JP2006523147A - 複合ユーティリティナイフブレードとそのブレードの製造方法 - Google Patents

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Abstract

複合ユーティリティブレードとそのようなブレード(10)を製造する方法は、高速度鋼または工具鋼ワイヤ(44)を合金鋼峰部材ストリップ(34)の前端部に突き合わせ溶接するステップを含む。ワイヤ(44)は、ブレード(10)の切刃部(14)の断面形状に実質的に対応する既定の断面形状を備える。ワイヤ(44)を峰部材ストリップ(34)に電子ビーム溶接し、合金鋼峰部材ストリップ(34)で形成された第一金属部分(20)と、高速度鋼または工具鋼ワイヤ(44)で形成された第二金属部分(22)と、第一と第二金属部分(20,22)を接合する溶接域(28)とを備える複合ストリップ(46)を形成する。切刃部(14)には,AlTiNコーティング、TiNコーティング、またはAlTiNの内層コーティングとTiNの外層コーティングを施し得る。

Description

本特許出願は、2002年7月24日に出願された米国特許出願第10/202,703号、名称「複合ユーティリティナイフブレードとそのようなブレードの製造方法」に関し、これは、2001年7月26日に出願された米国特許出願第09/916,018号、名称「複合ユーティリティナイフブレードとそのようなブレードの製造方法」に関し、さらに、本特許出願は、2003年3月5日に出願された米国暫定特許出願第60/451,985号、名称「複合ユーティリティナイフブレードとそのようなブレードの製造方法」に係わる利益を主張するものである。ここに、前述の特許出願を本開示の一部として明確に引用し、参考文献の一部とする。
本発明は、ユーティリティブレード(実用刃物)に関し、特に、ブレードの外に当たる切刃部が高度に耐摩耗性の合金で製造され、ブレードの峰部分が強靱性を目的に選択された合金、例えば、ばね鋼で製造される複合ユーティリティブレードに関する。本発明は、また、そのような複合ユーティリティブレードを製造する方法に関する。
従来のユーティリティブレードは、炭素鋼で製造され、ブレードの峰部と、峰部の反対側に位置する切刃部と、ブレードの側部に対向して位置し、ブレードの峰部と切刃部との間に広がる二側端部とを備える。一対のノッチがブレードの峰部に形成されるのが普通であり、これにブレードホルダーにあるロケータ(Locater)を嵌める。普通は、ブレードの峰部と切刃部と二側端部とにより、略台形の輪郭が構成される。しかし、既往技術のユーティリティブレードでは、台形とは相異なる多岐にわたる形状、例えば、長方形または曲がった形状のブレードも長年市販されている。さらに、既往技術のユーティリティブレードは、折り切り(スナップオフ;snap-off)する形態で提供される。単一のブレードは、軸方向に配置された複数個の切り目ライン、および切り目ラインの間に形成された複数個の分離可能なブレードまたはブレードセグメントを有する。
従来のユーティリティブレードを製造するには、先ず、炭素鋼ストリップ(帯板;strip)を素材とし、このストリップをパンチプレスに通してストリップの軸方向に配置された個所にノッチをパンチして打ち抜き、さらにストリップ上にブランド名、ロゴ、または他の識別記号を刻印する。次いで、ストリップに切り目を付け、軸方向に間隔をもって配置された複数の切り目ラインを形成する。各切り目ラインは、各ブレードの側端部に対応しており、好ましい切断ラインとなる。後でこの切断ラインの個所で、切り目付きストリップを複数のブレードに折り切る。次いで、パンチ済みの切り目付きストリップを再びコイルに巻き、コイルを焼入れし、そして焼き戻し処理を行う。焼入れ・焼き戻し操作は、コイルが繰り返し加熱・冷却される「ピット型」真空炉で行い得る。別法としては、焼入れ・焼き戻し操作は、「インライン」でも行い得る。インライン型では、コイルを伸ばし、再度ストリップとし、一連の炉と急冷装置に順次に通し、ストリップを焼入れし、焼き戻す操作が行われる。この炭素鋼ストリップは、普通、表面硬度約58ロックウェル (Rockwell) 「c」(「Rc」)に焼入れされるので、比較的硬く、脆い構造のものとなる。
次いで、熱処理したストリップを従来のやり方で研削し、ホーニング仕上げし、革砥で磨き、ストリップの一側部に沿って真っ直ぐな切刃部となる刃先面を形成する。次いで、このストリップを各切り目ラインで折り切ることにより、切り目ラインに沿ってストリップを切断し、ストリップから複数の台形または他の形状のユーティリティブレードを形成する。このストリップは全体として比較的硬く、脆い(約58Rc)ので、ストリップは各切り目ラインで容易に切れ、各ブレードの側部にきれいな刃先部が形成される。
そのような従来のユーティリティブレードに関連する欠点の一つは、各ブレードが単一の素材、普通は炭素鋼で形成され、この炭素鋼が、熱処理により比較的硬く、脆い状態、普通は約58Rcになっていることである。従って、そのようなブレードは比較的硬くて、耐摩耗性のある切刃部を備えるけれども、ブレード全体もまた比較的脆くなり、従って使用中に予想以上に早く破損したり、割れたりし易い。さらに、そのような従来ブレードの切刃部は、所望ほどには耐摩耗性が優れていないことが多い。しかし、ブレード全体が同一の材質で製造されているので、切刃部の硬度を、つまり耐摩耗性を少しでも増大しようとすると、ブレードは実際の使用には適さなくなるほど脆くなるおそれがある。結果として、そのような従来のブレードは、切刃部の所望の耐摩耗性と、使用中の割れまたは想定外に早い破損を防止する総体的な強靱性とを両立して達成することが不可能である。そのような従来のユーティリティブレードに係わる欠点の他の一つは、そのようなブレードを製造するのに普通用いられる炭素鋼が比較的容易に腐食するので、ブレードを想定外に早期に廃棄したり、そのような想定外に早い腐食を防止するために高価なコーティングを施したりする必要が生じることである。
ある種の従来特許には、サンドイッチ、積層、またはコーティングの構造を有する複合ユーティリティブレードが教示されている。例えば、ウォーカー(Walker)の米国特許第4,896,424号には、チタン製の本体部分16と高炭素ステンレス鋼製の切刃部部分18とから形成されたユーティリティブレードであって、切刃部部分18が本体部18にダブテール(鳩尾形)ジョイント25で接続されたユーティリティブレードが開示されている。
米国特許第3,279,283号、第2,093,874号、第3,681,846号、および第6,105,261号は、一般に、高炭素鋼または他の比較的硬い材質で製造されたコア層と、比較的柔らかい材質で製造された一層または複数層の外層とから形成される切刃部を備える積層型のナイフまたは剃刀ブレードに関する。同様に、米国特許第3,911,579号、第5,142,785号、および第5,940,975号は、比較的硬い炭素コーティング(別称:ダイアモンドライクコーティング(「DLC」)を鋼製基板に施すことによって形成された切刃部を備えるナイフまたは剃刀刃に関する。さらに、米国特許第5,317,938号と第5,842,387号はシリコン基板をエッチング加工することによって製造されるナイフまたは剃刀刃に関する。
これらの積層構造、サンドイッチ構造、および/またはコーティング構造に関連する欠点の一つは、製造するのに比較的高価なことであり、従ってユーティリティブレード分野では受け入れられず、広範な商用には至っていないことである。
ユーティリティブレード分野とは著しく対照的に、鋸産業ではバイメタル構造のバンド型鋸ブレードが長年使用されている。例えば、米国再公告特許第26,676号はバイメタル構造バンド型鋸ブレードを製造する方法を開示する。同方法では、鋼製峰部材ストリップと高速度鋼製ワイヤが研削と脱脂とによって前処理され、該ワイヤは峰部材ストリップに電子ビーム溶接で溶接される。得られた複合バンド型基材は、平らに調整され、アニールされる。次ぎに、アニールされた基材の側部に目立てが行われ、バンド型鋸ブレード歯が、ミル加工よってこの複合基材の高速度鋼端部に形成される。次いで、鋸歯が整定され、得られた鋸ブレードが熱処理にかけられる。このようなバンド型鋸ブレードを熱処理する従来技術には極めて多数の方法が既知である。例えば、国際特許出願WO98/38346は、複合バンド型鋸ブレードをインラインで焼入れし焼き戻す装置と方法とを開示している。この方法では、ブレードはローラ加工され、繰り返し同一の焼き戻し炉と急冷ゾーンを通される。熱処理された複合バンド型鋸ブレードは、次ぎに洗浄工程にかけられ、最終的に包装仕上げされる。
そのようなバイメタルバンド型鋸ブレードは、バンド型鋸ブレード産業に過去30年にわたって受け入れられ、広範な商用に至っているが、バイメタルバンド型鋸ブレードと同じようなバイメタルまたは他の複合構造を用いるユーティリティブレードを製造する技術に係わる教示は存在しないし、使用されてもいないと考えられる。さらに、そのようなバンド型鋸ブレード技術のユーティリティブレード製造への適用を著しく困難にする障害も極めて多い。例えば、前記のように、従来のユーティリティブレードは、炭素鋼ストリップに切り目ラインを形成し、次いでこの切り目ラインに沿ってストリップを折り切り、台形または他の好適な形状のブレードに切断することによって製造される。しかし、例えば、バイメタルバンド型鋸ブレードの製造に使用される比較的強靱で、ばねのような峰部材は、従来の炭素鋼ユーティリティブレードに比較し、切り目を付け、そして折り切るのは比較的困難であるといえる。さらに、従来のユーティリティブレードに適用される熱処理は、バイメタルまたは他の構造の複合ユーティリティブレードの熱処理には使用し得ないだろう。
耐摩耗性切刃部、例えば、従来技術のバンド型鋸ブレードで使用の耐摩耗性切刃部を製造するに使用される高速度鋼または工具鋼は、例えば、従来のユーティリティブレードの製造に使用される炭素鋼に比較して相対的に高価である。さらに、高速度鋼または工具鋼から耐摩耗性切刃部を形成するときに行われる研削とホーニング仕上げからは、これら高価な素材の相当程度の量のスクラップおよび/または廃材が生じ得る。
従って、本発明の目的は、従来技術のユーティリティブレードおよび/またはそのようなブレードの製造法の上記の欠陥と欠点の一つまたはそれ以上を克服し、比較的硬く、耐摩耗性の切刃部と比較的強靱で、ばねのような峰部材とから形成されるバイメタルまたは他の構造の複合ユーティリティブレード、およびそのようなユーティリティブレードを製造する方法を提供することである。
本発明の態様の一つは、ブレードの峰部と、峰部の反対側に位置する切刃部と、ブレードの側部に対向して位置し、ブレードの峰部と切刃部との間に広がる二側端部とを備える複合ユーティリティブレードに関する。本発明の実施の形態の一つでは、ブレードの峰部と切刃部と二側端部とは、周辺が略台形の形状である。しかし、本発明のブレードは、長方形、曲がった形状、および折り切り型ブレードなどを含む極めて多くの相異なる形状をも構成し得る。本発明の複合ユーティリティブレードはさらに第一金属部分と第二金属部分とを備える。第一金属部分は、ブレードの峰部から第二金属部分まで、さらに略側端部の一つから他の側端部まで広がる部分である。この第一金属部分は、約38Rc〜約52Rcの範囲の第一硬度まで熱処理された合金鋼で形成されるのが好ましい。第二金属部分は、略側端部の一つから他の側端部まで延びる切刃部を規定するもので、第一硬度より大きい第二硬度、好ましくは約60Rc〜約75Rcの範囲の第二硬度まで熱処理された高速度鋼または工具鋼で形成される。ブレードの溶接域は、第一金属部分と第二金属部分とを接合する領域で、ブレードの略側端部の一つから他の側端部まで延びる。
本発明の他の一つの態様は、複合ユーティリティブレードの製造方法に関する。本発明の実施の形態の一つに基づけば、本方法は、高速度鋼または工具鋼で形成された長いワイヤ、および合金鋼で形成され、略平面の上面部と、略平面の下面部と、これら上面部と下面部の間に対向する後端部と前端部とで規定される長い峰部材ストリップを素材として提供するステップを含む。前記ワイヤは峰部材ストリップの前端部に突き合わせ接合される。次ぎに、熱エネルギーをワイヤと峰部材ストリップの間の境界面に加え、ワイヤと峰部材ストリップとを溶接することによって、鋼製の峰部材ストリップから成る第一金属部分と、高速度鋼ワイヤで形成された第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分を接合する溶接域とから構成される複合ストリップが形成される。次ぎに、この複合ストリップをアニールし、アニールしたストリップを平らに調整してアニールした複合ストリップの反った部分や他の望ましくない曲面部を除去する。次ぎに複数のノッチを、第一金属部分の峰部に沿って互いに軸方向に配置された個所および/またはアニールされた複合ストリップの他の所望箇所に、例えば、パンチで打ち抜いて形成する。次ぎに、このアニールされ、パンチされた複合ストリップを焼入れする。第一金属部分は、好ましくは約38Rc〜約52Rcの範囲の第一表面硬度まで焼入れし、そして第二金属部分は、第一表面硬度より大きく、好ましくは約60Rc〜約75Rcの範囲の第二表面硬度まで焼入れする。次ぎに、この焼入れされたストリップを少なくとも一回、好ましくは二回焼き戻しと急冷のサイクルに掛ける。次いで、第二金属部分の先端部を、例えば、研削し、ホーニング仕上げし、さらに革砥で磨いてきれいな刃先面を出すことによって、略真っ直ぐな高速度鋼または工具鋼切刃部を複合ストリップの峰部第一金属部分の反対側に沿って対向して形成する。次いで、この複合ストリップを、相対して軸方向に配置される切断ラインまたは切り目ラインに沿ってダイスカット、曲げ、および/または折り切りなどの方法で分離し、複合ストリップから複数枚のユーティリティブレードを切り離して形成する。本発明の現在好ましい実施の形態では、各ユーティリティブレードは周辺が略台形の形状で、少なくとも一個のノッチがその峰部に形成される。しかし、本発明のブレードは、長方形、曲がった形状、および折り切り型ブレードなどを含む極めて多くの相異なる形状をも取り得る。
本発明の別の実施の形態に基づけば、焼入れ処理に先立って、複合ストリップの高速度鋼または工具鋼の端部を、例えば、パンチで打ち抜くことによって、各切断ラインまたは切り目ラインと第二金属部分との境界面にノッチが形成される。これらのノッチの形成目的は、隣接して形成された複合ユーティリティブレードの高速度鋼切刃部を複合ストリップから分離し、複合ストリップからのブレードの曲げや折り切りを容易にしたり、ブレードの切刃部にコーナーを成形したりするためである。
本発明の実施の形態の他の一つに基づけば、複合ストリップには、互いに軸方向に配置された箇所に切り目が付けられ、複数の切り目ラインが形成される。各切り目ラインは第一金属部分であるブレード峰部に対して鋭角に配置される。これら複数の切り目ラインにより、複数のブレード部分とブレード部分間に残されるスクラップ部分とが規定される。台形ブレード形状では、これらスクラップ部分は略三角形状で、ブレード部分は略台形である。上記のように、ノッチの形成は、各切り目ラインと第二金属部分との境界面に行われ、複合ストリップからブレードを分離するのを容易にし、そしてブレードの切刃部のコーナーを成形するために行われる。ブレードを複合ストリップから分離するには、各スクラップ部分を、各切り目ラインの一方の側の複合ストリップの面に対して外側に曲げる。各スクラップ部分を曲げると、複合ストリップは各切り目ラインの反対側に圧せられることによって、ブレード部分が、曲げられたスクラップ部分から各切り目ラインに沿って切断される。このプロセスを各切り目ラインの箇所で繰り返すと、つまり、各ユーティリティブレードを規定する切り目ラインの各ペアまたは他のグループに対して実質的に同時にこのプロセスを行うと、複数のブレードが複合ストリップから形成される。
本発明の実施の形態の他の一つに基づけば、本発明は、複合ユーティリティブレードの製造法に関する。このブレードは、峰部を形成する第一金属部分と、切刃部を形成するとともに第一既定断面形状を備える第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分を接合する溶接域とを備える。本方法は、(i)第一側部と、第二側部と、第一側部と第二側部との間に相対して延びる二端部とを備える鋼製の長い峰部材ストリップを素材として提供するステップと、(ii)ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状に実質的に対応する第二既定断面形状を備える耐摩耗性鋼製の長いワイヤを素材として提供するステップと、(iii)ワイヤを峰部材ストリップの端部の一つに接触させるステップと(iv)熱エネルギーをワイヤと峰部材ストリップの間の境界面に加え、ワイヤを峰部材ストリップに溶接することによって、鋼製の峰部材ストリップで形成された第一金属部分と、実質的に第二既定断面形状を有する耐摩耗性鋼製のワイヤで形成された第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域とを備える複合ストリップを形成するステップと、(v)複合ストリップを熱処理するステップと、(vi)第二金属部分に少なくとも一面の刃先面を形成することによって、複合ストリップに耐摩耗性の切刃部を形成する緒ステップを含む。
本発明の実施の形態の一つでは、長いワイヤを素材として提供するステップは、先ず初期の断面形状を備えるワイヤを素材として提供し、次いで該ワイヤを初期の断面形状とは相異なる第二の既定断面形状に成形するステップを含む。ワイヤは、ワイヤを峰部材ストリップに溶接する前に、第二既定断面形状に成形するのが好ましい。また、本発明の実施の形態の一つでは、ワイヤの初期断面形状は実質的に円形であり、ワイヤの第二既定断面形状は多面から成る形状である。ワイヤの第二既定断面形状は、(a)実質的に長方形、(b)実質的に台形、(c)実質的に三角形、(d)実質的に平行四辺形状、および(e)実質的に直線で囲まれた形状と三角形の組合せを含むグループから選択されるのが好ましい。また、本発明の現在好ましい実施の形態では、ワイヤを第二既定断面形状に成形するステップには、(a)ワイヤのロール加工と(b)ワイヤのトルコヘッド(Turks Head)絞り加工と(c)ワイヤ延伸ダイス加工のうちの少なくとも一つの加工が含まれる。
本発明の実施の形態の一つでは、本方法はさらに、耐摩耗性切刃部に少なくともTiNとAlTiNの一つをコーティングするステップを含む。そのような実施の形態の一つでは、本方法はさらに、耐摩耗性切刃部にAlTiNの内層とTiNの外層とをコーティングするステップを含む。そのような実施の形態の一つでは、本方法はさらにAlTiNコーティングを勾配付で、すなわち、コーティングの内側ではアルミ濃度を低く、コーティングの外側ではアルミ濃度を高くして行うステップを含む。
実施の形態の他の一つに基づけば、本発明は、少なくとも一本のユーティリティブレードを形成する複合ストリップに関する。このブレードは、峰部を形成する第一金属部分と、切刃部を形成するとともに第一既定断面形状を規定する第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域とを備える。この複合ストリップは、鋼製の長い峰部材ストリップに使用される第一金属部分を備える。この長い峰部材ストリップは、第一側部と、第二側部と、第一側部と第二側部との間に対向する二端部とを備える。この複合ストリップの第二金属部分は、最初ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状に実質的に対応する第二既定断面形状を備え、耐摩耗性の鋼製で、実質的に第二既定断面形状を有する長いワイヤで形成される。この複合ストリップの溶接域は第一金属部分と第二金属部分とを接合した領域である。
本発明の実施の形態の他の一つでは、ワイヤの第二既定断面形状と第二金属部分の第一既定断面形状は、(a)実質的に長方形、(b)実質的に台形、(c)実質的に三角形、(d)実質的に平行四辺形状、および(e)実質的に直線で囲まれた形状と三角形の組合せのグループから選択される。そのような実施の形態の一つでは、ワイヤの第二既定断面形状は、ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状と実質的に同一である。
本発明の実施の形態の一つでは、複合ストリップは、さらに少なくともAlTiNコーティングとTiNコーティングの一つを備える。そのような実施の形態の一つでは、このコーティングは、切刃部の対向する両側に沿って延びる細長い刃先に施される。
本発明のユーティリティブレードの利点の一つは、特に前記のような従来のユーティリティブレードに比較して、極めて硬く、耐摩耗性の切刃部と、極めて強靱な、ばねのよう峰部が提供されることである。従って、本発明のユーティリティブレードは、従来のユーティリティブレードに比較して、改良されたブレード寿命と、ブレード寿命期間中の優れた切削性能とを提供する。さらに、本発明のユーティリティブレードおよびそのようなブレードの製造法は、特に、上記のようなサンドイッチ、積層、および/またはコーティングの構造に比較して、費用対効率が比較的に高い。その結果、本発明のユーティリティブレードは、ユーティリティブレードにはこれまで商業的には得られないと信じられていた耐摩耗性、強靱性、切削性能、および費用対効率のコンビネーションが得られる。
本発明の他の目的と利点は、好ましい実施の形態の以下の詳細な説明と添付の図面とを参照すれば容易に明快となろう。
図1では、本発明を具現化する複合ユーティリティブレードは一般に参照数字の10で示される。ユーティリティブレード10は、峰部12と、峰部に対してブレードの反対側に位置する切刃部14と、各々に対してブレードの反対側に位置してブレードの峰部と切刃部との間に延びる二つの側端部16,18とを備える。図1に典型的に示されるように、本発明の図示された実施の形態では、ブレードの峰部と切刃部と側端部とは、周囲が略台形の形状となるのが好ましい。しかし、図11A〜11Dを参照して以下にさらに記載されるように、本発明のユーティリティブレードは、現在または将来知られる極めて多数の相異なるどんな形状または構成をも取り得る。例えば、ブレードの形状は、正方形または平行四辺形の形状、および/または正方形に、円状にまたは斜め形状にカットしたコーナーを有する所望の形状を含み得る。
ブレード10はさらに第一金属部分20と第二金属部分22とを備える。図1に典型的に示されるように、第一金属部分20は峰部12と第二金属部分22との間に延び、さらに略一つの側端部16から他の側端部18まで延びる。本発明に基づけば、第一金属部分20は、普通「合金」鋼と称される鋼で形成される。この鋼は、約38ロックウェル「c」(本明細書では「Rc」と称する)〜約52Rcの範囲の表面硬度まで熱処理されている。第二金属部分22は切刃部14を規定し、略一つの側端部16から他の側端部18まで延びる。本発明に基づけば、第二金属部分22は、普通「高速度」鋼または「工具」鋼と称される鋼で形成される。この鋼は、約60Rc〜約75Rcの範囲の表面硬度まで熱処理されている。
第一金属部分20は、比較的柔軟で、強靱で、従って疲労や割れに対して高度に抵抗性のあるばねの様な峰部を形成する。他方、第二金属部分22は、比較的硬く、高度に耐摩耗性で、従って、理想的な長寿命の切削ブレードを構成する。その結果、本発明の複合ユーティリティブレードは、高度に耐摩耗性で、長寿命の切刃部と、ほとんど壊れない、つまり破損しない峰部とを組合せた構造(従って破損しないブレード)となっている。従って、従来技術の典型的なユーティリティブレードと著しく対照的に、本発明の複合ユーティリティブレードは、改良された耐摩耗性と強靱性とを併せ持つ費用対効果に優れたブレードを提供する。この特性は、そのようなブレードにはこれまで商業的には得られなかった特性である。
ブレード10の第一金属部分20は、約38Rc〜約52Rcの好ましい範囲内の表面硬度まで熱処理し得る極めて多数の相異なる鋼、例えば、極めて多数の相異なる合金鋼または標準ANSI級、例えば、限定するわけではないが、6135,6159およびD6Aを含む鋼で製造するのが好ましい。他方、第二金属部分22は、約60Rc〜約75Rcの好ましい範囲内の表面硬度まで熱処理し得る極めて多数の相異なるタイプの耐摩耗性鋼、例えば、極めて多数の相異なる工具鋼または高速度鋼で製造するのが好ましい。これらの鋼としては、例えば、極めて多数の相異なる標準ANSI級、例えば、限定するわけではないが、Mシリーズ級、例えば、M1,M2,M3,M42など、Aシリーズ級、例えば、A2,A6,A7,A9など、Hシリーズ級、例えば、H10,H11,H12,H13など、Tシリーズ級、例えば、T1,T4,T8など、およびW,S,O,Pシリーズ級が挙げられる。
本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、第一金属部分20と第二金属部分22を製造するのに用いられる現在好ましい素材であって、本明細書に開示された素材は、例として示したものであるから、第一金属部分および/または第二金属部分の機能を果たすと現在または後に知られる極めて多数の他のタイプの金属も、本発明の複合ユーティリティブレードを形成するのに等しく採用し得る。
図1にさらに示されているように、各複合ユーティリティブレード10は、峰部12に並置して形成された切り欠きまたはノッチ24を備える。図1に典型的に示されているように、各ノッチ24は、凹状の略半円形の輪郭を有し、ブレードホルダーにブレードを収めるためブレードホルダー(図示せず)内に取り付けられた対応するロケータと嵌合するように設置されている。本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、ノッチ24は、極めて多数の相異なる個所に設け得るとともに極めて多数の相異なる形状および/または構成をもとり得るし、ブレードは、ブレードホルダー、またはそのようなホルダーの作動メカニズムまたはロケータと嵌合する機能を果たすと当業者に現在または後に知られるそのようなノッチまたは他の凹みを任意個数だけ備え得る。
図1にまた示されるように、ブレード10はさらに、ブレードの略中央部分に第一金属部分を貫通するレジストレーション(registration)開口26を備える。以下にさらに説明されるように、レジストレーション開口26の設置目的は、本発明に基づいてブレード曲げ・折り切り装置、またはブレード製造の際に用いられる他のブレード形成装置のダイス(die)にブレードを位置決めするブレード位置決め装置を受容するためである。本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、開口26は、極めて多数の相異なる形状または構成をもとり得るし、ブレードは、そのようなレジストレーション開口、またはブレードをダイスまたは他の成形装置に適切に位置決めする機能を果たす他の構造的機能を任意個数だけ備え得る。さらに、レジストレーション開口(複数を含む)26は、ユーティリティブレードの極めて多数の相異なる個所に配置し得るし、ブレードに隣接したスクラップ材内にも、またブレードが形成されるバイメタルストリップ内にも配置し得る。
図1にさらに示されるように、ブレード10は、第一と第二の金属部分20,22それぞれの間に形成され、側端部の一つ16から他の側端部18に延びる概略溶接ラインを規定する溶接域28を備える。さらに以下に詳細に説明されるように、第二金属部分は、境界面に熱エネルギーを、例えば、電子ビーム溶接で加え、第一金属部分に接合される。第一金属部分が第二金属部分に接合されことで、相異なる二つの金属部分の間に接合ラインを規定する溶接域が形成される。
図1にまた示されているように、切刃部14は、側端部の一つ16から他の側端部18に延びる略真っ直ぐの刃先部を規定する。図2に示されるように、切刃部14は、ブレードの両面に対向する第一刃先面30と、第一刃先面30と連続するとともに内側に傾いて並行的に対向する第二刃先面32とを備えるのが好ましい。図2に典型的に示されるように、第一刃先面30は、第一先端頂角「A」を規定し、第二刃先面32は、第二先端頂角「B」を規定する。第二先端頂角「B」は第一先端頂角「A」より小さいことが好ましい。本発明の実施の形態の一つでは、第一先端頂角「A」は約26°で、第二先端頂角「B」は約18°である。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、これらの先端頂角は、例示に過ぎないので、ブレードの物理的性状および/または提唱される適用に依存して所望のように設定し得る。当業者ならさらに理解し得るように、本発明のユーティリティブレードはどんな数の刃先面でも備え得る。
次いで、図3Aと3Bを参照する。以下には、本発明の複合ユーティリティブレードを製造する方法がさらに詳細に記載される。ステップ100と102に示されるように、第一金属部分20を形成する峰部の鋼と第二金属部分22を形成する高速度鋼または工具鋼との洗浄や溶接準備が、当業者に既知のやり方で行われる。図4に示されるように、峰部材となる鋼は、一個または複数個のコイルに巻いた一本または複数本の連続した長いストリップ34の形で供給されるのが好ましい。各峰部材ストリップ34は、略平面の上面部36と、略平面の下面部38と、それぞれ対向する後端部(峰部)40と前端部42とを備える。同様に、高速度鋼ワイヤは、一個または複数個のコイルに巻いた一本または複数本の連続して長いワイヤの形で供給されるのが好ましい。
図3Aのステップ104で、高速度鋼または工具鋼ワイヤ44は、各峰部材ストリップ34の前端部42に突き合わせ溶接される。すなわち、熱エネルギーをワイヤと峰部材ストリップの間の境界面に加えて、ワイヤを峰部材ストリップに溶接することによって、鋼の峰部材ストリップ34で形成される第一金属部分20と、高速度鋼ワイヤ44で形成される第二金属部分22と、第一と第二金属部分を接合する溶接域28とを備えるバイメタルストリップ、すなわち、複合ストリップ46が形成される。図4に示されるように、典型的な溶接装置48は、平行に対置されたローラ50を回転駆動装置として備え、これらの間で高速度鋼ワイヤ44が峰部材ストリップ34の前端部42に突き合わせ溶接され、得られた複合ストリップ、すなわち、バイメタルストリップ46が溶接装置48から送り出される。溶接装置48内に取り付けられた熱エネルギー源52が、高速度鋼ワイヤ44と峰部材ストリップの前端部42の境界面に熱エネルギーを加え、該ワイヤを峰部材ストリップに溶接する。本発明の現在の好ましい実施の形態では、熱エネルギー源52が、電子ビーム54を高速度鋼ワイヤと峰部材ストリップの境界面に照射し、該ワイヤを峰部材ストリップに電子ビーム溶接する。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、極めて多くの他のエネルギー源および/または電子ビーム溶接装置の機能を果たすと現在または後に知られる接合方法は、本発明の方法に等しく採用し得る。例えば、高速度鋼ワイヤを峰部材ストリップに溶接するエネルギー源は、レーザの形であっても、あるいは他のエネルギー源であってもよく、電子ビーム溶接以外の溶接プロセスも等しく使用し得る。図12A〜12Eに関連して以下にさらに記載されるように、高速度鋼または工具鋼ワイヤ44を、第二金属部分の断面形状に実質的に対応する形状と同一の既定断面形状を備えるように予備成形し、次いでこの予備成形されたワイヤを、前述のように峰部材ストリップに溶接し得る。また、以下にさらに説明するように、このようにワイヤを予備成形しておけば、研削加工に当たって発生する高速度鋼または工具鋼ワイヤのスクラップ量または廃棄量が減少し、さらに研削加工量自体も減少するので、ブレードの総括コストが減少し得る。
図3Aのステップ106に示されるように、ワイヤを峰部材ストリップに溶接した後、得られたバイメタルストリップ46は、コイルに巻かれる。アニールを行ったり、アニール区域に該ストリップを搬送したりするためである。ステップ108に示されるように、バイメタルストリップ46は当業者に既知の方法でアニールが行われる。普通、バイメタルストリップ46は、当業者に既知のタイプの真空炉でアニールされる。具体的には、複数のコイルを熱伝導性ラックに垂直に積み重ね、ラックを真空炉に装入して、コイルを所定のアニール温度に所定の時間だけ曝す。本発明の現在の好ましい実施の形態では、バイメタルストリップ46は、約760℃〜約871℃(約1,400°F〜約1,600°F)の範囲の温度で最大約5時間かけてアニールする。次いで、加熱されたコイルを所定の速度で冷却し、所望の物性を得る。例えば、コイルは、約538℃(約1,000°F)に達するまで真空炉の中で最初約27.7℃(約50°F)/時の速度で冷却され、次いで、より速い速度で冷却し得る。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、これらのアニール温度と時間は、例示にすぎないので、極めて多くの相異なる要因、例えば、バイメタルストリップ46の特定の材質、構造および/または寸法、ワイヤを峰部材に溶接するのに用いられる溶接プロセス、および/または得られるブレードの所望の物性に依存して所望のように変えることが可能である。
アニールの終了後、バイメタルストリップ46のコイルは、必要ならば、ステップ110に示されるように伸ばされ、得られたストリップは,ステップ112に示されるように平らに調整される。バイメタルストリップ46には、以上のように溶接され、アニールされた後では、反りや他の好ましくない曲がりが顕著に発生するので、そのような曲がりは以降の処理に先立って除去しなければならない。本発明の現在好ましい実施の形態では、バイメタルストリップ46は、当業者に既知のタイプの歪み取り装置、例えば、ブルーダーラ(Bruderer)(登録商標)ブランドの装置に設けられた一連の加圧ロールに該ストリップを通すことによって機械的に平らに調整される。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、このような金属部品の歪みを除去する機能を果たすと現在または後に知られる極めて多くの歪み取り装置を等しく採用し得る。例えば、機械的歪み取り装置の代替として、バイメタルストリップ46は、当業者に既知の方法で該ストリップに熱を加えて張力をかけることによって平らに調整し得る。
ステップ114に示されるように、平らに調整されたバイメタルストリップ46は、搬送や以降の処理に必要ならば再びコイルに巻いても差し支えない。図3Bのステップ116に示されるように、アニールされ、さらに歪みが除かれたバイメタルストリップ46のコイルは、次いで必要ならば、元に伸ばされる。ステップ118で、バイメタルストリップ46に、パンチで孔開けが行われ、所望ならば、または他に必要ならば、アニールされたバイメタルストリップの峰部40に沿って軸方向に並置された複数のノッチまたは他の切り欠き24が形成され、次いで、切り目付けが行われ、各ブレードの側端部16と18とを規定する複数の切り目ラインが該ストリップに形成される。図5に示されるように、バイメタルストリップ46をパンチし、切り目付けする典型的な装置は、一般に参照数字の56で示される。装置56は、バイメタルストリップ46を支持するワーク支持面62の上方に設けられたサポート60に取り付けられた切り目付け具58を備える。図5に矢印で示されるように、切り目付け具58は、バイメタルストリップに当て込みしたり、これから外したり、上下に可動であるが、同時にストリップに対して左右にも可動である。従って、図5に典型的に示されるように、切り目付け具58を制御し、バイメタルストリップの上表面36に当て込みしたり、ストリップの方向に上下に動かしたり、ストリップに平行に動かしたりすることによって、ストリップの上表面に切り目を付け、ストリップに軸方向に並置した複数の切り目ライン64を形成し、各切り目ラインがそれぞれユーティリティブレードの側端部16または18を規定するようにし得る(図1参照)。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、切り目付け具58は、本明細書に記載のような複合ストリップに切り目を付ける機能を果たすと現在または後に知られる極めて多くの構成を取ることが可能である。例えば、順次式ダイス装置を採用して、各ブレードに対してレジストレーション開口26をパンチし得る。次ぎに、同じ順次式ダイス装置で、各ブレードの峰部および/または切刃部にノッチ24,98を同時または順次に形成し、さらに切り目ライン64を形成し得る。本明細書で使用している切り目ラインという術語は、複合ストリップの表面に刻み付けられた溝または切り込みで規定されるラインを意味する。このようなラインは、現在または後に知られる極めて多くの器具を用いて形成することが可能である。
本発明の現在好ましい実施の形態に基づくと、切り目の深さは、ブレード厚さの約40%〜50%の範囲が好ましく、ブレード厚さの約45%〜48%の範囲が最も好ましい。図示の実施の形態では、ブレードは約0.6mm厚さなので、切り目の深さは約0.27mm〜約0.29mmの範囲内が好ましい。現在のブレード設計と構造では、ブレード厚さの約50%超の切り目深さを用いると、アニール炉の通過中にバイメタルストリップが切り目ラインの所で引き千切られてしまう傾向があった。また、本発明の現在好ましい実施の形態に基づくと、各切り目ラインは略V字形の溝となっており、各切り目ラインV字の内角が約50°〜60°の範囲内にあることが好ましい。本発明の図示の実施の形態では、各切り目ラインV字の内角は約55°である。切り目ラインV字内角が大きければ大きいほど、切り目付けに当たってブレードの裏側に加わる圧力が大きくなり、従ってブレードの裏側に波状模様が生成する悪影響が生ずる。他方、V字内角が小さければ小さいほど、切り目付け具の使用中の摩耗速度が大きくなる。
パンチ装置56はさらに、それぞれノッチ24と開口26に形状と位置が各々対応する複数の刃先面68を有するパンチ66を備える。図5に示されるように、パンチ装置56は、駆動源70,例えば、油圧シリンダに駆動自在に連結され、ワーク支持面62に載ったバイメタルストリップに当て込んだり、これから外したりして、バイメタルストリップにノッチ24と開口26を切り開ける。本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、切り目付け具58とパンチ66とをコンピュータ制御して、切り目付け具とパンチとを自動的に駆動し、バイメタルストリップに当て込んだり、これから外したりし得る。また、駆動メカニズム(図示せず)を採用して、切り目付け具とパンチとに対してバイメタルストリップを自動的に位置合わせし得る。同様に、切り目付け具とパンチとは、相異なる装置またはワークステーションに載せることも可能であり、切り目ラインをバイメタルストリップに設けたり、ノッチおよび/または開口をバイメタルストリップに切り開けたりするために現在または後に知られる極めて多数の他の器具の形を各々取ることも可能である。例えば、上記のように、順次式ダイス装置を採用し、レジストレーション開口とノッチとをパンチ打ち抜きすることも、切り目ラインを形成することも可能である。加えて、以下にさらに記載されるように、図3Bのステップ118で、ブレードの高速度鋼または工具鋼製切刃部の各切り目ラインと切刃部が合わさった個所にノッチを形成し、複合ストリップから各ブレードを分離するのを容易にしたり、ブレードの切刃部のコーナーを成形したりするのも可能である。
図3Bのステップ120に示されるように、ノッチをパンチし、切り目を設けた後、バイメタルストリップ46を、必要ならば、再びコイルに巻いて、一時的に貯蔵したり、あるいは焼入れ・焼き戻し区域に搬送したりし得る。ステップ122で、バイメタルストリップのコイルを必要に応じて伸ばし、ステップ124で、伸ばされたバイメタルストリップが焼入れ・焼き戻しされる。本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、この焼入れ・焼き戻し操作は、バイメタルストリップ46のような部品を焼入れ・焼き戻しするために現在または後に知られる極めて多数の相異なる焼入れ・焼き戻しプロセスに基づいて行い得る。本発明の現在好ましい実施の形態では、バイメタルストリップ46は、約1093℃〜約1204℃(約2,000°F〜約2,200°F)の範囲の温度と約3〜約5分間の範囲内の焼入れ時間で焼入れされる。次いで、焼入れ後、バイメタルストリップは、約538℃〜約649℃(1,000°F〜約1,200°F)の範囲の温度と約3〜約5分間の範囲内の焼き戻し時間で行われる一次焼き戻しサイクルで焼き戻しされる。一次焼き戻しサイクルの後、バイメタルストリップは、空気冷却で室温まで急冷される。本発明の現在好ましい実施の形態では、焼入れ・焼き戻しサイクルは「インライン」で行われる。すなわち、バイメタルストリップは、先ず長い焼入れ炉から長い一次焼き戻し炉へ、それから急冷ステーションへ送られ、次いで少なくとも一基以上の焼き戻し炉と急冷ステーションへと連続的に送られる。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、バイメタルストリップを、同一の焼き戻し炉と急冷ステーション(複数を含む)の間で繰り返し通過させたり、コイルに巻いた後、「ピット型」や他の炉で焼入れ・焼き戻・急冷を行ったりたりすることも可能である。さらに、急冷は、本明細書に記載の空気冷却で差し支えないが、あるいは油浴冷却、または本明細書に開示のタイプの焼き戻された部品を急冷すると現在または後に知られる他のタイプの急冷でも差し支えない。同様に、製造されたブレードの所望の物性を得るためには、複合ストリップを必要に応じて任意の数の焼き戻し・急冷サイクルにかけることが可能である。
ステップ126で、焼き戻し・急冷されたバイメタルストリップ46は、必要ならば、再びコイルに巻いて、次の焼き戻しステーションに搬送される。ステップ128で、バイメタルストリップのコイルを伸ばし、二次焼き戻しサイクルにかける。前記のように、これらおよび他のコイル巻きとコイル伸ばしステップは、バイメタルストリップを処理する一基以上のインライン式ステーションを用いることによって採用しないで済む。ステップ130で、バイメタルストリップは、約538℃〜約649℃(1000°F〜約1200°F)の範囲の温度と約3〜約5分間の範囲内の焼き戻し時間の二次焼き戻しサイクルで再び焼き戻しされる。二次焼き戻しサイクルの後、バイメタルストリップは室温まで冷却される。現在好ましい実施の形態では、急冷は、空気冷却である。しかし、前記のように、この急冷は、本明細書に開示のタイプの部品に対して現在または後に知られる極めて多数の他のタイプの形を取ることもできる。次いでステップ132で、焼き戻し・急冷されたバイメタルストリップが、再びコイルに巻かれ、一時的に貯蔵されたり、研削、ダイスカットまたは曲げ・折り切り工程に搬送されたりする。
ステップ134で、アニール、焼入れ、焼き戻しされたバイメタルストリップ46のコイルは、必要ならば再び伸ばされ、ステップ136で、バイメタルストリップは、研削、ホーニング仕上げ、革砥磨きされ、さらにダイスカットまたは曲げ・折り切り工程が行われる。具体的には、バイメタルストリップ46を当業者に既知のやり方で研削し、ホーニング仕上げし、革砥で磨ぎ、図2の刃先面30と32を形成することによって、第一金属部分から成る峰部の反対側の複合ストリップの側部に沿って真っ直ぐの高速度鋼または工具鋼の切刃部が形成される。この時点で、研削、ホーニング仕上げ、革砥磨ぎされたバイメタルストリップ46にコーティング処理を行い得る。具体的には、例えば、PVDコーティングにより、ストリップの切刃部とその隣接部分にTiNまたはAlTiNコーティング、またはAlTiNの内層コーティングとTiNの外層コーティングを施す。このことについては以下に詳細に説明される。別に、バイメタルストリップにコーティングを施さないケースもある。次いで、研削、ホーニング仕上げ、革砥磨きされたバイメタルストリップ46(コーティング、非コーティングを問わず)は、図5の切り目ライン64に沿ってダイスカット、曲げ・折り切りまたは他の方法で切り離され、該複合ストリップから複数のユーティリティブレードが切り離される。前記のように、本発明の実施の形態の一つでは、各ユーティリティブレードは、図1に典型的に、または以下に別に示されるように、ノッチ24と中央の開口26を備え、周辺が略台形の形状となっている。
図6に示されるように、バイメタルストリップをダイスカットする典型的な装置は、参照番号の72で一般に示される。装置72はそれぞれ雄ダイス74と雌ダイス76とを備える。雌ダイス76はシャフト78に接続され、シャフト78は次ぎに、油圧シリンダまたは同様な駆動源80に駆動自在に接続され、雌ダイス76を雄ダイス74の上に載ったバイメタルストリップ46に合わせたり、外したりする。雄ダイス74は、その上方に突き出ているロケータピン82を備える。ロケータピン82がバイメタルストリップの開口26内に受容されることによって、バイメタルストリップが雄ダイスと雌ダイスとの間に適切に位置合わせされる。図6に示されているように、雌ダイス76はブレード状刃先84を備え、雄ダイス74はこれに対向するブレード状刃先86を備え、これらの両ブレード状刃先が、バイメタルストリップ46のダイス間に受容された部分の切り目ライン64を上下に夾む。次ぎに、該ストリップをダイスで押し切るために、駆動源80を作動し、雌ダイス76を下方に駆動し、バイメタルストリップに当てて合わせる。すると、雌と雄のブレード状刃先84,86の共同作用で切り目ラインに沿ってバイメタルストリップが押し切られ、図1に典型的に示されるように、本発明を具現化する各ユーティリティブレードが形成される。このダイスによる押し切り操作に当たって、バイメタルストリップの第一と第二の金属部分20、22各々には硬度に相対的な差があるので、該ストリップは、第一金属部分20の切り目ライン64に沿ってはブレード状刃先で剪断され、比較的硬くて脆い第二金属部分22の切り目ライン部分に沿ってはブレード状刃先で折り切られる。従って、これらの切り目ラインは、比較的硬く脆い第二金属部分22内で所望の破断ライン(または所望の「割れ道」)となり、従ってブレードのこれらの領域をきれいで鋭敏なエッジとするのに極めて重要である。
本発明の別の実施の形態に基づくと、典型的に図7に示されるように、ステップ124で焼入れを行う前にバイメタルストリップ46をパンチしてノッチを付けておけば、ステップ136で比較的硬くて脆い高速度鋼エッジを後で切る必要を回避することによって、その上に形成される切刃部14と刃先面30と32とにダイスカットの際に起こる恐れのある損傷を防止し得る。図7に典型的に示されるように、本発明の実施の形態の一つに基づく高速度鋼切刃部パンチ装置は、一般に参照数字の88で示される。パンチ装置88は、バイメタルストリップ46を支持するワーク支持面94の上方のツールサポート92に取り付けられたパンチまたは同様な工具90を備える。ツールサポート92は、油圧シリンダまたは同様な駆動源96に駆動自在に接続され、パンチ90をバイメタルストリップ46の高速度鋼切刃部14に当て込んだり、外したりする。典型的に図7に示されるように、パンチ90は、各切り目ライン64と高速度鋼切刃部または第二金属部分との境界面にノッチ98を形成する形状と構成になっている。従って、典型的に図7に示されるように、各ノッチ98が各切り目ラインに沿って切り目ラインの第二金属部分22全体に延びていることによって、各ブレードの高速度鋼部分が切り目ラインの個所でバイメタルストリップの残りの部分から容易に分離される。別法としては、以下にさらに説明されるように、各切り目ラインが第二金属部分の横部分だけに延びるようにすれば、複合ストリップから各ブレードをきれいに分離するのが容易になったり、切刃部のコーナーを成形したりすることが可能である。従って、バイメタルストリップ46を図6に示されるようにダイスカットしたり、以下に記載されるように曲げて折り切るときは、装置としては、切り目ラインに沿って該ストリップの第一金属部分20を切断または折り切りしたりしさえすればよく、ノッチ形成で除去された高速度鋼切刃部の部分については、最早切断または折り切りする必要はなくなる。前記のように、第一金属部分20は第二金属部分22に比して比較的柔軟で硬度もそれほど高くないので、第一金属部分20は、切り目ライン64に沿ってダイスカット、曲げて折り切りなどで容易にかつきれいに分離し得る。焼入れの後では、第二金属部分22は、この部分の硬度と脆さが相対的に高いので、ダイスカットするのは比較的困難である。しかし、焼入れの前では、高速度鋼切刃部は約25Rc範囲内の表面硬度を示すので、プロセスのこの段階では比較的容易にかつきれいにカットし得る。従って、図7に示される別のプロセスと構造とを用いて、焼入れされた高速度鋼エッジにダイスカットの際に起こる恐れのある損傷を回避する能力が容易に得られる。
図7のノッチ98はV字形ノッチとして示されている。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、これらのノッチまたは切り欠きは、切り目ラインで複合ストリップの残りの所から各ブレードの高速度鋼エッジ部分を分離するのに必要な極めて多くの相異なる形状で差し支えない。同様に、以下にさらに記載されるように、ノッチの形成は、切刃部のコーナーを角張った形状にしたり、斜めの形状にしたり、あるいは他の任意の所望形状に成形するように行い得る。本明細書の教示に基づいて当業者ならさらに理解し得るように、本発明の別の実施の形態では、そもそも切り目ラインをなくて済ますことも可能である。バイメタルストリップの第一金属部分20をダイスカットするためには、状況次第では切り目ラインが不必要なことがあるからである。
図3Bに戻って参照する。ステップ138で製品ブレードを積み重ね、ステップ140で積み重ねた製品ブレードを当業者に既知の方法で包装する。
図8と図9を参照する。ユーティリティブレード10を形成するために複合ストリップ46を曲げて折り切りする装置が、一般に参照数字の142で示されている。装置142は、ブレード支持板144と、ブレード支持板の片側に取り付けられた駆動アセンブリ146と、駆動アセンブリ146に対してブレード支持板の反対側に取り付けられたブレードマガジン148とを備える。駆動アセンブリ146は、リニアベアリング(図示せず)上に取り付けられた駆動板147を備え、好適な駆動源、例えば、油圧または空気シリンダに駆動自在に接続され、図8において矢印で示されるようにブレード支持板144に駆動板147を近づけたり、離したりするようにする。駆動アセンブリ146はさらに、ブレード支持板144を貫通して伸びる第一ピン開口152内にスライドしながら受容される第一曲げピン150と、ブレード支持板144を貫通して伸びる第二ピン開口156内にスライドしながら受容される第二曲げピン154と、ブレード支持板144を貫通して伸びる第一パンチ開口162内にスライドしながら受容される支持シャフト160を備える第一切断パンチ158と、第二パンチ開口168内にスライドしながら受容される支持シャフト166を備える第二切断パンチ164とを備える。第一切断パンチ158は、第一ブレードリリースピン170を備え、第二切断パンチ164は、第二ブレードリリースピン172を備える。さらに以下に記載されるように、各ブレードリリースピン170と172とは、図9のページの向こう側の方向にばねが装填されている。従って、複合ストリップ46から各ブレード10を曲げて折り切りすると、ばね装填ピン170と172が各ブレード10をブレードマガジン148に押し入れる。装置142はさらにブレード支持板144に複合ストリップ46を押し付けるばね装填押圧板174を備える。押圧板174は、支持ブロック180に形成された開口178内にスライドしながら受容される支持シャフト176に取り付けられ、図8において矢印で示されるように、ブレード支持板の方に近づいたり、離れたりするようになっている。コイルばね182のようなバイアス部材が押圧板174と支持シャフト176との間に挟み込まれ、普通は押圧板をブレード支持板の方にバイアスをかけて押している。図8に示されるように、ブレードマガジン148はブレード支持板144から離れて配置されているので、その間にはブレードギャップ184が規定される。複合ストリップ46は、ブレードギャップ184から図8と図9各々では右側から左側の方向に供給される。ブレード支持板144に面しているブレードマガジン148の表面186は、複合ストリップが押し込まれて、曲げて折り切る操作が行われる定規またはダイスを構成する。
装置142にて曲げて折り切られる複合ストリップ46は、ストリップのスクラップ部分、すなわち、隣接ブレード10の切り目ライン64と当該ブレードの切り目ラインとの間の部分に形成されたレジストレーション開口26を備える。さらに、複合ストリップ46は、各切り目ライン64と第二金属部分とが合わさる部位の第二金属部分22に形成された複数のノッチ98を備える。図10で分かるように、各ノッチ98は、第二金属部分22の幅の約半分だけ第二金属部分に横方向に入り込んでいる。さらに、複合ストリップの軸方向にある各ノッチの端面は各々切刃部に略直角に配置されている(すなわち、各ノッチは略長方形)。このように、以下に説明されるように複合ストリップが曲げて折り切られ、ブレードが切り離されるとき、各切刃部14のコーナーは四角形になる。各ノッチ98の深さ(すなわち、複合ストリップ上の横方向のサイズ)は、切刃部14の各部分、すなわち、切り目64を構成しない部分と、刃先面330,32が傾斜した構造故に極めて狭いのでストリップからブレードを曲げて折り切りするのが効果的にはできない部分とをストリップから切り離すのに十分な深さであるので、きれいなコーナー(すなわち、直線的なエッジ、または各切り目らに沿ってきれいに割れることによって形成されるエッジ)が形成される。従って、ノッチ98の顕著な利点は、切刃部のコーナーできれいな切断面の形成に役立つことである。さらに、切刃部のコーナーを角張ったエッジ、丸まったエッジ、斜め形状エッジ、または他の所望形状のエッジに形成すれば、ブレードのコーナーは、尖ったコーナーに比較して顕著に堅牢なものとし得る。本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、ノッチは、ブレードの製造を容易にしたり、ブレードの性能を向上したりするのに望まれる極めて多くの相異なる形状、構造、および/またはサイズとすることができる。上記のように、ノッチ98は、順次式ダイスまたは他の好適な道具または機器を用いて図3Bのステップ118で形成するのが好ましい。
曲げ折り切り装置142を操作する場合、複合ストリップ46は、装置のブレードギャップ184から図10の矢印Cの方向、すなわち、図8〜図10各々の右側から左側の方向に供給される。先ず、ストリップ46が各レジストレーション開口26内に受容された位置合わせピン(図示せず)でしっかり固定される。次ぎに、駆動アセンブリ146が、ブレード支持板144の方向に駆動され、そして各々第一と第二曲げピン150と154、および各々第一と第二切断パンチ158と164とを作動させて、以下に記載のように各切り目ラインで複合ストリップを順次に曲げて、折り切りする。最初、第一曲げピン150が、駆動アセンブリ146でストリップに当て込まれ、各切り目ライン64の周りに、すなわち、図10のページの向こう側の方向に図10の第一三角形部分188が曲げられる。分かるように、複合ストリップ46の各切り目ライン64を規定する部分をダイス186に押し当てることによって、各三角形部分がダイスと切り目ラインの周りに曲げられ、ブレード支持板144から外に曲がる。第一曲げピン150が第一三角形部分188を外側に曲げている間、同時に第一切断パンチ158がブレードに押し付けられ、第一曲げピン150に対し各切り目ライン64の反対側にある複合ストリップに圧力が加えられる。次いで、第二曲げピン154が、図10の第二三角形部分の個所で複合ストリップ46に当て込まれることによって、各切り目ラインの周りに、すなわち、図10のページの向こう側に第二三角形部分が曲げられる。第二曲げピン154が第二三角形部分190を外側に曲げている間、同時に第二切断パンチ164が複合ストリップに押し付けられ、第二曲げピン154に対し各切り目ライン64の反対側にある複合ストリップに圧力が加えられる。次ぎに、第一切断パンチ158が各切り目ライン64の個所で複合ストリップを折り切り、第一三角形部分188がブレードから離れて下に落下する。次ぎに、第二切断パンチ164が各切り目ライン64の個所で複合ストリップを折り切り、ばね装填のピン170と172が、得られたブレード10をブレードマガジン148に外向けに押し出す。次ぎに、駆動アセンブリ146が後方に、すなわち、ブレード支持板144から離れるように駆動され、ばね装填の押圧板174が、複合ストリップの第二三角部分190をブレード支持板144に対して内側に圧し、曲げることによって、ストリップの各部分を真っ直ぐに調整し、ストリップが以降ブレードギャップ184に通され得る様にし、そして複合ストリップ46は、ブレードギャップを通して位置合わせされながら装入され、複合ストリップの次のブレード部分が上記のように曲げて折り切りされる準備が整う。このプロセスが各ブレード部分に引き続き繰り返され、最後にはブレード10すべてが複合ストリップ46から曲げて折り切られる。本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、曲げピンと切断パンチとは、本明細書に記載されるこれらの部品の機能を果たすと現在または後に知られる極めて多数の相異なる形状および/または構成を取り得る。例えば、図8の破線で示されるように、曲げピンの端部を傾斜した面として規定し、曲げ操作を容易にすることもできる。同様に、切断ピンの端部も、傾斜した面として規定し、損傷を与えることなくブレードを容易に圧して折り切ることができるようにし得る。
図8に示されるように、ブレードマガジン148は、マガジン内にスライド自在に取り付けられる調節可能ブレードサポート192を備える。このブレードサポート192は、マガジン内にブレードサポートの位置を固定する調整ノブ194を備える。ブレード10が曲げて折り切る操作で複合ストリップ46から切り離されると、ブレード10は、ばね装填のピン170と172によりブレードサポート192に積み重ねられる。駆動アセンブリ146はさらに、ブレードガード196を備える。このブレードガード196は、装置142の曲げ折り切り領域の上を覆い、ブレードの上方への動きを防止し、マガジン内にこれらブレードを保持する機能を果たす。
図12A〜12Fを参照ずると、本発明の複合ストリップの他の多くの実施の形態が一般に参照数字の246で示されている。複合ストリップ246は、前記の複合ストリップ46と同じようなものなので、可能の場合、その頭に「2」を付した同じような参照番号を同じようなエレメントを示すのに用いる。前記の複合ストリップ46と比較して複合ストリップ246の相違の一つは、複合ストリップ246が、ブレードの第二金属部分の最終的または究極の形状(例えば、図1のブレードの第二金属部分)に実質的に対応する既定の断面形状を有する長い耐摩耗性鋼ワイヤ244を使用して形成されていることである。例えば、図12Aでは、高速度鋼または工具鋼ワイヤ244は、断面が実質的に三角形状であり、図12Dでは、ワイヤ244は、断面が実質的に台形形状であり、図12Eでは、ワイヤ244は、断面が実質的に三角形状であるとともに、第一ペアの刃先面230と第二ペアの刃先面232とを有して刃先面がマルチ刃面となっており、図12Fでも、ワイヤ244は断面が実質的に三角形状である。
各ケースで、ワイヤ244の断面形状は、例えば、四角形状の断面のワイヤに比較して、複合ストリップから形成されるブレードの第二金属部分の断面に一層近似して対応している。ワイヤ244の断面形状は、ブレードの第二金属部分の断面形状に実質的にマッチすることが好ましい。例えば、第二金属部分の断面形状が三角形ならば、長いワイヤの断面形状も三角形であることが好ましい。しかし、製造に関する制約および/または他の考慮点により、ワイヤの断面形状が、ブレードの第二金属部分の断面形状にマッチする必要がないこともある。例えば、ブレードの第二金属部分が三角形断面形状の場合でも、予備成形されたワイヤは、例えば、図12Dに示されるように台形の形状であってもよい。台形構造は、強靱であり、さらにバイメタルストリップ加工の際に高速度鋼または工具鋼部分の破損を防止するのに優れるとともに、それでも予備成形しないバイメタルストリップに比較すれば、材料が節約され、処理時間が短縮され、費用が削減される。
従って、複合ストリップを形成する前に工具鋼ワイヤを予備成形する利点の一つは、例えば、円形および/または四角形の工具鋼ワイヤ形状の複合ストリップから形成されるブレードに較べて、ストリップの研削加工とホーニング仕上げの際に発生するスクラップの量が減少し、従ってブレード製造に要する高速度鋼または工具鋼の量が顕著に減少し、つまりはブレードの総括コストの減少が可能となるということである。例えば、前記の従来の長方形状の高速度鋼または工具鋼ワイヤは幅が約1.016mm(約0.04インチ)で高さが約0.635mm(約0.025インチ)となると考えられる。従って、ワイヤを三角形断面状に予備成形しておけば、長方形ワイヤを利用する同一サイズのものと比較してブレードの切刃部を形成するのに必要な比較的高価な高速度鋼または工具鋼の量の約半分だけ削減し得ることになる。台形形状のワイヤの場合は、同じようなサイズの長方形ワイヤに比較して高速度鋼または工具鋼の量の半分を削減するものではないけれども、高速度鋼または工具鋼の量を顕著に削減できるのは同様であり、さらに同じようなサイズの長方形ワイヤを利用するブレードに比較して所要研削量も削減できる。従って、予備成形されたワイヤを採用する利点の他の一つは、所要研削量が削減され、さらに製造プロセスのスループットが増大し、従ってブレードの総括コストの減少が可能となるということである。
図12Bに示されるように、峰部材となる鋼材は、一本または複数本の連続的に長いストリップ234を一個または複数個のコイルに巻いた形で供給されるのが好ましい。各峰部材ストリップ134は、略平面の上面部236と、略平面の下面部238と、各々対向する後端部と前端部とを備える。他方、高速度鋼ワイヤ244は、例えば、図12A〜12Fに示される極めて多くの相異なる予備成形された形の形状を取ることが可能であり、一個または複数個のコイルに巻いた一本または複数本の連続的に長いワイヤ244の形で供給されるのが好ましい。
ワイヤ244は、丸い形で供給することも可能である。このケースでは、直径を以降の加工に必要または所望の直径に減少するため、当業者に既知のやり方で丸い素材を一基または一連の延伸ダイスにかけて延伸加工する必要があると考えられる。その後、延伸加工された丸いワイヤを、このプロセスを行うのに現在または将来知られる極めて多数の相異なるワイヤ成形プロセスを用いて、例えば、図12A〜12Fに示されるようにブレードの第二金属部分の形状に実質的に対応する所望の既定形状に成形する。例えば、ワイヤを既定の形状に形成するには、(a)ワイヤのロール加工と(b)ワイヤのトルコヘッド絞り加工と(c)ワイヤの延伸ダイス加工の一つまたはそれ以上の方法を用いて行い得る。所望の既定ワイヤ形状の幅/厚の比に依存するのであるが、これらの加工法を組合せて採用するのが望ましい。例えば、トルコヘッド加工操作は正方形ワイヤを製作するのに用い得るし、ロール加工とトルコヘッド加工を組合せた操作は、長方形、台形、または三角形の予備成形ワイヤを製作するのに用い得る。ワイヤ成形装置の例としては、トルコヘッド/ロールミルコンビネーション装置のようなトルコヘッド/ワイヤ成形ミル、または米国コネチカット州ニューイングトン(Newington)のフェン製造会社(Fenn Manufacturing)が製造する装置のような他のワイヤ平坦化/成形ミル、または独カールフール社(Karl Fuhr GmbH & Co.KG)製造の工作機械のような倣いロール盤などが挙げられる。トルコヘッド加工を用いると、比較的鋭いコーナーの形成が容易であるので、ワイヤと峰部材両コンポーネント間の境界面全体にわたってワイヤを対応する峰部材ストリップ表面に緊密に接触させ、溶接の完全性が確実に得られると考えられている。
図12Bに示されるように、高速度鋼または工具鋼ワイヤ244は峰部材ストリップ234の前端部242に突き合わせ溶接される。つまり、熱エネルギーをワイヤと峰部材ストリップの境界面に加えることによって、ワイヤを峰部材ストリップに溶接し、鋼製の峰部材ストリップ234で形成された第一金属部分と高速度鋼製ワイヤ244で形成された第二金属部分と第一と第二金属部分を接合した溶接域228とで規定されるバイメタルまたは複合のストリップ246を形成する。図12Bに示されるように、典型的な溶接装置は、高速度鋼ワイヤ244を峰部材ストリップ234の前端部242に溶接し、得られた複合ストリップ、すなわち、バイメタルストリップ246を溶接装置48から回転しながら送り出すための平行に対置されたローラ250を備える。熱エネルギー源252は、溶接装置内に取り付けられ、熱エネルギーを高速度鋼ワイヤ244と峰部材ストリップ234の前端部242の境界面に加え、ワイヤを峰部材ストリップに溶接する。
次ぎに複合ストリップ246を、前記の複合ストリップ46と同じやり方で加工し、得られた複合ストリップから複数の複合ユーティリティブレードを形成する。前記のように、複合ストリップ246の顕著な利点の一つは、予備成形ワイヤを用いないで達成されたものより高速度鋼の使用量が少なくなったり、製造スループットが増大したりするということである。
図11A〜11Dに戻って、これらを参照する。ブレード10は極めて多数の相異なる形状および/または構成を取り得る。図11Aに示されるように、台形ブレード10の切刃部14は、図10を参照して説明されたノッチ98で形成された四角形コーナーから得られる形状を取り得る。図11Bでは、ブレード10の切刃部14は、複合ストリップ46の対応する形状のノッチで形成された丸い形のコーナーから得られる形状を取り得る。別法としては、図11Bに破線で示されているように、ブレード10は長方形の形状としてもよく、あるいは一点鎖線で示されているように、ブレード10は平行四辺形の形状としてもよい。図11Cでは、ブレード10は、切り目ライン64と各ノッチで分離された複数の平行四辺形形状のセグメントから成っている。ノッチ98は、図10を参照して前記されたノッチ98と同じように各第二金属部分の横方向に入り込んでいる。図11Cのブレード10は、当業者に既知のタイプの「折り切り」ブレードホルダーに収めて使用するように設計されているので、各平行四辺形形状のセグメント(または所望なら他の形状のセグメント)は、各切刃部セグメント14が摩耗すると、今度は、新しい切刃部セグメントが繰り出される。同様に、前に記載の複合ユーティリティブレード10はバイメタル構造としたけれども、本発明のブレードとしては、トライメタル構造も、あるいは他の複合構造も等しく可能である。例えば、図11Dに示されるように、本発明のユーティリティブレードは、高速度鋼または工具鋼の切刃部14,14’(二番目の切刃部14’は破線で示されている)をブレードの相対する側にそれぞれ設け得るが、この場合、比較的強靱性のばねのような部分は外側の高速度鋼切刃部二枚の間に形成されている。同様に、トライメタル構造ストリップの真ん中を切断すれば、あるいは軸方向の任意のラインに沿って切断すれば、バイメタル構造ストリップが二本形成されるので、各々を切断すれば本発明のブレードを複数枚形成し得る。図11Dに示されるように、切刃部14,14’のコーナーは、切刃部に対して斜角を成す横向き面を備えるように形成し得る。
さらに、図3Aと3Bに示されるコイル巻きとコイル伸ばしステップの多くは、全部でないにしても、インライン式加工装置を採用すれば、用いないで済む。また、先ずブレードを複合ストリップから、例えば、ダイスカットまたは曲げ折り切りにより生で切り出し、次いでこの生で切り出したブレードに熱処理、研削、および他の仕上げ操作を行って、最終的なユーティリティブレードを形成することも可能である。
幾つかの実施の形態では、前に記載の実施の形態に基づくブレードに対して一層または複数層のコーティングが施される。そのようなコーティング(複数を含む)は一つまたは多くの理由で施し得る。例えば、幾つかのタイプのコーティングは純粋に装飾的(すなわち、非機能的または化粧的)である。他タイプの幾つかのコーティングは、装飾的と同時に機能の面も存在し得る。さらに、一層または複数層のコーティングを一層または複数層の他コーティングの上に施し得る。例えば、幾つか実施の形態では、機能的コーティングをブレード(またはその一部分(複数を含む))に施し、装飾的コーティングを機能的コーティング(またはその一部分(複数を含む))上に施す。コーティングはブレード全体、あるいはその一部(例えば、切刃部14またはその一部(複数を含む))に施し得る。
本明細書で用いるとき、特記なき限り、「装飾的」コーティングと「化粧的」コーティングとは、少なくとも主として「装飾的」と少なくとも主として「化粧的」という意味であり、装飾的コーティングも化粧的コーティングもそれぞれある程度の耐摩耗性および/または耐腐食性(または何か他の非装飾的または非化粧的性質)を有するものである。例えば、装飾的コーティングもある程度の耐摩耗性および/または耐腐食性を帯び得る。しかし、装飾的または化粧的コーティングで得られる耐摩耗性および/または耐腐食性(または他の性質)の程度は、同じような厚さと好適な組成を有する純粋な機能的コーティングのそれに比較して、一般に小さい。
相異なるタイプのコーティングの例を幾つか挙げれば、例えば、炭化物コーティング、窒化物コーティング、およびこれらの組合せである。ブレードの摩耗速度を減少する目的のコーティングとしては、例えば、限定されるわけではないが、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、炭化チタン(TiC)、セラミックス(複数を含む)、炭窒化チタン(TiCN)、窒化アルミチタン(AlTiN)、炭窒化アルミチタン(AlTiCN)、窒化ジルコン(ZrN)、炭窒化ジルコン(ZrCN)および/またはこれらの組合せが挙げられる。
装飾的コーティングの幾つかのタイプは、彩色された外観、例えば、金色または極めて多くの他のカラーを有するブレード(またはその一部(複数を含む)、例えば、切刃部14の一部(複数を含む)、またはその一部(複数を含む))を製造するのに使用される。そのような装飾的コーティングの幾つかは、窒化チタン(TiN)から構成される。実施の形態の幾つかでは、装飾的コーティングを第一刃先面30(またはその一部(複数を含む))に施すことによって、切刃部14に彩色ストリップ(複数を含む)が付される。
機能的コーティング(例えば、耐摩耗または耐摩滅性コーティング)をブレードに施す方法は、例えば、基材(例えば、炭素鋼)を加熱するステップを含む。そのような加熱操作は基材の硬度を減少することもあるけれども、基材がコーティングをサポートする能力も増進し、切断操作中に発生する熱に対してコーティングをよく保持する助けになる。炭素鋼で形成の基材に対しては、温度は、限定されるわけではないが、約149℃〜約204℃(約300°F〜約400°F)の範囲の温度でよい。高速度鋼に対しては、温度は、限定されるわけではないが、約538℃(約1,000°F)の温度でよい。実施の形態の幾つかでは、温度は、約538℃(約1,000°F)の超でもよい。本発明の現在好ましい実施の形態のバイメタルブレードの利点の一つは、切刃部を形成するのに使われる高速度鋼が少なくとも約538℃(約1,000°F)のオーダーの温度ならば損傷を受けないで済むので、そのようなブレードは、高温を要するコーティングまたは高温下の操作が可能のコーティング、例えば、AlTiN、または他のPVDコーティングに好適というユニークさがある。従って、比較的高温が本発明のAlTiN被覆ブレードの切刃部に発生しても、このコーティングは、従来のブレードに比較して熱によく耐え得る。他方、従来の炭素鋼の幾つかでは、約149℃〜約204℃(約300°F〜約400°F)以上の温度に加熱されると、該鋼は硬度と強度を失い、その結果そのようなコーティングを適切にサポートする能力も失ってしまう。
少なくとも幾つかの実施の形態では、一層または複数層のコーティングが物理気相成長法(PVD)を用いて施される。物理気相成長法は、好適なやり方で、例えば、限定するわけではないが、陰極アーク堆積法、サーマル/電子ビーム堆積法、および/またはスパッタ堆積法で行い得る。しかし、コーティングは他の方法でも施し得る。実際、コーティングは、好適なやり方で、限定するわけではないが、例えば、ペイント、スプレー、ブラシ、浸漬、メッキ(電気メッキまたは無電解メッキ)、物理的および/または化学気相成長法またはこれらの組合せで施し得る。粉体コーティングとe−コーティングおよび/または上記の方法の組合せも採用し得る。
本発明の現在好ましい実施の形態に基づくと、ユーティリティブレードは、TiNまたはAlTiNのいずれか、または金色外観にはAlTiNの内層とTiNの外層とでコーティングされる。コーティングは切刃部に沿って、そして切刃部に隣接したブレード側に沿って延びる。AlTiNコーティングは、前もって鋭敏に研がれたブレードに約3μm〜約5μmの範囲の厚さで施される。AlTiNの内層コーティングとTiNの外層コーティングを採用する実施の形態では、外側の皮膜は内側の皮膜より薄い。また、本発明の現在好ましい実施の形態では、該AlTiNコーティングは濃度が勾配(リニアまたは他の勾配)をなすように施され、アルミ濃度は基材表面では約32%(原子%)からコーティングの外表面では約66%と増加する。この構成の利点の一つは、基材/コーティング間の境界面でチタン濃度を高くすると、基材へのコーティング付着性が向上するということである。
AlTiNとTiNコーティングは、商業的に利用可能な陰極アーク堆積システムでブレードに施される。このシステムでは、先ず、コイルに巻いたバイメタルストリップ(所望なら分離後のブレード)を多段洗浄装置に通して表面に付いた汚れを除去する。PVD皮膜形成チャンバは従来のタイプで、酸素、窒素、アルゴン、およびメタン/アセチレン用のガス配管、チャンバと流体的に接続されてチャンバを真空にする真空ポンプ系、チャンバの周りに相対的に配置された複数のターゲット、クローズドループシステム経由で温冷水を循環する水循環ユニット、および複数の蒸発器と蒸発器パワー設備を備える。
各バイメタルストリップは、コイル状に巻いて、そのバイメタルストリップを巻いたものの間に緩衝ストリップを挟んだ構成のものが好ましい。緩衝ストリップは、例えば、ステンレス鋼で製作され、横方向に突き出る突起を複数個数軸方向に配置して備え、隣接するバイメタルコイル間の既定間隔を規定し得る。この緩衝ストリップの幅は、バイメタルストリップの幅より狭いのが好ましい。従って、該ストリップを一緒にコイルに巻くとき、バイメタルストリップの切刃部部分が緩衝ストリップの対応する端部からはみ出すようにストリップの後端部を調整することが好ましい。バイメタルストリップの露出部分が、ターゲットに露出され、従ってAlTiN、TiN、AlTiN/TiNまたは他のPVDコーティングで被覆される。従って、バイメタルストリップが緩衝ストリップの対応する端部からはみ出している部分が、バイメタルストリップに施されたコーティングの深さ(あるいは切刃部の対向する両面に施されたコーティングの幅)を規定する。
複数のそのようなコイルは、十字掛け装置などの好適な装置に取り付けられる。この装置は、バイメタルストリップの切刃部をコーティングする目的でコイルを成膜チャンバに保持し、コイルとターゲットと間の相対運動を可能にする装置である。バイメタルストリップの露出端部または切刃部は、ターゲットの面に略平行の面に配置するのが好ましい(すなわち、切刃部はターゲットに面するようにして、ターゲット材から実質的に均一のPVDコーティングが得られるように取り付けられる)。コイルを保持する十字掛け装置などの好適な装置は、成膜チャンバ内に設けられ、回転自在に駆動されている旋回装置に取り付けられる。十字掛け装置とこれに取り付けられたコイルとは、軸方向に対しても角度に関しても互いに隙間があるように間隔を置いて旋回装置に取り付けられる。実施の形態の一つでは、旋回装置は約8個のコイルを保持することができる。コイル4個からなる第一セットは各コイルが約90°離れた角度に配置され、コイル4個からなる第二セットも同じく各コイルが約90°離れた角度に配置されるとともに、コイル4個の第一セットに対しては軸方向に間隔を置いて配置される。所望ならば、上記コイル2セットは、各々に対し約90°または他の角度だけオフセットして配置することができる。
コイルが成膜チャンバ内に取り付けられると、チャンバを真空ポンプで引いて減圧する。チャンバ内が、成膜される清浄なバイメタルストリップと蒸発されるターゲット固形分のみで構成される純粋な加工環境を確実に作るためである。次ぎに、極めて低圧の、つまり高真空の環境が形成された後、コイルに巻いたバイメタルストリップを温和に加熱する。加熱により、バイメタル基材からの脱気が確実に行われ、バイメタル基材の中心部と表面の温度が成膜サイクルの熱力学的条件によくマッチする。本システムの実施の形態の一つでは、PID制御でヒータをコントロールし、約37.8℃〜約48.9℃(約100°F〜約120°F)の範囲の温度で約1〜150分間の範囲内の時間で成膜を行う。
次ぎに、前記装置は、高バイアス電圧でのスパッタエッチングと高バイアス電圧でのアーク支援アルゴンエッチングとのコンビネーションを採用してエッチング操作を行う(装置はステップでスパッタエッチングからアーク支援グロー放電エッチングに遷移し得る)。エッチング深さは当業者に既知のやり方で制御される。スパッタエッチングはTiイオン衝撃エッチングであり、電圧を離散ステップで急速に変化させて印加することによって表面がアーク増進グロー放電の前駆体として加熱・調質される。アーク増進グロー放電は、基材調質を目的にModパルサー装置を用いる。シャッタがTi/Crターゲットを閉じると、0〜約85Vで操作される二つのターゲットとはステップで、0〜約400Vに徐々に上昇するバイアス電圧を使うグロー(プラズマ)が発生する。
次のフェーズは、真空チャンバ内における基材のアルゴンガスプラズマクリーニング(エッチング)である。アルゴン補助スパッタ・イオンクリーニングは、酸化物層を除去し新たな表面を露出することによって基材表面を自動的に調製するのに効果的である。この機能の利点の一つは、薄膜が基材に付着するのは容易にさせるが、基材の表面に付着している恐れのある酸化物などの汚染物には薄膜を付着させないということである。
反応性成膜プロセスは、ターゲット材料に対し約0〜500Vバイアスで蒸発器を約0〜39アンペアで作動して行われる。プロセスガスがチャンバに導入されると、成膜材料が蒸発され、巻かれたバイメタル基材の露出された切刃部に蒸着または堆積される。所望の皮膜厚さは、既定の時間だけターゲット材の蒸発を継続させて達成される。成膜時間は約30分〜4時間の範囲で変わり得る。上記のように、現在好ましい実施の形態では、成膜は、TiNまたはAlTiNのいずれか、またはAlTiNの内層とTiNの外層とで行われ、金色に着色した外観が得られる。本発明の現在好ましい実施の形態では、AlTiNコーティングは約3μm〜約5μmの範囲の厚さで施される。AlTiN内層コーティングとTiN外層コーティングを含む実施の形態では、TiN外層コーティングは、AlTiN内層コーティングより薄い。コーティング(複数を含む)は、切刃部の対向する両刃先面に沿って延びる細長い部分に施される。本発明の現在好ましい実施の形態では、刃先の各細長い部分の幅は、約0.129mm〜約0.635mm(約0.005インチ〜約0.025インチ)の範囲であることが好ましい(各19.1mm(約0.75インチ)幅で約0.635mm(約0.025インチ)厚さのブレードに対して)。本発明の現在好ましい実施の形態の一つでは、この細長い部分の幅は約3.175mm(約0.125インチ)である。しかし、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、コーティングは、細長い部分に施すやり方とは違うフォーマットで施せるで、ブレードの全部および/または他の一部をカバーするようにもできる。コーティング工程が終了すれば、巻かれたバイメタルストリップは冷却され、チャンバは大気圧に戻される。コーティング済バイメタルストリップは取り出され、前記のように個々のブレードに分離される。前記のようなユーティリティブレードのコーティング工程に含まれる手順のステップの例は、表1に示される。
Figure 2006523147
コーティングとそのようなコーティングを施す方法の幾つかのタイプについては、Teer, D.G., et al.," Self Lubricating Coatings for the Production of Cutting and Forming Tools and Mechanical Components ", Vacuum Technology & Coating, Society of Vacuum Coaters, October 2000, pp.48-53に記載されているので、本明細書に参考文献として引用する。しかし、他のタイプのコーティング(複数を含む)と方法(複数を含む)またはこれらの組合せも用い得る。
勿論、上記のように、本発明に基づくユーティリティブレードとそのようなブレードを製造する方法は、必ずしもコーティング(複数を含む)を必要としない。
従って、本明細書の教示に基づいて当業者なら理解し得るように、特許請求の範囲に記載の発明の範囲に逸脱することなく、本発明のユーティリティブレードとそのようなブレードを製造する方法の前記および他の実施の形態に対し極めて多数の変形や修正を行い得る。好ましい実施の形態のこの詳細な記載は、説明のために行われたものであるので、限定を旨とするものではない。
本発明を具現化する複合ユーティリティブレードの上平面図である。 図1の複合ユーティリティブレードの端部を部分的に示す立面図で、ブレードの切刃部の刃先面がマルチになっていることを示す図である。 本発明のある種の実施の形態に基づく複合ユーティリティブレードを製造する方法に含まれる手順ステップを概念的に説明するフローチャートである。 本発明のある種の実施の形態に基づく複合ユーティリティブレードを製造する方法に含まれる手順ステップを概念的に説明するフローチャートである。 高速度鋼ワイヤをばね鋼峰部材端部に溶接し、本発明のある種の実施の形態に基づくバイメタルユーティリティブレードを形成するための装置の概略斜視図である。 バイメタルストリップに切り目を付け、打ち抜きも行って、本発明の一つの実施の形態に基づくバイメタルユーティリティブレードを形成するための装置の概略斜視図である。 本発明の一つの実施の形態に基づくバイメタルストリップをダイスカット加工する装置の概略斜視図である。 本発明の実施の形態に基づくストリップを焼入れする前にバイメタルストリップの高速度鋼または工具鋼端部にノッチを打ち抜く装置と、得られたノッチ付ストリップの概略斜視図である。 本発明の実施の形態に基づく複合ユーティリティブレードを製造するために複合ストリップを曲げて折り切る装置の概略上平面図である。 図8のライン9−9に沿って切断された、曲げて折り切る装置の部分断面図である。 複合バイメタルストリップの側立面図で、複合ストリップに作用して本発明の複合ユーティリティブレードを形成するための曲げて折り切る装置の曲げピンと打ち抜きパンチとをさらに示す図である。 本発明の複合ユーティリティブレードの平面図で、ユーティリティブレードが取り得る形状と構成との例をさらに示す図である。 本発明の複合ユーティリティブレードの平面図で、ユーティリティブレードが取り得る形状と構成との例をさらに示す図である。 本発明の複合ユーティリティブレードの平面図で、ユーティリティブレードが取り得る形状と構成との例をさらに示す図である。 本発明の複合ユーティリティブレードの平面図で、ユーティリティブレードが取り得る形状と構成との例をさらに示す図である。 本発明の複合ストリップのさらに別の実施の形態の断面図で、既成形の高速度鋼ワイヤをばね鋼峰部材端部に溶接して形成された複合ストリップを示す図である。 既成形の高速度鋼ワイヤを図12Aの複合ストリップのばね鋼峰部材に溶接する装置の概略斜視図である。 図12Aの複合ストリップの部分斜視図である。 本発明の複合ストリップのさらに別の実施の形態の断面図で、既成形の高速度鋼ワイヤをばね鋼峰部材端部に溶接して形成された複合ストリップを示す図である。 本発明の複合ストリップのさらに別の実施の形態の断面図で、既成形の高速度鋼ワイヤをばね鋼峰部材端部に溶接して形成された複合ストリップを示す図である。 本発明の複合ストリップのさらに別の実施の形態の断面図で、既成形の高速度鋼ワイヤをばね鋼峰部材端部に溶接して形成された複合ストリップを示す図である。

Claims (53)

  1. 峰部を形成する第一金属部分と、切刃部を形成するとともに第一既定断面形状を有する第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域と、を備える複合ユーティリティブレードを製造する方法において、
    第一側部と、第二側部と、第一側部と第二側部との間に対向する端部二つを備える鋼製の長い峰部材ストリップを素材として提供するステップと、
    ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状に実質的に対応する第二既定断面形状を有する耐摩耗性鋼製の長いワイヤを素材として提供するステップと、
    ワイヤを峰部材ストリップの端部の一つに接触させるステップと
    熱エネルギーをワイヤと峰部材ストリップとの間の境界面に加え、ワイヤを峰部材ストリップに溶接することによって、鋼製峰部材ストリップで形成された第一金属部分と、実質的に第二既定断面形状を有する耐摩耗性鋼ワイヤで形成された第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域と、を備える複合ストリップを形成するステップと、
    複合ストリップを熱処理するステップと、
    第二金属部分に少なくとも一面の刃先面を形成して、複合ストリップに耐摩耗性鋼の切刃部を形成するステップと、
    を含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  2. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、複合ストリップを複数のブレードに分離するステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  3. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの第二既定断面形状が実質的に長方形であり、ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状が少なくとも部分的には実質的に三角形であることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  4. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの第二既定断面形状が実質的に台形であり、第二金属部分の第一既定断面形状が少なくとも部分的には実質的に三角形であることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  5. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの第二既定断面形状が実質的に平行四辺形であり、第二金属部分の第一既定断面形状が少なくとも部分的には実質的に三角形であることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  6. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤを素材として提供するステップが、初期の断面形状を備えるワイヤを素材として提供し、次いでこのワイヤを初期の断面形状とは相異なる第二既定断面形状に成形するステップを含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  7. 請求項6に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤを峰部材ストリップに溶接する前に、ワイヤを第二既定断面形状に成形することを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  8. 請求項6に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの初期断面形状が実質的に円形で、ワイヤの第二既定断面形状がマルチ刃先面であることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  9. 請求項8に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの第二既定断面形状が、(a)実質的に長方形、(b)実質的に台形、(c)実質的に三角形、(d)実質的に平行四辺形状、および(e)実質的に直線で囲まれた形状と三角形との組合せを含む群から選択されることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  10. 請求項6に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤを第二既定断面形状に成形するステップが、(a)ワイヤをロール加工するステップ、(b)ワイヤをトルコヘッドに通過させるステップ、および(c)ワイヤを延伸ダイスに通過させるステップの少なくとも一つを含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  11. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの第二既定断面形状がブレードの第二金属部分の第一既定断面形状と実質的に同一であることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  12. 請求項11に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの第二既定断面形状と第二金属部分の第一既定断面形状とが、両者とも三角形であることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  13. 請求項12に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤの断面積がブレードの第二金属部分の断面積より大きいことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  14. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、ワイヤが本質的に高速度工具鋼からなることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  15. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、第二金属部分に少なくとも一面の刃先面を形成するステップが、研削、ホーニング仕上げ、および革砥磨きのうちの少なくとも一つの加工ステップを含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  16. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、熱処理ステップが、
    複合ストリップを焼入れするステップと、
    焼入れされた複合ストリップを焼き戻すステップと、
    硬化された複合ストリップを急冷するステップと、
    を含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  17. 請求項2に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、複数のブレードに分離するステップが、互いに軸方向に配置された切断ラインに沿って第一と第二金属部分の少なくとも一つの個所でダイスカットすることによって、複合ストリップから複数のユーティリティブレードを形成するステップを含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  18. 請求項17に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、各切断ラインが、第一金属部分の横端部に対して鋭角を成すように配置されていることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  19. 請求項17に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、軸方向に配置された個所で複合ストリップに切り目を付けて、切断ラインを形成するステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  20. 請求項17に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、
    各切断ラインと第二金属部分の境界面の個所で複合ストリップの耐摩耗性鋼端部に切り込みを切ることによって、この切れ込みで、形成された隣接する複合ユーティリティブレードの耐摩耗性鋼端部を複合ストリップから離すステップと、
    複合ストリップを焼入れするステップと、
    軸方向に配置された切断ラインに沿って焼入れされた複合ストリップの第一金属部分のみをダイスカットするによって、複合ストリップから複数のユーティリティブレードを形成するステップと、
    をさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  21. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、第一金属部分を約38Rc〜約52Rcの範囲の表面硬度に焼入れするステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  22. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、第二金属部分を約60Rc〜約75Rcの範囲の表面硬度に焼入れするステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  23. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、第一金属部分を第一表面硬度に焼入れし、第二金属部分を第二表面硬度に焼入れするステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  24. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、第一金属部分をばね鋼から形成し、第二金属部分を高速度鋼と工具鋼の少なくとも一つのから形成するステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  25. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、耐摩耗性切刃部をTiNとAlTiNの少なくとも一つでコーティングするステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  26. 請求項25に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、耐摩耗性切刃部をAlTiNの内層とTiNの外層でコーティングするステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  27. 請求項25に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、AlTiNコーティングを勾配付で、すなわち、コーティングの内側ではアルミ濃度を低く、コーティングの外側ではアルミ濃度を高くして施すステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  28. 請求項1に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、バイメタルストリップの少なくとも切刃部にPVDコーティングを施すステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  29. 請求項28に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、コーティングを施すステップが、バイメタルストリップをコイル状に巻いて、そのバイメタルストリップを巻いたものの間に緩衝ストリップを挟んだ構成のものとするステップを含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  30. 請求項29に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、緩衝ストリップが、バイメタルストリップの幅より狭い幅を有し、緩衝ストリップがバイメタルストリップと一緒に巻かれるとき、PVDコーティングを施すためにバイメタルストリップの既定部分を露出させるとともに、PVDコーティングが施されるのを防止するためにその隣接部分をカバーすることを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  31. 請求項30に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、コーティングを施すステップが、複数のバイメタルストリップ/緩衝ストリップのコイルアセンブリをPVD成膜チャンバに取り付けるステップと、このコイルアセンブリを軸方向に対しても角度に関しても互いに隙間があるように間隔を置いて配置するステップとを含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  32. 請求項31に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、コーティングを施すステップが、PVD成膜チャンバの複数のターゲット材料で規定された面に略平行な面にコイルアセンブリを配置するステップをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  33. 請求項31に記載の複合ユーティリティブレード製造方法において、複数のコイルアセンブリを回転装置に取り付けるステップと、コイルにコーティングを施す際にPVD成膜チャンバ内の複数のターゲット材料に対して複数のコイルアセンブリを回転するステップとをさらに含むことを特徴とする複合ユーティリティブレード製造方法。
  34. 少なくとも一本のユーティリティブレードを形成するための複合ストリップであって、このブレードが、峰部を形成する第一金属部分と、切刃部を形成するとともに第一既定断面形状を有する第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域とを備える複合ストリップにおいて、
    第一側部と、第二側部と、第一側部と第二側部との間に対向する端部二つとを備える鋼製の長い峰部材ストリップで規定される第一金属部分と、
    ブレードの第一既定断面形状に実質的に対応する第二既定断面形状を有する第二金属部分であって、耐摩耗性鋼製で形成された実質的に第二既定断面形状を有する長いワイヤで規定される第二金属部分と、
    第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域と、
    を備えることを特徴とする複合ストリップ。
  35. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、ワイヤの第二既定断面形状と第二金属部分の第一既定断面形状とが、実質的に台形であることを特徴とする複合ストリップ。
  36. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、ワイヤの第二既定断面形状と第二金属部分の第一既定断面形状が、実質的に平行四辺形であることを特徴とする複合ストリップ。
  37. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、ワイヤの第二既定断面形状と第二金属部分の第一既定断面形状とが、(a)実質的に長方形、(b)実質的に台形、(c)実質的に三角形、(d)実質的に平行四辺形状、(e)実質的に直線で囲まれた形状と三角形との組合せを含む群から選択されることを特徴とする複合ストリップ。
  38. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、ワイヤの第二既定断面形状が、ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状と実質的に同一であることを特徴とする複合ストリップ。
  39. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、ワイヤと第二金属部分とが、本質的に高速度鋼と工具鋼の少なくとも一つから成ることを特徴とする複合ストリップ。
  40. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、軸方向に並置された個所に複数の切り目ラインを備えることによって各切り目ライン間に複数のブレード部分をさらに規定することを特徴とする複合ストリップ。
  41. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、複合ストリップの第二金属部分に軸方向に並置される複数の切り込みをさらに備え、これら複数の切り込みが、複合ストリップからブレードを容易に分離する目的と、ブレードの切刃部のコーナー形状を規定する目的のうちの少なくとも一つの目的のため、各切り目ラインと第二金属部分の境目に各々形成されることを特徴とする複合ストリップ。
  42. 請求項34に記載の複合ストリップにおいて、AlTiNコーティングとTiNコーティングとのうちの少なくとも一つでさらにコーティングされていることを特徴とする複合ストリップ。
  43. 請求項42に記載の複合ストリップにおいて、内層AlTiNコーティングと外層TiNコーティングとでさらにコーティングされていることを特徴とする複合ストリップ。
  44. 請求項43に記載の複合ストリップにおいて、コーティングが、切刃部の対向する両刃先に沿って延びる細長い部分に施されていることを特徴とする複合ストリップ。
  45. 請求項44に記載の複合ストリップにおいて、各細長い部分が、約0.129mm〜約6.35mm(約0.005インチ〜約0.25インチ)の範囲の幅を有していることを特徴とする複合ストリップ。
  46. 少なくとも一本のユーティリティブレードを形成するための複合ストリップであって、このブレードが、峰部を形成する第一金属部分と、切刃部を形成するとともに第一既定断面形状を有する第二金属部分と、第一金属部分と第二金属部分とを接合する溶接域とを備える複合ストリップにおいて、
    第一表面硬度を有する長い金属製峰部を形成する第一部材と、
    第二部材であって、第一部材に溶接する前に、ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状に実質的に対応する第二既定断面形状に成形し、そして第一部材に溶接後に、第一表面硬度より大きい第二表面硬度を有する、鋭敏で、長い金属製切刃部を形成する第二部材と、
    第一部材と第二部材とを接合する溶接域と、
    を備えることを特徴とする複合ストリップ。
  47. 請求項46に記載の複合ストリップにおいて、第一部材が、鋼製の長い峰部材ストリップで規定される第一金属部分であることを特徴とする複合ストリップ。
  48. 請求項46に記載の複合ストリップにおいて、第二部材が、耐摩耗性鋼で形成され、実質的に第二既定断面形状を有している長いワイヤであることを特徴とする複合ストリップ。
  49. 請求項46に記載の複合ストリップにおいて、第二部材の第二既定断面形状と第二金属部分の第一既定断面形状とが、(a)実質的に長方形、(b)実質的に台形、(c)実質的に三角形、(d)実質的に平行四辺形状、および(e)実質的に直線で囲まれた形状と三角形の組合せを含む群から選択されることを特徴とする複合ストリップ。
  50. 請求項46に記載の複合ストリップにおいて、第二部材の第二既定断面形状が、ブレードの第二金属部分の第一既定断面形状と実質的に同一であることを特徴とする複合ストリップ。
  51. 請求項48に記載の複合ストリップにおいて、ワイヤと第二金属部分とが本質的に高速度鋼と工具鋼の少なくとも一つから成ることを特徴とする複合ストリップ。
  52. 請求項46に記載の複合ストリップにおいて、AlTiNコーティングとTiNコーティングとのうちの少なくとも一つでさらにコーティングされていることを特徴とする複合ストリップ。
  53. 請求項52に記載の複合ストリップにおいて、内層AlTiNコーティングと外層TiNコーティングとでさらにコーティングされていることを特徴とする複合ストリップ。

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