JPH08291136A - 新規な光学活性スルフィド及びその製造法 - Google Patents

新規な光学活性スルフィド及びその製造法

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JPH08291136A
JPH08291136A JP13256395A JP13256395A JPH08291136A JP H08291136 A JPH08291136 A JP H08291136A JP 13256395 A JP13256395 A JP 13256395A JP 13256395 A JP13256395 A JP 13256395A JP H08291136 A JPH08291136 A JP H08291136A
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JP13256395A
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English (en)
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Manabu Noide
學 野出
Kiyoji Nishide
喜代治 西出
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Fuji Yakuhin Kogyo KK
Original Assignee
Fuji Yakuhin Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な光学活性スルフィドを提供する。 【構成】 光学活性メルカプトアルコールとα,β
−ビニルケトン類から、有機アルミニウム化合物を用い
る新規なTandem−MVP反応により、一般式
(I) 【化1】 で表される新規な光学活性スルフィドが得られた。さら
に、この光学活性スルフィドから光学活性アルコールが
高い光学純度で得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性な化合物、特に
光学活性な飽和2級アルコールの製造に有用な光学活性
スルフィドならびにその製造法とその光学活性スルフィ
ドを用いた光学活性アルコールの製造法に関するもので
ある。前記の光学活性な化合物は、天然の生理活性物質
あるいは液晶などの有機電子材料の合成中間体として注
目されている。
【0002】
【従来の技術】合成化学的不斉反応のうち、プロキラル
なケトンを還元して選択的に光学活性なアルコールを得
る反応は基本的であるため、多くの技術が知られてい
る。
【0003】例えばホスフィン化合物をロジウムやルテ
ニウムに配位させた錯体を接触還元の触媒として用いる
方法(Chem.Comm.,481,(1971),
Chem.Soc.Rev.,18,187,(198
1))では、高価な不斉配位子試薬や貴金属を用いなけ
ればならないが触媒量ですむという特徴のある一方、水
素ガスを反応に直接使用するため操作性に問題点があ
る。
【0004】また、光学活性なビナフトールと水素化リ
チウムアルミニウムから不斉還元試薬を調製してケトン
を還元する方法(特開昭55−51093、J.Am.
Chem.Soc.,101 3129(1979))
では、低温反応であるなど極めて反応条件が特殊なうえ
高価な不斉試薬を化学反応当量用いなければならず、経
済的とはいいにくい。
【0005】Meerwein−Ponndorf−V
erley型の還元は、上記還元法に比べ、比較的温和
な条件で収率よくカルボニル基を還元でき、これを利用
した効率のよい不斉水素化が見出されれば利便性が高い
ので、最近とみによく検討されている。例えば、環状ケ
トンの還元(J.Am.Chem.Soc.,80,4
65(1958))が古くから代表的なものとして知ら
れているが、他にもサマリウム錯体を用いるもの(J.
Am.Chem.Soc.,115 ,5821(19
93))やアルミナを用いるもの(Acta Chem
ica Sinica,43,168(1985))や
サマリウム錯体を触媒的に用いるもの(J.Am.Ch
em.Soc., 115,9800(1993))な
どが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Meerwein−P
onndorf−Verley型還元は温和な条件で行
えるという利点にもかかわらず、平衡反応なので、反応
時間が長くなるとその不斉収率が低くなることから、こ
れまで検討されてきた例は必ずしも良好な方法といえな
かった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の問題点を解消するため鋭意検討したところ、新規なT
andem−Meerwein−Ponndorf−V
erley型不斉還元法(以下 Tandem−MVP
法とする)を見出し、光学活性化合物の製造に有用な光
学活性スルフィドならびにその製造法、およびこの光学
活性スルフィドを経ることを特徴とする光学活性アルコ
ールの製造法を発明するに至った。
【0008】すなわち、光学活性メルカプトアルコール
とα、β−ビニルケトン類を有機アルミニウム化合物を
用いて反応させると、新規なTandem−MVP反応
が高立体選択的に起きることを見出した。この反応は、
1,7−水素転移を伴う新しい遠隔不斉誘導法であるた
め、反応生成物の光学活性スルフィドの脱硫反応により
光学活性アルコールが高い光学純度で得られた。
【0009】本発明に係わる新規な光学活性スルフィド
とは、一般式(1)
【化 1】(式中、AはR−C(=O)−CR
−で表され、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置
換されていてもよい芳香族基であり、R〜Rは水素
原子または炭素数1〜8のアルキル基または置換されて
いてもよい芳香族基で、RとRは結合してシクロア
ルキル基を形成してもよく、さらにRとRが結合し
てもよく、R〜Rは水素原子または炭素数1〜8の
アルキル基または置換されていてもよい芳香族基で、そ
のアルキル基は環構造を形成してもよく、基本炭素骨格
に結合する水素原子が他の原子団で置換されていてもよ
く、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置換されて
いてもよい芳香族基を表す)で表される。
【0010】特には、一般式(1)においてAが、一般
式(2)
【化 2】(式中、R〜R10は水素原子あるいはア
ルキル基であり、nは0ないし1で、mは1−nを示
す)で表される。
【0011】その製造法としては、一般式(3)
【化 3】(式中、R〜Rは式(1)のそれに同
じ)で表される光学活性メルカプトアルコールと一般式
(4)
【化 4】(式中、R〜Rは式(1)のそれに同
じ)で表されるα、β−ビニルケトンから、R11
lCl(式中R11はアルキル基を示す)で表される有
機アルミニウム試薬の存在下で反応させて得る方法と、
一般式(3)で表される光学活性メルカプトアルコール
と一般式(4)で表されるα、β−ビニルケトンから一
般式(5)
【化 5】(式中,R〜Rは、式(1)のそれに同
じ)で表されるスルフィドを得て、さらにR11 Al
Cl(式中R11はアルキル基を示す)で表される有機
アルミニウム試薬の存在下、一般式(1)で表される光
学活性スルフィドに変換する方法がある。
【0012】一般式(1)で表される光学活性スルフィ
ドは、ヒドロキシル基の結合する炭素が不斉炭素でなけ
ればならない。このような光学活性スルフィドとして、
例えば(2S)または(2R)−4−(カンファン−1
0−スルフェニル)−2−ブタノール、(2S)または
(2R)−4−(カンファン−10−スルフェニル)−
4−フェニル−2−ブタノール、(1S)または(1
R)−3−(カンファン−10−スルフェニル)−1,
3,ジフェニル−1−プロパノール、(2S)または
(2R)−4−(カンファン−10−スルフェニル)−
4−メチル−2−ペンタノール、(2S)または(2
R)−3−(オキソ−ρ−メンタン−8−スルフェニ
ル)−2−ブタノール、2−オキサ−6−[(3S)ま
たは(3R)−1−(カンファン−10−スルフェニ
ル)−3−ヒドロキシオクチル]−7−ベンゾイルオキ
シビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンがある。
【0013】続いてかかる光学活性スルフィドの製造法
を説明する。一般式(3)で表される光学活性メルカプ
トアルコールは、ヒドロキシル基の結合する不斉中心に
ついて一方の対掌体のみが比較的容易に得られるものが
望ましく、またヒドロキシル基の結合する炭素の隣は嵩
高い置換基をもつ四級炭素であるほうが好ましい。例え
ば光学活性メルカプトアルコールとして、光学活性3.
ヒドロキシ−8−メルカプト−ρ−メンタン、光学活性
10−メルカプトイソボルネオールなどがあげられる
が、なかでも光学活性10−メルカプトイソボルネオー
ルがより好ましい。
【0014】一般式(4)で表されるα、β−ビニルケ
トンについて、置換基R〜Rは水素原子または炭素
数1〜8のアルキル基または置換芳香族で、そのアルキ
ル基は環構造を持つものでもかまわず、基本炭素骨格に
結合する水素原子が他の原子団で置換されていてもよ
く、置換基Rは水素原子を除く炭素数1〜8のアルキ
ル基または置換芳香族で示される。したがってケトンと
しては、メチルビニルケトン、ベンザルアセトン、カル
コン、メシチルオキシド、2−オキサ−6−(3−オキ
ソ−1−オクテニル)−7−ベンゾイルオキシ−ビシク
ロ[3.3.0]オクタン−3−オンなどがあげられ
る。有機アルミニウム試薬の中のR11はアルキル基で
あれば特に限定されず、例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基がある。なかでもメチル基がより好ましい。
【0015】一般式(3)で表される光学活性メルカプ
トアルコールと一般式(4)で表されるα、β−ビニル
ケトンから一般式(5)で表されるスルフィドを製造す
るさいには、酸性試薬あるいは塩基性試薬を必要とする
が、かかる目的の酸性試薬あるいは塩基性試薬はマイケ
ル付加反応で一般的に使用されるものならば特に限定さ
れない。例えば、酸性試薬として三フッ化ホウ素、塩基
性試薬としてトリエチルアミン、ナトリウムエトキシ
ド、ピリジンなどがあり、なかでもトリエチルアミンが
好ましい。
【0016】一般式(3)で表される光学活性メルカプ
トアルコールと一般式(4)で表されるα、β−ビニル
ケトンからマイケル付加反応により得られた一般式
(5)で表されるスルフィドを一般式(1)で表される
光学活性スルフィドに変換するさいに使用される有機ア
ルミニウム試薬については、Rがアルキル基であれば特
に限定されない。例えばメチル基、エチル基、プロピル
基などがある。なかでもメチル基が好ましい。
【0017】光学活性スルフィド製造のさいの有機溶媒
は、通常の有機合成に使用されるものであれば特に限定
されない。例えば、ヘプタン、ヘキサンなどの炭化水素
系溶媒やベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒やクロ
ロホルム、ジクロロメタンなどの有機ハロゲン系溶媒や
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル
系溶媒があげられるが、ジクロロメタンがもっとも好ま
しい。
【0018】かかる光学活性スルフィドの製造法は、具
体的に以下のごとく実施することができる。窒素雰囲気
下、一般式(3)で示される光学活性メルカプトアルコ
ールをジクロロメタン、トルエン、ヘキサン、ベンゼ
ン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの有機
溶媒に溶かし、そこへ0℃から50℃に保ちながら有機
アルミニウム試薬をジクロロメタン、トルエン、ヘキサ
ン、ベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
など有機溶媒で溶解した液を滴下し30分から2時間攪
拌した後、一般式(4)で表されるα、β−ビニルケト
ンをジクロロメタン、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどに溶解した
液またはそのままの形で加え、さらに1時間から5時間
攪拌して反応を行う。反応後有機溶媒で抽出し、洗浄、
乾燥、濾過、溶媒留去により、光学活性スルフィドが得
られる。
【0019】このとき一般式(4)で表されるα、β−
ビニルケトンは、一般式(3)で示される光学活性メル
カプトアルコールに対し0.5〜3.5当量用い、また
有機アルミニウム試薬は、一般式(3)で示される光学
活性メルカプトアルコールに対し、0.5〜2.0当量
用いるのが好ましい。
【0020】また反応原料の仕込み濃度としては、0.
001〜10容量モルで、場合によっては溶媒に溶かさ
ずそのまま仕込むこともできる。
【0021】あるいは、窒素雰囲気下、一般式(3)で
示される光学活性メルカプトアルコールをジクロロメタ
ン、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロランなどの有機溶媒に溶かし、そこへ
0℃から50℃に保ちながら酸性試薬あるいは塩基性試
薬を加えて30分から2時間攪拌した後、一般式(4)
で表されるα、β−ビニルケトンをジクロロメタン、ト
ルエン、ヘキサンなどの有機溶媒に溶かした液を加え、
10時間から25時間攪拌して反応させる。終了後反応
液を中和し、抽出、洗浄、乾燥、濾過、溶媒留去、さら
にカラムクロマトグラフィーで精製して得た一般式
(5)で表されるスルフィドをジクロロメタン、トルエ
ン、ヘキサン、ベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの有機溶媒に溶かし、そこへ0℃から5
0℃にて有機アルミニウム試薬をジクロロメタン、トル
エン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフランなど有機溶媒で溶解した液を滴下して1時
間から5時間攪拌し反応を行う。反応後有機溶媒で抽出
し、洗浄、乾燥、濾過、溶媒留去を行えば、やはり、一
般式(1)で表される光学活性なスルフィドが得られ
る。
【0022】このとき一般式(4)で表されるα、β−
ビニルケトンおよびマイケル付加反応に用いられる酸性
試薬あるいは塩基性試薬は一般式(3)で示される光学
活性メルカプトアルコールに対し0.5〜10当量、ま
た有機アルミニウム試薬は一般式(5)で示されるスル
フィドに対し0.5〜2.0当量である。
【0023】反応原料の仕込み濃度としては、0.00
1〜10容量モルで、場合によっては溶媒に溶かさずそ
のまま仕込むこともできる。
【0024】得られた光学活性スルフィドの絶対配置
は、新Mosher法(J.Am.Chem.So
c.,113 ,4092,(1991))を用いて求
めることができる。すなわちスルフィドに(R)−α−
メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸(以
下、(R)−MTPAと略す)を反応させて得たエステ
ル体と(S)−MTPAを反応させて得たエステル体の
H NMRを測定し、(R)−MTPAエステル体の
ケミカルシフト値から(S)−MTPAエステル体のそ
れを差し引いた値を求め、ヒドロキシル基に結合してい
る炭素を中心にして右、左どちらが正、負になるかを調
べれば、決定できる。
【0025】前記方法で本発明に係わる光学活性スルフ
ィドの絶対配置を調べたところ、光学活性スルフィドの
絶対配置は使用する光学活性メルカプトアルコールの絶
対配置により制御されることが見出された。すなわち光
学活性メルカプトアルコールの一方の鏡像異性体を用い
て製造される光学活性スルフィドと他方の鏡像異性体を
用いて製造される光学活性スルフィドは対掌体の関係に
ある。
【0026】一般式(1)で表される光学活性スルフィ
ドを経る光学活性アルコールの製造方法を説明する。 一般式(6)
【化 6】(式中、R〜Rは、式(1)のそれに同
じ)で表される光学活性アルコールは、一般式(1)で
表される光学活性スルフィドあるいはそのヒドロキシル
基を保護した化合物へラネーニッケルを反応させること
によって得られる。
【0027】製造される光学活性アルコールの具体例と
して、(2S)または(2R)−2−ブタノール、(2
S)または(2R)−4−フェニル−2−ブタノール、
(2S)または(2R)−1,3−ジフェニル−1−プ
ロパノール、(2S)または(2R)−4−メチル−2
−ペンタノール、2−オキサ−6−[(3S)または
(3R)−3−ヒドロキシオクチル]−7−ベンゾイル
オキシビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンなど
があげられる。
【0028】かかる光学活性アルコールの製造法は、具
体的に以下のごとく実施することができる。一般式
(1)で表される光学活性スルフィドをpH4〜pH6
に調整した緩衝液とエタノールなどの有機溶媒の混合液
に溶解し、次にホスフィン酸ナトリウム一水和物の水溶
液を滴下し、さらにラネーニッケルを加え、20分から
1時間、0℃から50℃にて攪拌し反応させる。反応終
了後、濾過、濃縮抽出、洗浄、乾燥、濾過、溶媒留去、
クロマトグラフィーによる精製を順に行って、一般式
(6)で表される光学活性アルコールが得られる。
【0029】このときラネーニッケルの反応に用いる量
は、一般式(1)で表される光学活性スルフィドに対し
0.01〜10当量であり、またホスフィン酸ナトリウ
ム一水和物は一般式(1)で表される光学活性スルフィ
ドに対し5〜15当量である。
【0030】一般式(1)で表される光学活性スルフィ
ドのヒドロキシル基を保護してラネーニッケルと反応さ
せることもできる。ヒドロキシル部分の保護基は、通常
の有機合成に使用されるものであれば特に限定されな
い。例としてベンゾイル基、アセチル基、t−ブチル
基、ベンジル基、トリチル基、シリル基、メタンスルホ
ニル基などがあげられる。
【0031】ヒドロキシル基が保護された光学活性スル
フィドをエタノールなどのアルコール系溶媒に溶解させ
続いて0℃から50℃にてラネーニッケルを加え、30
分から3時間攪拌した後、濾過、濃縮、抽出、洗浄、乾
燥、濾過、溶媒留去、クロマトグラフィーによる精製を
順に行って一般式(6)で表される光学活性アルコール
の誘導体が得られる。このばあい緩衝液とホスフィン酸
ナトリウム一水和物の使用は特に必要とされない。ラネ
ーニッケルは一般式(1)で表される光学活性スルフィ
ドに対し0.01〜10当量である。得られた化合物か
らしかるべき方法により保護基をはずしアルコールに変
えることが可能で、このようにして一般式(6)で表さ
れる光学活性アルコールが入手できる。
【0032】得られる光学活性アルコールの絶対配置
は、使用する光学活性メルカプトアルコールによって制
御される。すなわち光学純度の高いメルカプトアルコー
ルを原料にそれぞれの対掌体について本発明と同様の操
作を施せば、やはり光学純度の高い所望のアルコールを
得ることができて、得られたアルコールはそれぞれにつ
いて対掌体の関係にある。言い換えると、光学活性メル
カプトアルコールの一方の鏡像異性体からは一方の鏡像
異性体の光学活性アルコールのみが、他方の鏡像異性体
からは上記光学活性アルコールと反対の鏡像異性体のみ
が製造される。
【0033】本発明に記載する製造法に従って得られる
光学活性スルフィドは、その後酸化的脱離あるいは還元
的脱離を経て得られるアルコールあるいはその誘導体の
光学純度が95%ee以上であることより、それ以上の
光学純度を有すると判断される。
【0034】本発明の由来となったこの新規なMeer
wein−Ponndorf−Verley型不斉還元
反応では、10員環という大きなキレーション構造にも
かかわらず、1,7−水素転移を伴う遠隔不斉誘導が起
きている。これゆえ本発明では、従来の同型の製造法に
比べ、以下の点で優れていると言うことができる。 選択的な還元を行えるケトンが限定されない。すなわ
ち、反応基質の置換基を変えても、不斉収率は大きく低
下しない。 不斉収率が非常に高く、良好な光学純度の生成物が得
られる。 用いる原料の合成がそれほど困難でなく、応用性が広
い。
【0035】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を変えないかぎり実施例に限定
されるものではない。
【実施例】
【0036】(実施例1)窒素気流下、(2R)−10
−メルカプトイソボルネオール98mgをトルエン25
mlに溶解させ調製した溶液に、ジメチルアルミニウム
クロリドの1.0Mヘキサン溶液0.58mlを室温に
て滴下して1時間攪拌した後、メチルビニルケトン74
mgをさらに加え、攪拌した。4時間後、ジメチルアル
ミニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液を0.11m
l室温で滴下し、さらに1時間攪拌を続けた。終了後、
反応混液を飽和塩化アンモニウム溶液に加え、10%塩
酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和塩
化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥濾過、溶媒留去して得られた残渣をフラッシュカラム
クロマトグラフィー(充填剤;ナカライテスクシリカゲ
ル60 PF254展開液;ヘキサン:酢酸エチル=
8:1)にて精製し、無色油状化合物(2S)−4−
(カンファン−10−スルフェニル)−−2−ブタノー
ル93mgを得た。収率69%。
【0037】取得化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。3.
69(sextet,J=6.1Hz,1H)2.82
(d,J=13.1Hz,1H),2.69(t,J=
7.2Hz),2.55(d,J=13.1Hz,1
H),2.37(ddd,J=18.3Hz,4.6H
z,2.5Hz,1H),2.22−1.87(m,1
H),1.88(d,J=18.3Hz,H),1.7
5(q,J=7.1Hz,2H),1.66(br.
s,1H),1.59−1.48(m,1H),1.4
8−1.31(m,1H),1.22(d,J=6.2
Hz,3H),1.05(s,3H),0.91(s,
3H)
【0038】上記操作で得た(2S)−4−(カンファ
ン−10−スルフェニル)−2−ブタノールの絶対配置
は次のようにして決定した。この化合物11mgをジク
ロロメタン0.15mlに溶かし、(R)−α−メトキ
シ−α−トリフルオロメチルフェニル 酢酸22mgと
ジシクロヘキシルカルボジイミド27mgとジメチルア
ミノピリジン11mgをそれぞれ加え室温で攪拌した。
15時間後分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢
酸エチル=2:1)にて精製し、エステル体16mgを
得た。
【0039】このエステル体のH NMR(CDCl
,300 MHz)スペクトルについて 次の結果を
得た(δ値)。7.59−7.49(m,2H),7.
46−7.38(m,3H),5.27(br.sex
tet,J=6.4Hz,1H),3.57(d,J=
1.2Hz,3H),2.71(d,J=13.1H
z,1H),2.50−2.29(m,3H),2.4
4(d,J=13.1Hz,1H),2.10−1.7
5(m,6H),1.53(m,2H),1.38
(d,J=6.3Hz,3H),1.04(s,3
H),0.89(s,3H)
【0040】また、(S)−α−メトキシ−α−トリフ
ルオロメチルフェニル 酢酸を反応させエステル体を合
成し、H NMR(CDCl,300 MHz)ス
ペクトルを測定したところ次の結果が得られた(δ
値)。7.59−7.49(m,2H),7.48−
7.37(m,3H)5.25(br.sextet,
J=6.3Hz,1H),3.54(d,J=1.2H
z,3H),2.78(d,J=13.1Hz,1
H),2.65−2.44(m,1H),2.50
(d,J=13.1Hz,1H),2.37(ddd,
J=18.2Hz,4.6Hz,2.4Hz,1H),
2.12.1.77(m,5H),1.87(d,J=
18.2Hz,1H),1.55−1.20(m,2
H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.0
4(s,3H),0.90(s,3H)
【0041】後者エステル体のケミカルシフトから前者
エステル体のそれを差し引いたΔδがヒドロキシル基に
結合している炭素を中心にして右が負の値、左が正の値
をとることより絶対配置が決定できた。
【0042】(実施例2)窒素気流下、(2R)−10
−メルカプトイソボルネオール200mgをジクロロメ
タン40mlに溶解させ調製した溶液に、ジメチルアル
ミニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液1.07ml
を室温にて滴下して1時間攪拌した後、ベンザルアセト
ン130mgをジクロロメタン10mlに溶解させ調製
した溶液をさらに加え、3時間攪拌した。攪拌終了後、
反応混液を飽和塩化アンモニウム溶液に加え、10%塩
酸で酸性とし、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を飽
和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥濾過、溶媒留去して得られた残渣をフラッシュカ
ラムクロマトグラフィー(充填剤;ナカライテスクシリ
カゲル60 PF254 展開液;ヘキサン:酢酸エチ
ル=8:1)にて精製し、無色油状化合物(2S)−4
−(カンファ−10−スルフェニル)−4−フェニル−
2−ブタノール181mgを得た。収率61%。絶対配
置は実施例1と同様の方法で決定できた。
【0043】上記化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。7.
41−7.17(m,5H),4.15−3.95
(m,2H),2.61(d,J=13.2Hz,1
H),2.99−2.51(br.s,1H,OH),
2.31(ddd,J=18.3Hz,J=4.7,
3.1Hz,1H),2.21(d,J=13.2H
z,1H),2.05−1.83(m,4H),1.8
3(d,J=18.3Hz,H),1.83−1.65
(m,1H),1.59−1.45(m,1H),1.
39−1.13(m,1H),1.20(d,J=6.
3Hz,3H),0.88(s,3H),0.75
(S,3H)
【0044】(実施例3)窒素気流下、(2R)−10
−メルカプトイソボルネオール100mgをジクロロメ
タン30mlに溶解させ調製した溶液に、ジメチルアル
ミニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液0.54ml
を室温にて滴下して1時間攪拌した後、カルコン123
mgをジクロロメタン10mlに溶解させ調製した溶液
をさらに加え、3時間攪拌した攪拌終了後実施例2と同
様の処理操作を行い、無色油状化合物(1R)−3−
(カンファン−10−スルフェニル)−1,3−ジフェ
ニル−1−プロパノール105mgを得た。収率59
%。絶対配置実施例1と同様な方法で決定された。
【0045】上記化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。7.
42−7.15(m,10H),4.92(dd,J=
8.6,4.9Hz,1H),3.96(dd,J=
9.1,6.0Hz,1H),2.63(d,J=1
3.2Hz,1H),2.35−2.07(m,3
H),2.16(d,J=13.2Hz,1H),2.
05−1.59(m,4H),1.52−1.38
(m,1H),1.36−1.20(m,2H),0.
86(s,3H),0.72(S,3H)
【0046】(実施例4)窒素気流下、(2R)−10
−メルカプトイソボルネオール100mgをジクロロメ
タン30mlに溶解させ調製した溶液に、ジメチルアル
ミニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液0.54ml
を室温にて滴下して1時間攪拌した後、メシチルオキシ
ド44mgをジクロロメタン10mlに溶解させ調製し
た溶液をさらに加え、3時間攪拌した。攪拌終了後、実
施例2と同様の処理操作を行い、無色油状化合物(2
S)−4−(カンファン−10−スルフェニル)−4−
メチル−2−ペンタノール79mgを得た。収率62
%。絶対配置は実施例1と同様な方法で決定できた。
【0047】上記化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。4.
17−4.02(m,1H),2.83(d,J=1
1.9Hz,1H),2.49(d,J=11.9H
z,1H),2.36(ddd,J=18.3Hz,J
=4.3,2.5Hz,1H),2.19−1.78
(m,4H),1.86(d,J=18.3Hz,1
H),1.62−0.83(m,4H),1.35
(s,3H),1.32(s,3H),1.18(s,
J=6.3Hz,3H),1.06(s,3H),0.
91(s,3H)
【0048】(実施例5)窒素気流下、(3R)−3−
ヒドロキシ−8−メルカプト−ρ−メンタン107mg
をトルエン30mlに溶解させ調製した溶液にジメチル
アルミニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液0.63
mlを室温にて滴下して攪拌した後、メチルビニルケト
ン80mgをさらに加え3時間攪拌した。攪拌終了後実
施例1と同様の後処理操作を行い、無色油状化合物(2
S)−4−(3−オキソ−ρ−メンタン−8−スルフェ
ニル)−2−ブタノール44mgを得た。収率30%。
絶対配置は実施例1と同様の方法で決定できた。
【0049】上記化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。
3.93(sextet,J=6.2Hz,1H),
2.67−2.41(m,2H),2.61(br.
t,J=7.4Hz,2H),2.34−2.26
(m,1H),2.06−1.82(m,2H),2.
05(br.t,J=12.3Hz,1H),1.69
(q,J=7.0Hz,2H),1.63−1.46
(m,1H),1.52(s,3H),1.46−1.
16(m,2H),1.37(s,3H)1.22
(d,J=6.2Hz,3H),1.02(d,J=
6.2Hz,3H)
【0050】(実施例6) 1)窒素気流下、(2R)−10−メルカプトイソボル
ネオール100mgをジクロロメタン10mlに溶解さ
せ調製した溶液に、トリエチルアミン217mgを加え
1時間攪拌した後、カルコン168mgをジクロロメタ
ン10mlに溶解させ調製した溶液をさらに加え、室温
で17時間攪拌した。攪拌終了後反応混液を飽和塩化ア
ンモニウム溶液に加え、10%塩酸で酸性とし、ジクロ
ロメタンで抽出した。抽出液を飽和塩化アンモニウム溶
液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過、溶媒留
去して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフ
ィー(充填剤;ナカライテスクシリカゲル60 PF2
54 展開液;ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精
製し、無色油状化合物3−(2−ヒドロキシカンファン
−10−スルフェニル)−1,3−ジフェニルプロパン
−1−オン211mgを得た。収率100%。
【0051】上記化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。
8.04−7.88(m,2H),7.55−7.12
(m,8H),4.49(t,J=7.1Hz),3.
82−3.72(m,1H),3.57(d,J=7.
1Hz,2H),2.53(d,J=11.4Hz),
2.49(d,J=11.4Hz,1H),1.94
(m,6H),1.20−0.78(m,2H),0.
89(s,3H),0.75(s,3H)
【0052】2)窒素気流下、上記操作で得た3−(2
−ヒドロキシカンファン−10−スルフェニル)−1,
3−ジフェニル−プロパン−1−オン44mgをジクロ
ロメタン20mlに溶解させ調製した溶液にジメチルア
ルミニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液0.54m
lを室温にて滴下して3時間攪拌した攪拌終了後、実施
例2と同様の処理操作を行い、無色油状化合物(1R)
−3−(カンファン−10−スルフェニル)−1,3−
ジフェニル−1−プロパノール97mgを得た。収率5
0% 上記化合物のH NMR(CDCl,300MH
z)スペクトルの結果(δ値)を示す。7.42−7.
15(m,10H),4.92(dd,J=8.6,
4.9Hz,1H),3.96(dd,J=9.1,
6.0Hz,1H),2.63(d,J=13.2H
z,1H),2.35.2.07(m,3H),2.1
6(d,J=13.2Hz,1H),2.05−1.5
9(m,4H),1.52−1.38(m,1H),
1.36−1.20(m,2H),0.86(s,3
H),0.72(S,3H)
【0053】(実施例7)窒素気流下、(2S)−10
−メルカプトイソボルネオール50mgをベンゼン30
mlに溶解させ調製した溶液に、ジメチルアルミニウム
クロリドの1.0Mヘキサン溶液0.54mlを室温に
て滴下した1時間攪拌した後、反応混液を70℃まで加
熱し、4−ニトロカルコン57mgをベンゼン5mlに
溶解させ調製した溶液をさらに加えた。2時間攪拌した
のち反応混液を飽和塩化アンモニウム水溶液に加え10
%塩酸で酸性にしたのち酢酸エチルで抽出した。抽出液
を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥、濾過、溶
媒留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー
(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製して無色油
状化合物(1R)−3−(カンファン−10−スルフェ
ニル)−3−(4−ニトロフェニル)−1−フェニル−
1−プロパノール58mgを得た。収率57%。絶対配
置は実施例1と同様な方法で決定された。
【0054】上記化合物のH NMR(CDCl
300MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。
8.24−8.13(m,2H),7.98−7.86
(m,2H),7.68−7.40(m,5H),4.
72−4.57(m,1H),3.65−3.56
(m,2H),2.79(d,J=13.0Hz,0.
7H),2.58(d,J=13.0Hz,0.1
H),2.48−2.24(m,1H),2.43
(d,J=13.0Hz,0.3H),2.22(d,
J=13.0Hz,0.7H),2.08−1.65
(m,3H),1.65−1.18(m,2H),0.
96,(s,0.9H),0.93(s,2.1H),
0.85(s,0.9H),0.78(s,2.1H)
【0055】(実施例8)窒素気流下、(2R)−10
−メルカプトイソボルネオール50mgをジクロロメタ
ン30mlに溶解させ調製した溶液に、ジメチルアルミ
ニウムクロリドの1.0Mヘキサン溶液0.29mlを
室温にて滴下して1時間攪拌した後、(1S,5R,6
R,7R)−2−オキサ−6−(3.オキソ−1−オク
テニル)−7−ベンゾイルオキシビシクロ[3.3.
0]オクタン−3−オン85mgをジクロロメタン10
mlに溶解させ調製した溶液をさらに加え、3時間攪拌
した。攪拌終了後、反応混液を飽和塩化アンモニウム溶
液に加え、10%塩酸で酸性とし、ジクロロメタンで抽
出した。抽出液を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し無水
硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、溶媒留去して得られた
残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(充填剤;
ナカライテスクシリカゲル60 PF254展開液;ヘ
キサン:酢酸エチル=3:1−2:1)にて精製し、無
色油状化合物(1S,5R,6R,7R)−2−オキサ
−6−[(3S)−1−(カンファン−10−スルフェ
ニル)−3−ヒドロキシオクチル]−7−ベンゾイルオ
キシビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン35m
gを得た。収率27%。絶対配置は実施例1と同様の方
法で決定できた。
【0056】上記化合物のH NMR(CDCl
90MHz)スペクトルの結果(δ値)を示す。 8.
10−7.95(m,2H),7.70−7.30
(m,3H),5.43(br.q,J=6.2Hz,
1H),5.05(br.dt,J=6.2,2.9H
z,1H),4.20.3.85(br.m,1H),
3.40−1.20(m,27H),0.97(s,3
H),0.89(br.t,J=6.6Hz,3H),
0.75(S,3H)
【0057】(実施例9)実施例2で得られた(2S)
−4−カンファン−10−スルフェニル)−4−フェニ
ル−2−ブタノール38mgを酢酸緩衝液(pH5)−
エタノール(1:2)混液10mlに溶解し調製した溶
液にラネーニッケル(W2)のエタノール混液2mlを
加え、次にホスフィン酸ナトリウムー水和物182mg
を水5mlに溶解して調製した水溶液をゆっくりと滴下
した。40分間攪拌した後、混液からハイフロスーパー
セルを用いてラネーニッケルを濾過し、濾液を濃縮した
のち水を加えてエーテルで抽出した。抽出液を飽和塩化
ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥、濾過、溶媒留去して得られた残渣を分取薄層クロマ
トグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精
製し、無色油状化合物(2S)−4−フェニル−2−ブ
タノール15mgを得た。収率89%。光学純度決定の
ため、取得化合物と(S)−(−)−α−メトキシ−α
−トリフルオロメチルフェニル酢酸を縮合させたあと高
速液体クロマトグラフィー(カラム;ダイセル キラル
セル OD 展開液;ヘキサン:イソプロパノール=9
5:5)で分析したところ、97%eeであった。 〔α〕 22=+18.8(c=0.86CHCl
【0058】反応で得られた化合物のH NMR(C
DCl, 300MHz)スペクトルの結果(δ値)
を示す。 7.32−7.12(m,5H),3.83
(quintet,J=6.2Hz,1H),2.82
−2.60(m,2H),1.87−1.67(m,2
H),1.56(br.s,1H,OH),1.23
(d,J=6.2Hz,3H)
【0059】(実施例10)実施例3で得られた(1
R)−3−(カンファン−10−スルフェニル)−1,
3−ジフェニル−1−プロパノール21mgを酢酸緩衝
液(pH5)−エタノール(1:2)混液2mlに溶解
し調製した溶液にラネーニッケル(W2)のエタノール
混液2mlを加え、次にホスフィン酸ナトリウム一水和
物 57mgを水1mlに溶解して調製した水溶液をゆ
っくりと滴下した。40分間攪拌した後、実施例8と同
様の処理操作を経て、無色結晶化合物(1R)−1,3
−ジフェニル−1−プロパノール10mgを得た。収率
91%。実施例8と同様の光学純度測定を行ったとこ
ろ、97%eeだった。 〔α〕 22=+13.5(c=1.3,MeOH)。
【0060】反応で得られた化合物のH NMR(C
DCl, 300Hz)スペクトルの結果(δ値)を
示す。 7.45−7.14(m,10H),4.66
(dd,J=6.2,5.4Hz,1H),2.82−
2.58(m,2H),2.21−1.92(m,2
H)
【0061】(実施例11)ジクロロメタンをヘキサン
に代えた他は、実施例2と同様の操作を行った。得られ
た(2S)−4−(カンファン−10−スルフェニル)
−4−フェニル−2−ブタノールは197mgで、収率
は66%だった。上記操作で得られた(2S)−4−
(カンファン−10−スルフェニル)−4−フェニル−
2−ブタノール38mgに実施例9と同じ操作を施し、
(2S)−4−フェニル−2−ブタノール10mgを得
た。収率61%。実施例9と同様の方法で光学純度を求
めたところ、72%eeであった。
【0062】(実施例12)ジクロロメタンをベンゼン
に代えた他は、実施例2と同様の操作を行った。得られ
た(2S)−4−(カンファン−10−スルフェニル)
−4−フェニル−2−ブタノールは126mgで、収率
は42%だった。上記操作で得られた(2S)−4−
(カンファン−10−スルフェニル)−4−フェニル−
2−ブタノール38mgに実施例9と同じ操作を施し、
(2S)−4−フェニル−2−ブタノール13mgを得
た。収率76%。実施例9と同様の方法で光学純度を求
めたところ、95%eeであった。
【0063】(実施例13)ジクロロメタンをトルエン
に代えた他は、実施例2と同様の操作を行った。得られ
た(2S)−4−(カンファン−10−スルフェニル)
−4−フェニル−2−ブタノールは167mgで、収率
は56%だった。上記操作で得られた(2S)−4−
(カンファン−10−スルフェニル]−4−フェニル−
2−ブタノール38mgに実施例9と同じ操作を施し、
(2S)−4−フェニル−2−ブタノール8mgを得
た。収率50%。実施例9と同様の方法で光学純度を求
めたところ、91%eeであった。
【0064】(実施例14)ジクロロメタンをジエチル
エーテルに代えた他は、実施例2と同様の操作を行っ
た。得られた(2S)−4−(カンファン−10−スル
フェニル)−4−フェニル−2−ブタノールは162m
gで、収率は54%だった。上記操作で得られた(2
S)−4−(カンファン−10−スルフェニル)−4−
フェニル−2−ブタノール38mgに実施例9と同じ操
作を施し、(2S)−4−フェニル−2−ブタノール4
mgを得た。収率24%。実施例9と同様の方法で光学
純度を求めたところ、94%eeであった。
【0065】(実施例15)ジクロロメタンをテトラヒ
ドロフランに代えた他は、実施例2と同様の操作を行っ
た。30時間反応攪拌後得られた(2S)−4−(カン
ファン−10−スルフェニル)−4−フェニル−2−ブ
タノールは120mgで、収率は54%だった。上記操
作で得られた(2S)−4−(カンファン−10−スル
フェニル)−4−フェニル−2−ブタノール38mgに
実施例9と同じ操作を施し、(2S)−4−フェニル−
2−ブタノール6.5mgを得た。収率40%。実施例
9と同様の方法で光学純度を求めたところ、97%ee
であった。
【0066】(実施例16)ジメチルアルミニウムクロ
リドをジエチルアルミニウムクロリドに代えた他は、実
施例2と同様の操作を行った。得られた(2S)−4−
カンファン−10−スルフェニル)−4−フェニル−2
−ブタノールは196mgで、収率は66%だった。上
記操作で得られた(2S)−4−(カンファン−10−
スルフェニル)−4−フェニル−2−ブタノール338
mgに実施例9と同じ操作を施し、(2S)−4−フェ
ニル−2−ブタノール 8.6mgを得た。収率50
%。実施例9と同様の方法で光学純度を求めたところ、
95%eeであった。
【0067】(実施例17)ジメチルアルミニウムクロ
リドをジプロピルアルミニウムクロリドに代えた他は、
実施例2と同様の操作を行った。得られた(2S)−4
−(カンファン−10−スルフェニル)−4−フェニル
−2−ブタノールは105mgで、収率は35%だっ
た。上記操作で得られた(2S)−4−(カンファン−
10−スルフェニル)−4−フェニル−2−ブタノール
38mgに実施例9と同じ操作を施し、(2S)−4−
フェニル−2−ブタノール7.8mgを得た。収率45
%。実施例9と同様の方法で光学純度を求めたところ、
90%eeであった。
【0068】(実施例18) 1)実施例4で得た(2S)−4−(カンファン−10
−スルフェニル)−4−メチル−2−ペンタノール79
mgをピリジン5mlに溶解し調製した溶液にベンゾイ
ルクロリドを48mgを0℃にて滴下し、1時間攪拌し
た反応終了後、反応混液からピリジンを減圧留去して得
られた残渣に水を加えてエーテルで抽出した。抽出液を
飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥、濾過、溶媒留去して得られた残渣をフラッ
シュカラムクロマトグラフィー(充填剤;ナカライテス
クシリカゲル 60 PF254 展開液;ヘキサ
ン:酢酸エチル=10:1)で精製し、無色油状化合物
(2S)−2−ベンゾイル−4−(カンファン−10−
スルフェニル)−4−メチルペンタン105mgを得
た。収率96%。
【0069】反応で得られた化合物のH NMR(C
DCl,300MHz)スペクトルの結果(δ値)を
示す。 8.31−7.92(m,2H),7.86−
7.20(m,3H),5.69−5.20(m,1
H),2.81(d,J=12.3Hz,1H),2,
60−1.54(m,7H),2.81(d,J=1
2.3Hz,1H),2.60−1.54(m,7
H),2.81(d,J=12.3Hz,1H),1.
54,−1.13(m,9H),1.04(s,3
H),0.90(s,3H)
【0070】2) 上記操作で得られた(2S)−2−
ベンゾイル−4−(カンファン−10−スルフェニル)
−4−メチルペンタン52mgをエタノール4mlに溶
解して調製した溶液に、ラネーニッケル(W2)のエタ
ノール混液2mlを室温で加え、1.5時間攪拌した。
終了後、混液からハイフロースーパーセルを用いてラネ
ーニッケルを濾過し、溶媒留去して得られた残渣を分取
薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)にて精製し、無色油状化合物(2S)−2−ベンゾ
イル−4−メチルペンタン10mgを得た。収率75
%。実施例9と同様の光学純度測定を行ったところ、9
8%eeであった。[α] 22=+37.1(c=
0.16 CHCl
【0071】反応で得られた化合物のH NMR(C
DCl 300MHz)スペクトルの結果(δ値)を
示す。8.12−8.00(m,2H),7.63−
7.38(m,3H),5.34−5.17(m,1
H),1.4−1.63(m,2H),1.33(d,
J=6.3Hz,3H),0.94(d,J=6.3H
z,3H),0.93(d,J=6.3Hz,3H),
【0072】(実施例19)(2R)−10−メルカプ
トイソボルネオールの代わりに(2S)−10−メルカ
プトイソボルネオール100mgを用いた他は実施例3
と同様の操作を行い、無色油状化合物(1S)−3−
(カンファン−10−スルフェニル)−1,3−ジフェ
ニル−1−プロパノール100mgを得た。収率56
%。絶対配置は実施例1と同様の方法により決定した。
さらにこの(1S)−3−(カンファン−10−スルフ
ェニル)−1,3−ジフェニル−1−プロパノール21
mgに実施例10と同様の操作を施し、無色結晶化合物
(1S)−1,3−ジフェニル−1−プロパノール8m
gを得た。収率73%。またカルコン10mgを水素化
ホウ素ナトリウムで還元し、アルコールのラセミ体10
mgを得た。収率100%。本実施例で得た(1S)−
1,3−ジフェニル−1−プロパノールと実施例10で
得た(1R)−1,3−ジフェニル−1−プロパノール
と本実施例中のラセミ体をそれぞれ高速液体クロマトグ
ラフィーで調べたところ次の結果を得た。 液体クロマトグラフィー測定条件 カラム ;ダイセル キラルセル OD 溶離液 ;ヘキサン:イソプロパノール=95:5 流 速 ;1.0ml/min. 測定温度;25℃ 測定結果 本実施例の化合物 ;保持時間21分の箇所に単一のピ
ークを持つ。 実施例10の化合物 ;保持時間25分の箇所に単一の
ピークを持つ。 ラセミ体 ;保持時間21分と25分の箇所に
計2個のピークを持つ。
【0073】(実施例20)(2R)−10−メルカプ
トイソボルネオールの代わりに(2S)−10−メルカ
プトイソボルネオール100mgを用いた他は実施例4
と同様の操作を行い、無色油状化合物(2R)−4−
(カンファン−10−スルフェニル)−メチル−2−ペ
ンタノール70mgを得た。収率55%。さらにこの化
合物70mgに実施例18と同様の操作を施し、(2
R)−2−ベンゾイル−4−メチルペンタン17mgを
得た。収率70%。またメシチルオキシド10mgを水
素化ホウ素ナトリウムで還元し、アルコールのラセミ体
10mgを得て、さらにピリジン3mlの存在下ベンゾ
イルクロリド18mgを反応させベンゾイル化アルコー
ルのラセミ体17mgを得た。収率90%。本実施例で
得た(2R)−2−ベンゾイル−4−メチルペンタンと
実施例18で得た(2S)−2−ベンゾイル−4−メチ
ルペンタンと本実施例中のラセミ体をそれぞれ高速液体
クロマトグラフィーで調べたところ次の結果を得た。 高速液体クロマトグラフィー測定条件 カラム ;ダイセル キラルセル OB 溶離液 ;ヘキサン:イソプロパノール=99:1 流 速 ;0.2ml/min. 測定温度;25℃ 測定結果 本実施例の化合物 ;保持時間19分の箇所に単一のピ
ークを持つ。 実施例18の化合物 ;保持時間21分の箇所に単一の
ピークを持つ。 ラセミ体 ;保持時間19分と21分の箇所に
計2個のピークを持つ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化 1】 (式中、AはR−C(=O)−CR−で表さ
    れ、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置換されて
    いてもよい芳香族基であり、R〜Rは水素原子また
    は炭素数1〜8のアルキル基または置換されていてもよ
    い芳香族基で、RとRは結合してシクロアルキル基
    を形成してもよく、さらにRとRが結合してもよ
    く、R〜Rは水素原子または炭素数1〜8のアルキ
    ル基または置換されていてもよい芳香族基で、そのアル
    キル基は環構造を形成してもよく、基本炭素骨格に結合
    する水素原子が他の原子団で置換されていてもよく、R
    は炭素数1〜8のアルキル基または置換されていても
    よい芳香族基を表す)で表される光学活性スルフィド。
  2. 【請求項2】 一般式(1)においてAが、一般式
    (2) 【化 2】 (式中、R〜R10は水素原子あるいはアルキル基で
    あり、nは0ないし1でmは1−nを示す)で表される
    特許請求の範囲第1項記載の光学活性スルフィド。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R〜R
    が水素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフ
    ェニル基、2−オキサ−7−ベンゾイルオキシビシクロ
    [3.3.0]オクタン−3−オン基のいずれかで表さ
    れる特許請求の範囲第1項または第2項記載の光学活性
    スルフィド。
  4. 【請求項4】 一般式(1)で表される光学活性ス
    ルフィドを製造する方法において、一般式(3) 【化 3】 (式中、R〜Rは一般式(1)のそれに同じ)と一
    般式(4) 【化 4】 (式中、R〜Rは一般式(1)のそれに同じ)か
    ら、R11 AlCl(式中R11はアルキル基を示
    す)の存在下で反応させて得ることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の光学活性ス
    ルフィドの製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)で表される光学活性ス
    ルフィドを製造するにおいて、一般式(3)と一般式
    (4)から一般式(5) 【化 5】 (式中、R〜Rは一般式(1)のそれに同じ)で表
    されるスルフィドを得た後、このスルフィドをR11
    AlCl(式中R11はアルキル基を示す)の存在下で
    反応させ、一般式(1)で表される光学活性スルフィド
    に変換することを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第
    3項のいずれかに記載の光学活性スルフィドの製造法。
  6. 【請求項6】 一般式(1)で表される光学活性ス
    ルフィドにラネーニッケルを反応させることを特徴とす
    る、一般式(6) 【化 6】 (式中、R〜Rは一般式(1)のそれに同じ)で表
    される光学活性アルコールの製造法。
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