JPH08281886A - ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム - Google Patents

ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム

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JPH08281886A
JPH08281886A JP7095032A JP9503295A JPH08281886A JP H08281886 A JPH08281886 A JP H08281886A JP 7095032 A JP7095032 A JP 7095032A JP 9503295 A JP9503295 A JP 9503295A JP H08281886 A JPH08281886 A JP H08281886A
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JP
Japan
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film
heat
layer
silicone oil
stretch
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JP7095032A
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Inventor
Yuzuru Sakakibara
譲 榊原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のポリオレフィン系ストレッチフィルム
が持つ諸特性を損なうことなく、塩ビ仕様突上型包装機
での機械掛かり性を向上したストレッチ包装用フィルム
を提供する。 【構成】耐熱層の両側にシール層を有する少なくとも3
層構造であるポリオレフィン系ストレッチ包装用フィル
ムにおいて、上記フィルムの少なくとも一方の表面にシ
リコーンオイルと防曇剤とが配されており、かつ該シリ
コ−ンオイルの表面存在量(S)〔mg/m2〕及び該
防曇剤の表面存在量(F)〔mg/m2〕が下記式
(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。 0.5≦(S)≦50 (1) 3≦(F)≦50 (2) 0.05≦(S/F)≦5 (3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品などをトレーに入
れて包装するトレー包装や、トレーなしで包装するノー
トレー包装に好適な、特にスーパーマーケットなどで広
く利用されている突上型の包装機への適用を可能とした
ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱層の両側にシール層を有し、
少なくとも3層構造からなるポリオレフィン系ストレッ
チ包装用フィルムは、例えば特開平2−52624号公
報、特開平5−147174号公報、特開平2−189
83号公報等に記載されており公知である。またストレ
ッチ包装では、包装した後のフィルムは、その重ね合わ
せ部分が剥がれないようにヒートシールし固定する必要
がある。
【0003】上記特開平2−52624号公報によれ
ば、耐熱層は、ヒートシール時に受ける熱によりフィル
ムが破れないようにフィルム全体に耐熱性を付与する役
割を有し、使用される樹脂としては、一般的に融点が高
い樹脂、例えば結晶性のポリプロピレン(PP)やポリ
ブテン1(PB)などが採用されている。またこれらの
樹脂は一般に硬質で剛性の高い樹脂なので、フィルム全
体に機械的強度を付与する役割も有する。一方、シール
層の役割は、上述のヒートシールが可能な下限温度を下
げて、ヒートシール可能温度範囲を広げることである。
そのために、シール層に用いる樹脂には、エチレンとオ
クテン1,4メチルペンテン1,ヘキセン1などのαオ
レフィンとの共重合体である線状低密度ポリエチレン
(LL)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)や
エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)など、耐
熱層に比べて融点またはビカット軟化点が低い樹脂の単
体、あるいはこれら樹脂の混合物が採用されている。ま
た、シール層にはヒートシール性の他にも防曇性や表面
の光沢、柔軟性などの表面特性を具備させる役割もあ
る。特に防曇性の発揮のためには防曇剤を練込易く、か
つブリードアウトさせやすい樹脂を選択することを推奨
している。一般にヒートシール可能温度範囲を広くする
には、採用するシール層樹脂と耐熱層樹脂の融点の差を
大きくするとよいことも示唆している。またこの公報記
載の多層フィルムでは、シール層と耐熱層との間に延伸
補助層を介在している。延伸補助層の役割は、30〜8
0℃の低温では単独層で延伸することが困難である上記
耐熱層の延伸を容易にすることである。具体的にはビカ
ット軟化点40℃以下のエチレン−プロピレンランダム
共重合体エラストマーとEVAとPPからなる混合組成
物が採用されている。そしてこの延伸補助層を上記耐熱
層と近接して配置することにより、多層フィルム全体を
30〜80℃の低い温度で面積倍率で9〜30倍に延伸
すること(冷間延伸という)を可能にし、これによって
包装用フィルムとしての品質特性、例えば『特定の伸び
における適度な伸び荷重と高い破断伸び=ストレッチ
性』、『優れた変形回復性と適度な弾性率=包装後の押
し込み変形跡の回復性(押し込み回復性)、張りや腰が
ある』、『十分な機械的強度=包装機適性』などを兼備
させることを可能にしストレッチ包装分野に利用できる
としている。層構成の例としては4層以上であり、シー
ル層/延伸補助層/耐熱層/延伸補助層/シール層の5
層構造や、シール層/延伸補助層/耐熱層/延伸補助層
/耐熱層/延伸補助層/シール層の7層構造をとること
ができるとされている。フィルム厚みは全層で5〜30
μm程度のものが好ましいとされている。また、ストレ
ッチ包装とは、引っ張って延ばしたフィルムで被包装物
をくるむ方法であり、被包装物の表面に生じるフィルム
皺を引っ張って伸ばし、美麗に見せる包装方法である。
よってストレッチ包装用フィルムは、引っ張った際に伸
ばされ易いことが重要であり、この公報では、その伸び
易さの指標であるフィルムの縦横両方向の200%伸び
荷重の平均値が200〜1000g/cm幅程度のフィ
ルムが推奨されている。
【0004】また特開平5−147174号公報には、
シール層にEVAを用い、耐熱層にPPやPBを用い、
共押出インフレーション法(ブロー比8〜20)により
フィルム全体厚み8〜30μm(うち耐熱層2〜10μ
m)に成形されたポリオレフィン系ストレッチ包装用フ
ィルムについて記載されている。特開平2−18983
号公報には、シール層にはEVAを用い、耐熱層にエチ
レン−αオレフィン(ブテン1,ヘキセン1,4−メチ
ルペンテン1,オクテン1)共重合体を用い、共押出イ
ンフレーション法(ブロー比3〜6)によりフィルム全
体厚み20〜80μmに成形されたポリオレフィン系ス
トレッチ包装用フィルムについて記載されている。これ
ら特開平5−147174号公報および特開平2−18
983号公報のフィルムは、ダイス温度が樹脂の融点以
上である200℃程度でダイレクトインフレーション法
により延伸するため、前記特開平2−52624号公報
における冷間延伸法とは異なり、延伸補強層は必要とし
ていない。
【0005】一方、ストレッチ包装に用いる包装機に
は、大別して、フィルムをストレッチしながら被包装
物を筒状に包み込み、被包装物の前後のフィルムをスト
レッチした状態でカットし、そのフィルム端を被包装物
の底面に折り込む『直線型』と、カットされたフィル
ムの中央部を被包装物で突き上げることによりフィルム
をストレッチさせ、その状態で被包装物を包み込む『突
上型』の2種類がある。『直線型』は大型で高価である
が包装速度が速いので少品種の大量包装に適している。
『突上型』は小型で安価であるだけでなく、形状や大き
さの異なる被包装物へのフレキシブルな対応が可能で、
多品種の包装物を少量づつ包装するのに適している。実
際の市場では『突上型』の方が使い勝手が良いため、
『突上型』が多用されており、稼働台数も、フィルム消
費量も共に多い。
【0006】一方、市場では塩ビ系フィルムが先に開発
されシェアも市場の90%以上を占めることから、突上
型ストレッチ包装機は塩ビフィルム用に開発された『塩
ビ仕様』包装機と呼ばれるタイプものがほとんどであ
る。昨今の市場では被包装物の多様化が進み、ポリオレ
フィン系フィルムを使う包装を希望するユーザーが増え
てきている。つまり、『塩ビ仕様』突上型包装機に適切
に使用できるポリオレフィン系ストレッチフィルムの供
給が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
公報記載の従来のポリオレフィン系ストレッチフィルム
を上記の突上型塩ビ仕様包装機にて包装しようとする
と、フィルムが包装機内部で搬送される際にフィルムの
先端がコヨリ状に丸まってしまう搬送不良現象(以下コ
ヨリ現象と呼ぶ)を起こし、包装できない問題がある。
以下、この包装機のフィルム搬送機構とコヨリ現象を図
によって説明する。
【0008】図4(a)、図4(b)は突上型包装機で
フィルムを搬送し張架した状態を示す図である。図4
(a)はその平面図であり、図4(b)は図4(a)の
側面図である。図4(a)、図4(b)の符号は、1は
クランプ機構であり、その主要部はフィルム押え板2と
搬送用ゴムベルト3からなる、4はカット刃、5は搬送
され張架されたフィルム、6はロールフィルム、7の点
線は正規のフィルム停止位置、8は被包装物、9は通常
は複数本あるエレベーター(突上棒)で、10、11、
12はそれぞれ左、右、後方の折込板、13はスプリン
グ荷重板、14は金属駆動ロール、15は発生したコヨ
リを示す。まず包装機での包装の概要を述べる。図4
(a)及び図4(b)において、包装機にセットされた
ロールフィルム6より繰り出されたフィルムの両縁部は
クランプ機構1により保持される。フィルムの搬送はゴ
ムベルト3および金属駆動ロール14をフィルムに密着
させ、これを駆動させることにより行なわれる。フィル
ムは搬送の途中でカット刃4により適当な寸法に裁断さ
れ、正規のフィルム停止位置7まで搬送され張架され
る。その後上記の張架されたフィルム5の下方から、被
包装物8がエレベーター9により突き上げられ(図4
(b)では破線で示す)、その後左右の折込板10、1
1および後方の折込板12が被包装物側にスライドして
きて、フィルムを被包装物の下部に折込み、更にクラン
プ機構1が張架されたフィルム5を解放する。その後、
所定の温度に加熱された底シーラー(図では省略)によ
りヒートシールされストレッチ包装が完成する。
【0009】図4(a)で、上述した搬送不良現象を説
明すると、フィルムが正規のフィルム停止位置7まで搬
送されずにその100〜200mmも手前(図4(a)
における矢印Aの位置)で停止するという不良現象をお
こす。このような搬送不良現象をおこすと、フィルムが
寸法不足の状態で張架されるため全く包装できないので
ある。
【0010】図5は上記搬送不良現象を起こしたフィル
ム先端の状態を示す拡大側面図であり、図4(a)の矢
印Aの部分を側面から見た図である。図中の符号16は
ゴムベルトの突起を示す。図5に示すように、押え板2
とゴムベルト3の間には突起16による空隙があり、そ
の空隙内にフィルムの先端はコヨリ状に丸まっている。
そしてこのコヨリ状に丸まったフィルムの長さ分だけ、
上述の図4(a)におけるフィルム寸法不足となるので
ある。
【0011】上記のコヨリの原因を、仮にフィルム表面
の滑り性不足からくるものと仮定すると、フィルム表面
に滑り性を付与する方法には、例えば炭酸カルシウムや
シリカ、ケイソウ土などの無機質微粒子や、球状シリコ
ーン樹脂などの微粒子状の固体滑剤を添加しフィルムの
表面粗度を粗くすることで、フィルムの滑り性を高める
方法がある(例えば特開平1−129050号公報)。
しかし固体滑剤による方法では、問題となるコヨリ現象
の抑止効果がほとんど無いばかりか、搬送時にフィルム
が包装機のクランプ機構から不必要に外れやすくなる欠
点がある。また、固体滑剤の存在によりフィルムの透明
性も著しく低下させる欠点もある。
【0012】一般に、シリコーンオイルなどの液体潤滑
剤を塗布すれば、滑り性が改善されることは知られてい
る。例えば、特開平2−45366号公報は、フィルム
表面に表面存在量で120mg/m2 以下の適量のシリ
コーンオイルを塗布する記載がある。しかし、フィルム
表面にあるシリコーンオイルの離形効果で、搬送の際に
包装機のフィルムクランプ機構からフィルムが抜け出て
しまう現象が生じてコヨリ現象の防止策とはならない。
また、一般にフィルム表面にあるシリコーンオイルには
防曇効果は期待できない。また、その表面存在量が80
mg/m2 以上にもなるフィルムでは、ラベル接着性が
極端に低下するという問題が生じている。
【0013】本発明の目的は、従来のポリオレフィン系
ストレッチ包装用フィルムが持つストレッチ性、ヒート
シール性、透明性、ラベル接着性を損なうことなく、突
上型包装機を用いた包装におけるコヨリ現象がなく適切
に包装することができることと防曇性を同時に満足する
画期的なポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルムを
提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐熱層の両側
にシール層を有する少なくとも3層構造であるポリオレ
フィン系ストレッチ包装用フィルムにおいて、上記フィ
ルムの少なくとも一方の表面にシリコーンオイルと防曇
剤とが配されており、かつ該シリコ−ンオイルの表面存
在量(S)〔mg/m2〕及び該防曇剤の表面存在量
(F)〔mg/m2〕が下記式(1)〜(3)を満たす
ことを特徴とする。
【0015】0.5≦(S)≦50 (1) 3≦(F)≦50 (2) 0.05≦(S/F)≦5 (3) 以下、本発明を詳細に説明する。本発明と従来技術との
相違点は、フィルム表面にシリコーンオイルと防曇剤が
それぞれ特定量ずつ配されており、かつ上記シリコーン
オイル表面存在量と上記防曇剤表面存在量の比が特定範
囲内にあることである。
【0016】図1、2、3は本発明のフィルムのコヨリ
防止効果と防曇性を示した実験図である。図中の縦軸の
上の部分は防曇性を、下の部分はコヨリ長さを示してお
り、横軸はシリコーンオイルの表面存在量(S)並びに
(S)と(F)の比(S/F)を示してある。図1、
2、3の区分は防曇剤表面存在量(F)の水準を変化さ
せて示すもので、図1は10mg/m2 の水準、図2は
3mg/m2 の水準、図3は50mg/m2 の水準の場
合を図示している。実験は、後述の実施例1〜3および
比較例1〜3に対応するもので、図中のプロットの横の
符号は実験番号を示している。コヨリ長の合格範囲は包
装が可能となる40mm以下に置き、防曇性は実用性の
ある○と◎の範囲を合格とした。また防曇性、コヨリ長
の合否を分けるボーダーラインを、図中に一点鎖線の横
線で示した。
【0017】防曇剤の表面存在量(F)を10mg/m
2 に固定した図1を用いて本発明の内容を説明すると、
コヨリ防止効果と防曇性とが同時に満たされるシリコー
ンオイルの表面存在量(S)は0.5〜50mg/m2
の範囲であることが分かる。しかし、ここで留意すべき
は(S)と(F)との比(S/F)で、(S/F)が
0.05を越えて小さくなると、コヨリ防止効果が著し
く悪化するし、逆に5を越えて大きくなると、防曇効果
が悪化してしまうことである。従って本発明には(S/
F)は0.05〜5の範囲に留めることが必要である。
【0018】ここで注目すべきは本発明でいうコヨリ防
止効果は、各々適量のシリコーンオイル量と防曇剤量の
双方でなる液体潤滑膜の特殊な効果に基づくことであ
る。この一つの証拠として、例えば図1の実験番号1と
実験番号6は、一般の『動摩擦抵抗(μd)』では0.
44と同じ値を示すのに対し、ほぐして測ったコヨリ長
では161mm(実験番号1)と12mm(実験番号
6)と、合否を分ける大きな差として示される事実があ
る。
【0019】さらに別の証拠として、例えば図2、3を
挙げることができる。すなわち例えば、図2は、(F)
の水準が本発明の下限値(3mg/m2 )の場合を、図
3は、(F)の水準が本発明の上限値(50mg/
2 )の場合を示している。この、上・下限値は各々、
防曇効果発現からの必要性(下限値)、およびクランプ
機構1からのフィルムはずれ防止からの必要性(上限
値)から選定されたものである。この図2、3の両者で
注目すべきは(S/F)の適性範囲である。すなわち、
図1と同じ合否判定で示す(S/F)の適性範囲は、図
2の場合は0.17〜5の範囲に、図3の場合は0.0
5〜1の範囲に、各々変化してしまう事実である。この
両者の(S/F)の値は、共に本発明でいう(S/F)
の範囲0.05〜5の範囲内に収まる値ではあるが、シ
リコーンオイル量と防曇剤量との間には適正な割合、即
ち(S/F)が存在することを教示している。従って本
発明での防曇剤量とシリコーンオイル量は、図1、2、
3に例示する(S/F)に留意して選定することにな
る。例えば、防曇剤量を20mg/m2 に固定した場合
は(S/F)の適性値は0.05〜2.5の範囲である
ことが本発明者等によって確認されている。
【0020】上述の実験では、本発明の範囲内のフィル
ムの包装仕上がり(被包装物上のフィルム皺)はいずれ
も良好であることを確認している。また図1における実
験番号6のフィルムを、ポリオレフィン系ストレッチフ
ィルムが使用可能な寺岡精工(株)製AW2600スマ
ートおよびイシダ(株)製Wmini−MarkIIの
2種類の突上型包装機と、大森機械(株)製ST700
0直線型包装機にて実用に供したが、いずれの包装機で
も仕上がりは良好である事を確認している。この事か
ら、本発明のフィルムは『塩ビ仕様突上型』包装機だけ
でなく、『ポリ仕様突上型』包装機や『直線型』包装機
にも良好に使用でき、包装機ごとにフィルムを使い分け
る必要がなく、また多様な被包装物にも対応できること
がわかる。
【0021】本発明に用いられるシリコーンオイルは、
離型剤として一般に用いられているものであり、例えば
食品容器包装用途ならばジメチルポリシロキサン、メチ
ルヒドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルポリシ
ロキサン、ポリオキシアルキレンポリシロキサンなどの
オイルの単独または混合物である。一般にはオイル粘度
が300〜100,000cstの範囲のものが用いら
れる。
【0022】また用いられる防曇剤は、C1〜C12の
脂肪族アルコール系のC10〜C22の脂肪酸エステル
類、ポリアルキレンエーテルポリオール類、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテルなどのノニオン系の界面活性
剤や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ショ糖とラウリン酸,ステアリン酸,パルミチン酸など
の脂肪酸からなるシュガーエステル類などである。具体
的には、グリセリン−モノオレート、ジグリセリン−オ
レート、ジグリセリン−モノラウレート、ジグリセリン
−ジラウレート、ジグリセリン−ステアレート、ポリ
(テトラ,ヘキサ,デカ)グリセリンラウレート、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ショ糖ラウレ
ートなどがの単体または混合物が優先的に用いられる。
その他グリセリンリシノレート、ポリオキシエチレング
リセリンソルビタンラウレート、プロピレングリコール
オレート、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエ
チレングリコールソルビタンラウレート、ポリオキシエ
チレンソルビタンラウレートも用いられる。
【0023】上記シリコーンオイルと防曇剤の好ましい
組み合わせは、例えばシリコーンオイルにオイル粘度が
300〜10,000cstのジメチルシロキサンオイ
ルを用いる場合には、防曇剤にはグリセリン−モノオレ
ート、ジグリセリン−オレート、ジグリセリン−ラウレ
ートなどのグリセリン脂肪酸エステル或いは、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル或いは、ショ糖ラウレート
などのシュガーエステル、或いはポリ(テトラ,ヘキ
サ,デカ)グリセリンラウレートから選んだ1種類以上
の界面活性剤を用いることがよい。
【0024】シリコーンオイルと防曇剤をフィルム表面
に配する方法には、それぞれをフィルム表面に直接塗布
する方法や、押出機内で樹脂に混錬したり、或いはあら
かじめ原料樹脂に練り込んだマスターバッチを利用する
練込法など一般に公知の方法が用いられる。これらの方
法のうち、シリコーンオイルには塗布法を用い、防曇剤
には練込法と塗布法を併用するのが好ましい。
【0025】シリコーンオイル塗布の場合は、シリコー
ンオイル微粒子が適当な乳化剤(アルキルベンゼンスル
ホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
などの界面活性剤)の存在下で水中に分散したエマルジ
ョンを用ると、エマルジョンの濃度調整により表面存在
量の制御も容易である。シリコーンエマルジョン中のオ
イル濃度は、一般には0.01〜40wt%のものが用
いられる。エマルジョンのオイル粒径は特に問わない
が、乳化安定性などを考慮し、直径0.2〜10μmの
範囲内の一般のものを用いればよい。
【0026】塗布方法は、スリット前後のフィルム表面
の必要部分に、一般のエアドクターコーター、ロッドコ
ーター、スクイズコーター、含浸機、ロールコーター、
グラビアコーター、スプレーコーターなどで塗布すれば
良い。冷間インフレーション延伸の場合は延伸前のチュ
ーブ状フィルム原反の内側に塗布液を封入し、塗布して
もよい。
【0027】本発明はポリオレフィン系のストレッチフ
ィルムに適応されるが、そのストレッチフィルムとは一
般には、フィルムの200%伸び荷重の縦方向、横方向
の平均値が75〜550g/10mm幅の範囲内であ
る。また包装皺を解消するために縦横の伸び荷重バラン
スがある程度取れている方がよい。耐熱層に用いられる
樹脂は、比較的耐熱性のある結晶性樹脂で、一般には融
点が90〜180℃のポリオレフィン系樹脂である。具
体例を挙げると、エチレン−αオレフィン共重合体(L
L,VLなど)、結晶性ポリブテン1(PB)、ポリプ
ロピレン(PP)、ポリ4−メチルペンテン、ポリエチ
レン(PE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP
P)、エチレン−ブテン1−プロピレン3元共重合体
(EBP)などのポリエチレン系共重合体、ポリプロピ
レン−αオレフィン共重合体等の単体あるいは混合物が
優先的に用いられるほか、エチレン−アクリル酸エチル
共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体
(EMAA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)などのポリエチレン系共重合体が挙げられる。
【0028】ヒートシール層には、通常耐熱層に用いる
樹脂よりも融点、またはビカット軟化点が低い非晶性ま
たは低結晶性の熱可塑性ポリオレフィン系樹脂が用いら
れる。非晶性樹脂の場合はビカット軟化点が100℃以
下で、ビカット軟化点がヒートシール層の樹脂より5℃
以上高い樹脂であり、低結晶性樹脂の場合は、融点が4
0℃〜125℃の範囲内にありヒートシール層に用いた
樹脂よりも融点が5℃以上高い樹脂である。ヒートシー
ル層に利用可能な樹脂の具体例とはPE、EVA、EE
A、EMAA、エチレン−アクリル酸共重合体(EA
A)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMM
A)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EB
A)或いはエチレン−αオレフィン共重合体((L
L)、超低密度ポリエチレン(VL)、超々低密度ポリ
エチレン(UL))、(PB)などの単体または混合物
である。
【0029】上記の樹脂は、シングルサイト系(メタロ
センを含む)触媒を用いたポリオレフィン系樹脂でもよ
い。また本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、通常の安定
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、或いは必
要であれば少量の防曇剤、滑剤や粘着剤、無機充填剤、
あるいはブチルゴム系エラストマー、アイオノマー、水
素化テルペン樹脂、水添石油樹脂を混錬しておく場合も
ある。
【0030】また採用するシール層樹脂と耐熱層樹脂の
組み合わせは、ヒートシール可能温度範囲を広くするに
は、両者の融点の差を大きくするとよい。具体的な組み
合わせはシール層/耐熱層/シール層の3層構造の場合
は、EVA/EPP/EVA、EVA/PB/EVA、
EVA/LL/EVA、VL/EPP/VL、PB/P
P/PB等が優先的に用いられる。必要によっては上記
の層構成に、延伸補助層やリサイクル層を設けた4層以
上の構造、例えばシール層/延伸補助層/耐熱層/延伸
補助層/シール層の5層構造などや、シール層/延伸補
助層/耐熱層/延伸補助層/耐熱層/延伸補助層/シー
ル層の7層構造などでもよい。
【0031】フィルムの製造法は、ダイレクトインフレ
ーション法、Tダイ法などのエキストルージョン法(溶
融押出法)、およびキャスティング法、カレンダー法等
の方法が用いられる。上記の方法の中でも、共押出ダイ
レクトインフレーション法、またはTダイ法等のエクス
トルージョン法が簡便に多層フィルムを成膜できるため
好ましい。これらの成膜法の他、例えば冷間延伸法など
によるフィルムでもよい。また、延伸後に熱処理、コロ
ナ処理、電子線照射処理などの後処理を施してフィルム
の改質を施しても良い。
【0032】本発明のストレッチフィルムの一般的な製
造法の例を3層構造フィルムの場合について挙げる。耐
熱層およびシール層をそれぞれ別個の押出機により押出
しし、押出機に接続した3層サーキュラーダイ内部で3
層構造を形成し、ダイスより出た半溶融状態の樹脂を、
ダイレクトインフレーション法によりブロー比2〜2
2、成膜温度150℃〜250℃で厚み8〜30μm
(中間耐熱層2〜15μm)になるように成膜する方法
を用いる。
【0033】次いで、本発明で記載した物性、評価項目
などの評価法を説明する。 (1)200%の伸び荷重[g/10mm幅] フィルムを長辺100mm、短辺10mmの短冊状に縦
方向、横方向それぞれサンプリングする。長辺方向を測
定方向とし、チャック間を50mmに調整したストレイ
ンゲージ(アンプ、レコーダーに接続)に取り付け、引
張り試験機で引張速度200mm/minで引張り、伸
びが200%に達した際の荷重値のn=5の平均値を用
い200%の伸び荷重とする。伸びが200%に満たな
い場合は外挿法によりもとめる。試験環境は23℃、湿
度55%とする。 (2)樹脂融点 JIS K7121−1987記載の方法に準ずる。具
体的には、パーキンエルマー社製の示差走査熱量分析装
置(DSC−7)を用い、昇温速度10℃/minにて
サンプルを測定し、測定されたピーク値をもって樹脂融
点とする。 (3)ビカット軟化点 JIS K7206−1983記載の方法に準ずる。 (4)防曇剤のフィルム表面存在量(F) 約300mgに定量した分光分析用の臭化カリウム(K
Br)粉末を、フィルムの測定したい所定面積の部分
(面積0.0225m2 )にのせ、毛先の細いブラシを
用い丁寧に擦って所定面積の表面の防曇剤のほぼ全量を
KBrに付着させる。粉末を定量的に回収(回収率も測
定し、回収率が85%未満のデータは採用しない)して
シート状に加圧成形し、このシートを赤外分光光度分析
計(日立赤外分光光度計 270−30)で測定し添加
した防曇剤の種類に固有の波長の吸収ピークの大きさか
ら表面存在量を算出し、算出値を回収率で除した値を
(F)とする。算出にはあらかじめ測定する防曇剤ごと
に固有吸収ピークの大きさと表面存在量の関係を示した
マスターカーブを作っておく。 (5)シリコーンオイルのフィルム表面存在量(S) 上記の防曇剤の場合と同じ、赤外分光分析計を用いた方
法で算出する。算出にはあらかじめ測定するシリコーン
オイルに固有の吸収ピークの大きさと表面存在量の関係
を示したマスターカーブを作っておく。 (6)動摩擦係数 表面が、平滑なプラスチック板の上に厚みが均一(3m
m)で表面の凹凸状態が均質である軟質フォーム板をは
りつけたバックアップ板を水平に設置し、上記フォーム
板の上に測定するフィルムをシワなく貼り付ける。上記
フィルムの上に重量500gwのSUS板(ライダー)
を乗せ、該フィルムをライダーに対し相対速度0.67
m/minの速度で移動させる時にライダーに掛かる水
平方向の力をストレインゲージで測定し、ライダー荷重
で除した値を動摩擦係数とした。フィルムはバックアッ
プ板ごとローラーで移動させる。 (7)ヒートシール性 各フィルムにて100gの荷重をのせたトレーをハンド
ラッパーで、各フィルムとも裏面の折り込み部分が同様
の形態になるようストレッチ包装し、60〜180℃に
設定したヒートシール用熱板の上に2秒間乗せた後、直
に取り除きヒートシールできているか否かを目視評価
し、ヒートシールが可能な温度範囲の広さ(R)にて各
フィルムを相対評価した。◎、○を合格とした。
【0034】 ・尺度 記号 備考 25℃≦(R) ◎ ヒートシール性に優れる。 15℃≦(R)<25℃ ○ 実用上問題なし。 5℃≦(R)<15℃ △ ヒートシール性に劣る。 (R)< 5℃ × ヒートシールできない。 (8)防曇性 横長さと、高さがともに10cmで、縦長さが15cm
の、上面が開口したほぼ直方体のプラスチック容器に、
20℃の水道水を200cc入れ、直ちに測定するフィ
ルムで容器の開口部を密閉するように覆って包装し、そ
の容器を5℃の冷蔵庫に30分保存した後のフィルム表
面状態を目視観察し次の基準で判断した。◎と○を合格
とした。
【0035】 ・尺度 記号 備考 全面に鏡面上の水膜が見られ、フィルム ◎ 防曇性に優れる。 表面は全面にわたり透明なガラス状であ り内部が完全に透けて見える。 部分的に連続した水膜が見られ、全体的 ○ 実用上問題なし。
【0036】 にやや「もやもや」しているが、水滴は なくフィルムを通して内部は良く見える。 直径10〜20mm程度の水滴がほぼ全 △ 防曇性不足。 面を占めている。内部はやや見にくい。 直径5mm以下程度の細かい水滴がほぼ × 防曇性なし 全面を占める。内部は非常に見にくい。 (9)コヨリ長(L) 幅350mmにスリットしたフィルムを、平成2年式の
寺岡精工(株)社製の塩ビ仕様突上型ストレッチ包装機
AW2600jr(PVC)の『フィルムカット長さ目
盛り4』の条件で搬送し、その際に発生するコヨリの丸
まりをほぐして測定した値をコヨリ長(L)とした。n
=50での平均値を用い、下記◎〜○の範囲内を合格と
した。
【0037】 ・尺度 記号 備考 0 mm≦(L)≦15mm ◎ 包装にまったく支障なし 15mm<(L)≦40mm ○ 実用上問題なし 40mm<(L)≦60mm △ 被包装物によっては包装不可 60mm<(L) × 包装できない (10)光学特性 JIS K7105に準拠するグロス値(60℃鏡面光
沢)を評価した。
【0038】 ・尺度 記号 備考 140 ≦グロス値 ◎ 実用上問題なし グロス値<140 × 光沢性に劣る (11)ラベル接着性 実際のラベルをフィルムの上から貼り、10分経過後に
手で引き剥がすときの抵抗感で官能評価した。
【0039】 尺度 記号 備考 剥がす時に抵抗感がある ◎ 実用上問題なし 剥がす時に抵抗感がない × 接着性不足 (12)総合評価 上記の、(7)〜(11)の項目を総合して評価し、◎
又は○を合格とした。(7)〜(11)の項目のうち一
つでも△または×の評価があったものは不合格とした。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ具体的に説明す
る。なお、実施例、比較例で使用した樹脂の物性は表1
に示す。
【0041】
【実施例1及び比較例1】耐熱層に表1記載のLL(線
状低密度ポリエチレン)を用い、ヒートシール層として
表1記載のEVAを用い、それぞれ別個のスクリュー経
30mmの単軸押出し機2台で押出した。押出の際に防
曇剤として、シール層にジグリセリンラウレート(理研
ビタミン(株)製、商品名L−71−D)およびグリセ
リンモノオレート(理研ビタミン(株)製、商品名OL
−100)を混合比2:1に調整して練り込んだ。その
後、両押出し機から溶融状態の樹脂を、層構成がシール
層/耐熱層/シール層の3層構造になるように設計され
た1台の3層サーキュラーダイに導き、ダイス温度(成
膜温度)200℃、ブロー比5でダイレクトインフレー
ション成膜し、3層構造のチューブ状フィルムを得た。
このチューブ状フィルムは、インラインで熱風による熱
処理ゾーンに導かれ熱処理を行なった。このフィルムの
200%伸び応力の縦横の平均値は151g/10mm
幅であった。各層の厚みはそれぞれ3/6/3μm(全
層12μm)であった。
【0042】塗布液として、ジメチルポリシロキサンオ
イルのシリコーンエマルション(O/W型、シリコーン
オイル平均粒径350nm、オイル粘度350cst、
乳化剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)
と防曇剤としてのジグリセリンオレート(理研ビタミン
(株)社製、商品名0−71−D)のエマルジョン(O
/W型)の混合液を用い、前記のチューブ状フィルムを
スリットする前に、エアドクターコーターによりチュー
ブの外面にのみ塗布した。引継きチューブ状フィルムの
耳部をスリットしシングル剥離後、小巻ロール化するこ
とにより、塗布液をフィルムの非塗布面にも転写させ両
面に塗布液を配した。ここでシリコーンオイルと防曇剤
のフィルム表面存在量は、塗布液中のシリコーンオイル
および防曇剤の濃度を調整することと押出工程でインラ
イン注入する防曇剤の量とで調整した。実施例1および
比較例1は防曇剤表面存在量(F)を10mg/m2
固定し、シリコーンオイル表面存在量(S)を変化させ
た場合で、実験番号1、2、・・・、11が順に、
(S)=0.05、0.1、0.25、0.5、1、
5、10、25、50、100、150mg/m2 に調
整したフィルムに対応している。
【0043】まず防曇剤とコヨリ防止効果の評価を図1
に示す。図1においてコヨリ防止効果と防曇性とが同時
に満たされるシリコーンオイルの表面存在量(S)は
0.5〜50mg/m2 の範囲であることが分かる。し
かし、ここで留意すべきは(S)と(F)との比(S/
F)で、(S/F)が0.05を越えて小さくなると、
コヨリ防止結果が著しく悪化するし、逆に5を越えて大
きくなると、防曇効果が悪化してしまうことである。従
って本発明には(S/F)は0.05〜5の範囲に留め
ることが必要であることが示されている。また防曇性、
コヨリ防止効果の他、光学特性、ラベル接着性、ヒート
シール性、およびこれら特性の総合評価の結果を表2に
示した。実施例1のフィルム(実験番号4〜9)は総合
評価も良好であるが、シリコーンオイル量が過剰である
実験番号10〜11のフィルムはラベル接着性が低下し
た。
【0044】
【実施例2及び比較例2】防曇剤表面存在量(F)を3
mg/m2 に調整し固定した他は、実施例1および比較
例1と同じ実験を繰り返した例である。実験番号12、
13、・・・、22が順に、(S)=0.05、0.
1、0.25、0.5、1、5、10、25、50、1
00、150mg/m2 に調整したフィルムに対応して
いる。評価結果をそれぞれ図2および表3に示す。
【0045】
【実施例3及び比較例3】防曇剤表面存在量(F)を5
0mg/m2 に調整し固定した他は、実施例1および比
較例1と同じ実験を繰り返した例である。実験番号2
3、24、・・・、33が順に、(S)=0.05、
0.1、0.25、0.5、1、5、10、25、5
0、100、150mg/m2 に調整したフィルムに対
応している。評価結果をそれぞれ図3および表4に示
す。
【0046】この実施例1〜3及び比較例1〜3の評価
結果より、(S)、(F)及び(S/F)が本発明の範
囲内ならば総合評価が良好であることを示しているが、
(S/F)の適性範囲は、図2の場合は0.17〜5の
範囲に、図3の場合は0.05〜1の範囲に、各々変化
している。この両者の(S/F)の値は、共に本発明で
いう(S/F)の範囲0.05〜5の範囲内の値ではあ
るが、シリコーンオイル表面存在量と防曇剤表面存在量
との間には適正な割合、即ち(S/F)が存在すること
を教示している。シリコーンオイルの防曇剤に対する表
面存在量の比(S/F)が過少の場合はコヨリ現象の改
善がみられないことが示されている。逆に(S/F)が
過剰の場合は、防曇効果を阻害した。またそればかりで
なく、クランプ機構からのフィルム外れが発生しやすく
なり、包装皺が入り良好な包装ができにくくなった。
【0047】
【参考例1】また参考例として練込防曇剤および塗布液
中の防曇剤を用いずに、(F)=0mg/m2 とした他
は実施例4と同じ実験を繰り返し得られたフィルムで
は、防曇性が全くないばかりか、フィルム搬送時にフィ
ルムがクランプから外れやすかった。
【0048】
【実施例4及び比較例4】防曇剤表面存在量(F)を2
0mg/m2 に調整し固定した他は、実施例1及び比較
例1と同じ実験を繰り返した。この場合も実施例4のフ
ィルムではコヨリ防止効果、防曇性ともに非常に優れて
おり、また総合評価も良好であった。
【0049】
【実施例5〜6】実施例5は、実施例1で用いたシリコ
ーンエマルジョン中のオイル分を5wt%に希釈し、さ
らに防曇剤としてショ糖ラウレートを2wt%混合した
混合液を塗布液として用いた他は、実施例1と同じ実
験、また実施例6は原料樹脂に防曇剤の練込をせずに、
防曇剤としては塗布液中のショ糖ラウレートのみをフィ
ルム表面に配したこと以外は実施例5と同じ実験を繰り
返して得たフィルムである。評価結果を表5に示すが、
いずれの場合も総合評価は良好であった。
【0050】
【実施例7〜13】実施例7〜13は、フィルムを構成
する樹脂原料及び層構成を表6のように調整し、また
(F)=20mg/m2 、(S)=5mg/m2 に調整
したことの他は実施例1と同じ実験を繰り返した。なお
実施例13の各層の樹脂はブレンド物を示し、シール層
はLL40wt%とEVA60wt%の混合物であり、
耐熱層はPB50wt%とPP50wt%の混合物であ
る。いずれの場合も、コヨリ防止効果、防曇性、ヒート
シール性、光学特性、ラベル接着性ともに問題なく、総
合評価は良好であった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系フィルムを用
いると、従来のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィ
ルムが持つストレッチ性、ヒートシール性、透明性、ラ
ベル接着性を損なうことなく、従来コヨリが発生して使
用できなかった突上型包装機を用いた包装でコヨリ現象
がなく適切に包装することができ、かつ防曇性をも満足
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルムのコヨリ防止効果と防曇性を
示した実験図(防曇剤量(F)=10mg/m2 の場
合)である。
【図2】本発明のフィルムのコヨリ防止効果と防曇性を
示した実験図(防曇剤量(F)=3mg/m2 の場合)
である。
【図3】本発明のフィルムのコヨリ防止効果と防曇性を
示した実験図(防曇剤量(F)=50mg/m2 の場
合)である。
【図4】突上型ストレッチ包装機の主要部と包装の概要
を示す図である。図4(a)はフィルムが張架された状
態を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)の側面
図である。(点線は被包装物が突き上げられ、折込板が
スライドした状態を示す。)
【図5】搬送不良現象を起こしたフィルム先端の状態を
示す拡大側面図であり、図4(a)の矢印Aの部分を側
面から見た図である。
【符号の説明】
1 クランプ機構 2 フィルム押え板 3 ゴムベルト 4 カット刃 5 張架されたフィルム 6 ロールフィルム 7 フィルム停止位置 8 被包装物 9 エレベーター(突上棒) 10 左折込板 11 右折込板 12 後方の折込板 13 スプリング荷重板 14 金属駆動ロール 15 コヨリ 16 突起

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱層の両側にシール層を有する少なくと
    も3層構造であるポリオレフィン系ストレッチ包装用フ
    ィルムにおいて、上記フィルムの少なくとも一方の表面
    にシリコーンオイルと防曇剤とが配されており、かつ該
    シリコ−ンオイルの表面存在量(S)〔mg/m2〕及
    び該防曇剤の表面存在量(F)〔mg/m2〕が下記式
    (1)〜(3)を満たすことを特徴とするポリオレフィ
    ン系ストレッチ包装用フィルム。 0.5≦(S)≦50 (1) 3≦(F)≦50 (2) 0.05≦(S/F)≦5 (3)
JP7095032A 1995-04-20 1995-04-20 ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム Withdrawn JPH08281886A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004216825A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Asahi Kasei Life & Living Corp ポリオレフィン系樹脂防曇・熱収縮性多層フィルム
JP2018127533A (ja) * 2017-02-08 2018-08-16 旭化成株式会社 マスターバッチ
WO2022081106A1 (en) * 2020-10-13 2022-04-21 Beşel Basim Sanayi̇ Ve Ti̇caret Anoni̇m Şi̇rketi̇ High barrier anti-fog stretch film

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JP2004216825A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Asahi Kasei Life & Living Corp ポリオレフィン系樹脂防曇・熱収縮性多層フィルム
JP2018127533A (ja) * 2017-02-08 2018-08-16 旭化成株式会社 マスターバッチ
WO2022081106A1 (en) * 2020-10-13 2022-04-21 Beşel Basim Sanayi̇ Ve Ti̇caret Anoni̇m Şi̇rketi̇ High barrier anti-fog stretch film

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