JPH08289984A - 刃物及びその製造方法 - Google Patents

刃物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08289984A
JPH08289984A JP9689895A JP9689895A JPH08289984A JP H08289984 A JPH08289984 A JP H08289984A JP 9689895 A JP9689895 A JP 9689895A JP 9689895 A JP9689895 A JP 9689895A JP H08289984 A JPH08289984 A JP H08289984A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blade
edge
main body
knife
fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9689895A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Furukawa
岳 古川
Toshiaki Shibayama
利秋 柴山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP9689895A priority Critical patent/JPH08289984A/ja
Publication of JPH08289984A publication Critical patent/JPH08289984A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Knives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 セラミックス被膜が形成された構造で、初期
の切味が良好な刃物と、そのような刃物を良好な生産性
で製造することのできる方法を提供する。 【構成】 セラミックス被膜を形成するプロセスにおい
て一般に実施されるイオンクリーニングを利用して、刃
物本体の刃の稜に微細切欠きを加工することとにより、
セラミックス被膜形成後の刃の稜線を、微細な凹凸が交
互に連続する鋸形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は包丁などの刃物とその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】包丁などの刃物としては、従来、鋼(刃
物鋼)をたたき延ばした打ち刃物や、ステンレス鋼をプ
レス加工により打ち抜いたステンレス刃物がある。
【0003】また、最近では、刃の摩耗や刃こぼれの防
止と切味寿命の向上を目的として、刃部の表面をセラミ
ックスにより被膜したコーティング刃物が普及しつつあ
る。さらに、この種のコーティング刃物において、刃物
本体の表面に凹部を形成した構造のものが提案されてい
る(例えば特開昭61−141386号公報)。
【0004】その提案の技術は、工具鋼やステンレス鋼
を素材として刃物本体を加工し、この刃物本体の刃の稜
線(エッジ)から30〜50μm離れた位置に、プレス
加工及びエッチングにより凹部を設けておき、この後
に、セラミックス被膜を一様膜厚で形成することによ
り、刃のエッジを殺すことなく刃表面に凹部を設けるも
ので、このような凹部の形成によりセラミックス被膜の
剥離を防いで切味寿命を長くするとともに、切断時の接
触抵抗を軽減するといった技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のコ
ーティング刃物おいては、刃物本体の刃を可能な限り鋭
利にしても、その表面上にセラミックス被膜を形成する
ことにより、図4に示すようにセラミックス被膜Fのエ
ッジには膜厚分のRがつき〔(A) →(B) 〕、そのため初
期の切味の低下が生じる、といった点が問題とされてい
るが、上記した提案技術では、そのような点については
何ら考慮されていない。また、提案技術によると、凹部
を加工するための工程が余分に必要で、加工工数が多く
なるという問題もある。
【0006】本発明はそのような事情に鑑みてなされた
もので、セラミックス被膜が形成された構造で初期の切
味が良好な刃物と、そのような刃物を良好な生産性で製
造することのできる方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の刃物は、実施例に対応する図1に示すよう
に、鋼またはステンレス鋼製の刃物本体1の表面にセラ
ミックス被膜2が形成され、かつ、刃の稜に複数の微細
切欠き2a・・2aが加工されていることによって特徴づ
けられる。なお、その微細切欠き2aは、幅が1μm〜
50μmの大きさとする。
【0008】また、本発明の製造方法は、鋼またはステ
ンレス鋼を素材として刃物本体を加工し、その刃物本体
を真空槽の内部に配置した状態で、槽内に所定のガスイ
オン(例えばAr+ イオン)を発生させ、その発生イオ
ンを刃物本体に、刃の稜に微細な切欠きを生じさせるこ
とのできるエネルギで衝突させ、この処理後に、刃物本
体の表面にセラミックス被膜を一様な膜厚で形成するこ
とによって特徴づけられる。
【0009】
【作用】セラミックス被膜を形成しても、刃物本体の刃
の稜に微細な切欠き(例えば幅10μm程度)を設け
て、刃の稜線を凹凸が交互に連続する鋸状とすることに
より、初期の切味が劣化することがなくなる。
【0010】ここで、包丁やチーズカッター等におい
て、刃の稜線を鋸状または波形状に加工することで切味
を良くしたものがあるが、これらのものでは、刃の稜に
特殊な切削を施して凹凸を設けるといった加工法が採用
されていることから、凹凸の大きさを小さくしようとて
も限界があり、このため、食物等を押し切った際に凹部
が大きすぎて食物に引っ掛かってしまい、食物が切れな
いといった問題がある。
【0011】そこで、本発明では、一般的なセラミック
スのコーティングプロセスにおいてセラミックス被膜形
成前に行われる刃物表面のイオンクリーニングを利用
し、その処理時の雰囲気を、従来(低真空;10-2Tor
r)よりも高くして、高真空(10-4Torr)とすること
で、刃物本体の刃の稜に微細な切欠きを加工する。
【0012】すなわち、真空槽内を高真空にすると、槽
内での原子の数が減少して自由行程間距離が大きくなる
ため、槽内でイオン化されたガスイオン(Ar+ )は高
エネルギで刃部に衝突する結果、刃の稜に溶融による微
細なチッピングが生じる。
【0013】そして、このようなイオンクリーニング処
理後に、セラミックス被膜を一様な膜厚で形成すること
により、刃の稜は微細な凹凸が交互に連続する鋸状とな
る(図1参照)。
【0014】
【実施例】図1(A) 及び(B) は、それぞれ、本発明実施
例の部分構造図及び要部斜視図である。
【0015】この実施例の刃物は、ステンレス鋼製の包
丁本体1に窒化チタン等のセラミックスコーティングを
施した包丁で、その包丁本体1の刃の稜に多数の微細切
欠き1a・・1aを設けて、セラミックス被膜2を形成し
た後の刃の稜線を、幅10μm程度の微細な切欠き(凹
部)2aと凸部2bが交互に連続する鋸状に加工したと
ころに特徴がある。
【0016】その窒化チタンコーティングの包丁を作製
する手順を以下に説明する。まず、この例でコーティン
グ処理の際に使用する真空槽は、槽内の温度をコントロ
ールする手段、槽内に配置した被処理物に所定の電圧を
印加する手段、槽壁体に対して絶縁された状態で配置さ
れたガス導入口(金属製)、並びに、槽内でチタン等の
コーティング材を溶融気化する手段などを備えた一般的
な構造のものとする。
【0017】さて、ステンレス鋼の加工により、図2に
示す形状の包丁本体1′を作製しておき、その包丁本体
1′の表面に予備洗浄を施した後、真空槽内に配置して
槽内を1×10-5Torr〜5×10-5Torrまで減圧する。
【0018】次いで、槽内を200〜500℃程度の温
度にまで加熱し、この温度で一定時間保持した後、槽内
圧が5×10-4Torrとなるように、微量(10-1Torr程
度)のArガスをガス導入口から真空槽内に供給し、そ
の導入ガスを励起すると、真空槽内にAr+ イオンが発
生する。このとき、槽内の包丁本体1′に0または負の
電圧を印加すると、Ar+ イオンは包丁本体1′に引き
寄せられ加速されながら衝突し、この衝突(イオンボン
バード)により包丁本体1′の表面に付着している微細
な塵などが除去される。これと同時に、包丁本体1′の
刃の稜では、イオン衝突により溶融が生じてチッピング
が発生し、これにより刃の稜に多数の微細切欠き1a・・
1a〔図1(B) 参照〕が形成される。
【0019】この処理後、真空槽内でチタンを溶融気化
するとともに、槽内に窒素ガスを導入して、それらを包
丁本体1の表面で反応させて窒化チタンの被膜を形成す
ることにより、図1に示す構造の包丁すなわち刃部がセ
ラミックス被膜2でコーティングされ、かつ、刃の稜に
微細な凹凸が加工された包丁を得ることができる。
【0020】次に、本発明の実施例の切味の試験結果を
述べる。まず、包丁の切味は、図3に示すように、包丁
の刃を水平下向きにして上下方向にのみ変位可能な状態
で配置し、刃の下には幅10mm、厚さ0.1mm の上質紙を 2
00枚程度重ねた紙束を置いて、包丁上部に1500gの荷重
を負荷して刃を紙束に当てた状態で、紙束を水平方向に
60mmの移動距離で1往復させたときに、包丁により切断
された上質紙の枚数をもって初期の切味を数値化した。
【0021】実施例(1):上記した製造方法においてAr
+ イオンの処理を、包丁本体への印加電圧100V、処理時
間10分の条件で行ったものを5本用意し、その各サンプ
ル(サンプルNo.1〜No.5)について、それぞれ、窒化チ
タンのコーティングを行う前(生地の状態)と、コーテ
ィング後において上記の切味試験を行った。
【0022】実施例(2):Ar+ イオンの処理を印加電圧
100V、処理時間30分の条件で行ってサンプル(5本)を
作製して実施例(1) と同じ試験を行った。 実施例(3):Ar+ イオンの処理を印加電圧200V、処理時
間10分の条件で行ってサンプル(5本)を作製して実施
例(1) と同じ試験を行った。
【0023】実施例(4):Ar+ イオンの処理を印加電圧
200V、処理時間30分の条件で行ってサンプル(5本)を
作製して実施例(1) と同じ試験を行った。 比較例 :Ar+ イオンの処理を実施せずに作製したサ
ンプル(5本)について実施例(1) と同じ試験を行っ
た。
【0024】以上の例の各試験結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】以上の実験結果から明らかなように、Ar
+ イオンの処理により刃にチッピング加工を施した包丁
は、生地と同等かそれ以上の切味となり、チッピング加
工を行わない包丁に較べて切味が良くなることが確認で
きた。
【0027】ここで、Ar+ イオンの処理を行う際に導
入するガスとしては、Arガスに代えて他の不活性ガス
を用いてもよい。また、その処理時の真空槽内の圧力
は、特に5×10-4とする必要はなく、それ以上もしく
は以下の値であっても本発明方法は実施可能である。た
だし、その場合、包丁本体への印加電圧の大きさ等の条
件を考慮し、刃の稜をチッピングすることが可能な衝突
エネルギが得られるように処理圧を適宜に設定する。
【0028】さらに、セラミックス被膜の材質は、窒化
チタンに限られることなく、4A、5A、6A族あるい
は3B族の炭化物、窒化物または酸化物であってもよ
い。なお、本発明は包丁のほか、ナイフまたは鋏など各
種の刃物に適用可能であることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
刃物本体の表面にセラミックス被膜を形成した刃物にお
いて刃の稜に微細切欠きを設けたので、セラミックスコ
ーティングの利点を活かしつつ、初期の切味を、セラミ
ックス被膜が施されていない鋼製の刃物と同程度かもく
しはそれ以上とすることができる。
【0030】また、本発明の製造方法では、セラミック
ス被膜を形成するプロセスにおいて一般に実施されるイ
オンクリーニングを利用して、刃物本体の刃の稜に微細
切欠きを加工するので、特殊な加工プロセスを新たに付
加する必要がなく、これにより、上記した特徴をもつ刃
物を、良好な生産性のもとに、かつ、安価で製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の構造図
【図2】本発明実施例で用いる包丁本体のイオンクリー
ニング処理前の状態を示す図
【図3】包丁の初期切味の試験法の説明図
【図4】セラミックスのコーティングによる問題点の説
明図
【符号の説明】
1 包丁本体 1a・・1a 微細切欠き 2 コーティング被膜 2a・・2a 微細切欠き

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼またはステンレス鋼製の刃物本体の表
    面にセラミックス被膜が形成され、かつ、刃の稜に複数
    の微細切欠きが加工されてなる刃物。
  2. 【請求項2】 刃の稜に加工された微細切欠きは、幅が
    1μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記
    載の刃物。
  3. 【請求項3】 表面がセラミックス被膜で覆われた刃物
    を作製する方法であって、鋼またはステンレス鋼を素材
    として刃物本体を加工し、この刃物本体を真空槽の内部
    に配置した状態で槽内に所定のガスイオンを発生させ、
    その発生イオンを刃物本体に、刃の稜に微細な切欠きを
    生じさせることのできるエネルギで衝突させ、この処理
    後に、刃物本体の表面にセラミックス被膜を一様な膜厚
    で形成することを特徴とする刃物の製造方法。
JP9689895A 1995-04-21 1995-04-21 刃物及びその製造方法 Withdrawn JPH08289984A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9689895A JPH08289984A (ja) 1995-04-21 1995-04-21 刃物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9689895A JPH08289984A (ja) 1995-04-21 1995-04-21 刃物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08289984A true JPH08289984A (ja) 1996-11-05

Family

ID=14177201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9689895A Withdrawn JPH08289984A (ja) 1995-04-21 1995-04-21 刃物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08289984A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2417252A (en) * 2004-08-21 2006-02-22 Harris L G & Co Ltd Decorating tool head with titianium coating
WO2010038300A1 (ja) * 2008-10-02 2010-04-08 株式会社Ihi 刃物
CN111644812A (zh) * 2020-05-28 2020-09-11 福建省永宏针纺机械有限公司 一种大圆机针筒制造工艺及其设备
CN111660066A (zh) * 2020-05-28 2020-09-15 福建省永宏针纺机械有限公司 一种高精密针织大圆机针筒成型方法及成型设备

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2417252A (en) * 2004-08-21 2006-02-22 Harris L G & Co Ltd Decorating tool head with titianium coating
WO2010038300A1 (ja) * 2008-10-02 2010-04-08 株式会社Ihi 刃物
JPWO2010038300A1 (ja) * 2008-10-02 2012-02-23 株式会社Ihi 刃物
US8776382B2 (en) 2008-10-02 2014-07-15 Ihi Corporation Cutting instrument
CN111644812A (zh) * 2020-05-28 2020-09-11 福建省永宏针纺机械有限公司 一种大圆机针筒制造工艺及其设备
CN111660066A (zh) * 2020-05-28 2020-09-15 福建省永宏针纺机械有限公司 一种高精密针织大圆机针筒成型方法及成型设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2323259C (en) Atomically sharp edged cutting blades and methods for making same
US3761372A (en) Method for producing an improved cutting tool
US7712222B2 (en) Composite utility blade, and method of making such a blade
RU2108235C1 (ru) Способ образования бритвенных лезвий и бритвенное лезвие
US5032243A (en) Method and apparatus for forming or modifying cutting edges
US4470895A (en) Coatings for cutting implements
US5347887A (en) Composite cutting edge
JP2006523147A (ja) 複合ユーティリティナイフブレードとそのブレードの製造方法
JPH08289984A (ja) 刃物及びその製造方法
US20040226176A1 (en) Razor blades having a non-linear cutting edge and a method for manufacture thereof
JPS62181836A (ja) 超硬被膜を形成してなる刃先の製造方法
JP2016010577A (ja) 刃身の製造方法及び両刃刃物
WO1997039862A1 (en) Self-sharpening cutting device
EP0720887A1 (en) Cutting tool
JPH1110376A (ja) 割断加工方法
JP2023022633A (ja) カット刃の製造方法、及びカット刃
JP2013052481A (ja) ダイヤモンド工具の製造方法
JPH0319339Y2 (ja)
JPH08309044A (ja) 酸化アルミニウム析出ステンレス鋼の刃物の刃付け方法
JPS6148392A (ja) 電気カミソリの外刃
RU2196032C1 (ru) Способ подготовки кромок под сварку листовых заготовок из титановых сплавов
RU2071855C1 (ru) Способ получения в листовом металле отверстий с фасками
JP2000084725A (ja) サイドトリマー
JP2001062773A (ja) 丸刃切断装置及び丸刃切断装置用丸刃の刃先加工方法
CN116766275A (zh) 剃毛刀片及其制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Effective date: 20040329

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761