JPH08302380A - 冷間圧延用潤滑液 - Google Patents
冷間圧延用潤滑液Info
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- JPH08302380A JPH08302380A JP11574295A JP11574295A JPH08302380A JP H08302380 A JPH08302380 A JP H08302380A JP 11574295 A JP11574295 A JP 11574295A JP 11574295 A JP11574295 A JP 11574295A JP H08302380 A JPH08302380 A JP H08302380A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 (1) 2価カルボン酸からなる水溶性増粘剤、
および(2) 炭素数4以上のチオ酸の塩、またはエチレン
オキサイド付加リン酸エステルもしくはその塩からなる
水溶性潤滑性向上剤を水に溶解した金属冷間圧延用の水
溶性潤滑液。水溶性増粘剤を3重量%以上、水溶性潤滑
性向上剤を1重量%以上含有し、かつ両者の合計は70重
量%未満である。水溶性増粘剤はシュウ酸、マロン酸お
よびコハク酸から選ばれた少なくとも1種の2価カルボ
ン酸であるのが好ましい。 【効果】 潤滑性および冷却性に優れると共に、金属材
表面の高光沢を維持しうる冷間圧延用潤滑液を提供でき
る。冷間圧延の際、高速圧延を行っても焼付きを生じ
ず、板破断時の火災の危険性もなく、表面光沢の良好な
鋼板を製造できる。
および(2) 炭素数4以上のチオ酸の塩、またはエチレン
オキサイド付加リン酸エステルもしくはその塩からなる
水溶性潤滑性向上剤を水に溶解した金属冷間圧延用の水
溶性潤滑液。水溶性増粘剤を3重量%以上、水溶性潤滑
性向上剤を1重量%以上含有し、かつ両者の合計は70重
量%未満である。水溶性増粘剤はシュウ酸、マロン酸お
よびコハク酸から選ばれた少なくとも1種の2価カルボ
ン酸であるのが好ましい。 【効果】 潤滑性および冷却性に優れると共に、金属材
表面の高光沢を維持しうる冷間圧延用潤滑液を提供でき
る。冷間圧延の際、高速圧延を行っても焼付きを生じ
ず、板破断時の火災の危険性もなく、表面光沢の良好な
鋼板を製造できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属の冷間圧延用潤滑
液に関し、より詳細には、金属、特にステンレス鋼の冷
間圧延において高速圧延時にも金属表面の高光沢を維持
することができ、かつ潤滑性、ロール冷却性に優れた冷
間圧延用の潤滑液に関する。
液に関し、より詳細には、金属、特にステンレス鋼の冷
間圧延において高速圧延時にも金属表面の高光沢を維持
することができ、かつ潤滑性、ロール冷却性に優れた冷
間圧延用の潤滑液に関する。
【0002】
【従来の技術】金属の冷間圧延の際には冷間圧延油が使
用されており、この冷間圧延油に要求される最も重要な
性能は潤滑性であるが、実機での使用に際してはそれ以
外にも製品品質やメンテナンスの観点から様々な性能が
要求される。例えばステンレス鋼板の冷間圧延では、製
品表面の光沢が重要視される。これは、ステンレス鋼が
耐食性に優れるため表面処理を施すことなく装飾用など
目につく部分に使用されるためである。そして、この光
沢は圧延時の潤滑状態に大きく影響される。圧延時にロ
ールと鋼板の間 (一般に「ロールバイト内」と呼ぶ) に
生じた油膜の油圧によってオイルピットと呼ばれるくぼ
みが生じるが、油膜厚が厚い場合あるいは圧延油の高圧
力下での粘度すなわち高圧粘度が高い場合にこのオイル
ピットの発生量が多く、鋼板表面の光沢は低下する。こ
の状況を詳しく説明すると、まず圧延中では金属が塑性
変形を起こすわけであるからロールと鋼板の界面では圧
延材の変形抵抗以上の高圧状態になっており、その中に
存在する圧延油も当然高圧状態となっていると考えられ
る。そこで、高圧粘度が高い圧延油を使用した場合、高
圧状態での流動性が低く、ロールバイト内で容易にロー
ルと鋼板の粗さにより生じた空間に封じ込められてしま
いオイルピットを形成する。一方、高圧粘度が低い圧延
油の場合、高圧状態でも流動性が高いため、封じ込めら
れる前にロールと鋼板の粗さの隙間から圧力の低い方へ
と流出しオイルピットが形成されにくい。但し、高圧粘
度があまりにも低すぎる場合には、流動性が高すぎるた
め、ロールと鋼板の粗さの隙間からロールバイト外へ流
出してしまい、ロールバイト内に油膜を形成しなくなっ
てしまい、潤滑不足となってしまう。
用されており、この冷間圧延油に要求される最も重要な
性能は潤滑性であるが、実機での使用に際してはそれ以
外にも製品品質やメンテナンスの観点から様々な性能が
要求される。例えばステンレス鋼板の冷間圧延では、製
品表面の光沢が重要視される。これは、ステンレス鋼が
耐食性に優れるため表面処理を施すことなく装飾用など
目につく部分に使用されるためである。そして、この光
沢は圧延時の潤滑状態に大きく影響される。圧延時にロ
ールと鋼板の間 (一般に「ロールバイト内」と呼ぶ) に
生じた油膜の油圧によってオイルピットと呼ばれるくぼ
みが生じるが、油膜厚が厚い場合あるいは圧延油の高圧
力下での粘度すなわち高圧粘度が高い場合にこのオイル
ピットの発生量が多く、鋼板表面の光沢は低下する。こ
の状況を詳しく説明すると、まず圧延中では金属が塑性
変形を起こすわけであるからロールと鋼板の界面では圧
延材の変形抵抗以上の高圧状態になっており、その中に
存在する圧延油も当然高圧状態となっていると考えられ
る。そこで、高圧粘度が高い圧延油を使用した場合、高
圧状態での流動性が低く、ロールバイト内で容易にロー
ルと鋼板の粗さにより生じた空間に封じ込められてしま
いオイルピットを形成する。一方、高圧粘度が低い圧延
油の場合、高圧状態でも流動性が高いため、封じ込めら
れる前にロールと鋼板の粗さの隙間から圧力の低い方へ
と流出しオイルピットが形成されにくい。但し、高圧粘
度があまりにも低すぎる場合には、流動性が高すぎるた
め、ロールと鋼板の粗さの隙間からロールバイト外へ流
出してしまい、ロールバイト内に油膜を形成しなくなっ
てしまい、潤滑不足となってしまう。
【0003】従って、例えばステンレス鋼板の冷間圧延
では、高圧粘度が低く、かつロールバイト内へ引き込ま
れる潤滑油量が少ない圧延油が使用される。このような
条件を満たすものとして低粘度の鉱油がある。しかし低
粘度の鉱油は潤滑性が乏しいため、耐焼付性を向上させ
るために合成エステルや脂肪族アルコールなどを油性剤
として添加して用いられる。しかし、油は比熱が小さく
ロールおよび鋼板の冷却性能が悪く、高速圧延時にロー
ルおよび鋼板表面の温度が上昇してしまう。温度が上昇
すると油性剤が熱分解、あるいはロールおよび鋼板表面
から脱離し、潤滑性が低下して焼付きを生じる。冷却性
能は、冷間圧延油の粘度を更に低下させて流動性を上げ
ることで向上させうるが、鉱油は粘度の低下に伴って引
火点が下がるため、板破断が生じた場合の火花で火災が
発生する危険性があり極端には低粘度化できない。
では、高圧粘度が低く、かつロールバイト内へ引き込ま
れる潤滑油量が少ない圧延油が使用される。このような
条件を満たすものとして低粘度の鉱油がある。しかし低
粘度の鉱油は潤滑性が乏しいため、耐焼付性を向上させ
るために合成エステルや脂肪族アルコールなどを油性剤
として添加して用いられる。しかし、油は比熱が小さく
ロールおよび鋼板の冷却性能が悪く、高速圧延時にロー
ルおよび鋼板表面の温度が上昇してしまう。温度が上昇
すると油性剤が熱分解、あるいはロールおよび鋼板表面
から脱離し、潤滑性が低下して焼付きを生じる。冷却性
能は、冷間圧延油の粘度を更に低下させて流動性を上げ
ることで向上させうるが、鉱油は粘度の低下に伴って引
火点が下がるため、板破断が生じた場合の火花で火災が
発生する危険性があり極端には低粘度化できない。
【0004】これに対して、難燃性で冷却性に優れる冷
間圧延油としては、従来より普通鋼の圧延に用いられて
いる水中油滴分散 (O/W) 型エマルションの冷間圧延
油がある。冷間圧延が高速化すると、特に冷却性と火災
に対する安全性は重要となる。このO/W型エマルショ
ン冷間圧延油は成分の大半が水であるため冷却性には優
れるが、ロールおよび鋼板表面に付着する油分量が均一
になり難く光沢ムラを生じ易い欠点がある。
間圧延油としては、従来より普通鋼の圧延に用いられて
いる水中油滴分散 (O/W) 型エマルションの冷間圧延
油がある。冷間圧延が高速化すると、特に冷却性と火災
に対する安全性は重要となる。このO/W型エマルショ
ン冷間圧延油は成分の大半が水であるため冷却性には優
れるが、ロールおよび鋼板表面に付着する油分量が均一
になり難く光沢ムラを生じ易い欠点がある。
【0005】また、特開昭60−118799号公報には、冷間
圧延油中に10%以上の水分を油中水滴分散 (W/O) 型
エマルション状態で可溶化したものが開示されている
が、これは主成分が油であるため、O/W型エマルショ
ン冷間圧延油のように顕著には冷却性が向上せず、また
W/O型エマルションを安定に維持するのが難しい上、
多量の乳化剤すなわち界面活性剤を必要とするため排水
処理上の問題があった。
圧延油中に10%以上の水分を油中水滴分散 (W/O) 型
エマルション状態で可溶化したものが開示されている
が、これは主成分が油であるため、O/W型エマルショ
ン冷間圧延油のように顕著には冷却性が向上せず、また
W/O型エマルションを安定に維持するのが難しい上、
多量の乳化剤すなわち界面活性剤を必要とするため排水
処理上の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高速圧延時
にも潤滑性、冷却性、難燃性に優れると共に、表面光沢
の高い鋼材を製造し得る冷間圧延用潤滑液を提供するこ
とを目的とする。
にも潤滑性、冷却性、難燃性に優れると共に、表面光沢
の高い鋼材を製造し得る冷間圧延用潤滑液を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、水に特定の
水溶性の増粘剤と特定の水溶性の潤滑性向上剤の両者を
添加した潤滑液を冷間圧延に使用すると、水と同等の高
い冷却性能を確保し、更に潤滑性も良好であると同時
に、圧延した鋼材表面に光沢ムラなどを生じず、高光沢
の表面を得られることを見出し、本発明を完成した。す
なわち、本発明は、(1) 2価カルボン酸からなる水溶性
増粘剤、および(2) 炭素数4以上のチオ酸の塩またはエ
チレンオキサイド付加リン酸エステルもしくはその塩か
らなる水溶性潤滑性向上剤を水に溶解してなる金属冷間
圧延用の潤滑液であって、水溶性増粘剤を3重量%以
上、該水溶性潤滑性向上剤を1重量%以上含有し、かつ
両者の合計が70重量%未満である潤滑液、を要旨とす
る。
水溶性の増粘剤と特定の水溶性の潤滑性向上剤の両者を
添加した潤滑液を冷間圧延に使用すると、水と同等の高
い冷却性能を確保し、更に潤滑性も良好であると同時
に、圧延した鋼材表面に光沢ムラなどを生じず、高光沢
の表面を得られることを見出し、本発明を完成した。す
なわち、本発明は、(1) 2価カルボン酸からなる水溶性
増粘剤、および(2) 炭素数4以上のチオ酸の塩またはエ
チレンオキサイド付加リン酸エステルもしくはその塩か
らなる水溶性潤滑性向上剤を水に溶解してなる金属冷間
圧延用の潤滑液であって、水溶性増粘剤を3重量%以
上、該水溶性潤滑性向上剤を1重量%以上含有し、かつ
両者の合計が70重量%未満である潤滑液、を要旨とす
る。
【0008】上記潤滑液において、水溶性増粘剤はシュ
ウ酸、マロン酸およびコハク酸から選ばれた少なくとも
1種の2価カルボン酸であるのが好ましく、またチオ酸
の塩は、炭素数4〜18の直鎖チオ酸のアンモニウム塩も
しくはアミン塩であり、前記リン酸エステルもしくはそ
の塩としては、下記の一般式(A) または(B) で表される
化合物またはそのアミン塩もしくはアンモニウム塩であ
るのが好ましい。
ウ酸、マロン酸およびコハク酸から選ばれた少なくとも
1種の2価カルボン酸であるのが好ましく、またチオ酸
の塩は、炭素数4〜18の直鎖チオ酸のアンモニウム塩も
しくはアミン塩であり、前記リン酸エステルもしくはそ
の塩としては、下記の一般式(A) または(B) で表される
化合物またはそのアミン塩もしくはアンモニウム塩であ
るのが好ましい。
【0009】
【化1】
【0010】上記式中、Rは炭素数4〜18のアルキル
基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはア
ルキルアリール基を示し、nは1〜7の整数である。
基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはア
ルキルアリール基を示し、nは1〜7の整数である。
【0011】上記潤滑液において、特に光沢性を重視し
た場合は水溶性増粘剤を5〜20重量%、水溶性潤滑性向
上剤を1〜20重量%含有するのが、また、特に潤滑性を
重視した場合は水溶性増粘剤を5〜20重量%、水溶性潤
滑性向上剤を40〜55重量%含有するのが好ましい。
た場合は水溶性増粘剤を5〜20重量%、水溶性潤滑性向
上剤を1〜20重量%含有するのが、また、特に潤滑性を
重視した場合は水溶性増粘剤を5〜20重量%、水溶性潤
滑性向上剤を40〜55重量%含有するのが好ましい。
【0012】ここで、「水溶性である」とは水に完全に
溶解することを意味し、界面活性剤などを用いて水に分
散させた場合は、エマルションあるいはサスペンジョン
というように区別する。
溶解することを意味し、界面活性剤などを用いて水に分
散させた場合は、エマルションあるいはサスペンジョン
というように区別する。
【0013】
【作用】本発明の冷間圧延用潤滑液は、水、水溶性潤滑
性向上剤および水溶性増粘剤より構成される。本発明の
冷間圧延用用潤滑液は、水をベースにしているため難燃
性であり、また比熱が水並みに高く、油をベースにした
従来の冷間圧延油に比べて冷却性能がかなり良好であ
り、エマルションタイプの冷間圧延油と比較しても同等
以上の冷却性能を有する。これは、エマルションタイプ
の冷間圧延油ではロール、鋼板に付着した油膜が伝熱抵
抗となって冷却性能を低下させてしまうが、本発明の冷
間圧延用潤滑液は、水溶性の物質のみを水に溶解してい
るため、ロール、鋼板に成分の一部が付着し伝熱抵抗に
なるといった問題が生じないためである。そして、本発
明の潤滑液は均一な一相流体であるため、エマルジョン
タイプの圧延油のように、金属材表面の油膜厚さが不均
一になるといった問題も生じることがなく、従って光沢
むらなども生じずに、表面光沢の良好な製品を得ること
ができる。
性向上剤および水溶性増粘剤より構成される。本発明の
冷間圧延用用潤滑液は、水をベースにしているため難燃
性であり、また比熱が水並みに高く、油をベースにした
従来の冷間圧延油に比べて冷却性能がかなり良好であ
り、エマルションタイプの冷間圧延油と比較しても同等
以上の冷却性能を有する。これは、エマルションタイプ
の冷間圧延油ではロール、鋼板に付着した油膜が伝熱抵
抗となって冷却性能を低下させてしまうが、本発明の冷
間圧延用潤滑液は、水溶性の物質のみを水に溶解してい
るため、ロール、鋼板に成分の一部が付着し伝熱抵抗に
なるといった問題が生じないためである。そして、本発
明の潤滑液は均一な一相流体であるため、エマルジョン
タイプの圧延油のように、金属材表面の油膜厚さが不均
一になるといった問題も生じることがなく、従って光沢
むらなども生じずに、表面光沢の良好な製品を得ること
ができる。
【0014】本発明の冷間圧延用潤滑液においては、潤
滑性向上剤と増粘剤の両者を組み合わせて使用すること
に一つの特徴がある。本発明で使用する潤滑性向上剤の
みを水に溶解した場合、成分の大半が水であり、潤滑液
全体としての高圧粘度が極端に低いため、圧延時非常に
高圧となったロールバイト内では、潤滑液がロール、鋼
板の粗さの隙間から流出してしまい、十分に潤滑性向上
剤をロールバイト内に保持できない。しかし、本発明に
おいては、潤滑性向上剤と共に増粘剤を含有させること
によって、全体の高圧粘度を低粘度鉱油並みにして、圧
延時のロールバイト内においてロール、鋼板の粗さの隙
間から潤滑液が流出してしまうことなくロールバイト内
に保持することができる。従って、圧延によって生じた
新生面に対しても、保持されている潤滑液中の潤滑性向
上剤が吸着して焼付きを防止する。また、本発明の冷間
圧延用潤滑液において増粘剤の含有量は3〜69wt%未満
であるので、オイルピットが発生し過ぎて鋼板の光沢が
低下するといった問題も生じない。一方、増粘剤のみを
水に溶解した場合、高圧粘度は鉱油並みに上がるが、新
生面に吸着する潤滑性向上剤を含有してないため焼付き
を生じ易い。以上のように、本発明では、潤滑性向上剤
と増粘剤の両者を組み合わせて使用することにより、優
れた冷間圧延用潤滑液を提供するものである。
滑性向上剤と増粘剤の両者を組み合わせて使用すること
に一つの特徴がある。本発明で使用する潤滑性向上剤の
みを水に溶解した場合、成分の大半が水であり、潤滑液
全体としての高圧粘度が極端に低いため、圧延時非常に
高圧となったロールバイト内では、潤滑液がロール、鋼
板の粗さの隙間から流出してしまい、十分に潤滑性向上
剤をロールバイト内に保持できない。しかし、本発明に
おいては、潤滑性向上剤と共に増粘剤を含有させること
によって、全体の高圧粘度を低粘度鉱油並みにして、圧
延時のロールバイト内においてロール、鋼板の粗さの隙
間から潤滑液が流出してしまうことなくロールバイト内
に保持することができる。従って、圧延によって生じた
新生面に対しても、保持されている潤滑液中の潤滑性向
上剤が吸着して焼付きを防止する。また、本発明の冷間
圧延用潤滑液において増粘剤の含有量は3〜69wt%未満
であるので、オイルピットが発生し過ぎて鋼板の光沢が
低下するといった問題も生じない。一方、増粘剤のみを
水に溶解した場合、高圧粘度は鉱油並みに上がるが、新
生面に吸着する潤滑性向上剤を含有してないため焼付き
を生じ易い。以上のように、本発明では、潤滑性向上剤
と増粘剤の両者を組み合わせて使用することにより、優
れた冷間圧延用潤滑液を提供するものである。
【0015】本発明で使用できる水溶性増粘剤として
は、メチレン基の数が2以下の2価カルボン酸、すなわ
ちシュウ酸、マロン酸およびコハク酸が好ましく、これ
らを単独であるいはこれらの2種以上の混合物として使
用できる。これらの2価カルボン酸は、分子中のカルボ
キシル基が水中で水素結合し粘度を高める作用がある。
メチレン基が3以上の2価カルボン酸は、水に対する溶
解度が低く好ましくない。
は、メチレン基の数が2以下の2価カルボン酸、すなわ
ちシュウ酸、マロン酸およびコハク酸が好ましく、これ
らを単独であるいはこれらの2種以上の混合物として使
用できる。これらの2価カルボン酸は、分子中のカルボ
キシル基が水中で水素結合し粘度を高める作用がある。
メチレン基が3以上の2価カルボン酸は、水に対する溶
解度が低く好ましくない。
【0016】また、1価のカルボン酸すなわち脂肪酸で
増粘効果を生じさせようとすると、高級脂肪酸を用いる
か、あるいは低級脂肪酸を多量に使用しなければならな
いが、高級カルボン酸は水に対する溶解度が低く、ま
た、ミセル等の分子集合体を形成するので好ましくな
い。低級脂肪酸を多量に使用すると、潤滑液を構成する
水の割合が減るので冷却性能が低下する。
増粘効果を生じさせようとすると、高級脂肪酸を用いる
か、あるいは低級脂肪酸を多量に使用しなければならな
いが、高級カルボン酸は水に対する溶解度が低く、ま
た、ミセル等の分子集合体を形成するので好ましくな
い。低級脂肪酸を多量に使用すると、潤滑液を構成する
水の割合が減るので冷却性能が低下する。
【0017】本発明で使用する潤滑性向上剤は、炭素数
4以上のチオ酸の塩またはエチレンオキサイド付加リン
酸エステルもしくはその塩からなる水溶性の化合物であ
る。
4以上のチオ酸の塩またはエチレンオキサイド付加リン
酸エステルもしくはその塩からなる水溶性の化合物であ
る。
【0018】チオ酸の塩としては、炭素数4〜18の直鎖
チオ酸のアンモニウム塩およびアミン塩が好ましい。炭
素数が4未満では吸着分子膜の厚みが薄く耐焼付き性が
十分ではなく、19以上では水への溶解度が低く好ましく
ない。また、チオ酸に側鎖があると、鋼板表面に吸着す
るチオ酸のアンモニウム塩やアミン塩の密度が立体障害
によって小さくなり、極圧性が低下するので、直鎖のチ
オ酸が好適である。なお、ここでいうチオ酸にはジチオ
酸も含まれる。本発明において使用されるチオ酸として
具体的には、ラウリルチオカルボン酸、パルミチルチオ
カルボン酸、ステアリルチオカルボン酸、オレイルチオ
カルボン酸が適当である。また、チオ酸のアミン塩とし
ては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、
ブチルアミン等のアミンとの塩がある。
チオ酸のアンモニウム塩およびアミン塩が好ましい。炭
素数が4未満では吸着分子膜の厚みが薄く耐焼付き性が
十分ではなく、19以上では水への溶解度が低く好ましく
ない。また、チオ酸に側鎖があると、鋼板表面に吸着す
るチオ酸のアンモニウム塩やアミン塩の密度が立体障害
によって小さくなり、極圧性が低下するので、直鎖のチ
オ酸が好適である。なお、ここでいうチオ酸にはジチオ
酸も含まれる。本発明において使用されるチオ酸として
具体的には、ラウリルチオカルボン酸、パルミチルチオ
カルボン酸、ステアリルチオカルボン酸、オレイルチオ
カルボン酸が適当である。また、チオ酸のアミン塩とし
ては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、
ブチルアミン等のアミンとの塩がある。
【0019】エチレンオキサイド付加リン酸エステルも
しくはその塩としては、前記一般式(A) もしくは(B) で
表されるリン酸化合物およびそのアンモニウム塩および
アミン塩がある。リン酸化合物中の炭化水素の炭素数が
4未満では吸着分子膜の厚みが薄く耐焼付き性が十分で
なく、19以上ではたとえエチレンオキサイドの付加モル
数nを大きくしても水に溶解することが困難になる。そ
してこの4〜18の炭素数の範囲で均一に溶解できるnの
範囲は1〜7である。nが0、すなわちエチレンオキサ
イドを付加しない場合は、このリン酸化合物およびその
アンモニウム塩が水に溶解せず、8以上ではこのリン酸
化合物およびそのアンモニウム塩がミセルを形成し、金
属面への吸着性が極端に低下してしまう。さらには発泡
し易いなどの問題も生じてしまう。本発明において好適
に使用されるリン酸化合物としては、以下のものが挙げ
られる。まず、(A) で示される化合物としては、ポリオ
キシエチレンラウリルホスフェート (エチレンオキサイ
ドのモル数:1〜7) 、ポリオキシエチレンステアリル
ホスフェート (エチレンオキサイドのモル数:1〜7)
、ポリオキシエチレンオレイルホスフェート (エチレ
ンオキサイドのモル数:1〜7) 、ポリオキシエチレン
フェニルホスフェート (エチレンオキサイドのモル数:
1〜7) 、ポリオキシエチレンベンジルホスフェート
(エチレンオキサイドのモル数:1〜7) 、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルホスフェート (エチレンオキサ
イドのモル数:1〜7) が適当である。
しくはその塩としては、前記一般式(A) もしくは(B) で
表されるリン酸化合物およびそのアンモニウム塩および
アミン塩がある。リン酸化合物中の炭化水素の炭素数が
4未満では吸着分子膜の厚みが薄く耐焼付き性が十分で
なく、19以上ではたとえエチレンオキサイドの付加モル
数nを大きくしても水に溶解することが困難になる。そ
してこの4〜18の炭素数の範囲で均一に溶解できるnの
範囲は1〜7である。nが0、すなわちエチレンオキサ
イドを付加しない場合は、このリン酸化合物およびその
アンモニウム塩が水に溶解せず、8以上ではこのリン酸
化合物およびそのアンモニウム塩がミセルを形成し、金
属面への吸着性が極端に低下してしまう。さらには発泡
し易いなどの問題も生じてしまう。本発明において好適
に使用されるリン酸化合物としては、以下のものが挙げ
られる。まず、(A) で示される化合物としては、ポリオ
キシエチレンラウリルホスフェート (エチレンオキサイ
ドのモル数:1〜7) 、ポリオキシエチレンステアリル
ホスフェート (エチレンオキサイドのモル数:1〜7)
、ポリオキシエチレンオレイルホスフェート (エチレ
ンオキサイドのモル数:1〜7) 、ポリオキシエチレン
フェニルホスフェート (エチレンオキサイドのモル数:
1〜7) 、ポリオキシエチレンベンジルホスフェート
(エチレンオキサイドのモル数:1〜7) 、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルホスフェート (エチレンオキサ
イドのモル数:1〜7) が適当である。
【0020】(B) で表される化合物としては、ジ (ポリ
オキシエチレンラウリル) ホスフェート (エチレンオキ
サイドのモル数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチレンス
テアリル) ホスフェート (エチレンオキサイドのモル
数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチレンオレイル) ホス
フェート (エチレンオキサイドのモル数:1〜7) 、ジ
(ポリオキシエチレンフェニル) ホスフェート (エチレ
ンオキサイドのモル数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチ
レンベンジル) ホスフェート (エチレンオキサイドのモ
ル数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチレンノニルフェニ
ル) ホスフェート (エチレンオキサイドのモル数:1〜
7) が適当である。
オキシエチレンラウリル) ホスフェート (エチレンオキ
サイドのモル数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチレンス
テアリル) ホスフェート (エチレンオキサイドのモル
数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチレンオレイル) ホス
フェート (エチレンオキサイドのモル数:1〜7) 、ジ
(ポリオキシエチレンフェニル) ホスフェート (エチレ
ンオキサイドのモル数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチ
レンベンジル) ホスフェート (エチレンオキサイドのモ
ル数:1〜7) 、ジ (ポリオキシエチレンノニルフェニ
ル) ホスフェート (エチレンオキサイドのモル数:1〜
7) が適当である。
【0021】リン酸化合物のアミン塩としては、メチル
アミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン
等のアミンとの塩がある。
アミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン
等のアミンとの塩がある。
【0022】これらの潤滑性向上剤は、例えば「潤滑の
物理化学」 (桜井著、幸書房) などに記載されてる通
り、チオ酸のアンモニウム塩やアミン塩では硫黄元素を
含んでいるため、硫黄系極圧剤の作用機構により焼付き
を防止し、上記リン酸化合物では、リン系極圧剤の作用
機構により焼付きを防止する。
物理化学」 (桜井著、幸書房) などに記載されてる通
り、チオ酸のアンモニウム塩やアミン塩では硫黄元素を
含んでいるため、硫黄系極圧剤の作用機構により焼付き
を防止し、上記リン酸化合物では、リン系極圧剤の作用
機構により焼付きを防止する。
【0023】本発明の潤滑液には、上記した3成分以外
に、水溶性のカルボン酸塩やリン酸エステル等の添加剤
を少量含有させてもよい。
に、水溶性のカルボン酸塩やリン酸エステル等の添加剤
を少量含有させてもよい。
【0024】本発明の潤滑液における増粘剤の含有量
は、3重量%以上である。3重量%未満では高圧粘度が
低過ぎ、ロールバイト内への冷間圧延油の保持が不十分
である。
は、3重量%以上である。3重量%未満では高圧粘度が
低過ぎ、ロールバイト内への冷間圧延油の保持が不十分
である。
【0025】また、本発明の潤滑液における潤滑性向上
剤の含有量は、1重量%以上である。1重量%未満で
は、たとえ増粘剤を含有しロールバイト内に冷間圧延油
が保持されても圧延により発生した全ての新生面に吸着
して覆うことはできず、焼付きを生じ易い。
剤の含有量は、1重量%以上である。1重量%未満で
は、たとえ増粘剤を含有しロールバイト内に冷間圧延油
が保持されても圧延により発生した全ての新生面に吸着
して覆うことはできず、焼付きを生じ易い。
【0026】本発明潤滑液において、増粘剤と潤滑性向
上剤の総量は70重量%未満である。増粘剤と潤滑性向上
剤の総量が70重量%以上では水の含有量が少な過ぎるた
め、冷却性能が急激に低下してしまう。
上剤の総量は70重量%未満である。増粘剤と潤滑性向上
剤の総量が70重量%以上では水の含有量が少な過ぎるた
め、冷却性能が急激に低下してしまう。
【0027】また、特に光沢を重視する場合、増粘剤の
含有量は5〜20重量%、潤滑性向上剤の含有量は1〜20
重量%であることが好ましい。特に潤滑性を必要とする
場合は、増粘剤の含有量が5〜20重量%、潤滑性向上剤
の含有量が40〜55重量%(但し、両者の合計は70重量%
未満)であることが好ましい。
含有量は5〜20重量%、潤滑性向上剤の含有量は1〜20
重量%であることが好ましい。特に潤滑性を必要とする
場合は、増粘剤の含有量が5〜20重量%、潤滑性向上剤
の含有量が40〜55重量%(但し、両者の合計は70重量%
未満)であることが好ましい。
【0028】本発明の潤滑液は、上記の増粘剤および潤
滑性向上剤、必要に応じて適宜の添加剤を水に添加して
攪拌する等の、適宜方法で水に溶解させることにより製
造できる。
滑性向上剤、必要に応じて適宜の添加剤を水に添加して
攪拌する等の、適宜方法で水に溶解させることにより製
造できる。
【0029】本発明の潤滑液は、そのまま、あるいは高
濃度に調製したものを希釈して、スプレー塗布、ウォー
ターインジェクション、エアアトマイズ等の方法により
冷間圧延工程に供給して使用することができる。特に、
高速圧延を行う場合においても、潤滑性、冷却性にすぐ
れ、また、光沢が良好であり、従来のエマルション型圧
延油で問題となるような、光沢ムラなども生じない。本
発明の潤滑液は、圧延ロールとしてSKD11、SKD
61、アダマイト、ニッケルグレン、Crメッキロー
ル、ハイス、超硬等のいずれの圧延ロールを使用する場
合でも使用でき、また適用される圧延材も特に限定され
ず、ステンレス鋼、炭素鋼などの圧延材に使用できる。
圧延ロール材質と圧延材の材質の組み合わせも特に限定
されない。
濃度に調製したものを希釈して、スプレー塗布、ウォー
ターインジェクション、エアアトマイズ等の方法により
冷間圧延工程に供給して使用することができる。特に、
高速圧延を行う場合においても、潤滑性、冷却性にすぐ
れ、また、光沢が良好であり、従来のエマルション型圧
延油で問題となるような、光沢ムラなども生じない。本
発明の潤滑液は、圧延ロールとしてSKD11、SKD
61、アダマイト、ニッケルグレン、Crメッキロー
ル、ハイス、超硬等のいずれの圧延ロールを使用する場
合でも使用でき、また適用される圧延材も特に限定され
ず、ステンレス鋼、炭素鋼などの圧延材に使用できる。
圧延ロール材質と圧延材の材質の組み合わせも特に限定
されない。
【0030】
【実施例】次に具体的な実施例に基づき説明する。
【0031】まず、表1に示す組成を有する本発明実施
例1〜24、および表2、3に示す組成を有する比較例1
〜10の、合計34種類の冷間圧延用潤滑液を準備した。こ
こで、比較例10は、従来のO/W型エマルションタイプ
の冷間圧延油であり、ホモミキサーで平均粒径を約4μ
mに調整したものを用いた。
例1〜24、および表2、3に示す組成を有する比較例1
〜10の、合計34種類の冷間圧延用潤滑液を準備した。こ
こで、比較例10は、従来のO/W型エマルションタイプ
の冷間圧延油であり、ホモミキサーで平均粒径を約4μ
mに調整したものを用いた。
【0032】本発明および比較の冷間圧延用潤滑液に関
し以下の試験による評価を行った。試験は表4に示す4
段式圧延機によって表5に示す条件でコイル圧延を行っ
た。圧延材としてはSUS430、SUS304、炭素鋼 (SPCC-SB)
を供し、圧延ロールとしてはSKD11 、セミハイス (0.4
%C、5%Cr、1%Mo、0.3 %V、1%W) 、SKD11にC
rメッキを施したロールを、いずれも表面粗さをRa=0.0
1μmにして試験した。また、各潤滑液は圧延機の入側
でロールおよび鋼板に直接、圧力5kgf/cm2 、流量6リ
ットル/分で供給した。
し以下の試験による評価を行った。試験は表4に示す4
段式圧延機によって表5に示す条件でコイル圧延を行っ
た。圧延材としてはSUS430、SUS304、炭素鋼 (SPCC-SB)
を供し、圧延ロールとしてはSKD11 、セミハイス (0.4
%C、5%Cr、1%Mo、0.3 %V、1%W) 、SKD11にC
rメッキを施したロールを、いずれも表面粗さをRa=0.0
1μmにして試験した。また、各潤滑液は圧延機の入側
でロールおよび鋼板に直接、圧力5kgf/cm2 、流量6リ
ットル/分で供給した。
【0033】潤滑性の評価は焼付き疵の有無で行い、1
コイル(800m)を圧延し全く焼付きが生じなかったときの
み良好とする。また、光沢性の評価は表面光沢度 (Gs45
°)で行い、SUS430と炭素鋼については光沢度が700 よ
り上回ったときのみ良好とし、SUS304については600 よ
り上回ったときのみ良好とする。
コイル(800m)を圧延し全く焼付きが生じなかったときの
み良好とする。また、光沢性の評価は表面光沢度 (Gs45
°)で行い、SUS430と炭素鋼については光沢度が700 よ
り上回ったときのみ良好とし、SUS304については600 よ
り上回ったときのみ良好とする。
【0034】表6にSUS430を、表7にSUS304、表8に炭
素鋼を圧延した結果を示す。この表において、SUS430の
光沢評価は圧下率が30%のときの光沢度で行った。ま
た、耐焼付き性に関しては1コイル圧延し、全く焼付き
が生じなかったときのみ良好と評価して○印で、焼付き
が生じた場合は×印で表した。さらに、表6中にSKD11
ロールでSUS430を圧延した場合の圧延直後のコイル表面
温度を示した。
素鋼を圧延した結果を示す。この表において、SUS430の
光沢評価は圧下率が30%のときの光沢度で行った。ま
た、耐焼付き性に関しては1コイル圧延し、全く焼付き
が生じなかったときのみ良好と評価して○印で、焼付き
が生じた場合は×印で表した。さらに、表6中にSKD11
ロールでSUS430を圧延した場合の圧延直後のコイル表面
温度を示した。
【0035】この結果から、本発明の冷間圧延用潤滑液
を用いることによって、SUS430、SUS304、SPCCのいずれ
を圧延してもロールおよび鋼板の温度上昇を抑制でき、
焼付きの発生も完全に防止できることが分かる。また、
本発明の潤滑液では、オイルピットの発生量が少なく、
光沢も良好であることが確認できた。さらには、本発明
の潤滑液では、従来のエマルションタイプの冷間圧延油
に見られるような光沢むらも全く発生しなかった。な
お、SKD11 、セミハイス、Crメッキロールのいずれのロ
ールでも結果は同じであった。
を用いることによって、SUS430、SUS304、SPCCのいずれ
を圧延してもロールおよび鋼板の温度上昇を抑制でき、
焼付きの発生も完全に防止できることが分かる。また、
本発明の潤滑液では、オイルピットの発生量が少なく、
光沢も良好であることが確認できた。さらには、本発明
の潤滑液では、従来のエマルションタイプの冷間圧延油
に見られるような光沢むらも全く発生しなかった。な
お、SKD11 、セミハイス、Crメッキロールのいずれのロ
ールでも結果は同じであった。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
潤滑性および冷却性に優れると共に、金属材表面の高光
沢を維持しうる冷間圧延用潤滑液を提供できる。この冷
間圧延用潤滑液を用いれば、高速圧延を行っても焼付き
を生じず、板破断時の火災の危険性もなく、表面光沢の
良好な鋼板を製造できる。
潤滑性および冷却性に優れると共に、金属材表面の高光
沢を維持しうる冷間圧延用潤滑液を提供できる。この冷
間圧延用潤滑液を用いれば、高速圧延を行っても焼付き
を生じず、板破断時の火災の危険性もなく、表面光沢の
良好な鋼板を製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:00 30:02 40:24 50:02
Claims (5)
- 【請求項1】 (1) 2価カルボン酸からなる水溶性増粘
剤、および(2) 炭素数4以上のチオ酸の塩またはエチレ
ンオキサイド付加リン酸エステルもしくはその塩からな
る水溶性潤滑性向上剤を水に溶解してなる金属冷間圧延
用の潤滑液であって、該水溶性増粘剤を3重量%以上、
該水溶性潤滑性向上剤を1重量%以上含有し、かつ両者
の合計が70重量%未満である潤滑液。 - 【請求項2】 水溶性増粘剤が、シュウ酸、マロン酸お
よびコハク酸から選ばれた少なくとも1種の2価カルボ
ン酸である請求項1記載の潤滑液。 - 【請求項3】 前記チオ酸の塩が、炭素数4〜18の直鎖
チオ酸のアンモニウム塩もしくはアミン塩であり、前記
リン酸エステルもしくはその塩が、下記の一般式(A) ま
たは(B) で表される化合物またはそのアミン塩もしくは
アンモニウム塩である請求項1または2記載の潤滑液。 【化1】 上記式中、Rは炭素数4〜18のアルキル基、アルケニル
基、アリール基、アラルキル基またはアルキルアリール
基を示し、nは1〜7の整数である。 - 【請求項4】 水溶性増粘剤を5〜20重量%、水溶性潤
滑性向上剤を1〜20重量%含有する請求項1〜3のいず
れかの項記載の潤滑液。 - 【請求項5】 水溶性増粘剤を5〜20重量%、水溶性潤
滑性向上剤を40〜55重量%含有する請求項1〜3のいず
れかの項記載の潤滑液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11574295A JPH08302380A (ja) | 1995-05-15 | 1995-05-15 | 冷間圧延用潤滑液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11574295A JPH08302380A (ja) | 1995-05-15 | 1995-05-15 | 冷間圧延用潤滑液 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08302380A true JPH08302380A (ja) | 1996-11-19 |
Family
ID=14669945
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11574295A Withdrawn JPH08302380A (ja) | 1995-05-15 | 1995-05-15 | 冷間圧延用潤滑液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08302380A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009147373A2 (en) * | 2008-06-05 | 2009-12-10 | Castrol Limited | Compositions and method |
CN111849599A (zh) * | 2020-07-03 | 2020-10-30 | 浙江物得宝尔新材料有限公司 | 一种水溶性润滑液及铝冷轧的加工方法 |
CN111909768A (zh) * | 2020-07-03 | 2020-11-10 | 浙江物得宝尔新材料有限公司 | 一种水溶性润滑液及铝冷轧的加工方法 |
-
1995
- 1995-05-15 JP JP11574295A patent/JPH08302380A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009147373A2 (en) * | 2008-06-05 | 2009-12-10 | Castrol Limited | Compositions and method |
EP2147968A1 (en) | 2008-06-05 | 2010-01-27 | Castrol Limited | Compositions and methods |
WO2009147373A3 (en) * | 2008-06-05 | 2010-04-01 | Castrol Limited | Compositions and method |
CN111849599A (zh) * | 2020-07-03 | 2020-10-30 | 浙江物得宝尔新材料有限公司 | 一种水溶性润滑液及铝冷轧的加工方法 |
CN111909768A (zh) * | 2020-07-03 | 2020-11-10 | 浙江物得宝尔新材料有限公司 | 一种水溶性润滑液及铝冷轧的加工方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020806 |