JPH08306009A - 磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドおよびその製造方法

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JPH08306009A
JPH08306009A JP13730095A JP13730095A JPH08306009A JP H08306009 A JPH08306009 A JP H08306009A JP 13730095 A JP13730095 A JP 13730095A JP 13730095 A JP13730095 A JP 13730095A JP H08306009 A JPH08306009 A JP H08306009A
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JP
Japan
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resin layer
magnetic
magnetic head
core
sliding surface
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Application number
JP13730095A
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English (en)
Inventor
Tomoo Otsuka
智雄 大塚
Toshio Uehara
敏夫 上原
Masahiro Iizuka
雅博 飯塚
Kenji Shiga
健治 志賀
Takashi Sato
隆 佐藤
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ヘッドの摺動面に磁気テープの磁粉が付
着しにくいようにし、磁粉の付着によるヘッド特性の劣
化を抑制する。 【構成】 シールド板2a,2bとコア3との間に現れ
る樹脂層5の表面を、イオンエッチングなどの工程で掘
り込み、シールド板2a,2bおよびコア3の表面S1
と、樹脂層5の表面S2との間に段差量Dを設定する。
樹脂層5の表面S2を後退させておくことにより、樹脂
層5と磁気テープとが接触する確率を低下させ、磁粉が
磁気ヘッドの摺動面に付着しにくくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープなどの磁気
記録媒体と摺動する摺動面に、コアおよびシールド板を
保持する樹脂層が現れている磁気ヘッドに係り、特に摺
動面に磁粉が付着しにくいようにして記録または再生特
性を向上させた磁気ヘッドおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図8は、ステレオカセットテーププレー
ヤに用いられる磁気ヘッドを示す斜視図、図9は前記磁
気ヘッドの摺動面Haの中心部分を示す部分拡大斜視図
である。この種の磁気ヘッドHは、シールドケース1と
シールド板2a,2bがそれぞれソフトパーマロイ(F
e−Ni−Mo)により形成され、磁気ギャップGを形
成するコア3がハードパーマロイ(Fe−Ni−Nb)
の積層材により形成されている。図9に示すように、前
記シールド板2aおよびシールド板2b,2bは、それ
ぞれの両側面部分に、磁気絶縁のための非磁性材料の磁
気絶縁層4,4,…が形成されている。この絶縁層4
は、例えばCu−Ni系合金などにより形成されてい
る。
【0003】前記シールド板2a,2bおよびコア3
は、エポキシ系の樹脂層5によって、シールドケース1
内に固定されている。磁気ヘッドHの磁気テープT(磁
気記録媒体)との摺動面Haでは、中央のシールド板2
aとのその両側のコア3とで挟まれた領域(イ)、シー
ルド板2b,2bとその両側のコア3とで挟まれた領域
(ロ)、およびシールド板2a,2bとコア3の周囲と
シールドケース1に形成された窓1aの周縁とで囲まれ
た領域(ハ)のそれぞれにおいて、樹脂層5が現れてい
る。また図8に示すように、シールドケース1の両側面
には、テープガイド部材6が取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の磁気ヘッドで
は、磁気記録媒体との摺動面Haに磁気テープの磁粉が
付着しやすいという欠点がある。磁気テープTは、ポリ
エステルなどのベースフィルムに磁性層が形成され、こ
の磁性層は、例えばγ−Fe23などの磁粉の微粒子と
バインダーなどにより形成されている。磁気テープTが
磁気ヘッドHの摺動面Haを摺動するときに、前記磁粉
とバインダーとが削り取られ、これが摺動面Haに付着
する。特に高温高湿度の環境下では、磁気テープTのバ
インダが溶融し磁粉がベースフィルムから剥がれやすく
なる。
【0005】摺動面Haでは、特に、領域(イ)(ロ)
(ハ)に現れている樹脂層5の表面に磁粉が付着しやす
い。すなわち、磁気テープTが摺動面Haを摺動すると
きに、磁気テープTのバインダおよび磁粉が樹脂層5の
表面に密着しこれにより磁粉がベースフィルムから剥が
れ、ベースフィルムから剥離した磁粉がそのまま樹脂層
5の表面に付着しやすい。また磁気ヘッドHの摺動面H
aでの樹脂層5が現れている領域以外でも磁気テープか
ら磁粉が剥離されることがあり、この現象は磁気ヘッド
H以外の例えばキャプスタンの部分でも生じる。これら
の各箇所で剥離された磁粉は、磁気テープTと共に樹脂
層5が現れている領域に運ばれ、樹脂層5が現れている
領域(イ)(ロ)(ハ)の各部分に磁粉が付着しやすく
なる。
【0006】図8に示すように、磁気ヘッドHの摺動面
Haにて磁気ギャップGが形成されている部分の両側に
溝7,7が形成されているものでは、ハッチングで示す
表面に磁気テープが摺動することになるが、このような
磁気ヘッドでは、溝7と溝7で囲まれた中央の部分に
て、樹脂層5の表面に磁粉が付着しやすくなる。磁気ヘ
ッドの摺動面Haに磁粉が付着すると、磁気ギャップG
が形成されている部分と磁気テープとのスペーシングロ
スが大きくなり、記録または再生時のヘッド特性が劣化
し、例えば再生時の周波数特性(F特)が劣化すること
になる。
【0007】また、磁気ヘッドHの摺動面Haの摩耗を
防止し、同時に摺動面Haへの磁粉の付着を防止するた
めに、摺動面Haに耐摩耗性材料の保護膜を形成するこ
とが考えられている。この保護膜は、摺動面Haにて、
シールドケース1、シールド板2a,2b、コア3およ
び樹脂層5の表面の全域に形成される。この保護膜を設
けることにより、磁気ヘッドHの耐摩耗性を向上でき、
併せて摺動面Haでの磁粉の付着を抑制できる。しか
し、保護膜はスペーシングロスとの関係で余り厚くでき
ず、膜厚は500〜1500オングストローム程度が上
限である。そのため、保護膜が形成されていても、その
下地となる材質により磁気テープの摺動特性が影響を受
け、保護膜が形成されていたとしても、樹脂層5の部分
で磁粉が付着しやすいという問題が残されたままであ
る。
【0008】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、保護膜が形成されまたは保護膜が形成されていな
いいずれの場合であっても、摺動面で樹脂層が現れてい
る部分に磁気記録媒体からの磁粉が付着しにくいように
した磁気ヘッドを提供することを目的としている。
【0009】また本発明は、磁粉が付着しにくい構造の
磁気ヘッドを従来のイオンエッチング技術を利用して製
造できるようにした磁気ヘッドの製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による磁気ヘッド
は、コアおよびシールド板がシールドケース内で樹脂層
により保持され、磁気記録媒体との摺動面に、前記コア
とシールド板および樹脂層が現れている磁気ヘッドにお
いて、前記摺動面に現れている樹脂層の表面が、コアお
よびシールド板の表面よりもシールドケース内方へ後退
していることを特徴とするものである。なお、シールド
板は、その両側面に磁気絶縁層が形成されているのが一
般的である。
【0011】上記の樹脂層は、各シールド板とコアとの
間、およびコアまたはシールド板とシールドケースに囲
まれた領域に現れているものであり、摺動面に現れてい
る樹脂層の表面全域が、シールド板とコアおよびシール
ドケースの表面から段差を介して後退したものとなる。
【0012】また、上記において、少なくともコアとシ
ールド板および樹脂層の表面が保護膜により被覆されて
いることが好ましい。
【0013】摺動面での磁粉の付着の抑制を効果的とす
るためには、前記保護膜が設けられていないものでは、
コアおよびシールド板の表面と、樹脂層の表面との段差
量が0.4μm以上であることが望ましく、保護膜が設
けられているものでは、前記段差量が0.2μm以上で
あることが望ましい。なお、前記各段差量は、例えば一
般的な触針式表面粗さ計を使用し、針圧100mgf、
針先2μmRの触針を用いて測定した場合である。
【0014】次に、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、
コアおよびシールド板がシールドケース内で樹脂層によ
り保持され、磁気記録媒体との摺動面に、前記コアとシ
ールド板および樹脂層が現れている磁気ヘッドにおい
て、イオンエッチングにより、摺動面に現れている樹脂
層の表面を掘って、樹脂層の表面をコアおよびシールド
板の表面よりもシールドケース内方へ後退させることを
特徴とするものである。
【0015】上記イオンエッチングは、磁気ヘッドの摺
動面にイオンを当てて樹脂層の表面を削るものであり、
例えば逆スパッタ現象を利用したもの、またはイオンガ
ンを利用したものなどを例示できる。
【0016】
【作用】本発明の磁気ヘッドでは、磁気テープなどの磁
気記録媒体との摺動面において、シールド板とコアとの
間、およびシールド板およびコアとシールドケースとの
間に現れている樹脂層を、シールド板とコアさらにはシ
ールドケースの表面よりも後退させるように掘り込んで
いる。したがって、摺動面にて磁気記録媒体が樹脂層の
表面と当たる確率が低下し、摺動面にて、磁気記録媒体
と樹脂層とが密着しにくくなり、樹脂層により磁気記録
媒体の磁粉が剥離されることが生じにくくなる。また、
樹脂層が現れている部分以外での磁気ヘッドの面、また
は磁気ヘッド以外の部材により磁気記録媒体から磁粉が
剥離された場合にも、磁粉が樹脂層の現れている部分に
付着しにくくなる。したがって、磁粉の付着によるスペ
ーシングロスの増大を防止でき、周波数特性の劣化など
を防止できるものとなる。
【0017】また、磁気ヘッドの摺動面に保護膜を形成
することにより、摺動面の摩耗を抑制でき、且つ磁粉の
付着も抑制できる。保護膜は、CrN、BN、DLC
(ダイヤモンドライクカーボン)またはAl23などの
ように、硬質で磁気記録媒体との摺動特性がよく、さら
に磁気ヘッド表面との密着性のよい材料により形成され
る。
【0018】上記保護膜は500〜1500オングスト
ローム程度の膜厚にて形成されるが、この程度の膜厚の
保護膜は、その下地となる材質の影響を受けやすく、保
護膜が形成されていても、樹脂層の領域での磁粉の付着
を完全に防止することはできない。そこで、保護膜が形
成されている場合において、樹脂層の表面をコアやシー
ルド板の表面よりも後退させておくことにより、樹脂層
の領域にて保護膜の表面に磁粉が付着するのを従来より
も抑制できるものとなる。すなわち、樹脂層の表面を後
退させ、さらに摺動面(少なくともコアとシールド板と
樹脂層の表面)に保護膜を形成することにより、摺動面
での磁粉の付着をさらに有効に抑制でき、同時に摺動面
でのコアやシールド板さらには樹脂層の摩耗を有効に防
止できるようになる。
【0019】摺動面に上記の保護膜を形成している場合
と保護膜を形成していない場合の双方において、摺動面
での樹脂層の表面と、コアおよびシールド板の表面との
段差量が大きいほど、樹脂層の部分に磁粉が付着しにく
くなる。これは図2に示す実験データでも明らかであ
る。図2は悪条件下での実験データであり、この条件下
では、摺動面に磁粉の付着が確認されるまでの時間が、
200時間以上であれば実用上問題はない。よって、保
護膜が形成されていない場合には、シールド板およびコ
アの表面と、樹脂層の表面との段差量が0.4μm以上
であることが好ましい。またCrNの保護膜が1000
オングストロームの膜厚にて形成されている場合には、
段差量は0.2μm以上であることが好ましい。
【0020】なお、磁気ヘッドの製造工程では、シール
ドケース内に、コアとシールド板とが樹脂層で固定され
た後に、ヘッド表面が研磨されて摺動面が形成される。
従来の製造工程では、この研磨作業の際に、樹脂層の表
面が、コアおよびシールド板の表面からやや突出するこ
とがあり、逆に樹脂層がやや後退することがあり得る。
従来の磁気ヘッドでの樹脂層表面と、コアおよびシール
ド板の表面との段差量の公差は、最大で0.2μm程度
である。すなわち、従来の磁気ヘッドでも、かなり低い
確率ではあるが、樹脂層の表面が、コアおよびシールド
板の表面よりも後退するものが生じる。ただし、前記公
差が最大となったものであっても、樹脂層の表面と、コ
アおよびシールド板の表面との段差は0.2μmが上限
である。図2から、段差量がこの公差内の磁気ヘッドで
は、摺動面に磁粉が付着しやすいものであることが解
る。本発明の磁気ヘッドは、樹脂層の表面と、コアおよ
びシールド板の表面との段差量が。上記公差範囲以上の
0.2μm以上または0.4μm以上となるように、樹
脂層を削り、磁粉の付着による弊害を改善したものであ
る。
【0021】上記磁気ヘッドは、イオンエッチング工程
により形成することが可能である。その工程は、シール
ドケース内に、コアおよびシールド板を樹脂層により固
着し、さらに摺動面を研磨した後に、逆スパッタ現象を
利用し、またはイオンガンを使用して、磁気ヘッドの前
面に対しほぼ均一にイオンを当てる。なおこのとき、原
則的には磁気ヘッドの表面にレジスト膜を形成すること
は不要である。上記のイオンの衝撃により、有機材料で
形成されている樹脂層の表面が、これよりも硬質のシー
ルド板、コアおよびシールドケースよりも、大きく削ら
れ、その結果、樹脂層の表面が、コアおよびシールド板
の表面よりも深くなるように掘り込まれる。
【0022】樹脂層の表面と、コアおよびシールド板の
表面との段差量は、イオンエッチングの精度により決め
られ、例えばグロー放電などを生じさせる電力とエッチ
ング時間とで制御できる。この精度すなわち段差量の寸
法は5%以内の誤差(公差)にて制御可能である。
【0023】また、磁気ヘッドの摺動面に保護膜を形成
する場合、従来は摺動面を液体洗浄などにより処理して
いたが、上記のイオンエッチングでは、樹脂層以外の表
面がイオンにより叩かれ、イオン洗浄が行われるため、
他の洗浄工程を用いることなく、保護膜の形成工程に移
行できる。
【0024】
【実施例】図1は、本発明による磁気ヘッドの主要部を
示す拡大断面図であり、図9のI−I線の断面図(磁気
ギャップG付近の縦断面図)である。磁気ヘッドHの構
造は、シールドケース1とシールド板2a,2bがそれ
ぞれソフトパーマロイ(Fe−Ni−Mo)により形成
され、磁気ギャップGを形成するコア3がハードパーマ
ロイ(Fe−Ni−Nb)の積層材により形成されてい
る。前記シールド板2aおよびシールド板2b,2b
は、それぞれの両側面部分に、磁気絶縁のための非磁性
材料の磁気絶縁層4,4,…がそれぞれ形成されてい
る。この絶縁層4は、例えばCu−Ni系合金などによ
り形成される。
【0025】前記シールド板2a,2bおよびコア3
は、エポキシ系の樹脂層5によって、シールドケース1
内に固定されているが、磁気ヘッドHの磁気テープT
(磁気記録媒体)との摺動面では、中央のシールド板2
aとのその両側のコア3とで挟まれた領域(イ)、シー
ルド板2b,2bとその両側のコア3とで挟まれた領域
(ロ)、およびシールド板2a,2bとコア3の周囲と
シールドケース1に形成された窓1aの周縁とで囲まれ
た領域(ハ)のそれぞれが、樹脂層5の露出部となって
いる。
【0026】図1に示すように、この磁気ヘッドでは、
前記(イ)(ロ)(ハ)の領域において、樹脂層5の表
面S2が、シールド板2a,2bおよびコア3の表面S
1よりも段差量Dだけシールドケース1の内方へ後退し
ている。その結果、磁気ヘッドHの摺動面Haにて、磁
気テープTと樹脂層5の表面S2とが直接に接触しにく
くなり、磁気テープTの磁粉およびバインダなどが樹脂
層5の表面S2に付着しにくくなる。
【0027】図2は、図8に示すような摺動面に溝7,
7が形成されている磁気ヘッドにおいて前記段差量D
と、磁粉の付着状態との関係を測定した実験データを示
している。図2において横軸は、段差量Dを単位(μ
m)で示し、縦軸は、磁気ヘッドHの摺動面Haのいず
れかの部分に、磁粉の付着が確認されるまでのテープ走
行時間を示している。
【0028】上記段差量Dの測定には、一般的な触針式
表面粗さ計を使用した。触針の針先は2μmR(半径2
μmのほぼ球面)で、針圧は100mgfとした。図5
は、触針式表面粗さ計により磁気ヘッドHの摺動面Ha
を測定したときの出力波形を示している。図5での測定
波形では、段差量Dの最小値がほぼ0.4μmで、最大
値がほぼ0.7μmである。図2の横軸は、個々の磁気
ヘッドでの各段差部の測定値の平均値をとったものであ
る。また段差量Dの測定は室温において行なった。
【0029】磁気テープは市販のγ−Fe23を磁粉と
したものであり、新品のカセットテープを使用した。磁
気ヘッドHは、後述のイオンエッチング工程を用いて樹
脂層5の表面を掘り込んだものであるが、イオンエッチ
ング工程の制御により、前記掘り込みによる段差量Dを
変えたものを複数種類用意した。すなわち、同じ構造の
磁気ヘッドで、前記段差量Dを9種類にて変えたものを
2個ずつ製造し、2個のうちの一方にのみ、磁気ヘッド
Hの前面の全領域に保護膜としてCrNを1000オン
グストロームの膜厚にて成膜した。これらの磁気ヘッド
を同種のカセットテーププレーヤに搭載し、磁気テープ
を磁気ヘッドに摺動させて走行させた。環境は、温度6
5℃、相対湿度50%とした。
【0030】そして、テープ走行を開始させたのちに摺
動面に磁粉の付着が確認されるまでの時間をプロットし
た。□印は、摺動面に前記保護膜が形成されていないも
の、◇印は、摺動面に前記保護膜が形成されているもの
である。図2では、摺動面にCrNの保護膜が形成され
ている磁気ヘッドと、保護膜が形成されていない磁気ヘ
ッドにおいて、共に前記段差量Dが大きくなるにしたが
って、磁粉の付着が確認されるまでに要する時間が長く
なるのが解る。
【0031】前記実験条件は、最も磁粉が付着しやすい
磁気テープであるγ−Fe23を使用し、また環境も温
度65℃で相対湿度50%の悪環境で行なっているが、
この環境下では、磁粉の付着が確認されるまでの時間が
200時間以上であることが実用上の最低条件である。
摺動面に保護膜が形成されていない磁気ヘッドにおい
て、磁粉の付着が確認されるまでのテープ走行時間が2
00時間以上となる条件は、前記段差量Dが0.4μm
以上である。さらに好ましくは0.5μmまたは0.6
μm以上であり、段差量Dが0.8ないし1.0μm以
上であれば、磁粉の付着が確認されるまでのテープ走行
時間を300時間以上にて安定させることができる。
【0032】また、磁気ヘッドの摺動面にCrNの保護
膜が1000オングストロームの膜厚にて形成されてい
る場合には、前記段差量Dを0.2μm以上とすること
により、磁粉の付着が確認されるまでのテープ走行時間
を200時間以上にでき、また段差量Dを0.3μm以
上とすることがさらに好ましく、段差量Dを0.8ない
し1.0μm以上とすることにより、磁粉の付着が確認
されるまでのテープ走行時間を400時間以上に安定さ
せることができる。また、図2から、CrNの保護膜を
成形すると、保護膜が形成されていないものに対し、段
差量Dを0.15μm程度大きくしたのと同等の磁粉付
着防止効果を達成できることが解る。
【0033】次に、図3は横軸に環境温度をとり、縦軸
に磁気ヘッドの摺動面からの樹脂の突出量を示したもの
である。この実験では、磁気ヘッドの摺動面にて、シー
ルド板2a,2bおよびコア3の表面S1と樹脂層5の
表面S2との段差量Dが0のものを比較例とし、また前
記段差量Dが1μmのものを実施例とした。この比較例
と実施例は、摺動面に保護膜をコーティングしていない
ものを使用した。
【0034】上記比較例および実施例の磁気ヘッドを8
0℃、85℃、90℃、…のように5℃ごとに高くなる
温度環境下に置き、それぞれの温度環境にて、摺動面か
ら樹脂層5が突出する寸法(μm)を測定した。図3で
は、段差量Dを0とした比較例の樹脂突出量の測定値を
□印で示し、段差量Dを1μmとしたものを+印で示し
ている。この実験において、加熱前の比較例および実施
例での段差量Dの測定は、室温において、図2に示す測
定結果を求めたときと同様にして行なった。また加熱後
の樹脂突出量の測定は、加熱された比較例と実施例を室
温環境下に戻し、一定時間放置した後に図2に示した測
定と同じ触針式表面粗さ計により行なった。また段差量
Dおよび樹脂突出量の測定値は、各樹脂層部分での測定
値の平均値とした。
【0035】この実験によると、シールド板2a,2b
およびコア3の表面S1と、樹脂層5の表面S2との段
差量Dを設けることによって、高温環境下において摺動
面での樹脂突出を抑制できることが解る。前記段差量D
が0の磁気ヘッドでは、温度が90℃以上となると摺動
面から樹脂が突出し始め、110℃以上で樹脂突出量が
顕著になる。一方、段差量Dを1μmとした実施例で
は、130℃の高温になるまで樹脂の突出が始まらず、
140℃以上で樹脂突出量が顕著になることが解る。
【0036】以上から、段差量Dを設けた磁気ヘッド
は、車載用のテーププレーヤのように高温環境下におか
れる装置に使用された場合に、摺動面での樹脂突出を抑
制でき、樹脂突出によるスペーシングロスが生じにくい
ことが解る。
【0037】さらに図4は、シールド板2a,2bおよ
びコア3の表面S1と、樹脂層5の表面S2とに段差量
Dを設けることによる周波数特性(F特)への影響を調
べた結果を示している。実験試料としては、図8に示す
構造の磁気ヘッドで、摺動面を研磨した新品のもの10
00個を比較例とした。同じく新品の磁気ヘッドの摺動
面に後述のイオンエッチングを施し、図1に示す段差量
Dのねらい値を1μmとなるように樹脂層5の表面を掘
り込み加工したもの1000個を実施例とした。
【0038】上記各磁気ヘッドを同種のテーププレーヤ
に搭載し、常温環境下にてテストテープからの磁気信号
を再生させ、その周波数特性の分布(F特分布)を測定
した。すなわち、12.5kHzの信号の再生出力と3
15Hzの信号の再生出力との差が、規格値の8.5d
BであるものをF特の0dBとし、磁気ヘッドで測定し
た12.5kHzと315Hzの再生出力差と、前記規
格値8.5dBとの差をF特として横軸にとったもので
ある。図4では、各F特のそれぞれの値に分布する比較
例(D=0)の個数を右上がりハッチングの棒線で示
し、実施例(D=1μm)の個数を左上がりのハッチン
グの棒線で示している。
【0039】図4から、摺動面を研磨しただけの従来の
磁気ヘッド(比較例)では、F特が劣化しているものの
分布が大きく、これは製造直後の磁気ヘッドにおいて摺
動面から樹脂が突出しているものが多いことを意味して
いる。一方、後述のイオンエッチングにより予め樹脂層
5の表面S2を掘り込んだものでは、樹脂層が摺動面か
ら突出するものがなく、F特の分布が安定していること
が解る。
【0040】次に、図6と図7は、図1に示すような段
差量Dを設けた磁気ヘッドの製造方法を示すものであ
る。この磁気ヘッドは、イオンエッチング工程により製
造できる。図6は逆スパッタ現象を利用したもの、図7
はイオンガンを利用したものである。図6に示すもので
は、真空チャンバ11内に、陰極12と陽極13を平行
に対向させ、陰極12上に磁気ヘッドHを設置する。磁
気ヘッドHの摺動面Haは陽極13に向けられる。真空
チャンバ11には導入口14から、アルゴン(Ar)ガ
ス、アルゴンと酸素(O2)の混合ガス、またはアルゴ
ンと窒素(N2)の混合ガスが導入される。排気口15
には真空ポンプが接続されて真空チャンバ11内が所定
の低圧値に設定される。陰極12は、チャンバ11と絶
縁体16により電気的に絶縁される。また、高周波電源
17のマイナス側が、ブロッキングコンデンサ18を介
して陰極12に接続されている。または、陰極12に高
圧の直流電源のマイナス側が接続される。
【0041】図6に示す装置では、陽極13と陰極12
の間でにグロー放電によるプラズマが生成され、アルゴ
ンなどの正イオンが陰極12に引かれ、磁気ヘッドHの
摺動面Haにほぼ均一に当たる。その結果、有機材料の
樹脂層5の表面S2が、シールド板2a,2bおよびコ
ア3の表面S1よりも深くなるように掘り込まれる。
【0042】図7に示すものはイオンビームスパッタ装
置であり、真空チャンバ21内に基板22が設置され、
その上に磁気ヘッドHが摺動面Haを上向きとして設置
される。排気口23は排気ポンプに接続され、真空チャ
ンバ21内が低圧に設定される。正イオン発生室24で
は、導入口25からアルゴンガスなどが導入され、熱陰
極26と陽極27との間のグロー放電によりプラズマが
生成され、アルゴンなどの正イオンが発生する。この正
イオンは、グリッド28により加速されて、磁気ヘッド
Hの摺動面Haに当たる。このイオンビームが摺動面H
aにほぼ均一に照射されると、樹脂層5の表面S2が掘
り込まれる。
【0043】図6に示す逆スパッタによるイオンエッチ
ング、および図7に示すイオンビームスパッタによるイ
オンエッチングでは、いずれも磁気ヘッドHの摺動面H
aにイオンが均一に照射され、よって、図9に示す
(イ)(ロ)(ハ)の各領域にて、樹脂層5の表面がほ
ぼ均一にエッチングされて除去される。このときの樹脂
層5の表面の掘り込み量(段差量D)は、イオン生成で
の電力およびエッチング時間とにより調整でき、段差量
Dを、ねらい値の5%以内の誤差にて設定することが可
能である。
【0044】また、樹脂層5以外の部分、すなわちシー
ルド板2a,2bとコア3およびシールドケース1の表
面は、上記イオンエッチングの際に異物が除去されて洗
浄される。よってイオンエッチング工程の後に洗浄工程
を別途に設けることなく、そのままCrNなどの保護膜
の生成工程に移行させることも可能である。なお、本発
明での磁気ヘッドは、図8に示すように摺動面に溝7,
7が形成されているものに限られず、溝7,7が形成さ
れていないものであっても実施可能である。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の磁気ヘッドで
は、摺動面に樹脂が現れている領域での磁粉の付着を抑
制でき、磁粉の付着によるスペーシングロスを低下でき
る。また摺動面に保護膜が形成されているものにおいて
も、樹脂の部分で磁粉の付着を有効に防止できる。
【0046】さらに本発明の磁気ヘッドの製造方法で
は、摺動面での、シールド板およびコアの表面と、樹脂
の表面との段差量を高精度に設定できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドのテープ摺動面を示すもの
であり、図9のI−I線の断面に相当する拡大断面図、
【図2】シールド板およびコアの表面と、樹脂表面との
段差量と、磁粉付着時間との関係を示す線図、
【図3】環境温度と、摺動面からの樹脂突出量との関係
を示す線図、
【図4】シールド板およびコアの表面と、樹脂表面との
段差があるものと、ないものとでのF特分布の相違を示
す線図、
【図5】触針式表面粗さ計を用いて磁気ヘッドの摺動面
の段差量を測定したときの出力波形図、
【図6】磁気ヘッドの製造工程(樹脂層のエッチング工
程)に使用するスパッタ装置を示す構成図、
【図7】磁気ヘッドの製造工程(樹脂層のエッチング工
程)に使用するイオンガンスパッタ装置を示す構成図、
【図8】磁気ヘッドの外観斜視図、
【図9】図8の磁気ヘッドの摺動面の拡大斜視図、
【符号の説明】
1 シールドケース 2a,2b シールド板 3 コア 4 磁気絶縁層 5 樹脂層 11 真空チャンバ 12 陰極 13 陽極 21 真空チャンバ 22 基板 26 熱陰極 27 陽極 28 グリッド H 磁気ヘッド Ha 摺動面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志賀 健治 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 佐藤 隆 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアおよびシールド板がシールドケース
    内で樹脂層により保持され、磁気記録媒体との摺動面
    に、前記コアとシールド板および樹脂層が現れている磁
    気ヘッドにおいて、前記摺動面に現れている樹脂層の表
    面が、コアおよびシールド板の表面よりもシールドケー
    ス内方へ後退していることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 コアおよびシールド板の表面と、樹脂層
    の表面との段差量が0.4μm以上である請求項1記載
    の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 少なくともコアとシールド板および樹脂
    層の表面が保護膜により被覆されている請求項1記載の
    磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 コアおよびシールド板の表面と、樹脂層
    の表面との段差量が0.2μm以上である請求項3記載
    の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 コアおよびシールド板がシールドケース
    内で樹脂層により保持され、磁気記録媒体との摺動面
    に、前記コアとシールド板および樹脂層が現れている磁
    気ヘッドにおいて、イオンエッチングにより、摺動面に
    現れている樹脂層の表面を掘って、樹脂層の表面をコア
    およびシールド板の表面よりもシールドケース内方へ後
    退させることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
JP13730095A 1995-05-10 1995-05-10 磁気ヘッドおよびその製造方法 Withdrawn JPH08306009A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001054117A1 (fr) * 2000-01-20 2001-07-26 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Tete em, procede de fabrication de cette tete, et dispositif d'enregistrement magnetique et de reproduction

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