JPH08281942A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電力と空気流を利用したインクジェット記
録装置に関し、インクのドット形状を副走査方向に拡大
した円形のドットを高速に記録する。 【構成】 空気ノズル板１には空気吐出口２の両側に副
走査方向に分割した偏向電極１４，１５を設ける。イン
クノズル板４の信号電極６にパルス電圧を印加する間、
偏向電極１４，１５には、１８０゜位相のずれた正弦波
を印加する。インク吐出口５から引き伸ばされて吐出す
るインクは、偏向電極１４，１５間で電界の向きが逆転
するごとに偏向され、副走査方向に振動しながら飛翔す
る。着紙したときには、副走査方向のドット径が拡大さ
れ、ヘッドを高速に走査してもドット形状が楕円になら
ず円形となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気流と静電力を利用
して、微小開口よりインクを吐出させ、被記録物に文
字、画像、図形等を記録するインクジェット記録装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】以下、従来のインクジェット記録装置に
ついて説明する。図３は特開昭５７−１２４５２号公報
に記載されたインクジェット記録装置のうちのヘッド部
分を示している。図４（ａ）はインクジェット記録ヘッ
ドの断面図を、図４（ｂ）はその正面図を示している。

【０００３】図において、絶縁性の空気ノズル板１には
空気吐出口２を穿孔してあり、表面に電極３を設けてい
る。空気ノズル板１に平行する絶縁性のインクノズル板
４には、空気吐出口１に対向してインク吐出口５を穿孔
している。インクノズル板４とボディ部材７とにより形
成されたインク室８は、インク供給路９を介してインク
溜まりに連通している。インク室８に面するインク吐出
口５の周辺には、信号電極６を設けてある。

【０００４】空気ノズル板１とボディ部材７により形成
される空気室１０には、空気供給源から空気供給路１１
を介して空気流が流入している。この空気流は空気ノズ
ル板１とインクノズル板４により形成される空気層１２
を流れ、空気吐出口２より急激な曲がりを生じて流出し
ている。一方、インク室８内のインクには、一定の圧力
が印加されており、インクジェット記録装置の非駆動時
にインク吐出口５にインクのメニスカスが安定して保た
れるよう調整してある。

【０００５】以上の構成において、信号源１３に接続し
た信号電極６と電極３との間に電位差を与えると、信号
電極６の電位に帯電したインクは、電極３との電位差に
よって生じる静電力により引き伸ばされる。引き伸ばさ
れたインクは、空気流によって空気吐出口２を通って飛
翔する。そしてこのヘッドを矢印Ａで示す方向に移動さ
せながら、インクの液滴を断続的に吐出させることによ
り、文字や図形等を記録することができる。

【０００６】図５には、信号源１３から各電極に与える
信号波形を示している。図において縦軸は電極３と信号
電極６との電位差を示しており、横軸は時間を示してい
る。電極３と信号電極６との間には、バイアス電圧Ｖｂ
を常時印加しており、インク吐出口５近傍のインクを正
に帯電させている。バイアス電圧Ｖｂの値は、インク吐
出口５に生じるメニスカスが保持された状態で、かつ飛
翔するには至らない範囲の大きさに設定している。

【０００７】画像情報に基づき、信号電極６に信号電圧
Ｖｓをバイアス電圧Ｖｂに重畳して印加すると、インク
吐出口５よりインク液が吐出可能な電位差が生じる。こ
の電位差により生じる静電力によって、インク吐出口５
に保持されているインクのメニスカスは、空気吐出口２
の方向へ吸引され、空気流と共にインクが曳糸状に吐出
し始める。そしてパルス幅Ｐｗのあいだ途切れることな
くインクが曳糸状に吐出して飛翔すると、記録紙上に１
ドットの記録が行われる。なおパルス幅Ｐｗを変化させ
てインク吐出量を制御することにより、ドットの大きさ
を可変にできる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録紙
面に対してヘッドを走査しながら記録を行う上記従来の
構成では、ドットの形状が走査方向に長軸をもつ楕円形
状となり、楕円短軸方向の長さが不足してしまう。この
ため上下のドット間に隙間ができ、記録画像に白筋が発
生することがある。この問題は、高解像度に比べ低解像
度で記録する場合に顕著となる。ヘッドの走査速度を遅
くすれば、楕円のドット形状を円形に近づけることはで
きるが、逆に記録に多くの時間を費やすことになってし
まう。

【０００９】そこで本発明は、飛翔するインク滴を走査
方向に対して上下に振動させることにより、記録スピー
ドを落とすことなく、円形のドットを印字できるインク
ジェット記録装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のインクジェット記録装置は、空気吐出口の
周辺に設ける電極を、空気吐出口を挟んで前記インクジ
ェット記録ヘッドの走査方向に対して垂直な方向に２つ
に分割し、その分割した各電極に、１８０゜位相のずれ
た正弦波形の電圧を印加するようにしたことを特徴とす
るものである。

【００１１】

【作用】上記構成において、インク吐出口の周辺に設け
た信号電極に、画像情報に応じたパルス状の信号電圧を
印加する一方、空気吐出口の周辺に設けた分割された電
極には、１８０゜位相のずれた正弦波形の電圧を印加す
る。このときパルス状の信号電圧により生じる静電力に
よって引き伸ばされ、空気流によって飛翔するインク滴
は、分割された電極間、すなわち空気吐出口を通過する
際、走査方向に対して垂直な方向に振動する電界の影響
を受ける。このためインク滴は走査方向に対して垂直な
方向に振動し、着紙したときには垂直方向のドット径が
引き伸ばされ、円形に記録することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明のインクジェット記録装置につ
いて、その実施例を図面を参照しながら具体的に説明す
る。図１は、本発明の一実施例を示すインクジェット記
録装置を示すものであり、図１（ａ）はその断面図を、
図１（ｂ）はその正面図を示すものである。なお図にお
いて、従来と同様の構成については、同じ符号を付して
説明を略し、異なる部分についてのみ以下説明を行う。

【００１３】従来のヘッドと異なる構成は、空気ノズル
板１の表面に設ける電極を空気吐出口２を介して２つに
分割し、偏向電極１４，１５としたことである。そして
これら２つの偏向電極１４，１５は、記録の走査方向に
対し垂直になるように配置し、各々信号源１６，１７に
接続している。

【００１４】図２はヘッドの各電極に印加する電圧波形
を示してあり、図２（ａ）は偏向電極１４の電圧波形
を、同図（ｂ）は偏向電極１５の電圧波形を、同図
（ｃ）は信号電極６の電圧波形をそれぞれ示している。

【００１５】偏向電極１４，１５には、振幅Ｖｃの正弦
波形を互いに逆相になるように常時印加する。その周波
数は、１ドットに対応した信号電圧Ｖｓを信号電極６に
印加する期間Ｐｗの間に、少なくとも２回以上の周期を
持つ値とし、信号電圧Ｖｓの立ち上がりと正弦波形の０
Ｖを一致させておく。

【００１６】偏向電極１４，１５に１８０゜位相のずれ
た同じ大きさの交流電圧を印加するのは、偏向電極１
４，１５間で電界の向きを反転させるためであるが、同
時に、偏向電極１４，１５の電位は互いに打ち消され、
信号電極６との電位差に影響を与えないようにすること
ができる。

【００１７】図３はインクの飛翔する様子を示したもの
である。図２のＡ点において、信号電圧Ｖｓが立ち上が
ると、信号電極６と偏向電極１４，１５との電位差によ
り、インクのメニスカスは引き伸ばされ始める。立ち上
がりの瞬間は、偏向電極１４の電位が正であり、偏向電
極１５の電位が負であるので、電界の向きは偏向電極１
４から偏向電極１５へと向いている。このためインク
は、偏向電極１５側へと向きを変える。そして図２のＢ
点では、インク液は最も近く偏向電極１５側に引き寄せ
られる。

【００１８】偏向電極１５が正の電位に、偏向電極１４
が負の電位になると、電界の向きは逆転し、今度は偏向
電極１４側に引き寄せられながら吐出する。そして図２
のＣ点では、偏向電極１４に最も近く引き寄せられる。
以降は同様に、電界の向きが変わるごとにインクは偏向
されて吐出する。期間Ｐｗの後、信号電圧Ｖｓがなくな
ると、曳糸状のインクはインク吐出口５から分離され、
紙面上に１ドットが形成される。インクはヘッドの走査
方向に対して垂直な方向、すなわち副走査方向に振動す
る格好となるので、着紙したときのドット形状は、副走
査方向に拡大されることとなる。

【００１９】上記実施例において、正弦波の０Ｖと信号
電圧Ｖｓの立ち上がりを一致させているのは、インクを
吐出しないときでも、インク吐出口５のインクのメニス
カスは、偏向電極の影響により振動しているのではある
が、メニスカスの頭頂がノズルの中心にあるときが最も
容易に吐出を開始するためである。

【００２０】このように実施例によれば、ドットの形状
を副走査方向に大きくすることができるので、楕円形状
のドット形状を円形に近付けることができる。このとき
の副走査方向のドットの大きさは、偏向電極１４，１５
に印加する電圧Ｖｃの大きさを変化させることにより調
節することができる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明のインクジェット記
録装置によれば、ヘッドの走査速度を遅くすることな
く、円形のドットを高速に記録することができ、記録画
像に白筋などが生じることがなく、低解像度での記録に
おいても、印字品質を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット記録装置の実施例を示
す断面図及び正面図

【図２】同装置に印加する信号を示す電圧波形図

【図３】同装置におけるインクの飛翔状態を説明する拡
大図

【図４】従来のインクジェット記録装置を示す断面図及
び正面図

【図５】同装置に印加する信号を示す電圧波形図

【符号の説明】

１ 空気ノズル板 ２ 空気吐出口 ３ 電極 ４ インクノズル板 ５ インク吐出口 ６ 信号電極 ７ ボディ部材 ８ インク室 ９ インク供給路 １０ 空気室 １１ 圧力供給路 １２ 空気層 １３，１６，１７ 信号源 １４，１５ 偏向電極

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空気吐出口に所定の空隙をもって対向する
   ように、一方がインク室に連通されたインク吐出口を配
   置し、空気供給源から空気を前記空隙を通して前記空気
   吐出口より継続的に流出せしめた状態で、前記空気吐出
   口とインク吐出口の周辺に設けられた電極間にパルス電
   圧を断続的に印加せしめることにより、前記インク吐出
   口からのインクを前記空気流とともに前記空気吐出口よ
   り断続的に吐出せしめて前記記録媒体上に印字するイン
   クジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置
   において、 前記空気吐出口の周辺に設ける電極を、空気吐出口を挟
   んで前記インクジェット記録ヘッドの走査方向に対して
   垂直な方向に２つに分割してあり、その分割された各電
   極に、１８０゜位相のずれた正弦波形の電圧を印加する
   ことを特徴とするインクジェット記録装置。
2. 【請求項２】インク吐出口の周辺に設けた電極に印加す
   る電圧の１つのパルス波形の間に、空気吐出口の周辺に
   分割して設けた２つの電極には、複数の周期の正弦波形
   の電圧を印加することを特徴とする請求項１記載のイン
   クジェット記録装置。
3. 【請求項３】インク吐出口の周辺に設けた電極に印加す
   る電圧波形の立ち上がりに同期して、空気吐出口の周辺
   に設けた電極に印加する正弦波形の電圧が０Ｖとなるよ
   うにしたことを特徴とする請求項１記載のインクジェッ
   ト記録装置。