JPH08284834A - 振動式圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷凍サイクル等に使用する振動式圧縮機に関
し、特に効率の向上を図る。 【構成】 密閉ケーシング１内に収納されたシリンダ
４、軸受６、ブロック１３と、固定子３ａと可動子３ｂ
とから構成されるモーター３と、可動子３ｂが固定され
たピストン５と、一端が可動子３ｂまたはピストン５の
いずれかに固定され、他端がシリンダ４、軸受６、ブロ
ック１３のいずれかに固定された共振スプリング８と、
シリンダ４とブロック１３に囲まれた背圧室１４と、背
圧室の下部に溜められた潤滑油１７と、背圧室１４と密
閉ケーシング１外とを連通する背圧管１５と、吸入管１
１、吐出管１２、背圧管１５の３箇所の間に配設された
圧力制御機構１６とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は冷凍サイクル等に使用す
る振動式圧縮機に関し、特に効率の向上に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来の振動式圧縮機としては、特開昭５
１−５７００９号公報に示されているものがある。以
下、図面を参照しながら上記従来の振動式圧縮機の一例
を説明する。

【０００３】従来の構成を図４に示す。図４において、
１は密閉ケーシング、２は本体である。本体２は、モー
ター３、シリンダ４、ピストン５、軸受６、シリンダヘ
ッド７、共振スプリング８とから構成されており、サス
ペンションスプリング（図示せず）により、密閉ケーシ
ング１内に弾性支持されている。またモーター３は、固
定子３ａと可動子３ｂとから構成されており、可動子３
ｂはピストン５に固定されている。９は潤滑油であり、
密閉ケーシング１の下部に溜められている。

【０００４】シリンダ４と軸受６は、ピストン５が軸方
向に摺動可能なように支持している。共振スプリング８
は、一端がモーター３の可動子３ｂに固定され、他端が
軸受６固定されており、一部が密閉ケーシング１の下部
に溜められている潤滑油１２中に浸っている。

【０００５】共振スプリング８が自然長の状態で、ピス
トン５に固定されたモーター３の可動子３ｂは、固定子
３ａに対してシリンダ４側に配設されている。１０はシ
リンダ４とピストン５とから構成される圧縮室である。
１１は吸入管、１２は吐出管であり、それぞれシリンダ
ヘッド７の低圧室７ａ、高圧室７ｂに連通している。

【０００６】次に、振動式圧縮機の機構について説明す
る。交流電源を半波整流し、コイル巻線で形成された固
定子３ａに通電することにより、ピストン５に固定され
た可動子３ｂは固定子３ａの磁極の方向に磁気可変抵抗
原理により吸引される。そして吸引時に、可動子３ｂと
軸受６間に配設した共振スプリング８に蓄えられた弾性
力により、逆方向に押され、この繰り返しによりピスト
ン５は軸方向の往復運動を繰り返す。

【０００７】冷却システム（図示せず）からの冷媒ガス
は、吸入管１１を介して、一部の冷媒ガスは密閉ケーシ
ング１内に放出されるが、大部分の冷媒ガスはシリンダ
ヘッド７の低圧室７ａに導かれ、シリンダ４内の圧縮室
１０に至る。圧縮室１０に至った冷媒ガスは、上述した
ピストン５の往復運動により圧縮される。圧縮された冷
媒ガスは、シリンダヘッド７内に配設されている吐出弁
（図示せず）を介して一旦シリンダヘッド７内の高圧室
７ｂに吐出された後、吐出管１２を介して冷却システム
に吐出される。

【０００８】また、密閉ケーシング１内の下部に溜まっ
た潤滑油９は、ピストン５の軸方向の往復運動に伴う共
振スプリング６の伸縮運動によりかく拌され、密閉ケー
シング１内に飛散し、シリンダ４とピストン５間の摺動
部や、軸受６とピストン５間の摺動部を潤滑、シールし
ている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のような構成では、圧縮機の運転圧力条件等が変化する
と、ピストン及び可動子の軸方向への移動量（以降スト
ローク）が変化する。ストロークが大きくなると、ピス
トンがシリンダヘッドに衝突し、ピストンやシリンダヘ
ッドが損傷したり、騒音が大きくなる可能性があった。

【００１０】また、ストロークが小さくなると、同時に
ピストンのストローク中心が反圧縮室１０側へ移動しピ
ストンが上死点まで到達しなくなる。すなわちストロー
クが小さくなると、圧縮室１０に吸入された冷媒ガスを
十分に昇圧できず、また再膨張容積が増大するため、圧
縮機の能力及び効率が低下する可能性があった。

【００１１】本発明は、従来の課題を解決するもので、
圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン及び可動子
の軸方向への移動量（以降ストローク）が変化して、ピ
ストンのストロークが大きくなっても、ピストンがシリ
ンダヘッドに衝突することを防止し、ピストンやシリン
ダヘッドが損傷したり、騒音が大きくなることを防止す
る。また、ストロークが小さくなっても、常にピストン
を上死点まで到達させることにより、冷媒ガスの昇圧不
足及び再膨張容積の増大を防止する。

【００１２】また、運転圧力条件の変化等により冷媒循
環量が増加し、圧縮室１０に供給された潤滑油１２が多
量に密閉ケーシング１外に持ち出され、密閉ケーシング
１の下部に溜められた潤滑油の油面が低下すると、共振
スプリング８が潤滑油１２に浸らなくなる。そして、ピ
ストン５とシリンダ４間の摺動部及びピストン５と軸受
６間の摺動部への給油不足や冷却不足により、摺動部の
摩耗、シール性の低下、冷媒ガスの過熱による体積効率
の低下が引き起こされる可能性があった。

【００１３】本発明は、従来の課題を解決するもので、
密閉ケーシング外への潤滑油の持ち出し量を低減し、常
に共振スプリングの一部を潤滑油中に浸すことにより、
ピストンとシリンダ間の摺動部及びピストンと軸受間の
摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行うことがで
き、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガスの過熱を
防止することができる。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の振動式圧縮機は、密閉ケーシングと、密閉ケー
シング内に収納されたシリンダ、軸受、ブロックと、固
定子と可動子とから構成されるモーターと、シリンダ内
と軸受内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピ
ストンと、一端がモーターの可動子またはピストンのい
ずれかに固定され、他端がシリンダ、軸受、ブロックの
いずれかに固定された共振スプリングと、シリンダとブ
ロックに囲まれた背圧室と、背圧室の下部に溜められた
潤滑油と、背圧室と密閉ケーシング外とを連通する背圧
管と、吸入管、シリンダヘッドの低圧室、密閉ケーシン
グ内のいずれかと、吐出管、シリンダヘッドの高圧室の
いずれかと、背圧管の３箇所の間に配設された圧力制御
機構とから構成されている。

【００１５】また、シリンダに固定されたシリンダヘッ
ドと、シリンダヘッドの下部と、背圧室内を連通する連
通路とから構成されている。

【００１６】また、密閉ケーシングと、密閉ケーシング
内に収納されたシリンダ、軸受、ブロックと、固定子と
可動子とから構成されるモーターと、シリンダ内と軸受
内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストン
と、一端がモーターの可動子またはピストンのいずれか
に固定され、他端がシリンダ、軸受、ブロックのいずれ
かに固定された共振スプリングと、シリンダ、ブロッ
ク、モーターの固定子に囲まれた背圧室と、背圧室の下
部に溜められた潤滑油と、背圧室と密閉ケーシング１外
とを連通する背圧管と、吸入管、シリンダヘッドの低圧
室、密閉ケーシング内のいずれかと、吐出管、シリンダ
ヘッドの高圧室のいずれかと、背圧管の３箇所の間に配
設された圧力制御機構とから構成されている。

【００１７】

【作用】本発明の振動式圧縮機は、運転圧力条件等が変
化し、ピストン及び可動子の軸方向へのストロークが変
化しても、ピストンとシリンダ間の摺動部及びピストン
と軸受間の摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行
うことができ、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガ
スの過熱を防止することができる。さらに、ストローク
が大きくなった際には、ピストンがシリンダヘッドに衝
突してピストンやシリンダヘッドが損傷することを防止
でき、また騒音の発生を防止することができる。

【００１８】また、ストロークが小さくなった際には、
ピストンを常にが上死点まで到達させることができ、冷
媒ガスを昇圧不足や再膨張容積の増大を防止することが
できる。

【００１９】また、密閉ケーシング外への潤滑油の持ち
出し量を低減し、常に共振スプリングの一部を潤滑油中
に浸すことにより、ピストンとシリンダ間の摺動部及び
ピストンと軸受間の摺動部に十分な給油を行うとともに
冷却を行うことができ、摺動部の摩耗やシール性の低
下、冷媒ガスの過熱を防止することができる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明による振動式圧縮機の第１の実
施例について、図面を参照しながら説明する。尚、従来
と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を
省略する。

【００２１】図１は本発明の第１の実施例による振動式
圧縮機の縦断面図である。図１において、１３はブロッ
ク、１４はシリンダ４とブロック１３に囲まれた背圧
室、１５は背圧室１４と密閉ケーシング１外とを連通す
る背圧管である。

【００２２】１６は圧力制御機構であり、２つの圧力調
整弁１６ａ、１６ｂと、吸入管１１からの導圧管１６
ｃ、吐出管１２からの導圧管１６ｄ、背圧管１５への圧
力管１６ｅとから構成されており、背圧管１５、吸入管
１１、吐出管１２の間に配設されている。

【００２３】１７は、背圧室１４の下部に溜められた潤
滑油である。以上のように構成された振動式圧縮機にお
いて、以下その動作を説明する。

【００２４】圧力制御機構１６は、吸入管１１内の低圧
圧力と吐出管１２内の高圧圧力から導いた圧力を圧力調
整弁１６ａ、１６ｂにより調整し、低圧圧力と高圧圧力
の中間の圧力（中間圧力）とし、背圧室１４にその中間
圧力を導いている。

【００２５】まず、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、
ピストン５のストロークが増大する場合について説明す
る。ピストン５のストロークが増大すると、ピストン５
がシリンダヘッド７に衝突しそうになる。

【００２６】この時、圧力制御機構１６の圧力調整弁１
６ａをより開き、圧力調整弁１６ｂをより閉じることに
より、背圧室１４内の中間圧力は低下する。

【００２７】そのため、ピストン５の端部５ａに作用す
るシリンダ４側へのガス圧荷重が減少し、ピストン５の
ストロークの中心が反圧縮室１０側へ移動し、ピストン
５は上死点を越えてシリンダヘッド７側へストロークす
ることはなくなる。この時、ピストン５のストローク量
はほとんど変化しない。

【００２８】従って、圧縮機の運転圧力条件が変化し、
ピストン５のストロークが増大しても、背圧室１４内の
中間圧力が低下することにより、ピストン５のストロー
ク量は変化しないが、ストロークの中心が反シリンダ４
側へ移動し、ピストン５がシリンダヘッド７に衝突する
ことを防止し、ピストン５やシリンダヘッド７の損傷を
防止できると共に、衝突による騒音の発生も防止するこ
とができる。

【００２９】次に、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、
ピストン５のストロークが減少する場合について説明す
る。ピストン５のストロークが減少すると、ピストン５
のストローク中心が反圧縮室１０側へ移動する。そし
て、ピストン５が上死点まで到達しなくなる。

【００３０】この時、圧力制御機構１６の圧力調整弁１
６ａをより閉じ、圧力調整弁１６ｂをより開くことによ
り、背圧室１４内の中間圧力は上昇する。そのため、ピ
ストン５の端部５ａに作用するシリンダ４側へのガス圧
荷重が増大し、ピストン５のストロークの中心がシリン
ダ４側へ移動するため、ピストン５は上死点に到達す
る。この時、ピストン５のストローク量はほとんど変化
しない。

【００３１】従って、圧縮機の運転圧力条件が変化し、
ピストン５のストロークが減少しても、背圧室１４内の
中間圧力が上昇することにより、ピストン５のストロー
ク量は変化しないが、ストロークの中心がシリンダ４側
へ移動し、ピストン５を上死点まで到達させることがで
き、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨張容積の増大を防止す
ることができる。

【００３２】次に、摺動部の給油について述べる。背圧
室１４内の共振スプリング８の下部は潤滑油１７中に浸
っているため、ピストン５の軸方向の往復運動とともに
伸縮した際に、潤滑油１７をかく拌し、背圧室１４内に
潤滑油１７が飛散する。

【００３３】この飛散した潤滑油１７により、シリンダ
４とピストン５間の摺動部や、軸受６とピストン５間の
摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行うことがで
き、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガスの過熱を
防止することができる。

【００３４】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、
密閉ケーシング１内に収納されたシリンダ４、軸受６、
ブロック１３と、固定子３ａと可動子３ｂとから構成さ
れるモーター３と、シリンダ４内と軸受６内に嵌めら
れ、モーター３の可動子３ｂが固定されたピストン５
と、一端がモーター３の可動子３ｂまたはピストン５の
いずれかに固定され、他端がシリンダ４、軸受６、ブロ
ック１３のいずれかに固定された共振スプリング８と、
シリンダ４とブロック１３に囲まれた背圧室１４と、背
圧室１４の下部に溜められた潤滑油１７と、背圧室１７
と密閉ケーシング１外とを連通する背圧管１５と、吸入
管１１、シリンダヘッド７の低圧室７ａ、密閉ケーシン
グ１内のいずれかと、吐出管１２、シリンダヘッド７の
高圧室７ｂのいずれかと、背圧管１５の３箇所の間に配
設された圧力制御機構１６を備えたものであるから、圧
縮機の運転圧力条件が変化し、ピストン５のストローク
が増大しても、背圧室１４内の中間圧力が低下すること
により、ストロークの中心が反シリンダ４側へ移動し、
ピストン５がシリンダヘッド７に衝突することを防止
し、ピストン５やシリンダヘッド７の損傷を防止できる
と共に、衝突による騒音の発生も防止することができ
る。

【００３５】また、圧縮機の運転圧力条件が変化し、ピ
ストン５のストロークが減少しても、背圧室１４内の中
間圧力が上昇することにより、ストロークの中心がシリ
ンダ４側へ移動し、ピストン５は上死点まで到達させる
ことができ、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨張容積の増大
を防止することができる。

【００３６】また、背圧室１４内の共振スプリング８の
下部は、潤滑油１７中に浸っており、ピストン５の軸方
向の往復運動とともに伸縮し、潤滑油１７を飛散させる
ことができるので、シリンダ４とピストン５間の摺動部
や、軸受６とピストン５間の摺動部に十分な給油を行う
とともに冷却を行うことができ、摺動部の摩耗やシール
性の低下、冷媒ガスの過熱を防止することができる。

【００３７】尚、本実施例においては、運転圧力条件ご
とに背圧室１４内の中間圧力の設定値を事前に把握して
おく必要があるが、ピストン５の位置を検出する手段を
備え、その検出信号に応じて背圧室１４内の圧力を制御
する構成でも、同様の効果が得られることは言うまでも
ない。

【００３８】また本実施例では、圧力制御機構１６を吸
入管１１と吐出管１２に接続しているが、低圧圧力であ
る密閉ケーシング１内、シリンダヘッド７の低圧室７
ａ、高圧圧力であるシリンダヘッド７の高圧室７ｂ等の
低圧圧力部と高圧圧力部に接続しても同様の効果が得ら
れることは言うまでもない。

【００３９】また本実施例では、圧力制御機構１６とし
て、２つの圧力調整弁１６ａ、１６ｂと、吸入管１１か
らの導圧管１６ｃ、吐出管１２からの導圧管１６ｄ、背
圧管１５への圧力管１６ｅとの構成で示しているが、背
圧室１４内の圧力を制御できる他の構成でも同様の効果
が得られることは言うまでもない。

【００４０】また本実施例では、背圧室１４内の潤滑油
１７を共振スプリング８にて飛散させているが、ピスト
ン５、可動子３ｂ等の背圧室１４内で可動するものであ
れば同様の効果が得られることは言うまでもない。

【００４１】また本実施例では、固定子３ａとしてコイ
ル巻線による形成、可動子３ｂとして鉄心の構成である
が、往復運動を行うモーター構成であれば磁石等を用い
た他の構成であっても同様の効果が得られることは言う
までもない。

【００４２】次に、本発明の回転式圧縮機の第２の実施
例について、図面を参照しながら説明する。尚、第１の
実施例と同一構成については、同一符号を付して詳細な
説明は省略する。

【００４３】図２は本発明の第２の実施例による回転式
圧縮機の要部断面図である。図２において、１８はシリ
ンダヘッド７の高圧室７ｂと背圧室１４とを連通する連
通路である。連通路１８としては、オイルキャピラリー
のように絞ったものが望ましい。

【００４４】以上のように構成された振動式圧縮機にお
いて、以下その動作を説明する。圧縮機の運転中におい
て、背圧室１４に飛散し、ピストン５とシリンダ４間の
摺動部に供給された一部の潤滑油１７及び冷却システム
から圧縮機に吸入された潤滑油は、圧縮室１０内に至
り、ピストン５により圧縮された冷媒ガスとともにシリ
ンダヘッド７の高圧室７ｂ内に吐出される。

【００４５】その際、高圧室７ｂは一定以上の容積を備
えているため、吐出された潤滑油を含む冷媒ガスの流速
は低下し、潤滑油の一部は高圧室７ｂ内で分離され高圧
室７ｂの下部に溜まる。また、高圧室７ｂ内に吐出され
た潤滑油を含む冷媒ガスは高圧室７ｂの壁面に衝突し、
潤滑油の一部は高圧室７ｂ内で分離され高圧室７ｂの下
部に溜まる。

【００４６】高圧室７ｂの下部に溜まった潤滑油は、高
圧圧力である高圧室７ｂと高圧圧力と低圧圧力の中間圧
力である背圧室１４内の圧力差により、背圧室１４内に
導かれ背圧室１４の下部に溜められる。そのため、背圧
室１４の下部に溜められた潤滑油１７として再び、ピス
トン５とシリンダ４間の摺動部に供給される。そのた
め、背圧室１４内の潤滑油１７の油面はほぼ一定に保た
れ、共振スプリング８は常に潤滑油１７を背圧室１４内
に飛散させることができる。

【００４７】また、運転圧力条件の変化等により冷媒循
環量が増加した際等においても、密閉ケーシング１外へ
の潤滑油１７の持ち出し量を低減し、常に共振スプリン
グ８の一部を潤滑油１７中に浸すことにより、ピストン
５とシリンダ４間の摺動部及びピストン５と軸受６間の
摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行うことがで
き、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガスの過熱を
防止することができる。

【００４８】また、連通路１８をオイルキャピラリーの
ように通路抵抗の大きいものであれば、背圧室１４内の
中間圧力にほとんど影響を及ぼすことはない。

【００４９】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、
シリンダヘッド７の高圧室７ｂ下部と、背圧室１４内を
連通する連通路１８を備えたものであるから、運転圧力
条件の変化等により冷媒循環量が増加した際等において
も、密閉ケーシング１外への潤滑油１７の持ち出し量を
低減し、常に共振スプリング８の一部を潤滑油１７中に
浸すことにより、ピストン５とシリンダ４間の摺動部及
びピストン５と軸受６間の摺動部に十分な給油を行うと
ともに冷却を行うことができ、摺動部の摩耗やシール性
の低下、冷媒ガスの過熱を防止することができる。

【００５０】尚、本実施例では、背圧室１４内の潤滑油
１７を共振スプリング８にて飛散させているが、ピスト
ン５、可動子３ｂ等の背圧室１４内で可動するものであ
れば同様の効果が得られることは言うまでもない。

【００５１】また本実施例では、連通路１８は一端がシ
リンダヘッド７の高圧室７ｂ下部に連通しているが、圧
縮された冷媒ガス中に含まれる潤滑油を分離できる構成
部品または部位に連通しても同様の効果が得られること
は言うまでもない。

【００５２】以下、本発明による振動式圧縮機の第３の
実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、従
来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明
を省略する。

【００５３】図３は本発明の第３の実施例による振動式
圧縮機の縦断面図である。図３において、１３はブロッ
ク、１９はシリンダ４とブロック１３に囲まれた背圧
室、１５は背圧室１９と密閉ケーシング１外とを連通す
る背圧管である。

【００５４】１６は圧力制御機構であり、２つの圧力調
整弁１６ａ、１６ｂと、吸入管１１からの導圧管１６
ｃ、吐出管１２からの導圧管１６ｄ、背圧管１５への圧
力管１６ｅとから構成されており、背圧管１５、吸入管
１１、吐出管１２の間に配設されている。

【００５５】１７は、背圧室１９の下部に溜められた潤
滑油である。以上のように構成された振動式圧縮機にお
いて、以下その動作を説明する。

【００５６】圧力制御機構１６は、吸入管１１内の低圧
圧力と吐出管１２内の高圧圧力から導いた圧力を圧力調
整弁１６ａ、１６ｂにより調整し、低圧圧力と高圧圧力
の中間の圧力（中間圧力）とし、背圧室にその中間圧力
を導いている。

【００５７】まず、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、
ピストン５のストロークが増大する場合について説明す
る。

【００５８】ピストン５のストロークが増大すると、ピ
ストン５がシリンダヘッド７に衝突しそうになる。この
時、圧力制御機構１６の圧力調整弁１６ａをより開き、
圧力調整弁１６ｂをより閉じることにより、背圧室１９
内の中間圧力は低下する。

【００５９】そのため、ピストン５の端部５ａに作用す
るシリンダ４側へのガス圧荷重が減少し、ピストン５の
ストロークの中心が反圧縮室１０側へ移動し、ピストン
５は上死点を越えてシリンダヘッド７側へストロークす
ることはなくなる。この時、ピストン５のストローク量
はほとんど変化しない。

【００６０】従って、圧縮機の運転圧力条件が変化し、
ピストン５のストロークが増大しても、背圧室１９内の
中間圧力が低下することにより、ピストン５のストロー
ク量は変化しないが、ストロークの中心が反シリンダ４
側へ移動し、ピストン５がシリンダヘッド７に衝突する
ことを防止し、ピストン５やシリンダヘッド７の損傷を
防止できると共に、衝突による騒音の発生も防止するこ
とができる。

【００６１】次に、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、
ピストン５のストロークが減少する場合について説明す
る。ピストン５のストロークが減少すると、ピストン５
のストローク中心が反圧縮室１０側へ移動する。

【００６２】そして、ピストン５が上死点まで到達しな
くなる。この時、圧力制御機構１６の圧力調整弁１６ａ
をより閉じ、圧力調整弁１６ｂをより開くことにより、
背圧室１９内の中間圧力は上昇する。

【００６３】そのため、ピストン５の端部５ａに作用す
るシリンダ４側へのガス圧荷重が増大し、ピストン５の
ストロークの中心がシリンダ４側へ移動するため、ピス
トン５は上死点に到達する。

【００６４】この時、ピストン５のストローク量はほと
んど変化しない。従って、圧縮機の運転圧力条件が変化
し、ピストン５のストロークが減少しても、背圧室１９
内の中間圧力が上昇することにより、ピストン５のスト
ローク量は変化しないが、ストロークの中心がシリンダ
４側へ移動し、ピストン５は上死点まで到達する。

【００６５】次に、摺動部の給油について述べる。背圧
室１９内の共振スプリング８の下部は潤滑油１７中に浸
っているため、ピストン５の軸方向の往復運動とともに
伸縮した際に、潤滑油１７をかく拌し、背圧室１９内に
潤滑油１７が飛散する。この飛散した潤滑油１７によ
り、シリンダ４とピストン５間の摺動部や、軸受６とピ
ストン５間の摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を
行うことができ、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒
ガスの過熱を防止することができる。

【００６６】また、モーター３の固定子３ａの外周部
は、低圧圧力である密閉ケーシング１内に接しているた
め、密閉ケーシング１内の冷媒ガスにより冷却され、固
定子３ａを形成しているコイル巻線等の焼け等を防止で
き、信頼性が向上する。

【００６７】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、
密閉ケーシング１内に収納されたシリンダ４、軸受６、
ブロック１３と、固定子３ａと可動子３ｂとから構成さ
れるモーター３と、シリンダ４内と軸受６内に嵌めら
れ、モーター３の可動子３ｂが固定されたピストン５
と、一端がモーター３の可動子３ｂまたはピストン５の
いずれかに固定され、他端がシリンダ４、軸受６、ブロ
ック１３のいずれかに固定された共振スプリング８と、
シリンダ４、ブロック１３、モーター３の固定子３ａに
囲まれた背圧室１４と、背圧室１４の下部に溜められた
潤滑油１７と、背圧室１７と密閉ケーシング１外とを連
通する背圧管１５と、吸入管１１、シリンダヘッド７の
低圧室７ａ、密閉ケーシング１内のいずれかと、吐出管
１２、シリンダヘッド７の高圧室７ｂのいずれかと、背
圧管１５の３箇所の間に配設された圧力制御機構１６を
備えたものであるから、圧縮機の運転圧力条件が変化
し、ピストン５のストロークが増大しても、背圧室１９
内の中間圧力が低下することにより、ストロークの中心
が反シリンダ４側へ移動し、ピストン５がシリンダヘッ
ド７に衝突することを防止し、ピストン５やシリンダヘ
ッド７の損傷を防止できると共に、衝突による騒音の発
生も防止することができる。

【００６８】また、圧縮機の運転圧力条件が変化し、ピ
ストン５のストロークが減少しても、背圧室１９内の中
間圧力が上昇することにより、ストロークの中心がシリ
ンダ４側へ移動し、ピストン５を上死点まで到達させる
ことができ、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨張容積の増大
を防止することができる。

【００６９】また、背圧室１９内の共振スプリング８の
下部は、潤滑油１７中に浸っており、ピストン５の軸方
向の往復運動とともに伸縮し、潤滑油１７を飛散させる
ことができるので、シリンダ４とピストン５間の摺動部
や、軸受６とピストン５間の摺動部に十分な給油を行う
とともに冷却を行うことができ、摺動部の摩耗やシール
性の低下、冷媒ガスの過熱を防止することができる。

【００７０】また、モーター３の固定子３ａの外周部
は、低圧圧力である密閉ケーシング１内に接しているた
め、密閉ケーシング１内の冷媒ガスにより冷却され、固
定子３ａを形成しているコイル巻線等の焼け等を防止で
き、信頼性が向上する。

【００７１】尚、本実施例においては、運転圧力条件ご
とに背圧室１９内の中間圧力の設定値を事前に把握して
おく必要があるが、ピストン５の位置を検出する手段を
備え、その検出信号に応じて背圧室１９内の圧力を制御
する構成でも、同様の効果が得られることは言うまでも
ない。

【００７２】また本実施例では、圧力制御機構１６を吸
入管１１と吐出管１２に接続しているが、低圧圧力であ
る密閉ケーシング１内、シリンダヘッド７の低圧室７
ａ、高圧圧力であるシリンダヘッド７の高圧室７ｂ等の
低圧圧力部と高圧圧力部に接続しても同様の効果が得ら
れることは言うまでもない。

【００７３】また本実施例では、圧力制御機構１６とし
て、２つの圧力調整弁１６ａ、１６ｂと、吸入管１１か
らの導圧管１６ｃ、吐出管１２からの導圧管１６ｄ、背
圧管１５への圧力管１６ｅとの構成で示しているが、背
圧室１９内の圧力を制御できる他の構成でも同様の効果
が得られることは言うまでもない。

【００７４】また本実施例では、背圧室１９内の潤滑油
１７を共振スプリング８にて飛散させているが、ピスト
ン５、可動子３ｂ等の背圧室１９内で可動するものであ
れば同様の効果が得られることは言うまでもない。

【００７５】また本実施例では、固定子３ａとしてコイ
ル巻線による形成、可動子３ｂとして鉄心の構成である
が、往復運動を行うモーター構成であれば磁石等を用い
た他の構成であっても同様の効果が得られることは言う
までもない。また、固定子３ａが磁石で形成されている
時には、磁石は高温になるにしたがってその磁力が低下
する特性を有しているため、本実施例により固定子３ａ
を冷却することにより、モーター３の性能低下を防止す
ることができる。

【００７６】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、密閉ケー
シング内に収納されたシリンダ、軸受、ブロックと、固
定子と可動子とから構成されるモーターと、シリンダ内
と軸受内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピ
ストンと、一端がモーターの可動子またはピストンのい
ずれかに固定され、他端がシリンダ、軸受、ブロックの
いずれかに固定された共振スプリングと、シリンダとブ
ロックに囲まれた背圧室と、背圧室の下部に溜められた
潤滑油と、背圧室と密閉ケーシング外とを連通する背圧
管と、吸入管、シリンダヘッドの低圧室、密閉ケーシン
グ内のいずれかと、吐出管、シリンダヘッドの高圧室の
いずれかと、背圧管の３箇所の間に配設された圧力制御
機構を備えたものであるから、圧縮機の運転圧力条件が
変化し、ピストンのストロークが増大しても、背圧室内
の中間圧力が低下することにより、ストロークの中心が
反シリンダ側へ移動し、ピストンがシリンダヘッドに衝
突することを防止し、ピストンやシリンダヘッドの損傷
を防止できると共に、衝突による騒音の発生も防止する
ことができる。

【００７７】また、圧縮機の運転圧力条件が変化し、ピ
ストンのストロークが減少しても、背圧室内の中間圧力
が上昇することにより、ストロークの中心がシリンダ側
へ移動し、ピストンは上死点まで到達させることがで
き、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨張容積の増大を防止す
ることができる。

【００７８】また、背圧室内の共振スプリングの下部
は、潤滑油中に浸っており、ピストンの軸方向の往復運
動とともに伸縮し、潤滑油１７を飛散させることができ
るので、シリンダとピストン間の摺動部や、軸受とピス
トン間の摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行う
ことができ、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガス
の過熱を防止することができる。

【００７９】また、シリンダヘッドの高圧室下部と、背
圧室内を連通する連通路を備えたものであるから、運転
圧力条件の変化等により冷媒循環量が増加した際等にお
いても、密閉ケーシング外への潤滑油の持ち出し量を低
減し、常に共振スプリングの一部を潤滑油中に浸すこと
により、ピストンとシリンダ間の摺動部及びピストンと
軸受間の摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行う
ことができ、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガス
の過熱を防止することができる。

【００８０】また、密閉ケーシング内に収納されたシリ
ンダ、軸受、ブロックと、固定子と可動子とから構成さ
れるモーターと、シリンダ内と軸受内に嵌められ、モー
ターの可動子が固定されたピストンと、一端がモーター
の可動子またはピストンのいずれかに固定され、他端が
シリンダ、軸受、ブロックのいずれかに固定された共振
スプリングと、シリンダ、ブロック、モーターの固定子
に囲まれた背圧室と、背圧室の下部に溜められた潤滑油
と、背圧室と密閉ケーシング外とを連通する背圧管と、
吸入管、シリンダヘッドの低圧室、密閉ケーシング内の
いずれかと、吐出管、シリンダヘッドの高圧室のいずれ
かと、背圧管の３箇所の間に配設された圧力制御機構を
備えたものであるから、圧縮機の運転圧力条件が変化
し、ピストンのストロークが増大しても、背圧室内の中
間圧力が低下することにより、ストロークの中心が反シ
リンダ側へ移動し、ピストンがシリンダヘッドに衝突す
ることを防止し、ピストンやシリンダヘッドの損傷を防
止できると共に、衝突による騒音の発生も防止すること
ができる。

【００８１】また、圧縮機の運転圧力条件が変化し、ピ
ストンのストロークが減少しても、背圧室内の中間圧力
が上昇することにより、ストロークの中心がシリンダ側
へ移動し、ピストン５を上死点まで到達させることがで
き、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨張容積の増大を防止す
ることができる。

【００８２】また、背圧室内の共振スプリングの下部
は、潤滑油中に浸っており、ピストンの軸方向の往復運
動とともに伸縮し、潤滑油を飛散させることができるの
で、シリンダとピストン間の摺動部や、軸受とピストン
間の摺動部に十分な給油を行うとともに冷却を行うこと
ができ、摺動部の摩耗やシール性の低下、冷媒ガスの過
熱を防止することができる。

【００８３】また、モーターの固定子の外周部は、低圧
圧力である密閉ケーシング内に接しているため、密閉ケ
ーシング内の冷媒ガスにより冷却され、固定子を形成し
ているコイル巻線等の焼け等を防止でき、信頼性が向上
する。また、固定子が磁石で形成されている時には、磁
石は高温になるにしたがってその磁力が低下する特性を
有しているため、本実施例により固定子を冷却すること
により、モーターの性能低下を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による第１の実施例を示す振動式式圧縮
機の縦断面図

【図２】本発明による第２の実施例を示す振動式式圧縮
機の縦断面図

【図３】本発明による第３の実施例を示す振動式式圧縮
機の縦断面図

【図４】従来の振動式圧縮機の縦断面図

【符号の説明】

１ 密閉ケーシング １ａ 密閉ケーシング内空間 ３ モーター ３ａ 固定子 ３ｂ 可動子 ４ シリンダ ５ ピストン ６ 軸受 ７ シリンダヘッド ７ａ 低圧室 ７ｂ 高圧室 ８ 共振スプリング １１ 吸入管 １２ 吐出管 １３ ブロック １４，１９ 背圧室 １５ 背圧管 １６ 圧力制御機構 １７ 潤滑油 １８ 連通路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング
   内に収納されたシリンダ、軸受、ブロックと、固定子と
   可動子とから構成されるモーターと、前記シリンダ内と
   前記軸受内に嵌められ、前記モーターの可動子が固定さ
   れたピストンと、一端が前記モーターの可動子または前
   記ピストンのいずれかに固定され、他端が前記シリン
   ダ、前記軸受、前記ブロックのいずれかに固定された共
   振スプリングと、前記シリンダと前記ブロックに囲まれ
   た背圧室と、前記背圧室の下部に溜められた潤滑油と、
   前記背圧室と密閉ケーシング外とを連通する背圧管と、
   吸入管、前記シリンダヘッドの低圧室、密閉ケーシング
   内空間のいずれかと、吐出管、前記シリンダヘッドの高
   圧室のいずれかと、前記背圧管の３箇所の間に配設され
   た圧力制御機構とからなる振動式圧縮機。
2. 【請求項２】 シリンダヘッドの高圧室下部と、背圧室
   内を連通する連通路とからなる請求項１記載の振動式圧
   縮機。
3. 【請求項３】 密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング
   内に収納されたシリンダ、軸受、ブロックと、固定子と
   可動子とから構成されるモーターと、前記シリンダ内と
   前記軸受内に嵌められ、前記モーターの可動子が固定さ
   れたピストンと、一端が前記モーターの可動子または前
   記ピストンのいずれかに固定され、他端が前記シリン
   ダ、前記軸受、前記ブロックのいずれかに固定された共
   振スプリングと、前記シリンダ、前記ブロック、前記モ
   ーターの固定子に囲まれた背圧室と、前記背圧室の下部
   に溜められた潤滑油と、前記背圧室と密閉ケーシング外
   とを連通する背圧管と、吸入管、前記シリンダヘッドの
   低圧室、密閉ケーシング内空間のいずれかと、吐出管、
   前記シリンダヘッドの高圧室のいずれかと、前記背圧管
   の３箇所の間に配設された圧力制御機構とからなる振動
   式圧縮機。