る地組織とファスナーエレメント列５を固定する編糸の
組織とからなっている。ファスナーエレメント列５を載
置する組織は、ファスナーテープ１ｂと同じトリコット
編糸１６と４ウェールにまたがる緯挿入糸１７と、最外
側端部の１ウェールの鎖編目にその走行端部を緯挿入糸
１７の走行端部と交互に交絡反転し３ウェールにまたが
りジグザグ状に挿入された補強用の緯挿入糸１８と１ウ
ェール内方に配された補強用の緯挿入糸１９とから編成
されている。またファスナーエレメント列５を固定する
編糸の組織は、２本の固定用鎖編糸１０ｂ，１０ｂ（１
−０／０−１）によって編成され、１コースおきに同一
コースを横方向に往復動して形成されたファスナーエレ
メント列５を、ファスナーテープ１ｂの編成と同時にフ
ァスナーエレメント取付部２ｂに取付けるようになって
いる。そして図９はファスナーエレメント取付部２ｂに
ファスナーエレメント列５を取付けた状態を模型的に示
したもので、この２本の固定用鎖編糸１０ｂ，１０ｂは
図９に示すようにそのニードルループ１２ｂ，１２ｂを
下方側に配して、ファスナーエレメント取付部２ｂの地
組織を編成する３本の緯挿入糸１７，１８，１９とトリ
コット編糸１６とによりコイル状ファスナーエレメント
列を載置する地組織を編成し、また固定用鎖編糸１０
ｂ，１０ｂのシンカーループ１１ｂ，１１ｂを上方側に
配して、これによりファスナーエレメントの上脚部６と
下脚部７とが重合するファスナーエレメント列５を上方
から押えて地組織に固定するものである。

【０００８】図１０は本発明の第４実施例の組織図であ
り、図１１はこの実施例で使用する編糸の組織図であ
り、また図１２はファスナーエレメント列を取付けたフ
ァスナーテープの長手側縁部を模型的に示したものであ
り、図１３は噛合したファスナーエレメントの横断面で
ある。第４実施例は２列の針床をもった経編機（例えば
ダブルラッセル編機）によって編成されるもので、ファ
スナーテープ３１の地組織は図１１に示すように鎖編糸
４４（１−０／０−０／０−１／１−１）とトリコット
編糸４６（１−２／１−１／１−０／１−１）と、ファ
スナーテープ３１の４ウェール３３にまたがってジグザ
グ状に挿入される緯挿入糸４７（０−０／２−２／４−
４／２−２）とから編成されている。なお緯挿入糸４７
はファスナーテープ３１の全ウェール３３にわたってコ
ース３４を変えて横方向に往復動して長手方向にジグザ
グ状に挿入するようにしてもよい。そしてファスナーテ
ープ３１の長手側縁部のファスナーエレメント取付部３
２には、合成樹脂製のモノフィラメントを同一コース内
を横方向に往復動させて緯入れを行い、噛合部３８およ
び連結部３９で屈曲させて上脚部３６と下脚部３７とを
重合した状態に配してコイル状に連続させてファスナー
エレメント列３５が形成され、２本の固定用鎖編糸４０
（０−１／１−０／１−０／０−１）によりその上脚部
３６が押えられてファスナーテープ３１の編成と同時に
コイル状ファスナーエレメント列３５として取付けられ
る。なおファスナーエレメント列３５の固定用鎖編糸と
して、図１０の鎖線で示したように２本の固定用鎖編糸
４０の編目間にトリコット編糸４３（１−１／１−２／
１−１／１−０）を配置して固定用鎖編糸４０の横ずれ
を防止して、ファスナー使用中に起るファスナーエレメ
ント列３５の噛合割れを防止するようにしてもよい。ま
たファスナーテープ３１の長手側縁部のファスナーエレ
メント取付部３２の地組織は、その最外側端部の１ウェ
ール３３にファスナーテープ３１と同じ鎖編糸４５（１
−０／０−０／０−１／１−１）による鎖編目が編成さ
れており、この鎖編目に、ファスナーテープ３１の４ウ
ェール３３にまたがってジグザグ状に挿入された緯挿入
糸４７（０−０／２−２／４−４／２−２）の走行端部
が１コース３４おきに絡み合い、またこの緯挿入糸４７
の絡み合っていない１コース３４おきの鎖編目に、ファ
スナーエレメント取付部３２の地組織を補強する緯挿入
糸４８（４−４／２−２／０−０／２−２）が４ウェー
ル３３にまたがってジグザグ状に挿入されて、その走行
端部が絡み合されて、１コースおきに交絡する緯挿入糸
４７によって生ずる地組織の粗、密のくり返しによる端
部の波打ち状態を防止すると共に、ファスナーエレメン
ト取付部３２の地組織を密に構成して取付けるファスナ
ーエレメント列３５を寸法的に安定しかつ強固に固定す
るようにしたものである。なおファスナーエレメント取
付部３２に挿入する補強用の緯挿入糸４８は３ウェール
３３にまたがってジグザグ状に挿入されてもよく、また
第１実施例と同じように、同一コースで１ウェール内方
で反転する緯挿入糸と２本の緯挿入糸４８を配置して用
いるようにしてもよい。図１０の組織において針の位置
が交互にフロントニードル（Ｆ）、バックニードル
（Ｂ）となっているが、フロントニードル（Ｆ）におい
ては、編込まれるコイル状ファスナーエレメント列３５
の上面側において編目を編成するもので、ダブル組織に
編成される固定用鎖編糸４０の一方のニードルループ４
２が上面側に形成され、このニードルループ４２が図１
２に示すように長手方向の次位に形成される固定用鎖編
糸４０の一方のニードルループ４２と絡み合い、これを
繰返してコイル状ファスナーエレメント列３５の長手方
向に沿って鎖編目が形成される。なお固定用にトリコッ
ト編糸４３を用いた場合には、その編目は固定用鎖編糸
４０の編目と共にフロントニードル（Ｆ）によって編成
される。またバックニードル（Ｂ）においては、ファス
ナーテープ部分とファスナーテープの長手側縁部のファ
スナーエレメント取付部３２のファスナーエレメント列
３５を載置する部分の地組織を編成するもので、ファス
ナーテープ部分においては、鎖編糸４４とトリコット編
糸４６および緯挿入糸４７によって編成され、またファ
スナーエレメント列３５を載置する部分においては、ダ
ブル組織に編成される固定用鎖編糸４０の他方のニード
ルループ４１が下方側に形成され、ファスナーテープの
地組織を編成するトリコット編糸４６のニードルループ
とファスナーテープ側から走行する緯挿入糸４７と、フ
ァスナーエレメント取付部３２にジグザグ状に挿入する
補強用の緯挿入糸４８とによって緻密でかつ重厚な組織
を編成する。図１３はファスナーテープ３１の長手側縁
部にファスナーエレメント列３５を取付けた状態を示し
た横断面図であってファスナーテープの長手側縁部の最
外側端部５２は、その端部を編成する鎖編糸４５の編目
に、２種類の緯挿入糸が交互に交絡反転して編成されて
いるため、波打つことなく一体に形成されて、編糸が端
部より局部的にはみだすこともなく、スライダー２０を
摺動させた時にスライダーの案内溝部２１内で編糸が当
接することなくスライダー２０を円滑に作動することが
できる。

【０００９】本発明は以上のように経編ファスナーテー
プの長手側縁部のファスナーエレメント取付部におい
て、連続状ファスナーエレメント列を載置する地組織
に、ファスナーテープから走行する緯挿入糸と交互に配
置するように補強用の緯挿入糸を挿入して、ファスナー
テープの最外側端部の波打ち状態を是正すると共に、フ
ァスナーエレメント取付部の地組織を緻密にしてファス
ナーエレメント列を強固に固定して寸法的に安定するよ
うにしたもので、補強用に挿入する緯挿入糸は取付ける
ファスナーエレメントの大きさ等によって振り幅を３ウ
ェールまたは４ウェール等に必要に応じて自由に採択す
ることができ、また同じ振り幅の緯挿入糸を２本併列し
て用いることもできる。そして連続状のファスナーエレ
メント列を固定する編糸は、取付けるファスナーエレメ
ントの大きさに応じて２本または３本用いてもよく、ま
たファスナーテープの地組織を編成する編糸より太くか
つ熱収縮性の大きい糸を用いて、ファスナー完成後に熱
セット加工により糸を収縮させて糸締りを強くすること
により、ファスナーエレメント取付部に取付けるファス
ナーエレメント列をより強固に取付けることができる。
またファスナーテープの長手側縁部の最外側端部の鎖編
糸と、ファスナーエレメント取付部に隣接するファスナ
ーテープ部の鎖編糸を、ファスナーテープの地組織を編
成する鎖編糸よりも太い糸を用いることにより、ファス
ナーエレメント取付部の保形と補強を付与することがで
きる。また各実施例においては連続状ファスナーエレメ
ント列としてコイル状ファスナーエレメント列を用いた
ものが示されているが、本発明はファスナーテープの平
面内に横方向のＵ字形に屈曲したものを長手方向に沿っ
て上下交互に連続してジグザグ状に形成した所謂ジグザ
グ型のファスナーエレメント列にも適用することがで
き、また連続状ファスナーエレメント列を形成するモノ
フィラメントによる噛合部と連結部との形成位置を変え
て噛合部をファスナーテープの内側に配置して取付け、
完成後にファスナーエレメント取付部を折返して、左右
の噛合部同士を噛合させて隠しファスナーとするように
編込みスライドファスナーを編成することもできる。な
おファスナーテープの地組織として鎖編糸、トリコット
編糸、緯挿入糸等を用いているが、トリコット編糸に代
えて二目編糸により編成してもよい。そして固定用の鎖
編糸の編成する編目は閉じ目でもまた開き目でもいずれ
でも採用することができる。

【００１０】

【発明の効果】本発明は以上のような構成であって、フ
ァスナーエレメント取付部の最外側端部に鎖編目を編成
し、この鎖編目に複数の緯挿入糸を各別に交互に交絡反
転させてファスナーエレメント取付部の地組織を編成す
るようにしたため、地組織が緻密かつ重厚となりファス
ナーエレメント列を強固に取付けられると共に、ファス
ナーエレメント列が寸法的に安定してピッチの狂いがな
くなり、またファスナー面に対して上方へ突上げるよう
な曲げに対しても適度な抵抗力が与えられ、ファスナー
の使用中における折り曲げによる噛合割れが防止され
る。そしてファスナーテープの最外側端部は、鎖編目に
複数の緯挿入糸により各別に交互に交絡反転させて編成
させたためファスナーエレメント取付部の地組織の粗密
による波打ち状態が是正されて一体化され、編糸が端部
より局部的にはみ出すことがなくなり、スライダーの摺
動を円滑に行うことができる。またファスナーエレメン
ト取付部にファスナーエレメント列を複数の固定用鎖編
糸をダブル組織に編成して固定するようにしたものにお
いても、複数の固定用鎖編糸をシングル組織に編成して
固定するようにしたものと同様な優れた効果を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１列の針床を用いて編成するファスナ
ーの１例を示す組織図である。

【図２】図１において用いる編糸の組織図である。

【図３】図１におけるファスナーエレメント列の取付状
態を模型的に示した斜視図である。

【図４】図１におけるファスナーエレメント列のスライ
ダーにより噛合した状態を示した横断面図である。

【図５】２種類の緯挿入糸を用いたファスナーの組織図
である。

【図６】図５において用いる緯挿入糸の組織図である。

【図７】ファスナーエレメント列を鎖編糸のシンカール
ープで押えたファスナーの組織図である。

【図８】図７において用いる編糸の組織図である。

【図９】図７におけるファスナーエレメント列の取付状
態を模型的に示した斜視図である。

【図１０】本発明の２列の針床を用いて編成するファス
ナーの１例を示す組織図である。

【図１１】図１０において用いる編糸の組織図である。

【図１２】図１０におけるファスナーエレメント列の取
付状態を模型的に示した斜視図である。

【図１３】図１０におけるファスナーエレメント列のス
ライダーにより噛合した状態を示した横断面図である。

【符号の説明】

１，１ａ，１ｂ，３１ ファスナーテープ ５，３５ ファスナーエレメント列 １０，１０ｂ，４０ 固定用鎖編糸 １４，４４ 鎖編糸（地組織） １５，４５ 鎖編糸（テープ端部） １６，４６ トリコット編糸 １７，１７ａ，４７ 緯挿入糸（地組織） １８，１９，４８，４９ 緯挿入糸（補強用）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 経編の地組織よりなるファスナーテープ
   の長手側縁部のファスナーエレメント取付部に、連続状
   ファスナーエレメント列をファスナーテープの編成と同
   時に編込んだ編込みスライドファスナーにおいて、前記
   ファスナーエレメント取付部の最外側端部に鎖編目を編
   成し、この鎖編目に複数の緯挿入糸を各別に交互に交絡
   反転させてファスナーエレメント取付部の地組織を編成
   すると同時に、該ファスナーエレメント取付部の地組織
   に、連続状ファスナーエレメント列を複数の固定用鎖編
   糸により編込み固定するようにしたことを特徴とする編
   込みスライドファスナー。
2. 【請求項２】 経編の地組織よりなるファスナーテープ
   の長手側縁部のファスナーエレメント取付部に、連続状
   ファスナーエレメント列をファスナーテープの編成と同
   時に編込んだ編込みスライドファスナーにおいて、前記
   ファスナーエレメント取付部の最外側端部に鎖編目を編
   成し、この鎖編目に複数の緯挿入糸を各別に交互に交絡
   反転させてファスナーエレメント取付部の地組織を編成
   すると同時に、該ファスナーエレメント取付部の地組織
   に、連続状ファスナーエレメント列を複数の固定用鎖編
   糸をダブル組織に編込み固定するようにしたことを特徴
   とする編込みスライドファスナー。