JPH08306505A - 金属酸化物皮膜抵抗器およびその製造方法 - Google Patents

金属酸化物皮膜抵抗器およびその製造方法

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JPH08306505A
JPH08306505A JP7103962A JP10396295A JPH08306505A JP H08306505 A JPH08306505 A JP H08306505A JP 7103962 A JP7103962 A JP 7103962A JP 10396295 A JP10396295 A JP 10396295A JP H08306505 A JPH08306505 A JP H08306505A
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JP
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metal oxide
film
metal
resistance
oxide
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Application number
JP7103962A
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English (en)
Inventor
Akiyoshi Hattori
章良 服部
Yoshihiro Hori
堀  喜博
Masaki Ikeda
正樹 池田
Akihiko Yoshida
昭彦 吉田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 100kΩ程度以上の高抵抗値で、抵抗温度
係数の小さな金属酸化物皮膜抵抗器を提供する。 【構成】 絶縁性の基材1、基材1上の金属酸化物抵抗
皮膜2、およびその表面部分に金属酸化物抵抗皮膜2の
主構成金属元素と異なる金属イオンが拡散した拡散層3
を具備する金属酸化物皮膜抵抗器。また、絶縁性の基材
1と金属酸化物抵抗皮膜2との間に金属酸化物絶縁皮膜
を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電気機器の回路を
構成するのに広く用いられる金属酸化物皮膜抵抗器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】金属酸化物皮膜抵抗器は、一般に図4に
示すように、ムライトやアルミナ等の棒状の絶縁性基材
1、その表面に形成された酸化スズもしくはアンチモン
添加酸化スズ(ATO)の金属酸化物皮膜10、前記基
材の両端に圧入された金属製のキャップ端子5と6、前
記端子に溶接されたリード線7と8、および抵抗器の表
面に形成された保護膜9から構成されている。金属酸化
物皮膜材料が酸化スズ単相からなるものは、比抵抗が大
きく、抵抗の温度係数(TCR)も非常に大きいため、
使用条件が大きく限定され、実用的ではない。この理由
から、一般的には金属酸化物皮膜材料として、ATOが
実用化されている。
【0003】前記の金属酸化物皮膜抵抗器の製造方法
は、一般にスプレー法や化学蒸着法(CVD)等の化学
的製膜法によっている。これらの方法においては、60
0〜800℃に加熱した炉中で、塩化第二スズと三塩化
アンチモンを含む水溶液ないしは有機溶媒溶液の蒸気
を、棒状の基材1に噴霧することにより、基材の表面上
にATO膜(金属酸化物皮膜10)を形成する。さら
に、金属キャップ端子5、6を基材1の両端に圧入し、
所望の抵抗値になるように基材1を回転させながらAT
O膜の一部をダイアモンドカッタもしくはレーザでトリ
ミングを行い、キャップ端子5、6にリード線7、8を
溶接した後、樹脂製の保護膜9を形成することにより、
金属酸化物皮膜抵抗器を得る。このようにして得られる
金属酸化物皮膜抵抗器の完成抵抗値は、基材の大きさが
一定であれば、ATO膜の膜厚とトリミングのターン数
により異なるが、一般に10Ω〜100kΩである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の抵抗調整の手法
に基づくと、完成抵抗値が100kΩ以上の金属酸化物
皮膜抵抗器を得るためには、ATO膜の膜厚を薄くする
か、ATO膜のトリミング間隔を狭くするという方法を
とらなければならない。しかしながら、ATO膜の比抵
抗は約1×10-3〜1×10-2Ω・cmであるため、抵
抗値を高くするためには膜厚をかなり薄くしなければな
らない。このとき、膜自身の歪や、膜全体に占める膜表
面の空乏層の割合が増えるため、TCRが負の大きな値
になりやすいという問題がある。
【0005】また、ATO膜の初期抵抗値が低いため
に、トリミング後の最終抵抗値を100kΩ以上にしよ
うとすると、レーザなどによるトリミングのターン数が
多くなって、トリミングに非常に時間を要するととも
に、トリミング間隔が狭くなりすぎて、物理的にトリミ
ングできなくなってしまうという問題もある。そして、
以上のように、あまり膜厚を薄くしたり、トリミング間
隔を狭くすると、電気伝導の経路の断面積が減少すると
ともに、外界との接触面積が増え、電気的なストレスや
湿度等により、水分や絶縁基材中のアルカリイオンの影
響で、膜自身の抵抗値が変化してしまい、信頼性の高い
金属酸化物皮膜抵抗器を得ることが困難であった。本発
明は、上記課題を解決するもので、完成抵抗値が100
kΩ以上で、抵抗温度係数が小さく、高信頼性の金属酸
化物皮膜抵抗器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の金属酸化物皮膜
抵抗器は、少なくとも絶縁性基材、前記基材上の金属酸
化物抵抗皮膜、および前記抵抗皮膜の表面部分に抵抗皮
膜の主構成金属元素と異なる金属イオンが拡散した拡散
層を具備する。また、本発明の金属酸化物皮膜抵抗器
は、前記基材と金属酸化物抵抗皮膜との間に、金属酸化
物からなる絶縁皮膜を有する。前記の拡散層は、その厚
さ方向に前記拡散金属イオンの濃度勾配を有することが
好ましい。
【0007】本発明の金属酸化物皮膜抵抗器の製造方法
は、金属酸化物抵抗皮膜の主構成金属元素と異なる第2
の金属の化合物と、前記第2の金属に配位可能な有機化
合物と、これらを溶解する有機溶剤からなる溶液を調製
する工程、前記の溶液を金属酸化物抵抗皮膜に塗布する
工程、および塗布された塗膜を加熱することにより、前
記抵抗皮膜表面に前記第2の金属イオンが拡散した拡散
層を形成する工程を有する。また、本発明の金属酸化物
皮膜抵抗器の製造方法は、金属酸化物抵抗皮膜の主構成
金属元素と異なる第2の金属の化合物を含む溶液の蒸気
を、加熱下で金属酸化物抵抗皮膜に接触させることによ
り、前記抵抗皮膜表面に前記第2の金属イオンが拡散し
た拡散層を形成する工程を有する。
【0008】
【作用】金属酸化物抵抗皮膜の表面部分に、抵抗皮膜の
主構成金属元素と異なる金属イオンが拡散した拡散層を
形成することにより、抵抗皮膜の一部が比抵抗の高い拡
散層に置き換えられる。このため、電気伝導に寄与する
部分の厚みを減少させることなく、高抵抗化を図ること
ができるので、金属酸化物皮膜抵抗器としての信頼性を
低下させることがない。また、前記拡散層により、信頼
性の低下の要因である水分による抵抗皮膜の変質を抑え
ることができる。さらに、前記の拡散層の形成の際に、
拡散させる金属の薄い酸化物層が形成されると、抵抗皮
膜の変質抑制効果が一層向上する。ここで、前記抵抗皮
膜は、高い電気伝導性と高いキャリア濃度を有する材料
で、酸化スズ、酸化インジウムおよび酸化亜鉛よりなる
群から選択される少なくとも一種を主成分とするものが
好ましい。前記の酸化物は、その構成金属より価数の高
い元素、例えば酸化スズに対してSb、P、酸化インジ
ウムに対してSn、Zr、Ce、Ti、酸化亜鉛に対し
てAl、Inなどを添加することにより、容易に非化学
量論化合物となり、高い電気伝導性と高いキャリア濃度
を有し、かつ正のTCRを示す。
【0009】さらに、絶縁性基材と金属酸化物抵抗皮膜
の間に、金属酸化物からなる絶縁皮膜を形成することに
より、信頼性の低下のもう一つの要因である基材からの
アルカリイオンの拡散を抑えることができる。ここで、
前記絶縁皮膜は、アルカリイオンの抵抗皮膜への拡散を
抑えるものであり、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化
チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化スズよりなる群か
ら選択される少なくとも一種が好ましい。なお、酸化チ
タン、酸化スズについては、非化学量論化合物となり、
導電性を有する場合があるが、これらの化合物の比抵抗
は、価数の異なる金属を添加しなければ、抵抗皮膜の比
抵抗に比べて大きい。従って、金属酸化物皮膜抵抗器の
導電パスは主に抵抗皮膜となるため、完全絶縁皮膜と同
様な効果が得られる。
【0010】また、本発明の方法により抵抗皮膜表面に
形成される拡散層は、抵抗皮膜の面方向に同一の化学組
成分布を有し、皮膜の厚さ方向に前記第2の金属イオン
の濃度勾配を有しているため、負荷と無負荷時の間に生
じる熱衝撃に対して強く、拡散層の剥離が生じない。こ
こで、第2の金属の化合物としては、拡散層の抵抗値お
よびTCRを制御するために加えられる金属塩であり、
前記金属に配位可能な有機化合物と置換できるような配
位子を持つものであればよい。第2の金属元素として、
アルミニウム、マグネシウム、チタン、バナジウム、ク
ロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、
モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イット
リウム、ジルコニウム、インジウム、スズ、アンチモ
ン、ランタン、セリウム等が挙げられる。また、これら
金属の塩として、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、フッ化物等
の無機塩や、2−エチルヘキサン酸等のカルボン酸塩、
シュウ酸塩等のジカルボン酸塩、アセチルアセトン錯塩
等が挙げられる。
【0011】また、前記金属に配位可能な有機化合物と
しては、前記金属に一部配位して、有機溶剤に対する溶
解性をもたせるために必要であり、2−アミノエタノー
ルのようなα−またはβ−アミノアルコール類、β−ジ
ケトン類、α−またはβ−ケトン酸類、前記ケトン酸類
のエステル類が挙げられる。さらに、有機溶剤として
は、本発明で用いる有機化合物や無機化合物を溶解する
ものであればよく、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の
アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステ
ル類、アセトン、ジエチルケトン等のケトン類、メトキ
シエタノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコ
ール類、水、塩酸、硝酸等の水系溶媒などが挙げられ
る。前記の拡散層の形成により、抵抗値を高くすること
による信頼性の低下を抑えることができる。従って、本
発明によれば、高抵抗で、信頼性の高い金属酸化物皮膜
抵抗器を得ることができる。
【0012】
【実施例】図1は本発明の一実施例の金属酸化物皮膜抵
抗器を示す。絶縁性基材1、基材1上に形成された金属
酸化物抵抗皮膜2、抵抗皮膜2の表面に形成された拡散
層3、基材1の両端に圧入された金属製のキャップ端子
5、6、前記端子に溶接されたリード線7、8、および
抵抗器の表面に形成された保護膜9から構成されてい
る。ここで、基材1は少なくとも表面上に絶縁性を有し
ていればよく、ムライト、アルミナ、コージェライト、
フォルステライト、ステアタイト等の磁器から構成する
のが好ましい。また、キャップ端子5、6は抵抗皮膜2
とオーミックに接合されるものであればよく、また、リ
ード線7、8もキャップ端子5、6にオーミックに接合
されるものであればよい。図2は他の実施例の金属酸化
物皮膜抵抗器を示す。絶縁性基材1上に金属酸化物絶縁
皮膜4が形成され、その上に金属酸化物抵抗皮膜2が形
成され、抵抗皮膜2の表面に拡散層3が形成されてい
る。この他の構成は図1と同様である。なお、図1およ
び図2のサイズは必ずしも正確なものではない。
【0013】図3は、加熱された絶縁性基材の表面に、
金属酸化物からなる絶縁皮膜または抵抗皮膜形成用組成
物の蒸気もしくはミストを供給して金属酸化物皮膜を形
成するための装置を示している。また。この装置は、金
属酸化物抵抗皮膜の表面に拡散層を形成するのにも利用
される。金属酸化物を形成しようとする基材を入れた石
英製反応管11は、同じく石英製の炉芯管12内に、パ
ッキン13により固定されている。電気炉14内に挿入
された炉芯管12は、図示しない駆動装置により駆動さ
れて電気炉14内において適当な回転速度で回転される
ようになっている。金属酸化物皮膜形成用組成物15を
収容した原料供給器16は、キャリアガスを供給するガ
ス供給器17とパイプ18によって連結されるととも
に、パイプ19によって反応管11に連結されている。
また、反応管11の他方端には、パイプ20によって排
気装置21が連結されている。
【0014】この装置を用いて基材の表面に金属酸化物
皮膜を形成するには、まず基材を反応管11に入れて図
示のようにセットし、電気炉14により基材を加熱し、
前記金属酸化物皮膜形成用組成物が熱分解する温度以上
に保持するとともに、反応管11を回転させる。この状
態でガス供給器17からパイプ18を通じて原料供給器
16にキャリアガスを送り込み、パイプ19を通じて金
属酸化物皮膜形成用組成物の蒸気もしくはミストを反応
管11に供給する。反応管11に供給された前記蒸気も
しくはミストは、基材に接して分解し、基材表面に金属
酸化物皮膜を形成する。そして、未分解の金属酸化物皮
膜形成用組成物は、ガス排気装置21で吸引され、冷却
して回収される。なお、ガス供給器17から供給される
キャリアガスとしては、空気、酸素、または窒素、アル
ゴン等の不活性ガスが用いられる。このキャリアガスの
流量によって、前記蒸気もしくはミストの供給量を制御
することができる。また、原料供給器16を加熱するか
もしくは原料供給器に超音波をあてることにより、前記
蒸発もしくはミストの供給量を制御することもできる。
なお、反応管11を回転させるのは、金属酸化物皮膜を
基材上に均一に形成するためであり、反応管11を回転
させる代わりに機械的な振動を与えてもよい。また、炉
芯管12を回転させる必要性は特になく、本実施例では
反応管11の回転を安定にするために炉芯管12に固定
している。
【0015】[実施例1]本実施例では、図1に示す構
成の金属酸化物皮膜抵抗器を作製した。まず、金属酸化
物抵抗皮膜2を形成するための組成物と拡散層3を形成
するための組成物は以下のようにして作成した。200
mlの三角フラスコに、5gの塩化第二スズ(SnCl
4・5H2O)と、金属のモル数で換算して、かつ式Sb
/(Sn+Sb)で表される値が0.09の三塩化アン
チモン(SbCl3)を秤量し、68mlのメタノール
と8mlの濃塩酸を加えて溶解させ、抵抗皮膜形成用組
成物を作成した。また、200mlの三角フラスコに、
各種金属Mの塩化物を所定量秤量し、75mlのメタノ
ールを加えて溶解させ、塩化物濃度が0.2モル/リッ
トルの拡散層形成用組成物を作成した。次に、図3の装
置を用いて、アルミナ分92%の円柱状の基材1(外形
2mm、長さ10mm、表面粗さRa 0.3μm)の
表面に金属酸化物抵抗皮膜および拡散層を順次形成し
た。すなわち、まず前記の基材1を反応管11中に、ま
た抵抗皮膜形成用組成物を原料供給器16にそれぞれ入
れた。キャリアガスには空気を用い、ガス流量を1リッ
トル/min、基材1の加熱温度を800℃とした。な
お、基材の加熱温度は、基材の変形温度もしくは形成さ
れる抵抗皮膜の融点以下であればよく、加熱温度は高い
方が得られる抵抗皮膜の膜質は良好であり、400〜9
00℃が好ましい。800℃で反応管11中の基材1を
30分間保持し、次いで抵抗皮膜形成用組成物2gを反
応管11中に12分間かけて送り、基材表面に抵抗皮膜
2を形成した後、さらに800℃で10分間保持した。
このようにして形成される抵抗皮膜2の膜厚は通常数十
〜数千nmであるが、本実施例では約300nmであっ
た。
【0016】次に同様にして、抵抗皮膜2の形成された
基材1を反応管11中に、また拡散層形成用組成物を原
料供給器16にそれぞれ入れた。キャリアガスには空気
を用い、ガス流量は1リットル/min、基材1の加熱
温度は800℃とした。なお、この場合の加熱温度は、
基材1の変形温度および抵抗皮膜2の融点以下で、抵抗
皮膜と拡散層形成用組成物との反応開始温度以上であれ
ばよく、用いる金属化合物によって異なるが、500〜
900℃が好ましい。800℃で反応管11中の基材1
を30分間保持し、次いで拡散層形成用組成物1.2g
を反応管11中に7分間かけて送り、抵抗皮膜2と拡散
層形成用組成物を反応させ、さらに800℃で10分間
保持した。このようにして抵抗皮膜2の表面へ金属Mの
イオンを拡散させた。こうして抵抗皮膜2の表面に拡散
層を形成した基材1の両端に、スズメッキされたステン
レス鋼製のキャップ端子5、6を圧入し、レーザで12
ターン分のトリミングを行った後、キャップ端子5、6
にスズメッキされた銅製のリード線7、8を溶接した。
最後に、拡散層3の表面に、熱硬化性の樹脂ペーストを
塗布・乾燥し、150℃で10分間加熱処理し、絶縁性
の保護膜9を形成して、本発明の金属酸化物皮膜抵抗器
を得た。なお、保護膜9は、絶縁性と耐湿性を有してい
ればよく、材質としては樹脂のみまたは無機フィラーを
含有したものが用いられる。また、保護膜の硬化には、
熱以外に可視光や紫外線等の光を用いてもよい。
【0017】抵抗皮膜に各種の金属Mのイオンを拡散さ
せた金属酸化物皮膜抵抗器の特性を表1に挙げる。抵抗
の温度係数(TCR)は、25℃〜125℃における値
であり、抵抗の変化率は、温度60℃、相対湿度95%
のもとで、100時間放置した後の放置前の値に対する
変化率である。
【0018】
【表1】
【0019】[実施例2]200mlの三角フラスコ
に、10mlのチタンテトライソプロポキシド(Ti
[OCH(CH3)CH34)を秤量し、40mlのメ
タノールを加えて溶解させ、金属酸化物絶縁皮膜形成用
組成物を作成した。また、200mlの三角フラスコ
に、各種金属Mの硝酸塩を所定量秤量し、10mlのア
セチルアセトンを加え、室温で混合・溶解させた後、9
0mlのアセトンを加えて希釈して、硝酸塩濃度が0.
2/リットルの拡散層形成用組成物を作成した。図3の
装置を用い、基材1を反応管11中に、また前記絶縁皮
膜形成用組成物を原料供給器16にそれぞれ入れた。キ
ャリアガスには空気を用い、ガス流量は1リットル/m
in、基材1の加熱温度は800℃とした。なお、基材
1の加熱温度は、基材1の変形温度と形成される絶縁皮
膜4の融点以下であればよく、加熱温度は高い方が得ら
れる絶縁皮膜の膜質は良好であり、600〜900℃が
好ましい。
【0020】800℃で反応管11中の基材1を30分
間保持し、次いで2gの前記絶縁皮膜形成用組成物を反
応管11中に10分間かけて送り、絶縁皮膜4を形成し
た後、さらに800℃で10分間保持した。このように
して形成される絶縁皮膜の膜厚は通常数十〜数千nmで
あるが、本実施例では約100nmであった。次に同様
に、前記絶縁皮膜4の形成された基材1を反応管中に、
実施例1と同じ抵抗皮膜形成用組成物を原料供給器16
に入れ、反応管11中の基材1を800℃で30分間保
持した後、2.5gの前記抵抗皮膜形成用組成物を反応
管11中に15分間かけて送り、絶縁皮膜4上に抵抗皮
膜2を形成した後、さらに800℃で10分間保持し
た。こうして形成された抵抗皮膜の厚さは約4000n
mであった。次に、前記絶縁皮膜4と抵抗皮膜2が形成
された基材1上に、上記の拡散層形成用組成物をディッ
プコートした。なお、拡散層形成用組成物の塗布に、本
実施例ではディップコート法を用いたが、スプレー法や
ディスペンサ等による塗布を用いることもできる。前記
の拡散層形成用組成物の塗膜を形成した基材を60℃で
5分間乾燥した後、空気中において800℃で10分間
加熱し、抵抗皮膜2の表面に拡散層3を形成した。この
後は実施例1に同様に、抵抗皮膜のトリミング、保護膜
の形成などを行い、図2に示すような金属酸化物皮膜抵
抗器を得た。上記のようにして抵抗皮膜に各種の金属M
のイオンを拡散させた金属酸化物皮膜抵抗器の特性を表
2に挙げる。
【0021】
【表2】
【0022】[実施例3]200mlの三角フラスコ
に、5gの酢酸亜鉛を秤量し、100mlの水と少量の
塩酸を加えて溶解させ、拡散層形成用組成物を作成し
た。実施例1と同様にして金属酸化物抵抗皮膜2を形成
した基材1を反応管中に、前記拡散層形成用組成物を原
料供給器16にそれぞれ入れた。キャリアガスには酸素
を用い、ガス流量は1リットル/min、基材1の加熱
温度は800℃とした。800℃で反応管11中の基材
1を30分間保持した後、0.8gの前記拡散層形成用
組成物を反応管11中に5分間かけて送り、抵抗皮膜2
と前記拡散層形成用組成物とを反応させ、さらに800
℃で10分間保持して、金属Mのイオンを前記抵抗皮膜
2へ拡散させた。その後は実施例1と同様にして金属酸
化物皮膜抵抗器を作成した。
【0023】[実施例4]200mlの三角フラスコ
に、12.6gの塩化亜鉛(ZnCl2)とIn/(Z
n+In)の値が0.02となるように塩化インジウム
(InCl3・3H2O)を秤量し、100mlの純水を
加えて溶解させ、金属酸化物皮膜形成用組成物を作成し
た。また、200mlの三角フラスコに、5gの塩化第
二スズ(SnCl4・5H2O)を秤量し、75mlのメ
タノールを加えて溶解させ、拡散層形成用組成物を作成
した。800℃で反応管11中の基材1を30分間保持
した後、原料供給器16に入れた前記抵抗皮膜形成用組
成物16gをキャリアガスの空気の流量1リットル/m
inで反応管11中に20分間かけて送り、基材の表面
に抵抗皮膜2を形成した後、さらに800℃で10分間
保持した。こうして得た抵抗皮膜の厚みは約3000n
mであった。次に、この抵抗皮膜の形成された基材を反
応管11中に、また前記拡散層形成用組成物を原料供給
器16にそれぞれ入れ、800℃で反応管11中の基材
1を30分間保持した後、拡散層形成用組成物0.8g
をキャリアガスの窒素の流量1リットル/minで反応
管11中に5分間かけて送り、抵抗皮膜と前記拡散層形
成用組成物とを反応させ、さらに800℃で10分間保
持して、金属Mのイオンを前記抵抗皮膜2へ拡散させ
た。その後は実施例1に同様にして金属酸化物皮膜抵抗
器を作成した。
【0024】[比較例1]拡散層3を形成しない他は実
施例3と同様の金属酸化物皮膜抵抗器を作成した。 [比較例2]1gの金属酸化物皮膜形成用組成物を反応
管11中に5分間かけて送ることにより、抵抗皮膜の膜
厚を約100nmとした他は比較例1と同様の金属酸化
物皮膜抵抗器を作成した。表3に実施例3、4および比
較例1、2の金属酸化物皮膜抵抗器の特性を挙げる。
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、100k
Ω以上と高い抵抗値を有し、しかも抵抗温度係数の小さ
な金属酸化物皮膜抵抗器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における金属酸化物皮膜抵抗
器の縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施例における金属酸化物皮膜抵
抗器の縦断面図である。
【図3】本発明の実施例に用いた金属酸化物皮膜製造装
置の概略構成を示す縦断面図である。
【図4】従来の金属酸化物皮膜抵抗器の縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基材 2 金属酸化物抵抗皮膜 3 拡散層 4 金属酸化物絶縁皮膜 5、6 キャップ端子 7、8 リード線 9 保護膜 10 金属酸化物皮膜 11 反応管 12 炉芯管 13 パッキン 14 電気炉 15 皮膜形成用組成物 16 原料供給器 17 ガス供給装置 18、19、20 パイプ 20 排気装置
フロントページの続き (72)発明者 吉田 昭彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも絶縁性基材、前記基材上の金
    属酸化物抵抗皮膜、および前記抵抗皮膜の表面部分に抵
    抗皮膜の主構成金属元素と異なる金属イオンが拡散した
    拡散層を具備することを特徴とする金属酸化物皮膜抵抗
    器。
  2. 【請求項2】 少なくとも絶縁性基材、前記基材上の金
    属酸化物絶縁皮膜、前記絶縁皮膜上の金属酸化物抵抗皮
    膜、および前記抵抗皮膜の表面部分に抵抗皮膜の主構成
    金属元素と異なる金属イオンが拡散した拡散層を具備す
    ることを特徴とする金属酸化物皮膜抵抗器。
  3. 【請求項3】 前記拡散層が、その厚さ方向に前記拡散
    金属イオンの濃度勾配を有する請求項1または2記載の
    金属酸化物皮膜抵抗器。
  4. 【請求項4】 前記抵抗皮膜が、酸化スズ、酸化インジ
    ウムおよび酸化亜鉛よりなる群から選択される少なくと
    も一種を主成分とする請求項1、2または3記載の金属
    酸化物皮膜抵抗器。
  5. 【請求項5】 前記絶縁皮膜が、酸化チタン、酸化珪
    素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化ス
    ズよりなる群から選択される少なくとも一種を主成分と
    する請求項2、3または4記載の金属酸化物皮膜抵抗
    器。
  6. 【請求項6】 金属酸化物抵抗皮膜の主構成金属元素と
    異なる第2の金属の化合物と前記第2の金属に配位可能
    な有機化合物とこれらを溶解する有機溶剤からなる溶液
    を調製する工程、前記の溶液を金属酸化物抵抗皮膜に塗
    布する工程、および塗布された塗膜を加熱することによ
    り、前記抵抗皮膜表面に前記第2の金属イオンが拡散し
    た拡散層を形成する工程を有することを特徴とする金属
    酸化物皮膜抵抗器の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属酸化物抵抗皮膜の主構成金属元素と
    異なる第2の金属の化合物を含む溶液の蒸気を、加熱下
    で金属酸化物抵抗皮膜に接触させることにより、前記抵
    抗皮膜表面に前記第2の金属イオンが拡散した拡散層を
    形成する工程を有することを特徴とする金属酸化物皮膜
    抵抗器の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金属酸化物抵抗皮膜が、酸化スズ、
    酸化インジウムおよび酸化亜鉛よりなる群から選択され
    る少なくとも一種を主成分とする請求項6または7記載
    の金属酸化物皮膜抵抗器の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記溶液が、アルミニウム、マグネシウ
    ム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
    ルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、タングステ
    ン、タンタル、ニオブ、イットリウム、ジルコニウム、
    インジウム、スズ、アンチモン、ランタンおよびセリウ
    ムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の無機
    化合物または有機化合物を含む請求項6または7記載の
    金属酸化物皮膜抵抗器の製造方法。
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