JPH08296746A - メカニカルシール - Google Patents

メカニカルシール

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JPH08296746A
JPH08296746A JP9885695A JP9885695A JPH08296746A JP H08296746 A JPH08296746 A JP H08296746A JP 9885695 A JP9885695 A JP 9885695A JP 9885695 A JP9885695 A JP 9885695A JP H08296746 A JPH08296746 A JP H08296746A
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JP
Japan
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ring
seat ring
seal
mechanical seal
pores
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JP9885695A
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English (en)
Inventor
Masaaki Ishiyama
石山正明
Makoto Komiya
小宮誠
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Eagle Industry Co Ltd
Original Assignee
Eagle Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールリングとシートリングとの間の摩擦係
数が小さく且つ安定するメカニカルシールを提供する。 【構成】 シートリング20は、セラミックス粉末と中
空ガラスビーズ(平均直径15μm)とを混合し、これ
を成形および焼成して形成されたセラミックス部材によ
り構成されている。このシートリング20は、表面およ
び組織中に独立球形気孔(ポアー)を有している。この
シートリング20の密封面19に存在する気孔内に液体
が入り込みこれが潤滑剤として作用するため、摩擦係数
が極めて小さく且つ安定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、シートリングおよび
シールリングにより構成され、流体ポンプ等において回
転軸部分からの液漏れを防止するメカニカルシールに関
し、特に前記シートリングおよび前記シールリングの密
封面における摩擦係数が小さいメカニカルシールに関す
る。
【0002】
【従来技術および解決しようとする課題】図8は従来の
メカニカルシールを示す断面図である。即ち、メカニカ
ルシールは、中空状のハウジング31の内部に回転可能
に回転軸32が配設され、この回転軸32に、カラー3
3と、このカラー33内に保持されるばね34と、この
ばね34で回転軸32の軸線方向に押圧されるコンプレ
ッションリング35と、このコンプレッションリング3
5で押圧されると共に、軸線方向に直交する方向の密封
面36を有するシールリング37とが設けられ、これら
が回転軸32の回転時に回転軸32と一体になって回転
するようになっている。なお、パッキン42により、コ
ンプレッションリング35と、シールリング37と、回
転軸32との間がシールされている。
【0003】一方、ハウジング31の端面に取り付けら
れたシールカバー38の内部には、シールリング37の
密封面36が当接する密封面39を有するシートリング
40が設けられている。そして、このシートリング40
は、その内部を回転軸32が貫通した状態となってい
る。また、このシートリング40は、外周に嵌合する緩
衝リング41a、41bを介してシールカバー38に固
定され、回転軸32が回転してもシートリング40は回
転しないようになっている。
【0004】そして、回転軸32の回転時には、カラー
33、ばね34、コンプレッションリング35およびシ
ールリング37が回転軸32と一体になって回転する。
このとき、シールリング37はその密封面36がシート
リング40の密封面39と摺動するようになっており、
これによってメカニカルシールはシール機能を発揮する
ようになっている。
【0005】従来のメカニカルシールにおいては、一般
的に、シールリング37がカーボンにより形成され、シ
ートリング40がセラミックス等により形成されてい
る。しかし、従来のメカニカルシールでは、密封面での
摩擦係数が比較的大きく、異音およびリンキング(固
着)等が発生するという問題点がある。このため、シー
トリングとシールリングとの間の摩擦係数がより一層小
さいメカニカルシールが要望されている。
【0006】ところで、従来、軽量であると共に耐摩耗
性が優れ、且つ摩擦係数を小さくすることができるセラ
ミックス部材として、組織中に気孔(ポアー)を有する
所謂有気孔セラミックス部材が知られている。このよう
な有気孔セラミックス部材は、以下に示す方法等により
製造されている。
【0007】(1)第1の方法 先ず、セラミックス粉末に少量の結合材を添加し、内部
に気孔を十分に有した状態に低圧で成形する。次いで、
この成形体を所定の雰囲気中で所定温度に加熱して焼成
する。これにより、低密度のセラミックス(有気孔セラ
ミックス)部材を得ることができる。
【0008】(2)第2の方法 先ず、セラミックス粉末に少量の結合材と多量の樹脂と
を混合し、これを高圧で成形した後、焼成する。この焼
成過程で前記樹脂がガスとなって成形体から飛散し、そ
の結果気孔が形成される。このようにして、低密度のセ
ラミックス部材を得ることができる。
【0009】(3)第3の方法 先ず、セラミックス粉末にビーズ状のポリスチレン樹脂
を混合し、これを高圧で成形した後、焼成する。この焼
成過程で前記樹脂がガスとなって成形体から飛散し、そ
の結果気孔が形成される。このようにして、低密度のセ
ラミックス部材を得ることができる。
【0010】しかしながら、上述した従来の有気孔セラ
ミックス部材の製造方法をメカニカルシールに適用しよ
うとすると、以下に示す問題点がある。
【0011】即ち、第1および第2の方法においては、
いずれも気孔が連続しやすく、また気孔の分布が均一に
ならない。気孔が連続したセラミックス部材によりシー
ルリングまたはシートリングを形成すると、液体がシー
ルリングまたはシートリングを浸透して液漏れが発生す
る。このため、気孔が連続したセラミックス部材はメカ
ニカルシールのシールリングおよびシートリングとして
不適当である。また、気孔が連続すると、セラミックス
部材の機械的強度が著しく低下し、メカニカルシールと
して必要とされる強度を維持できないという問題点もあ
る。
【0012】気孔量を下げて気孔が連続しない所謂独立
気孔とすることもできる。しかし、この第1および第2
の方法では粒界に形成される気孔が多角形状となるた
め、セラミックス部材の強度が著しく低下してしまうと
いう問題点がある。つまり、多角形状の気孔を有するセ
ラミックス部材が外力または熱応力を受けると、気孔の
角部に応力が集中し、これが破壊の起点となり、セラミ
ックス部材が破壊されてしまう。また、気孔の分布が不
均一であると、セラミックス部材の機械的性質のばらつ
きが大きくなる原因の一つとなり、信頼性を損なうこと
にもなる。
【0013】更に、第3の方法では、樹脂の分解に伴っ
て発生する多量のガスが素材内部に亀裂を発生させる原
因になると共に、前記ガスが雰囲気中の酸素と反応して
一酸化炭素が生成され、セラミックスの焼結が阻害され
ることもある。
【0014】この発明の第1の目的は、密封面の摩擦係
数が小さく且つ安定するメカニカルシールを提供するこ
とである。
【0015】また、この発明の第2の目的は、軽量で高
強度のメカニカルシールを提供することである。
【0016】更に、この発明の第3の目的は、焼成時に
ガスの発生量が少なく亀裂の発生を回避できるメカニカ
ルシールを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本願の第1発明に係るメ
カニカルシールは、回転軸に緩嵌した状態で装着される
シートリングと、前記回転軸に嵌合した状態で装着され
前記シートリングに摺動しつつ前記回転軸と共に回転す
るシールリングとを有するメカニカルシールにおいて、
前記シールリングの前記シートリングに接触する第1の
密封面部分および前記シートリングの前記シールリング
に接触する第2の密封面部分の少なくとも一方が、セラ
ミックス粉末と中空ビーズとを混合しこれを成形および
焼成して形成された独立気孔を有するセラミックス部材
により構成されていることを特徴とするものである。
【0018】本願の第2発明に係るメカニカルシール
は、回転軸に緩嵌した状態で装着されるシートリング
と、前記回転軸に嵌合した状態で装着され前記シートリ
ングに摺動しつつ前記回転軸と共に回転するシールリン
グとを有するメカニカルシールにおいて、前記シールリ
ングの前記シートリングに接触する第1の密封面部分お
よび前記シートリングの前記シールリングに接触する第
2の密封面部分の少なくとも一方が、セラミックス粉
末、中空ビーズおよび樹脂を混合しこれを成形および焼
成して形成された独立気孔を有するセラミックス部材に
より構成されていることを特徴とするものである。
【0019】なお、前記中空ビーズの材質としては、酸
化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、複合化合物、カーボ
ンおよび有機物からなる群から選択された少なくとも1
種または2種以上を使用することができる。また、前記
独立気孔の直径は5〜50μm、前記セラミックス部材
の表面気孔率は3〜28%であることが好ましい。
【0020】
【作用】この発明においては、シールリングまたはシー
トリングの少なくとも一方の密封面部分が、中空ビーズ
とセラミックス粉末とを混合したものを成形および焼成
して形成されたセラミックス部材により構成されてい
る。このようなセラミックス部材は、従来の中空でない
樹脂ビーズを使用した場合に比べて、焼成過程で生じる
分解ガスが極めて少ない。このため、セラミックス部材
の強度を低下させるような亀裂の発生を回避できる。ま
た、予めセラミックス粉末中に中空ビーズを均一に混合
しておくことにより、部材中に独立気孔を均一に分布さ
せることができる。中空ビーズの材質はマトリックスと
なるセラミックス粉末の成分等に応じて適宜選択すれば
よい。例えば、中空ビーズは、酸化物、炭化物、窒化
物、ホウ化物、複合化合物、カーボンおよび有機物等に
より形成されたもののうち、1種または2種以上を混合
して使用することができる。この発明によれば、酸化
物、炭化物または窒化物等の各種セラミックスを主成分
とし独立気孔を有する無浸透性セラミックス部材により
構成されたシールリングまたはシートリングを有するメ
カニカルシールの製造が可能である。
【0021】また、この発明に係るメカニカルシール
は、密封面部分を構成するセラミックス部材の表面に存
在する気孔内に液体が入り込みこれが潤滑剤として作用
する。このため、摩擦係数が著しく低減する。しかも、
セラミックス部材中に存在する気孔内のガス等が熱的ま
たは機械的な緩衝材として作用するため、耐熱衝撃性お
よび耐衝撃性も優れている。
【0022】なお、中空ビーズは、例えばシャボン玉の
ように材料の表面張力を利用して形成することができ
る。このような方法で中空ビーズを形成するとビーズは
ほぼ真球の形状になる。このような中空ビーズを使用す
ると、セラミックス部材中に形成される気孔もほぼ球形
になる。従って、応力が加えられた場合に応力が一点に
集中することを回避でき、セラミックス部材の強度の急
激な低下を回避できる。また、中空ビーズの混合により
あたかも分散剤を添加したかのような効果を示し、セラ
ミックス部材の強度が向上する。
【0023】ところで、中空ビーズは、その材質によっ
ては通常用いられるセラミックスの圧縮成形に対し強度
的に弱く、耐えられないこともある。この場合は、適量
の樹脂を添加し、中空ビーズの強度以下の低圧力で成形
した後、焼成することが好ましい。
【0024】また、通常、セラミックスの常圧焼結には
焼結助材といわれる物質が添加されるが、この発明の如
く中空ビーズを用いる場合には、この中空ビーズが焼結
助材として作用するようにもできる。
【0025】なお、独立気孔の直径が5μm未満の場合
は表面気孔率を大きくしても摩擦係数を低減する効果を
十分に得ることができない。一方、独立気孔の直径が5
0μmを超える場合は、摺動相手のカーボンが気孔内に
入り込み、潤滑効果が低下する。このため、独立気孔の
直径は5〜50μmとすることが好ましい。また、セラ
ミックス部材の表面気孔率が3%未満の場合は、摩擦係
数を十分に低減することができず、また機械的強度を改
善する効果も十分でない。一方、表面気孔率が28%を
超える場合は、メカニカルシールとして必要なシール性
を確保することが困難になる。このため、表面気孔率は
3〜28%とすることが好ましい。
【0026】
【実施例】以下、この発明の実施例について、添付の図
面を参照して説明する。図1はこの発明の第1の実施例
に係るメカニカルシールを示す断面図である。このメカ
ニカルシールは、中空状のハウジング11の内部に回転
可能に回転軸12が配設され、この回転軸12に、カラ
ー13と、このカラー13内に保持されるばね14と、
このばね14で回転軸12の軸線方向に押圧されるコン
プレッションリング15と、このコンプレッションリン
グ15で押圧されると共に、軸線方向に直交する方向の
密封面16を有するシールリング17とが設けられ、こ
れらが回転軸12の回転時に回転軸12と一体になって
回転するようになっている。なお、パッキン22によ
り、コンプレッションリング15と、シールリング17
と、回転軸12との間がシールされている。
【0027】一方、ハウジング11の端面に取付けられ
たシールカバー18の内部には、シールリング17の密
封面16が当接する密封面19を有するシートリング2
0が設けられている。このシートリング20は、その内
部を回転軸12が貫通した状態になっている。また、こ
のシートリング20は、外周に嵌合する緩衝リング21
a、21bを介してシールカバー18に固定されてお
り、回転軸12が回転してもシートリング20は回転し
ないようになっている。
【0028】この実施例において、シートリング20の
全体が、セラミックス粉末、樹脂および中空ガラスビー
ズを混合したものを成形材料とし、この成形材料を成形
および焼成して形成されたセラミックス部材からなって
いる。そして、このシートリング20の表面および組織
中には、前記中空ビーズにより形成されたほぼ球形の独
立気孔(以下、独立球形気孔と記す)が存在している。
一方、シールリング17は、従来と同様に、カーボンに
より形成されている。
【0029】このように構成されたメカニカルシールに
おいて、回転軸12が回転すると、カラー13、ばね1
4、コンプレッションリング15およびシールリング1
7が回転軸12と一体になって回転する。このとき、シ
ールリング17はその密封面16がシートリング20の
密封面19と摺動するようになっており、これによって
メカニカルシールはシール機能を発揮するようになって
いる。
【0030】以下、この実施例のメカニカルシールのシ
ートリング20の製造例を示す。 製造例1 まず、平均粒径が0.5μmの易焼結性アルミナ粉末1
00重量部に対し、フェノール樹脂を10重量部、離型
剤(ステアリン酸)を1重量部添加し、更に中空ガラス
ビーズ(平均粒径15μm)を2重量部加え、小型ニー
ダーにて2〜3時間混合して成形材料を得た。
【0031】次に、180℃に加熱した金型を用いて、
これらの成形材料を成形して成形体を得た。このときの
成形圧力は500kg/cm2 である。次いで、この成
形体を大気雰囲気中で1600℃の温度で2時間加熱し
て焼結させ、メカニカルシールのシートリングを得た。
【0032】図2は、このようにして製造したシートリ
ングの組織を示す図、図3は中空ビーズを使用しないこ
と以外は製造例1と同様にして製造したシートリングの
組織を示す図である。この図2から明らかなように、こ
の製造例1により製造したシートリングは、マトリック
スであるアルミナ1中に直径が10〜15μm程度のほ
ぼ球形の独立ポアー(気孔)2がほぼ均一に分散した組
織を有しており、表面気孔率は約8%であった。また、
この製造例1のシートリングは流体に対し不浸透性を示
した。一方、図3から明らかなように、中空ビーズを使
用することなく製造したシートリングにおいては、内部
に著しいクラック3が発生していた。
【0033】次に、上述の製造例1により製造したシー
トリングとカーボン製シールリングとを使用して実施例
のメカニカルシールを組み立て、このメカニカルシール
の回転数と摺動トルクとの関係を調べた。また、比較の
ために、アルミナ純度が99%のセラミックスからなる
シートリングとカーボン製シールリングとを使用して従
来のメカニカルシール(以下、従来例と記す)を組み立
て、これらのメカニカルシールの回転数とトルクとの関
係を調べた。この結果を図4に示す。但し、密封液とし
ては水道水を使用し、液温度は90℃、液圧力は大気解
放である。
【0034】この図4から明らかなように、実施例のメ
カニカルシールは、回転数が0〜2000r.p.mの
間で摺動トルクが約0.4kg−cmと低く、且つ安定
していた。また、メカニカルシールで問題となる異音の
発生も認められなかった。一方、従来例のメカニカルシ
ールは、特に低い回転数での摺動トルクが大きいもので
あった。
【0035】製造例2 まず、平均粒径が3.0μmのSiC粉末100重量部
に対し、フェノール樹脂を15重量部、離型剤(ステア
リン酸)を1重量部添加し、更に中空カーボンビーズ
(粒径50μm以下)を2重量部加え、これを小型ニー
ダーにて2〜3時間混合して、成形材料を得た。
【0036】次に、180℃に加熱した金型を用いて、
この成形材料を500kg/cm2の成形圧力にて成形
し、1600℃の温度で2時間に亘って加熱し、金属シ
リコン(Si)とカーボンとを反応させる反応焼結を行
った。これにより、シートリングが完成した。
【0037】図5はこのようにして製造したシートリン
グの組織を示す図、図6は中空ビーズを使用しないこと
以外は製造例2と同様に製造したシートリングの組織を
示す図である。図5から明らかなように、この製造例2
のシートリングにおいては、マトリックスとしてのSi
C4中にほぼ球形のポアー2および金属Si5がほぼ均
一に分散している。すなわち、カーボンビーズがSiC
化し、組織中に独立した球形のポアー2を形成してい
る。一方、図6から明らかなように、中空ビーズを使用
することなく製造したシートリングにおいては、マトリ
ックスとしてのSiC4中に金属Si5およびカーボン
6が分散されているものの、ポアーは存在していない。
【0038】この製造例2により製造したシートリング
とカーボン製シールリングとを使用して実施例のメカニ
カルシールを組み立て、このメカニカルシールの回転数
とトルクとの関係を、前述した製造例1のときと同一の
条件で測定したところ、製造例1と同様に、従来に比べ
摺動トルクが低く、且つ安定していた。また、異音の発
生もなかった。
【0039】製造例3 まず、平均粒径が0.5μmのSiC粉末100重量部
に対して、B4 C粉末を0.5重量部、カーボンブラッ
ク粉末を3.0重量部、ポリビニルアルコールを3.0
重量部添加し、更に水を加えてボールミル混合(2時
間)した後、平均粒径が100μmの中空ポリスチレン
ビーズを2重量部添加し、スプレードライ造粒して成形
材料を得た。そして、この成形材料を成形および焼成し
て、シートリングを得た。
【0040】このようにして製造したシートリングとカ
ーボン製シールリングとを使用して実施例のメカニカル
シールを組み立て、このメカニカルシールの回転数とト
ルクとの関係を、前述した製造例1のときと同一の条件
で測定したところ、製造例1と同様に、従来に比べ摺動
トルクが低く、且つ安定していた。また、異音の発生も
なかった。
【0041】製造例4 まず、平均粒径が2.0μmのSi3 4 粉末100重
量部に対して、Y2 3 粉末を5.0重量部、Al2
3 粉末を5.0重量部、ポリスチレンを20重量部混合
し、更に直径が50〜150μmの中空ガラスビーズ
(シラスバルーン)を3重量部加え、これを小型ニーダ
ーにて混合して成形材料とした。その後、この成形材料
を150℃に加熱して射出成形し、所定のシートリング
の形状の成形体を得た。
【0042】次に、窒素ガス雰囲気中でこの成形体を1
700℃の温度で4時間加熱することにより、1次焼結
を行った。その後、この1次焼結体を1850℃に加熱
し、2時間に亘って1000kg/cm2 の圧力を印加
するHIP(熱間静水圧)処理を行った。次いで、この
焼結体を研削仕上加工して、シートリングを得た。
【0043】このようにして製造したシートリングとカ
ーボン製シールリングとを使用して実施例のメカニカル
シールを組み立て、このメカニカルシールの回転数とト
ルクとの関係を、前述した製造例1のときと同一の条件
で測定したところ、製造例1と同様に、従来に比べ摺動
トルクが低く、且つ安定していた。また、異音の発生も
なかった。
【0044】これらの製造例1〜4のようにしてシート
リング20を製造できるが、セラミックス粉末および中
空ビーズの種類は上述の製造例1〜4で説明したものに
限定されるものではなく、種々のものを使用することが
できる。例えば、セラミックス粉末としては、アルミナ
粉末、シリコンカーバイト粉末、シリコンナイトライド
粉末またはその他のセラミックス粉末を使用し、中空ビ
ーズとしては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、複
合酸化物、カーボンおよび有機物等からなるものを使用
することができる。
【0045】この実施例においては、シートリング20
の密封面に独立球形気孔が存在するので、液体がこの気
孔内に入り込んで潤滑剤として作用する。従って、シー
トリング20とシールリング17との間の摩擦係数が極
めて小さく且つ安定している。また、この実施例におい
ては、前記気孔が連続していないので、液体がシートリ
ング20の内部に浸透することを回避でき、液漏れを防
止することができる。更に、この実施例においては、中
空ビーズを使用して独立球形気孔を形成するので、焼成
時に発生するガスの量が少なく、亀裂の発生を回避でき
ると共に、ガスにより焼成が阻害されることを回避でき
る。更にまた、この実施例においては、シートリング全
体が独立球形気孔を有するセラミックス部材により構成
されているので、軽量であるだけでなく、外力または熱
応力を受けた場合に応力が一点に集中することを回避で
きて、機械的強度も高い。
【0046】この実施例において、中空ビーズの直径が
5μm未満の場合には表面気孔率を大きくしても摺動ト
ルクを下げることができず、逆に中空ビーズの直径が5
0μmを超える場合にはシールリングのカーボンがポア
ーに入り込み、潤滑効果が低下して好ましくなかった。
このため、中空ビーズの直径は5〜50μmとすること
が好ましい。
【0047】また、表面気孔率が3%未満の場合も摺動
トルクを下げる効果が十分でなく、表面気孔率が28%
を超える場合には気密性の保持が困難であった。このた
め、表面気孔率は3〜28%とすることが好ましい。
【0048】なお、常圧焼結の場合は、焼結条件を調整
することにより、中空ビーズが焼結助材として作用する
ようにもできる。また、中空ビーズは、例えばシャボン
玉のように材料の表面張力を利用して形成することがで
き、このようにして形成された中空ビーズはほぼ球形の
形状になる。そして、中空ビーズが焼成時に揮発飛散す
る材料からなる場合は、クラック防止および焼結阻害防
止の観点から、中空ビーズの膜厚が薄く、焼成時にガス
の発生量が少ないことが好ましく、例えば、中空ビーズ
の膜厚を10μm以下と薄くすることが好ましい。更
に、セラミックスの圧縮成形に対し中空ビーズの強度が
低い場合は、少量の潤滑剤と共に樹脂を添加し、中空ビ
ーズの強度以下の低圧力で成形した後、焼成すればよ
い。
【0049】図7は、この発明の第2の実施例に係るメ
カニカルシールを示す断面図である。この図7におい
て、図1と同一部分には同一番号を付して詳しい説明は
省略する。
【0050】この実施例においては、シートリング20
が、密封面19部分を構成する第1セラミックス部材2
0aと、その他の部分を構成する第2セラミックス部材
20bとにより構成されている。第1セラミックス部材
20aは、セラミックス粉末と中空ビーズとを混合し、
これを成形および焼成して形成されたものであり、表面
および組織中に独立球形気孔を有している。この第1セ
ラミックス部材20aは、前述した実施例1〜4と同様
にして製造することができる。一方、第2セラミックス
部材20bは、その原料中に中空ビーズを含まず、表面
および組織中に独立気孔を有していない。
【0051】この実施例においても、シートリング20
の密封面19に独立球形気孔が存在するため、第1の実
施例と同様に、シートリング20とシールリング17と
の間の摩擦係数が極めて小さく且つ安定する。また、液
体がシートリング20の内部に浸透することを確実に防
止できる。更に、焼成時に発生するガスの量が少ないた
め、焼成時の亀裂の発生および焼成不良を回避できる。
【0052】なお、上述した第1および第2の実施例に
おいては、いずれもシートリングの密封面部分が独立気
孔を有するセラミックス部材により構成されている場合
について説明したが、この発明はこれに限定されるもの
ではなく、シールリングの密封面部分が独立気孔を有す
るセラミックス部材により形成されていてもよい。
【0053】すなわち、シールリング17の全体を独立
気孔を有するセラミックス部材で形成したり、あるいは
シールリング17のうちの密封面16側の部分を独立気
孔を有するセラミックス部材で形成したりしてもよいも
のである。更に、シートリング20およびシールリング
17の両方を独立気孔を有するセラミックス部材で形成
したり、シートリング20およびシールリング17の各
密封面16、19側の部分を独立気孔を有するセラミッ
クス部材で形成してもよい。
【0054】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、シート
リングおよびシールリングのいずれか一方または両方の
密封面部分が独立気孔を有するセラミックス部材により
構成されているので、液体の浸透を回避できると共に、
前記密封面に存在する気孔内に液体が入り込みこれが潤
滑剤として作用するため、摩擦係数が極めて小さく且つ
安定する。また、前記セラミックス部材は、中空ビーズ
を使用して独立気孔を形成したものであるため、焼成時
に発生するガスの量が少なく、亀裂の発生を回避できる
と共に、焼成が阻害されることを防止できる。
【0055】更に、前記セラミックス部材が気孔を有す
るため、軽量であると共に、応力が印加された場合に応
力が一点に集中することを回避できて強度も高い。
【0056】従って、この発明により、長時間に亘って
シール性を保持できると共に密封面の摩擦係数が小さく
且つ安定し、更に軽量で強度が高く、製造が容易なメカ
ニカルシールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係るメカニカルシー
ルを示す断面図である。
【図2】製造例1により製造したシートリングの組織を
示す図である。
【図3】中空ビーズを使用しないこと以外は製造例1と
同様にして製造したシートリングの組織を示す図であ
る。
【図4】実施例および従来例のメカニカルシールの回転
数と摺動トルクとの関係を示す図である。
【図5】製造例2により製造したシートリングの組織を
示す図である。
【図6】中空ビーズを使用しないこと以外は製造例2と
同様にして製造したシートリングの組織を示す図であ
る。
【図7】この発明の第2の実施例に係るメカニカルシー
ルを示す断面図である。
【図8】従来のメカニカルシールを示す断面図である。
【符号の説明】
1……アルミナ 2……ポアー 3……クラック 4……SiC 5……金属Si 6……カーボン 11、31……ハウジング 12、32……回転軸 13、33……カラー 14、34……ばね 15、35……コンプレッションリング 16、19、36、39……密封面 17、37……シールリング 18、38……シールカバー 20、40……シートリング 20a……第1セラミックス部材 20b……第2セラミックス部材 21a、21b、41a、41b……緩衝リング 22、42……パッキン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸(12)に緩嵌した状態で装着さ
    れるシートリング(20)と、前記回転軸(12)に嵌
    合した状態で装着され前記シートリング(20)に摺動
    しつつ前記回転軸(12)と共に回転するシールリング
    (17)とを有するメカニカルシールにおいて、前記シ
    ールリング(17)の前記シートリング(20)に接触
    する第1の密封面(16)部分および前記シートリング
    (20)の前記シールリング(17)に接触する第2の
    密封面(19)部分の少なくとも一方が、セラミックス
    粉末と中空ビーズとを混合しこれを成形および焼成して
    形成された独立気孔を有するセラミックス部材により構
    成されていることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 【請求項2】 回転軸(12)に緩嵌した状態で装着さ
    れるシートリング(20)と、前記回転軸(12)に嵌
    合した状態で装着され前記シートリング(20)に摺動
    しつつ前記回転軸(12)と共に回転するシールリング
    (17)とを有するメカニカルシールにおいて、前記シ
    ールリング(17)の前記シートリング(20)に接触
    する第1の密封面(16)部分および前記シートリング
    (20)の前記シールリング(17)に接触する第2の
    密封面(19)部分の少なくとも一方が、セラミックス
    粉末、中空ビーズおよび樹脂を混合しこれを成形および
    焼成して形成された独立気孔を有するセラミックス部材
    により構成されていることを特徴とするメカニカルシー
    ル。
  3. 【請求項3】 前記中空ビーズが、酸化物、炭化物、窒
    化物、ホウ化物、複合化合物、カーボンおよび有機物か
    らなる群から選択された少なくとも1種からなる請求項
    1または2に記載のメカニカルシール。
  4. 【請求項4】 前記独立気孔の直径が5〜50μm、前
    記セラミックス部材の表面気孔率が3〜28%である請
    求項1乃至3のいずれか1項に記載のメカニカルシー
    ル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6098988A (en) * 1997-04-18 2000-08-08 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Mechanism for forming a seal around the shaft of a liquid pump
JP2001139376A (ja) * 1999-11-10 2001-05-22 Senshin Zairyo Riyo Gas Generator Kenkyusho:Kk 炭化珪素焼結体、その炭化珪素焼結体を用いたメカニカルシール及びその炭化珪素焼結体を用いたセグメントシール

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US6098988A (en) * 1997-04-18 2000-08-08 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Mechanism for forming a seal around the shaft of a liquid pump
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