JPH08290213A - 金属二重管の製造方法 - Google Patents

金属二重管の製造方法

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JPH08290213A
JPH08290213A JP9542795A JP9542795A JPH08290213A JP H08290213 A JPH08290213 A JP H08290213A JP 9542795 A JP9542795 A JP 9542795A JP 9542795 A JP9542795 A JP 9542795A JP H08290213 A JPH08290213 A JP H08290213A
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tube
pipe
double
heat treatment
plating layer
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Application number
JP9542795A
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English (en)
Inventor
Masaya Kimoto
雅也 木本
Kazuhiro Ogawa
和博 小川
Atsushi Sato
佐藤  淳
Kunihiro Fukui
国博 福井
Junichi Uchida
淳一 内田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内管と外管を冶金的に接合してなる金属二重
管の製造方法であって、外管の内面または内管の外面
に、B:0.5 〜7%、P:0 〜7%、Fe:0 〜30%、残
部:Niの、厚さ2〜100 μmのNi−BまたはNi−B−P
系合金めっき層を無電解めっき法により形成する工程、
外管の中に内管を挿入して内管の縮径加工率が 0.5〜
10%の範囲となるように冷間縮径加工を施す工程、得
られた二重素管を1050〜1250℃で拡散熱処理して内管と
外管を拡散接合させる工程からなる方法。工程との
間に、加熱帯を二重素管の長手方向に 0.1〜10mm/秒の
速度で1方向に連続的に移動させながら、二重素管に10
50〜1250℃の局部加熱処理を施してもよい。 【効果】 内管と外管の接合面にボイドや割れのない金
属二重管が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油井管、ラインパイ
プ、化学工業用の耐食用管などに好適な金属二重管の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】互いに異なる金属材料からなる内管と外
管を冶金的に接合してなる金属二重管は、内管および外
管にそれぞれ異なる機能をもたせることにより、管全体
として優れた特性を発揮するものである。例えば、外管
に鋼を、内管にNi基合金をそれぞれ用いて、外管には強
度を、内管には耐食性をそれぞれ分担させた金属二重管
が、油井管やラインパイプなどとして実用化されてい
る。
【0003】内外管を冶金的に接合させる方法として
は、熱間圧延して拡散接合させる方法が最も一般的であ
る。その接合の際には、接合面の密着性を確保するため
に、管の内外面の清浄度の管理や接合部の酸化防止対策
を万全に行う必要があるため、高コストとなる。すなわ
ち、外管の内面、内管の外面を研磨、洗浄する工程に加
えて、内外管の隙間の酸素を除去するため、内外管を組
み立てた後に管端をシール溶接して、この隙間内を高真
空に引く工程が採用されている。
【0004】そこで、経済的な二重管の製造方法とし
て、内管と外管の間に低融点のインサート材を介在させ
て、界面での金属接合の達成を容易にする方法が多数提
案されている。
【0005】例えば、特開昭59−159284号公報には、熱
膨張の大きい材料を内管材として、インサート材を介し
て外管と嵌め合わせ、加熱するときに生ずる熱応力を利
用して内外管を接合する方法が示されている。この方法
では、インサート材としては、Ni箔もしくはNi−P合金
めっき層が用いられる。
【0006】特開昭62−72423 号公報および特開昭62−
78783 号公報には、Ni箔の両面にPめっきを施し、これ
を内管に巻き付けてインサート材とし、この内管を外管
に挿入して冷間加工で縮径した後、拡散熱処理を行う
か、または熱間押出しや圧延を行って、接合する方法が
示されている。特開平1−197081号公報には、インサー
ト材としてSi、Bを含む低融点のNi基合金を溶射した層
を用いる方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来の技術で
は、次のような問題点がある。 めっき層などのインサート材を内管と外管との間に介
在させた後、熱間押出しまたは他の熱間加工により接合
する方法では、特に、内管に熱間加工性の劣る高耐食性
合金を用いた場合に、内管に割れが生じたり、あるいは
外管との変形抵抗の差により、良好な加工ができない。
【0008】インサート材を内管に巻き付ける方法で
は、螺旋状に巻き付けられたインサート材の重なり部に
空気層が残存するため、冷間縮径と拡散熱処理の工程を
経た後も接合界面に空隙欠陥 (ボイド) が生じ、密着性
が低下する。この欠陥のない均質な接合界面を得るに
は、他の手段ないし工程、例えば熱間での抽伸などを付
加せざるを得ず、従って、工業的に安価に製造できる方
法とは言いがたい。
【0009】Ni−P合金めっき層をインサート材とす
る方法は、短時間の加熱による拡散熱処理では、接合界
面にNi−P共晶物が生成して界面強度が低下するため、
品質面で信頼性の高い方法とは言いがたい。
【0010】溶射によりインサート材を形成する方法で
も、上記と同様の問題がある。すなわち、溶射層には
多くの空孔が存在するため、これをインサート材として
冷間縮径、拡散熱処理を施して二重管を製造すると、接
合界面のボイドが残存することがある。本発明の目的
は、上記の問題点を解消することができる金属二重管の
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、互いに
異なる金属材料からなる内管と外管を冶金的に接合して
なる金属二重管の製造方法であって、外管の内面または
内管の外面に、重量%で、B:0.5 〜7%、P:0 〜7
%、およびFe:0 〜30%を含み、残部がNiと不可避不純
物からなる厚さ2〜100 μmのNi−BまたはNi−B−P
系合金めっき層を、ホウ素含有還元剤またはホウ素含有
還元剤とリン含有還元剤との組合わせを用いた無電解め
っき法により形成する工程、外管の中に内管を挿入し
て、内管の縮径加工率が 0.5〜10%の範囲となるように
冷間縮径加工を施して、二重素管を得る工程、および得
られた二重素管を1050〜1250℃で拡散熱処理して、内管
と外管を拡散接合させる工程、からなることを特徴とす
る、金属二重管の製造方法にある。
【0012】本発明の1態様にあっては、前記めっき層
がPを含有しないNi−B系合金めっき層であり、前記拡
散熱処理を1100〜1250℃で行う。別の態様にあっては、
前記めっき層が 0.5〜7wt%のPを含有するNi−B−P
系合金めっき層であり、前記拡散熱処理を1050〜1250℃
で行う。
【0013】本発明では、高耐食性合金 (例えば、Ni基
合金) を内管に用いても、熱間加工性の面で問題を生じ
ないように、比較的軽度の冷間縮径加工した後に拡散熱
処理を行うこととし、熱間加工を施さない。接合面のボ
イド発生を防止する対策として、インサート材の巻付け
または溶射に代えて、適正組成のNi−BまたはNi−B−
P合金からなる低融点めっき層を設けてインサート材と
するとともに、拡散熱処理の前に適正条件下で内管の冷
間縮径加工を施して二重素管を形成する。
【0014】インサート材となるめっき層は、内管と外
管を構成する2種類の金属材料のうち、不動態皮膜が生
成しないか、または相対的に生成しにくい方の金属材料
からなる金属管の他の金属管との接合面に設けることが
好ましい。
【0015】さらに、冷間縮径加工後、拡散熱処理の前
に、加熱帯を二重素管の長手方向に0.1〜10mm/秒の速
度で1方向に連続的に移動させながら、1050〜1250℃の
局部加熱処理を二重素管に施すことが好ましい。この局
部加熱処理により、接合界面のボイド発生がより有効に
防止される。
【0016】本発明の方法によれば、インサート材と拡
散熱処理条件の適切な選定により、外管と内管の接合面
の強度が確保でき、密着性に優れた金属二重管を製造す
ることができる。
【0017】最も一般的な金属二重管では、外管に炭素
鋼、低合金鋼またはステンレス鋼の鋼管を、内管にはス
テンレス鋼または高耐食性合金からなる、内管より耐食
性の高い金属管が用いられる。本発明の方法は、このよ
うな金属二重管のみならず、用途上の必要性から外管と
内管の材質を上記とは逆にした金属二重管の製造にも適
用することができる。炭素鋼あるいは低合金鋼の鋼管と
しては、要求される性能 (強度、靱性) を満たすものを
使用すればよい。また、高耐食性合金の金属管として
は、用途に応じて、ステンレス鋼管、Ni基合金管のほ
か、TiおよびTi合金管等の他の金属管も使用可能であ
る。
【0018】
【作用】本発明の製造方法の各工程における条件限定の
理由を説明する。以下、%は特に指定のない限り重量%
を意味する。
【0019】めっき工程 内管または外管の一方の金属管の他方の金属管との接合
面に、接合面でのボイド発生を防止するためのインサー
ト材として、Ni−BまたはNi−B−P合金めっき層を形
成する。
【0020】インサート材の組成:本発明の方法では、
拡散熱処理に液相拡散法を用いることが望ましい。した
がって、望ましい低融点を得るために、0.5 〜7%のB
と、場合により7%以下のPを含有する、Ni−Bまたは
Ni−B−P系合金のめっき層を用いる。
【0021】B含有量が0.5 %未満では、めっき層が高
融点となり、次に述べる拡散熱処理条件の上限温度1250
℃を超える融点となる。一方、B含有量が7%を超える
Ni−B合金めっきを無電解法で形成することは困難であ
る。なお、Pを含有せず、B含有量が 0.5〜7%のNi−
B系合金の融点は、1100〜1250℃の範囲である。好まし
いB含有量は 1.0〜5.0 %である。
【0022】Pは、めっき層のさらなる低融点化に有効
であるため、場合によりBに加えてPを含有させてもよ
い。P含有量が0.5 %未満ではこの効果が少ないので、
Pを含有させる場合には0.5 %以上のPを添加すること
が好ましい。一方、7%を超えると、接合界面に脆化層
が形成されるため逆効果となる。2〜7%のBと0.5〜
7%のPを含むNi−B−P系合金では、Pを含有しない
上記のNi−B系合金に比べて、融点が最高で約50℃低下
し、最低の融点が1050℃となり、融点範囲は1050〜1250
℃となる。好ましいP含有量は 0.5〜5.0 %である。
【0023】めっきの方法によっては、めっき処理の際
に鋼中のFeが一部溶出し、めっき層の中に混在するよう
になって、めっき層の融点が上昇しすぎることもありう
るが、この場合でも、めっき層中のFe含有量を30%以下
とすれば、上記範囲内の融点を維持することができる。
よって、めっき層中のFe含有量は30%以下、好ましくは
10%以下とする。
【0024】インサート材の厚さ:めっき層の厚さが2
μm 未満では、接合面に存在する凹凸を埋める効果が小
さいため、加熱時に溶融して内外管の金属の接合を促進
させる効果がない。一方、100 μm を超えると接合効果
が飽和し、さらにめっき層を付着させるのに長時間の電
解を要し、不経済となる。よって、めっき層の厚さは2
〜100 μmの範囲とする。好ましくは3〜30μmであ
る。
【0025】インサート材のめっき面:インサート材と
なるめっき層は、外管と内管の一方の管の他方の管との
接合面、即ち、外管の内面または内管の外面のいずれに
かに形成する。
【0026】めっき層と被めっき母材との界面にミクロ
的ボイドが存在すると、拡散接合後も接合面にボイドが
残存し易く、二重管の密着性が低下する。めっき層の施
工時に界面にボイドが生成するのは、被めっき母材表面
の酸化皮膜 (不動態皮膜) が大きな要因となる。特に、
Crを多く含む金属、例えば、Crを12%以上含有する鋼や
合金は、不動態皮膜を生成し易い。このような不動態皮
膜が形成された表面は、上記のボイド生成に加えて、表
面の活性が低く、無電解めっき法によりめっき層を均一
に形成することが困難となるか、或いはめっき層の形成
に長時間を要するようになる。
【0027】従って、インサート材のめっき面は、内管
と外管のうち、相対的に不動態皮膜が生成しにくいか、
或いは不動態皮膜が生成しない材質の金属管の表面に設
けることが好ましい。例えば、外管が炭素鋼または低合
金鋼で、内管がステンレス鋼または高耐食性合金からな
る一般的な金属二重管の場合には、不動態皮膜が相対的
に生成しにくいか、または生成しない管は、外管になる
ので、外管の内面にインサート材のめっき面を形成する
ことが好ましい。
【0028】めっき方法:本発明では、上記のNi−Bま
たはNi−B−P系合金めっき層を無電解めっき法により
形成する。電気めっき法によっても、この合金めっき層
の形成は可能であるが、電気めっき法で形成されためっ
き層には、接合性を劣化させるミクロボイドなどの欠陥
が多く含まれる。この原因は明確ではないが、電気めっ
き法において多量に発生する水素ガスおよび不均一電流
分布が関与しているものと推測される。そのため、本発
明では無電解めっき法を採用する。
【0029】無電解めっきに用いるめっき液は、Ni供給
源となる可溶性ニッケル塩、錯化剤、および還元剤を含
有していればよい。還元剤としてホウ素含有還元剤を使
用すると、ニッケル塩の還元と同時にホウ素の共析が起
こって、Ni−B系合金めっき層が形成される。また、還
元剤として、ホウ素含有還元剤とリン含有還元剤とを併
用すると、さらにPも共析し、Ni−B−P系合金めっき
層が形成される。
【0030】可溶性ニッケル塩としては、硫酸ニッケ
ル、塩化ニッケルなどが使用できる。錯化剤は、析出を
目的とする金属 (本発明ではNi) 以外の成分を液中で安
定に保持するために含有させる。錯化剤の例としては、
オキシカルボン酸、モノカルボン酸、アミノカルボン酸
などが挙げられる。ホウ素含有還元剤としてはジメチル
アミンボラン、ジメチルアミンジボラン、ジメチルアミ
ントリボランなどのアミンボラン系化合物を代表例とす
る有機ホウ素化合物、ならびにホウ水素化ナトリウムな
どの無機ホウ素化合物が使用できる。リン含有還元剤と
しては、次亜リン酸および次亜リン酸塩が使用できる。
【0031】めっき液の組成は、ニッケル塩がNiイオン
濃度として1〜20g/l、好ましくは3〜10g/l、還元剤
(ホウ素含有還元剤またはホウ素含有還元剤+リン含有
還元剤) が1〜20g/l、1種もしくは2種以上の錯化剤
を合計で1〜20g/l が適当である。これらの成分以外
に、pH調整剤 (緩衝剤) などを少量含有していてもよ
い。このような組成のめっき液は、無電解ニッケルめっ
き液として市販されており、市販品を利用することもで
きる。
【0032】無電解めっき条件は、温度:30〜80℃、p
H: 4.0〜7.0 が望ましい。析出するめっき層のBおよ
びP含有量は、還元剤として用いるホウ素化合物および
リン化合物の量によって変動するので、めっき層のBお
よびP含有量が上記範囲内の所定含有量になるように還
元剤の種類と量を調整する。めっき層の厚みは、めっき
条件およびめっき時間により調整できる。めっき前処理
は、一般的な電気めっき法と同様に、通常条件での脱
脂、酸洗を適用することができる。なお、必要であれ
ば、めっき前に、内管と外管の接合面を研磨して、その
表面粗さを小さくしておいてもよい。
【0033】外管の内面めっきの場合には、両端をフラ
ンジで閉鎖した外管自体をめっき槽として、内部に無電
解めっき液を流して循環させることにより、無電解めっ
きを実施することができる。フランジは、ステンレス鋼
製でもよいが、めっき析出や腐食を防止するため、樹脂
製のものが好ましい。内管の外面めっきの場合には、よ
り大径の管 (樹脂管またはステンレス鋼間) の内部に内
管を収容し、上記と同様に管端を閉鎖し、大径管と内管
の間の環状空間をめっき槽として利用して、この環状空
間に無電解めっき液を循環させることにより実施でき
る。
【0034】均一なめっき層を形成するために、被めっ
き金属管を水平に配置し、この金属管を回転させなが
ら、無電解めっき液を1方向に流通させてめっきを行う
ことが好ましい。それにより、発生した気泡は管外に排
出され、気泡による不めっきや疵の発生が避けられる。
【0035】冷間縮径加工工程 内管と外管の一方の管の他方の管との接合面に、インサ
ート材として上記めっき層を形成した後、外管の中に内
管を挿入し、内管が縮径されるまで冷間で縮径加工を施
す。それにより、内外両管を機械的に密着させて、二重
素管を形成し、両管の間に空気層を除去する。即ち、接
合面のボイド発生を防止する対策として、上記インサー
ト材の形成に加えて、この縮径加工による空気層の排除
を行うのである。
【0036】この冷間縮径加工は、内管の縮径加工率が
0.5〜10%、好ましくは 1.0〜7.0%となるように行
う。この加工率が0.5 %未満では、内外管の密着と空気
層の除去に効果がない。一方、10%を超えると、縮径加
工時に内管の一部が座屈し、さらにその後の加熱または
熱処理時に二重管の変形が大となる。この縮径加工の方
法は、抽伸または圧延のいずれでもよい。
【0037】拡散熱処理工程 冷間縮径加工で得られた二重素管は、内管と外管が機械
的に密着しているだけであるので、拡散熱処理を行っ
て、少なくとも部分的にインサート材を溶融させ、内外
両管内にインサート材および他管の金属成分を拡散させ
て、内外両管を拡散接合させると、内管と外管が冶金的
に接合された金属二重管が完成する。拡散熱処理の時間
は、インサート材のめっき層の組成、厚さおよび熱処理
温度によって異なるが、概ね3〜90分の範囲である。
【0038】めっき層がNi−B系合金の場合で1100℃未
満、Ni−B−P系合金の場合で1050℃未満の温度では、
上記のボイドがない状態でも金属原子の拡散が不十分
で、望ましい金属接合が十分達成されないことがある。
一方、1250℃を超えると、内外両管の金属の結晶粒粗大
化による脆化および耐食性の劣化が顕著となる。よっ
て、拡散熱処理温度は、1050〜1250℃の範囲であるが、
めっき層がPを含有しないNi−B系合金の場合には1100
℃〜1250℃の範囲が適当である。好ましい温度は、めっ
き層がNi−B系合金の場合には1150〜1250℃、Ni−B−
P系合金の場合には1100〜1200℃である。
【0039】局部加熱処理工程 内管と外管の間の残存空気の除去を徹底するために、上
記の冷間縮径加工により得られた二重素管に対して、拡
散熱処理の前に、加熱帯を二重素管の長手方向に 0.1〜
10mm/秒の速度で1方向に連続的に移動させながら、10
50〜1250℃の局部加熱処理を施すことが好ましい。
【0040】図1は、この方法を説明する概略図であ
る。拡散熱処理の前に、図示のような誘導加熱コイル1
を用いて、冷間縮径加工を施した二重素管2に連続的な
局部加熱を行う。誘導加熱コイル1または二重管2を図
示する矢印の方向、すなわち管の長手方向に移動させる
と、管に対する加熱帯は1方向に移動して行く。内外管
とインサート材との間に空気が残存していても、この加
熱帯の1方向の連続移動により、残存空気は管の未加熱
部の方向に逐次追い出されて行くことになり、その後の
拡散熱処理の際に接合面でのボイドの発生を防止するこ
とができる。
【0041】局部加熱温度が1050℃未満では空気除去の
効果が少なく、一方1250℃を超える温度では、前記の拡
散熱処理と同様な悪影響が生ずる。移動速度が0.1 mm/
秒未満と遅いと、残存空気の移動除去効果が飽和し、ま
た生産効率が低下する。一方、10mm/秒を超える速い移
動速度では、残存空気の除去が不十分となる。
【0042】この局部加熱の際にも、一部拡散現象は起
こるが、上記の温度範囲と移動速度範囲をともに満足さ
せれば、空気が残存した状態で拡散が終了してしまうの
を回避することができる。加熱帯の幅は、管の外径およ
び肉厚によっても異なるが、長手方向の幅が約30mmの加
熱コイルを用いて約20〜30mm程度の幅とするのが望まし
い。
【0043】
【実施例】
(実施例1)表1に示す化学組成の炭素鋼およびNi基合
金の金属管を、それぞれ外管 (外径:140 mm、肉厚:15
mm 、長さ:3m)および内管 (外径:117 mm、肉厚:3
mm、長さ:4m)として用いた。内管を外管よりも長く
するのは、縮径加工時の延伸率が外管の方が大きいから
である。この外管の内表面および内管の外表面の粗差を
グラインダー加工により、Rmax で50μmに調整した。
【0044】
【表1】
【0045】次いで、不動態皮膜を生成しにくい方の外
管の内面に、下記めっき液組成およびめっき条件で無電
解めっきを施し、インサート材としてNi−B系合金また
はNi−B−P系合金めっき層を形成した。めっき膜厚
は、処理時間を変えることにより制御した。
【0046】<めっき液組成> 硫酸ニッケル (Niイオン濃度) :8g/l オキシカルボン酸+モノカルボン酸:10g/l (酒石酸+安息香酸) ジメチルアミンボラン:0〜6g/l 次亜リン酸:0〜4g/l <めっき条件> pH:5.0 〜6.0 温度:65〜75℃ この無電解めっきは、外管を回転ローラー上に水平配置
し、その両側の管端を液流通用の開口部を設けた合成樹
脂製フランジで閉鎖することにより、外管自体をめっき
槽として使用することにより行った。めっき中、外管を
回転させながら、外部のめっき液タンクからめっき液を
外管内に連続的に圧送し、外管から排出されためっき液
をタンクに戻すことにより、めっき液をタンクと外管の
間で循環させた。めっきの前に、脱脂液および酸洗液で
外管の内面を処理した。
【0047】比較のために、電気めっき法により外管の
内面に上記と同様のNi−B系合金層を形成した。電気め
っきは、外管の内部に管状の不溶性電極を挿入して管端
を上記と同様にフランジで閉鎖し、外管と管状電極との
間の環状空間にめっき液を流通させながら、外管を陰
極、内部の管状電極を陽極として通電することにより行
った。使用しためっき液は、硫酸ニッケル、塩化ニッケ
ル、ホウ酸、およびトリメチルアミンボランを含有した
いた。
【0048】上記の無電解めっきまたは電気めっき法に
より外管の内面に形成されためっき層の合金組成および
厚みを蛍光X線分析で調べた結果を表2に示す。内面に
めっき層を形成した外管の内部に内管を挿入し、内外管
の一端を同軸になるように揃えて溶接することにより口
絞りを行った後、冷間で抽伸 (引抜き)により縮径加工
を施して、二重素管を得た。
【0049】この二重素管を大気雰囲気の加熱炉に入
れ、拡散熱処理を施して内外管を拡散接合し、製品の二
重管を得た。一部のものについては、縮径加工と拡散熱
処理の各工程との間に、図1に示す誘導加熱による連続
局部加熱処理を施した。これらの熱処理の条件を、内管
の冷間縮径加工率と共に表2に示す。
【0050】得られた金属二重管の任意の5箇所の断面
(1断面当たり約1000 mm の界面長さ) について、100
倍の倍率で顕微鏡検査を行い、接合面のボイドとそれに
伴う割れの有無を調査した。この調査結果を表2に併せ
て示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2から明らかなように、本発明で定める
条件を全て満たす本発明例A1〜A11では、接合界面の
ボイドや割れは認められなかった。本発明例A6と比較
例B6を比べると、めっき層にPを含むA6では、1050
℃の拡散熱処理温度でも良好な接合界面が得られた。ま
た、連続局部加熱処理を施したA7〜A10では、短時間
の拡散熱処理で接合面のボイドや割れのない良好な拡散
接合が得られた。
【0053】一方、めっき層の組成、厚さ、縮径加工条
件あるいは拡散熱処理条件にいずれかが本発明で定める
範囲外で製造した比較例B1〜B6では、接合面にボイ
ドや割れが認められた。また、めっき層の組成、厚さ、
縮径加工条件、および拡散熱処理条件が全て本発明の範
囲内であっても、めっき層を電気めっき法で形成したC
1〜C2では、接合面にボイドや割れが確認された。
【0054】
【発明の効果】本発明の二重管の製造方法によれば、接
合界面に空隙欠陥 (ボイド) や割れのない、油井管、ラ
インパイプ、化学工業用の耐食用管などに好適な二重管
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷間縮径加工と拡散熱処理との間に行う連続局
部加熱処理の方法を説明する概略図である。
【符号の説明】
1:誘導加熱コイル 2:冷間縮径加工後の二重管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 国博 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 内田 淳一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに異なる金属材料からなる内管と外
    管を冶金的に接合してなる金属二重管の製造方法であっ
    て、 外管の内面または内管の外面に、重量%で、B:0.5 〜
    7%、P:0 〜7%、およびFe:0 〜30%を含み、残部
    がNiと不可避不純物からなる厚さ2〜100 μmのNi−B
    またはNi−B−P系合金めっき層を、ホウ素含有還元剤
    またはホウ素含有還元剤とリン含有還元剤の組合わせを
    用いた無電解めっき法により形成する工程、 外管の中に内管を挿入して、内管の縮径加工率が 0.5〜
    10%の範囲となるように冷間縮径加工を施して、二重素
    管を得る工程、および得られた二重素管を1050〜1250℃
    で拡散熱処理して、内管と外管を拡散接合させる工程、
    からなることを特徴とする、金属二重管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記めっき層を形成する管が、不動態皮
    膜が生成しないか、相対的に生成しにくい方の管であ
    る、請求項1記載の金属二重管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の冷間縮径加工工程と拡散熱処理工
    程との間に、加熱帯を二重素管の長手方向に 0.1〜10mm
    /秒の速度で1方向に連続的に移動させながら、二重素
    管に1050〜1250℃の局部加熱処理を施す工程を包含す
    る、請求項1または2記載の金属二重管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記めっき層がNi−B系合金からなり、
    前記拡散熱処理を1100〜1250℃で行う、請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の金属二重管の製造方法。
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