JPH08284803A - イオンエンジン - Google Patents

イオンエンジン

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Publication number
JPH08284803A
JPH08284803A JP8416295A JP8416295A JPH08284803A JP H08284803 A JPH08284803 A JP H08284803A JP 8416295 A JP8416295 A JP 8416295A JP 8416295 A JP8416295 A JP 8416295A JP H08284803 A JPH08284803 A JP H08284803A
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JP
Japan
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discharge vessel
ion
plasma
coating
ion engine
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Withdrawn
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JP8416295A
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English (en)
Inventor
Hideki Yoshida
田 英 樹 吉
Shinichi Takama
真 新 一 高
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパッター現象に起因する加速電極の短絡事
故を防止した長寿命イオンエンジンを提供する。 【構成】 シールドケース(1)内に配設された放電容
器(3)内へ作動ガスを導入し、この作動ガスを電離さ
せて放電容器内にプラズマを生成し放電容器に取り付け
られた磁石により放電容器の内壁から離れた領域にプラ
ズマを保持し、加速電極(4)によりプラズマ中のイオ
ンを取り出して加速し複数のイオンビーム通過孔(5
b)から放電容器の外部へ送り出し推力を生成するイオ
ンエンジンにおいて、放電容器の内表面の一部あるいは
全体には、加速電極により加速されたイオンが放電容器
の表面等に衝突して放出されるスパッター粒子(14)
を内表面に付着させるためのコーティング部(16)が
形成されており、コーティング部は、スパッター粒子の
コーティング部への付着強度が大きい材質で形成された
付着部(16b)と付着強度が小さい材質で形成された
非付着部(16a)とを有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオンエンジンに係り、
特に人工衛星等の宇宙構造物に搭載されるイオンエンジ
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】イオンエンジンは、人工衛星等の宇宙構
造物の軌道制御、南北位置保持、主推進等に用いられる
電気ロケットである。
【0003】このようなイオンエンジンのうち電子衝撃
型イオンエンジンの主要部は通常、図8に示すように構
成されている。すなわち、図8において符号1は円筒状
に形成された金属材製のシールドケースを示している。
このシールドケース1の周壁には小孔2が多数形成され
ている。そしてシールドケース1内には磁性材で有底筒
状に形成された放電容器3が同心的に配置されている。
この放電容器3の開口部は2枚または3枚の孔開き電極
板によって形成された加速電極4によって蓋されてい
る。これらの電極板には、それぞれ数千個のイオンビー
ム通過孔5が同軸的に形成されている。放電容器3の底
壁中央部には小径の開口部6が形成されており、この開
口部6は筒体7を介してガス導入系8に通じている。そ
して、筒体7内には主陰極となるホローカソード9が配
置されている。また、放電容器3の内壁面にはN極とS
極とを交互に内側に位置させるように環状の磁石10が
複数固定されている。
【0004】このイオンエンジンでは、ホローカソード
9に対して放電容器3が陽極電位に保たれる。この状態
で推進剤、例えばXeガス(キセノンガス)がガス導入
系8からホローカソード9内を通って放電容器3内に導
入されると、ホローカソード9と放電容器3との間に放
電が生起され、ホローカソード9から放出された電子が
加速される。この電子が放電容器3内のXeガスに衝突
し、放電容器3内に電離プラズマが生成される。
【0005】この電離プラズマは、磁石10の作るカス
プ磁場によって放電容器3の内周面から離れた領域に閉
じ込められる。加速電極4は電離プラズマからXe+ イ
オンを引き出し、1keV程度の運動エネルギーを与え
てイオンビーム通過孔5から宇宙空間に放出する。この
放出に伴う反力が推力となる。中和器11は放出された
Xe+ イオンビームと同じ量の電子eを宇宙空間に放出
して中和し、人工衛星等の宇宙構造物が帯電するのを防
止する。
【0006】ところで、このように構成されたイオンエ
ンジンでは、加速電極4のスパッター粒子の行き先が問
題となる。1個当たりのイオンビーム通過孔5は図9に
示すように構成されている。加速電極4は放電容器3側
から順にスクリーングリッド4aと、加速グリッド4b
と、減速グリッド4cとで構成されている。なお、減速
グリッド4cはない場合もある。電位的にはスクリーン
グリッド4aが1kV程度で、加速グリッド4bが−5
00V程度、減速グリッド4cは0Vである。スクリー
ングリッド4a、加速グリッド4bおよび減速グリッド
4cには、イオンビーム通過孔5a、5bおよび5cが
形成されている。この中でイオンビーム通過孔5bが最
も小さい径である。
【0007】Xe+ イオンビーム径はレンズ効果で絞ら
れて加速グリッド4b近傍で最小となる。加速グリッド
4bのイオンビーム通過孔5bはXeガスの使用量をで
きるだけ少なくするためにXe+ イオンビーム径とほぼ
同じ孔径に設定されている。したがって、スクリーング
リッド4aと加速グリッド4bの間では高密度のXeガ
スと高速のXe+ (H)イオンビームが混在し、荷電交
換反応によって低速のXe+ (L)イオンが多量に生成
されることになる。
【0008】低速のXe+ (L)イオン13aは加速グ
リッド4bのイオンビーム通過孔5bを通り抜けること
ができず、加速グリッド4bの放電容器3側表面に衝突
することになる。低速のXe+ (L)イオン13aは加
速グリッド4bに衝突するまでに加速を受けるためスパ
ッター現象を引き起こすことになる。このスパッター粒
子14aは放電容器3側に飛んで行くことになる。低速
のXe+ (L)イオンには、上記以外にもイオンビーム
通過孔5b等のイオンビーム軌道上で生成されるもの1
3aや、スクリーングリッド4aのイオンビーム通過孔
5aを通過できなかったもの13b等がある。量的には
少ないがこれらのイオンもスパッター現象を引き起こ
す。スパッター粒子は放電容器3側に飛んで行くもの1
4aと、宇宙空間に飛んで行くもの14bとに分かれ
る。問題は放電容器3側に飛んで行くスパッター粒子1
4aである。
【0009】放電容器3側に飛んだスパッター粒子14
aは図10に示すように放電容器3の内壁面に付着し、
コーティング層15を形成する。磁石カバーやバッフ
ル、ガス拡散器等の放電室内構成部品が存在する場合に
はそれらのプラズマ側表面にもコーティング層15が形
成される。コーティング層15の厚みは一様でなく、変
動幅は数百μにも達するので結合力は極めて小さい。構
成要素材料は通常、加速電極4がMo(モリブデン)
で、放電容器3がFe(鉄)等の磁性材料で、放電室内
構成部品がTa(タンタル)もしくはステンレスであ
る。
【0010】この場合、スパッター粒子14aはMo粒
子となる。Taの線膨張率はMoにかなり近い値である
が、Feとステンレスの線膨張率はMoの約3倍であ
る。放電容器3の側壁温度はイオンエンジン作動時と停
止時で300K程度のヒートサイクルを受けるため、線
膨張率の違いからコーティング層15はフレイク15a
状に剥げ落ちることになる。フレイク15aは放電容器
3内を漂い、徐々に加速電極4側に流れる。小さなフレ
イク15aはイオンビーム通過孔5より宇宙空間に放出
されるから問題ないが、大きなフレイク15aはスクリ
ーングリッド4aと加速グリッド4bの間に留まり両者
を短絡させる。このような不具合は地上では人間が取り
除くことができるのでそれほど問題とならないが、宇宙
では致命的である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のイオ
ンエンジンでは、加速電極からのスパッター粒子が放電
容器内壁面に付着し、ヒートサイクルで壁面より剥げ落
ちたフレイクによって加速電極を短絡させる欠点があっ
た。
【0012】そこで本発明の目的は、上記従来技術の有
する問題を解消し、加速電極を短絡させる程大きいフレ
イクを生じさせない機能を備えたイオンエンジンを提供
することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係わるイオンエンジンは、シールドケース
内に配設された放電容器内へ作動ガスを導入し、この作
動ガスを電離させて前記放電容器内にプラズマを生成す
るとともに前記放電容器の内壁から離れた領域にプラズ
マを保持し、加速電極により前記プラズマ中のイオンを
取り出して加速しイオンビーム通過孔から前記放電容器
の外部へ送り出し推力を生成するイオンエンジンにおい
て、前記放電容器の内表面の少なくとも一部には、前記
加速電極により加速されたイオンの衝突により放出され
るスパッター粒子を前記内表面に付着させるためのコー
ティング部が形成されており、前記コーティング部は、
スパッター粒子の前記コーティング部への付着強度が大
きい材質で形成された付着部と付着強度が小さい材質で
形成された非付着部とを有することを特徴とする。
【0014】好適には、前記付着部は、前記非付着部の
中に点在するように分布し、個々の前記付着部の大きさ
は前記イオンビーム通過孔の大きさより小さく形成され
ている。
【0015】好適には、前記放電容器の内表面には前記
放電容器内にプラズマを保持するために用いられる磁石
を覆うカバーやガス拡散器等が配置されており、これら
放電室内構成部品の表面の少なくとも一部に前記コーテ
ィング部が形成されている。
【0016】また、本発明に係わるイオンエンジンは、
シールドケース内に配設された放電容器内へ作動ガスを
導入し、この作動ガスを電離させて前記放電容器内にプ
ラズマを生成するとともに前記放電容器の内壁から離れ
た領域にプラズマを保持し、加速電極により前記プラズ
マ中のイオンを取り出して加速しイオンビーム通過孔か
ら前記放電容器の外部へ送り出し推力を生成するイオン
エンジンにおいて、前記放電容器の内表面の少なくとも
一部には、前記加速電極により加速されたイオンの衝突
により放出されるスパッター粒子を前記内表面に付着さ
せるためのコーティング部が形成されており、前記コー
ティング部を形成する素材は、スパッター粒子の前記コ
ーティング部への付着強度と前記イオンエンジンの寿命
の長さとを考慮して選択されていることを特徴とする。
【0017】好適には、前記放電容器の内表面には前記
放電容器内にプラズマを保持するために用いられる磁石
を覆うカバーやガス拡散器等が配置されており、これら
放電室内構成部品を前記コーティング部の材質と同一ま
たは派生の材質で形成することを特徴とする。
【0018】好適には、これら放電室内構成部品の表面
の少なくとも一部も前記コーティング部が形成されてい
ることを特徴とする。
【0019】好適には、スパッター粒子が前記放電容器
の内表面に付着堆積し剥がれて形成されるフレイクをト
ラップするための網状フレイク・トラップが、前記放電
容器の内側の少なくとも一部に設けられていることを特
徴とする。
【0020】好適には、前記コーティング部は、容射ま
たはメッキ法等により形成されるコーティング層と、接
着または圧接法等により形成される張り合わせ層との中
から選択された少なくとも1種で形成されていることを
特徴とする。
【0021】
【作用】本発明のイオンエンジンにおいては、放電容器
の内表面の少なくとも一部には、加速電極により加速さ
れたイオンの衝突により放出されるスパッター粒子を内
表面に付着させるためのコーティング部が形成されてい
る。このコーティング部は、スパッター粒子のコーティ
ング部への付着強度が大きい材質で形成された付着部と
付着強度が小さい材質で形成された非付着部とで形成さ
れている。
【0022】放電容器内壁面に達したスパッター粒子
は、付着部に強くトラップされコーティング層を形成
し、非付着部で弱くトラップされる。付着部でのコーテ
ィング層の堆積速度は速く、弱くトラップされた非付着
部での堆積速度は遅い。ある程度堆積するとフレイクが
形成され、放電容器内壁面より剥げ落ちる。このフレイ
クの大きさや形状は形成されるコーティング層の形状に
強く依存する。したがって、コーティング層が形成され
やすい付着部の形状を選択することにより、フレイクの
大きさや形状を制御することが可能になる。
【0023】この付着部を非付着部の中に点在するよう
に分布させ、かつ個々の付着部の大きさをイオンビーム
通過孔の大きさより小さく形成する。この結果、付着部
に形成されたコーティング層から剥がれて生成されるフ
レークは、イオンビーム通過孔の大きさより小さい大き
さで形成され、放電容器内に漂ったフレイクは最終的に
イオンビーム通過孔を通って宇宙へ放出される。
【0024】また想定するイオンエンジンの寿命の長さ
に応じて、スパッター粒子のコーティング部への付着強
度が対応するように、コーティング部を形成する素材を
選択する。これは次のような思想に基づく。
【0025】すなわち、例えば数年程度の短い寿命のイ
オンエンジンならば全面をスパッター粒子が付着し難い
材料で形成する。この場合、スパッター粒子が付着して
形成されるコーティング層は薄いうちに剥げ落ち、小さ
なフレイクが放電室内を漂うことになるが、フレイクの
数は少なく、加速電極が短絡する危険性が低くなる。
【0026】また、例えば10年程度の寿命のイオンエ
ンジンならば全面を付着し易い材料で形成する。この場
合、スパッター粒子が付着して形成されるコーティング
層はかなり厚くなって剥げ落ち、大きめのフレイクが放
電室内を漂うことになる。しかし、フレイクの数は少な
く、電極が短絡する危険性が低くなる。また、フレイク
の大きさは電気的に焼き切れる程度の大きさにとどま
る。
【0027】また、例えば10年以上の寿命のイオンエ
ンジンにおいては、スパッター粒子が付着し難い材料と
付着し易い材料との両者を適宜組み合わせることによ
り、イオンビーム通過孔を通過できる程度の大きさにフ
レイクを調整することができ、フレイクが加速電極を短
絡させないようにすることが可能になる。
【0028】また、金網等で形成された網状フレイクト
ラップで放電容器の内側の一部あるいは全体を覆うこと
により、フレイクを網状フレイク・トラップでトラップ
する。これにより、放電室内を漂流する大形のフレイク
は存在しなくなり、加速電極を短絡させないようにする
ことができる。
【0029】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。
【0030】図1には本発明の第一の実施例に係わるイ
オンエンジンを一部切欠した斜視図が示されている。な
お、この図では図8と同一部分が同一符号で示されてい
る。したがって、重複する部分の詳しい説明は省略す
る。
【0031】この実施例に係わるイオンエンジンが従来
のものと異なる点は、放電容器3内壁面のコーティング
部16を形成したことにある。すなわち、コーティング
部16は図5に示すように、スパッター粒子を付着し難
い材料でコーティングした非付着部16aと、多数の付
着し易い材料でコーティングした付着部16bとで構成
される。個々の付着部16bは正方形の形状を有し、非
付着部16aの中に点状に分布している。
【0032】個々の付着部16bの大きさは加速グリッ
ド4bのイオンビーム通過孔5bの大きさより小さく形
成されている。
【0033】スパッター粒子の大部分は、非付着部16
aよりも付着部16bに堆積する。堆積量がしきい値を
超えると、剥げ落ちてフレイク15aが生成される。こ
のフレイク15aの大きさは一般に、付着部16bの大
きさを超えることはない。個々の付着部16bの寸法は
イオンビーム通過孔5bの大きさ以下に設定されている
ので、フレイク15aは最終的にイオンビーム通過孔5
bを通過し宇宙空間に放出されることになる。なお、図
5において付着部16bの形状が正方形の場合を示した
が、円形でも多角形でも良い。コーティング部16は放
電容器3の内壁面全体でも一部でも分割されていても良
い。
【0034】付着部16bを形成する材料としては、加
速電極4を形成する材料と同じか派生材料が適当であ
る。非付着部16aを形成する材料としては、スパッタ
ー粒子が金属材料なので、ガラスやダイヤモンド等の絶
縁材料が適当である。
【0035】コーティング部16は、図6に示すように
放電容器3の内壁面に溶射またはメッキ法等で被膜層1
9を作る方法によって形成する。また、場合によって
は、図7に示すように放電容器3の内壁面に別途製作し
た薄板20をネジ止め、または接着法や圧接法等により
張り合わせ層21を介して放電容器3に張り付けても良
い。
【0036】上述した実施例においては、コーティング
部16が非付着部16aと付着部16bとで構成されて
いた。本実施例は、イオンエンジンに想定される寿命が
非常に長い場合、例えば寿命10年よりも長い場合に、
特に有効である。
【0037】次に、本発明の第二実施例について説明す
る。本実施例では、コーティング部16の全面が、付着
し難い材料でコーティングした非付着部16aか、付着
し易い材料でコーティングした付着部16bかのどちら
か一方のみで覆われている。コーティング部16をこの
ように構成することにより、フレイク15aは発生その
ものが極めて少なくなる。なお、このおうなコーティン
グ方法が採用されるのは、発生するフレイクがイオンビ
ーム通過孔5を通れる大きさのフレイク段階までに限ら
れる。これによって、フレイク15aは、例え加速電極
4に挾まったとしても電圧を印加すれば一部溶けて加速
電極4から離れ、イオンビーム通過孔5から宇宙空間に
放出されることになる。
【0038】例えば数年程度の短い寿命のイオンエンジ
ンにおいては、コーティング部16の全面が、付着し難
い材料でコーティングした非付着部16aで覆われてい
る。この場合、スパッター粒子が付着して形成される非
付着部16aのコーティング層は非常に薄く形成され
る。この結果、小さなフレイクが少量だけ生成されるこ
とになり、加速電極5を短絡させる問題はなくなる。
【0039】また、例えば10年程度の寿命を想定する
イオンエンジンにおいては、コーティング部16の全面
が、スパッター粒子が付着され易い材料でコーティング
した付着部16bで覆われている。この場合、付着部1
6bに形成されるコーティング層は、早い堆積速度で形
成される。このコーティング層から生成されるフレーク
は通常少量で、かなり小さい大きさで形成される。した
がって、この場合に形成されたフレークは、イオンビー
ム通過孔5bを通過でき、宇宙へ放出される。この結
果、加速電極5を短絡させないようにすることができ
る。
【0040】本実施例の構成によれば、イオンエンジン
に想定される寿命が例えば10年以下の範囲において
は、コーティング部16の全面を、非付着部16aか付
着部16bかのどちらか一方のみで覆う単純な構成をと
るだけで、フレークにより加速電極5が短絡されること
を防止することができる。
【0041】次に図2を参照して、本発明の第三実施例
について説明する。図2には本実施例に係るイオンエン
ジンを一部切欠した斜視図が示されている。この図では
図1と同一部分に同一符号が付されている。
【0042】本実施例では、磁石10の一部または全部
が磁石カバー17で覆われている。磁石カバー17のプ
ラズマ側表面は上述の第一あるいは第二の実施例で示し
たコーティング部16で覆われている。
【0043】なお、コーティング部16で覆う代わり
に、磁石カバー17そのものをコーティング部16と同
じ材料で製作しても良い。
【0044】磁石カバー16以外にもガス拡散器等の放
電室内構成部品がある場合には、これらの放電室内構成
部品の一部または全部のプラズマ側表面を、上述の第一
あるいは第二の実施例で示したコーティング部16で覆
ってもよく、あるいは、コーティング部16と同じ材料
で製作しても良い。
【0045】本実施例の構成によれば、放電容器の内表
面の一部あるいは全体が磁石カバー16等の放電室内構
成部品で覆われている場合にも、放電室内構成部品をコ
ーティング部16の材質と同一または派生の材質で形成
することにより、加速電極4に挾まって取り除けない大
きなフレイク15aをなくすることができ、加速電極4
を短絡させないようにすることができる。また、放電室
内構成部品の表面の一部あるいは全体を上述の第一ある
いは第二の実施例で示したコーティング部16で覆うこ
とにより、同様に加速電極4を短絡させないようにする
ことができる。
【0046】次に図3を参照して本発明の第四実施例に
ついて説明する。図3は本実施例に係るイオンエンジン
を一部切欠した斜視図である。この図では図1と同一部
分に同一符号が付されている。本実施例では、磁石の前
面が第二放電容器18で覆われている。第二放電容器1
8のプラズマ側表面は、上述の第一あるいは第二の実施
例に示したコーティング部16で覆われている。なお、
この場合、第二放電容器18そのものをコーティング部
16と同じ材料で製作しても良い。放電容器3の内表面
は第二放電容器18で覆っていない領域で、必要と思わ
れる領域のみコーティング層16で覆えば良い。
【0047】本実施例の構成によれば、第二放電容器1
8があっても加速電極4に挾まって取り除けない大きな
フレイク15aはなくなり、加速電極4を短絡させない
ようにすることができる。
【0048】次に図4を参照して本発明の第五実施例に
ついて説明する。図4は本実施例に係るイオンエンジン
を一部切欠した斜視図である。この図では図1と同一部
分に同一符号が付されている。
【0049】本実施例では、磁石の表面はフレイク・ト
ラップ22で覆われている。フレイク・トラップ22
は、スパッター粒子が放電容器3の内表面に付着堆積し
剥がれて形成されるフレイクをトラップするためのもの
である。フレイク・トラップ22は金網等の開口率が大
きくて目の小さいものが良い。放電容器3の内表面はフ
レイク・トラップ22のない領域で、必要と思われる領
域のみコーティング部16で覆えば良い。確実を期すの
ならばフレイク・トラップ22で覆っている領域もフレ
イク・トラップ22の目を通過できないフレイク15a
を作るコーティング部16で覆えば良い。
【0050】本実施例の構成によれば、フレイク15a
はフレイク・トラップ22で捕らえられて加速電極4に
達することはなく、加速電極4を短絡させないようにす
ることができる。
【0051】なお、上述した種々の実施例において、推
進剤としてXeガスを使用する例を示したが、Xeガス
に限定されるものはない。また、加速電極4も二枚か三
枚のものを使用した例を示したが、これらの枚数に限定
されるものではない。
【0052】また、上述した実施例ではカスプ磁場型の
イオンエンジンについて説明したが、本発明はこれに限
らず、カスプ磁場型以外の電子衝撃型及び高周波型のイ
オンエンジンにも同様に適用できる。
【0053】さらに、本発明は、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々変形実施可能である。
【0054】
【発明の効果】以上、本発明の構成によれば、スパッタ
ー現象に起因する加速電極の短絡事故を無くすることが
でき、長寿命のイオンエンジンを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るイオンエンジンを一
部切欠して示す斜視図。
【図2】本発明の第三実施例に係るイオンエンジンを一
部切欠して示す斜視図。
【図3】本発明の第四実施例に係るイオンエンジンを一
部切欠して示す斜視図。
【図4】本発明の第五実施例に係るイオンエンジンを一
部切欠して示す斜視図。
【図5】放電容器内表面に所望の大きさのフレイクを作
るためのコーティング部の一例を示す平面図。
【図6】放電容器内表面に形成するコーティング部の取
り付け方の一例を示す図。
【図7】放電容器内表面に形成するコーティング部の取
り付け方の別の例を示す図。
【図8】従来のイオンエンジンを一部切欠して示す斜視
図。
【図9】加速電極でスパッター現象の起こることを示す
模式図。
【図10】スパッター粒子が放電容器に付着しフレイク
の生じることを示す模式図。
【符号の説明】
1 シールドケース 3 放電容器 4 加速電極 5a、5b、5c イオンビーム通過孔 9 主陰極用ホローカソード 10 磁石 11 中和器 13 低速イオン 14 スパッター粒子 15a フレイク 16 コーティング部 16a 非付着部 16b 付着部 17 磁石カバー 18 第二放電容器 22 フレイク・トラップ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シールドケース内に配設された放電容器内
    へ作動ガスを導入し、この作動ガスを電離させて前記放
    電容器内にプラズマを生成するとともに前記放電容器の
    内壁から離れた領域にプラズマを保持し、加速電極によ
    り前記プラズマ中のイオンを取り出して加速しイオンビ
    ーム通過孔から前記放電容器の外部へ送り出し推力を生
    成するイオンエンジンにおいて、 前記放電容器の内表面の少なくとも一部には、前記加速
    電極により加速されたイオンの衝突により放出されるス
    パッター粒子を前記内表面に付着させるためのコーティ
    ング部が形成されており、前記コーティング部は、スパ
    ッター粒子の前記コーティング部への付着強度が大きい
    材質で形成された付着部と付着強度が小さい材質で形成
    された非付着部とを有することを特徴とするイオンエン
    ジン。
  2. 【請求項2】前記付着部は、前記非付着部の中に点在す
    るように分布し、個々の前記付着部の大きさは前記イオ
    ンビーム通過孔の大きさより小さく形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載のイオンエンジン。
  3. 【請求項3】前記放電容器の内表面には前記放電容器内
    にプラズマを保持するために用いられる磁石を覆うカバ
    ーやガス拡散器等が配置されており、これら放電室内構
    成部品の表面の少なくとも一部に前記コーティング部が
    形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオ
    ンエンジン。
  4. 【請求項4】シールドケース内に配設された放電容器内
    へ作動ガスを導入し、この作動ガスを電離させて前記放
    電容器内にプラズマを生成するとともに前記放電容器の
    内壁から離れた領域にプラズマを保持し、加速電極によ
    り前記プラズマ中のイオンを取り出して加速しイオンビ
    ーム通過孔から前記放電容器の外部へ送り出し推力を生
    成するイオンエンジンにおいて、 前記放電容器の内表面の少なくとも一部には、前記加速
    電極により加速されたイオンの衝突により放出されるス
    パッター粒子を前記内表面に付着させるためのコーティ
    ング部が形成されており、前記コーティング部を形成す
    る素材は、スパッター粒子の前記コーティング部への付
    着強度と前記イオンエンジンの寿命の長さとを考慮して
    選択されていることを特徴とするイオンエンジン。
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