JPH08291295A - 電気粘性流体用炭素微粉およびその製造方法 - Google Patents

電気粘性流体用炭素微粉およびその製造方法

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JPH08291295A
JPH08291295A JP7120548A JP12054895A JPH08291295A JP H08291295 A JPH08291295 A JP H08291295A JP 7120548 A JP7120548 A JP 7120548A JP 12054895 A JP12054895 A JP 12054895A JP H08291295 A JPH08291295 A JP H08291295A
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carbon
fullerene
containing soot
soot
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JP7120548A
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Masataka Kono
正孝 河野
Motohiro Yamamoto
元弘 山本
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Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 初期粘度が低く、印加電圧に対する優れた粘
性応答性と長期間の安定性能を発揮する高抵抗かつ微細
性状の電気粘性流体用炭素微粉とその製造方法を提供す
る。 【構成】 電気比抵抗が10〜108 Ωcmで、炭素含有量が
99重量%以上のフラーレン含有スート微粉末またはこれ
を湿式酸化して酸素含有率が20重量%まで増大させた微
粉末の表面に、膜厚 0.5〜2.3nm の電気絶縁性樹脂層を
被覆形成してなる電気粘性流体用炭素粉末。製造方法
は、電気比抵抗10〜108 Ωcmで、炭素含有量が99重量%
以上のフラーレン含有スート微粉末またはこれを液状の
酸化剤に浸漬して酸素含有率が20重量%になるまで粒子
表面を湿式酸化した微粉末を基材とし、該基材を電気絶
縁性樹脂液に浸漬したのち熱処理して表面に膜厚 0.5〜
2.5nmの樹脂層を被覆固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気粘性流体の分散相
を形成する固体微粒子として用いられる炭素質微粉末で
あって、初期粘度が低く、印加電圧に対する優れた粘性
応答性と長期間に亘り安定した分散性を発現させること
ができる電気粘性流体用炭素微粉とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体は、誘電体微粒子を電気絶
縁性に優れる流体中に分散させた特殊性状の流体で、電
場の印加により流体の見掛け粘度が増大する独特の電気
粘性効果を示す。このため、例えばダンパー、ショック
アブソーバー、エンジンマウント等のエネルギー吸収材
や防振材として有用性が期待されている。
【0003】従来、電気粘性流体の分散相を構成する固
体微粒子としては、セルロース、デンプン、シリカゲ
ル、イオン交換樹脂などが用いられており、これらを使
用した電気粘性流体は特開昭57−47234号公報、
特開昭61−259752号公報、特開平1−2073
95号公報等に開示されている。また、特開昭63−9
7694号公報には、前記のような固体微粒子の表面を
高分子物質で被覆する方法が記載されている。ところ
が、これらの固体微粒子は親水性である関係で、水分の
吸着により経時的に性能安定性が低下したり、温度によ
り特性変化を生じるなど実用面での問題が多い。
【0004】こうした観点から、水分を含まない非水性
の固体微粒子として炭素質粉末が注目されている。例え
ば特開平3−47896号公報には電気絶縁性物質を被
覆して導電率を調整した炭素粉末が、特開平5−701
16号公報や特開平5−193919号公報にはタール
や樹脂類のような原料を熱処理した特定のC/H比範囲
の炭素粉を低い酸素濃度ならびに水分濃度の雰囲気中で
粉砕、分級して得た炭素粉末またはこれを表面酸化した
炭素粉末が、特開平5−186786号公報には炭素質
物質を繊維化後粉砕等の方法により得られる形状異方性
を有するカーボン質物質が、また特開平5−19391
9公報には石炭系または石油系のタール、ピッチ等を焼
成炭化して得られる炭素質粉末を湿式酸化処理する電気
粘性流体用炭素質粉末の製造方法が、それぞれ開示され
ている。
【0005】しかしながら、タール、ピッチ、樹脂など
の焼成炭化や炭素質物質の繊維化は組織変動の機構が非
常に複雑で、処理過程で電気比抵抗の調整をおこなうに
は厳密な制御を必要とするばかりでなく、粘性流体に安
定に分散させるための均一な微粒子を得るための工程負
担が少なくない。
【0006】本発明者らは、このような問題点を解消し
た新規の電気粘性流体用炭素質微粉として、電気比抵抗
が10〜108 Ωcmで、炭素含有率が99重量%以上の
性状を備えるカーボンクラスターを含むアモルファス質
のスート状微粉末、およびその製造技術として、炭素材
料を不活性雰囲気により20〜500Torrの圧力に保持
された系内で加熱気化させ、気化した炭素蒸気を急速に
冷却再凝固する方法を先に提案した(特願平5−342856
号) 。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の先願技術によれ
ば、従来技術とは異質の炭素質微粉末であるカーボンク
ラスター(フラーレン)を含むアモルファス質スートを
選択しているため、印加電圧に対して優れた粘性応答性
と長期間の安定性能を発揮する電気粘性流体用炭素微粉
を得ることができる。しかしながら、この炭素微粉に
は、分散媒への均一分散性が不十分で初期粘度が高くな
るという改善すべき課題が残されており、また物性的に
粘性応答性を改善し得る要素があった。
【0008】本発明者らは、かかる課題を解決するため
に鋭意研究を重ねた結果、先願技術(特願平5−342856
号) で提案したカーボンクラスターを含むアモルファス
質のスート(本発明ではこれを「フラーレン含有スー
ト」という。)もしくはこれを湿式酸化して粒子表面を
特定の酸素含有量範囲で酸化改質したスート微粉末の表
面に前記絶縁性樹脂の薄膜を被覆形成すると、粘性応答
性が一層向上するとともに初期粘度が効果的に低減化す
る事実を確認した。
【0009】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的とするところは、分散媒への分散性に
優れ、印加電圧に対して優れた粘性応答性と長期間に亘
る安定性能を発揮する高抵抗で微細性状の電気粘性流体
用炭素微粉とその効率的な製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による電気粘性流体用炭素微粉は、電気比抵
抗が10〜108 Ωcmで、炭素含有量が99重量%以上
のフラーレン含有スート微粉末を基材とし、該基材の表
面に膜厚0.5〜2.5nmの電気絶縁性樹脂層を被覆形
成してなることを構成上の特徴とする。
【0011】また、本発明に係る別態様の電気粘性流体
用炭素微粉は、電気比抵抗が10〜108 Ωcmで、炭素
含有量が99重量%以上のフラーレン含有スートを湿式
酸化して酸素含有率を20重量%まで増大させた微粉末
を基材とし、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nmの電
気絶縁性樹脂層を被覆形成してなることを構成的特徴と
するものである。
【0012】フラーレンとは、炭素原子が数十個単位で
集合した性状の炭素分子(カーボンクラスター)で、現
在までにC60、C70、C76、C78などの存在が確認され
ており、黒鉛およびダイヤモンドに次ぐ新たな炭素物質
として注目されている。物性的には、高純度で、炭素質
物でありながら電気比抵抗が109 Ωcm以上の実質的に
電気絶縁性である点に大きな特徴がある。本発明に係る
電気粘性流体用炭素微粉は、このフラーレン含有スート
微粉末が基材物質となる。
【0013】基材となるフラーレン含有スート微粉末と
しては、電気比抵抗が10〜108Ωcmで、炭素含有量
が99重量%以上のものが選択される。この選択物性
は、電気粘性流体の分散相としての基本特性となるもの
で、10Ωcm未満の電気比抵抗では電気粘性効果を得る
ために大電流が必要となってエネルギー効率の低下を招
くばかりでなく、実用的に十分な電気粘性効果を得るこ
とができなくなり、他方108 Ωcmを越えると好適な電
気粘性効果が得られなくなる。また、炭素含有量が99
重量%を下回るようなフラーレン含有スートでは、不純
物が多くなって電気粘性効果に悪影響を及ぼす。しか
し、上述するような特定の不活性ガス圧条件下で炭素質
材料を気化させた蒸気を急速冷却して得られるフラーレ
ン含有率1重量%以上のスートは、概ね前記の物性要件
を満たすものである。
【0014】上記の物性を備えるフラーレン含有スート
微粉末は、そのままもしくは該フラーレン含有スートを
湿式酸化して酸素含有率を20重量%まで増大させた微
粉末を基材とする。この湿式酸化による表面改質は、フ
ラーレン含有スート微粉末の分散性を向上させて初期粘
度を低くするために有効に機能するが、改質後の酸素含
有率が20重量%を越えると電気比抵抗が低下傾向を示
すうえ、電気粘性効果も減退する。一方、酸素含有率が
5重量%を下回ると表面官能基の生成が不足して前記の
機能が有効に達成されなくなることがあるため、酸素含
有率は5〜20重量%の範囲に調整することが好まし
い。
【0015】フラーレン含有スート微粉末または湿式酸
化により酸素を含有させた上記の基材には、増粘効果を
向上させるため表面に膜厚0.5〜2.5nmの電気絶縁
性樹脂層が被覆形成される。絶縁性樹脂の種類には特に
限定はないが、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹
脂など、被覆処理が容易で、密着性に優れる樹脂類が好
適に用いられる。電気絶縁性樹脂層の膜厚が0.5nm未
満では増粘機能が十分に付与されず、また膜厚が2.5
nmを越えると被覆層が不均一となって安定性が損なわれ
る。
【0016】本発明の電気粘性流体用炭素微粉は、上記
した構成要件に加えて粒子分散性の面から微粉末の窒素
吸着比表面積が50m2/g以上であることが好ましい。窒
素吸着比表面積が50m2/g未満では粒子の沈降が生じ易
く、長期の分散安定性が確保できなくなるためである。
【0017】上記の電気粘性流体用炭素微粉を得るため
の本発明による製造方法は、電気比抵抗10〜108 Ω
cm、炭素含有量が99%以上のフラーレン含有スート微
粉末、もしくは前記フラーレン含有スートを液状酸化剤
に浸漬して酸素含有率が20重量%になるまで粒子表面
を湿式酸化した微粉末を基材とし、該基材を電気絶縁性
樹脂液に浸漬したのち熱処理して表面に膜厚0.5〜
2.5nmの樹脂層を被覆固定する工程からなる。
【0018】フラーレン含有スートは、炭素質材料をヘ
リウム等の不活性雰囲気中で20〜500Torrの圧力に
保持された系内で加熱気化させ、気化した炭素蒸気を急
速に冷却再凝固することによって製造することができ
る。炭素質材料の気化は、抵抗加熱法、レーザー加熱
法、アーク放電法、高周波プラズマ法、プラズマジェッ
ト法などの加熱手段を用い、4000℃以上の温度域で
おこなわれるが、本発明の目的には単位消費電力当たり
の炭素蒸発量が多いアーク放電法が好ましく適用され
る。原料となる炭素質材料としては可及的に高純度のも
のが好適に用いられ、特にX線回折により求められる
(002)面の面間隔(d002)が3.371オングストロ
ーム以下で、C軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が290オ
ングストローム以上の結晶性状を備える炭素含有率99
%以上の黒鉛材料が最適である。
【0019】不活性雰囲気ガスとしては、ヘリウム、ア
ルゴン、ネオン、クリプトンなどが使用可能であるが、
このうち炭素の蒸発速度が大きいヘリウムを用いること
が好ましい。加熱気化させる系内の圧力は、20〜50
0Torrの範囲に減圧調整する必要があり、この条件設定
により得られるフラーレン含有スートの電気比抵抗を1
0〜108 Ωcmの範囲に制御することができる。しか
し、この減圧度合が20Torr未満であると電気比抵抗が
一般のカーボンブラックと同程度まで低下し、500To
rrを越えると炭素の蒸発量が減退してフラーレン含有ス
ートの生成効率が著しく低下する。
【0020】図1は、フラーレン含有スートを製造する
ために使用される直流アーク装置を例示した略断面説明
図である。この装置は、下部にバルブ2、流量計3を介
してヘリウムボンベ4に接続するガス供給ライン5と、
上部に圧力調整バルブ6を介して真空ポンプ7に至るバ
ッグフィルター構造の冷却回収装置8に連通する導出管
9を備えた減圧容器からなる生成チャンバー1の内部
に、電源10に接続する水冷式の黒鉛電極棒11、12
が一定の極間ギャップを設けて装着されている。操作
は、生成チャンバー1にヘリウムガスを流入して系内減
圧度を20〜500Torrの範囲に保持したのち、黒鉛電
極棒11、12の間に直流アーク放電させて電極を加熱
し、気化した炭素蒸気を冷却回収装置8に導いて急冷再
凝固し、フラーレン含有スートを捕集する方法で行われ
る。
【0021】このようにして得られる炭素微粉は、フラ
ーレンを1〜30重量%の範囲で含むアモルファス質の
スート微粉末で、その物性は炭素含有率99重量%以
上、窒素吸着比表面積50m2/g以上、電気比抵抗10〜
108 Ωcmのものである。
【0022】上記のフラーレン含有スート微粉末の表面
を湿式酸化により改質するには、フラーレン含有スート
微粉末を例えば過酸化水素、硝酸、発煙硝酸のような液
状の酸化剤に浸漬する方法が採られる。この際、酸化剤
の濃度および浸漬時間を適宜に調整して、酸素含有率が
20重量%まで、好ましくは5〜20重量%の範囲にな
るように酸化改質する。湿式酸化処理後のフラーレン含
有スート微粉末は、十分水洗しながら濾過し、110℃
程度の温度で乾燥する。引き続き、ボールミルのような
粉砕装置を用いて粉砕処理を施し、更に100℃前後の
温度で真空乾燥する。
【0023】このようにして得られたフラーレン含有ス
ート微粉末またはこれを湿式酸化改質したフラーレン含
有スート微粉末を基材とし、該基材微粉末をエポキシ系
樹脂、フェノール系樹脂もしくはこれら混合樹脂の水溶
液あるいは溶媒に溶解した溶液に浸漬したのち、風乾さ
せ、70℃前後に加温して溶剤成分を揮散させる。つい
で、170〜250℃の温度に加熱して被覆した樹脂層
を固定する。この工程中、樹脂溶液濃度を調整すること
により膜厚が0.5〜2.5nm範囲の樹脂層を形成して
本発明の電気粘性用炭素微粉を得る。
【0024】
【作用】本発明に係る電気粘性流体用炭素微粉の構成基
材となるフラーレン含有スートは、電気比抵抗が10〜
108 Ωcmで、炭素含有量が99重量%以上の物性を備
えており、それ自体が印加電圧に対して優れた粘性応答
性と長期間の安定性能を発揮する。このフラーレン含有
スート微粉末を湿式酸化して酸素含有率が20重量%ま
で増大させた微粉末を基材とする場合には、分散媒に対
する分散性が改善され、初期粘度が低くなって一層粘性
応答性が向上する。更に、これら基材表面に電気絶縁性
樹脂層を膜厚0.5〜2.5nmの範囲で被覆形成するこ
とにより、増粘効果が効果的に改善される。この機構に
ついては未だ十分に解明するに至っていないが、樹脂層
の薄膜が基材炭素微粉末の高電圧に対する耐久性を増大
させるとともに、誘電分極を促進して大きな増粘効果を
もたらすものと推測される。
【0025】したがって、これらの作用が相乗して電気
絶縁性油状媒体に分散させた際の初期粘度が低く、印加
電圧に対する粘性応答性が極めて良好で、長期間に亘る
安定した分散性と優れた電気粘性効果が発揮される。
【0026】また、本発明の製造方法によれば、電気比
抵抗10〜108 Ωcm、炭素含有量99%以上のフラー
レン含有スート微粉末、もしくはこの表面に湿式酸化に
より特定量の酸素を付着させた微粉末を基材とし、これ
ら基材の表面に単純な操作で電気絶縁性の樹脂層を被覆
形成することにより上記物性の電気粘性流体用炭素微粉
を効率よく製造することが可能となる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0028】実施例1 (1) フラーレン含有スート微粉末の製造;図1に示した
装置を用い、真空ポンプ7を作動させて生成チャンバー
1の系内を0.01Torr以下に減圧したのち、ガス供給
ライン5を介してヘリウムボンベ4から50ml/minの流
量でHeガスを導入し、ついで圧力調整バルブ6を制御
して生成チャンバー1の内部を220Torrの減圧度に保
持した。引き続き、直流電源10から2kwの電力を黒鉛
電極棒(炭素含有率99.99 重量%、外径8mm)11と1
2に供給し、電極間に直流アーク放電を発生させた。こ
の状態で黒鉛電極棒は白熱して加熱気化し、炭素蒸気と
なって導出管9により吸引され、冷却回収装置8に至っ
て急冷再凝固してフラーレン含有スートとして捕集回収
された。得られたフラーレン含有スート微粉末は、フラ
ーレン含有率13重量%、電気比抵抗2300Ωcm、炭
素含有量は99%以上であった。
【0029】(2) 電気絶縁性樹脂層の形成;フェノール
樹脂〔群栄化学(株)製“レジトップPGR-4508〕60g
をエタノール440mlに溶解(濃度12重量%)し、7
日間静置してフェノール樹脂の高分子鎖が溶媒中に均一
に分散する溶液を調製した。この溶液に、上記工程で製
造されたフラーレン含有スート微粉末250g を浸漬
し、十分に撹拌混合して分散させたのち濾過処理した。
処理後の微粉末を風乾し、さらに250℃の温度に2時
間加熱して樹脂層を固定した。得られた被覆樹脂層を備
えるフラーレン含有スート微粉末の物性は表1に示すと
おりであった。
【0030】(3) 性能評価;上記の製造方法で得られた
被覆樹脂層を有するフラーレン含有スート微粉末を電気
絶縁性油状媒体に10重量%の量比で均一に分散させて
電気粘性流体を調製した。電気絶縁性油状媒体としては
室温粘度が0.15ポイズの油〔出光興産(株)製“ダ
フニースーパーハイドロLW”〕を用いた。この電気粘
性流体に室温で2kV/mm の電圧をかけ、流体の粘性変化
と流体中を流れる電流値を測定し、電気粘性流体として
の性能を評価した。さらに、50日経過後の分散状態を
観察した。なお、粘度の測定にはB型回転粘度計を使用
し、電極間に直流電流を印加したときの粘度を計測し
た。得られた評価結果を、表1に併せて示した。
【0031】実施例2 (1) フラーレン含有スート微粉末の製造;生成チャンバ
ー内部の減圧度を100Torrに変え、その他の条件は実
施例1の方法に準じてフラーレン含有スートを製造し
た。得られたフラーレン含有スート微粉末は、フラーレ
ン含有率18重量%、電気比抵抗1810000Ωcm、
炭素含有量は99%以上であった。
【0032】(2) 湿式酸化処理;上記のフラーレン含有
スート微粉末を濃硝酸に浸漬し、室温(23℃)で24
時間放置して湿式酸化処理を施した。ついで、処理後の
フラーレン含有スートを水洗・濾過し、110℃の温度
で乾燥したのち、粉砕処理し、さらに真空乾燥機を用い
て1Torr以下、100℃の条件で真空乾燥した。このよ
うにして得られた湿式酸化処理後のフラーレン含有スー
ト微粉末の性状組成は、表1に示すとおりであった。な
お、電気比抵抗値はJIS K1469「アセチレンブ
ラックの電気抵抗率測定法」に準拠し、測定圧力を10
2.2kg/cm2に設定して測定した。また、酸素含有率の
測定は、CHN元素分析装置〔(株)パーキンエルマー
ジャパン製、2400型〕により炭素、水素、窒素の含
有率を求め、残部を酸素の含有率とした。
【0033】(3) 電気絶縁性樹脂層の形成;フェノール
樹脂のエタノール溶液濃度を5重量%に変えたほかは、
実施例1と同様の操作で微粉末の表面にフェノール樹脂
層を被覆形成した。得られた被覆樹脂層を備えるフラー
レン含有スート微粉末の物性は表1に示すとおりであっ
た。 (4) 性能評価;実施例1と同一の方法により電気粘性流
体としての性能を評価した。得られた評価結果を、表1
に併載した。
【0034】実施例3 (1) フラーレン含有スート微粉末の製造;生成チャンバ
ー内部の減圧度を300Torrに変え、その他の条件は実
施例1の方法に準じてフラーレン含有スートを製造し
た。得られたフラーレン含有スート微粉末は、フラーレ
ン含有率10重量%、電気比抵抗53600Ωcm、炭素
含有量は99%以上であった。
【0035】(2) 湿式酸化処理;上記のフラーレン含有
スート微粉末を濃硝酸に浸漬し、室温(23℃)で18
時間放置して湿式酸化処理を施した。以後の条件は実施
例2と同一とした。得られた湿式酸化処理後のフラーレ
ン含有スート微粉末の性状組成は、表1に示すとおりで
あった。
【0036】(3) 電気絶縁性樹脂層の形成;実施例2と
同一のフェノール樹脂被覆操作を2回反復して微粉末の
表面に樹脂層を被覆形成した。得られた被覆樹脂層を備
えるフラーレン含有スート微粉末の物性は表1に示すと
おりであった。 (4) 性能評価;実施例1と同一の方法により電気粘性流
体としての性能を評価した。得られた評価結果を、表1
に併載した。
【0037】
【表1】
【0038】表1の結果から、本発明の要件を満たすフ
ラーレン含有スート微粉末を分散させた電気粘性流体
は、初期粘度が低く、電圧印加後の粘度が高いため粘性
応答性に優れており、そのうえ流体中に安定した低電流
が流通し、かつ長期に亘って安定した分散状態を呈して
いることが認められる。
【0039】比較例1 生成チャンバー内部の減圧度を98Torrに変え、その他
の条件は実施例1の方法に準じてフラーレン含有スート
を製造した。得られたフラーレン含有スート微粉末は、
フラーレン含有率18.2重量%、電気比抵抗5220
000Ωcm、炭素含有量は99%以上であった。このフ
ラーレン含有スート微粉末を用いて実施例1と同一の方
法により電気粘性流体としての性能を評価した。得られ
た評価結果を、表2に示した。
【0040】比較例2 生成チャンバー内部の減圧度を131Torrに変え、その
他の条件は実施例1の方法に準じてフラーレン含有スー
トを製造した。得られたフラーレン含有スート微粉末
は、フラーレン含有率3.6重量%、電気比抵抗185
00Ωcm、炭素含有量は99%以上であった。このフラ
ーレン含有スート微粉末を60℃の濃硝酸に浸漬し、2
4時間放置して湿式酸化処理を行った。このようにして
酸化改質した炭素微粉を用い、実施例1と同一の方法に
より電気粘性流体としての性能を評価した。得られた評
価結果を、表2に併載した。
【0041】比較例3 生成チャンバー内部の減圧度を690Torrに変え、その
他の条件は実施例1の方法に準じてフラーレン含有スー
トの製造を行ったところ、得られた微粉末にはフラーレ
ンが含有されていないカーボンブラック状のスートで、
その電気比抵抗は、0.8Ωcmであった。この炭素微粉
末の表面に実施例1と同様の操作で電気絶縁性樹脂層を
被覆形成した。該炭素微粉末を用い、実施例1と同一の
方法により電気粘性流体としての性能を評価した結果
を、表2に併載した。
【0042】比較例4 生成チャンバー内部の減圧度を100Torrに変え、その
他の条件は実施例1の方法に準じてフラーレン含有スー
トを製造した。得られたフラーレン含有スート微粉末
は、フラーレン含有率18重量%、電気比抵抗1280
000Ωcm、炭素含有量は99%以上であった。該フラ
ーレン含有スート微粉末を実施例2と同一条件により湿
式酸化処理を施して酸化改質したのち、実施例2と同一
のフェノール樹脂被覆操作を反復して微粉末表面に膜厚
3.0nmの樹脂層を被覆形成した。このように処理され
たフラーレン含有スート微粉末を用い、実施例1と同一
の方法により電気粘性流体としての性能を評価した結果
を表2に併載した。
【0043】
【表2】
【0044】表2のの結果から、酸化改質および電気絶
縁樹脂の被覆処理が施されていないフラーレン含有スー
ト微粉末を用いた比較例1では初期粘度が高く、分散状
態の安定性にも難点がある。酸化改質度合が高く、電気
絶縁樹脂層が形成されていない比較例2では電流値が上
昇する。フラーレンが現有しない炭素微粉末を用いた比
較例3では電流値が3mAを越えたため流体粘度の測定が
不能となった。また、電気絶縁樹脂被覆層の膜厚が3.
0nmの比較例4では通電時の増粘効果が小さいことが認
められる。
【0045】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば従来の炭
素微粉とは異質のフラーレン含有スート微粉末あるいは
これを所定範囲の酸素含有率となるように湿式酸化処理
した微粉末に電気絶縁樹脂による特定膜厚の表面被覆層
を形成することにより高い電気比抵抗を有し、比表面積
が大きく、初期粘度が低く、粘性応答性が良好で、かつ
長期に亘り安定した分散性を示す非水系の電気粘性流体
用炭素微粉を提供することができる。したがって、この
炭素微粉を分散させた電気粘性流体は、例えばダンパ
ー、ショックアブソーバー、エンジンマウント等のエネ
ルギー吸収材や防振材として優れた実用性が期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を構成するフラーレン含有スートを製造
するための装置を例示した略断面説明図である。
【符号の説明】
1 生成チャンバー 2 バルブ 3 流量計 4 ヘリウムボンベ 5 ガス供給ライン 6 圧力調整バルブ 7 真空ポンプ 8 冷却回収装置 9 導出管 10 直流電源 11 黒鉛電極棒 12 黒鉛電極棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 70:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気比抵抗が10〜108 Ωcmで、炭素
    含有量が99重量%以上のフラーレン含有スート微粉末
    を基材とし、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nmの電
    気絶縁性樹脂層を被覆形成してなることを特徴とする電
    気粘性流体用炭素微粉。
  2. 【請求項2】 電気比抵抗が10〜108 Ωcmで、炭素
    含有量が99重量%以上のフラーレン含有スートを湿式
    酸化して酸素含有率を20重量%まで増大させた微粉末
    を基材とし、該基材の表面に膜厚0.5〜2.5nmの電
    気絶縁性樹脂層を被覆形成してなることを特徴とする電
    気粘性流体用炭素微粉。
  3. 【請求項3】 窒素吸着比表面積が50m2/g以上である
    請求項1又は2記載の電気粘性流体用炭素微粉。
  4. 【請求項4】 電気比抵抗10〜108 Ωcm、炭素含有
    量が99重量%以上のフラーレン含有スート微粉末、も
    しくは前記フラーレン含有スートを液状の酸化剤に浸漬
    して酸素含有率を20重量%になるまで粒子表面を湿式
    酸化した微粉末を基材とし、該基材を電気絶縁性樹脂液
    に浸漬したのち熱処理して表面に膜厚0.5〜2.5nm
    の樹脂層を被覆固定することを特徴とする電気粘性流体
    用炭素微粉の製造方法。
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