JP3821512B2 - 振動式圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍サイクル等に使用する振動式圧縮機に関し、特に容量制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の振動式圧縮機としては、特開昭51−57009号公報に示されているものがある。以下、図面を参照しながら上記従来の振動式圧縮機の一例を説明する。
【0003】
従来の構成を図2に示す。図2において、1は密閉ケーシング、2は本体である。本体2は、モーター3、シリンダ4、ピストン5、軸受6、シリンダヘッド7、共振スプリング8とから構成されており、サスペンションスプリング(図示せず)により、密閉ケーシング1内に弾性支持されている。またモーター3は、固定子3aと可動子3bとから構成されており、可動子3bはピストン5に固定されている。9は潤滑油であり、密閉ケーシング1の下部に溜められている。
【0004】
シリンダ4と軸受6は、ピストン5が軸方向に摺動可能なように支持している。共振スプリング8は、一端がモーター3の可動子3bに固定され、他端が軸受6固定されており、一部が密閉ケーシング1の下部に溜められている潤滑油9中に浸っている。
【0005】
共振スプリング8が自然長の状態で、ピストン5に固定されたモーター3の可動子3bは、固定子3aに対してシリンダ4側に配設されている。10はシリンダ4とピストン5とから構成される圧縮室である。11は吐出管であり、シリンダヘッド7の高圧室7bに連通している。
【0006】
次に、振動式圧縮機の機構について説明する。交流電源を半波整流し、コイル巻線で形成された固定子3aに通電することにより、ピストン5に固定された可動子3bは固定子3aの磁極の方向に磁気可変抵抗原理により吸引される。そして吸引時に、可動子3bと軸受6間に配設した共振スプリング8に蓄えられた弾性力により、逆方向に押され、この繰り返しによりピストン5は軸方向の往復運動を繰り返す。
【0007】
冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは、吸入管(図示せず)を介して、一部の冷媒ガスは密閉ケーシング1内に放出されるが、大部分の冷媒ガスはシリンダヘッド7の低圧室7aに導かれ、シリンダ4内の圧縮室10に至る。圧縮室10に至った冷媒ガスは、上述したピストン5の往復運動により圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、シリンダヘッド7内に配設されている吐出弁(図示せず)を介して一旦シリンダヘッド7内の高圧室7bに吐出された後、吐出管(図示せず)を介して冷却システムに吐出される。
【0008】
また、密閉ケーシング1内の下部に溜まった潤滑油9は、ピストン5の軸方向の往復運動に伴う共振スプリング6の伸縮運動によりかく拌され、密閉ケーシング1内に飛散し、シリンダ4とピストン5間の摺動部や、軸受6とピストン5間の摺動部を潤滑、シールしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のような構成では、圧縮機の運転圧力条件等が変化すると、ピストン及び可動子の軸方向への往復移動量(以降ストローク)が変化する。
【0010】
ストロークが大きくなると、ピストンがシリンダヘッドに衝突し、ピストンやシリンダヘッドが損傷したり、騒音が大きくなる可能性があった。さらに、共振スプリングの伸縮量が過大になり、共振スプリングが破損したり、破損まで至らなくても信頼性が低下する可能性があった。
【0011】
また、ストロークが小さくなると、ピストンが上死点まで到達しなくなる。即ち、ストロークが小さくなると、圧縮室に吸入された冷媒ガスを十分に昇圧できず、また再膨脹容積が増大するため、圧縮機の能力及び効率が低下する可能性があった。
【0012】
本発明は、従来の課題を解決するもので、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン及び可動子の軸方向への移動量(以降ストローク)が変化して、ピストンのストロークが大きくなっても、ピストンがシリンダヘッドに衝突することを防止し、ピストンやシリンダヘッドが損傷したり、騒音が大きくなることを防止する。
【0013】
また、ストロークが小さくなっても、常にピストンを上死点まで到達させることにより、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨脹容積の増大を防止する。
【0014】
また、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、ピストンのストロークの中心位置を制御することにより、圧縮機の実質的に有効な気筒容積を可変し、さらにピストンのストロークを制御する機構と併用することにより、圧縮機の気筒容積、能力を自在に可変する、即ち容量制御を行い、1台の圧縮機でさらに幅広い能力を得る。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の振動型圧縮機は、この目的を達成するため本発明の振動式圧縮機は、密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダと、固定子と可動子とから構成されたモーターと、シリンダ内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された往復運動要素と、往復運動要素と共振スプリングにより連結された可動要素と、固定的に設けられた背圧室と、この背圧室の圧力を受ける可動要素の受圧端部と、背圧室に連通した背圧圧力制御機構とからなり、背圧室内に連通した給油機構と、背圧室内に溜められた潤滑油とを備え、背圧圧力制御機構により背圧室内の圧力を吸入圧力から吐出圧力の範囲内で昇圧または減圧することを特徴としている。
【0016】
これより、圧縮機の運転圧力条件が変化し、ピストン及び可動子の軸方向への移動量(以降ストローク)が変化し、ピストンのストロークが大きくなっても、ピストンがシリンダヘッドに衝突することを防止し、ピストンやシリンダヘッドが損傷したり、騒音が大きくなることを防止する。
【0017】
また、ストロークが小さくなっても、常にピストンを上死点まで到達させることにより、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨脹容積の増大を防止する。
【0018】
また、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、ピストンのストロークの中心位置を制御することにより、圧縮機の実質的に有効な気筒容積を可変し、さらにピストンのストロークを制御する機構と併用することにより、圧縮機の気筒容積、能力を自在に可変する、即ち容量制御を行い、1台の圧縮機でさらに幅広い能力を得る。
【0020】
また、ピストンの往復運動に伴う振動を低減する。また、圧縮室内の冷媒ガスによるガスバネ,共振スプリング,背圧室内の媒体によるバネ,可動要素などの可動する部材,シリンダ等の可動しない部材で基本的に構成される共振系において、背圧室内の圧力変化等による共振周波数の急激な変化を低減し、効率的な運動を行う。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダと、固定子と可動子とから構成されたモーターと、シリンダ内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された往復運動要素と、往復運動要素と共振スプリングにより連結された可動要素と、少なくともシリンダにより構成された固定要素と、固定的に設けられた背圧室と、背圧室の圧力を受ける可動要素の受圧端部と、背圧室に連通した背圧圧力制御機構とからなり、背圧室内に連通した給油機構と、背圧室内に溜められた潤滑油とを備え、背圧圧力制御機構により背圧室内の圧力を吸入圧力から吐出圧力の範囲内で昇圧または減圧することを特徴としたものであり、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン及び可動子の軸方向への移動量(以降ストローク)が変化して、ピストンのストロークが大きくなっても、ピストンがシリンダヘッドに衝突することを防止し、ピストンやシリンダヘッドが損傷したり、騒音が大きくなることを防止するという作用を有する。
【0025】
また、ストロークが小さくなっても、常にピストンを上死点まで到達させることにより、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨脹容積の増大を防止するという作用を有する。
【0026】
また、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、ピストンのストロークの中心位置を制御することにより、圧縮機の実質的に有効な気筒容積を可変し、さらにピストンのストロークを制御する機構と併用することにより、圧縮機の気筒容積、能力を自在に可変する、即ち容量制御を行い、1台の圧縮機でさらに幅広い能力を得るという作用を有する。
【0027】
また、ピストンの往復運動に伴う振動を低減するという作用を有する。
【0028】
また、圧縮室内の冷媒ガスによるガスバネ,共振スプリング,背圧室内の媒体によるバネ,可動要などの可動する部材,シリンダ等の可動しない部材で基本的に構成される共振系において、背圧室内の圧力変化等に伴う共振周波数の急激な変化を低減し、効率的な運転を行うという作用を有する。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。尚、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施例による振動式圧縮機の縦断面図である。図1において、13は往復運動要素であり、ピストン5とモーター3の可動子3aとから構成されている。12は可動要素であり、往復運動要素13と共振スプリング8にて連結されている。12aは後述する背圧室の圧力を受ける受圧端部で、可動要素12の一部に設けられている。
【0033】
14は背圧室であり、密閉ケーシング1に固定された背圧部材16にて形成されている。15は、背圧室14に連通した背圧圧力制御機構である。
【0034】
以上のように構成された振動式圧縮機において、以下その動作を説明する。
まず、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン5のストロークが増大する場合について説明する。
【0035】
ピストン5のストロークが増大すると、ピストン5がシリンダヘッド7に衝突しそうになる。この時には、背圧室14内の圧力を低下させるように背圧圧力制御機構15が作動する。その具体的な手段としては、例えば吸入圧力などの低圧圧力を背圧室14内に導くといった方法がある。
【0036】
そのため、可動要素12の受圧端部12aに作用するシリンダ4側へのガス圧荷重が減少し、可動要素12は反圧縮室10側に移動する。そして、可動要素12に一端が固定されている共振スプリング8に引張力が作用し、その引張力により共振スプリング8の他端が固定されているピストン5も反圧縮室10側に移動する。
【0037】
その結果、実質的にはピストン5のストロークの中心が反圧縮室10側に移動し、ピストン5は上死点を越えてシリンダヘッド7側へストロークすることはなくなる。この時、ピストン5のストローク量はほとんど変化しない。
【0038】
従って、圧縮機の運動圧力条件が変化し、ピストン5のストロークが増大しても、背圧室14内の圧力が低下することにより、ピストン5のストローク量は変化しないが、ストロークの中心が反圧縮室10側へ移動し、ピストン5がシリンダヘッド7に衝突することを防止し、ピストン5やシリンダヘッド7の損傷を防止できると共に、衝突による騒音の発生も防止することができる。
【0039】
次に、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン5のストロークが減少する場合について説明する。
【0040】
ピストン5のストロークが減少すると、ピストン5が上死点まで到達しなくなる。この時には、背圧室14内の圧力を上昇させるように背圧圧力制御機構15が作動する。その具体的な手段としては、例えば吐出圧力などの高圧圧力を背圧室14内に導くといった方法がある。
【0041】
そのため、可動要素12の受圧端部12aに作用するシリンダ4側へのガス圧荷重が増大し、可動要素12は圧縮室10側に移動する。そして、可動要素12に一端が固定されている共振スプリング8に圧縮力が作動し、その圧縮力により共振スプリング8の他端が固定されているピストン5も圧縮室側10に移動する。 その結果、実質的にはピストン5のストロークの中心が圧縮室側10に移動し、ピストン5が上死点に到達する。この時、ピストン5のストローク量はほとんど変化しない。
【0042】
従って、圧縮機の運転圧力条件が変化し、ピストン5のストロークが減少しても、背圧室14内の圧力が上昇することにより、ピストン5のストローク量は変化しないが、ストロークの中心が圧縮室10側へ移動し、ピストン5を上死点まで到達させることができ、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨脹容積の増大を防止することができる。
【0043】
次に、容量制御について説明する。
上述した通り、背圧圧力制御機構15により背圧室14内の圧力を制御することにより、ピストン5のストロークの中心位置を自在に可変することができる。
【0044】
そのため、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、背圧室14内の圧力を低下させてピストン5のストロークの中心位置を反圧縮室10側へ移動させ、ピストン5が上死点に到達しないようにすることにより、圧縮室10内の再膨脹容積を増大させ、圧縮室10の実質的に有効な容積を減らすことができる。例えば、冷凍サイクルにおいて、圧縮機の能力があまり必要でないときに以上の制御を行うことにより、効率的な運転を行うことができる。
【0045】
また、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、背圧室14内の圧力を上昇させてピストン5のストロークの中心位置を上死点を越えない範囲で圧縮室10側へ移動させることにより、圧縮室10内の再膨脹容積を減少させ、圧縮室10の実質的に有効な容積を増やすことができる。例えば、冷凍サイクルにおいて、圧縮機の能力が必要なときに以上の制御を行うことにより、冷凍サイクルとしての能力を高めることができる。
【0046】
従って、冷凍サイクルに必要なだけの圧縮機の能力を得るように制御することができ、容量制御を行うことができる。
【0047】
さらに、例えばモーター3の駆動電圧を可変するといったピストン5のストロークの制御と併用することにより、圧縮機の容量制御範囲をより一層広くすることができる。
【0048】
以上のように、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン5及び可動子3bの軸方向への移動量(以降ストローク)が変化して、ピストン5のストロークが大きくなっても、ピストン5がシリンダヘッド7や、吸入弁、吐出弁に衝突することを防止し、ピストン5やシリンダヘッド7、吸入弁、吐出弁が損傷したり、騒音が大きくなることを防止することができる。
【0049】
また、ストロークが小さくなっても、常にピストン5を上死点まで到達させることにより、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨脹容積の増大を防止することができる。
【0050】
また、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、ピストン5のストロークの中心を制御することにより、圧縮機の実質的に有効な気筒容積を可変し、さらにピストン5のストロークを制御する機構と併用することにより、圧縮機の気筒容積、能力を自在に可変する、即ち容量制御を行い、1台の圧縮機でさらに幅広い能力を得ることができる。
【0051】
尚、本実施例においては、運転圧力条件ごとに背圧室14内の圧力の適正値を事前に把握しておく必要があるが、ピストン5の位置を検出する手段を備え、その検出信号に応じて背圧室14内の圧力を制御する構成でも、同様に実施可能である。
【0052】
また本実施例では、可動要素12及び密閉ケーシング1に固定した背圧部材16にて背圧室14を構成しているが、ピストン5の往復運動に連動して可動する他の部材と、シリンダ4やモーター3の固定子3aなどのピストン5の往復運動に連動して可動しない部材にて構成しても、同様に実施可能である。
【0053】
また本実施例では、密閉ケーシング1内の潤滑油9を共振スプリング8にて飛散させているが、ピストン5、可動子3b等の密閉ケーシング1内で可動するものであれば、同様に実施可能であり、さらに、シリンダ4とピストン5間の摺動部や、軸受6とピストン5間の摺動部に潤滑油を使用しない圧縮機でも同様に実施可能である。
【0054】
また本実施例では、モーター3は固定子3aと可動子3bで構成されているが、往復運動を行うモーター構成であれば同様に実施可能である。
【0055】
次に、背圧室14に連通した給油機構17と、給油機構17により背圧室14内に供給された潤滑油18の動作および作用を説明する。
【0056】
ピストン5が軸方向に往復運動を行い、共振スプリング8に軸方向の弾性力が蓄えられるため、共振スプリング8に連結された可動要素12にも軸方向の変動荷重が作用する。
【0057】
具体的には、ピストン5が圧縮室10側へ移動する圧縮行程時には、可動要素12にも圧縮室10側へ引っ張られる荷重が作用し、逆にピストン5が反圧縮室10側へ移動する吸入行程時は、可動要素12は反圧縮室10側へ押される荷重が作用し、ピストン5の一往復運動中に方向及び大きさともに変動する荷重が作用する。
【0058】
そのため、吸入行程においては、背圧室14内の容積を減少させるように、逆に圧縮行程においては、背圧室14内の容積を増大させるように可動要素12は移動する。
【0059】
その際に、背圧室14内には背圧室14に連通した給油機構17により潤滑油18が供給されており、潤滑油は非圧縮性流体であるため、可動要素12の動き(振動)を潤滑油18が減衰させるように作用するため、可動要素12の振動を低減することができる。
【0060】
次に、共振系の共振周波数について説明する。
圧縮室10内の冷媒ガス,共振スプリング8,ピストン5や可動要素12などの可動する部材,シリンダ4等の可動しない部材で基本的に共振系が構成される。この共振系において、共振スプリング8に蓄えた弾性力により最も効率よく運転できる運転周波数(以降共振周波数)は、圧縮室10内の冷媒ガスによるガスバネ定数,共振スプリング8のバネ定数,背圧室14内の媒体によるバネ定数,可動要素12などの可動する部材の総重量,シリンダ4等の可動しない部材の総重量で理論的に決定される。そのため、背圧室14内の圧力が変動すると共振周波数も変化する。
【0061】
しかしながら、背圧室14内には潤滑油18が供給されており、可動要素12の振動を低減することができため、背圧室14内の圧力が急激に変化することを防止でき、背圧室14内の圧力変動に伴う共振周波数の急激な変化を防止できる。
【0062】
従って、共振周波数と同じとなるように圧縮機の運転周波数を制御する制御機構が容易で、且つその制御の応答性や精度があまり良くなくても十分共振周波数の変化に追従でき、常に効率的な運転を行うことができる。
【0063】
以上のように、背圧室14内に連通した給油機構17と、背圧室14内に溜められた潤滑油18を備えたものであるから、これにより、可動要素12の動き(振動)を潤滑油18が減衰させるように作用するため、ピストン5の往復運動に伴う可動要素12の振動を低減することができる。
【0064】
また、可動要素12の振動を振動を低減することにより、背圧室14内の圧力が急激に変化することを防止でき、背圧室14内の圧力変動に伴う共振周波数の急激な変化を防止することができる。そのため、共振周波数と同じとなるように圧縮機の運転周波数を制御する制御機構が容易で、且つその制御の応答性や精度があまり良くなくても十分共振周波数の変化に追従でき、常に効率的な運転を行うことができる。
【0065】
尚、本実施例では、給油機構17として、密閉ケーシング1内以外の冷凍サイクルから潤滑油を背圧室14内に供給する構成となっているが、密閉ケーシング1内に保有した潤滑油9を提供する構成でも、同様に実施可能である。
【0077】
【発明の効果】
以上のように、密閉ケーシングと、密閉ケーシング内に収納されたシリンダと、固定子と可動子とから構成されたモーターと、シリンダ内に嵌められ、モーターの可動子が固定されたピストンと、モーターの可動子またはピストンの少なくともいずれかにより構成された往復運動要素と、往復運動要素と共振スプリングにより連結された可動要素と、可動要素の受圧端部と、固定的に設けられた背圧室と、背圧室に連通した背圧圧力制御機構とからなり、背圧室内に連通した給油機構と、背圧室内に溜められた潤滑油とを備え、背圧圧力制御機構により背圧室内の圧力を吸入圧力から吐出圧力の範囲内で昇圧または減圧することを特徴としたものであるから、圧縮機の運転圧力条件等が変化し、ピストン及び可動子の軸方向への移動量(以後ストローク)が変化して、ピストンのストロークが大きくなっても、ピストンがシリンダヘッドや、吸入弁、吐出弁に衝突することを防止し、ピストンやシリンダヘッド、吸入弁、吐出弁が損傷したり、騒音が大きくなることを防止することができる。
【0078】
また、ストロークが小さくなっても、常にピストンを上死点まで到達させることにより、冷媒ガスの昇圧不足及び再膨脹容積の増大を防止することができる。
【0079】
また、運転圧力条件等の変化の有無にかかわらず、ピストンのストロークの中心を制御することにより、圧縮機の実質的に有効な気筒容積を可変し、さらにピストンのストロークを制御する機構と併用することにより、圧縮機の気筒容積、能力を自在に可変する、即ち容量制御を行い、1台の圧縮機でさらに幅広い能力を得ることができる。
【0080】
また、可動要素の振動を潤滑油が減衰させるように作用するため、ピストンの往復運動に伴う可動要素の振動を低減することができる。
【0081】
また、可動要素の振動を振動を低減することにより、背圧室内の圧力が急激に変化することを防止でき、背圧室内の圧力変動に伴う共振周波数の急激な変化を防止することができる。そのため、共振周波数と同じとなるように圧縮機の運転周波数を制御する制御機構が容易で、且つその制御の応答性や精度があまり良くなくても十分共振周波数の変化に追従でき、常に効率的な運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による振動式圧縮機の縦断面図
【図2】 従来の振動式圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
1 密閉ケーシング
3 モーター
3a 固定子
3b 可動子
4 シリンダ
5 ピストン
8 共振スプリング
10 圧縮室
12 可動要素
12a 受圧端部
13 往復運動要素
14 背圧室
15 背圧圧力制御機構
17 給油機構
18 潤滑油
19 固定要素
Claims (1)
- 密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング内に収納されたシリンダと、固定子と可動子とから構成されたモーターと、前記シリンダ内に嵌められ前記モーターの可動子が固定されたピストンと、前記モーターの可動子または前記ピストンの少なくともいずれかにより構成された往復運動要素と、前記往復運動要素と共振スプリングにより連結された可動要素と、固定的に設けられた背圧室と、この背圧室の圧力を受ける可動要素の受圧端部と、前記背圧室に連通した背圧圧力制御機構とからなり、前記背圧室内に連通した給油機構と、前記背圧室内に溜められた潤滑油とを備え、前記背圧圧力制御機構により前記背圧室内の圧力を吸入圧力から吐出圧力の範囲内で昇圧または減圧することを特徴とする振動式圧縮機。
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