JPH08284151A - 地盤改良工法およびそれに用いる装置 - Google Patents

地盤改良工法およびそれに用いる装置

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JPH08284151A
JPH08284151A JP11796995A JP11796995A JPH08284151A JP H08284151 A JPH08284151 A JP H08284151A JP 11796995 A JP11796995 A JP 11796995A JP 11796995 A JP11796995 A JP 11796995A JP H08284151 A JPH08284151 A JP H08284151A
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soil
ground
stirring shaft
volume
water
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JP11796995A
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Takashi Oki
孝 大木
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 外管1内に内管2を上下動自在に収容し、下
端外周に攪拌翼3および掘削ビット(掘削翼)9を備え
た攪拌軸を回転させながら周囲の地盤Jを掘削・攪拌し
ながら下降させ(工程I)、ついで外管1と内管2との
間の供給通路10から安定処理材を供給して、下部の吐
出口4から吐出させると共に、周囲の地盤土と攪拌混合
しながら、攪拌軸を上昇させ、同時に内管2内の下端に
設けたポンプ5により、供給した安定処理材と見合う水
を排出する地盤改良工法の構成。 【効果】 安定処理材を注入した地盤の容積を増減な
く、比較的正確に維持することができる。しかも排出し
た水の処理が簡単であり、改良柱の含水率を減少して、
強度を向上させ得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地盤改良工法およびそれ
に用いる地盤改良装置に関する。さらに詳しくは、各種
の地盤改良工法のうちで最も汎用性が高く信頼度も高い
工法の一種であるスラリー式または粉体式の深層混合攪
拌工法において、軟弱地盤中に安定処理材を添加注入し
たことによって生ずる地盤改良工施工部の地盤容積の膨
張に基づく側方流動を防止し、これによって周辺地盤お
よび地中埋設物や構造物に対して影響を与えないように
する地盤改良工法およびそれに用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】深層混合攪拌工法は、軟弱な砂質土また
は粘性土地盤の中に、セメント系固化材などの安定処理
材をスラリー状または粉体状で添加注入し、原地盤土と
機械的に混合攪拌する工法であり、その混合攪拌過程に
おいて安定処理材の主成分であるCaO(生石灰、酸化
カルシウム)、SiO2 (シリカ、酸化珪素)などがH
2 O(水)と反応して、各種の水和生成物を作り、固結
硬化して強度の大きい改良体ないし改良部を造成する工
法である。従って深層混合攪拌工法を施工するには、原
地盤土中に適当な量の安定処理材を添加して混合攪拌す
る必要がある。しかしながら相当な量の安定処理材を地
盤中に注入添加すると、地盤の容積が増加することにな
り、その結果として周辺地盤および地中埋設物や構造物
に対し、側方へ押しやり、または変位させるという問題
が生ずる。そこで近時、安定処理材を添加して混合攪拌
を行い、地盤中に水和生成物を作ることにより地盤改良
工を施工しても、地盤の容積の増大が生じないような工
法を求めることが喫緊の課題としてクローズアップされ
てきたのである。
【0003】この課題を解決するために現在とられてい
る方法の一つとして、スクリューロッドによる排土法が
ある(特公平4−57805号公報参照)。この工法
は、攪拌翼を下端部に装着した攪拌軸自体における、攪
拌翼より上部の位置にスクリューを設けるか、あるいは
二軸ないし多軸式の施工機においては、攪拌軸と攪拌軸
との中間にスクリューロッドを設けておき、攪拌軸が回
転しながら下降、上昇するときに、スクリューロッド周
辺の土を排土し、安定処理材の添加注入によって生ずる
改良部地盤の容積増加分にほぼ見合う量の土を排除しよ
うとする工法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この工法は一見非常に
合理的なように見えるが、実際に施工するとなるといく
つかの問題を含んでいる。その第1は、スクリューによ
る排土量を、安定処理材の添加によって生ずる改良部地
盤の容積増加量にほぼ見合うように、正確にコントロー
ルすることが非常に困難な点である。スクリューロッド
がどれだけの土の量を現実に排除できるかは、スクリュ
ーの直径、ピッチ、回転速度、その他の複雑な関係によ
る他、排除される土の性質にも関係し、そのため排除で
きる土の量を容易に予測することができないことであ
る。実際には施工してみて排土がスクリューに運ばれて
地上に出てきて初めて排土のおよその量が見当がつくこ
とになるが、これとて相当の経験や緻密な技術的な熟練
がなければ不可能である。
【0005】排土量のコントロールが困難であるもう一
つの理由は、1本(1か所)の混合攪拌工法によって排
土すべき土の量は、安定処理材の添加量によって大きく
異なる点である。例えば当初の地盤土1.0m3に対して
安定処理材を150kg添加する場合と300kg添加する
場合とでは、添加、混合攪拌することによって増大する
改良部の地盤の土量は当然のことながら後者の方がずっ
と多い。つまり必要な排土量は後者の方がずっと多いこ
とになり、これに対応するためには後者の場合に使用す
るスクリューは前者の場合のスクリューよりも排土量の
大きいのものを用いなければならない。同様にして、混
合攪拌工法を互いにオーバーラップするような配置で2
本(2か所)以上施工する場合には、必然的に各施工部
ごとに必要排土量が変わってくる。もし適当な作業、サ
イズのスクリューを使用しなかった場合には、あるいは
改良部地盤の容積の増大量より排土量が小さいときは、
周辺地盤への影響を完全に防ぐことができず、側方への
流動や変移を残すことになる。また逆に容積の増大量よ
り排土量が大きいときには、改良工施工部に地盤沈下が
生ずることにもなる。
【0006】次に問題点の第2としては、排土工は多く
は攪拌軸下端又はそれに近い部分に装着された攪拌翼の
先端部から地盤中に安定処理材が添加注入された後に行
われるため、排除される土はまだ充分に混合攪拌されて
はいないが、その中に安定処理材をいくばくか含んでい
ることである。つまりあらかじめ設計された安定処理材
の必要添加量のうち幾分かは、水和反応に関与すること
なく、そのまま地盤外に排除される。その結果、生ずる
改良体は必要添加量よりいくらか少ない量の安定処理材
によって造成されるため、目標強度を下まわることにな
る。これを補うためにはあらかじめ添加する安定処理材
の量を、ロスを見込んで増加させておく必要があり、こ
のようなことは技術的にかなり難しいばかりでなく経済
的にも不利となる。
【0007】その他、第3の問題点としては、スクリュ
ーに付着して引き上げられた排土は、1本ごとにほぼ完
全に剥し落とさなければならないが、この作業はかなり
面倒な作業であることである。しかも落とした排土は攪
拌軸あるいはスクリューの位置に山のように蓄積される
ので、作業者は斜め横から剥し落とさなければならな
い。他方、もしスクリュー間に付着した排土を完全に剥
し落とすことができず、いくらか残した場合は、次の地
点における排土量は当然小さくなることになる。さらに
第4の問題点としては、スクリューから剥し落とした排
土の処理のことであり、この排土は当然建設残土として
処理されるが、そのためにかなりの経費と手間を要する
ことなる。また最近は公害の点からも色々問題を含んで
いる。
【0008】いずれにせよ、現在考えられているスクリ
ューによる排土工法については、一見合理的に見える
が、詳細に見ていけば上記のようにいくつかの問題点が
ある。その内で最も重要な問題点といえばやはり第1に
あげた排土量のコントロールの点であろう。
【0009】本発明は上記の種々の問題を解決するため
になされたものであり、安定処理材の添加による地盤容
積の増加に対し、その増加量を減少させる工法におい
て、減少量を比較的容易にコントロールすることができ
る地盤改良工法を提供することを第1の課題としてい
る。さらに本発明は、注入した安定処理材をできるだけ
排出せず、すなわち地盤中に残したまま、容積増加分を
減少させうる地盤改良工法を提供すること、さらに施工
が簡単で、環境保護にも配慮した地盤改良工法およびそ
れらに用いる装置を提供することを技術課題としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の地盤改良工法は安定処理材(地盤硬化材)
の混合攪拌により軟弱地盤を硬化処理する地盤改良工法
において、安定処理材の混合攪拌のときに、処理対象と
なっている原地盤の土成分を残し、原地盤から安定処理
材の添加、注入によって生ずる土の増大量に対応する量
の水を排出することを特徴としている。
【0011】上記工法においては、安定処理材の供給通
路と排水通路とを備えた攪拌軸を、周囲の原地盤を切削
させながら地中に降下させ、ついで供給通路から安定処
理材を注入して攪拌軸で原地盤と安定処理材とを混合攪
拌ながら攪拌軸を上昇させ、その上昇のときに排水通路
を通じて水を吸引して排出するのが好ましい。さらに前
記攪拌軸を地中に降下させるときは排水通路を攪拌軸中
に収容しておき、地中の下端に降ろしてつぎに上昇させ
るときに、排水通路を残して攪拌軸のみをいくらか上昇
させ、その後、排水通路と攪拌軸とを一緒に上昇させる
のが好ましい。また安定処理材の注入流量と水の排出流
量とをバランスさせながら混合攪拌を行うのが一層好ま
しい。
【0012】本工法の好ましい態様においては、攪拌軸
は二重管構造とし、土中より水を排出するポンプ及び排
水管等は内管内に収納し、安定処理材の供給通路は内管
と外管の間隙とする。その場合、攪拌軸の下降時には、
内管は全然稼働させず、外管下端に設けられた掘削ビッ
ト(掘削翼)並びに外部に設けられた攪拌翼の廻転によ
って周辺地盤を切削掘削攪拌しながら所定の深度まで降
下させて行く。攪拌軸が所定の深度まで達すると、その
下端または下端に近い部分に設けられた吐出口(孔)か
ら周辺地盤へ安定処理材の注入を開始し、混合攪拌を始
める。それと同時に攪拌軸外管は徐々に上昇させてい
く。
【0013】攪拌軸外管が上昇をはじめて暫くの間、内
管はそのまま掘削孔底にとどめるが、これによって内管
内に収納されているポンプの排水機構が直接に外部地盤
と接することになり、排水機構の稼働が開始し、安定処
理材の注入によって生じた改良地盤内の過剰水分を排出
することにより、攪拌軸周辺の改良部地盤の容積増加分
を解消することが可能となる。
【0014】本発明の地盤改良装置は、下端近辺に掘削
ビットおよび攪拌翼を備えたパイプ状の攪拌軸と、その
攪拌軸の内部にそれぞれ設けた安定処理材の供給通路お
よび排水通路と、その排水通路を通じてその下端から水
を吸引し、上端から排出するためのポンプとから構成さ
れている。その場合、攪拌軸を内管および外管からなる
2重管にしておき、その内管と外管の間を安定処理材の
供給通路とし、内管の内部に排水通路を設けるのが好ま
しい。また前記排水ポンプは排水通路の下端近辺あるい
は内管の下端近辺に設けるのが好ましい。さらに前記内
管を、その下端が攪拌軸の下端から突出しうるように、
外管に対して上下動可能に設けるのが好ましい。さらに
排水通路の下部に、水を通して土粒子およびセメント微
粒子を通さないスクリーンないしフィルターを設けるの
が好ましい。また排水通路の内部を上昇する水の流量を
測定する流量計を設けるのが好ましい。
【0015】
【作用】原地盤の軟弱土に安定処理材を添加し、混合攪
拌によって処理するとすると、例えば1.0m3 の排土
を行うときはその排土の重量は2.7〜2.9t にもな
り、その残土処理もまた大変である。ところが同じ容積
を排水工によって処理するときは、1.0m3 の水は約
1.0tで重量的にもはるかに小さい。しかも排水の処
理は残土処理に比べてはるかに容易である。さらに本発
明の工法では、地盤改良部の土中の水が排除されるた
め、改良部の土における含水比が減少し、それだけ改良
柱(体)の強度が増大するという結果を得る。これも本
発明の工法の作用効果の一つである。
【0016】以下、上記の作用についてさらに詳述す
る。一般に軟弱な地盤においては、砂質土であっても粘
性土であっても比較的多く水を含んでいるが、その水の
存在の仕方は砂質土と粘性土とでは著しく異なってい
る。砂質土の場合は、個々の粒子の大きさは比較的大き
く(粒径0.074mm〜2.00mmの間)、粒子はそれ
ぞれ単独に存在し、図5aに見るようにこれらの単一の
粒子が集まって存在している。このような構造を単粒構
造という。従って砂質土の土塊においては粒子と粒子と
の間隙も比較的大きく、水分子もその間隙を比較的容易
に流動することが可能である。そのため砂質土において
は水の透水性が良好である。これに対して粘性土といわ
れる土は粒子の大きさが小さく(シルトで粒径が0.0
74mm〜0.005mm、粘土では0.005mm以下)、
従って粒子間の間隙も砂質土よりもはるかに小さい上
に、砂質土と異なって個々の粒子が単独では存在せず、
図5bにみるような蜂の巣構造とか、図5cに示す綿毛
構造をなして存在している。これは粘性土の粒子が小さ
いため、比表面積が大きく、そのため界面現象を生ずる
ようになったものである。
【0017】従って粘性土地盤に含まれる水は、その大
部分がこうした連鎖状の構造を形成している粘性土粒子
と、イオン結合とか分子結合によって化学的に結び付け
られたり、あるいは微細な粘性土粒子の間隙に毛管水と
して物理的に引き付けられており、自由に動くことので
きる水分子の量は砂質土に比べて少なくなる。しかも粘
性土においては土粒子間の間隙も砂質土に比べてはるか
に小さいので、事実上粘性土地盤では水分子の流動はき
わめて少なく、これが粘性土の透水性を小さくしている
原因である。このように粘性土地盤では、通常の方法で
は排水することが非常に困難であり、例えば排水工とし
てよく用いられるディープウェル工法やウェルポイント
工法においても、粘性土地盤における排水量はきわめて
微量でほとんど実際的には効果がないとされているので
ある。
【0018】しかしながら本発明が関与している地盤改
良工法である混合攪拌工法においては、攪拌軸の下部に
装備された掘削ビット(掘削翼)及び攪拌翼の回転によ
って粘性土の構造である蜂の巣状ないし綿毛状の組織を
機械的に破壊し、ずたずたにするため、化学的および物
理的に組織に結び付けられていた水分子が解放されて自
由に動くことができるようになる。このため、安定処理
材の添加注入による混合攪拌も可能になるのである。こ
れはとりもなおさず、本発明の工法においては、土質に
関わらず、ポンプなどによる排水が可能になることを意
味する。
【0019】このようにして砂質土地盤に対してはもち
ろんのこと、粘性土地盤に対してもポンプによる排水が
可能になるので、安定処理材の添加注入による土の容積
増大分を排水によりバランスさせ、側方流動や変位など
の周辺への影響をなくすことができる。しかも排水によ
る処理と排土による場合とを比べると、後者ではスクリ
ューなどに付着した土を剥し落とすなどの面倒な作業
や、剥し落とした土を残土として処理する必要があるの
に対して、排水により処理する場合には、排水量を流量
計により容易に把握することができるので、土の容積増
大分にほぼ正確に見合うだけの排水を行うことが可能な
上、残土などの問題もまったく生じないという利点があ
る。
【0020】つぎに本発明の装置の作用について説明す
る。混合攪拌にあたる安定処理材は攪拌軸の内部に設け
た供給管内を流下して攪拌翼の下端における吐出口から
地盤中に添加注入される。しかし吐出するのは攪拌軸
(及び攪拌翼)の引き上げ過程においてであり、前半の
攪拌軸(並びに攪拌翼)の下降時にはもっぱら攪拌翼に
より軸周辺の地盤を攪拌し、粘性土などの組織を破壊
し、ずたずたにする作業を行うものとする。攪拌翼の先
端が所定の深さに達し、その深さでの軸周辺の地盤に対
して充分な攪拌を終えた時点から、攪拌軸下端部の吐出
口からの安定処理材の吐出添加が開始される。しかしこ
の時点までは排水のためのポンプもまだ稼働を始めな
い。
【0021】攪拌軸が下端まで降下すると、いよいよ攪
拌軸下端部の吐出口から安定処理材の吐出が始まり、攪
拌翼による混合攪拌が始まる。そしてそれ以後、攪拌軸
は徐々に引き上げられる。ポンプは攪拌軸が孔底より一
定の高さBだけ引き揚げられた時点から稼働し始め、攪
拌軸周辺の地盤中に充満している過剰水を排水管を通し
て排出することになる。その結果、ポンプは混合攪拌が
充分に行われてセメント系固化剤などの硬化材と水の水
和反応が開始された後に、改良部地盤中に残っている過
剰水を排出しながら上昇していくことになる。
【0022】二重管を用いる装置では、攪拌軸は外管の
内部に内管を収容した状態で下降させる。そして内管と
外管の間から孔底に達すると、上昇させながら混合攪拌
を行うが、混合攪拌にあたる安定処理材は内管と外管の
間を流下して攪拌軸の下端近辺における吐出口から地盤
中に添加注入されている。また上昇時には内管のみ孔底
に残し、外管だけいくらか上昇させる。この過程をもう
少し詳しく説明すれば、攪拌軸(外管)が孔底に達して
後、安定処理材の注入がはじまり、ほぼ同時に外管の上
昇がはじまる。このとき内管はまだ孔底にとどまったま
まであるが、外管と内管の高低差がBになった時点で内
管内に内蔵されている排水ポンプの稼働を開始し、安定
処理材の注入により攪拌軸周辺地盤中に充満している過
剰水を、たとえばスクリーンを通して排出することにな
る。さらに外管が上昇して内管との高低差が与えられた
一定の高さHだけ高い位置になって以後は、内管は外管
との高さの差Hを保ったまま、外管に追随して上昇して
いくことになる。前記HおよびBの値は原地盤の状態そ
の他よりあらかじめ定めておくことができる。
【0023】つぎに細部にわたれば、ポンプ周りには適
当な開孔率を有するスクリーンを設け、さらに砂質土地
盤の場合には必要に応じて砂粒子の流入を防ぐ為の防護
施設として網をかぶせることもある。このようにしてお
くことにより、より一層確実に地盤改良部において生ず
る過剰水だけを排除することが可能になる。このとき、
安定処理材として添加注入したセメント系固化材などの
硬化材の粒子を水が一緒に吸い上げてしまうことがない
かという問題がある。この点に関しては、多くの硬化材
の主要な構成分子であるセメント粒子の粒系は、0.0
75〜0.005mmの範囲、平均して約0.020mm
と、土にすればだいたいシルト土の粒径に相当する大き
さなので、スクリーンの目を通って排出されることはな
い。むしろ粘性土地盤の場合においては、攪拌翼の回転
によって組織を機械的に破壊された改良工施工部内の水
と、スラリー式の安定処理材の添加によって注入された
過剰水を排水するだけで、その周囲の粘性土地盤中の水
を脱水することはあり得ない。
【0024】
【実施例】つぎに図面を参照しながら本発明の工法およ
び装置を説明する。図1は本発明の工法の一実施例を示
す概略工程図、図2は本発明の装置の一実施例を示す要
部正面図、図3は図2のIII-III 線断面図、図4は図2
のIV-IV 線断面図である。最初に図2〜4を参照しなが
ら本発明の装置の実施例を説明する。図2の符号1は外
管であり、図3に示すようにその外管1の内部に内管2
が収容されている。内管2は外管1に対し、上下動自在
に支持されており、その下端部は外管1の底部の孔1a
から下方に出没自在にされている。外管1は従来の攪拌
軸と同じように、その外周に攪拌翼3を備えている。攪
拌翼3の枚数、配列状態は特に限定されないが、例えば
図4に示すように、一カ所につき互いに左右に対向する
ように2枚ずつ、上下に3段程度、互いに軸心廻りの角
度をずらせた状態で設ければよい。そして図2および図
3に示すように、攪拌翼と同じ高さの位置に、外管1の
内外を連通する2個一対の吐出孔4を上下に3段で設け
ている。
【0025】前記内管2の内部の下端には、ポンプ5が
収容されている。ポンプ5は公知の縦形の水中ポンプな
どを使用することができる。ポンプ5の吸水口が面する
部位には、たとえば図4に示すように放射状に開口5b
が形成されており、それらの開口5bには土やセメント
の微粒子は通さず、水だけ通すスクリーンないしフィル
ター6が取りつけられている。ポンプ5の排水口は上端
に設けられており、その排水口に、揚水管7が取りつけ
られている。揚水管7はパイプの他、チューブないしホ
ースであってもよい。それらはいずれも排水通路とな
る。なお図2および図3における符号8はポンプ5の電
源用および制御用のキャブタイヤコードである。また符
号9は掘削ビット(掘削翼)であり、その中央には内管
2を出没させるために孔9aを設けている。
【0026】つぎに図1を参照しながら上記のごとく構
成される装置を用いて本発明の工法を実施する手順を説
明する。図1の左端に示す工程Iは、上記の混合攪拌装
置Aを施工対象の地盤Jの上に設置する施工機据付・準
備工程であり、その装置Aはたとえばクレーン車などで
吊り、地盤Jに対して垂直に立てる。ついで工程IIにお
いて、内管2を外管1内に収蔵した状態で、掘削ビット
(掘削翼)9を回転させて地盤Jを掘り進み、攪拌軸
(外管)を下降させていく。そのとき攪拌翼3も同時に
回転させているので、攪拌翼3の両端を直径とする円柱
状の範囲Kの原地盤土の組織はずたずたに切削破壊さ
れ、組織内に拘束されていた水の大部分は解放されて自
由に移動しうる状態になる。この工程では安定処理材を
まだ吐出せず、ポンプ5も作動させない。
【0027】ついで所定の深度まで掘削を完了し、攪拌
軸が孔底J1についたときに、外管1と内管2の間の供
給通路10を通して安定処理材を供給し、吐出孔4から
安定処理材を注入しながら混合攪拌を開始する(工程II
I )。安定処理材はスラリー状でもよく、また粉体状で
もよい。ついで混合攪拌を続けながら、内管2を残して
外管1のみを一定の高さHまで引き揚げる。内管に内蔵
されているポンプ5は、内管と外管の高低差がB(B<
H)になった時点から稼働し始めており、従って高低差
がHになった時点では既に正常な排水状態に入っている
(工程IV)。そして高低差がHになってから後は、内管
は外管との高低差Hを保ったままの状態で、外管に追随
して上昇し、その間排水工を継続することになる(工程
V )。
【0028】なお図示していないが、内管の上端ないし
はその上端に連結したホースまたは配管に、排出する水
の流量を検出する流量計を設けておき、さらに外管1と
内管2の間の供給通路10に供給する安定処理材の流量
を計測する流量計を、外管1の上部またはそれに接続す
る配管に設けておく。そして安定処理材の流入量と排出
する水の流出量がバランスするように、たとえばポンプ
5の吐出流量を制御する。それらの制御は通常は自動制
御により行う。安定処理材の流入量は、混合攪拌工を行
う地盤Jの地質(粘性土か、砂質土か、粘性土でもシル
ト層か粘土層か)、密度、地下水の量などに応じて、あ
らかじめ検出したデータなどに基づいて定めることがで
きる。また供給する安定処理材の量に対する排出する水
の量は、同じくあらかじめ測定したデータに基づいて定
めればよいが、以下に詳述するように、土質によってほ
とんど変える必要がない。この点も本発明の有利な点で
ある。
【0029】次に軟弱砂質土および軟弱粘性土に対し、
安定処理材における硬化材としてセメント系固化材を添
加した場合に、改良土の容積がどのように増大ないし変
化するかについて説明し、併せて本発明の排水処理を伴
う地盤改良工法を実施する場合に、その改良土の容積増
大がどのようにしてバランスされ、その悪影響をなくす
ことができるかについて説明する。対象土となる軟弱砂
質土及び軟弱粘性土の標本をそれぞれ2種類ずつ選び、
それぞれS-I、S-II およびC-I、C-II と区分する。
これら4種類の土質標本の各土質定数(含水比w、間隙
比e、飽和度Sr、単位体積重量γ、粘着力c、内部摩
擦角φ)の値を表1のように定める。またこれらの土に
対して添加する安定処理材としては通常、セメント系固
化材が用いられる。その添加方法としては、粉体の形で
用いる場合とよく水と混和したスラリー状の形で添加す
る場合との二つがあるが、ここではスラリー状で添加し
た場合について説明する。セメント系固化材と水との混
合比(重量比)は1:1とする。なおセメント系固化材
としては各メーカーにより多くの種類のものが販売され
ているが、その作用はほぼ同様である。そのセメント系
固化材の単位体積重量を3.15とする。
【0030】
【表1】 [砂質土S-Iのケース]まず軟弱砂質土S-Iの場合につ
いて述べる。表1に示すように本標本の土粒子比重Gs
は2.67kgf/cm3 、含水比wは66%、間隙比
eは1.76で、飽和度Srは100%である。したが
ってその当初の容積Vo =1.0m3 の組成は次の表2
のようである。
【0031】
【表2】
【0032】またセメント系固化材と水を1:1の配合
比で混合したスラリー状安定処理材の組成は、セメント
系固化材100kg当たり、次の表3のようになり、そ
の容積はvs =0.132m3 となる。
【0033】
【表3】 [実施例1]いま、砂質土S-Iの体積Vo =1.00m
3 中に、セメント系固化材を150kg/m3 としてス
ラリー状の安定処理材を添加すると、安定処理材の容積
sは vs =1.5×0.132=0.198m3 となり、添加直後の土の全容積は V' =VO +vs =1.00+0.198=1.198
3 と約20%近い容積増大をみることになる。
【0034】しかし、添加されたセメント系固化材は直
ちに地盤内に過剰に存在する水と反応して水和生成物を
作りはじめ、その反応の進行は常温常圧においては水和
反応開始後1日で全体の約20%弱、7日後で約55〜
60%程度と、徐々に進行する。地表面下の地盤中にあ
っては、その深度や土質により圧力、温度などの条件が
異なり、いちがいには言えないが、当然に水和反応の進
行は常温常圧の場合よりも早くなると考えられる。そこ
で水和反応が完了した状態についてみると次のようにな
る。
【0035】安定処理材vs =0.198m3 中のセメ
ント系固化材150kgは約37.5kgの水(H2
O)と反応して、 ws '=150+37.5=187.5kg=0.187
5t の水和生成物を作るが、水和生成物の単位体積重量はほ
ぼ3.00tf/m3 である。よって水和生成物の全容
積はvs 'は vs '=0.1875/3.0≒0.063m3
【0036】一方、V' =1.198m3 中の水の全量
は、vo 中の0.638m3 (638kg)とvs 中の
0.150m3 (150kg)であり、そのうち37.
5kgの量が水和反応によって消失する。そのため、残
留分は次のようになる。 重量 ww '=638+150−37.5=750.5k
g 容積 vw '=0.638+0.150−0.0375=
0.7505m3
【0037】この結果、水和反応終了時における改良土
の組成は次の表4のようになる。
【表4】 すなわちS-I土のVo =1.00m3 中にスラリー状安
定処理材をvs =0.198m3 (セメント系固化材1
50kg)だけ添加した場合、添加直後の土の容積はV
' =1.198m3 と増大するが、水和反応終了時には
若干減少して、V" =1.176m3 となる。そしてそ
れ以後は、それ以上変化することはない。従って最終的
な容積の増大分は0.176m3 である。
【0038】[実施例2〜4」同様に軟弱砂質土S-Iの
o =1.00m3 中に、セメント系固化材の量を、2
00kg/m3 、250kg/m3 および300kg/
3 としてスラリー状安定処理材を添加した場合につい
て述べる。まず、セメント系固化材200kg/m3
添加する場合は、スラリー状安定処理材の容積はvs は vs =2.0 ×0.132=0.264m3 となり、添加直後の土の全容積は V' =Vo +vs =1.00+0.264=1.264
3 と約26%強の容積増大となる。次にその水和反応完了
時の状態をみると、安定処理材中のセメント系固化材2
00kgは約50kgの水(H2 O)と反応して (重量)ws '=200+50=250kg=0.250
t (容積)vs '=0.25/3.0=0.083m3 の水和生成物を作る。これに伴って土中に残留する水の
量は次のようになる。 (重量)ww '=638+200−50=788kg (容積)vw '=0.638+0.200−0.050=
0.788m3
【0039】この結果、水和反応終了時における改良土
の組成は次の表5のようになる。
【表5】
【0040】すなわち水和反応終了時における土の容積
はV" =1.233m3 となり、安定処理材添加直後の
1.264m3 と比べると若干減少する。セメント系固
化材を250kg/m3 及び300kg/m3 として安
定処理材を添加した場合について、結果だけをしるせば
次のようになる。セメント系固化材250kg/m3
場合は、安定処理材添加直後の容積は V' =VO +vs '=1.00+2.5×0.132=
1.330m3 水和反応終了時における土の容積は V" =0.362+0.104+0.826=1.29
2m3 となる。また、セメント系固化材を300kg/m3
した場合には、安定処理材添加直後の土の容積は V' =1.00+3.0×0.132=1.396m3 水和反応終了時においては V" =0.362+0.125+0.863=1.35
0m3 となる。
【0041】[砂質土S-II のケース]次に軟弱砂質土
S−IIの場合について説明する。この標本1.0m3
当初の組成は下の表6のとおりである。
【表6】
【0042】[実施例5]この土1.0m3 中にセメン
ト系固化材150kgを含むスラリー状安定処理材を添
加すれば、添加直後の土の全容積は V" =Vo +vs =1.00+1.5×0.132=
1.198m3 となる。ついで、水和反応終了後においては、水和生成
物及び土中に残留する水(H2 O)の量はそれぞれ下記
のようになる。 水和生成物 (重量)ws '=150+37.5=187.5kg=
0.1875t (容積)vs '=0.0875/3.0=0.063m3 水 (重量)ww'=604+150−37.5=716.5
kg (容積)vw'=0.604+0.150−0.0375
=0.7165m3 従って土の容積は次のようになる。 V" =0.396+0.063+0.7165≒1.1
76m3 [実施例6]同様にして、セメント系固化材の添加量を
200kg/m3 とするときは、安定処理材の添加直後
の土の全容積は V' =1.00+2.0×0.132=1.264m3 となり、水和反応終了時には V" =0.396+0.083+0.754=1.23
3m3 となる。 [実施例7]セメント系固化材の量を250kg/m3
として添加するときは、添加直後及び水和反応終了時に
おける土の全容積はそれぞれ以下のようになる。 添加直後 V' =1.00+2.5×0.132=1.
330m3 水和反応終了時V" =0.396+0.104+0.7
92=1.292m3 [実施例8]また、セメント系固化材の量を300kg/
3 とした場合の、添加直後並びに水和反応終了時の土
の全重量は、それぞれ 添加直後 V' =1.00+3.0×0.132
=1.396m3 水和反応終了時V" =0.396+0.125+0.8
29=1.350m3 となる。
【0043】[砂質土S-I、S-II についての考察]以
上、軟弱砂質土S-I及びS-II の2種類の標本につい
て、それぞれ4通りの添加量で安定処理材を添加し、混
合攪拌処理した場合の土の容積変化についてみてきた
が、これを表にしてみると次の表7のようになる。
【表7】
【0044】すなわちこの表7から知られるように、当
初の標本地盤の土質が、含水比とか、間隙比などが異な
っていても、同じ量の安定処理材を添加した場合に起こ
る土の容積変化の割合は等しいということが分かる。た
だし当初の標本地盤が未飽和地盤である場合は容積の変
化はもっと少なくなる。次にこのことを軟弱粘性土の標
本地盤についてみることにする。
【0045】[粘性土C-Iのケース]まず軟弱粘性土C
-Iの場合について説明する。この標本の1.0m3 の組
成は次の表8のようになっている。
【表8】
【0046】[実施例9]この土にスラリー状安定処理
材をセメント系固化材の量を150kg/m3 として添
加すると、添加直後の土の容積はV' =1.00+1.
5×0.132=1.198m3 となり、さらに添加後
に水和反応が進行し、これが終了した状態における改良
土中の各物質の容積は次のようになる。 土 0.264m3 水和生成物 1/3.0 ×(150+37.5)=0.0625m3 ≒0.063m3 水 0.736 +0.150-0.0375=0.8485 ≒0.849m
3 したがって全容積は V"=0.264+0.063+0.849=1.176m3 となる。 [実施例10〜12]同様にしてセメント系固化材の量
を200kg/m3 、250kg/m3 及び300kg
/m3 とした場合はそれぞれ次のようになる。
【0047】セメント固化材の量を200kg/m3
した場合には、添加直後の土の容積V' は V'=1.00+2.0 ×0.132=1.264m3 水和反応終了時における土の容積V" は V"=0.264+0.083+0.886=1.233m3 となる。
【0048】ついでセメント系固化材の量を250kg
/m3 とした場合には、添加直後の土の容積V' ならび
に水和反応終了時における土の容積V" は、それぞれ次
のようになる。 V'=1.00+2.5 ×0.132=1.330m3 V"=0.264+0.104+0.924=1.292m3 さらにセメント系固化材の量を300kg/m3 とした
場合においては、添加直後の土の容積V' ならびに水和
反応終了時における土の容積V" は次のようになる。 V'=1.00+3.0 ×0.132=1.396m3 V"=0.264+0.125+0.961=1.350m3
【0049】[粘性土C-II のケース]次に軟弱粘性土
C-II についてみると、この標本の1.0m3 の組成は
下の表9のとおりである。
【表9】
【0050】[実施例13〜16]この土にもセメント
系固化材の量が150kg/m3 、200kg/m3
250kg/m3 及び300kg/m3 になるように安
定処理材を添加処理した場合、添加直後の土の容積V'
ならびに水和反応終了時における土の容積V" の値はそ
れぞれ次のようになる。 セメント系固化材の量が150kg/m3 の場合。 V'=1.00+1.5 ×0.132=1.198m3 V"=0.320+0.063+0.793=1.176m3 セメント系固化材の量が200kg/m3 の場合。 V'=1.00+2.0 ×0.132=1.264m3 V"=0.320+0.083+0.830=1.233m3 セメント系固化材の量が250kg/m3 の場合。 V'=1.00+2.5 ×0.132=1.330m3 V"=0.320+0.104+0.868=1.292m3 セメント系固化材の量が300kg/m3 の場合。 V'=1.00+3.0 ×0.132=1.396m3 V"=0.320+0.125+0.905=1.350m3
【0051】[粘性土についての考察]軟弱砂質土S-
I、S-II について試みたと同様に、軟弱粘性土C-I、
C-II の2種類の標本において、セメント系固化材の量
を変えてスラリー状安定処理材を添加した場合の容積変
化の様子をみたが、これをまとめて表にしてみると次の
表10のようになる。
【表10】
【0052】すなわちここでも軟弱砂質土の場合と同様
に、標本地盤が異なっていても、容積の変化の割合は関
係なく、ただ安定処理材の添加量だけに応じて変化する
ことが分かる。それとともにその容積の変化の割合は砂
質土と粘性土でまったく同様であり、このことはとりも
なおさず、砂質土と粘性土とが混合した軟弱土において
も同じような容積の変化をすることを示している。した
がってその地盤が飽和した地盤であれば、地盤の種類、
物理的性質(粘度、含水比、間隙比、単位体積重量な
ど)の如何を問わず、スラリー状安定処理材の添加量が
定まれば、概ねどの程度の容積が変化(増加)するのか
の見当がつき、これと見合うだけの必要な排水量も容易
に見定めることが可能になる。
【0053】すなわちいま、ある飽和した土(飽和度1
00%)1.0m3 にセメント系固化材の添加量を20
0kg/m3 になるような割合で、W:C=1:1のス
ラリー状の安定処理材を吐出添加し、混合攪拌工を行な
う場合について説明する。改良柱の径を1.000m
m、攪拌軸の引上げ速度を1.0m/min とすると、改
良部の地盤の深さ1.0m当たりの土の容積は V=(π/4)×1.02 ≒0.785m3 であるから、添加直後の土の容積は V' =1.264×0.785=0.992m3 に増大する。しかし水和反応の進行につれて、また容積
は徐々に減少し、最終的には V" =1.233×0.785=0.968m3 となるわけである。従って添加前の容積と比べると、深
さ1.0m当たり ΔV=V" −V=0.968−0.785=0.183
3 だけ容積が増大することになる。
【0054】この容積増大分に見合うだけを排水工によ
って処理するとすれば、必要な配水量は深さ1.0m当
たり183リットルであり、しかもポンプの引揚げは攪
拌軸の外管に追随するから、1.0m/min である。よ
ってポンプの必要排水量qも、q=183リットル/mi
n =0.183m3/min となる。ポンプの排水量のコン
トロールは流量計を設置することによって容易であり、
これによって混合攪拌工における改良部地盤の容積増大
は極めて高い精度でコントロールすることができる。
【0055】以上は本発明の主要な効果である混合攪拌
工における改良部の土の容積増大を抑制して、側方流動
や変位を防ぎ、周辺への影響をなくするための排水工の
しくみと作用、効果について説明したのであるが、本発
明にはもう一つの大きな効果がある。それは本発明の装
置による改良部の土の中の過剰水の排除が、改良部の土
の含水比を低下させることによって、出来上がった改良
柱の強度が大きくなるという効果である。
【0056】一般に混合攪拌工においては同じ量の土に
同じだけの量の硬化材を添加した場合、含水比の小さな
土の方が大きな強度を示すが、先に例として挙げた軟弱
な砂質土及び粘性土の各2個ずつの標本に、W:C=
1:1のスラリー状安定材を、硬化材であるセメント系
固化材の添加量をいろいろ変えて吐出添加し、混合攪拌
したものについて、そのまま放置しておいた場合と、本
発明の装置によって改良土内に充満している過剰水を排
除した場合との含水比w(%)の値を比べると次の表1
1のようになる。
【表11】
【0057】この表11でみるように本発明の装置によ
って排水工を行うときは、必然的に改良土の含水比を大
きく減少させうるので、改良部(柱)の強度を大きく
し、改良効果を大きくする結果となる。
【0058】以上本発明の装置によって改良土中の過剰
水の排水のしくみとその作用、効果について、スラリー
状の安定処理材を用いた場合について説明を行ったが、
粉体の形で添加する場合においても、安定処理材ないし
硬化材が地中に添加される分だけ土の容積が増大するた
め、それに見合うだけの容積を減少させなければならな
いことは同じであり、本発明における装置は同じように
効果を示すものである。従って添加される安定処理材或
は硬化材がスラリー状であろうと粉体状であろうと同様
に適用されるものである。
【0059】
【発明の効果】本発明の工法および装置を用いる効果と
して、つぎの事項が上げられる。 (1)混合攪拌工法において地盤中にスラリー状ないし
粉体状にして安定処理材ないし硬化材を添加したときに
生ずる改良土の容積増大に対して、改良部の土の中の水
を丁度容積の増大に見合う量だけ排除することにより、
容積の増大を抑制し、側方への流動や変位を防ぎ、周辺
の影響をなくすることができる。 (2)混合攪拌工法において地盤中に安定処理材ないし
硬化材をスラリー状で添加する場合にも粉体状で添加す
る場合にも有効である。 (3)土の容積の増大分を排土の形でなく排水の形で処
理するため、作業が容易で、しかも残土処理などの必要
がない。 (4)土の容積の増大分を排水の形で処理するため、適
量の排水が行なわれているかどうかを流量計で容易に判
断でき、排水のコントロールが簡単である。 (5)排土の場合のように安定処理材として添加した硬
化材などが排土にまじって排出されることがない。 (6)改良部の土中の排水によって改良部の土の含水比
が低下するので、生ずる改良体の強度が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工法の一実施例を示す概略工程図であ
る。
【図2】本発明の装置の一実施例を示す要部正面図であ
る。
【図3】図2のIII-III 線断面図である。
【図4】図2のIV-IV 線断面図である。
【図5】図5a、図5bおよび図5cはそれぞれ本発明
の地盤改良工法が対象とする地盤の組織構造を示す拡大
図であり、図5aは砂の構造を、図5bおよび図5cは
それぞれ粘性土の構造を示している。
【符号の説明】 1 外管 2 内管 3 攪拌翼 4 吐出口 5 ポンプ 6 スクリーン 7 揚水管(排水管) 8 キャブタイヤコード 9 掘削ビット(掘削翼)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定処理材の混合攪拌により軟弱地盤を
    硬化処理する地盤改良工法において、安定処理材の混合
    攪拌のときに、処理対象となっている原地盤の土成分を
    残し、原地盤から安定処理材の添加、注入によって生ず
    る土の増大量に対応する量の水を排出することを特徴と
    する地盤改良工法。
  2. 【請求項2】 安定処理材の供給通路と排水通路とを備
    えた攪拌軸を、周囲の原地盤を切削させながら地中に降
    下させ、ついで供給通路から安定処理材を注入して攪拌
    軸で原地盤と安定処理材とを混合攪拌ながら攪拌軸を上
    昇させ、その上昇のときに排水通路を通じて水を吸引し
    て排出する請求項1記載の工法。
  3. 【請求項3】 攪拌軸を地中に降下させるときは排水通
    路を攪拌軸中に収容しておき、地中の下端に降ろしてつ
    ぎに上昇させるときに、排水通路を残して攪拌軸のみを
    いくらか上昇させ、その後、排水通路と攪拌軸とを一緒
    に上昇させる請求項2記載の工法。
  4. 【請求項4】 安定処理材の注入流量と水の排出流量と
    をバランスさせながら混合攪拌を行う請求項1記載の工
    法。
  5. 【請求項5】 下端近辺に掘削ビットおよび攪拌翼を備
    えたパイプ状の攪拌軸と、その攪拌軸の内部にそれぞれ
    設けた安定処理材の供給通路および排水通路と、その排
    水通路を通じてその下端から水を吸引し、上端より排出
    するためのポンプとからなる地盤改良装置。
  6. 【請求項6】 攪拌軸を内管および外管からなる2重管
    にしておき、その内管と外管の間を安定処理材の供給通
    路とし、内管の内部に排水通路を設けた請求項5記載の
    装置。
  7. 【請求項7】 排水ポンプが排水通路の下端近辺に設け
    られている請求項5記載の装置。
  8. 【請求項8】 排水ポンプが内管の下端近辺に収容され
    ている請求項6記載の装置。
  9. 【請求項9】 内管が、その下端が攪拌軸の下端から突
    出しうるように、外管に対して上下動可能に設けられて
    いる請求項6または8記載の装置。
  10. 【請求項10】 排水通路の下部に、水を通して土粒子
    およびセメント微粒子を通さないスクリーンないしフィ
    ルターを設けている請求項5、6、7、8または9のい
    ずれかに記載の装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000044994A1 (en) * 1999-01-28 2000-08-03 Austress Freyssinet Pty. Limited Soil mixing process
JP2001032662A (ja) * 1999-07-21 2001-02-06 Asahi Kiso Kk アースオーガ
JP2014189944A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Penta Ocean Construction Co Ltd 機械攪拌式真空締固め工法
JP2015055100A (ja) * 2013-09-12 2015-03-23 五洋建設株式会社 機械攪拌式真空締固め工法および機械攪拌式真空締固め工法用攪拌装置
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