JPH08279627A - 発光素子 - Google Patents

発光素子

Info

Publication number
JPH08279627A
JPH08279627A JP10811795A JP10811795A JPH08279627A JP H08279627 A JPH08279627 A JP H08279627A JP 10811795 A JP10811795 A JP 10811795A JP 10811795 A JP10811795 A JP 10811795A JP H08279627 A JPH08279627 A JP H08279627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
light
organic compound
light emitting
light source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10811795A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisatoshi Nagamori
久稔 永森
Takashi Udagawa
隆 宇田川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP10811795A priority Critical patent/JPH08279627A/ja
Publication of JPH08279627A publication Critical patent/JPH08279627A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Led Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 光励起発光を呈する有機化合物若しくはこの
有機化合物を含む発光層と無機化合物半導体を発光素子
とする励起光源層とからなる。そして励起光源層からの
光により発光層の有機化合物を発光させるようにした発
光素子。 【効果】 同一の励起光源層であっても発光波長が異な
る発光素子が得られる。また、単一素子から多色発光が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発光素子、特に光励起発
光を呈する有機化合物とそれを光励起し発光させるため
の無機化合物半導体を発光素子とする励起光源層とを備
えた発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】多々ある発光現象の中で、有機化合物の
呈する蛍光、燐光の現象は、有機化合物個々の分子構造
を反映した発光色、色調を示す点で発光材料としての多
色化の可能性を持っている。これらの発光の機構は、光
による電子の発光電子準位への励起と、発光としてエネ
ルギーを緩和させる過程から成る現象として知られてい
る。この電子準位への励起が、電気的エネルギーによっ
て起こり発光緩和過程を伴う場合、この現象は、エレク
トロルミネッセンス現象の範疇に入る。中でも、有機化
合物の発光の場合、いわゆる有機エレクトロルミネッセ
ンスとして知られている。有機エレクトロルミネッセン
スは、古くはアントラセン結晶等で観測されていたが、
1980年半ば以降、薄膜形成した発光活性、特に蛍光
を有する有機化合物を用いて観測され、薄膜型の有機エ
レクトロルミネッセント素子として発光素子への応用の
研究、開発が行われてきた。
【0003】有機エレクトロルミネッセント素子では、
上述の発光機構のうち、電気的エネルギーによって発光
活性な有機化合物に外部より電荷を注入し、発光許容な
励起状態を形成することで発光を得ている。従って、当
該素子の応用では、本発光機構に基づき、より発光の効
率を向上させる工夫、試みがためされ、その方策が模索
されてきた。即ち、発光活性な有機化合物層で発光許容
な電子と正孔の再結合を行わしめる方法であって、素子
構造の通例としては、発光層が電子を注入する電子注入
層と正孔を注入する正孔注入層との2層に挟まれた構造
か、または、注入層のどちらか一方と接合した形態とな
っている。この形態は、発光層の持つ電荷移動性、注入
層界面に於けるエネルギー障壁の大きさにより決まり、
発光層、注入層の種類により最適な形態も異なる。この
様な電荷の注入層と発光層とを、ITO(インジウム・
錫酸化物)を代表とする透明電極を被着させた透明な基
板と仕事関数の低い金属からなる電極との間に形成し、
電荷注入することで発光を得ることが通例となってい
る。この様な、素子の一例を図5に示す。図では、ガラ
ス等の基板(101)の表面上に被着させた透明電極
(117)上に正孔注入層(111)と発光活性な有機
化合物層(104)、電子注入層(110)及び、電極
(107)とが順次積層された構成の素子を示してい
る。
【0004】有機エレクトロルミネッセント素子の場
合、発光素子の多色化は比較的容易である。即ち、発光
色は発光活性な有機化合物を替えることで容易に選択出
来、また、合成手法により新たに作り出すことが可能で
ある。これは、発光層に有機化合物を用いた当該素子の
優位点の一つである。また、発光活性な有機化合物を複
数適宜混合することで、白色発光を呈する有機エレクト
ロルミネッセント素子も最近報告されており(「応用物
理」第63巻第10号(1994)、1026頁)、発
光色の制御、多色化の優位性を示している。上記の様に
して形成した素子の典型的な性能は数ボルトで発光輝度
数百〜数千Cd/m2程度の発光を呈する。しかし、そ
の寿命は長いものでも数千時間程度であり、長寿命化、
安定性が特に課題である。
【0005】一方、無機化合物材料からなる発光素子の
代表的な例に発光ダイオード(LED)があり、表示装
置や光通信機器等に用いられている。発光波長によって
LEDには種々の化合物半導体材料が使用される。例え
ば、可視赤色LEDにはAlGaAsが、可視緑色LE
DにはGaPなど、Al、Ga等の元素周期律表の第I
II族元素と第V族元素としてPやAsを組合わせた化
合物半導体材料が用いられている。また、最近では高輝
度の青色LED材料としてIII−V族化合物半導体の
一種であるGaNやAlGaN、GaInN等の混晶も
利用されている(例えば、中村 修二、「電子情報通信
学会誌」第76巻第9号(1993)、913頁や真部
勝英、「豊田合成技報」、第35巻第4号(199
3)、68頁)。
【0006】これらの無機LEDにおいても光の3原色
の発光が可能となればLEDを発光素子から表示素子へ
と応用することによって更に大きな応用範囲が広がると
いう点で、赤色、緑色、青色発光は重要であり、特に、
短波長の緑色、青色LEDが期待されている。一例とし
て、GaNの混晶であるGaInNを発光層とした青色
LEDの従来構造の模式図を図6に示す(NIKKEI
MATERIALS&TECHNOLOGY94.4
(no.140)、48頁及びNIKKEIELECT
RONICS1994.1.3(no.598)、59
頁)。基板(101)としては透明なサファイア単結晶
が使われている(例えばH.M.Manasevit
他、J.Electrochem.Soc.,118
(1971)、1864)。基板直上には緩衝層(10
2)としてGaNが設けられている。緩衝層はAlNか
ら構成される例もある(Yasuo KOIDE他、J
pn.J.Appl.Phys.,27(7)(198
8)、p.p.1156−1161やH.Amano
他、Thin Solid Films、163(19
88)、415及び小出 康夫他、「日本結晶成長学会
誌」、第13巻第4号(1986)、8頁)。GaN緩
衝層(102)の上にはAlGaNからなる下部クラッ
ド層(103)が設けられる。下部クラッド層(10
3)の上にはGaInNからなる発光層(104)が設
けられている。発光層材料としてはこの他、Alu In
v Gaw N(u+v+w=1、u≠0、u>0)が開示
されている(特公平6−14564(平成6年2月23
日公告))。
【0007】図6に示す様に青色発光を呈する可視LE
Dには、発光層材料に2元化合物ではなく、わざわざ3
元素からなるGaNの混晶の一例であるGax In1-x
N(xは組成比を表し、0<x<1である。)を利用し
ている。GaNではなく混晶化されたGax In1-x
を利用するのはInを混在させることにより、禁止帯幅
を縮小させるためである。禁止帯幅(Eg 、単位:e
V)と発光波長(λ、単位:nm)とは(式1)の関係
にある。 λ=1.24×103 /Eg ・・・・(式1)
【0008】GaNの室温での禁止帯幅は3.4eVで
ある(赤崎 勇編著、「III−V族化合物半導体」
(1994年5月20日培風館発行)、150頁)。従
って、(式1)に依ればλは約365nmとなる。よっ
て、GaNは紫外線を発光するLEDの発光層材料とは
なるが可視LED用途の発光層材料にはならない。Ga
NにInを加えたGax In1-x Nでは、(x)の如何
に依って禁止帯幅をGaNの3.4eVからInNの
1.9eV(K.Kubota他、J.Appl.Ph
ys.、66(1989)、2984.)の間で変化さ
せる事ができる。例えば、波長が460nmの青色発光
を得るには、(式1)によりEg を約2.7eVとする
必要がある。Gax In1-x NのEg の(x)依存性
(S.SAKAI他、Jpn.J.Appl.Phy
s.、32(1993)、4413.)から、(x)は
約0.3とする必要がある。即ち、460nmの青色発
光を得るにはGa0.7 In0.3 Nの組成の層を発光層と
する必要がある。
【0009】しかし、実際には(x)を小さくする、即
ちInの組成比を高くするのは結晶成長の技術上、困難
を伴っている。実用上は結晶性が悪化するためInの組
成比を0.2〜0.3を越えて高めるのは困難となって
いる。また、禁止帯幅を変化させるという意味に於いて
は、従来では、Gax In1-x N層の(x)を実用上
0.8程度に抑制して上で亜鉛(元素記号:Zn)等の
不純物をGax In1-xN混晶層に添加し、Znが形成
する不純物準位を利用して見掛け上、禁止帯幅を縮小す
る操作が行われている。Znを添加した場合、禁止帯幅
は約0.5eV縮小するとされる(中村 修二、「日本
学術振興会光電相互変換第125委員会第148回研究
会資料(平成6年5月27日)。
【0010】不純物によって半導体の価電子帯−伝導帯
間に形成される準位は一般に唯一ではない。よって、Z
nの様な不純物を添加した発光層からは種々の不純物の
準位に対応した波長の発光が混在する。波長の異なる発
光が混在すると、結果として発光スペクトルは幅広くな
る。実際、Znを添加したGaInNには主発光に隣接
した副次的な発光が観測されている(中村 修二、『I
nGaN高輝度青色発光ダイオード』(日本学術振興会
光電相互変換第125委員会第148回研究会(平成6
年5月27日)資料))。GaNにZnを添加した場合
にも、Znの添加量の増大に伴いLEDの発光スペクト
ルが拡大されることが報告されている(T.Kawab
ata他、J.Appl.Phys.,56(8)(1
984)、2367.)。従って、不純物準位を利用し
て発光波長を長波長化させる従来の方法は、発光スペク
トルの半値幅が狭い単色化された発光を得るには難があ
った。
【0011】光の3原色の一つに青色よりも長波長であ
る緑色がある。(式1)に依れば、より長波長の発光を
得るにはEg を更に低下させる必要がある。Gax In
1-xN層を発光層材料として採用する場合には、更にI
nの組成比を上昇させなければならない。例えば波長が
550nmの緑色発光を得るには、Eg を2.25eV
とする必要がある。Eg を2.25eVとするにはIn
の組成比を約0.6に高めなければならない(S.SA
KAI他、Jpn.J.Appl.Phys.、32
(1993)、4413.参照)。前述の如く、結晶性
を損なわずにInの組成比を高めるのは容易ではない。
Znを発光不純物として添加し、0.5eV程度の禁止
帯幅の縮小を意図するにしても(x)を約0.6、即ち
In組成比を約0.4とする必要があった。この組成比
はGax In1-x Nの結晶性を損なわない実用的なIn
組成比の上限である0.2〜0.3を越えている。
【0012】
【発明が解決すべき課題】無機化合物からなる発光層材
料を含み、無機化合物から構成さたLEDは、有機色素
化合物からなる或いはそれを含む層を発光層として備え
た発光素子に比べれば一般には、高輝度であるのが特長
となっている。しかし、青色や緑色の発光を呈する短波
長の可視LEDを得るに例えば、発光層にGax In
1-x N を採用する場合にあっては、上述の様に良質の
混晶層を得るに成長技術上の難しさを伴っており、Zn
を発光不純物として添加しても発光スペクトルが広が
り、先鋭な単色化したスペクトルでなくなるという課題
があった。
【0013】一方、従来のGax In1-x Nの様な混晶
化された発光層ではなく、より成長が容易なGaN等の
2元素からなる無機化合物半導体材料を利用すれば比較
的簡便にLEDを得ることもできる。しかしながら、G
aNを発光層とした場合はGaNのEg が3.4eVで
あるため紫外光を発光し、可視光は発しない。
【0014】他方、従来の有機化合物を利用した有機エ
レクトロルミネッセント素子の発光層からの発光は、有
機化合物の選択性故に多色化が可能であるが、その発光
自体は、電気エネルギーの注入によってもたらされてい
る。このため、電気エネルギーが発光層や注入層といっ
た有機化合物層中において熱エネルギーに変換され、熱
による有機化合物層の劣化、即ち、熱エネルギーによる
電子状態の変化によって発光許容が損なわれるという問
題があり、注入されたエネルギーを有効に光のエネルギ
ーに変換して高輝度発光を得、長寿命化を図るという高
効率化が課題である。
【0015】有機化合物は光エネルギーの注入に依って
も発色を呈する。蛍光や燐光はその例であることは前に
述べた。この場合、一般に発光波長に相当するエネルギ
ーよりも大きなエネルギーで光エネルギーを注入する。
即ち、可視光領域の発光を得るためには、それよりも大
きなエネルギーの光、例えば、短波長の可視光や紫外光
を適宜用いれば良い。尚、光の波長(λ)とそのエネル
ギーの大きさ(E)とは、プランク定数をh、光速度C
を用いると(式2)で表される関係にある。 E=h・C/λ ・・・・(式2)
【0016】従って、光励起により発光する有機化合物
の発光源として無機化合物半導体からなる発光素子を利
用することができる。例えば、上述のGaNからなる励
起光源層から発せられる紫外線を有機色素化合物を光励
起するための光源として利用し、有機化合物の発光を得
ることも可能である。
【0017】この様な構成からなる発光素子では、発光
層にはわざわざGax In1-x Nの様な混晶を敢えて必
要とせず、よって長波長化を意図したInの組成比を上
昇させる必要性もなくなる。GaNからの紫外域の発光
は、有機化合物を光励起するには都合が良く、従って、
Gax In1-x NよりもGaNの様な禁止帯幅(Eg
のより大きな材料から発光層を構成するのが良い。しか
し、この様な光励起光を供給する例えば、無機化合物か
らなる励起光源層と有機化合物からなる発光層との双方
を備えた発光素子は知られていない。
【0018】また、有機化合物からなる或いはそれを含
む樹脂等を励起光源を発する例えば、無機化合物からな
る励起光源層の周辺に配置することによっても、発光は
得られる。しかし、この様な有機化合物を励起光源層の
周辺に配置した簡易な構成からなる発光素子は知られて
いない。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決すべく努力した結果、本発明に到達した。即ち、本
発明は光励起発光を呈する有機化合物からなる若しくは
光励起発光を呈する有機化合物を含んでなる発光層と該
有機化合物を光励起により発光させるための無機化合物
半導体を発光素子とする励起光源層とを備えてなる発光
素子である。また光励起発光を呈する有機化合物からな
る若しくは光励起発光を呈する有機化合物を含んでなる
化合物と、該有機化合物を光励起により発光させるため
の励起光源層とを備え、該励起光源層を前記有機化合物
若しくはそれを含む化合物で囲繞し、封止してなる発光
素子である。これらの発光素子に於いて有機化合物を光
励起により発光させるための励起光源層は、中心が40
0nm以下である波長の発光をもたらす材料から構成す
ることができる。中心が400nm以下である波長の発
光をもたらす励起光源層は例えばAlN、GaN若しく
はそれらとInNとの混晶から構成するものである。更
に、有機化合物は中心が400nm以下である波長の光
によって光励起発光現象を呈する有機化合物とすること
ができる。
【0020】本発明の有機化合物からなる層若しくは有
機化合物を含む層(以下、有機化合物層と称す。)と該
有機化合物層を光励起し発光を得るための励起光を発す
る励起光源層とを備えてなる発光素子は、単純には基板
上に設けられた例えば、GaNなどのpn接合からなる
励起光源層の上方に有機化合物層を設ければ形成でき
る。また、基板とする材料が光学的に透明或いは透光性
であれば、励起光源層の下方に位置する例えば基板の裏
面側に設けても良い。基板材料が絶縁性で、これにより
基板の一面に電極を形成するのが不可能な場合は、基板
の表面側に設ける積層構造の中間に有機化合物層を挿入
することもできる。また、絶縁性基板の上に設ける緩衝
層が高抵抗層であれば、緩衝層の上に有機化合物層を設
けることもできる。また、励起光源発生層を含む積層構
造の側面の一部或いは全面を有機化合物層で被覆しても
良い。これらの例をもとに構成すれば本発明のいう有機
化合物層と有機化合物を光励起し発光させるための励起
光源層とを備えた発光素子が形成される。
【0021】有機化合物層の導電性や伝導性には特に制
限はない。有機化合物層が高抵抗層であれば、例えば電
極を載置する無機化合物層の電極が形成される領域以外
の領域を被覆する様に設ければ良い。また、導電性を有
する有機化合物層であれば、当該有機化合物層そのもの
を電極とするか、金属電極と有機化合物とが接触する部
分を光を透過する性質を有する絶縁材料で被覆すれば良
い。また、励起光源層を含む積層構造の導電性であるこ
とが要求される層間、例えばクラッド層とコンタクト層
の中間に挿入しても差し支えない。要は、有機化合物層
を励起光源層からの発光を得るための動作駆動電流の流
通を阻害せず、且つ励起光源層から放出される有機化合
物を励起するための励起光を広範囲に亘り受光出来る様
に配置する。
【0022】有機化合物層と励起光源層とを備えてなる
発光素子の断面及び平面模式図の一例を図1及び図2に
各々示す。この構造例では、基板(101)に透光性の
窒化アルミニウム(AlN)を用いている。基板材料は
AlNに限定されないが、基板材料の裏面側に有機化合
物層を設ける場合には、励起光源層から発せられる波長
の光を吸収しない、即ち励起光源層を構成している材料
よりも大きなEg を有する材料から構成するのが好まし
い。基板の裏面側に配置する有機化合物層を励起するた
めの励起光の強度を減じないためである。基板の裏面側
とは、励起光源層を備えた積層構造を堆積する、基板の
表面とは反対側の基板の面のことをいう。基板の裏面側
をも有機化合物層で被覆する場合、材料のEg の観点か
ら励起光源層と基板材料との好ましい組合せの一例とし
ては、励起光源層をGaNから構成し、基板をよりEg
の大きい石英ガラス材料やAlNとする例がある。
【0023】図1に示す如く、AlN基板(101)上
には下部クラッド層としてp形の伝導を呈するAly
1-y N(yは組成比を表し、ここでは、0<y≦1で
ある。)を下部クラッド層(103)として堆積してあ
る。下部クラッド層(103)上にはp形のGaNから
なる励起光源層(104)が設けられている。励起光源
層(104)上には、n形のAly Ga1-y Nからなる
上部クラッド層(105)が在る。上下のクラッド層共
にAly Ga1-y Nから構成する必要はない。但し、上
下のクラッド層((103)及び(105))は励起光
源層(104)への電子や正孔を効率良く閉じ込めるた
めに、即ち『発光の閉じ込め』を効率良く行うために設
けるものであるため、励起光源層を構成する材料よりも
g の大きな材料から構成する必要がある。例えば、A
lの組成比を0.2とするAl0. 2 Ga0.8 Nを励起光
源層とする場合、クラッド層をAlの組成比をより高め
た例えば、Al0.4 Ga0.6 Nとするのがこの例に当た
る。Aly Ga1-y N混晶に於いては、Alの組成比を
増加させることにより、Eg を高められるからである
(S.SAKAI他、Jpn.J.Appl.Phy
s.、32(1993)、4413.参照)。励起光源
層/クラッド層の好ましい材料の組合せの例にはこの
他、Ga0.85In0.15N/GaNやGaN/AlN等が
ある。励起光源層とクラッド層材料との組合せについて
望ましくは、双方の材料をヘテロ接合させた際に室温で
の熱電子エネルギー(約0.026eV)の10倍程度
の伝導帯間のバンド不連続性が得られる組合せが良い。
また上、下クラッド層については同一の材料で構成する
必要もない。
【0024】上部クラッド層(105)の中央部の上に
は、平面形状が円形の電極(107)が設けられてい
る。他方の電極(108)は下部クラッド層(103)
上に設けてある。下部クラッド層(103)上の電極
(108)は、図2に示す様に平面的に見て上部クラッ
ド層(105)の周囲に、電極(107)に対し同心円
状に設けてある。電極の形状や配置は図1及び図2に例
示した構成に限定されるものではない。
【0025】上記の様な無機化合物からなる積層構造の
構成層は、有機金属熱分解気相成長方法(MOCVD法
とかMOVPE法或いはOMVPE法などと称され
る。)、気相成長方法(VPE法)や分子線エピタキシ
ャル法(MBE法)等の気相成長方法を利用すれば形成
できる。例えばMOCVD法は、層を成長させるための
気相成長反応を行う際の圧力に依って、常圧(大気圧)
方式と減圧方式とに大まかに区別されるが、上記の様な
構成層は方式を問わず得られる。また、MBE法にも使
用する原料の種類や形態によってガスソースMBE(G
S−MBE)や有機金属MBE(MO−MBE)法があ
るが、いずれの方式も利用できる。また、化学ビーム成
長法(CBE法)も利用できる。
【0026】上部クラッド層(105)上の電極(10
7)の周囲は、有機化合物層(106)で被覆してあ
る。この様な構成により無機化合物と有機化合物とから
なる発光素子を構成できる。電極(107)上は結線の
ために有機化合物層(106)で被覆していない。有機
化合物層(106)の表面は平坦でも良く、同層(10
6)からの発光を散乱させるためにその表面を凹凸状と
しても差し支えない。
【0027】励起光源により光励起さあれる発光活性有
機化合物層は当該化合物そのもの、もしくは、該化合物
を含有する組成物で形成される。発光活性有機化合物層
中の当該化合物の含有量は、当該化合物の発光が得られ
る濃度であれば基本的には良く、0.0001〜100
モル%の範囲で設定することができる。前者の光励起発
光活性有機化合物そのものにより当該層を形成する場合
には、化合物の蒸着やラングミュア−ブロジェット膜作
製法によって形成できる他、該化合物を溶媒に溶解し利
用することができる。特に、この溶媒への溶解は、可溶
性の重合体の場合には有効である。また、組成物を用い
て形成する場合、当該化合物を、該化合物の光励起発光
による発光が吸収されない物質中に分散させる方法が簡
便である。その方法としては、該化合物を可視光領域で
光透過性を有する高分子重合体中に物理的に分散させた
材料は工程上簡便で有用である。この高分子重合体に
は、ポリメタクリル酸メチルエステルやポリカーボネー
ト、ポリスチレン等を挙げることができる。更に、この
方法の分散方法としては、発光活性有機化合物と高分子
重合体とを共通に溶解する溶媒に溶解するか、互いに相
溶する溶媒に溶解し、この溶液同士を混合した溶液を当
該化合物層の形成に利用できる。上記で、溶媒に溶解し
溶液より当該層を形成する場合、塗布法が利用できる。
当該溶液を当該層を備えた発光素子を設けようとする面
に吹き付けるスプレー法、また、当該面を例えば、面に
垂直な回転軸周りに回転させ溶液を滴下し塗布するスピ
ンコート法、更に、当該面上にスクリーン印刷技術等を
用いて層を形成し、然る後に固化することで容易に形成
できる。この様な溶液の塗布は比較的簡単に大面積に亘
り当該化合物を含む被膜層を形成できるため工程が簡略
化され有用である。また、有機化合物層の積層方法は、
発光活性有機化合物、若しくは当該化合物を含有する組
成物を励起光源を備えた発光素子を設けようとする面に
直接形成し当該層を積層する方法や、当該層を自立膜化
させ発光素子を設けようとする面に接合、貼付する方法
等で良く、また、これらを組合せて積層形成しても良
い。
【0028】有機化合物層は1種類の発色を示す有機化
合物から構成する必要もない。例えば、赤色と緑色の発
色を示す有機化合物を混在させて含ませても良い。赤と
緑色の発色を示す有機化合物を同一層内に混在させてお
けば、双方の発光が混合し、結果として橙色の発光素子
を得ることもできる。或いは、被覆する領域を区分し、
領域毎に異なる発光を呈する有機化合物層を設けても構
わない。この様に図れば単一の光励起源のみからなる多
色の発光素子を簡単に得ることができる。例えば、赤、
緑及び青色の3原色を各々、発光する有機化合物層と単
一の光励起源となるGaN励起光源層とを組合せて利用
すれば白色の発光素子も得られる。励起光源層と有機化
合物層とを組合せる利点の一つがここにある。
【0029】異なる発色を呈する有機化合物層を混在さ
せるに際し、得られる発色の強度が有機化合物層毎に相
対的に異なる場合にあっては、例えば相対的に発色強度
が弱い有機化合物層の占有する面積を広くし、逆に相対
的に発色強度が強い有機化合物層の占める領域を縮小す
る様に配置する。この様に図れば発する色の差異に依る
元来の発光強度差に依存せずに強度的にほぼ同一な発光
を混合できる。発光を呈する有機化合物層の面積を適
宣、調整するのみでほぼ同一の強度を有する発色を混合
させた光の調和性に優れる多色発光素子が得られのもま
た利点である。
【0030】積層構造のある位置或いは基板材料に直
接、有機化合物を被着せずに、励起光源層を含む発光素
子を有機化合物を含む有機化合物等で封止しても新たな
構成の発光素子とすることができる。
【0031】例えば、LEDの封止材料として従来から
使用されている一般的なエポキシ樹脂などに有機化合物
を含有させる。これにより、GaN等の紫外線発光材料
からなる有機化合物を光励起するための励起光源層を備
えたLEDを封止する。LEDから発せられる紫外光に
より例えばエポキシ樹脂内の有機化合物はその化合物に
独特の発色を呈する。これにより、励起源は可視光でな
くとも有機化合物を含む封止樹脂で封止する簡便な方法
にて可視光を発する発光素子となすことができる。即
ち、元来、紫外光を発する材料である2元化合物材料を
より長波長側の発光を得るために結晶成長に困難さを伴
う多元混晶とする必要もなく、また、Zn等の不純物の
添加による長波長化に伴う発光スペクトルの半値幅の増
大も招かずに可視光を発する発光素子を得ることができ
る。
【0032】有機化合物は封止用樹脂に均一に分散させ
ても良い。また、励起光源層からの発光が集中して一部
の領域に投射される工夫が施されている場合には、その
一部領域に対応する封止用樹脂の領域に集中的に有機化
合物を含有させても良い。封止用樹脂に混合させる有機
化合物は1種類に限定されず、異なる発色を呈する多種
の有機化合物を含有させるのも一つの応用として考えら
れる。この様な構成に於いても、例えば、GaN励起光
源層から発せられる紫外光が封止材料内の有機化合物を
光励起し、可視光が発光される。即ち、従来の如く可視
光を得るためにわざわざ結晶を成長させるのが難しい混
晶を利用する必要が無くなる。
【0033】本発明に係わる有機化合物を含む物質で励
起光源層を備えた発光素子を封止するには、従来の封止
技術が利用できる。単に従来の封止材料を本発明に係わ
る有機化合物を含む封止材料に変更するのみで封止がで
きる。例えば、所望の外形を与える金型等に流し込ま
れ、加熱され融解された本発明に係わる有機化合物を含
む封止用エポキシ樹脂等に励起光源層を備えた発光素子
を含浸し、然る後、当該封止用材料を冷却し固化させれ
ば発光素子を封止する事ができる。発光素子を適当な型
の内部に載置し、この型の中に有機化合物を含む封止用
樹脂を滴下し固化しても発光素子を封止できる。
【0034】本発明は無機化合物からなる積層構造を励
起用光として有機化合物を光励起して発光素子を得る訳
であるが、この目的のためには光励起エネルギーが発光
のエネルギーよりも高い方が好ましい。光エネルギーは
(式2)により波長と関連付けられ、短波長になる程、
光エネルギーは大きくなる。本発明では、有機化合物を
効率良く励起するために、望ましい例としては、励起光
源層の発光波長を規定する。具体的には励起光源層から
の発光は中心波長を400nm以下とする。換言すれ
ば、中心波長を400nm以下とする発光を与える材料
から励起光源層を構成する。中心波長とは、或る波長の
幅を持った発光の中で最大の発光強度をもたらす波長を
指す。
【0035】中心波長を400nm以下とするのは、
(式2)により短波長の光である程、エネルギーが高い
からである。特に波長が400nm以下の紫外線光は、
光励起発光性を呈する有機化合物を光励起し、可視光領
域の発光をもたらすに充分な励起エネルギーを有してい
るからである。
【0036】この中心波長の要件を満たす材料には例え
ば、GaN等のIII−V族化合物半導体がある。(式
1)により算出されるGaNの発光波長は365nmで
ある。GaNの他にはAlN(発光波長=207nm)
やAl組成比に依って207nmから360nmに至る
紫外線発光が得られるAlz Ga1-z N(zは組成比を
表し、≦z≦1である。)が適する。また、Eg が3.
1eV以上となるGax In1-x N混晶も適する。
【0037】本発明に係る光励起発光活性有機化合物と
しては、有機分子の単量体、重合体、会合体等何れでも
良く、基本的には光励起発光を呈する有機化合物であれ
ば良い。ここで言う光励起発光とは、光照射により発光
を呈する現象であり、例えば、蛍光、燐光といった現象
は当然含まれる。その具体的な例としては、単量体で
は、アントラセン、ペリレン等の縮合六員環やパラ−オ
リゴフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキソジ
アゾール誘導体、スチルベン誘導体、クマリン誘導体、
ローダミン系色素に代表されるキサニセン系色素、オキ
サジン系色素等を挙げることができる。また、重合体と
しては、主鎖が発光活性なものと側鎖が発光活性である
もの等に大別できるが、基本的には重合体の一部、若し
くは、全体として発光活性を持つものと考えれば良い。
前者の例としては、ポリパラフェニレン誘導体やポリパ
ラフェニレンビニレン誘導体、ポリナフトビニレン誘導
体に代表されるアリーレンビニレン誘導体、ポリ(3−
アルキルチオフェン)等に代表されるポリチオフェン誘
導体、ポリフルオレン誘導体等を挙げることができる。
また、ポリメタクリル酸メチルやポリカーボネート、ポ
リスチレン等の高分子重合体の側鎖に上記の発光活性有
機化合物の単量体を化学的に結合させた重合体が後者の
例となる。更には、架橋体の一部が光励起発光活性であ
るものも、この重合体に含まれる。また、例えば、8−
キノリノール誘導体が金属イオンに会合し形成した錯体
やアゾメチン錯体等の金属錯体、シアニン系色素の会合
体(J−会合体)等もここで云う化合物である。
【0038】これらの光励起発光活性有機化合物を用い
れば、例えば、ローダミンBからは波長が630nm近
傍の赤色発光、クマリン153からは波長が535nm
近傍の、ポリパラフェニレンビニレンからは波長が51
0nm近傍のそれぞれ緑色発光、クマリン1からは波長
が430nm近傍の、クマリン120では波長450n
m近傍の青色発光を呈する。有機化合物からの発光は、
一般には有機化合物の発光波長よりも短い波長の励起光
を照射すれば得られる。従って、少なくとも光の3原色
を得るには励起光の波長は400nmとすれば充分であ
る。
【0039】上記に例示した有機化合物からなる層或い
はそれらを含む化合物からなる発光層には、発光活性な
有機化合物からの発光を促進する発光の増感作用を持つ
物質を添加させても良い。この場合、具体的な添加物質
とその添加量は発光活性な有機化合物の発光の増感が保
たれる様に選択すれば良い。
【0040】発光層には、発光活性な有機化合物の発光
特性の劣化を防止、低減する化合物を添加しても良い。
この場合、具体的な添加物質と添加量は発光活性な有機
化合物の発光が阻害される事の無い範囲で選択できる。
【0041】発光層を構成する有機化合物の光劣化を防
止できる或いは低減できる物質を含有し、励起光である
紫外光を減光し且つ発光層からの発光を透過する性質を
有する発光層の光劣化を防止するための光劣化防止層を
例えば、発光層と励起光源層との中間に設けることも有
用である。この場合、光劣化防止層としては、光透過性
の高分子材料、例えばポリメタクリル酸メチルエステル
やポリカーボネート等の中に紫外線の吸収剤として例え
ば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾ
トリアゾール誘導体やシアノアクリレート誘導体等や更
には発光特性を安定化させるための例えば、ヒンダード
アミン系等からなる単一或いは複数種の光安定剤を分散
させて形成した有機組成物を挙げることができる。
【0042】更に、本発明に係わる発光素子の外部から
の紫外光が発光素子に入射することによる有機化合物層
の光劣化を防止する場合には、上記の光劣化防止層を発
光層からの発光を取り出す方向に形成すれば良い。発光
層からの発光を取り出す方向にある例えば、封止外層を
通過して逆に外部から光が侵入する確率が高いからであ
る。例えば、発光層からの発光を上部に取り出す素子に
あっては、発光層の上部に設けるのが良い。発光を取り
出す方向に設出られた光劣化防止層は、発光素子の励起
光源層からの励起光が発光層から発光された可視光と同
時に出射されることを防止し低減する効果も合わせ持
つ。
【0043】酸化珪素等に代表される光透過性を有する
無機物からなる光透過性無機物層を有機化合物発光層に
被着させても、発光素子の特性の劣化を防止するに効果
がある。この様な光透過性無機物層は例えば、水とか酸
素等が有機化合物発光層の表面に直接、吸着するのを防
止できるため、素子の寿命特性などの特性を向上させ
る。
【0044】
【作用】励起光源から発光せられる光を有機化合物層或
いは有機化合物を含む封止用樹脂に入射させることによ
り、光励起により有機化合物を発光させる。この有機化
合物から発光される光の波長は励起光源層から発せられ
る光の波長よりも長いものとなる。
【0045】
【実施例】
(実施例1)本発明を実施例を基に詳細に説明する。図
3は本発明に係わる発光素子の断面模式図である。無機
化合物からなる積層構造を形成するための基板(10
1)には硫黄(元素記号:S)が添加されたn形GaP
単結晶を用いた。基板(101)の面方位は<111>
±2゜とした。基板(101)の形状は直径約50mm
の円形で厚さは約200μmであった。
【0046】基板(101)の表面(101−1)上に
0.2μmの膜厚のn形のAlN層を下部クラッド層
(103)として堆積した。下部クラッド層(103)
のキャリア濃度は約1×1018cm-3とした。下部クラ
ッド層(103)上にはp形のGaNからなる励起光源
層(104)を設けた。励起光源層(104)のキャリ
ア濃度は約9×1016cm-3とし、膜厚は約0.1μm
とした。励起光源層(104)上には、p形のAl0.2
Ga0.8 N層を上部クラッド層(105)として堆積し
た。同層(105)の膜厚は0.2μmとし、キャリア
濃度は2×1018cm-3とした。積層構造の各構成層
((102)から(105))は、常圧のMOCVD法
により成長させた。成長温度は構成層に依らず750℃
とした。
【0047】上部クラッド層(105)上に、青色の発
光を呈する有機化合物であるクマリン1と可視光領域で
光透過性な高分子重合体、ポリメチルメタクリル酸メチ
ルエステルとを溶媒クロロホルムに重量比1:5:12
5となるように溶解し、この溶液を室温に於いて市販の
マイクロディスペンサーを利用して定量、滴下しスピン
コート法により塗布した。滴化後、温度を室温から固化
温度である70℃に昇温し、溶媒を揮散させると共に固
化させた。使用する有機化合物は本実施例の化合物に限
定されず、所望する発色に応じて溶質を変え、また溶質
に応じて溶媒を選択しても良いのは勿論である。固化は
酸化を防止するため、不活性ガスである窒素気流中で約
200Torrの減圧下で実施した。固化をある程度の
減圧環境下で実施すると溶液に溶解している気体成分の
発散が促進されるため、従って、良く脱泡された気泡の
少ない緻密な絶縁性の有機化合物層(106)が得られ
た。有機化合物層(106)の膜厚は約0.3μmであ
った。
【0048】固化させた有機化合物層(106)の表面
を一旦、通常のプラズマCVD堆積法により二酸化珪素
(SiO2 )膜を被膜した。その後、素子形状のパター
ニングに一般的に使用されるフォトレジスト剤を塗布し
た。その後、従来からの一般的な露光工程を経て、上部
クラッド層(105)上に設ける電極(107)の形状
にパターニングした。パターニング後、電極(107)
を形成する領域に於いて露出したSiO2 膜及び有機化
合物層(106)を有機溶剤によりエッチングし除去
し、上部クラッド層(105)の表面を露呈させた。本
実施例では電極形状を円形としたため、有機化合物層
(106)が除去された領域は電極形状と相似の円形領
域となった。
【0049】パターニング終了後、電極材料とする純度
99.999%の高純度アルミニウムを残存するフォト
レジスト上及びパターニングにより露出した上部クラッ
ド層(105)の一部表面上に通常の真空蒸着法により
蒸着した。蒸着後、フォトレジスト剤をレジスト剥離用
の薬品を用い剥離した。これにより、レジスト剤上に被
着したAl膜は、レジスト剤が上部クラッド層(10
5)から剥離されるに伴って同時に除去された。電極
(107)の形成領域に於いては、蒸着されたAl膜の
直下にはフォトレジスト剤が存在しないため、リフトオ
フ法では除去されず、電極の形成領域に円形に残存し
た。基板(101)の裏面側(101−2)には高純度
Alからなるいわゆる『べた』電極(108)を設け
た。然る後に基板(101)上の全面に形成された素子
を個別に分割してチップ化し図3に示す様な断面構造を
有する無機化合物から構成される励起光源層と有機色素
化合物を含む層とを備えた発光素子を形成した。
【0050】電極((107)及び(108))間に2
0mAの駆動用電流を流通させ、有機化合物層(10
6)を光励起により発光させた。得られた発光波長は約
430nm近傍の青色発光であった。発光スペクトルの
半値幅は約70nmで、従来のGax In1-x N混晶を
発光層とした青色LEDのそれに比較すれば顕著に単色
化されていた。
【0051】(実施例2)先ず図3に示すような発光素
子チップを得た。n形のGaP単結晶を基板(101)
として使用した。基板(101)上にn形のAl0.8
0.2 Nからなる下部クラッド層(103)、p形励起
光源層(104)及びp形のAl0.7 Ga0.3 Nからな
る上部クラッド層(105)を順次、堆積した。励起光
源層(104)は理論上、波長が約253nmの紫外線
を発するp形Al0.6 Ga0.4 Nから構成した。各層の
キャリア濃度及び膜厚は実施例1に記載の数値とほぼ同
一とした。
【0052】Al0.7 Ga0.3 N上部クラッド層(10
5)上には、緑色の発光をもたらすクマリン153を含
む有機化合物層(106)を堆積した。有機化合物(1
06)は、電極(107)の表面を被覆せずに、その周
囲の上部クラッド層(105)の表面上を覆う様に設け
た。有機化合物層(106)は基板(101)の裏側
(101−2)には設けなかった。基板上には発光素子
が多数配列されているので、これを裁断して各発光素子
チップとした。
【0053】次いでこの発光素子チップを用いて樹脂で
封止した発光素子をつくった。その断面構造を図4に示
す。発光素子チップ(112)を市販のステム(11
3)にマウントし、基板(101)の裏面側(101−
2)の電極(108)とステム(113)を導通させ
た。次に電極(107)をボンデングワイヤ(114)
によりリード端子部(115−1)に結線した。
【0054】電気結線後、ステム(113)にマウント
した発光素子チップ(112)を本発明に係わる有機化
合物である一つであるクマリン153を含有した半導体
素子封止用のエポキシ樹脂(116)で外囲し封止し
た。エポキシ樹脂(116)には上記の緑色を発光する
有機化合物を重量にして約2重量%含有させた。封止に
際しては、温度が約190℃に保持された金型の中に流
し込まれたエポキシ樹脂内に発光素子チップ(112)
を含浸させた。冷却後、エポキシ樹脂(116)で周囲
を成形し、有機化合物を含む物質で外囲された発光素子
を形成した。図4に本実施例に係わる封止された状態に
於ける構造断面図を示す。
【0055】リード端子(115−1及び115−2)
を通じての駆動用の電流を流通させ、波長が535nm
近傍の緑色の発光を示す発光素子が得られた。半値幅は
約40nmであった。また、従来の白色EL素子に色フ
ィルターを取り付けることによって得られる同色よりも
発光強度は優れていた。
【0056】
【発明の効果】光励起され発光を呈する有機化合物から
なる或いはそれを含む層を備えることにより、従来の如
く成長に困難さが伴う多元混晶ではなく、結晶成長が容
易な2元化合物が利用できる。可視光を発する発光素子
を得るにあたり、安定的に成長が果たせる結晶成長層を
光励起元源の発生層として利用できることにより、発光
素子を安定して提供することが可能となり、また、発光
素子の低価格化を可能にする経済的効果も生まれる。更
に、従来のLEDにあっては、特定の波長の発光を得る
には、その都度その波長に対応した結晶層なり組成が特
定された混晶層を発光層とする必要があった。即ち、発
光波長と発光層の材質、組成とは1:1の対応が必要と
されていたが、本発明に依れば、発光の励起源として、
中心波長が400nm以下の近紫外線若しくは紫外線を
発する材料でさえあれば所望する発光波長に依って発光
層の材料を変更する必要もなく、単に同一の光励起源を
もってしてでも有機色素化合物の種類を変えることによ
り所望の発光或いは多色の発光が得られる。しかも、従
来の如く白色EL素子と色フィルターの組合せによる多
色発光素子とは異なり、有機化合物が光エネルギーの大
きい紫外線による光励起に基づいて発光するため、より
強度的に優れる発光素子がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる発光素子の一例を示す断面模式
図である。
【図2】図1に示す発光素子の平面模式図である。
【図3】実施例1に記載の本発明に係わる発光素子の断
面構造を示す模式図である。
【図4】実施例2に記載の本発明に係わる発光素子の断
面模式図である。
【図5】従来の有機EL素子の構造の一例を示す断面模
式図である。
【符号の説明】
101 基板 101−1 基板表面 101−2 基板裏面 102 緩衝層 103 下部クラッド層 104 励起光源層 105 上部クラッド層 106 有機化合物の発光層 107 電極 108 電極 110 電子注入層 111 正孔(ホール)注入層 112 チップ 113 ステム 114 ボンデイングワイヤ 115 リード端子 116 有機色素化合物を含有させたエポキシ樹脂 117 透明電極
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる発光素子の一例を示す断面模式
図である。
【図2】図1に示す発光素子の平面模式図である。
【図3】実施例1に記載の本発明に係わる発光素子の断
面構造を示す模式図である。
【図4】実施例2に記載の本発明に係わる発光素子の断
面模式図である。
【図5】従来の有機EL素子の構造の一例を示す断面模
式図である。
【図6】青色したDの従来構造の模式図である。
【符号の説明】 101 基板 101−1 基板表面 101−2 基板裏面 102 緩衝層 103 下部クラッド層 104 励起光源層 105 上部クラッド層 106 有機化合物の発光層 107 電極 108 電極 110 電子注入層 111 正孔(ホール)注入層 112 チップ 113 ステム 114 ボンデイングワイヤ 115 リード端子 116 有機色素化合物を含有させたエポキシ樹脂 117 透明電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光励起発光を呈する有機化合物からなる
    若しくは光励起発光を呈する有機化合物を含んでなる発
    光層と該有機化合物を光励起により発光させるための無
    機化合物半導体を発光素子とする励起光源層とを備えて
    なる発光素子。
  2. 【請求項2】 励起光源層の上方、下方若しくは側面の
    少なくともいずれかに発生層を備えてなる請求項1に記
    載の発光素子。
  3. 【請求項3】 光励起発光を呈する有機化合物からなる
    若しくは光励起発光を呈する有機化合物を含んでなる化
    合物と、該有機化合物を光励起により発光させるための
    励起光源層とを備え、該励起光源層を前記有機化合物若
    しくはそれを含む化合物で封止してなる発光素子。
  4. 【請求項4】 光励起発光を呈する有機化合物を光励起
    により発光させるための励起光源層は、中心が400n
    m以下である波長の発光をもたらす材料から構成されて
    いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    発光素子。
  5. 【請求項5】 中心が400nm以下である波長の発光
    をもたらす励起光源層はAlN、GaN若しくはそれら
    とInNとの混晶からなることを特徴とする請求項4に
    記載の発光素子。
  6. 【請求項6】 光励起発光を呈する有機化合物は、中心
    が400nm以下である波長の光によって光励起発光現
    象を呈することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の発光素子。
JP10811795A 1995-04-07 1995-04-07 発光素子 Pending JPH08279627A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10811795A JPH08279627A (ja) 1995-04-07 1995-04-07 発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10811795A JPH08279627A (ja) 1995-04-07 1995-04-07 発光素子

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003416169A Division JP4296921B2 (ja) 2003-12-15 2003-12-15 発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08279627A true JPH08279627A (ja) 1996-10-22

Family

ID=14476352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10811795A Pending JPH08279627A (ja) 1995-04-07 1995-04-07 発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08279627A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10163526A (ja) * 1996-11-27 1998-06-19 Matsushita Electron Corp 発光素子及び発光ダイオード
EP0855751A2 (en) * 1997-01-24 1998-07-29 International Business Machines Corporation Light emitting diode
JPH10321906A (ja) * 1997-05-16 1998-12-04 Seiwa Electric Mfg Co Ltd 発光ダイオード及びそれを用いた表示装置
JPH1187784A (ja) * 1997-07-07 1999-03-30 Asahi Rubber:Kk 発光ダイオード用透光性被覆材及び蛍光カラー光源
JP2000031531A (ja) * 1998-07-14 2000-01-28 Toshiba Electronic Engineering Corp 発光装置
JP2000036625A (ja) * 1999-07-19 2000-02-02 Sanken Electric Co Ltd 半導体発光装置
US6998789B2 (en) 2003-06-13 2006-02-14 Seiko Epson Corporation Organic electroluminescent device, method for driving the same, illumination device, and electronic apparatus
KR100600373B1 (ko) * 2005-06-16 2006-07-18 엘지전자 주식회사 백색 발광 소자 및 이의 제조 방법
JP2007053408A (ja) * 2006-11-20 2007-03-01 Kasei Optonix Co Ltd 蓄積性発光素子
JP2007180583A (ja) * 2007-03-16 2007-07-12 Toshiba Corp 画像表示装置及び発光装置
JP2007251193A (ja) * 2007-05-11 2007-09-27 Seiwa Electric Mfg Co Ltd 発光ダイオード及びそれを用いた表示装置
JP2008090298A (ja) * 2007-09-10 2008-04-17 Toshiba Corp 発光装置
JP2008205511A (ja) * 2001-10-12 2008-09-04 Nichia Chem Ind Ltd 発光装置及びその製造方法
US7687822B2 (en) 2003-08-26 2010-03-30 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Light emitting apparatus
US8030665B2 (en) 2002-07-08 2011-10-04 Nichia Corporation Nitride semiconductor device comprising bonded substrate and fabrication method of the same
US9196800B2 (en) 1996-06-26 2015-11-24 Osram Gmbh Light-radiating semiconductor component with a luminescence conversion element

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9196800B2 (en) 1996-06-26 2015-11-24 Osram Gmbh Light-radiating semiconductor component with a luminescence conversion element
JPH10163526A (ja) * 1996-11-27 1998-06-19 Matsushita Electron Corp 発光素子及び発光ダイオード
EP0855751A2 (en) * 1997-01-24 1998-07-29 International Business Machines Corporation Light emitting diode
EP0855751A3 (en) * 1997-01-24 1999-05-12 International Business Machines Corporation Light emitting diode
JPH10321906A (ja) * 1997-05-16 1998-12-04 Seiwa Electric Mfg Co Ltd 発光ダイオード及びそれを用いた表示装置
JP2008211262A (ja) * 1997-07-07 2008-09-11 Asahi Rubber:Kk 発光ダイオード用透光性被覆材及び蛍光カラー光源
JPH1187784A (ja) * 1997-07-07 1999-03-30 Asahi Rubber:Kk 発光ダイオード用透光性被覆材及び蛍光カラー光源
JP2008270831A (ja) * 1997-07-07 2008-11-06 Asahi Rubber:Kk 発光ダイオード光源の製造方法及び該製造方法により得られた発光ダイオード光源
JP2008252119A (ja) * 1997-07-07 2008-10-16 Asahi Rubber:Kk 発光ダイオード用透光性被覆材及び蛍光カラー光源
JP2000031531A (ja) * 1998-07-14 2000-01-28 Toshiba Electronic Engineering Corp 発光装置
JP2000036625A (ja) * 1999-07-19 2000-02-02 Sanken Electric Co Ltd 半導体発光装置
JP2008205511A (ja) * 2001-10-12 2008-09-04 Nichia Chem Ind Ltd 発光装置及びその製造方法
US8030665B2 (en) 2002-07-08 2011-10-04 Nichia Corporation Nitride semiconductor device comprising bonded substrate and fabrication method of the same
US6998789B2 (en) 2003-06-13 2006-02-14 Seiko Epson Corporation Organic electroluminescent device, method for driving the same, illumination device, and electronic apparatus
US7687822B2 (en) 2003-08-26 2010-03-30 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Light emitting apparatus
KR100600373B1 (ko) * 2005-06-16 2006-07-18 엘지전자 주식회사 백색 발광 소자 및 이의 제조 방법
JP2007053408A (ja) * 2006-11-20 2007-03-01 Kasei Optonix Co Ltd 蓄積性発光素子
JP2007180583A (ja) * 2007-03-16 2007-07-12 Toshiba Corp 画像表示装置及び発光装置
JP2007251193A (ja) * 2007-05-11 2007-09-27 Seiwa Electric Mfg Co Ltd 発光ダイオード及びそれを用いた表示装置
JP2008090298A (ja) * 2007-09-10 2008-04-17 Toshiba Corp 発光装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6697033B2 (ja) ナノ構造蛍光体を有する発光装置
US6744196B1 (en) Thin film LED
US7691650B2 (en) Thin film light emitting diode
JP4205075B2 (ja) ナノワイヤー発光素子及びその製造方法
JPH08279627A (ja) 発光素子
US6828599B2 (en) Semiconductor light-emitting diode
KR20010029991A (ko) 발광 소자, 발광 소자의 제작 방법, 및 발광 소자를사용한 발광 장치와 표시부
KR100601949B1 (ko) 나노와이어 발광소자
Huang et al. High-stability quantum dot-converted 3-in-1 full-color mini-light-emitting diodes passivated with low-temperature atomic layer deposition
KR20050077247A (ko) 백색광 발광용 디바이스 및 제조 방법
JP4296921B2 (ja) 発光素子
KR100433989B1 (ko) 반도체 엘이디 소자 및 그 제조방법
Wu et al. Quantum-dot-based full-color micro-LED displays
CN210837761U (zh) 一种显示面板及显示装置
JP4851648B2 (ja) 混色の電磁放射を発生させる半導体コンポーネント
JP2008270669A (ja) 発光素子
CN115440858B (zh) 一种用于全彩显示的RGB混合集成Micro-LED芯片阵列的制备方法
KR20120011198A (ko) 발광 소자, 발광 소자 패키지 및 발광 소자의 제조방법
US11316077B2 (en) Radiation-emitting device
KR20010084332A (ko) 질화물 반도체 백색 발광소자
JP2023551649A (ja) モノリシックrgbアレイの作製プロセス
KR20110070548A (ko) 광 효율이 우수한 반도체 발광 소자 및 그 제조 방법
JP2002280181A (ja) 発光素子

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031211

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040217