JPH08281618A - 無機質板の製造方法 - Google Patents

無機質板の製造方法

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JPH08281618A
JPH08281618A JP9204595A JP9204595A JPH08281618A JP H08281618 A JPH08281618 A JP H08281618A JP 9204595 A JP9204595 A JP 9204595A JP 9204595 A JP9204595 A JP 9204595A JP H08281618 A JPH08281618 A JP H08281618A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 品質の良い厚地の無機質板を能率良く製造す
る。 【構成】 濾布21が掛け渡された円筒状回転体25を
90°ピッチで4つの領域〜に区画し、スラリー3
1の液面下に没した吸着領域,では、真空度を高め
て吸着性能を高め、濾布21に厚地のケーキ層36を吸
着する。スラリー41の液面以上の高さに位置する脱水
領域では、大きな吸込風量で減圧して脱水性能を高め
る。更に、濾布21が離れる領域を減圧しない領域と
することで、円筒状回転体25の周面上端から濾布21
をスムーズに真っ直ぐ引き出すことができるようにす
る。また、脱水領域の上方に設けた湿式流込装置38
から表面層成形材料となるスラリー37をケーキ層36
の表面に少量ずつ流し込んで散布することで、ケーキ層
36表面のひび割れ等の凹部に表面層成形材料を沈着さ
せて該凹部を穴埋めし、表面層とケーキ層36との接合
強度を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、補強繊維と水硬性物質
を水に混ぜ合わせて作ったスラリーから抄造法を用いて
繊維補強無機質板を製造するようにした無機質板の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、抄造法により厚地の無機質板
を製造する場合、メイキングロールを使用してケーキ層
を何層も積層する多層抄造法が採用されている。しか
し、この多層抄造法は生産能率が悪いので、近年、生産
能率を向上するため、特開昭57−39297号公報に
示すように、円筒状回転体を用いて厚地の無機質板を製
造する方法が考えられている。この方法は、図5に示す
ように補強繊維と水硬性物質を水に混ぜ合わせて作った
スラリー11を第1の貯溜槽12に貯溜し、無端ベルト
状の濾布13を掛け渡した円筒状回転体14を第1の貯
溜槽12内のスラリー11に浸して回転させながら、該
円筒状回転体14内を減圧することにより、スラリー1
1中で濾布13の表面にケーキ層15を吸着する。更
に、円筒状回転体14の上方に第2の貯溜槽16を配置
し、この第2の貯溜槽16の底面開口に沿って濾布13
を走行させることにより、第2の貯溜槽16内に溜めら
れたスラリー17を少しずつ濾布13上のケーキ層15
に堆積させてケーキ層15の厚みを厚くしながら、濾布
13の下面側からサクションボックス18でケーキ層1
5を真空脱水して厚地のケーキ層15を抄造する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した抄造装置で
は、第2の貯溜槽16の底面開口からスラリー17が漏
れ出すのを防止するため、第2の貯溜槽16の下端に設
けた柔軟片19(シール部材)を濾布13上のケーキ層
15に当接させるようにしている。この構成では、柔軟
片19とケーキ層15とのシール性を保つために、ケー
キ層15の表面を平滑にする必要があり、そのために、
柔軟片19の直前でブラシロール20によりケーキ層1
5の表面層を削り取ってケーキ層15の表面を平滑にす
るようにしている。このため、ブラシロール20で削り
取られた削り屑がスラリー17中に分散することなく再
び塊状となって後続のケーキ層15の表面に吸着されて
しまい、ケーキ層15の表面が凸凹状になるという悪循
環を繰り返し、製造する無機質板の品質を低下させてし
まう欠点がある。
【0004】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たもので、その目的は、品質の良い厚地の繊維補強無機
質板を能率良く製造することができる無機質板の製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の無機質板の製造方法は、補強繊
維と水硬性物質を水に混ぜ合わせて作ったスラリーを貯
溜槽に貯溜し、無端ベルト状の濾布を掛け渡した円筒状
回転体を前記貯溜槽内のスラリーに浸して回転させなが
ら、該円筒状回転体内を減圧することにより、前記スラ
リー中で前記濾布の表面にケーキ層を吸着し、そのケー
キ状物を脱水しプレス成形して建築用の無機質板を製造
する方法において、前記濾布の上面をほぼ水平に張っ
て、該濾布に吸着したケーキ状物をほぼ水平方向に搬送
すると共に、前記円筒状回転体を、前記スラリー中で前
記ケーキ層を吸着する吸着領域と、前記スラリーの液面
から上方へ脱出した前記ケーキ層を脱水する脱水領域と
に区画し、それぞれの領域にロータリバルブを介して別
々の減圧装置を接続し、前記吸着領域では真空度を高め
て吸着性能を高め、前記脱水領域では大きな吸込風量で
減圧できるようにすると共に、前記脱水領域の上方から
前記濾布に吸着されたケーキ層の表面に表面層成形材料
を散布するようにしたものである。
【0006】この場合、請求項2のように、前記円筒状
回転体を90°ピッチで4つの領域に区画し、下側の2
つの領域を前記吸着領域とし、上側の前記濾布が接触す
る領域を前記脱水領域とし、前記濾布が離れる残りの1
つの領域を減圧しない領域とすることが好ましい。
【0007】また、請求項3のように、前記脱水領域の
上方から前記ケーキ層の表面に散布する表面層成形材料
として、着色顔料を添加したスラリーを用いるようにし
ても良い。
【0008】或は、請求項4のように、表面層成形材料
として、水硬性粉体を主成分として補強繊維を乾式で混
合した粉体成形材料又は該粉体成形材料に樹脂エマルジ
ョンを加えた材料を用いるようにしても良い。
【0009】
【作用】請求項1によれば、濾布が掛け渡されている円
筒状回転体を、スラリー中でケーキ層を吸着する吸着領
域と、スラリーの液面から上方へ脱出したケーキ層を脱
水する脱水領域とに区画し、それぞれの領域にロータリ
バルブを介して別々の減圧装置を接続している。これに
より、吸着領域では真空度を高めて吸着性能を高め、濾
布に厚地のケーキ層を吸着し、脱水領域では大きな吸込
風量で減圧して脱水性能を高める。そして、脱水領域の
上方から濾布に吸着されたケーキ層の表面に表面層成形
材料を散布する。これにより、ケーキ層表面のひび割れ
等の凹部に表面層成形材料が沈着し、該凹部を穴埋めす
ると共に、凹部に沈着した表面層成形材料により表面層
とケーキ層(基材層)とを強固に接合することができ
る。
【0010】また、請求項2では、円筒状回転体を90
°ピッチで4つの領域に区画し、濾布が離れる領域を減
圧しない領域としている。これにより、当該領域に濾布
が円筒状回転体に吸着されずに済み、円筒状回転体の周
面上端から濾布をスムーズに真っ直ぐ引き出すことがで
きると共に、不要な減圧を避けて、効率の良い減圧(吸
着・脱水)が可能となる。
【0011】また、請求項3では、表面層成形材料とし
て、着色顔料を添加したスラリーを用い、これを脱水領
域の上方から噴霧又は流し出し等によりケーキ層表面に
散布する。これにより、ケーキ層表面に着色顔料で着色
化粧を施すことができる。
【0012】また、請求項4では、表面層成形材料とし
て、水硬性粉体を主成分として補強繊維を乾式で混合し
た粉体成形材料又は該粉体成形材料に樹脂エマルジョン
を加えた材料を用い、これを脱水領域の上方からケーキ
層表面に振りかける等して散布する。この場合、散布さ
れた粉体成形材料がケーキ層中の水分を吸収してケーキ
層の含水率を低下させ、生産効率を向上させる。また、
樹脂エマルジョンを散布すれば、表面層に樹脂コーティ
ングを施して、垂直引張強度を高めることができる。
【0013】
【実施例】まず、実施例1に用いる抄造装置の構成を図
1及び図2に基づいて説明する。無端ベルト状の濾布2
1は、駆動ローラ22、バックアップローラ23、複数
のテンションローラ24,34を介して大径の円筒状回
転体25に掛け渡されている。濾布21は、円筒状回転
体25の周面上端から駆動ローラ22へ向ってほぼ水平
方向に走行し、濾布21で抄造されたマット状のケーキ
状物26を水平方向に搬送するようになっている。ま
た、駆動ローラ22から円筒状回転体25へ至る濾布2
1の走行経路中には、濾布21を洗浄するシャワー洗浄
装置27や洗浄槽28と、濾布21の蛇行を修正する蛇
行修正装置29が設けられている。
【0014】一方、円筒状回転体25は、下半部が貯溜
槽30内に貯溜されているスラリー31に浸されてい
る。貯溜槽30へのスラリー31の補給は、貯溜槽30
の上部に形成された流入口32を通して行われる。貯溜
槽30の底部には、スラリー31を攪拌して均一化する
ための複数の攪拌機33が設けられている。
【0015】図2に示すように、円筒状回転体25は、
90°ピッチで4つの領域〜に区画され、領域,
はスラリー31の液面下に没して吸着領域となってい
る。円筒状回転体25に掛け渡された濾布21は、テン
ションローラ34によって吸着領域,に密着するよ
うにテンションが加えられている。一方、領域,は
スラリー41の液面以上の高さに位置し、領域が脱水
領域となり、領域が非減圧領域となっている。
【0016】円筒状回転体25の中心に設けられたロー
タリバルブ35には、円筒状回転体25の外周面に吸引
力を作用させるための多数の吸入パイプ(図示せず)が
放射状に設けられている。この円筒状回転体25の吸着
領域,は、ロータリバルブ35を介して図示しない
真空ポンプ(減圧装置)に接続され、真空度を例えば
0.6〜0.7kg/cm2 程度に高めて吸着性能を高
め、濾布21に厚地のケーキ層36を吸着できるように
なっている。また、脱水領域は、ロータリバルブ35
を介して図示しない高圧ブロワ(減圧装置)に接続さ
れ、大きな吸込風量で減圧脱水できるようになってい
る。一方、非減圧領域は減圧されず、従って、この非
減圧領域では、濾布21が円筒状回転体25に吸着さ
れずに済み、円筒状回転体25の周面上端から濾布21
をスムーズに真っ直ぐ引き出すことができるようになっ
ている。
【0017】更に、脱水領域の上方には、表面層成形
材料を含むスラリー37をケーキ層36の表面に少量ず
つ流し込んで散布する湿式流込装置38が設けられてい
る。この湿式流込装置38によるスラリー37の散布量
は流量調整ゲート39によって調整される。また、図1
に示すように、円筒状回転体25で吸着・脱水されたマ
ット状のケーキ状物26を搬送する濾布21の下面側に
は、複数のサクションボックス40が設けられ、各サク
ションボックス40をナッシュポンプ(図示せず)で真
空引きすることによってマット状のケーキ状物26が減
圧脱水される。
【0018】サクションボックス40を通過した濾布2
1の上側には、ローラ押圧機41と高圧水噴射式のカッ
タ42が設けられている。ローラ押圧機41は、サクシ
ョンボックス40で脱水されたマット状のケーキ状物2
6を上方から押圧脱水しながらケーキ状物26の表面を
平坦化する。カッタ42は、ローラ押圧機41を通過し
たマット状のケーキ状物26を一定長さ寸法で切断する
ものであり、ノズル(図示せず)から高圧水を噴射する
ことによりケーキ状物26を切断する。この際、ノズル
は、マット搬送コンベア43へ搬送されていくケーキ状
物26を斜めに横切るように移動され、それによってケ
ーキ状物26が搬送方向とほぼ直角に切断されるように
なっている。
【0019】次の表1は実施例1〜4におけるスラリー
31(基材成形材料)とスラリー37(表面層成形材
料)の組成と、製造した無機質板の物性や表面状態の評
価結果を示したものである。実施例1〜4の製造方法
は、表面層成形方式を除いて同じである。
【0020】
【表1】
【0021】実施例1の表面層成形方式は、図1に示さ
れた湿式流込装置38を用いて行う湿式流込方式であ
る。実施例2の表面層成形方式は、スラリーをスプレー
装置等により噴霧する湿式散布方式である。一方、実施
例3,4の表面層成形方式は、後述する図3又は図4の
乾式散布装置44,45を用いて行う乾式散布方式であ
る。
【0022】前掲の表1に示すように、実施例1〜4で
用いるスラリー31(基材成形材料)は組成が同じで、
水硬性物質、補強繊維、軽量骨材と水を混ぜ合わせて、
固形分濃度7〜15重量%のスラリーとしたものであ
り、必要に応じて凝集剤、防水剤等を添加するようにし
ても良い。ここで、水硬性物質としては、例えばポルト
ランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメン
ト、シリカセメント、アルミナセメントがあり、必要に
応じて高炉スラグ、消石灰、生石灰を混合しても良い。
また、補強繊維としては、木質パルプ、木繊維、木綿、
故紙の木質系繊維や、ポリプロピレン、アクリル、ビニ
ロン、ナイロン等の有機合成繊維や、ガラス、セラミッ
ク、カーボン等の無機質繊維を用いても良い。軽量骨材
としては、シリカ微粉末、軽量体のパーライト、フライ
アッシュ、シラスバーン等を用いれば良い。
【0023】実施例1〜4は、前掲の表1に示す基材成
形材料を配合したスラリー31を貯溜層30内に貯溜
し、濾布21を円筒状回転体25と一体的に回転させな
がら、吸着領域,を真空ポンプ(図示せず)により
例えば0.6〜0.7kg/cm2 程度に減圧し、スラ
リー31中を走行する濾布21にケーキ層36を吸着す
る。そして、脱水領域では、スラリー31の液面から
脱出するケーキ層36の体積収縮により生じるひび割れ
から漏洩する空気量があっても十分にケーキ層36を脱
水できる程度の大きな吸込風量を高圧ブロワ(図示せ
ず)によって発生し、ケーキ層36を減圧脱水する。
【0024】一方、脱水領域の上部では、実施例1〜
4でそれぞれ異なる方法で表面層成形材料が散布され
る。各実施例1〜4で用いる表面層成形材料(スラリー
37)は、前掲の表1に示すように、セメント、スラ
グ、パーライト、着色顔料、パルプ繊維、破損粉砕品等
を含む。実施例1では、表面層成形材料のスラリー37
を湿式流込装置38からケーキ層36の表面に少量ずつ
流し込んで、例えば1.5〜2.0Kg/m2 の割合で
散布する。このスラリー37には、樹脂エマルジョンは
添加されていない。
【0025】実施例2の表面層成形方式は、スラリーを
スプレー装置等により噴霧する湿式散布方式である。ス
ラリーは、実施例1のスラリー37よりもセメントを2
重量%少なくして樹脂エマルジョンを2重量%混合した
スラリーを使用し、このスラリーを例えば1.5〜1.
7Kg/m2 の割合で散布する。
【0026】一方、実施例3,4の表面層成形方式は、
図3又は図4の乾式散布装置44,45を用いて行う乾
式散布方式である。図3の乾式散布装置44は、粉体成
形材料を投入コンベア47によって振動篩48内に供給
し、この振動篩48の底面の篩網から粉体成形材料をケ
ーキ層36上に例えば1.8Kg/m2 の割合で振りか
ける。一方、図3の乾式散布装置45は、投入コンベア
49によってボックス50内に供給される粉体成形材料
を、送風機51から吹き出す風により分散させながら、
ケーキ層36上に例えば1.8Kg/m2 の割合で振り
かける。
【0027】実施例3,4は図3又は図4の乾式散布装
置44,45のいずれを用いても良いが、実施例3は、
樹脂エマルジョンを散布しない例であり、実施例4は、
粉体成形材料の散布後に専用ノズル等で樹脂エマルジョ
ンを2重量%散布した例である。
【0028】実施例1〜4は、いずれも、粉体成形材料
(スラリー37)が散布されたマット状のケーキ状物2
6を、濾布21の下面側から複数のサクションボックス
40によって減圧脱水し、更に、このケーキ状物26を
ローラ押圧機41で上方から押圧脱水しながらケーキ状
物26の表面を平坦化する。この後、高圧水噴射式のカ
ッタ42によりケーキ状物26を一定長さ寸法で切断
し、マット搬送コンベア43へ搬送する。切断されたケ
ーキ状物26は、マット搬送コンベア43によりプレス
機(図示せず)に搬送され、型板でプレスされて脱水さ
れ、表面に凹凸柄模様が形成される。その後の硬化・養
生・乾燥等の工程は、従来と同じ方法によって行えば良
い。
【0029】以上説明した実施例1〜4で製造した無機
質板について測定した物性のデータを前掲の表1に示
し、比較例1〜3の物性のデータを次の表2に示してい
る。
【0030】
【表2】
【0031】比較例1は、表面層成形材料を散布しない
例であり、これ以外は上記実施例と同じである。また、
比較例2は、従来のメーキングロールを用いた多層抄造
法の例であり、比較例3は、スラリーを成形型内に注入
して押圧成形する注型法の例である。
【0032】表1と表2の物性データを比較すると、実
施例1〜4は、垂直引張強度と凍融性能が共に比較例1
〜3に比べて向上し、品質の良い凹凸模様を安定して造
形することができる。尚、比較例2の多層抄造法は、曲
げ強度が実施例1〜4よりも強くなっているが、垂直引
張強度が弱く、無機質板表面に凹凸模様をプレス成形す
る際にヘアクラックが入ることがあり、凹凸の深い凹凸
模様を造形するのには不向きである。また、比較例3の
注型法は、凹凸の深い凹凸模様を造形できるが、生産能
率が悪く、コスト高になる欠点がある。
【0033】これに対し、実施例1〜4では、円筒状回
転体25を利用してケーキ層36の吸着・脱水を連続的
に行うことができるため、多層抄造法(比較例2)や注
型法(比較例3)と比較して生産能率が良く、量産効果
による低コスト化を期待できると共に、抄造装置の設置
スペースも小さくて済み、省スペース化の要求も満たす
ことができる。しかも、前述したように吸着・脱水され
たケーキ層36に表面層成形材料を散布するようにした
ので、ケーキ層36表面のひび割れ等の凹部に表面層成
形材料が沈着し、該凹部を穴埋めすると共に、凹部に沈
着した表面層成形材料により表面層とケーキ層36(基
材層)とを強固に接合することができ、垂直引張強度と
凍融性能を向上させながら、凹凸の深い凹凸模様を安定
して造形することが可能となり、表面状態の評価結果も
良好であった。とりわけ、実施例2,4では、樹脂エマ
ルジョンを表面層に散布するようにしたので、表面層に
樹脂コーティングを施すことができて、垂直引張強度を
更に向上させることができる。
【0034】しかも、表面層成形材料に着色顔料や化粧
材料を添加することで、無機質板表面に塗料を塗装した
のと同様の意匠効果を得ることができ、塗装処理が不要
になって一層の生産能率向上・低コスト化を達成するこ
とができる。
【0035】また、ケーキ層36を吸着・脱水する円筒
状回転体25は、濾布21と一体的に回転するため、濾
布21の摩擦が少なくて済み、濾布21の耐久性を向上
できると共に、濾布21を駆動する駆動ローラ22の駆
動源も省動力化することができる。
【0036】しかも、円筒状回転体25を90°ピッチ
で4つの領域〜に区画し、吸着領域,では真空
度を高めて吸着性能を高め、濾布21に厚地のケーキ層
36を吸着することができ、脱水領域では大きな吸込
風量で減圧して脱水性能を高めることができる。更に、
濾布21が離れる領域を減圧しない領域としているの
で、当該領域に濾布21が円筒状回転体25に吸着さ
れずに済み、円筒状回転体25の周面上端から濾布21
をスムーズに真っ直ぐ引き出すことができると共に、不
要な減圧を避けて、効率の良い減圧(吸着・脱水)が可
能となる。
【0037】尚、上記実施例では、吸着領域,につ
いては、減圧圧力(真空度)を同じにしたが、ケーキ層
36の層厚が吸着領域からにかけて徐々に厚くなる
ので、吸着領域の真空度を吸着領域のそれよりも高
くして、吸着領域の吸着性能を高めるようにしても良
い。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の請求項1によれば、円筒状回転体の吸着領域では真空
度を高めて吸着性能を高め、濾布に厚地のケーキ層を吸
着し、脱水領域では大きな吸込風量で減圧して脱水性能
を高め、この脱水領域の上方から濾布に吸着されている
ケーキ層の表面に表面層成形材料を散布するようにした
ので、従来の抄造法と比較して垂直引張強度と凍融性能
を向上させながら、凹凸の深い凹凸模様を能率良く造形
することができる。
【0039】また、請求項2では、円筒状回転体を90
°ピッチで4つの領域に区画し、濾布が離れる領域を減
圧しない領域としているので、円筒状回転体の周面上端
から濾布をスムーズに真っ直ぐ引き出すことができると
共に、不要な減圧を避けて、効率の良い減圧(吸着・脱
水)を行うことができる。
【0040】また、請求項3では、表面層成形材料とし
て、着色顔料を添加したスラリーを用いたので、無機質
板表面に塗料を塗装したのと同様の意匠効果を得ること
ができ、塗装処理が不要になって一層の生産能率向上・
低コスト化を達成することができる。
【0041】また、請求項4では、表面層成形材料とし
て、粉体成形材料又は該粉体成形材料に樹脂エマルジョ
ンを加えた材料を用いるようにしたので、粉体成形材料
によりケーキ層の含水率を低下させて生産能率を向上さ
せたり、樹脂エマルジョンを散布して垂直引張強度を高
めたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す抄造装置全体の概略構
成図
【図2】主要部の断面図
【図3】乾式散布装置の概略構成図
【図4】他の乾式散布装置の概略構成図
【図5】従来の抄造装置全体の概略構成図
【符号の説明】
21…濾布、22…駆動ローラ、25…円筒状回転体、
26…ケーキ状物、30…貯溜槽、31…スラリー、3
3…攪拌機、35…ロータリバルブ、36…ケーキ層、
37…スラリー(表面層成形材料)、38…湿式流込装
置、40…サクションボックス、42…カッタ、44,
45…乾式散布装置。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補強繊維と水硬性物質を水に混ぜ合わせ
    て作ったスラリーを貯溜槽に貯溜し、無端ベルト状の濾
    布を掛け渡した円筒状回転体を前記貯溜槽内のスラリー
    に浸して回転させながら、該円筒状回転体内を減圧する
    ことにより、前記スラリー中で前記濾布の表面にケーキ
    層を吸着し、そのケーキ状物を脱水しプレス成形して建
    築用の無機質板を製造する方法において、 前記濾布の上面をほぼ水平に張って、該濾布に吸着した
    ケーキ状物をほぼ水平方向に搬送すると共に、前記円筒
    状回転体を、前記スラリー中で前記ケーキ層を吸着する
    吸着領域と、前記スラリーの液面から上方へ脱出した前
    記ケーキ層を脱水する脱水領域とに区画し、それぞれの
    領域にロータリバルブを介して別々の減圧装置を接続
    し、前記吸着領域では真空度を高めて吸着性能を高め、
    前記脱水領域では大きな吸込風量で減圧できるようにす
    ると共に、前記脱水領域の上方から前記濾布に吸着され
    たケーキ層の表面に表面層成形材料を散布するようにし
    たことを特徴とする無機質板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記円筒状回転体を90°ピッチで4つ
    の領域に区画し、下側の2つの領域を前記吸着領域と
    し、上側の前記濾布が接触する領域を前記脱水領域と
    し、前記濾布が離れる残りの1つの領域を減圧しない領
    域としたことを特徴とする請求項1に記載の無機質板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記脱水領域の上方から前記ケーキ層の
    表面に散布する表面層成形材料として、着色顔料を添加
    したスラリーを用いたことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の無機質板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記脱水領域の上方から前記ケーキ層の
    表面に散布する表面層成形材料として、水硬性粉体を主
    成分として補強繊維を乾式で混合した粉体成形材料又は
    該粉体成形材料に樹脂エマルジョンを加えた材料を用い
    たことを特徴とする請求項1又は2に記載の無機質板の
    製造方法。
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