JPH08304035A - 色彩測定を利用した膜厚定量方法 - Google Patents
色彩測定を利用した膜厚定量方法Info
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- JPH08304035A JPH08304035A JP11348795A JP11348795A JPH08304035A JP H08304035 A JPH08304035 A JP H08304035A JP 11348795 A JP11348795 A JP 11348795A JP 11348795 A JP11348795 A JP 11348795A JP H08304035 A JPH08304035 A JP H08304035A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は固体表面の薄膜(同固体とは複素屈
折率の波長依存性の異なるもの)の膜厚を定量する方法
を提供する。 【構成】 固体表面の薄膜(同固体とは複素屈折率の波
長依存性の異なるもの)の膜厚定量法において、光電型
色彩計を用いてあらかじめ厚さが既知の同薄膜によって
覆われた同固体の、均等知覚色空間であるL*,a*,
b* 表色系等の表色指数を測定することによって、膜厚
と表色指数との相関関係を表す膜厚補正線を作成してお
き、次に膜厚が未知の同薄膜に覆われた同固体表面の当
該表色指数を当該色彩計で測定し、当該補正線と比較す
ることによって未知の薄膜の厚さを決定する膜厚定量方
法。
折率の波長依存性の異なるもの)の膜厚を定量する方法
を提供する。 【構成】 固体表面の薄膜(同固体とは複素屈折率の波
長依存性の異なるもの)の膜厚定量法において、光電型
色彩計を用いてあらかじめ厚さが既知の同薄膜によって
覆われた同固体の、均等知覚色空間であるL*,a*,
b* 表色系等の表色指数を測定することによって、膜厚
と表色指数との相関関係を表す膜厚補正線を作成してお
き、次に膜厚が未知の同薄膜に覆われた同固体表面の当
該表色指数を当該色彩計で測定し、当該補正線と比較す
ることによって未知の薄膜の厚さを決定する膜厚定量方
法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に金属産業分野、特に
自動車、建材、缶材などの分野で、プレス成形、接合、
組み付けおよび燐酸塩化成処理後に塗装される用途に利
用される合金板の表面酸化層を除去するに際して、その
除去の程度の測定や金属板製造産業分野で、圧延油や防
錆油などの付着量を管理するための測定に関するもので
ある。
自動車、建材、缶材などの分野で、プレス成形、接合、
組み付けおよび燐酸塩化成処理後に塗装される用途に利
用される合金板の表面酸化層を除去するに際して、その
除去の程度の測定や金属板製造産業分野で、圧延油や防
錆油などの付着量を管理するための測定に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】固体表面に薄膜層が存在する場合、従来
の薄膜層の厚さの定量方法としては、例えばX線光電子
分光法や偏光解析法が挙げられる。一方、光電型色彩計
は国際照明委員会(CIE)によって定義された三刺激
値を測定し、たとえばL* a *b *表色系の表色指数な
どに変換して色彩を定量化するものである。該光電型色
彩計は分光型色彩計と違って、回折格子やプリズムなど
の分光器を使わず、三刺激値と同じ感度を持った3つの
センサーで直接三刺激値を求めるものである。したがっ
て光電型色彩計は分光型に比べて小型、安価、高価、高
操作性、迅速測定ができるなどの利点を持ち、従来より
塗装、染色、印刷等の産業において色品質の管理などに
使われてきている。
の薄膜層の厚さの定量方法としては、例えばX線光電子
分光法や偏光解析法が挙げられる。一方、光電型色彩計
は国際照明委員会(CIE)によって定義された三刺激
値を測定し、たとえばL* a *b *表色系の表色指数な
どに変換して色彩を定量化するものである。該光電型色
彩計は分光型色彩計と違って、回折格子やプリズムなど
の分光器を使わず、三刺激値と同じ感度を持った3つの
センサーで直接三刺激値を求めるものである。したがっ
て光電型色彩計は分光型に比べて小型、安価、高価、高
操作性、迅速測定ができるなどの利点を持ち、従来より
塗装、染色、印刷等の産業において色品質の管理などに
使われてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の固体表面の薄膜
の厚さの定量法には以下のような欠点があった。すなわ
ち、X線光電子分光法や偏光解析法は装置が高価であ
る、解析に時間を要する等の欠点があり、またX線光電
子分光法は測定雰囲気や試料形状に制限がある等の理由
から、たとえば製造工程の管理に用いるためには実用的
ではなく、使用範囲が制限されており、時間やコストの
面からより簡便な方法が望まれている。また、色彩計は
色品質の管理には従来から用いられているものの、とく
に50nm以下の厚さの薄膜に対しては薄膜の厚さの定
量には用いられていなかった。本発明は前述した従来の
方法に比較して固体表面の薄膜の厚さをより迅速・簡便
にしかも安価に非破壊で材料を切り出すことなしに定量
方法等を提供することを目的とする。
の厚さの定量法には以下のような欠点があった。すなわ
ち、X線光電子分光法や偏光解析法は装置が高価であ
る、解析に時間を要する等の欠点があり、またX線光電
子分光法は測定雰囲気や試料形状に制限がある等の理由
から、たとえば製造工程の管理に用いるためには実用的
ではなく、使用範囲が制限されており、時間やコストの
面からより簡便な方法が望まれている。また、色彩計は
色品質の管理には従来から用いられているものの、とく
に50nm以下の厚さの薄膜に対しては薄膜の厚さの定
量には用いられていなかった。本発明は前述した従来の
方法に比較して固体表面の薄膜の厚さをより迅速・簡便
にしかも安価に非破壊で材料を切り出すことなしに定量
方法等を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は固体表面に薄膜
層(固体とは複素屈折率の波長依存性の異なるもの)が
存在する場合、光電型色彩計を用いてあらかじめ厚さが
既知の同薄膜によって覆われた同固体の、均等知覚色空
間であるL* a* b* 表色系における明度指数L* 、ク
ロマネティクス指数a* ,b* 等の表色指数のいずれか
を測定することによって、膜厚と表色指数との相関関係
を表す膜厚補正線を作成しておき、次に厚さが未知の同
薄膜に覆われた同固体表面の当該表色指数を当該色彩計
で測定し、当該補正線と比較することによって未知の薄
膜の厚さを決定することを特徴とする。特に干渉色が生
じない程度の50nm以下の膜厚の場合、当該薄膜の膜
厚とL* a* b* 等のいずれかの値が一意に対応するこ
とを利用するものである。
層(固体とは複素屈折率の波長依存性の異なるもの)が
存在する場合、光電型色彩計を用いてあらかじめ厚さが
既知の同薄膜によって覆われた同固体の、均等知覚色空
間であるL* a* b* 表色系における明度指数L* 、ク
ロマネティクス指数a* ,b* 等の表色指数のいずれか
を測定することによって、膜厚と表色指数との相関関係
を表す膜厚補正線を作成しておき、次に厚さが未知の同
薄膜に覆われた同固体表面の当該表色指数を当該色彩計
で測定し、当該補正線と比較することによって未知の薄
膜の厚さを決定することを特徴とする。特に干渉色が生
じない程度の50nm以下の膜厚の場合、当該薄膜の膜
厚とL* a* b* 等のいずれかの値が一意に対応するこ
とを利用するものである。
【0005】
【作用】一般に薄膜の膜厚が50nmの場合干渉色が生
じる。したがって、たとえばL * a* b* のそれぞれの
値が薄膜の厚さと一意に対応しないため、L* a* b*
のいずれかひとつの値のみから膜厚を決定することが困
難である。しかしながら当該膜の厚さが50nm以下の
場合、たとえばL* a* b* のいずれかの値を測定すれ
ば、当該膜厚を決定することができる。しかも、本発明
の定量方法によって、試料になんら変質をもたらさな
い。
じる。したがって、たとえばL * a* b* のそれぞれの
値が薄膜の厚さと一意に対応しないため、L* a* b*
のいずれかひとつの値のみから膜厚を決定することが困
難である。しかしながら当該膜の厚さが50nm以下の
場合、たとえばL* a* b* のいずれかの値を測定すれ
ば、当該膜厚を決定することができる。しかも、本発明
の定量方法によって、試料になんら変質をもたらさな
い。
【0006】
実施例1 マグネトロンスパッタ蒸着装置により予め研磨により平
坦にしたAl−5wt%Mg合金表面に、厚さの異なる
マグネシウム酸化物の層を有する試料を複数個作製し、
触針式膜厚計によって膜厚を測定した。ついでこれらの
試料に対して光電型色彩計でL* 値の測定を行った。膜
厚とL* 値との関係を図1に示す。図1から明らかなよ
うに、L* 値に対してマグネシウム酸化物層の厚さは一
意の対応関係を示している。したがって、図1はマグネ
シウム酸化物の層の厚さを求めるための補正線として用
いることができることがわかる。次にマグネトロンスパ
ッタ蒸着装置で作製した同一の系でマグネシウム酸化物
の層の厚さが未知の試料のL* 値を求めたところ、7
6.4の値を得た。測定結果を図1に□として示す。こ
の値を図1の補正線と比較することによってこの試料表
面のマグネシウム酸化物層の厚さは10nmであること
がわる。念のため、X線光電子分光法によって同じ酸洗
試料の酸化膜厚を測定したところ、10nmであり、本
発明方法によって正確に酸化膜厚を測定できることが確
認できた。
坦にしたAl−5wt%Mg合金表面に、厚さの異なる
マグネシウム酸化物の層を有する試料を複数個作製し、
触針式膜厚計によって膜厚を測定した。ついでこれらの
試料に対して光電型色彩計でL* 値の測定を行った。膜
厚とL* 値との関係を図1に示す。図1から明らかなよ
うに、L* 値に対してマグネシウム酸化物層の厚さは一
意の対応関係を示している。したがって、図1はマグネ
シウム酸化物の層の厚さを求めるための補正線として用
いることができることがわかる。次にマグネトロンスパ
ッタ蒸着装置で作製した同一の系でマグネシウム酸化物
の層の厚さが未知の試料のL* 値を求めたところ、7
6.4の値を得た。測定結果を図1に□として示す。こ
の値を図1の補正線と比較することによってこの試料表
面のマグネシウム酸化物層の厚さは10nmであること
がわる。念のため、X線光電子分光法によって同じ酸洗
試料の酸化膜厚を測定したところ、10nmであり、本
発明方法によって正確に酸化膜厚を測定できることが確
認できた。
【0007】実施例2 Al−5wt%Mg合金板を板厚1mm,幅900mm
に冷間圧延したのち、70℃の脱脂剤浴中で、約20秒
間脱脂し、これを60℃の10wt%硫酸溶液中で酸洗
の時間を段階的に変えながら酸洗減量を調整した。つい
で各酸洗段階における合金表面のb* を光電型色彩計で
測定した。次にX線光電子分光法を用いて酸化膜厚を決
定した。図2に膜厚とb* 値との関係を示す。図2から
明らかなように、クロマネティクス指数b* 値に対して
マグネシウム酸化物層の厚は一意の対応関係を示してい
る。したがって、図2は酸化膜厚を求めるための補正線
として用いることができる。次に前記アルミニウム合金
を図2の検量線を作成した場合と同じ条件で作製し、3
秒間酸洗した。この試料のb* の値を求めたところ、
4.7の値を得た。測定結果を図2に□として示す。こ
の値を図2の補正線と比較することによって、この酸洗
した試料表面の酸化膜厚は5nmであると決定した。念
のため、X線光電子分光法によって同じ酸洗試料の酸化
膜厚を測定したところ、5nmであり、本発明方法によ
って正確に酸化膜厚を測定できることが確認できた。
に冷間圧延したのち、70℃の脱脂剤浴中で、約20秒
間脱脂し、これを60℃の10wt%硫酸溶液中で酸洗
の時間を段階的に変えながら酸洗減量を調整した。つい
で各酸洗段階における合金表面のb* を光電型色彩計で
測定した。次にX線光電子分光法を用いて酸化膜厚を決
定した。図2に膜厚とb* 値との関係を示す。図2から
明らかなように、クロマネティクス指数b* 値に対して
マグネシウム酸化物層の厚は一意の対応関係を示してい
る。したがって、図2は酸化膜厚を求めるための補正線
として用いることができる。次に前記アルミニウム合金
を図2の検量線を作成した場合と同じ条件で作製し、3
秒間酸洗した。この試料のb* の値を求めたところ、
4.7の値を得た。測定結果を図2に□として示す。こ
の値を図2の補正線と比較することによって、この酸洗
した試料表面の酸化膜厚は5nmであると決定した。念
のため、X線光電子分光法によって同じ酸洗試料の酸化
膜厚を測定したところ、5nmであり、本発明方法によ
って正確に酸化膜厚を測定できることが確認できた。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば固体表面の酸化膜などの
膜厚が定量的に決定できる。しかも測定は迅速、安価、
簡便に実施することができ、測定によって試料になんの
変化ももたらさない。したがって、たとえばアルミニウ
ム−マグネシウム合金の酸洗工程において、本発明によ
り測定したL* a* b* のいずれかの値が所定の範囲内
になるように、ライン速度、温度、酸濃度などを制御す
れば、酸洗の程度をオンラインで精度よく、迅速に工程
を管理することができ、低コストで高品質が得られる、
歩留まりが向上するなどの効果がある。
膜厚が定量的に決定できる。しかも測定は迅速、安価、
簡便に実施することができ、測定によって試料になんの
変化ももたらさない。したがって、たとえばアルミニウ
ム−マグネシウム合金の酸洗工程において、本発明によ
り測定したL* a* b* のいずれかの値が所定の範囲内
になるように、ライン速度、温度、酸濃度などを制御す
れば、酸洗の程度をオンラインで精度よく、迅速に工程
を管理することができ、低コストで高品質が得られる、
歩留まりが向上するなどの効果がある。
【図1】鏡面研磨したアルミニウム−マグネシウム合金
板基板上にスパッタリング蒸着したマグネシウム酸化物
層の厚さと明度指数L* との関係を示した図、
板基板上にスパッタリング蒸着したマグネシウム酸化物
層の厚さと明度指数L* との関係を示した図、
【図2】アルミニウム−マグネシウム合金板の表面の酸
化膜厚とクロマネティクス指数b* との関係を示した図
である。
化膜厚とクロマネティクス指数b* との関係を示した図
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に金属産業分野、特に
自動車、建材、缶材などの分野で、プレス成形、接合、
組み付けおよび燐酸塩化成処理後に塗装される用途に利
用される合金板の表面酸化層を除去するに際して、その
除去の程度の測定や、金属板製造産業分野で、圧延油や
防錆油などの付着量を管理するための測定等に関するも
のである。
自動車、建材、缶材などの分野で、プレス成形、接合、
組み付けおよび燐酸塩化成処理後に塗装される用途に利
用される合金板の表面酸化層を除去するに際して、その
除去の程度の測定や、金属板製造産業分野で、圧延油や
防錆油などの付着量を管理するための測定等に関するも
のである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】固体表面に薄膜層が存在する場合、従来
の薄膜層の厚さの定量方法としては、例えばX線光電子
分光法や偏光解析法が挙げられる。一方、光電型色彩計
は国際照明委員会(CIE)によって定義された三刺激
値を測定し、たとえばL*,a*,b* 表色系の表色指
数などに変換して色彩を定量化するものである。該光電
型色彩計は分光型色彩計と違って、回折格子やプリズム
などの分光器を使わず、三刺激値と同じ分光感度を持っ
た3つのセンサーで直接三刺激値を求めるものである。
したがって光電型色彩計は分光型に比べて小型、安価、
高操作性、迅速測定ができるなどの利点を持ち、従来よ
り塗装、染色、印刷等の産業において色品質の管理など
に使われてきている。
の薄膜層の厚さの定量方法としては、例えばX線光電子
分光法や偏光解析法が挙げられる。一方、光電型色彩計
は国際照明委員会(CIE)によって定義された三刺激
値を測定し、たとえばL*,a*,b* 表色系の表色指
数などに変換して色彩を定量化するものである。該光電
型色彩計は分光型色彩計と違って、回折格子やプリズム
などの分光器を使わず、三刺激値と同じ分光感度を持っ
た3つのセンサーで直接三刺激値を求めるものである。
したがって光電型色彩計は分光型に比べて小型、安価、
高操作性、迅速測定ができるなどの利点を持ち、従来よ
り塗装、染色、印刷等の産業において色品質の管理など
に使われてきている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の固体表面の薄膜
の厚さの定量法には以下のような欠点があった。すなわ
ち、X線光電子分光法や偏光解析法は装置が高価であ
る、解析に時間を要する等の欠点があり、またX線光電
子分光法は測定雰囲気や試料形状に制限がある等の理由
から、たとえば製造工程の管理に用いるためには実用的
ではなく、使用範囲が制限されており、時間やコストの
面からより簡便な方法が望まれている。また、色彩計は
色品質の管理には従来から用いられているものの、とく
に50nm以下の厚さの薄膜に対してはその厚さの定量
には用いられていなかった。本発明は前述した従来の方
法に比較して固体表面の薄膜の厚さをより迅速・簡便に
しかも安価に非破壊で材料を切り出すことなしに定量す
る方法を提供することを目的とする。
の厚さの定量法には以下のような欠点があった。すなわ
ち、X線光電子分光法や偏光解析法は装置が高価であ
る、解析に時間を要する等の欠点があり、またX線光電
子分光法は測定雰囲気や試料形状に制限がある等の理由
から、たとえば製造工程の管理に用いるためには実用的
ではなく、使用範囲が制限されており、時間やコストの
面からより簡便な方法が望まれている。また、色彩計は
色品質の管理には従来から用いられているものの、とく
に50nm以下の厚さの薄膜に対してはその厚さの定量
には用いられていなかった。本発明は前述した従来の方
法に比較して固体表面の薄膜の厚さをより迅速・簡便に
しかも安価に非破壊で材料を切り出すことなしに定量す
る方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は固体表面に薄膜
層(同固体とは複素屈折率の波長依存性の異なるもの)
が存在する場合、光電型色彩計を用いてあらかじめ厚さ
が既知の同薄膜によって覆われた同固体の、均等知覚色
空間であるL*,a*,b* 表色系における明度指数L
*、クロマネティクス指数a*,b*等の表色指数のい
ずれかを測定することによって、膜厚と表色指数との相
関関係を表す膜厚補正線を作成しておき、次に厚さが未
知の同薄膜に覆われた同固体表面の当該表色指数を当該
色彩計で測定し、当該補正線と比較することによって未
知の薄膜の厚さを決定することを特徴とする。特に干渉
色が生じない程度の50nm以下の膜厚の場合、当該薄
膜の膜厚とL*,a*,b* 等のいずれかの値が一意に
対応することを利用するものである。
層(同固体とは複素屈折率の波長依存性の異なるもの)
が存在する場合、光電型色彩計を用いてあらかじめ厚さ
が既知の同薄膜によって覆われた同固体の、均等知覚色
空間であるL*,a*,b* 表色系における明度指数L
*、クロマネティクス指数a*,b*等の表色指数のい
ずれかを測定することによって、膜厚と表色指数との相
関関係を表す膜厚補正線を作成しておき、次に厚さが未
知の同薄膜に覆われた同固体表面の当該表色指数を当該
色彩計で測定し、当該補正線と比較することによって未
知の薄膜の厚さを決定することを特徴とする。特に干渉
色が生じない程度の50nm以下の膜厚の場合、当該薄
膜の膜厚とL*,a*,b* 等のいずれかの値が一意に
対応することを利用するものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【作用】一般に薄膜の膜厚が50nmの場合干渉色が生
じる。したがって、たとえば、L*,a*,b* のそれ
ぞれの値が薄膜の厚さと一意に対応しないため、L*,
a*,b* のいずれかひとつの値のみから膜厚を決定す
ることが困難である。しかしながら当該薄膜の厚さが5
0nm以下の場合、たとえば、L*,a*,b* のいず
れかの値を測定すれば、当該膜厚を決定することができ
る。しかも、本発明の定量方法によって、試料になんら
変質をもたらさない。
じる。したがって、たとえば、L*,a*,b* のそれ
ぞれの値が薄膜の厚さと一意に対応しないため、L*,
a*,b* のいずれかひとつの値のみから膜厚を決定す
ることが困難である。しかしながら当該薄膜の厚さが5
0nm以下の場合、たとえば、L*,a*,b* のいず
れかの値を測定すれば、当該膜厚を決定することができ
る。しかも、本発明の定量方法によって、試料になんら
変質をもたらさない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】実施例2 Al−5wt%Mg合金板を板厚1mm,幅900mm
に冷間圧延したのち、70℃の脱脂剤浴中で、約20秒
間脱脂し、これを60℃の10wt%硫酸溶液中で酸洗
の時間を段階的に変えながら酸洗減量を調整した。つい
で各酸洗段階における合金表面のb*を光電型色彩計で
測定した。次にX線光電子分光法を用いて酸化膜厚を決
定した。図2に膜厚とb*値との関係を示す。図2から
明らかなように、クロマネティクス指数b*値に対して
マグネシウム酸化物層の厚さは一意の対応関係を示して
いる。したがって、図2は酸化膜厚を求めるための補正
線として用いることができる。次に前記アルミニウム合
金を図2の補正線を作成した場合と同じ条件で作製し、
3秒間酸洗した。この試料のb*の値を求めたところ、
4.7の値を得た。測定結果を図2に□として示す。こ
の値を図2の補正線と比較することによって、この酸洗
した試料表面の酸化膜厚は5nmであると決定した。念
のため、X線光電子分光法によって同じ酸洗試料の酸化
膜厚を測定したところ、5nmであり、本発明方法によ
って正確に酸化膜厚を測定できることが確認できた。
に冷間圧延したのち、70℃の脱脂剤浴中で、約20秒
間脱脂し、これを60℃の10wt%硫酸溶液中で酸洗
の時間を段階的に変えながら酸洗減量を調整した。つい
で各酸洗段階における合金表面のb*を光電型色彩計で
測定した。次にX線光電子分光法を用いて酸化膜厚を決
定した。図2に膜厚とb*値との関係を示す。図2から
明らかなように、クロマネティクス指数b*値に対して
マグネシウム酸化物層の厚さは一意の対応関係を示して
いる。したがって、図2は酸化膜厚を求めるための補正
線として用いることができる。次に前記アルミニウム合
金を図2の補正線を作成した場合と同じ条件で作製し、
3秒間酸洗した。この試料のb*の値を求めたところ、
4.7の値を得た。測定結果を図2に□として示す。こ
の値を図2の補正線と比較することによって、この酸洗
した試料表面の酸化膜厚は5nmであると決定した。念
のため、X線光電子分光法によって同じ酸洗試料の酸化
膜厚を測定したところ、5nmであり、本発明方法によ
って正確に酸化膜厚を測定できることが確認できた。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【発明の効果】本発明によれば固体表面の酸化膜などの
膜厚が定量的に決定できる。しかも測定は迅速、安価、
簡便に実施することができ、測定によって試料になんの
変化ももたらさない。したがって、たとえばアルミニウ
ム−マグネシウム合金の酸洗工程において、本発明によ
り測定したL*,a*,b* のいずれかの値が所定の範
囲内になるように、ライン速度、温度、酸濃度などを制
御すれば、酸洗の程度をオンラインで精度よく、迅速に
工程を管理することができ、低コストで高品質が得られ
る、歩留まりが向上するなどの効果がある。
膜厚が定量的に決定できる。しかも測定は迅速、安価、
簡便に実施することができ、測定によって試料になんの
変化ももたらさない。したがって、たとえばアルミニウ
ム−マグネシウム合金の酸洗工程において、本発明によ
り測定したL*,a*,b* のいずれかの値が所定の範
囲内になるように、ライン速度、温度、酸濃度などを制
御すれば、酸洗の程度をオンラインで精度よく、迅速に
工程を管理することができ、低コストで高品質が得られ
る、歩留まりが向上するなどの効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 敏明 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 (72)発明者 北山 五郎 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 固体表面に、固体とは複素屈折率の波長
依存性の異なるもので、その膜厚が干渉色が生じない程
度の領域である50nm以下の薄膜層が存在する場合の
膜厚定量法において、光電型色彩計を用いてあらかじめ
厚さが既知の同薄膜によって覆われた同固体の、均等知
覚色空間であるL* a* b* 表色系等の表色指数を測定
することによって、膜厚と表色指数との相関関係を表す
膜厚補正線を作成しておき、次に厚さが50nm以下の
未知の同薄膜に覆われた同固体表面の当該表色指数を当
該色彩計で測定し当該補正線と比較することによって未
知の薄膜の厚さを決定することを特徴とする色彩測定を
利用した膜厚定量方法。
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1995
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