JPH08283173A - 血圧降下剤及びその製造法 - Google Patents

血圧降下剤及びその製造法

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JPH08283173A
JPH08283173A JP7084247A JP8424795A JPH08283173A JP H08283173 A JPH08283173 A JP H08283173A JP 7084247 A JP7084247 A JP 7084247A JP 8424795 A JP8424795 A JP 8424795A JP H08283173 A JPH08283173 A JP H08283173A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Lys Val Leu Pro Val Pro Glnのアミノ酸配列
で示されるペプチド及びその塩を有効成分として含有す
る血圧降下剤、及び獣乳成分を原料として、発酵法又は
プロティナーゼ処理により得る前記血圧降下剤の製造
法。 【効果】前記血圧降下剤は、ヒト及び哺乳動物の血圧を
有効に降下させることができ、安全性が高く、副作用が
少ないため、医薬品、機能性食品等への利用が可能であ
る。また前記血圧降下剤は、獣乳成分を原料としたプロ
ティナーゼ処理法又は発酵法により、容易にしかも安価
に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血圧降下作用等を有
し、医薬品、特定保健用食品、健康食品等に利用できる
ペプチド及びその塩を有効成分として含有する血圧降下
剤及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来血圧降下剤として、天然物、化学合
成物等が多数報告されており、例えば化学合成物として
は、カプトプリル(D−2−メチル−3−メルカプトプ
ロパノイル−L−プロリン)が有名であり、既に経口用
降圧剤として実用化されている。しかし、これら化学合
成物は、常に安全性の問題に注意を払わなければならな
い。
【0003】また、天然物あるいは天然物由来の血圧降
下物質としては、蛇毒ペプチド及びその類縁体等が知ら
れている。また食品原料由来のペプチド性物質にも降圧
作用が見られることが報告されており、例えば獣乳カゼ
イン、魚肉蛋白質等の酵素分解物から得られるペプチド
に降圧作用があることが報告されており、最近、特に乳
酸菌産生プロティナーゼによるカゼイン分解ペプチドの
血圧降下作用に関する報告がなされている(N. Yamamot
o et, al. J. Dairy Sci. 77: 917-922 (1994)、N. Yam
amoto et, al., Biosci. Biotech. Biochem., 58, 776-
778 (1994))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安全
性が高く、微量の経口投与で有効な血圧降下作用を示す
血圧降下剤及びその製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記ア
ミノ酸配列で示されるペプチド及びその塩を有効成分と
して含有する血圧降下剤が提供される。 Lys Val Leu Pro Val Pro Gln また本発明によれば、獣乳成分を原料として、発酵法に
より得ることを特徴とする前記血圧降下剤の製造法が提
供される。更に本発明によれば、獣乳成分を原料とし
て、プロティナーゼ処理により得ることを特徴とする前
記血圧降下剤の製造法が提供される。
【0006】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明の血圧降下剤において、有効成分は、前記アミノ酸配
列で示されるペプチド又はその塩である。その塩として
は、薬理学上許容される塩類、例えば塩酸塩、硫酸塩、
リン酸塩等の無機酸塩及びクエン酸塩、マレイン酸塩、
フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩等の有機酸塩を挙げるこ
とができる。
【0007】前記ペプチドを調製するには、後に詳述す
る獣乳成分を原料として、発酵法又はプロティナーゼ処
理等により処理し、公知の方法で目的とするペプチドを
精製する方法等により得ることができる。即ち前記ペプ
チドは、獣乳蛋白質成分の1種であるβカゼインを構成
するペプチド単位の一部である。また公知の有機化学合
成法により得ることもできる。
【0008】本発明の血圧降下剤は、前記ペプチド及び
その塩を含有するものであるので、その製造法において
は、獣乳カゼインを原料とする微生物による発酵法、あ
るいは獣乳カゼインのプロティナーゼによる酵素加水分
解法等により製造することができ、前記ペプチドを単離
する程度の精製を必ずしも行なう必要はない。
【0009】前記発酵法においては、発酵原料として獣
乳成分、例えば牛乳、山羊乳、馬乳又はこれらの脱脂乳
の乳培地等を用いることができる。またカゼインあるい
はカゼイン塩を添加したBL培地、Briggs liver broth
培地、MRS培地、GAM培地、TTY培地、MGLP
培地等を用いることができる。使用できる乳酸菌として
は、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus
helveticus)、ラクトバチルス・デルブルィキィ・サブ
スペシィーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueck
ii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィ
ラス(Lactobacillus acidophilus)等のラクトバチル
ス属乳酸菌を用いることができる。更に好ましくはラク
トバチルス・ヘルベティカス JCM-1003(Lactobacillus
helveticus JCM-1003)、ラクトバチルス・デルブルィ
キィ・サブスペシィーズ・ブルガリカス JCM-1002(Lac
tobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus JCM-100
2)、ラクトバチルス・アシドフィラス JCM-1132(Lact
obaticillus acidophilus JCM-1132)等を挙げることが
できる。
【0010】発酵条件としては、発酵温度20〜50
℃、好ましくは30〜40℃、発酵時間3〜30時間、
好ましくは6〜12時間の条件下で行なうことができ
る。発酵時間はスターター接種量及び発酵温度により異
なるが、発酵乳酸量が好ましくは0.5〜2.0重量
%、更に好ましくは0.7〜1.5重量%となるまで行
うことにより、目的とするペプチドを含む発酵乳を得る
ことができる。
【0011】具体的には、例えばスターター接種量3重
量%、発酵温度37℃、発酵時間8時間程度で発酵乳酸
量を0.7〜0.8重量%とすることができ、またスタ
ーター接種量1重量%、発酵温度37℃とした場合に
は、発酵時間10〜12時間程度で、発酵乳酸量を0.
7〜0.8重量%とすることができる。更に長時間発酵
を行った場合には、乳酸菌が産生するペプチダーゼの作
用を受けて、有効成分としてのペプチドは減少する。更
に発酵を続けることにより、前記ペプチダーゼの作用を
受けて新たにVal Pro ProやIle Pro Proが生成し、新た
な血圧降下作用を示すことが知られている(日本農芸化
学学会誌 67, 3, 289(1993))。しかし前述の発酵条件で
は、血圧降下作用を示す量のVal Pro ProやIle Pro Pro
の生成は認められない。
【0012】前記獣乳カゼインのプロティナーゼ酵素加
水分解法は、原料として獣乳カゼイン、獣乳カゼイン塩
等を用い、酵素として、例えば微生物産生プロティナー
ゼを用いることができる。前記微生物産生プロティナー
ゼは、微生物、例えば乳酸菌由来のものを用いることが
できる。このような乳酸菌産生プロティナーゼにより獣
乳成分を酵素加水分解する方法は従来知られた方法であ
る。例えば、ラクトバチルス ヘルベティカス(Lactobac
illus helveticus)産生プロティナーゼの性質とカゼイ
ン配列内の切断点についての報告があるが(Claude ZEVA
CO and J.C.GRIPON, Le Lait, 68,393-408(1988)、Yama
moto N. et. al., J. Biochem., 114, 740-745(199
3))、前記ペプチドLys Val Leu Pro Val Pro Gln部位で
の切断は報告されていない。更にラクトバチルス・ラク
ティス・サブスペシィーズ・クレモリス(Lactobacillus
lactis subsp. cremoris)産生P1及びP3タイプのプロテ
ィナーゼによるβカゼイン加水分解の比較についても報
告されており(Julian R. Reid et.al.Applied Microbi
ology and Biotechnology, 36, 344-351(1991))、その
切断点より、前記ペプチドの生成が予測される。しか
し、前記ペプチドの血圧降下作用及び前記ペプチドを発
酵乳中から調製する方法の報告はなされていない。
【0013】前記乳酸菌産生プロティナーゼを調製する
際の乳酸菌、及びこれらを培養する際の培地としては、
具体的には、前記発酵法で列挙したものを好ましく挙げ
ることができる。
【0014】発酵条件としては、発酵温度20〜50
℃、好ましくは30〜40℃、発酵時間3〜30時間、
好ましくは6〜12時間の条件下で行うことができる。
また、得られる発酵液は、通常pH3〜4を示すが、目
的とするプロティナーゼの収率を増加させるためには、
前記発酵液を中性域のpHに保ち行うのが好ましい。更
にプロティナーゼの抽出は、好ましくは5〜40℃にて
10〜60分間抽出する工程を2〜5回繰り返すことに
より行うことができる。
【0015】前記乳酸菌産生プロティナーゼで獣乳カゼ
イン等の獣乳成分を分解するには、該乳酸菌産生プロテ
ィナーゼと、例えばリン酸緩衝液等の緩衝液に溶解した
獣乳成分とを混合し、30〜50℃にて、1〜12時間
反応させ、次いで、遠心分離し、好ましくは分子量分画
10000〜50000の限外濾過膜等で限外濾過し、
更に逆相液体カラムクロマトグラフィーを用いて目的の
ペプチドを含む成分を精製する方法等により得ることが
できる。この際乳酸菌産生プロティナーゼと獣乳成分と
の混合割合は、重量比で1:100〜1:5000であ
るのが好ましい。
【0016】本発明の血圧降下剤は、前記ペプチド及び
その塩を有効成分として含有するので、ヒトをはじめと
する哺乳動物の高血圧の治療、予防に有効である。
【0017】本発明の血圧降下剤の投与方法は、主に経
口投与、静脈注射等で行うことができる。剤形は、液状
として、また乾燥粉末とした後に錠剤、顆粒製剤、カプ
セル製剤等として用いることもできる。前記ペプチド及
びその塩は、発酵法、酵素加水分解法又は有機化学合成
法により得られたそれ自体、又は更に公知の方法により
精製処理を行なったものを前記各種剤形となるよう調製
して使用することができる。前記ペプチド及びその塩
は、後述するように微量でも血圧降下作用を発揮するの
で、前記酵素加水分解法又は発酵法で得られた前記ペプ
チド及びその塩を含む溶液を、そのまま、又は種々の栄
養分等を加えて、もしくは飲食品内に含有させて血圧降
下作用、高血圧予防の機能をもたせた機能性食品、特定
用保健食品、健康食品等として用いることができる。更
に前記発酵物を、ヨーグルト、チーズ等の直接摂取用発
酵食品として用いることもできる。
【0018】本発明の血圧降下剤の投与量は、患者の年
齢、体重、高血圧症状等により異なるが、前記ペプチド
及びその塩の含有量に換算して、0.5mg/体重kg
・日以上で有効である。好ましくは1mg/体重kg・
日前後で使用するのが望ましい。また前記発酵法で得ら
れた発酵乳をヨーグルトとして摂取する場合は、好まし
くは5〜20ml/体重kg・日の摂取量で、目的とす
る血圧降下作用を得ることができる。
【0019】前記ペプチドをWKYラット(15週令、
体重約300g、n=5)へ10mg/体重kg・日、
1か月間経口投与したが、ラットに異常は認められず、
本発明のペプチドの安全性が確認された。
【0020】
【発明の効果】本発明の血圧降下剤は、ヒト及び哺乳動
物の血圧を有効に降下させることができ、安全性が高
く、副作用が少ないため、医薬品、機能性食品等への利
用が可能である。また前記血圧降下剤は、獣乳成分を原
料としたプロティナーゼ処理法又は発酵法により、容易
にしかも安価に製造することができる。
【0021】
【実施例】以下実施例により更に詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【実施例1】乳酸菌としてラクトバチルス・ヘルベティ
カス JCM-1003のスターター発酵液300gを用い、9
重量%の脱脂粉乳10kgに接種した後、3N水酸化ナ
トリウム溶液を自動的に加え、pHを6.0に保ちなが
ら、濁度1.0になるまで37℃、5時間培養した(濁
度測定方法は、培養液10mlにクエン酸ナトリウムを
終濃度1重量%になるように加え、乳蛋白質を可溶化し
た後、590nmの吸光度を測定した)。培養終了後ク
エン酸ナトリウムを全発酵液に1重量%となるように添
加し、室温にて20分間保持して乳蛋白質を可溶化し
た。次に5000回転/分、20分間の遠心分離を行い
集菌した菌体を、20mM塩化カルシウム、50mMβ
−グリセロリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で洗
浄した後、50mMトリス−塩酸(pH8.0)50m
lを加えて37℃で30分間保温、抽出した。次いで1
0000回転/分、10分間の遠心分離を行い上清液を
採取した。抽出、遠心操作を4回繰り返して、上清液約
200mlを採取した(粗抽出液)。この粗抽出液を予
め5mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を含
む20mMトリス−塩酸緩衝液(TE緩衝液、pH7.
8)で平衡化したDEAE−セファロースカラム(5m
l)に通した。カラムを0.3Mの塩化ナトリウムを含
むTE緩衝液30mlで洗浄後、1.0M塩化ナトリウ
ムを含むTE緩衝液15mlで溶出し、約150μgの
乳酸菌産生プロティナーゼをほぼ単一なものとして得
た。
【0023】次にカゼイン1gを20mMのリン酸緩衝
液(pH7.5)100mlに溶解し、前記乳酸菌産生
プロティナーゼ50μgと混合し、42℃で15時間反
応させた。その反応液を10000回転/分、10分間
の遠心後に上清を回収し、限外濾過(商品名「アドバン
テック東洋UHP−150」、限外濾過膜:分子量分画
10000、富士フィルター工業株式会社製)を行った
ところ、カゼイン1gからプロティナーゼ分解ペプチド
約700mg(収率約70%)が限外濾過外液90ml
中に得られた。
【0024】次いで得られた全限外濾過外液を、次の条
件に従って逆相高速液体クロマトグラフ(HPLC)を
用いて10分おきに分取し、6つの溶出画分を得た。
【0025】ポンプ:L6200インティリジェントポ
ンプ(日立製作所製) L6000ポンプ(日立製作所製) 検出器:L4000UV検出器(日立製作所製) 21
5nmの紫外部吸収 カラム:ウオーターズ マイクロボンダスフェアー5μ
C18(日本ミリポア社製) 溶出液:A液:0.1重量%TFA水溶液 B液:0.1重量%TFA入りアセトニトリル 濃度勾配:(B液/A液+B液)×100(%):0%
→40%(60分)(以下、濃度勾配(1)と略す) 流速:1ml/分 それぞれの溶出画分を凍結乾燥し、生理食塩水50ml
にて溶解した。それらを高血圧自然発症ラット(SH
R:日本チャールズ・リバー社より購入、1群5匹、1
9〜25週令、雄)に胃ゾンデで2ml/匹強制投与
し、6時間後にコントロール群(0.05%カゼイン)
と血圧降下値を比較した。血圧測定は、非観血式血圧測
定装置(商品名「PE−300」、ナルコバイオシステ
ムズ社製)を用い、tail cuff法で最高血圧値を求め
た。溶出開始20〜30分後の画分に最大の血圧降下活
性が確認されたので、その画分25mlを前記方法によ
りHPLCで再分画し、図1の溶出結果を得、A、B、
C及びDの4つの画分を分取した。それぞれの溶出画分
全量を凍結乾燥して生理食塩水25mlに溶解し、前記
方法により高血圧自然発症ラットに強制投与して、6時
間後の血圧降下値を測定した。その結果、D画分に最大
の血圧降下値を得たので、D画分10mlを前記方法に
よりHPLCで更に溶出し、主要ピーク10本を分取し
た。それぞれの分取したピークを凍結乾燥後、水5ml
に溶解して濃度勾配を下記の通りに変更した他は前記方
法と同じ条件で、全量をHPLCを用いて精製した。
【0026】(B液/A液+B液)×100(%):1
5%→30%(40分)(以下、濃度勾配(2)と略
す) 最終的に精製した画分をそれぞれ凍結乾燥後、水30μ
lに溶解し、島津製作所社製「全自動タンパク質一次構
造分析装置PPSQ−10システム」により、ペプチド
のN末端からアミノ酸配列を分析した結果、10種のペ
プチドが同定された。得られた各ペプチドのアミノ酸配
列を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例2】実施例1で得られた10種のペプチドと同
じアミノ酸配列のぺプチドを、島津製作所社製ペプチド
自動合成装置「PPSM−8型」を用いて固相法により
合成し、それぞれの降圧作用を下記の方法に従って測定
した。動物及び血圧測定方法は実施例1に準じ、各々の
ペプチド1mg/体重kgを胃ゾンデで強制投与し、コ
ントロール群と比較した。その結果、1種類のペプチド
(Lys Val Leu Pro Val Pro Gln)が有意に血圧低下作用
を示すことが確認された。血圧降下値は、−24.1±7.8*
で、コントロール群に対して有意差があった(*;P<0.0
5)。結果を(投与前最高血圧値−投与後最高血圧値)
±SEで表2に示す。更に他の2種類のペプチド(Thr
Lys Val Ile Pro、Tyr Lys Val Pro Gln Leu)も血圧低
下の傾向が認められた。
【0029】
【表2】
【0030】
【実施例3】実施例2で有意に血圧降下活性の見られた
ペプチド Lys Val Leu Pro Val ProGln について、投与
量と血圧降下度に関するドーズレスポンスを調べた。動
物及び血圧測定方法は、実施例1に準じて行なった。即
ち、血圧測定はペプチド0.2、0.5、1.0、2.
0mg/体重kgを各群ラットに経口投与し、投与6時
間後の最高血圧値を測定してコントロール群と比較する
ことにより行なった。その結果を図2に示す。図2よ
り、0.5〜2.0mg/体重kgの範囲で、用量依存
的な効果が認められた。
【0031】
【実施例4】乳酸菌としてラクトバチルス・ヘルベティ
カスJCM-1003を用い、菌体を9重量%脱脂乳培地15g
に接種後、20時間培養した。その培養液全量を更に9
重量%脱脂乳培地500gに接種し、37℃で乳酸量が
0.8%となるまで培養してヨーグルトとした。次いで
ホモジナイザー(商品名「D 7801型」、Mitamura
Riken Kogyo 社製)で液状化後、10000回転/分で
10分間遠心した。得られた上清100gを、限外濾過
(商品名「アドバンテック東洋UHP−150」、限外
濾過膜:分子量分画10000、富士フィルター工業株
式会社製)にかけ、70mlの限外濾過液を得た。得ら
れた限外濾過液3mlを凍結乾燥後水1mlに溶解し、
実施例1の溶出条件で、全量をHPLCを用いて前記濃
度勾配(1)に従って分析した。実施例1で、前記濃度
勾配(1)に従ってペプチドを得た溶出時間と同じ溶出
時間に溶出したピークを分取した。得られた画分全量を
凍結乾燥後に水1mlに溶解し、実施例1の溶出条件
で、全量をHPLCを用いて前記濃度勾配(2)に従っ
て分析した。実施例1で、前記濃度勾配(2)に従って
ペプチドを得た溶出時間と同じ溶出時間に溶出したピー
クを分取した。得られた画分全量を凍結乾燥後水30μ
lに溶解し、全量を島津製作所社製「全自動タンパク質
一次構造分析装置PPSQ−10システム」により、ペ
プチドのN末端から分析した結果、Lys Val Leu Pro Va
l Pro Glnであることが確認された。発酵乳500g中
には、Lys Val Leu Pro Val Pro Glnが約58μg/m
l含有されていた。
【0032】
【実施例5】実施例4と同様の方法で、ラクトバチルス
・ヘルベティカスJCM-1003を用いてヨーグルトを得、そ
れをホモジナイザー(商品名「D 7801型」、Mitam
uraRiken Kogyo 社製)で液状化後、7g/体重kgを
SHRラットに胃ゾンデを用いて強制投与し、6時間後
の最高血圧値を測定し、未発酵乳(9重量%脱脂乳)投
与群と比較した。動物の条件及び血圧測定方法は、実施
例1に準じた。結果を(投与前最高血圧値−投与後最高
血圧値)±SEで表3に示す。表3の結果より、未発酵
乳投与群と比較し有意に血圧が降下したことが判る(−
25.4±5.6**、**;P<0.01)。
【0033】
【表3】
【0034】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Lys Val Leu Pro Val Pro Gln 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で血圧降下の見られた画分を
A〜Dの4つに分取した時のグラフである。
【図2】図2は、実施例3で行った Lys Val Leu Pro V
al Pro Glnの投与量と血圧降下度の関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 ペプチド Lys Val Leu Pro Val Pro Gln 含有ピー
ク 2 ペプチド Leu Gln Ser Trp 含有ピーク 3 ペプチド Arg Glu Leu Glu Glu Leu 含有ピーク 4 ペプチド Thr Lys Val Ile Pro 含有ピーク 5 ペプチド Ala Met Lys Pro Trp 含有ピーク 6 ペプチド Tyr Lys Val Pro Gln Leu, Met Lys Pro
Trp Ile Gln Pro Lys,Leu Leu Tyr Gln Gln Pro Val 含
有ピーク 7 ペプチド Ala Tyr Phe Tyr Pro, Ala Met Lys Pro
Trp Ile Gln Pro Lys含有ピーク
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/02 A61K 37/02 ABU //(C12P 21/02 C12R 1:225)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記アミノ酸配列で示されるペプチド及
    びその塩を有効成分として含有する血圧降下剤。 Lys Val Leu Pro Val Pro Gln
  2. 【請求項2】 獣乳成分を原料として、発酵法により得
    ることを特徴とする請求項1記載の血圧降下剤の製造
    法。
  3. 【請求項3】 獣乳成分を原料として、プロティナーゼ
    処理により得ることを特徴とする請求項1記載の血圧降
    下剤の製造法。
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