JPH08294531A

JPH08294531A - 血液処理装置

Info

Publication number: JPH08294531A
Application number: JP7125827A
Authority: JP
Inventors: Nobuaki Nakagawa; 宜明中川; Kazuhiro Niimoto; 和浩新本; Tadashi Okiyama; 忠沖山
Original assignee: JMS Co Ltd
Current assignee: JMS Co Ltd
Priority date: 1995-04-25
Filing date: 1995-04-25
Publication date: 1996-11-12

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は体外循環等の血液灌流の際に使用する
血液処理装置に関し、特に全血灌流しても圧力上昇を抑
制でき、且つ灌流したときに発生するチャンネリング等
による血液の不均一な流布状態を改善することのできる
血液処理装置を提供する。【構成】血液を灌流し、体外物質と接触させることによ
って人体に有用な処理を行う血液処理装置であって、該
血液処理装置は血液処理材を充填した円筒状のカラムを
有し、前記カラム内を流れる血液のカラム入口からカラ
ム出口へ向かう最短流路を邪魔するように入れ子がカラ
ム内に配設されたことを特徴とする血液処理装置

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は体外循環等の血液灌流の
際に使用する血液処理装置に関し、更に詳細には血液中
の有害物質を吸着除去する吸着材を充填した吸着型血液
浄化器のカラムの形状に関する。

【０００２】

【従来の技術】血液浄化器は吸着材を充填した円筒形状
のカラムからなり、カラム中に血液を通すことによって
血液中の有害物質を吸着、除去するものである。従来よ
り、いろいろな吸着型血液浄化器が作製されてきたが、
充分満足できるものは得られていないのが現状である。
吸着や血液浄化等の血液処理効率にのみ限定すると、吸
着材を充填している吸着材充填部の直径と長さの比であ
るＬ／Ｄは適度に大きい方が有利であり、過去において
も実開昭６３−４０９４７号公報にみられるようなＬ／
Ｄが５〜１０である血液浄化装置が考案されてきた。し
かし、血液浄化装置は円筒状のカラムに吸着材を細密充
填しており、且つ実際に臨床使用される浄化器は全血を
灌流されることがほとんどであるので、全血の粘性や血
液中の凝固因子によってスム−スな流れが邪魔されるこ
とになる。その結果、血液浄化のために体外循環を実施
しているときに圧力が上昇し、治療を中断しなければな
らない場合がある。これは解毒のために、分秒を争う救
急の場合の血液浄化では致命的なことであり、また血液
浄化は救急の場合で実施されることが多い。このような
場合に、Ｌ／Ｄが小さいカラムは体外循環における圧力
上昇の抑制や血液損傷の点で優れているため、現実的な
血液浄化装置に適合しており、実際に作製される多くの
血液浄化装置はこれに沿ったものである。

【０００３】上記のように、カラム入口の圧力はカラム
が同一断面積を有するのであれば、カラム長に比例する
ため、血液浄化材の充填量を同一にして圧力上昇を防止
するにはカラム断面積（入口口径）を拡大し、それに応
じてカラム長を短縮すれば良い。即ち、Ｌ／Ｄを小さく
すればするほど、血液灌流時の圧力上昇や血液損傷は抑
制できることになる。しかし、Ｌ／Ｄを小さくすると、
灌流血液のカラム中央部におけるチャンネリング（偏向
流；流布状態が不均一になること）が発生し易くなり、
血液浄化の効率が低下する。そのため、Ｌ／Ｄは１以下
にすることができないという事情があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は全血灌流しても圧力上昇を起こさず、且つ灌流したと
きにチャンネリング等の発生を抑制でき、且つ灌流した
ときに発生するチャンネリング等による血液の不均一な
流布状態を改善することのできる血液処理装置を提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者はこのチャンネ
リングがカラムの中央部に発生し易いことから、創意工
夫し、以下のような手段によって上記課題を解決し得
た。

【０００６】即ち、その手段とは血液を灌流し、体外物
質と接触させることによって人体に有用な処理を行う血
液処理装置であって、該血液処理装置は血液処理材を充
填した円筒状のカラムを有し、前記カラム内を流れる血
液のカラム入口からカラム出口へ向かう最短流路を邪魔
するように入れ子がカラム内に配設されたことを特徴と
する血液処理装置である。

【０００７】

【作用】カラム中央部に入れ子を配設することにより、
カラム入口から流入した血液はカラム出口に向かう直線
的な最短流路を通ることができずに、入れ子外周より外
側を迂回して流れるようになる。そのため、血液はカラ
ム内壁と入れ子の間の血液処理材の中を分散して流れる
ことになる。またこのときに、前記カラム内において、
液流方向に平行な複数の仕切りを配設することによっ
て、前記カラム内壁と入れ子の間を分散して流れる血液
を更に液流方向に分流することができる。

【０００８】

【実施例】以下、図面によって本発明をより詳細に説明
する。図１は本発明の１つの実施態様であり、血液処理
装置１とその中を通過する血液の流布状態を示す断面図
である。本発明の血液処理装置１は血液流入口２と血液
流出口３を有する円筒状のカラムであり、図に示すよう
な横に拡がったカラム１内に血液処理材４が充填されて
なる。カラム内部に入れ子５が挿入されてなり、入れ子
５はカラム流入口２からカラム流出口３に流れる血液の
最短流路を邪魔するようにカラム中央部に配設されてい
る。流入口２からの血液は、カラム中央部に配設された
入れ子５に邪魔されて、直線的な最短の流路を通ること
ができないため、入れ子５の外周より外側を迂回して流
れ、カラム内壁６と入れ子５の間を分散して流れるよう
になる。入れ子５の位置は、カラム流入口２からカラム
流出口３に流れる血液の最短流路を入れ子５が邪魔する
ように配設されていれば、一応血流は分散されて効果を
有する。しかし、入れ子５がカラム１と類似した形状
で、且つ入れ子５がカラム１の回転中心と同軸に配設さ
れていると、より均一な流布状態が実現でき、血液処理
効率が向上する。特にカラム１の血液処理材充填部４の
平均直径をＤ、入れ子５の平均直径をＤ１としたとき
に、Ｄ１／Ｄが０．１〜０．９の範囲にあると、本発明
の血液処理装置１はより分散された流布状態を実現する
ことができる。

【０００９】ここで、本発明における血液処理材充填部
４の直径Ｄとは、図１に示すような血液処理材４を充填
できるカラム有効径（内径）を表すものであり、断面が
円形の場合はその直径、非円形の場合には、これを等面
積の円形に置き換えたものの直径をいい、その直径が長
さ方向に一定でない場合には、長さ方向について平均し
た値をとる。また血液処理材充填部４の長さＬとは、同
じく図１に示すような血液処理材４を充填できるカラム
有効全長を表すもので、血液がカラム１内に入って血液
処理材４に接触し、処理材４の層を通ってそこから出る
までの長さをいう。

【００１０】このようにして、流入口２から流出口３に
流れる血液が選択的に最短距離の経路を通ることによっ
て発生するチャンネリングを防止することができる。

【００１１】しかし、上記に示したような改良だけで
は、血液処理材４の充填密度や空隙、その他の原因で、
血液がカラム１内を不均一に流れるのを防止することは
できない場合がある。そこで、前記カラム１内におい
て、液流方向に平行な複数の仕切り７を配設することに
よって、前記カラム内壁６と入れ子５の間を分散して流
れる血液を更に液流方向に分流することができる。即
ち、概念的には、液流方向に平行な仕切り７によって分
割された複数の細長いカラムを並列に接続したものと同
じものと考えることができる。この仕切り７はカラム両
端部（以下これをカラムヘッダ−８とする。）のうち、
少なくとも一端のカラムヘッダ−８内壁に配設されても
良いし、カラム１の内壁６全体に配設されても良い。ま
た、カラムヘッダ−８に配設された複数の仕切り７は、
入れ子５と協同してカラム１内を液流方向と平行に水密
に分割するものであれば、カラム内を流れる血液をより
良好に分散させることができる。図２は仕切り７の配設
状態をより明確にするため、本発明の血液処理装置１を
上方向から見たものである。仕切り７によって、カラム
１内を通過する血液は、仕切り７によって分割された小
室内９における流動のみ許容される。仕切り７の数は使
用される血液処理材４の量、粒径、密度や血液の粘度に
よって変化すべきものであるが、例えば一般的な粘度を
有する全血を、粒径１００〜５００μｍの吸着材（血液
処理材）５０〜３００ｍｌを充填したカラム（Ｌ／Ｄが
１以下）内を灌流する場合ならば、仕切りの数は４で充
分である。

【００１２】このようにして、カラム１内の血液が分散
され、血液処理材４の中を均一に流れることによって、
血液処理材４による処理効率が大幅に向上する。そのた
め、従来では考えられなかったような形状のカラムを検
討することが可能となった。即ち、血液灌流時における
圧力上昇を防止するためには、充填部平均直径Ｄと充填
部長さＬの比であるＬ／Ｄを小さくすれば良いことは判
っていたが、チャンネリングにより血液処理効率が極端
に悪くなるので実現できなかった。しかし、上記のよう
な入れ子５と仕切り７を採用することによって、よりＬ
／Ｄを小さくすることが可能となり、改めて血液処理装
置１の形状を見直すことができるようになった。血液灌
流時における圧力上昇を防止するためには、充填する充
填材の粒子径にもよるが、少なくともＬ／Ｄを１以下に
することが望ましく、好ましくはＬ／Ｄが０．０５〜
０．３７５の範囲にあることである。このような条件に
よって、血液処理効率を低下させることなく、且つ圧力
上昇を防止することができる。

【００１３】実施例１カラム有効長とカラム有効径の比Ｌ／Ｄが０．１２５
（Ｌ＝１５０ｍｍ，Ｄ＝１２００ｍｍ）である血液浄化
装置用のカラム１内に、そのカラムの回転中心と同軸に
チャンネリング防止用入れ子５（直径４０ｍｍ）を配設
したものを作製した。更に該入れ子５と協同してカラム
１内を液流方向に分割でき、且つ血液がその方向に分散
されるように、血液浄化装置のカラムヘッダ−８の内壁
の血液流入口側に４本の仕切り７を配設した。この血液
浄化装置カラム１内に、血液処理材４として粒径１５０
μｍのシリカゲルビ−ズ１５０ｍｌを充填し、カラム上
下にシリカゲル流出防止用のナイロンメッシュ（３００
メッシュ）１０を装着した。ちなみにシリカゲルビ−ズ
はカラムクロマトグラフィ−用カラムで通例使用される
湿式充填法により充填した。この血液浄化装置１に粘度
４ｃｐｓの牛血液を流速５０ｍｌ／ｍｉｎで流したとこ
ろ、牛血液はカラム１内で図３にみられるように均一に
分散した。また、流液開始５分後のカラムの血液流入口
２側の圧力は２〜５ｍｍＨｇであった。血液の流速を上
げるに従い、血液流入口側の圧力は徐々に上昇したが、
この際の流入口側の圧力は血液流速（以下、血流と略
す。）１００ｍｌ／ｍｉｎで３０ｍｍＨｇ、血流１５０
ｍｌ／ｍｉｎで４０ｍｍＨｇ、血流２１０ｍｌ／ｍｉｎ
で８０ｍｍＨｇと僅かなものであった。その後、血流２
１０ｍｌ／ｍｉｎで３時間、牛血を灌流したが目立った
圧力上昇は認められなかった。

【００１４】実施例２仕切りが無いこと以外は実施例１と全て同一の血液浄化
装置に同種、同量のシリカゲルビ−ズを充填し、実施例
１と同じ条件で牛血液による灌流実験を実施した。その
結果、カラムの血液流入口側圧力は実施例１と同程度
で、血液流速を上げた際の流入口側の圧力上昇も同様に
僅かなものであったが、僅かに部分的なチャンネリング
が認められた。

【００１５】比較例１カラム有効長とカラム有効径の比Ｌ／Ｄが１．８の血液
浄化装置用カラムに、実施例１と同種、同量のシリカゲ
ルビ−ズを充填し、実施例１と同じ条件で牛血液による
灌流実験を実施した。その結果、血流５０ｍｌ／ｍｉｎ
の場合には、灌流開始直後の血液流入口側の圧力は１０
０ｍｍＨｇと実施例１における値の約５倍であった。ま
た、血流を１５０ｍｍＨｇまで上げていくと、流入口側
の圧力は４５０ｍｍＨｇまで上昇した。この状態で血液
灌流を継続したが、その後１５分で圧力が急上昇し、灌
流中止を余儀無くされた。

【００１６】比較例２入れ子と仕切りが無い以外は実施例１と全て同じ血液浄
化装置を使用して、実施例１と同じ条件にて灌流実験を
実施した。その結果、カラムの血液流入口側圧力及び血
液流速を上げた際の流入口側の圧力上昇は実施例１と同
等であったが、カラム全体に広範囲なチャンネリングが
認められた。

【００１７】

【発明の効果】カラム中央部に入れ子を配設することに
よって、カラム内を流れる血液がチャンネリングを起こ
すのを防止し、均一な流布状態になるようにすることが
できる。更に、カラム内に液流方向に平行な複数の仕切
りを配設することによって、より血液を均一な流布状態
にすることが可能となる。その結果、血液処理材による
処理効率が大幅に向上し、そのため血液灌流の際に圧力
上昇しにくいカラム形状を選択することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の血液処理装置とその中を通過する血液
の流布状態を示す断面図である。

【図２】本発明の血液処理装置とその中に配設された仕
切りを示す平面図である。

【図３】本発明の血液処理装置を使用して行った牛血に
よる灌流実験での、良好な血液の流布状態を示す平面図
である。

【符号の説明】

１．血液処理装置（カラム）２．血液流入口３．血液流出口４．血液処理材（血液処理材充填部）５．入れ子６．カラム内壁７．仕切り８．カラムヘッダ− ９．小室内１０．ナイロンメッシュ１１．流布した血液Ｄ．血液処理材充填部の平均直径Ｄ１．入れ子の平均直径Ｌ．血液処理材充填部の長さ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】血液を灌流し、体外物質と接触させるこ
とによって人体に有用な処理を行う血液処理装置であっ
て、該血液処理装置は血液処理材を充填した円筒状のカ
ラムを有し、前記カラム内を流れる血液のカラム入口か
らカラム出口へ向かう最短流路を邪魔するように入れ子
がカラム内に配設されたことを特徴とする血液処理装
置。
【請求項２】前記入れ子が円筒状であり、且つ該入れ
子が前記カラムの回転中心と同軸に配設されたことを特
徴とする請求項１記載の血液処理装置。
【請求項３】前記入れ子の直径Ｄ１と、血液処理材を
充填した血液処理材充填部の平均直径Ｄの比がＤ１／Ｄ
＝０．１〜０．９の範囲にあることを特徴とする請求項
１または２のいずれかの項に記載の血液処理装置。
【請求項４】前記カラム内を流れる血液がカラム内で
分流されるように、前記カラム内において、液流方向に
平行な複数の仕切りが配設されたことを特徴とする請求
項１〜３のいずれかの項に記載の血液処理装置。
【請求項５】前記仕切りが円筒状カラムの両端部のう
ち、少なくとも一端部の内壁に配設された請求項１〜４
のいずれかの項に記載の血液処理装置。
【請求項６】前記仕切りが、前記入れ子と協同してカ
ラム内を液流方向と平行に水密に分割するものである請
求項１〜５のいずれかの項に記載の血液処理装置。
【請求項７】前記仕切りの数が４以上である請求項１
〜６のいずれかの項に記載の血液処理装置。
【請求項８】前記血液処理材充填部の平均直径Ｄと、
該充填部の長さＬとの比Ｌ／Ｄが１以下であることを特
徴とする請求項１〜７のいずれかの項に記載の血液処理
装置。
【請求項９】前記血液処理材充填部の平均直径Ｄと、
該充填部の長さＬとの比Ｌ／Ｄが０．０５〜０．３７５
の範囲にあることを特徴とする請求項〜のいずれかの
項に記載の血液処理装置。
【請求項１０】前記血液処理装置が血液浄化装置であ
る請求項１〜９のいずれかの項に記載の血液処理装置。
【請求項１１】前記血液処理装置が有害物質の吸着に
よることを特徴とする請求項１〜１０のいずれかの項に
記載の血液処理装置。