JPH08289889A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JPH08289889A
JPH08289889A JP9912995A JP9912995A JPH08289889A JP H08289889 A JPH08289889 A JP H08289889A JP 9912995 A JP9912995 A JP 9912995A JP 9912995 A JP9912995 A JP 9912995A JP H08289889 A JPH08289889 A JP H08289889A
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JP
Japan
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ultrasonic
piezoelectric element
transducer
focus
sound field
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JP9912995A
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English (en)
Inventor
Akiko Mizunuma
明子 水沼
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焦点深度が深く、しかも焦点での超音波ビー
ムの細い超音波振動子を提供し、広範囲に亘って鮮明な
超音波画像を、より単純で安価な観測装置と超音波振動
子を用いて得られるようにする。 【構成】 アニュラアレイ型超音波振動子(トランスデ
ューサ)4を、所定の点に焦点を結ぶ集束音場を発生す
る圧電素子1と、共焦点を有する同心円状の圧電素子
2,3とで構成し、その音響放射面に音響レンズ20を
接合する。圧電素子1の電極6を遅延線7、分離回路8
を介して励振回路9に接続し、圧電素子2の電極10を
遅延線11を介して励振回路9に接続し、圧電素子3の
電極12を励振回路9に接続する。励振回路9を観測装
置13に接続し、分離回路8をアンプ14を介して観測
装置13に接続する。各圧電素子の合成音場が、上記所
定の焦点とは異なる点に焦点を結ぶよう、圧電素子1,
2を3に対し遅延駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検体に対し放射した
超音波のエコーを受信して被検体の内部構造を映像化す
る、超音波診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波診断装置の従来例としては、例え
ば図10に示すものがある。この従来例(従来例1)
は、送信および受信の両方に使用するように構成された
1つの単一圧電素子を用いた超音波振動子(トランスデ
ューサ)101を備えている。超音波振動子101は、
被検体102に超音波を送信してから一定時間経過後に
超音波のエコーを受信する分離回路103に接続され、
分離回路103は、超音波の励振回路104およびアン
プ105を介して、超音波のエコーを受信して被検体内
部の情報を映像として表示する観測装置106に接続さ
れている。
【0003】この従来例1では、励振回路104から超
音波振動子101に駆動パルスが印加されると、超音波
振動子101内の圧電素子が駆動パルスによって励振さ
れ、超音波を発生する。この超音波は、被検体102の
内部の音響インピーダンスが変化する境界で音響インピ
ーダンスの差異に応じて反射される。反射された超音波
は送信時と同一の圧電素子で受信され、超音波振動子1
01は受信信号としてエコーを発生する。このエコー
は、分離回路103で送信信号から分離され、エコーの
みがアンプ105を介して観測装置106へ送信され
る。以上の手順により、一本の超音波ビームの送受信か
ら一本の音線上の情報を得る。そして、超音波振動子1
01の向きを変化させながら、夫々の向きの音線上の情
報を得ることにより被検体102の一定の範囲を走査
し、各音線上の情報を合成することにより超音波画像を
生成する。
【0004】また、超音波診断装置の他の従来例(従来
例2)としては、例えば図10の超音波振動子101
を、多数の長方形素子を直線状に配列したリニア型や、
多数の素子を扇型に配列したコンベックス型に構成した
ものがあり、さらに、多数の環状素子を配列したアニュ
ラアレイ型に構成したものもある。各素子は、従来例1
と同様に、分離回路103を介して励振回路104およ
び観測装置106に接続されている。
【0005】この従来例2は、多数の素子の励振タイミ
ングに時間差を与え、その時間差の大きさに応じて焦点
位置を制御する電子フォーカス方式により、超音波振動
子から任意の距離離れた被検体を鮮明に映像化する。そ
の際、リニア型およびコンベックス型では駆動する素子
を変更する電子走査式で、アニュラアレイ型では従来例
1と同様に素子を機械的に回転させる機械走査式で、夫
々走査を行う。
【0006】また、超音波診断装置の他の従来例(従来
例3)としては、従来例2と同様の構成において従来例
2と同様の電子フォーカス方式により焦点距離を制御す
る際に、焦点距離を様々に変化させるものがある。この
従来例3は、多数の位置にフォーカスを合わせながら夫
々の超音波画像を取得し、各超音波画像中のフォーカス
位置近傍の画像を合成することにより、1枚の超音波画
像を生成する。
【0007】また、超音波診断装置の他の従来例(従来
例4)としては、特開平2−159266号公報に開示
されたものがある。この従来例4は、従来例2とほぼ同
様に構成されており、受信時に各素子からの受信エコー
に時間差を与えて合成するダイナミックフォーカス方式
を採用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】超音波画像の画質に
は、各音線を形成する超音波ビームの形状が大きく影響
するため、被検体の浅い部位から深い部位まで広範囲の
超音波画像を得るためには、超音波振動子の近傍から遠
方までの広い範囲に亘って一定の深さの超音波ビームを
得る、すなわち焦点深度を深くする必要がある。一方、
鮮明な超音波画像を得るためには、各超音波ビームを細
くする必要がある。したがって、鮮明な超音波画像を広
い範囲に亘って得るためには、焦点深度が深く、かつ細
い超音波ビームを形成する必要がある。
【0009】従来、超音波内視鏡等に用いられている単
一圧電素子を使用した超音波振動子では、その音場特性
は、周波数、圧電素子の曲率、または圧電素子前面に配
置した音響レンズの曲率および材質によって決定され
る。一般に、超音波振動子では、超音波ビームを焦点で
細くなるようにすると、焦点が超音波振動子に接近し、
かつ焦点深度が浅くなる。逆に、焦点深度を深くする
と、超音波ビームは焦点で太くなり、かつ焦点は超音波
振動子から遠くなる。ところで、上記従来例1は、図1
0に示すように構成されているため、超音波ビーム径や
焦点深度を可変にすることは困難である。したがって、
この従来例1では、焦点深度を深くすることと超音波ビ
ームはを細くすることは両立せず、鮮明な超音波画像を
広い範囲に亘って得ることは不可能である。
【0010】一方、上記従来例2は、個々の圧電素子の
励振タイミングに時間差を与え、電子的に焦点距離を変
化させながら電気的または機械的に走査を行う電子フォ
ーカス方式を採用しているため、同一の超音波振動子を
使用して様々な焦点距離を実現することができる。しか
し、電子フォーカス方式は、圧電素子の駆動に時間差を
与えたり、受信信号を合成したりするために複雑な観測
装置を必要とし、コストアップを招く。また、圧電素子
に多数の配線を接続する必要があるため、細径化を要求
される体腔内超音波探触子に使用することは困難であ
る。さらに、特定の距離にフォーカスを合わせることは
できるが、その特定のフォーカス距離以外の部分では、
超音波ビームが広がってしまう。よって、超音波振動子
から特定の距離の部分では鮮明な超音波画像が得られる
が、それ以外の距離の部分では超音波画像はぼやけてし
まう。
【0011】また、上記従来例3は、例えば3枚の画像
を合成して1枚の超音波画像を得るように構成した場
合、単位時間当りに取得可能な画像数、すなわちフレー
ムレートが1/3に低下してしまう。フレームレートが
低下すると、観察中の生体の動き等の影響を受け、超音
波画像が不鮮明となる可能性が高くなるため、あまり実
用的な方法ではない。その上、画像合成のために、観測
装置の構成が上記従来例2よりもさらに複雑化してしま
う。また、多数の配線を必要とするため、体腔内超音波
探触子に適用することは困難である。
【0012】また、上記従来例4は、超音波振動子から
の距離に応じて画像合成方法を変えるようにしているた
め、観測装置の構成は上記従来例2、従来例3よりもさ
らに複雑化してしまい、コストアップを招く。
【0013】本発明は、上述した問題に鑑みてなされた
ものであり、焦点深度が深く、しかも焦点での超音波ビ
ームの細い超音波振動子を提供し、広範囲に亘って鮮明
な超音波画像を、より単純で安価な観測装置と超音波振
動子を用いて得られるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的のため、本発明
の請求項1の構成は、所定の点に焦点を結ぶ集束音場を
発生する軸対称な中心部振動子素子と、該中心部振動子
素子と同軸かつ共焦点を有するように配設された円環状
の周辺部振動子素子とを備えた分割型トランスデューサ
と、前記中心部振動子素子および周辺部振動子素子の合
成音場が、前記分割型トランスデューサの所定の焦点と
は異なる位置に焦点を結ぶように、前記中心部振動子素
子および周辺部振動子素子を遅延駆動する送信手段とを
具備して成ることを特徴とするものである。
【0015】
【作用】本願発明者は、所定の焦点(以下、幾何学的焦
点という)を結ぶような音響レンズを有する超音波振動
子(トランスデューサ)を用いて、上記幾何学的焦点と
は異なる点に電子的な焦点(以下、電子的焦点という)
を結ばせる実験を行ったところ、後述する第1実施例に
おいては幾何学的焦点距離=30mm,電子的焦点距離
=21mmの場合の実験結果(図3)が得られ、後述す
る第3実施例においては幾何学的焦点距離=30mm,
電子的焦点距離=58mmの場合の実験結果(図8)が
得られた。これらの実験結果により、電子走査等を行う
複雑な回路構成を採用しなくても、従来の単一圧電素子
より成る超音波振動子に比べて、焦点深度が深くかつビ
ーム径の細い送受波音場特性が得られることを確認し
た。
【0016】本発明の請求項1の構成によれば、送信手
段は、分割型トランスデューサの中心部振動子素子およ
び周辺部振動子素子を遅延駆動する。この遅延駆動によ
り、前記中心部振動子素子および周辺部振動子素子は夫
々、超音波を放射する。前記中心部振動子素子および周
辺部振動子素子から放射された超音波は、互いに位相差
を有しているため、重畳されて合成音場を形成する。こ
の合成音場は、前記分割型トランスデューサの所定の焦
点とは異なる位置に焦点を結ぶ。その際、上記遅延駆動
の時間差を適切に設定することにより、重畳した結果生
成される合成音場は、長い範囲に亘って細い音場形状を
示すことになる。放射された超音波は被検体で反射され
る。反射エコーは少なくとも1つの振動子素子で受信さ
れ、該振動素子は受信信号を発生する。その受信信号に
基づいて超音波画像を生成する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明の第1実施例の超音波診断装置
の構成を示す図である。この第1実施例は、焦点深度が
深く、焦点での超音波ビームが細い超音波音場を放射す
る超音波振動子を提供し、広範囲に亘って鮮明な超音波
画像を、より単純で安価な観測装置を用いて得られるよ
うにすることを目的としている。
【0018】本実施例の超音波診断装置は、図1に示す
ように、軸対称な円形の圧電素子(中心部振動子素子)
1と、その周囲に二重に設けられた同心円状の圧電素子
(周辺部振動子素子)2および3とから成るアニュラア
レイ型の超音波振動子(トランスデューサ)4を有して
いる。圧電素子1は、所定の点に焦点を結ぶ集束音場を
発生し、圧電素子2,3は、圧電素子1と共焦点を有し
ている。この超音波振動子の音響放射面には、音響レン
ズ20が接合されるとともに、圧電素子1、圧電素子
2、圧電素子3に共通する共通電極5が設けられてお
り、この共通電極5は接地されている。
【0019】圧電素子1の電極6には、80ns(ナノ
秒)の遅延線7および分離回路8を介して励振回路9が
接続されている。圧電素子2の電極10には40nsの
遅延線11を介して励振回路9が接続されている。圧電
素子3の電極12には直接、励振回路9が接続されてい
る。励振回路9には観測装置13が接続されている。ま
た、分離回路8にはアンプ14を介して観測装置13が
接続されている。観測装置には図示しないモニタや操作
パネルが設けられている。
【0020】図2は第1実施例の超音波診断装置の超音
波振動子の詳細図である。軸対称な円形の圧電素子1
と、その周囲に二重に設けられた同心円状の圧電素子2
および3とは、例えば非導電性ゴム製の円環状の樹脂ス
ペーサ15により分離されている。圧電素子1は直径
5.8mmであり、圧電素子Bは内径6.0mm、外径
8.4mmであり、圧電素子3は内径8.6mm、外径
11mmである。また、超音波振動子4の周波数は15
MHZである。
【0021】超音波振動子4の音響放射面には圧電素子
1、圧電素子2、圧電素子3を短絡する共通電極5が配
置されている。共通電極5は、圧電素子1、2、3と樹
脂スペーサ15とを一体的に接合した後に、音響放射面
側にニッケルをスパッタで付加して形成する。超音波振
動子4は、絶縁ハウジング17の内側に保持されてお
り、絶縁ハウジング17は、例えばポリエチレン製とす
る。絶縁ハウジング17の外側には導電ハウジング18
が配置されている。導電ハウジング18は、例えばステ
ンレス製とし、絶縁ハウジング17と接着固定されてい
る。共通電極16と導電ハウジング18とは、銅線19
で電気的に接続されている。
【0022】共通電極5の上面には、音響レンズ20が
配置されている。音響レンズ20は例えばフィラー入り
エポキシ樹脂製とし、音速は3000m/secであ
る。音響レンズ20の厚さは、中央部で1/4波長とな
っており、音響レンズ20の曲率はSR15mmであ
る。圧電素子1、圧電素子2、圧電素子3の非音響放射
面には夫々、電極6,10,12が設けられている。各
電極は夫々、電気的に独立しており、同軸ケーブル21
の芯線22が半田付けにより接続されている。また、同
軸ケーブル21のシールド線23は導電ハウジング18
の内面に接続されている。絶縁ハウジング17の内部の
空間にはダンパ材24が充填されている。ダンパ材24
は、例えばエポキシ樹脂中にジルコニア粉末を分散さ
せ、硬化させたものとする。
【0023】次に、本実施例の作用を説明する。観測装
置13の制御に基づいて励振回路9が駆動パルスを発生
する。この駆動パルスは、圧電素子3には直ちに印加さ
れ、圧電素子2には遅延線11を介して印加されるた
め、圧電素子3に比べて40ns遅延して同一の駆動パ
ルスが印加され、圧電素子1には遅延線7を介して印加
されるため、圧電素子3に比べて80ns遅延して同一
の駆動パルスが印加される。各圧電素子は、印加された
駆動電圧によって励振され、超音波を放射する。
【0024】圧電素子1から放射された超音波は所定の
点に焦点(幾何学的焦点)を結び、圧電素子2,3から
放射された超音波と重畳されて集束音場を形成する。そ
の際、圧電素子1,2を圧電素子3に対して夫々80n
s、40ns遅延して駆動することにより、圧電素子
1,2,3の合成音場が、幾何学的焦点とは異なる点に
焦点(光学的焦点)を結ぶことになる。形成された音場
を実測した特性を図3に例示する。図3は、形成された
音場を実測し、その強度分布を等高線で示したものであ
り、音軸周辺が最も高音圧であり、周囲に向かうほど音
圧が低下している。また、音軸に平行に等高線が密にな
っていることから、音軸に沿って細い高音圧部が存在し
ていることが判る。図3では、幾何学的焦点距離=30
mm、光学的焦点距離=21mmであった。
【0025】各圧電素子から放射された超音波は被検体
で反射され、反射エコーとなる。この反射エコーは圧電
素子1で受信され、圧電素子1は受信信号を発生する。
この受信信号は遅延線7、分離回路8およびアンプ14
を介して観測装置13へ送出され、観測装置13は超音
波画像を生成する。その際、分離回路8は高電圧の駆動
パルスがアンプ14に入力することを防止している。
【0026】この第1実施例によれば、単一圧電素子よ
り成る超音波振動子を有する従来の超音波診断装置では
得られなかった、焦点深度が深くかつ超音波ビームの細
い送信音場特性が得られる。したがって、広い範囲に亘
って、鮮明な超音波画像を描出することができる。しか
も、電子フォーカス等の複雑な回路構成を有する観測装
置を必要としないため、装置全体を安価に構成すること
ができる。
【0027】なお、上記第1実施例は、以下のように変
更することができる。上記において、樹脂スペーサ15
は、他の非導電性の弾性材料、テフロン、ポリサルホ
ン、ポリエチレン、シリコン等に置き換えることができ
る。また、絶縁ハウジング17は、他の非導電性材料、
テフロン、ポリサルホン、セラミックス等に置き換える
ことができる。また、導電ハウジング18は他の導電性
材料、銅、アルミニウム等に置き換えることができる。
また、絶縁ハウジング17の外表面にメッキ、スパッタ
等の方法で金属薄膜を形成することにより導電ハウジン
グを作成することができる。このように、材質を適切に
選択することによって、コスト、重量、寸法等の最適化
が可能である。
【0028】また、製作性を向上させるため、第1実施
例の超音波振動子の代わりに図4の変形例の超音波振動
子を用いてもよい。すなわち、この変形例においては、
第1実施例では圧電素子1、2、3で形成した超音波振
動子4を、1枚の圧電素子25で形成し、樹脂スペーサ
ー15は使用しない。超音波振動子4の音響放射面の反
対側に、第1実施例と同様に分割した電極を設ける。な
お、圧電素子材料としては、柱状の圧電素子を樹脂中に
多数埋め込んだ、複合圧電体を使用することが望まし
い。
【0029】この変形例においては、各電極に駆動パル
スが印加されると、その部分の圧電素子が励振され、超
音波を放射し、第1実施例と同様の作用をなす。この変
形例は、圧電素子をリング状に加工して組合わせる工程
が不要であるため、製作が容易である。
【0030】また、感度を向上させるため、第1実施例
の超音波振動子の代わりに、圧電素子1、圧電素子2、
圧電素子3の各々と、音響レンズ20との間に音響整合
層を設けた超音波振動子を用いてもよい。この変形例
は、音響整合層の効果により、圧電素子から被検体へ効
率よく超音波が放射されるため、高い感度が得られる。
【0031】また、感度を向上させるため、第1実施例
の超音波振動子の代わりに図5の変形例の超音波振動子
を用いてもよい。すなわち、この変形例においては、半
径30mmの球殻状の圧電素子1と、その周囲の二重の
同心球状の圧電素子2および圧電素子3とは、例えば非
導電性ゴム製の樹脂スペーサー15で分離されている。
圧電素子1は直径5.8mmであり、圧電素子2は内径
6.0mm、外径8.4mmであり、圧電素子3は内径
8.6mm、外径11mmである。また、この超音波振
動子の周波数は15MHZである。共通電極5の上面に
は、整合層26が配置されている。整合層26は、例え
ばフィラー入りエポキシ樹脂製であり、音響インピーダ
ンスは4.7MRayls、厚さは1/4波長である。
【0032】この変形例においては、各電極に駆動パル
スが印加されると、その部分の圧電素子が励振され、超
音波を放射し、第1実施例と同様の作用をなし、図3に
示すような音場が得られる。この変形例は、音響レンズ
を使用しない構成となっているため、音響レンズ内での
超音波減衰がなく、高い感度が得られる。なお、上記に
おいて、圧電素子として複合圧電体または高分子圧電体
を用いると、球殻状の圧電素子の製作が容易になる。
【0033】図6は本発明の第2実施例の超音波診断装
置の構成を示す図である。この第2実施例は、焦点深度
が深く、焦点での超音波ビームが細い受信超音波音場を
形成する超音波振動子を提供し、広範囲に亘って鮮明な
超音波画像を、より単純な観測装置を用いて得られるよ
うにすることを目的としている。
【0034】本実施例の超音波診断装置は、図6に示す
ように、第1実施例と同様に圧電素子1、2、3から成
るアニュラアレイ型の超音波振動子(トランスデュー
サ)4を有しているが、圧電素子3に設けられた電極1
2は加算器27に直接接続されている。また、圧電素子
2に設けられた電極10は40nsの遅延線11を介し
て加算器27に接続され、圧電素子1に設けられた電極
6は80nsの遅延線7および分離回路8を介して加算
器27に接続されている。また、分離回路8は振動回路
9に接続され、励振回路9は観測装置13に接続されて
いる。加算器27はアンプ14を介して観測装置13に
接続されている。なお、上記以外の部分は、第1実施例
と同様に構成するものとする。
【0035】次に、本実施例の作用を説明する。観測装
置13の制御に基づいて励振回路9が駆動パルスを発生
する。この駆動パルスは、分離回路8に到達した後、遅
延線7を介して圧電素子1に印加される。圧電素子1は
印加された駆動電圧によって励振され、超音波を放射す
る。圧電素子1から放射された超音波は被検体で反射さ
れ、反射エコーとなる。各反射エコーは圧電素子1、圧
電素子2、圧電素子3で夫々受信され、各圧電素子は夫
々受信信号を発生する。圧電素子2の受信信号は、遅延
線11の作用により、圧電素子3の受信信号よりも40
ns遅延して加算器27に到達する。圧電素子1の受信
信号は、遅延線7の作用により、圧電素子3の受信信号
よりも80ns遅延して加算器27に到達する。各圧電
素子の受信信号は、加算器27で加算、合成された後、
アンプ14で増幅され、観測装置13に入力される。
【0036】その結果、図3に示す第1実施例の音場特
性と同様な受信音場特性が得られる。すなわち、音軸に
沿った細い部分からの反射エコーが高感度で検出され
る。
【0037】この第2実施例によれば、単一圧電素子よ
り成る超音波振動子を有する従来の超音波診断装置では
得られなかった、焦点深度が深くかつ超音波ビームの細
い受信音場特性が得られる。したがって、広い範囲に亘
って、鮮明な超音波画像を描出することができる。しか
も、電子フォーカス等の複雑な回路構成を有する観測装
置を必要としないため、装置全体を安価に構成すること
ができる。
【0038】図7は本発明の第3実施例の超音波診断装
置の構成を示す図である。この第3実施例は、焦点深度
が深く、焦点での超音波ビームが細い送受信超音波音場
を形成する超音波振動子を提供し、広範囲に亘って鮮明
な超音波画像を、より単純な観測装置を用いて得られる
ようにすることを目的としている。
【0039】本実施例の超音波診断装置は、図7に示す
ように、第1実施例と同様に圧電素子1、2、3から成
るアニュラアレイ型の超音波振動子(トランスデュー
サ)4を有しているが、圧電素子3に設けられた電極1
2は107nsの遅延線32を介して分離回路30に接
続されている。また、圧電素子2に設けられた電極10
は58nsの遅延線11を介して分離回路29に接続さ
れ、圧電素子1に設けられた電極6は分離回路28に直
接接続されている。また、分離回路28,29,30は
夫々、励振回路9および加算区27に接続され、励振回
路9は観測装置13に接続されている。さらに、加算器
27はアンプ14を介して観測装置13に接続されてい
る。なお、上記以外の部分は、第1実施例と同様に構成
するものとする。
【0040】次に、本実施例の作用を説明する。観測装
置13の制御に基づいて励振回路9が駆動パルスを発生
する。この駆動パルスは、圧電素子1には分離回路28
を介して直ちに印加されるが、圧電素子2には分離回路
29および遅延線11を介して印加されるため、圧電素
子1に比べて58ns遅延して印加される。また、圧電
素子3には分離回路30および遅延線32を介して印加
されるため、圧電素子1に比べて107ns遅延して印
加される。各圧電素子は印加された駆動電圧によって励
振され、超音波を放射する。
【0041】圧電素子1から放射された超音波は所定の
点に焦点(幾何学的焦点)を結び、圧電素子2,3から
放射された超音波と重畳されて集束音場を形成する。そ
の際、圧電素子2,3を圧電素子1に対して夫々58n
s、107ns遅延して駆動することにより、圧電素子
1,2,3の合成音場が、幾何学的焦点とは異なる点に
焦点(光学的焦点)を結ぶことになる。形成された音場
を実測した特性を図8に例示する。図8は、形成された
音場を実測し、その強度分布を等高線で示したものであ
り、音軸周辺が最も高音圧であり、周囲に向かうほど音
圧が低下している。また、音軸に平行に等高線が密にな
っていることから、音軸に沿って細い高音圧部が存在し
ていることが判る。図8では、幾何学的焦点距離=30
mm、光学的焦点距離=58mmであった。
【0042】各圧電素子から放射された超音波は被検体
で反射され、反射エコーとなる。各反射エコーは圧電素
子1、圧電素子2、圧電素子3で夫々受信され、各圧電
素子は夫々受信信号を発生する。圧電素子2の受信信号
は、遅延線11の作用により、圧電素子1の受信信号よ
りも58ns遅延して加算器27に到達する。圧電素子
3の受信信号は、遅延線32の作用により、圧電素子1
の受信信号よりも107ns遅延して加算器27に到達
する。各圧電素子の受信信号は、加算器27で加算、合
成された後、アンプ14で増幅され、観測装置13に入
力される。
【0043】その結果、図3に示す第1実施例の音場特
性と同様な特性を有する図8の受信音場特性が得られ
る。すなわち、音軸に沿った細い部分からの反射エコー
が高感度で検出される。
【0044】この第3実施例によれば、単一圧電素子よ
り成る超音波振動子を有する従来の超音波診断装置では
得られなかった、焦点深度が深くかつ超音波ビームの細
い送信音場特性が得られる。したがって、広い範囲に亘
って、鮮明な超音波画像を描出することができる。しか
も、電子フォーカス等の複雑な回路構成を有する観測装
置を必要としないため、装置全体を安価に構成すること
ができる。また、図8に示す音場特性は、図3に示す第
1実施例の音場特性の音響放射面から3センチメートル
程度の位置に存在する若干超音波ビームの太い部分が解
消されているため、アーティファクトが少なくなる効果
が得られる。
【0045】上記第3実施例において、装置を細径化し
て体腔内への挿入を容易化するため、超音波振動子4を
図9の変形例のようにしてもよい。すなわち、この変形
例の超音波振動子4は、中央部の楕円形の圧電素子1お
よびその周囲の楕円環形の圧電素子2および圧電素子3
より成り、ラジアル走査時には、楕円形の長軸31に平
行な軸を中心にして回転する。この変形例は、第3実施
例と同様の作用をなす。また、この変形例は、超音波振
動子の部分を細くできるため、体腔内への挿入が容易に
なる。
【0046】なお、本発明は上述した例のみに限定され
るものではなく、種々の変更または変形を加えることが
できる。例えば、所定の点に焦点を結ぶ集束音場を発生
する軸対称な中心部振動子素子と、該中心部振動子素子
と同軸かつ共焦点を有するように配設された円環状の周
辺部振動子素子とを備えた分割型トランスデューサと、
前記中心部振動子素子および周辺部振動子素子の合成音
場が、前記分割型トランスデューサの所定の焦点とは異
なる位置に焦点を結ぶように、前記中心部振動子素子お
よび周辺部振動子素子を遅延駆動する送信手段とを具備
して成る超音波診断装置(付記項1)において、前記周
辺部振動子素子は、同軸かつ共焦点の複数の円環状振動
子素子から成るようにしてもよい(付記項2)。
【0047】また、上記付記項1の超音波診断装置にお
いて、前記分割型トランスデューサの中心部振動子素子
および周辺部振動子素子は、各超音波放射面が共通の曲
率の球殻に沿うように形成されて、前記所定の焦点を結
ぶようにしてもよい(付記項3)。また、上記付記項1
の超音波診断装置において、前記分割型トランスデュー
サは、前記所定の焦点を結ぶ音響レンズ手段を有するよ
うにしてもよい(付記項4)。
【0048】また、所定の点に焦点を結ぶ集束音場を発
生し、該焦点方向に垂直な断面が楕円形である中心部振
動子素子と、該中心部振動子素子と同軸かつ共焦点を有
するように配設された楕円の環状形状を有する周辺部振
動子素子とを備えた分割型トランスデューサと、前記中
心部振動子素子および周辺部振動子素子の合成音場が、
前記分割型トランスデューサの所定の焦点とは異なる位
置に焦点を結ぶように、前記中心部振動子素子および周
辺部振動子素子を遅延駆動する送信手段とを具備するよ
うにしてもよい(付記項5)。また、上記付記項5の超
音波診断装置において、前記分割型トランスデューサ
を、その楕円形状の長軸方向について回転走査する走査
手段を有するようにしてもよい(付記項6)。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1の
超音波診断装置によれば、単一圧電素子より成る超音波
振動子を有する従来の超音波診断装置では得られなかっ
た、焦点深度が深くかつ超音波ビームの細い送信音場特
性または受信音場特性が得られる。したがって、広い範
囲に亘って、鮮明な超音波画像を描出することができ
る。しかも、電子フォーカス等の複雑な回路構成を有す
る観測装置を必要としないため、装置全体を安価に構成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の超音波診断装置の構成を
示す図である。
【図2】第1実施例の超音波診断装置の超音波振動子の
詳細図である。
【図3】第1実施例の音場特性を例示する図である。
【図4】第1実施例の変形例を示す図である。
【図5】第1実施例の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例の超音波診断装置の構成を
示す図である。
【図7】本発明の第3実施例の超音波診断装置の構成を
示す図である。
【図8】第3実施例の音場特性を例示する図である。
【図9】第3実施例の変形例を示す図である。
【図10】従来例の超音波診断装置の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 圧電素子(中心部振動子素子) 2、3 圧電素子(周辺部振動子素子) 4 アニュラアレイ型の超音波振動子(トランスデュー
サ) 5 共通電極 6、10、12 電極 7、11 遅延線 8 分離回路 9 励振回路 13 観測装置 14 アンプ 20 音響レンズ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の点に焦点を結ぶ集束音場を発生す
    る軸対称な中心部振動子素子と、該中心部振動子素子と
    同軸かつ共焦点を有するように配設された円環状の周辺
    部振動子素子とを備えた分割型トランスデューサと、 前記中心部振動子素子および周辺部振動子素子の合成音
    場が、前記分割型トランスデューサの所定の焦点とは異
    なる位置に焦点を結ぶように、前記中心部振動子素子お
    よび周辺部振動子素子を遅延駆動する送信手段とを具備
    して成ることを特徴とする超音波診断装置。
JP9912995A 1995-04-25 1995-04-25 超音波診断装置 Withdrawn JPH08289889A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001004607A (ja) * 1999-06-24 2001-01-12 Nkk Corp 超音波探傷方法及び装置
JP2002502622A (ja) * 1998-02-03 2002-01-29 ボストン・サイアンティフィック・リミテッド 環状アレイ構造の超音波カテーテル
JP2007132953A (ja) * 2007-02-09 2007-05-31 Jfe Steel Kk 超音波探傷方法及び装置
KR101511099B1 (ko) * 2013-04-24 2015-04-10 안영욱 스마트폰에 사용 가능한 태아심음측정 트랜스듀서

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