JPH08290165A - イオン除去装置およびイオン除去方法 - Google Patents

イオン除去装置およびイオン除去方法

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JPH08290165A
JPH08290165A JP10107995A JP10107995A JPH08290165A JP H08290165 A JPH08290165 A JP H08290165A JP 10107995 A JP10107995 A JP 10107995A JP 10107995 A JP10107995 A JP 10107995A JP H08290165 A JPH08290165 A JP H08290165A
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JP
Japan
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aqueous solution
ion
electrode
solution
hollow fiber
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Application number
JP10107995A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoaki Mitsuzawa
舜明 光澤
Takashi Yasuoka
高志 安岡
Masakatsu Sano
正勝 佐野
Nobuo Katsuura
信夫 勝浦
Osamu Igarashi
治 五十嵐
Atsushi Nakayama
敦 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikko Kogyo KK
Original Assignee
Nikko Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水溶液中に含有されている錆、かび、濁りお
よび汚れ等やイオンを効率よく除去することができ、か
つ装置構成がコンパクトなイオン除去装置を提供すると
ともに、水溶液中に含有されている錆、かび、濁りおよ
び汚れ等や、イオンを効率よく除去可能なイオン除去方
法を提供する。 【構成】 水溶液24を収容可能な容器12内に、金属
が被覆された中空糸膜からなる電極14と、白金電極1
6とを配設し、電極14に水溶液24を吸引する定流量
ポンプ20と、直流電源18の陰極を接続し、電源16
に直流電源18の陽極を接続した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン除去装置および
イオン除去方法に係わり、特に、水溶液に含有された不
要なイオンや菌等を除去する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、様々な材質からなる各種フィ
ルタを利用した水処理方法が行われている。このような
フィルタとしては、例えば、プリーツ型、中空糸型、デ
ィスポーザブル型およびカートリッジ型等、多岐にわた
る形状の製品が開発され、使用されている。特に、中空
糸型のフィルタは、主に、日常生活に欠かせない飲料水
中に含有されている錆、かび、濁りおよび汚れ等を効率
よく取り除くことができることから、浄水器(清水器)
に利用されている。近年では、水道水の汚染やマンショ
ン等の高層ビルに設置されている貯水タンク内に貯めら
れた水の汚染などが問題となってきており、浄水器によ
る水飲料水の浄水化が益々要求されるようになってきて
いる。
【0003】また、最近では、イオン交換膜と電極との
組み合わせにより、水溶液中の化学物質を分離する装置
が開発されている。この装置は、例えば、実用レベルで
は、海水の濃縮、塩水の脱塩、工業用水の軟化、工業排
水の処理、イオンの除去や回収等に利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記中
空糸型フィルタは、飲料水のような水溶液中に含有され
ている錆、かび、濁り等は取り除くことができるが、ナ
トリウム等のイオンを除去することができないという問
題がある。このため、例えば、海水からの製塩や、水溶
液のpH調整を行おうとする場合、電気透析の原理を利
用する以外に方法はなかった。すなわち、陰陽イオン交
換膜で仕切った各室と、陰極および陽極からなる電極を
併用する方法である。
【0005】また、前記イオン交換膜と電極とを組み合
わせた装置は、前記水溶液を収容する容器内をイオン交
換膜で仕切り、当該イオン交換膜により分割された各エ
リアに各々の電極(陽極および陰極)を配設する構造を
有している。このため、装置が比較的大型化し、持ち運
びが困難であるという問題もある。さらに、イオン交換
膜は、前記中空糸型フィルタのように、水溶液中に含有
されている錆、かび、濁りおよび汚れ等を効率よく取り
除くことができないという問題もある。
【0006】さらにまた、イオン交換膜を使用する製塩
工業においては、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネ
シウムイオン(Mg2+)、硫酸イオン(SO4 2ー)等
が、食塩と同様に濃縮されるので、スケールが発生し、
膜の劣化をともなう。一般に、イオン交換膜では、2価
のイオンの方が1価のイオンより透過し易く、その比率
は、1.2〜2.5倍になることが知られている。この
ため、1価のイオンに選択性を持たせるために、2価の
イオンと1価のイオンのイオン半径の差を利用して、網
目構造を密にした薄層を膜表面に形成させる方法がとら
れている。この他に、膜表面に固定電荷と反対電荷を持
つ高分子を吸着させることにより、電荷の高いイオンが
より大きな反発力を受けることで、1価のイオンの選択
性を得ている。例えば、陽イオン交換膜では、ポリエチ
レンイミン等の高分子電解質の薄層を膜面上に形成させ
る方法がとられている。しかしながら、この方法は、特
定の高分子を選択したり、吸着させたりするなどの複雑
な作業の経過を必要とする。
【0007】一方、これに反し、本発明に係る中空糸膜
を使用することは、以下に述べるような大きな特徴を有
する。すなわち、分離膜自体を電極とし、電極電位を任
意に変えることにより、溶液中に溶けているイオンの分
離が行われる。また、電気透析用の従来の電極に比べ、
表面積の大きい分離膜自身を電極としているため、溶液
の電気抵抗の低減、溶質の拡散係数の増大等をもたら
し、エネルギー消費を低減できる。
【0008】本発明は、このような従来の問題点を解決
することを課題とするものであり、水溶液中に含有され
ている錆、かび、濁りおよび汚れ等は勿論のこと、水溶
液中に含有されている不要なイオンや菌も効率よく取り
除くことができ、かつ優れた殺菌効果が得られるイオン
除去装置を提供することを目的とする。
【0009】また、装置構成がコンパクトで持ち運び性
に優れたイオン除去装置を提供することを目的とする。
【0010】そしてまた、水溶液中に含有されている
錆、かび、濁りおよび汚れ等や、不要なイオンを効率よ
く取り除くことができ、かつ優れた殺菌効果が得られる
イオン除去方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、水溶液を収容可能な容器内に、電気回路を
形成する電極を配設し、当該電極の一方は、金属が被覆
された中空糸膜から構成し、当該金属が被覆された中空
糸膜からなる電極を介して前記水溶液を吸引する吸引装
置を接続したイオン除去装置を提供するものである。
【0012】そして、前記中空糸膜は、水溶液のpHに
より適宜選択される。また、この中空糸膜には、導通を
与える各種金属が被覆されていること、好ましくは、ニ
ッケルや白金を被覆することが望ましく、また、前記ニ
ッケルの表面には、金を被覆することが望ましい。ま
た、前記ニッケルの表面には、白金、バナジウム、銀、
ロジウム、ハフニウム、ルテニウム等、耐薬品性の高い
金属を被覆してもよいし、ニッケルを被覆することな
く、中空糸膜にこれらを直接被覆してもよい。
【0013】そしてまた、水溶液が収容される容器内に
配設した電極の一方を、金属が被覆された中空糸膜から
構成し、前記両電極を含む電気回路に一定量の電流を流
すとともに、前記金属が被覆された中空糸膜からなる電
極を介して前記水溶液を吸引排出するイオン除去方法を
提供するものである。前記電流値は、10mA以上、5
00mA以下、好ましくは、30mA以上、100mA
以下、さらに好ましくは、40mA以上、80mA以
下、であることが望ましい。また、前記水溶液が、電気
分解により殺菌作用を有する物質を生成する陰イオンを
含有することが望ましい。この陰イオンとしては、例え
ば、硫酸イオンや塩化物イオン等が挙げられる。
【0014】
【作用】本発明によれば、容器内に収容された水溶液
は、吸引装置により金属が被覆された中空糸膜からなる
電極を介して吸引され、排出される。すなわち、前記水
溶液は、前記中空糸膜の細孔を通過した後、排出される
が、このとき、前記水溶液に含有されている錆、かび、
濁りおよび汚れ等は、前記中空糸膜により取り除かれ
る。
【0015】また、前記金属が被覆された中空糸膜から
なる電極が陰極の場合には、前記水溶液中に含有されて
いる正の電荷を持つ金属イオンが、この電極付近に集ま
り、この金属イオン濃度が極めて高くなった水溶液が排
出される。したがって、前記水溶液に含有されている前
記金属イオンが効率よく簡単に前記容器の外に除去され
る。
【0016】一方、前記金属が被覆された中空糸膜から
なる電極が陽極の場合には、前記水溶液中に含有されて
いる正の電荷を持つ金属イオンが、この電極から遠ざか
り、この金属イオン濃度が極めて低くなった水溶液が排
出される。したがって、前記容器内に前記金属イオンが
残され、前記排出された水溶液からは、前記金属イオン
が効率よく除去される。
【0017】また、水溶液に含有されている負の電荷を
持つイオンを除去する場合には、前記と同様の原理か
ら、前記金属が被覆された中空糸膜からなる電極が陰極
の場合には、前記容器内にこのイオンが残され、前記排
出された水溶液からは、当該イオンが効率よく除去され
る。一方、前記金属が被覆された中空糸膜からなる電極
が陽極の場合には、前記水溶液に含有されている前記イ
オンが効率よく簡単に前記容器の外に除去される。
【0018】そしてまた、前記中空糸膜に、ニッケルま
たは白金を被覆することで、前記水溶液の電気分解をさ
らに効率よく行え、前記イオンがより効率よく除去され
る。そしてまた、前記ニッケルの表面に、金を被覆する
ことで、前記水溶液の電気分解をより一層効率よく行
え、前記イオンがさらに効率よく除去される。
【0019】さらに、産業上の利用分野としては、本発
明に係る中空糸膜の機能により海水浄化、緊急時の飲料
水の製造、酸・アルカリイオン水の製造、重金属イオン
の除去を含めた水処理、活性炭との組み合わせによる血
液の透析、製塩工業および乳工業等のプロセス中で使用
されている電気透析工程の代替え等、幅広い分野で使用
が可能である。
【0020】また、前記電気分解時の電流値が大きいほ
どイオンの除去効率は高いが、電流値が高すぎると、前
記中空糸膜と電極との接点が溶けやすくなる。これよ
り、前記電流値を、10mA以上、500mA以下、好
ましくは、30mA以上、100mA以下、さらに好ま
しくは、40mA以上、80mA以下、とすることが望
ましい。前記電流値が10mA未満であると、イオンの
除去効率が低下し、最適なイオンの除去を行うことが困
難になる。一方、前記電流値が500mAを越えると、
前記中空糸膜と電極との接点が溶けやすくなり、イオン
除去装置の寿命を低下させるとともに、最適なイオンの
除去を行うことが困難になる。
【0021】そしてまた、前記水溶液は、電気分解によ
り殺菌作用を有する物質を生成する陰イオンを含有する
ことが望ましい。前記殺菌作用を有する物質としては、
例えば、過酸化水素(H22)、次亜塩素酸(HCl
O)、酸素(02)等があげられる。過酸化水素(H2
2)を生成する陰イオンとしては、たとえば、硫酸イオ
ン(SO4 2-)がある。この硫酸イオンは、以下に示す
反応式 2SO4 2-→2SO4 -+2e 2SO4 -→S28 2-28 2-+H2O→SO5 2-+H2SO4 SO5 2-+H2O→H22+SO4 2- のように、硫酸イオン(SO4 2-)を生成する。陰イオ
ンが硫酸イオンの場合、硫酸イオンの濃度が低い場合に
は、水酸化物イオン(水の電離による)が電気分解を受
けるが、硫酸イオンの濃度が高くなるにしたがって、上
記反応が起こるようになり、過酸化水素が生じる。
【0022】また、次亜塩素酸(HClO)を生成する
陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン(Cl-)が
ある。この塩化物イオンは、以下に示す反応式 2Cl-→Cl2+2e Cl2+H2O→HCl+HClO のように、次亜塩素酸(HClO)を生成する。
【0023】そしてまた、酸素(O2)を生成する陰イ
オンとしては、例えば、硝酸イオン(NO3 -)がある。
この硝酸イオンは、以下に示す反応式 4HO-→2H2O+O2 のように、酸素(O2)を生成する。
【0024】このように、前記電気分解により、殺菌作
用を有する物質が生成することで、イオンの除去と同時
に、殺菌を行うことができる。
【0025】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について図面を参
照して説明する。
【0026】(実施例1)図1は、本発明の実施例1に
係るイオン除去装置の模式図である。図1に示すイオン
除去装置は、水溶液24を収容する容器12と、容器1
2内に配設された電極14および16と、電極14およ
び16に電流を供給する直流電源18と、電極16に接
続された吸引装置である定流量ポンプ20と、を備えて
いる。
【0027】前記電極14は、外側がニッケルで被覆さ
れた中空糸膜から構成されており、下端には栓15が設
けられ、上端にはタイゴンチューブ22が接続されてい
る。このタイゴンチューブ22には、定流量ポンプ20
が接続されており、前記容器12内に収容されている溶
液24を、前記電極14を介して吸引する(汲み上げ
る)ようになっている。すなわち、前記水溶液24は、
定流量ポンプ20が作動すると、電極14を構成してい
る中空糸膜の細孔を通過してタイゴンチューブ22に至
り、外部に排出されるようになっている。また、電極1
4は、直流電源18の陰極に接続されている。一方、前
記電極16は、白金から構成されており、直流電源18
の陽極に接続されている。
【0028】次に、実施例1に係わるイオン除去装置の
具体的動作について説明する。実施例1では、水溶液2
4からナトリウムイオン(Na+)を除去する場合につ
いて説明する。
【0029】容器12内に、金属イオンとしてNa+
含有された水溶液24を収容する。次に、直流電源18
を作動して40mAの一定電流を流して水溶液24の電
気分解を行うとともに、定流量ポンプ20を作動して一
定流速で水溶液24を吸引する。このとき、正の電荷を
持つNa+が、陰極である電極14付近に集まり、この
付近の水溶液のNa+濃度が極めて高くなる。したがっ
て、このNa+濃度が極めて高い水溶液が、電極14を
構成している中空糸膜の細孔を通過し、タイゴンチュー
ブ22を経て外部に排出される。このため、水溶液24
に含有されているNa+は、効率よく簡単に容器12の
外に除去され、かつ、水溶液24に含有されている錆、
かび、濁りおよび汚れ等は、前記中空糸膜により取り除
かれる。
【0030】次に、容器12内に、Na+濃度が10ppm
である水溶液を収容し、以下に示す電流量および吸引条
件(水溶液を吸引した際の流速)で電気分解を行い、こ
の電気分解時間(分)と容器12内に残留した水溶液の
Na+濃度(ppm)との関係を調査した。また、前記電気分
解時間(分)と容器12内に残留した水溶液のpHとの
関係を調査した。なお、Na+濃度は、原子吸光光度計
により測定した。電気分解時間(分)とNa+濃度(ppm)
との関係を図2に、電気分解時間(分)とpHとの関係
を図3に示す。
【0031】 電流量 40mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) 流速6 (0.53ml/min) 流速4 (0.34ml/min) 図2から、容器12内に残留した水溶液のNa+濃度
は、最大で0.8ppm程度まで減少することがわかる。
すなわち、Na+は、最大92%程度除去できることが
確認された。
【0032】また、図3(1)は、吸引した溶液のpH
の経時変化を示す図である。この図から、溶液のpH
は、初期において急速に上がりpH約11を示し、その
後序々に下がっていくことが判る。これは、電極14が
陰極であるため、溶液中の陽イオンが電極14付近に移
動し、陽イオンである水素イオンが陰極で還元されるこ
とにより、水酸化物イオンの濃度の高い溶液が吸引され
るためである。そして、時間の経過とともに、後述する
図3(2)に示すように、容器12内に残った溶液のp
Hが下がるため、吸引溶液のpHもこれに伴って下がる
からである。
【0033】図3(2)は、容器12内に残った溶液の
pHの経時変化を示す図である。この図から、容器12
内に残った溶液のpHは、急に低くなり酸性を呈するこ
とが判る。これは、中空糸中のpHが高いことや、白金
電極が陽極であるため溶液中の水酸化物イオンが消費さ
れ、水素イオン濃度が高くなるからである。
【0034】(実施例2)次に、本発明の実施例2につ
いて説明する。図4は、本発明の実施例2に係るイオン
除去装置の模式図である。なお、実施例2では、実施例
1と同様の部材には、同一の符号を付してその説明は省
略する。
【0035】図4に示すイオン除去装置の実施例1と異
なる点は、電極の構成である。実施例2に係る電極26
は、実施例1に係る電極14のニッケル表面に金を被覆
した構造を備えている。この電極26は、直流電源18
の陽極に接続されている。一方、前記電極16は、白金
から構成されており、直流電源18の陰極に接続されて
いる。
【0036】次に、実施例2に係わるイオン除去装置の
具体的動作について説明する。実施例2では、水溶液2
4からNa+を除去する場合について説明する。
【0037】容器12内に、金属イオンとしてNa+
含有された水溶液24を収容する。次に、直流電源18
を作動して40mAの一定電流を流して水溶液24の電
気分解を行うとともに、定流量ポンプ20を作動して一
定流速で水溶液24を吸引する。このとき、正の電荷を
持つNa+が、陽極である電極26付近から遠ざかり、
この付近の水溶液のNa+濃度が極めて低くなる。この
時、電極表面では、陰イオンが電気分解を受け、酸や酸
素が発生する。したがって、このNa+濃度が極めて低
い水溶液が、電極26を構成している中空糸膜の細孔を
通過し、タイゴンチューブ22を経て外部に排出され
る。このため、水溶液24に含有されているNa+は、
容器12内に残されるため、結果的に、前記排出された
水溶液からNa+を効率よく簡単に除去できることにな
る。また、水溶液24に含有されていた錆、かび、濁り
および汚れ等は、電極26を構成している中空糸膜によ
り取り除かれる。
【0038】次に、前記容器12内に、Na+濃度が1
0ppmである水溶液を収容し、以下に示す電流量および
吸引条件で電気分解を行い、当該電気分解時間(分)と
容器12から排出された水溶液のNa+濃度(ppm)との関
係を調査した。なお、Na+濃度は、原子吸光光度計に
より測定した。この結果を図5に示す。
【0039】 電流量 40mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) 流速4 (0.34ml/min) 図5から、容器12から排出された水溶液のNa+濃度
は、1ppm 以下であり、Na+は、最大98%程度除去
できることが確認された。
【0040】次に、実施例2に係わるイオン除去装置を
使用して、表1に示す濃度(ppm)でNa+を含有する各々
の水溶液に、以下に示す電流量および吸引条件で電気分
解を行い、容器12から排出された水溶液のNa+濃度
(ppm)を、原子吸光光度計により測定した。この結果を
表1に示す。
【0041】 電流量 40mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min)
【0042】
【表1】
【0043】表1から、含有されるNa+濃度が高い水
溶液ほどNa+の除去効率が悪くなることがわかる。
【0044】次に、実施例2に係わるイオン除去装置を
使用してNa+を10ppm含有する水溶液を、表2に示す
各々の流速で吸引しかつ40mAの電流量で電気分解を
行い、容器12から排出された水溶液のNa+濃度 (pp
m)を、原子吸光光度計により測定した。この結果を表
2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2から、水溶液の流速が遅い(すなわ
ち、定流量ポンプの吸引力が小さいほうが、Na+の除
去効率が良くなることがわかる。
【0047】(実施例3)次に、本発明の実施例3につ
いて説明する。図6は、本発明の実施例3に係るイオン
除去装置の模式図である。なお、実施例3では、実施例
1と同様の部材には、同一の符号を付してその説明は省
略する。
【0048】図6に示すイオン除去装置の実施例1と異
なる点は、電極の構成でである。実施例3に係る電極2
8は、実施例1に係る電極14より大きな径を備えた中
空糸膜の外側をニッケルで被覆した構造を備えている。
電極28には、電極16が、電極28と隙間をおいて内
設されている。この電極28は、直流電源18の陰極に
接続されている。一方、前記電極16は、直流電源18
の陽極に接続されている。
【0049】次に、実施例3に係わるイオン除去装置の
具体的動作について説明する。実施例3では、水溶液2
4からNa+を除去する場合について説明する。
【0050】容器12内に、金属イオンとしてNa+
含有された水溶液24を収容する。次に、直流電源18
を作動して20mAの一定電流を流して水溶液24の電
気分解を行うとともに、定流量ポンプ20を作動して一
定流速で水溶液24を吸引する。このとき、正の電荷を
持つNa+が、陰極である電極28付近に集まるが、電
極28を構成している中空糸膜の細孔を通過した水溶液
に含有されているNa+は、陽極である電極16と反発
して電極28の外側に追い出される。このため、Na+
濃度が極めて低い水溶液が、タイゴンチューブ22を経
て外部に排出される。
【0051】すなわち、水溶液24に含有されているN
+は、容器12内に残されるため、結果的に、前記排
出された水溶液からNa+を効率よく簡単に除去できる
ことになる。また、水溶液24に含有されていた錆、か
び、濁りおよび汚れ等は、電極28を構成している中空
糸膜により取り除かれる。
【0052】次に、前記容器12内に、Na+濃度が1
0ppmである水溶液を収容し、以下に示す電流量および
吸引条件で電気分解を行い、容器12から排出された水
溶液のNa+濃度(ppm)を、原子吸光光度計により測定
した。この結果を表1に示す。
【0053】 電流量 20mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) 流速4 (0.34ml/min)
【0054】
【表3】
【0055】表3から、容器12から排出された水溶液
のNa+は、最大91%程度除去できることが確認され
た。
【0056】なお、実施例1ないし実施例3では、中空
糸膜の表面にニッケルを被覆した電極について説明した
が、これに限らず、本発明に係る電極は、中空糸膜の表
面に例えば、銀、銅、白金、バナジウム等の他の金属お
よびカーボンを被覆してもよい。また、実施例2では、
ニッケルの表面に金を被覆した電極について説明した
が、これに限らず、ニッケルの表面には、例えば、白
金、バナジウム、銀等、水溶液のpHに影響されにくい
金属およびカーボンを被覆してもよい。
【0057】また、実施例1ないし実施例3では、Na
+が、含有された水溶液からNa+を除去する場合につい
て説明したが、これに限らず、本発明に係るイオン除去
装置は、例えば、リチウム、カリウム、カルシウム、マ
グネシウム、アンモニウム、ルビジウム、セシウム、バ
リウム、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、他の
重金属等、正の電荷を持つ他の金属イオンを除去するこ
ともでき、また、塩素以外にも臭素、フッ素、沃素や、
ClO4 -、OH-、NO3 -、SO4 2-、SO3 -等、負の電
荷を持つ他のイオンを除去することもできる。
【0058】そしてまた、前記水溶液24に、例えば、
前記電気分解により、過酸化水素、次亜塩素酸、酸素等
の殺菌作用を有する物質を生成する陰イオンを含有させ
ることで、前記水溶液24からイオンを除去することが
できるとともに、殺菌を行うこともできる。このような
陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、硝酸イオ
ン、硫酸イオン等がある。
【0059】また、前記電気回路に、流す電流値は、前
記実施例1ないし実施例3で説明した値に限らず、イオ
ンの除去効率が低下することを抑制でき、かつ中空糸膜
に支障をきたさない電流値であればよく、具体的には、
10mA以上、500mA以下、好ましくは、30mA
以上、100mA以下、さらに好ましくは、40mA以
上、80mA以下、とすることが望ましい。
【0060】また、実施例1ないし実施例3では、吸引
装置として定流量ポンプを使用したが、これに限らず、
他の構造を有する吸引装置を使用してもよい。また、実
施例1ないし実施例3では、直流電源により電極に電流
を流して電気回路を形成したが、これに限らず、電極を
含んだ電気回路を構成することが可能であれば、他の電
源を用いてもよい。
【0061】(実施例4)次に、本発明に係る実施例4
について説明する。この実施例では、図6に示すイオン
除去装置を使用し、水溶液24として、Na+、Fe3+
(鉄(III)イオン)およびCu2+(銅(II)イオン)を含
む混合溶液を用い、この水溶液24からNa+、Fe3+
およびCu2+を除去する場合について説明する。
【0062】先ず、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.
7723gをイオン交換水を用いて250mlに希釈
し、1000ppmのNa+溶液(Na2SO4溶液)を調整
する。また、硫酸銅(II)五水和物(CuSO4・5H
2O)0.7937gをイオン交換水により200ml
に希釈し、1000ppmのCu2+溶液(CuSO4溶液)
を調整する。また、無水硫酸第二鉄(Fe2(S
43)1.1933gをイオン交換水により200m
lに希釈し、1000ppmのFe3+溶液(Fe2(S
43溶液)を調整する。
【0063】次に、前記調整したNa+溶液、Cu2+
液およびFe3+溶液を各々2mlずつ取り、これらに濃
硫酸を0.2ml加える。次いでこれにイオン交換水を
加えて2リットルに希釈し、各イオンが10ppm含まれ
たNa+、Cu2+、Fe3+混合溶液を調整する。
【0064】次に、図6に示す装置の容器12内に、こ
の混合溶液を水溶液24として収容し、以下に示す電流
量および吸引条件で電気分解を行い、各電流とも通電後
3〜8分の5分間吸引して得られた水溶液(容器12か
ら排出された水溶液)の金属イオン濃度(ppm)を測定し
た。このときの電流値と各金属イオンの濃度(ppm)との
関係を図7に示す。
【0065】 電流量 0〜80mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) 図7から、各金属イオンとも、電流が0〜50mA程度
までは序々に除去されるが、50mAより高い電流にな
ると、その濃度はあまり変化しなくなることが判る。ま
た、Na+およびCu2+は約35%除去でき、Fe3+
約50%除去できたことが判る。ここで、単独の金属イ
オンが含まれた水溶液における金属イオンの除去率と、
複数の金属イオン(本実施例では3種類)が含まれた水
溶液における金属イオンの除去率とを比較すると、後者
の方が低い除去率を示している。これは、後者の方が前
者より、金属イオン数が多いためであると考えられる。
【0066】次に、前記各イオンが10ppm含まれたN
+、Cu2+、Fe3+混合溶液を水溶液24として、図
2に示すイオン除去装置の容器12内に収容し、以下に
示す電流量および吸引条件で電気分解を行い、各電流と
も通電後3〜8分の5分間吸引して得られた水溶液(容
器12から排出された水溶液)の金属イオン濃度(ppm)
を測定した。このときの電流値と各金属イオンの濃度(p
pm)との関係を図8に示す。
【0067】 電流量 0〜70mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) 図8から、Na+は電流値が高いほど、その濃度が高く
なることが判る。また、Cu2+は電流が5mA程度から
完全に除去され、Fe3+は50mA程度の電流でで約9
3%、60mA程度の電流で約97%の除去率を示すこ
とが判る。
【0068】以上の結果から、本発明に係るイオン除去
装置により、前述した3種類の金属イオンを除去するに
は、図6に示すイオン除去装置を用いて流速10(0.
88ml/min)で水溶液を吸引しながら50〜60
mAの電流により電気分解し、吸引された水溶液を図2
に示すイオン除去装置により50mA以上の電流で電気
分解を行うというサイクルを繰り返すことで、Na+
Cu2+およびFe3+を高い除去率で除去することができ
る。
【0069】(実施例5)次に、本発明に係る実施例5
について説明する。この実施例では、図6に示すイオン
除去装置を使用し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)およ
び塩化ナトリウム(NaCl)を含んだ電解水の殺菌性
について調査する。
【0070】実施例4で調整した1000ppmのNa+
液をイオン交換水にて100倍に希釈し、10ppmのN
+溶液(Na2SO4溶液)を調整する。また、NaC
l、0.5084gをイオン交換水を用いて200ml
に希釈し、1000ppmのNaCl溶液を調整した後、
さらにイオン交換水で100倍に希釈し、10ppmのN
aCl溶液を調整する。
【0071】次いで、この10ppmのNa2SO4溶液
を、図6に示すイオン除去装置の容器12内に収容し、
以下に示す電流量および吸引条件で20分間の電気分解
を行い、吸引により得られた水溶液(容器12から排出
された水溶液)の酸化還元電位とpHを測定した。ま
た、濃度1%(W/V)であるNa2SO4溶液、濃度10ppm
であるNaCl溶液、5%(W/V)であるNaCl溶液に
ついても各々同様に電気分解を行い、吸引により得られ
た水溶液(容器12から排出された水溶液)の酸化還元
電位とpHを測定した。なお、比較として水道水の酸化
還元電位とpHも測定した。この結果を表4に示す。
【0072】 電流量 60〜80mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min)
【0073】
【表4】
【0074】硫酸イオン(SO4 2-)が電気分解を受け
ると、作用の欄でも説明したが、以下のような反応を起
こす。
【0075】2SO4 2-→2SO4 -+2e 2SO4 -→S28 2-28 2-+H2O→SO5 2-+H2SO4 SO5 2-+H2O→H22+SO4 2- ここで、硫酸イオンの場合、濃度が低いときには、水の
電離による水酸化物イオンが電気分解を受けるが、硫酸
イオンの濃度が高くなるにしたがい、前述した反応が起
こる。したがって、濃度10ppmのNa2SO4溶液(電
解液)よりも、濃度1%のNa2SO4溶液(電解液)の
方が、H22が多く発生されるため、表4に示すように
酸化還元電位が高くなっている。
【0076】また、塩化物イオン(Cl-)が電気分解
を受けると、作用の欄でも説明したが、以下のような反
応を起こす。
【0077】2Cl-→Cl2+2e Cl2+H2O→HCl+HClO ここで、塩化物イオンの場合、この反応式にしたがっ
て、HClOが生じるため、各濃度のNaCl溶液の酸
化還元電位が、表4に示すように1200mV以上の高
い値を示した。
【0078】また、表4から、いずれの溶液も水道水の
酸化還元電位よりも高い値を示すことが確認できる。
【0079】次に、前記電気分解により得られた10pp
mのNa2SO4溶液(電解液)および10ppmのNaCl
溶液(電解液)の各々30mlに、大腸菌を1ml(約
106個)接種する。これを30分間放置した後の菌数
を調査した。なお、菌数は、普通寒天培地を用いた混釈
培養法で測定した。
【0080】また、比較として生理食塩水30mlおよ
び滅菌蒸留水30mlについても同様の調査を行った。
この結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】表5から、Na2SO4電解液では、処理3
0分後に約90%の菌が殺菌され、NaCl電解液で
は、99%以上の菌が殺菌されたことが判る。
【0083】次に、これらの結果を基に、大腸菌、ネズ
ミチフス菌および黄色ブドウ球菌の3種類の菌を用い、
各々の菌について前記と同様の方法により菌数の変化を
調査した。なお、大腸菌に関しては、放置時間を10分
間に短縮した群を加えて検討した。この結果を表6に示
す。
【0084】
【表6】
【0085】表6から、Na2SO4電解液およびNaC
l電解液は、3種類全ての菌に対して高い殺菌性を示す
ことが判る。特に、NaCl電解液は、10分間の放置
時間でも十分な殺菌性を示すことが確認された。これ
は、電気分解により、NaCl溶液ではHClOを生
じ、Na2SO4溶液ではH22を生じるため、電解液の
酸化還元電位が高くなり殺菌作用を示すためである。ま
た、NaCl電解液の方がNa2SO4電解液より高い酸
化還元電位を示したのは、HClOがH22より強力な
酸化作用を持ち、強力な殺菌性を示すからである。
【0086】なお、採水後10日目にも前記と同様の実
験を行った結果、経日による殺菌作用の劣化がないこと
が確認された。
【0087】(実施例6)次に、本発明の実施例6につ
いて説明する。この実施例では、図1に示すイオン除去
装置を使用し、電気分解前と後述する条件で30分間電
気分解した後の水道水に含まれるナトリウムイオン(N
+)、カリウムイオン(K+)、カルシウムイオン(C
2+)、鉄イオン(Fe3+)、銅イオン(Cu2+)、マ
グネシウムイオン(Mg2+)およびニッケルイオン(N
2+)の濃度(ppm)変化と、溶液のpHを調査した。こ
の結果を表8に示す。なお、本実施例では、図1に示す
電極14に替えて、外側が白金で被覆された中空糸膜か
らなる電極も使用した。
【0088】 電流量 20mA 60mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) なお、電気分解前の水道水に含まれる各金属イオン濃度
(ppm)を表7に示す。
【0089】
【表7】
【0090】表7に示す濃度は「水質基準に関する省
令」の基準値以下であり、特にFe3+、Cu2+およびN
2+は、検出されなかった。
【0091】
【表8】
【0092】表8から、外側がニッケルで被覆された中
空糸電極および外側が白金で被覆された中空糸電極を使
用した電気分解後に得られた両溶液からは、Fe3+、C
2+およびNi2+は検出されなかったことが判る。この
結果、中空糸に被覆されたニッケル金属は、20mAお
よび60mAの電流による電気分解にも酸化による溶出
がないことが確認された。
【0093】また、Na+、K+およびCa2+は、20m
Aの電気分解により、ニッケルで被覆された中空糸電極
および白金で被覆された中空糸電極とも、2.5倍以上
濃縮されたことが判る。また、60mAの電気分解で
は、Na+およびCa2+とも3倍以上濃縮されたことが
確認された。これは、Na+、K+およびCa2+は、還元
されず、水酸化物が沈澱しないため、陰極であるニッケ
ルで被覆された中空糸電極に引き寄せられて中空糸を通
過するからである。
【0094】また、Mg2+は、全ての条件において濃度
が減少し、特に60mAでの電気分解では、85%以上
の除去率を示した。これは、Mg2+の酸化還元電位から
みて陰極により還元されたのではなく、陰極付近のpH
上昇により、Mg2+の一部がMg(OH)2となり中空
糸を通過できなかったためである。なお、電解液のpH
は、60mAの方(電流が高い方)が高くなった。
【0095】これより、ニッケルで被覆された中空糸電
極および白金で被覆された中空糸電極とも、ほとんど同
じ効果が得られることが確認された。また、電流の大き
さを調整することにより、金属イオンの濃度、pHの調
整がある程度可能であることも確認された。
【0096】(実施例7)次に、本発明に係る実施例7
について図面を参照して説明する。図9は、本発明の実
施例7に係るイオン除去装置の模式図である。なお、実
施例7では、実施例1と同様の部材には、同一の符号を
付してその説明は省略する。
【0097】図9に示すイオン除去装置の実施例1と異
なる点は、電極の構成である。すなわち、実施例7に係
る電極36は、外側が白金で被覆された中空糸膜から構
成された構造を備えている。
【0098】このイオン除去装置を用いて、10ppmの
Na+溶液、10ppmのCu2+溶液および10ppmのFe
3+溶液について以下に示す条件で電気分解を行い、吸引
された溶液のpHの経時変化および容器12に残った溶
液のpHの経時変化を調査した。
【0099】 電流量 50〜60mA 吸引条件 流速10(0.88ml/min) 図10(1)は、吸引された溶液のpHの経時変化を示
した図であり、図10(2)は、容器12に残った溶液
のpHの経時変化を示した図である。
【0100】図10(1)から、Na+溶液およびCu
2+溶液は、初期において(0〜5分程度まで)急速にp
Hが下がり、両イオン溶液とも約pH2.6を示し、そ
の後序々に上がっていくことが判る。これは、白金が被
覆された中空糸電極36が陽極であるため、陰イオンが
この電極付近に移動し、陰イオンである水酸化物イオン
が酸化されるため、水素イオン濃度が高くなるためであ
る。そして、時間の経過とともに、容器12に残った溶
液のpHが高くなるため、吸引された溶液のpHも高く
なるからである。
【0101】また、図10(2)から、各イオン溶液と
も時間の経過とともに容器12に残った溶液のpHが高
くなることが判る。これは、吸引された溶液のpHが低
いこと、白金電極16が陰極であるため、陽イオンであ
る水素イオンが還元されるためである。
【0102】次に、前記条件で電気分解を行い、吸引さ
れた各溶液の濃度(ppm)の経時変化を調査した。この結
果を図11に示す。
【0103】図11から、各溶液とも時間の経過ととも
に濃度が低下し、特にNa+は、電気分解の直後から約
94%以上除去できることが判る。これは、電極36が
陽極であるため、陽イオンであるNa+、Cu2+および
Fe3+が電気的斥力によって電極36付近で低濃度とな
るからである。また、Cu2+およびFe3+は、電気的斥
力の他に、陰極である白金電極16による還元を受けC
uおよびFeが一部析出されるため、Cu2+およびFe
3+の濃度が低くなる。
【0104】また、Cu2+溶液において5分以上経過
後、容器12に残った溶液のpHが5.5以上、Fe3+
溶液において45分以上経過後、容器12に残った溶液
のpHが4以上となる(図10(2)参照)ため、容器
12側の溶液では水酸化鉄(III)(Fe(OH)3)およ
び水酸化銅(II)(Cu(OH)2)が生成されることが
判る。これより、Cu2+およびFe3+が除去されたこと
が確認できる。
【0105】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明よれ
ば、電極を構成する中空糸膜により水溶液中に含有され
ている錆、かび、濁りおよび汚れ等を効率よく除去する
ことができるとともに、当該水溶液を電気分解すること
により、当該水溶液に含有されているイオンも効率よく
除去することができる。また、電極がフィルタの役割も
果たしているため、装置構成をコンパクトにすることが
できる。
【0106】さらに、10mA以上、500mA以下の
電流値で電気分解を行うことで、イオンの除去効率を向
上できるとともに、イオン除去装置の寿命も向上するこ
とができる。そしてまた、前記水溶液が、電気分解によ
り殺菌作用を有する物質を生成する陰イオンを含有する
ことで、イオンの除去と同時に殺菌も行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るイオン除去装置の模式
図である。
【図2】本発明の実施例1に係るイオン除去装置を使用
した際の電気分解時間(分)とナトリウムイオン(Na
+)濃度(ppm)との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係るイオン除去装置を使用
した際の電気分解時間(分)と水溶液のpHとの関係を
示す図である。
【図4】本発明の実施例2に係るイオン除去装置の模式
図である。
【図5】本発明の実施例2に係るイオン除去装置を使用
した際の電気分解時間(分)とナトリウムイオン(Na
+)濃度(ppm)との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施例3に係るイオン除去装置の模式
図である。
【図7】本発明の実施例4に係る混合溶液の電流と濃度
との関係を示す図である。
【図8】本発明の実施例4に係る混合溶液の電流と濃度
との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施例7に係るイオン除去装置の模式
図である。
【図10】本発明の実施例7に係る溶液のpHの経時変
化を示した図である。
【図11】本発明の実施例7に係る電気分解を行い、吸
引された各溶液の濃度(ppm)の経時変化を示す図であ
る。
【符号の説明】
12 容器 14 電極 16 電極 18 直流電源 20 定流量ポンプ 24 水溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/50 531 C02F 1/50 531J 531M 540 540Z 560 560D 560E 560F (72)発明者 勝浦 信夫 神奈川県相模原市西橋本2丁目23番3号 日幸工業株式会社R&Dセンター内 (72)発明者 五十嵐 治 神奈川県相模原市西橋本2丁目23番3号 日幸工業株式会社R&Dセンター内 (72)発明者 中山 敦 神奈川県相模原市西橋本2丁目23番3号 日幸工業株式会社R&Dセンター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液を収容可能な容器内に、電気回路
    を形成する電極を配設し、当該電極の一方を金属が被覆
    された中空糸膜から構成し、当該金属が被覆された中空
    糸膜からなる電極に、この電極を介して前記水溶液を吸
    引する吸引装置を接続したイオン除去装置。
  2. 【請求項2】 前記中空糸膜にニッケルを被覆した請求
    項1記載のイオン除去装置。
  3. 【請求項3】 前記ニッケルの表面に金を被覆した請求
    項2記載のイオン除去装置。
  4. 【請求項4】 前記中空糸膜に白金を被覆した請求項1
    記載のイオン除去装置。
  5. 【請求項5】 水溶液が収容される容器内に配設した電
    極の一方を、金属が被覆された中空糸膜から構成し、前
    記両電極を含む電気回路に所定量の電流を流すととも
    に、前記金属が被覆された中空糸膜からなる電極を介し
    て前記水溶液を吸引排出するイオン除去方法。
  6. 【請求項6】 前記電流値が、10mA以上、500m
    A以下である請求項5記載のイオン除去方法。
  7. 【請求項7】 前記水溶液が、電気分解により殺菌作用
    を有する物質を生成する陰イオンを含有する請求項5ま
    たは請求項6記載のイオン除去方法。
  8. 【請求項8】 前記陰イオンが、硫酸イオンまたは塩化
    物イオンである請求項7記載のイオン除去方法。
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