JPH08283169A - タラノキ頂芽及びタラノキ苗条由来のサポニン混合物を有効成分とする糖吸収抑制剤 - Google Patents
タラノキ頂芽及びタラノキ苗条由来のサポニン混合物を有効成分とする糖吸収抑制剤Info
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- JPH08283169A JPH08283169A JP7112395A JP11239595A JPH08283169A JP H08283169 A JPH08283169 A JP H08283169A JP 7112395 A JP7112395 A JP 7112395A JP 11239595 A JP11239595 A JP 11239595A JP H08283169 A JPH08283169 A JP H08283169A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 糖の体内吸収を抑制することで、血糖値の上
昇を防ぎ、肥満や糖尿病などのような糖の過剰摂取に起
因する生理障害から生体を保護するのに有効な糖吸収抑
制成分をウコキ科のタラノキの検索対象からグルコース
オキシダーゼ法による血糖値抑制作用を指標として検索
し、甘味抑制活性がなく、ブドウ糖などの単糖類に対し
ても有効な糖吸収抑制剤を得る。 【構成】 タラノキ頂芽又はタラノキ苗条から抽出され
るサポニン混合物を有効成分とする。
昇を防ぎ、肥満や糖尿病などのような糖の過剰摂取に起
因する生理障害から生体を保護するのに有効な糖吸収抑
制成分をウコキ科のタラノキの検索対象からグルコース
オキシダーゼ法による血糖値抑制作用を指標として検索
し、甘味抑制活性がなく、ブドウ糖などの単糖類に対し
ても有効な糖吸収抑制剤を得る。 【構成】 タラノキ頂芽又はタラノキ苗条から抽出され
るサポニン混合物を有効成分とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として胃、腸からの
糖の体内吸収を抑制することで、血中の糖濃度(血糖
値)の上昇を防ぎ、肥満や糖尿病などのような糖の過剰
摂取に起因する生理的障害から生体を保護するのに有効
な糖吸収抑制剤に関連するものであり、とくに、ウコキ
科(Araliaceae)の落葉低木であるタラノキ(Aralia elat
a SEEM)の頂芽又は苗条から抽出されるサポニン混合物
を有効成分とする糖吸収抑制剤に関する。
糖の体内吸収を抑制することで、血中の糖濃度(血糖
値)の上昇を防ぎ、肥満や糖尿病などのような糖の過剰
摂取に起因する生理的障害から生体を保護するのに有効
な糖吸収抑制剤に関連するものであり、とくに、ウコキ
科(Araliaceae)の落葉低木であるタラノキ(Aralia elat
a SEEM)の頂芽又は苗条から抽出されるサポニン混合物
を有効成分とする糖吸収抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従前の糖吸収抑制物質としては、ジャガ
イモ科のギムネマ(Gymnema sylvestre) 由来のギムネマ
酸(ギムネマ葉成分)やクロウメモドキ科のケンポナシ
由来のジジフィンで代表される配糖体類のほか、アカル
ボーズで代表されるα−グルコシダーゼ(糖分解酵素)
阻害物質がすでに知られているところである。しかしな
がら、前者の配糖体類にあっては、甘味抑制活性を呈す
る傾向があるので、糖の過剰摂取を前提として、これに
起因する生理的障害の発生の防止に対して、配糖体を適
用することは、過剰摂取の前提が糖の摂取自体の抑制の
困難性を意味する以上、本来的に不適切であり、後者の
α−グルコシダーゼ阻害物質にあっては、ショ糖などの
オリゴ糖類に対する吸収抑制活性が顕著である半面、ブ
ドウ糖などの単糖類に対する吸収抑制活性が皆無である
ことから、用途範囲が限定されていて、普遍的な実用化
が困難なものであった。
イモ科のギムネマ(Gymnema sylvestre) 由来のギムネマ
酸(ギムネマ葉成分)やクロウメモドキ科のケンポナシ
由来のジジフィンで代表される配糖体類のほか、アカル
ボーズで代表されるα−グルコシダーゼ(糖分解酵素)
阻害物質がすでに知られているところである。しかしな
がら、前者の配糖体類にあっては、甘味抑制活性を呈す
る傾向があるので、糖の過剰摂取を前提として、これに
起因する生理的障害の発生の防止に対して、配糖体を適
用することは、過剰摂取の前提が糖の摂取自体の抑制の
困難性を意味する以上、本来的に不適切であり、後者の
α−グルコシダーゼ阻害物質にあっては、ショ糖などの
オリゴ糖類に対する吸収抑制活性が顕著である半面、ブ
ドウ糖などの単糖類に対する吸収抑制活性が皆無である
ことから、用途範囲が限定されていて、普遍的な実用化
が困難なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従前の
糖吸収抑制剤に関しては、配糖体類は、甘味抑制活性の
点で本来的に有望でないし、α−グルコシダーゼ阻害物
資は、単糖類に適用不可能であるという問題点があっ
た。そこで、甘味抑制活性の問題点と単糖類への適用不
可能の問題点に着目し、甘味抑制活性がなく、しかも、
単糖類への適用可能化の面で、糖吸収抑制剤の用途の多
様化を図るという臨床ないし生活上の要請に応えるよう
な糖吸収抑制剤を提供し、上記の問題点を解決すること
が本願発明の課題である。
糖吸収抑制剤に関しては、配糖体類は、甘味抑制活性の
点で本来的に有望でないし、α−グルコシダーゼ阻害物
資は、単糖類に適用不可能であるという問題点があっ
た。そこで、甘味抑制活性の問題点と単糖類への適用不
可能の問題点に着目し、甘味抑制活性がなく、しかも、
単糖類への適用可能化の面で、糖吸収抑制剤の用途の多
様化を図るという臨床ないし生活上の要請に応えるよう
な糖吸収抑制剤を提供し、上記の問題点を解決すること
が本願発明の課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記従前の糖吸収抑制剤
における甘味抑制活性の除去と用途の多様化の要請への
対応という課題に鑑み、本発明の発明者達は、日本や中
国において、糖尿病の治療や強壮に有効であることが知
られている薬用植物のラタノキ(Aralia elataSEEM) を
検索対象として着目し、鋭意、検索と試験評価を繰り返
した結果、タラノキ頂芽又はタラノキ苗条に含有される
糖吸収抑制成分としてのサポニン混合物を、タラノキの
各部位のうち、今日まで多用されている部位(樹皮、根
皮、葉)に含有されるサポニン混合物から区別して見い
出し、これを精製することで、本発明の糖吸収抑制剤を
完成するに至った。
における甘味抑制活性の除去と用途の多様化の要請への
対応という課題に鑑み、本発明の発明者達は、日本や中
国において、糖尿病の治療や強壮に有効であることが知
られている薬用植物のラタノキ(Aralia elataSEEM) を
検索対象として着目し、鋭意、検索と試験評価を繰り返
した結果、タラノキ頂芽又はタラノキ苗条に含有される
糖吸収抑制成分としてのサポニン混合物を、タラノキの
各部位のうち、今日まで多用されている部位(樹皮、根
皮、葉)に含有されるサポニン混合物から区別して見い
出し、これを精製することで、本発明の糖吸収抑制剤を
完成するに至った。
【0005】
【作用】請求項1記載の発明は、タラノキ頂芽又はタラ
ノキ苗条から抽出されたサポニン混合物が精製されて、
薄層クロマトグラフィーによるRf値が0.2〜0.4
であるサポニン混合物を含有し、乾燥状態下で淡褐色の
粉末であり、水、含水メタノール、含水エタノール、メ
タノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ビリジ
ンに対して可溶性であり、酢酸エチル、クロロホルム、
アセトンに対して難溶性である糖吸収抑制剤を構成し、
含有されたサポニン混合物が糖吸収抑制剤の有効成分と
して作用する。請求項2記載の発明は、タラノキ頂芽又
はタラノキ苗条から抽出される糖吸収抑制剤の有効成分
としてのサポニン混合物に関し、タラノキ頂芽又はタラ
ノキ苗条からのメタノール溶出部エキスに対して、シル
カゲルクロマトグラフィを施して、クロロホルム−メタ
ノール−水(6:4:1)溶出部をサポニン混合物分画
として分離することで、サポニン混合物の成分を特定す
るように作用する。請求項3ないし請求項5記載の発明
では、タラノキ頂芽又はタラノキ苗条から抽出されたサ
ポニン混合物中に含有される各別の下記化学構造化1、
化2、化3で表わされるサポニン類のいずれか1つが糖
吸収抑制剤の有効成分として作用する。
ノキ苗条から抽出されたサポニン混合物が精製されて、
薄層クロマトグラフィーによるRf値が0.2〜0.4
であるサポニン混合物を含有し、乾燥状態下で淡褐色の
粉末であり、水、含水メタノール、含水エタノール、メ
タノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ビリジ
ンに対して可溶性であり、酢酸エチル、クロロホルム、
アセトンに対して難溶性である糖吸収抑制剤を構成し、
含有されたサポニン混合物が糖吸収抑制剤の有効成分と
して作用する。請求項2記載の発明は、タラノキ頂芽又
はタラノキ苗条から抽出される糖吸収抑制剤の有効成分
としてのサポニン混合物に関し、タラノキ頂芽又はタラ
ノキ苗条からのメタノール溶出部エキスに対して、シル
カゲルクロマトグラフィを施して、クロロホルム−メタ
ノール−水(6:4:1)溶出部をサポニン混合物分画
として分離することで、サポニン混合物の成分を特定す
るように作用する。請求項3ないし請求項5記載の発明
では、タラノキ頂芽又はタラノキ苗条から抽出されたサ
ポニン混合物中に含有される各別の下記化学構造化1、
化2、化3で表わされるサポニン類のいずれか1つが糖
吸収抑制剤の有効成分として作用する。
【化1】
【化2】
【化3】
【0006】
(1)サポニン混合物の抽出 タラノキ頂芽(開いていない状態の芽)及びタラノキ苗
条(開いている状態の芽)の混在物(長野県産、3k
g)を80%含水メタノール(10l)で5時間加熱抽
出して抽出液を濾取した。残渣に、さらに80%含水メ
タノール(10l)を加えて同様のメタノール抽出操作
を繰り返し3回行った。抽出液を合せて、減圧下で溶媒
を留去し、残留物として80%含水メタノール抽出エキ
ス(160g)を得た。80%含水メタノール抽出エキ
スを逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(C18 C
hromatorex、Fuji Silysia Chemical L.T.D.製、1.2
kg)に付し、水、次いでメタノールで溶出した。メタ
ノールで溶出部を減圧下溶媒留去してメタノール溶出部
エキス(16.0g)を得た。次いでメタノール溶出部
エキスを順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Sil
icagel 60, Merck社製、300g)に付し、クロロホルム−
メタノールー水混合溶媒で溶出した。クロロホルム−メ
タノール−水(6:4:1)溶出部を減圧下溶媒留去し
て、サポニン混合物(9.9g)を得た。得られたサポ
ニン混合物を薄層クロマトグラフィー(Merck社製 Pre-c
oated Silicagel 0.25mm)に対して、クロロホルム−メ
タール−水(6:4:1)で展開すると、Rf値が0.
2〜0.4の位置にスポットが認められた。ここで得ら
れたサポニン混合物を精製すると、乾燥状態下で淡褐色
の粉末状を呈する物質が得られた。この物質は、水、含
水メタノール、含水エタノール、メタノール、エタノー
ル、ジメチルスルホキシド、ビリジンに対して可溶性で
あり、酢酸エチル、クロロホルム、アセトンに対して難
溶性であることが判明した。
条(開いている状態の芽)の混在物(長野県産、3k
g)を80%含水メタノール(10l)で5時間加熱抽
出して抽出液を濾取した。残渣に、さらに80%含水メ
タノール(10l)を加えて同様のメタノール抽出操作
を繰り返し3回行った。抽出液を合せて、減圧下で溶媒
を留去し、残留物として80%含水メタノール抽出エキ
ス(160g)を得た。80%含水メタノール抽出エキ
スを逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(C18 C
hromatorex、Fuji Silysia Chemical L.T.D.製、1.2
kg)に付し、水、次いでメタノールで溶出した。メタ
ノールで溶出部を減圧下溶媒留去してメタノール溶出部
エキス(16.0g)を得た。次いでメタノール溶出部
エキスを順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Sil
icagel 60, Merck社製、300g)に付し、クロロホルム−
メタノールー水混合溶媒で溶出した。クロロホルム−メ
タノール−水(6:4:1)溶出部を減圧下溶媒留去し
て、サポニン混合物(9.9g)を得た。得られたサポ
ニン混合物を薄層クロマトグラフィー(Merck社製 Pre-c
oated Silicagel 0.25mm)に対して、クロロホルム−メ
タール−水(6:4:1)で展開すると、Rf値が0.
2〜0.4の位置にスポットが認められた。ここで得ら
れたサポニン混合物を精製すると、乾燥状態下で淡褐色
の粉末状を呈する物質が得られた。この物質は、水、含
水メタノール、含水エタノール、メタノール、エタノー
ル、ジメチルスルホキシド、ビリジンに対して可溶性で
あり、酢酸エチル、クロロホルム、アセトンに対して難
溶性であることが判明した。
【0007】(2)サポニン混物中のエラトサイド(ela
toside) の単離 サポニン混合物(1.3g)を高速液体クロマトグラフ
ィー〔HPLC;装置:LC−10AS型液体クロマト
グラフ、C−R6Aクロマトパック付、島津製作所製;
カラム:YMC−Pack ODS−A(250×20
mmI.D.)YMC社製;溶出溶媒:メタノール−1%
酢酸水溶液(4:1v/v );検出器:Refractive index
detector RID−6A,島津製作所製〕に付して分離
し、これにより、下記の化学構造式化1で示される化学
的構造を有し、エラトサイドG(elatoside G) と称され
るサポニン(7mg) と、下記の化学構造式化2で示され
る化学的構造を有し、エラトサイドH(elatoside H) と
称されるサポニン(4mg) と、下記の化学構造式化3で示
される化学的構造を有し、エラトサイドI(elatoside
I) と称されるサポニン(7mg) を単離して特定した。
toside) の単離 サポニン混合物(1.3g)を高速液体クロマトグラフ
ィー〔HPLC;装置:LC−10AS型液体クロマト
グラフ、C−R6Aクロマトパック付、島津製作所製;
カラム:YMC−Pack ODS−A(250×20
mmI.D.)YMC社製;溶出溶媒:メタノール−1%
酢酸水溶液(4:1v/v );検出器:Refractive index
detector RID−6A,島津製作所製〕に付して分離
し、これにより、下記の化学構造式化1で示される化学
的構造を有し、エラトサイドG(elatoside G) と称され
るサポニン(7mg) と、下記の化学構造式化2で示され
る化学的構造を有し、エラトサイドH(elatoside H) と
称されるサポニン(4mg) と、下記の化学構造式化3で示
される化学的構造を有し、エラトサイドI(elatoside
I) と称されるサポニン(7mg) を単離して特定した。
【化1】
【化2】
【化3】
【0008】(3)投与形態 上記(1)項記載のサポニン混合物は治療、予防、保健
の用に供されるべく、経口用剤型又は非経口用剤型の形
態で摂取される。経口用剤型の形態としては、散剤、錠
剤、乳剤、カプセル剤、茶剤、顆粒剤、液剤(チンキ
剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤を含
む)が常法として挙げられる。経口用剤型の場合の投与
量に関しては、治療、予防、保健などの目的に応じて異
なるが、成人について1日当たり、10mg〜100mg、
好ましくは、50mg〜150mgのサポニン混合物を2〜
3回に分けて投与するのがよい。また、特定保健用食
品、JSD食品、特殊栄養食品、栄養補助食品、健康食
品などに食品添加物として配合することもできる。ま
た、非経口用剤型の形態としては、軟膏剤、硬膏剤、液
剤(酒精剤、チンキ剤、ローション剤を含む)湿布剤、
(ハップ剤、パスタ剤)、塗布剤、噴霧剤、散布剤、リ
ニメント剤(塗擦剤)、クリーム剤、乳剤、浴剤が常法
として挙げられる。非経口用型の場合の投与量に関して
は、サポニン混合物を0.01〜5%、好ましくは、
0.1〜1%の濃度で配合すれば足りる。
の用に供されるべく、経口用剤型又は非経口用剤型の形
態で摂取される。経口用剤型の形態としては、散剤、錠
剤、乳剤、カプセル剤、茶剤、顆粒剤、液剤(チンキ
剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤を含
む)が常法として挙げられる。経口用剤型の場合の投与
量に関しては、治療、予防、保健などの目的に応じて異
なるが、成人について1日当たり、10mg〜100mg、
好ましくは、50mg〜150mgのサポニン混合物を2〜
3回に分けて投与するのがよい。また、特定保健用食
品、JSD食品、特殊栄養食品、栄養補助食品、健康食
品などに食品添加物として配合することもできる。ま
た、非経口用剤型の形態としては、軟膏剤、硬膏剤、液
剤(酒精剤、チンキ剤、ローション剤を含む)湿布剤、
(ハップ剤、パスタ剤)、塗布剤、噴霧剤、散布剤、リ
ニメント剤(塗擦剤)、クリーム剤、乳剤、浴剤が常法
として挙げられる。非経口用型の場合の投与量に関して
は、サポニン混合物を0.01〜5%、好ましくは、
0.1〜1%の濃度で配合すれば足りる。
【0009】(4)サポニン混合物の糖吸収抑制能(血
糖値上昇抑制作用)の評価 20〜24時間絶食させたwistar系雄性ラット(体重1
25〜155g)に対して、上記(1)頂記載のサポニ
ン混合物を水に溶解(5ml/kg)して成る被験薬を経口投与
し、30分経過後にブドウ糖(0.5g/kg) を経口投与し
た。しかる後、採血時の無麻酔拘束下で、頸静脈から約
0.5ml ずつ経時的に採血した血液を氷水で冷却しておい
て、該血液から遠心分離により血清を分離し、分離され
た血清中のグルコース濃度を常法に従ってグルコースオ
キシダーゼ法により測定したところ、表1に示されるよ
うな測定結果が得られた。
糖値上昇抑制作用)の評価 20〜24時間絶食させたwistar系雄性ラット(体重1
25〜155g)に対して、上記(1)頂記載のサポニ
ン混合物を水に溶解(5ml/kg)して成る被験薬を経口投与
し、30分経過後にブドウ糖(0.5g/kg) を経口投与し
た。しかる後、採血時の無麻酔拘束下で、頸静脈から約
0.5ml ずつ経時的に採血した血液を氷水で冷却しておい
て、該血液から遠心分離により血清を分離し、分離され
た血清中のグルコース濃度を常法に従ってグルコースオ
キシダーゼ法により測定したところ、表1に示されるよ
うな測定結果が得られた。
【表1】 表1において、「正常群」欄の血糖値は、ブドウ糖の経
口投与が施されていないラット群の血糖値であり、「対
照群」欄の血糖値は、ブドウ糖の経口投与が施されてい
るラット群の血糖値である。そして、「ブドウ糖負荷」
欄の血糖値は、上記「正常群」欄の血糖値に対する「対
照群」欄の血糖値の上昇分を表している。一方、表1に
おいて、「タラノキ頂芽・苗条サポニン混合物」欄の血
糖値は、タラノキ頂芽とタラノキ苗条の混在物から抽出
された上記(1)頂記載のサポニン混合物を経口投与し
た後に上記「対照群」欄の場合と同一の条件でブドウ糖
を経口投与した場合における血糖値の上昇分を表してい
る。従って、「対照群」欄の血糖値との対比における
「タラノキ頂芽・苗状サポニン混合物」欄の血糖値の減
少分によって血糖値上昇抑制作用が評価される。次い
で、上記(1)項記載のサポニン混合物から単離された
上記(2)項記載のエラトサイド(elatoside) G.H.
Iの各々に関し、上記表1の場合と同様の手法により、
血糖値上昇抑制作用を評価したものが表2である。
口投与が施されていないラット群の血糖値であり、「対
照群」欄の血糖値は、ブドウ糖の経口投与が施されてい
るラット群の血糖値である。そして、「ブドウ糖負荷」
欄の血糖値は、上記「正常群」欄の血糖値に対する「対
照群」欄の血糖値の上昇分を表している。一方、表1に
おいて、「タラノキ頂芽・苗条サポニン混合物」欄の血
糖値は、タラノキ頂芽とタラノキ苗条の混在物から抽出
された上記(1)頂記載のサポニン混合物を経口投与し
た後に上記「対照群」欄の場合と同一の条件でブドウ糖
を経口投与した場合における血糖値の上昇分を表してい
る。従って、「対照群」欄の血糖値との対比における
「タラノキ頂芽・苗状サポニン混合物」欄の血糖値の減
少分によって血糖値上昇抑制作用が評価される。次い
で、上記(1)項記載のサポニン混合物から単離された
上記(2)項記載のエラトサイド(elatoside) G.H.
Iの各々に関し、上記表1の場合と同様の手法により、
血糖値上昇抑制作用を評価したものが表2である。
【表2】
【0010】
【発明の効果】本発明によれば、タラノキ頂芽又はタラ
ノキ苗条から抽出されたサポニン混合物であって、タラ
ノキの、薬用植物としての使用が知られている樹皮、根
皮などの部位から抽出されるサポニン混合物とは異なる
成分のサポニン混合物が精製されて成る、薄層クロマト
グラフィーによるRf値0.2〜0.4のサポニン混合
物を有効成分として糖吸収抑制剤に含有される構成とし
たことにより、上記サポニン混合物が生物の胃や腸にお
ける糖類の吸収を抑制し、血中の糖濃度(血糖値)の上
昇を抑制するのに、十分強度の薬効を呈するにも拘ら
ず、上記サポニン混合物が甘味抑制活性を欠いているの
で、飲食物に添加した場合に、甘味の減退がなく、しか
もショ糖などのオリゴ糖類だけではなく、ブドウ糖など
の単糖類に対しても糖吸収抑制作用を呈するので、用途
の多用化が図れるという優れた効果が奏される。本発明
の糖吸収抑制剤は、上記の効果に照らして、とりわけ、
肥満者や糖尿病患者用の飲食物への食品添加剤としての
産業上の利用価値が絶大である。
ノキ苗条から抽出されたサポニン混合物であって、タラ
ノキの、薬用植物としての使用が知られている樹皮、根
皮などの部位から抽出されるサポニン混合物とは異なる
成分のサポニン混合物が精製されて成る、薄層クロマト
グラフィーによるRf値0.2〜0.4のサポニン混合
物を有効成分として糖吸収抑制剤に含有される構成とし
たことにより、上記サポニン混合物が生物の胃や腸にお
ける糖類の吸収を抑制し、血中の糖濃度(血糖値)の上
昇を抑制するのに、十分強度の薬効を呈するにも拘ら
ず、上記サポニン混合物が甘味抑制活性を欠いているの
で、飲食物に添加した場合に、甘味の減退がなく、しか
もショ糖などのオリゴ糖類だけではなく、ブドウ糖など
の単糖類に対しても糖吸収抑制作用を呈するので、用途
の多用化が図れるという優れた効果が奏される。本発明
の糖吸収抑制剤は、上記の効果に照らして、とりわけ、
肥満者や糖尿病患者用の飲食物への食品添加剤としての
産業上の利用価値が絶大である。
Claims (5)
- 【請求項1】 タラノキ(Aralia elata SEEM) 頂芽又は
タラノキ(Aralia elata SEEM) 苗条から抽出、精製され
る下記(a)(b)(c)の性質を有する物質から成る
糖吸収抑制剤。 (a)薄層クロマトグラフィー(Merck社製 Pre-coated
Silicagel 0.25mm)によるクロマトグラムにおいて、R
f値が0.2〜0.4であるサポニン混合物を有効成分
として含有し、(b)乾燥状態下で淡褐色の粉末であ
り、(c)水、含水メタノール、含水エタノール、メタ
ノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ビリジン
に対して可溶性であり、酢酸エチル、クロロホルム、ア
セトンに対して難溶性であること。 - 【請求項2】 有効成分として含有されるサポニン混合
物は、タラノキ頂芽又はタラノキ苗条からメタノールに
より溶出されたメタノール溶出部エキスに対して、シル
カゲルクロマトグラフィー(Silicagel 60 Merck 社製、
300g)を施し、クロロホルム−メタノール−水(6:
4:1)溶出部であるサポニン混合物分画として分離さ
れたサポニン混合物である請求項1記載の糖吸収抑制
剤。 - 【請求項3】 有効成分として含有されるサポニン混合
物には、下記の化学構造式化1で示される化学的構造を
有するサポニン類の1つであるエラトサイドG(elatosi
de G) が含まれていることを特徴とする請求項1記載の
糖吸収抑制剤。 【化1】 - 【請求項4】 有効成分として含有されるサポニン混合
物には、下記の化学構造式化2で示される化学的構造を
有するサポニン類の1つであるエラトサイドH(elatosi
de H) が含まれていることを特徴とする請求項1記載の
糖吸収抑制剤。 【化2】 - 【請求項5】 有効成分として含有されるサポニン混合
物には、下記の化学構造式化3で示される(elatoside
I) が含まれていることを特徴とする請求項1記載の糖
吸収抑制剤。 【化3】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07112395A JP3102753B2 (ja) | 1995-04-13 | 1995-04-13 | タラノキ頂芽及びタラノキ苗条由来のサポニン混合物を有効成分とする糖吸収抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
1995
- 1995-04-13 JP JP07112395A patent/JP3102753B2/ja not_active Expired - Fee Related
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