JPH08279180A - 光ディスク - Google Patents

光ディスク

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JPH08279180A
JPH08279180A JP7100219A JP10021995A JPH08279180A JP H08279180 A JPH08279180 A JP H08279180A JP 7100219 A JP7100219 A JP 7100219A JP 10021995 A JP10021995 A JP 10021995A JP H08279180 A JPH08279180 A JP H08279180A
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JP
Japan
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film
optical disk
reflectance
layer
temperature
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Application number
JP7100219A
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English (en)
Inventor
Osamu Akutsu
収 圷
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Victor Company of Japan Ltd
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】再生補助層として用いるVO2 膜の反射率差を
大きくした場合と同様な効果が得られ、従来よりも短波
長のレーザ光であっても反射率が変化する構造の光ディ
スクを提供する。 【構成】光ディスク10は、予め情報ピットが形成され
た透明基板1の上に、下地層2、VO2 膜3、誘電体層
4、反射層5、保護膜6がこの順に積層されている。誘
電体層4は、低屈折率の透明誘電体材料で構成されてお
り、用いる材料としては、屈折率実数部nが1.3〜
1.4、虚数部kはほぼ0の例えばMgF2、CaF2
が使用される。この誘電体層4を設けることでVO2
3の高温領域と低温領域との反射率を全体的に下げるこ
とができて反射率差を大きくした場合と同様な効果が得
られるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的に情報の再生が
可能な光ディスクに関し、特に高密度型光ディスクに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年光ディスクの大容量化が検討され、
種々の提案が成されている。光ディスクの高密度記録に
於いては、記録時のレーザ光パワーを制御することによ
って、光スポット径よりも小さな記録マークを形成する
ことが可能であるが、その限界は、媒体の結晶粒径に依
存する分解能や、媒体の光強度に関する閾値、媒体の応
答速度等によって左右される。しかし、記録できる記録
マークの最小限界値は、再生可能な記録マークの最小限
界値に比較してはるかに小さい。
【0003】これは、光ディスクの再生時に、再生用レ
ーザ光(以下、再生用レーザ光を単に再生光とも記す)
をレンズで集光する時の光スポット径が光学理論で決定
される限界値を持つことに起因しており、従って光ディ
スクの高密度化は、いかに再生レーザ光のスポット径を
小さくするかにかかっている。再生可能な記録マーク
(ピット)の繰り返し波長の限界値は、再生用レーザ光
の波長をλ、前記レーザ光を集光する集光レンズの開口
数をNAとすると、λ/2NA で与えられる。
【0004】よって、より短い記録波長の記録マークを
識別して再生するためには、波長λの短い光で再生する
か開口数NAが大きなレンズを用いれば良いことが分か
る。しかし再生に用いる半導体レーザの短波長化は技術
的に困難が多く、また開口数NAの大きなレンズを光デ
ィスク装置に組み込むことも容易ではない。これらの方
法とは別に、再生時に光スポット径を実効的に小さくす
る方法が、「固体物理」VOL.26 NO.6 1991 P393〜P398
に記載されている。これは、レーザ光が集光されて光磁
気ディスク媒体に照射される時に、この光スポット内に
低温領域と高温領域とが発生することを利用するもの
で、前記高温部或いは低温部のみが読みだし可能になる
とするものである。そして結果的に光スポットの直径を
実質的に縮小する効果が得られるとされている。
【0005】しかしこの技術は、光磁気方式による書き
換え可能型光ディスクには適用出来るが、再生専用型光
ディスク(以下、再生専用型光ディスクをROM型光デ
ィスクとも記す)には適用できないと言う問題がある。
これを解決するために、金属−非金属転移を示す物質か
らなる金属−非金属転移層を、あらかじめ情報が周回状
に形成された透明基板上に設けて再生光スポットの直径
を実質的に縮小するようにした光ディスクの発明が本出
願人から出願されている(特開平6−223409
号)。この先願の光ディスクは、図2に示すような構成
となっており、この金属−非金属転移を示す物質として
はVO2 が用いられている。
【0006】図2は、先願の光ディスクの構成を示す断
面図である。図2に示すROM型(読みだし専用型)光
ディスク40は、透明基板1と、金属ー非金属転移層3
と、反射層5と、保護層6とをこの順に積層した構成の
光ディスクである。前記金属ー非金属転移層3として
は、例えば二酸化バナジウムVO2 からなる薄膜を用
い、前記反射層5として膜厚200nmのAl薄膜を用
いる。
【0007】実験で得られた前記VO2 薄膜の特性例を
図4に示す。図4は、VO2 薄膜に於ける温度と反射率
の関係を示す図である。図4に示すように、昇温時の相
転移点Tchが略65℃、降温時の相転移点Tclが略
55℃の金属−非金属転移を示し、反射率は低温相で1
6%、高温相で3.5%で可逆的に変化する。
【0008】また、前記光ディスク40の基板側から波
長780nmのレーザ光を照射し、前記光ディスク40
のランド部(ミラー部)からの反射光を検出して光ディ
スクの反射率を測定した場合、VO2 膜の膜厚を変えた
時の低温相と高温相に於ける夫々の反射率は、図5に示
す通りとなる。図5は、VO2 膜の膜厚と反射率との関
係を示す図である。図5に於いて、横軸はVO2 薄膜の
膜厚、縦軸はレーザ光を光ディスクの透明基板側から照
射した場合のミラー部の反射率を示す。また、実線で示
す曲線Aは周囲温度20℃で測定された低温相に於ける
特性を示し、点線で示す曲線Bは周囲温度100℃で測
定された高温相に於ける特性を示す。同図に示すよう
に、VO2 膜厚が50nmの時には、反射率が、低温相
で5%、高温相で42%となる。また、VO2 膜厚が1
30nmの時には、反射率が、低温相で20%、高温相
で3%となる。この反射率の差を利用して高密度ディス
クの再生を行ったところ隣接トラックの記録マークから
のクロストークや同一トラック内の符号間干渉が減少し
た。
【0009】次に、図2に示す光ディスクの再生方法に
ついて説明をする。図2に示すROM型光ディスクの再
生は、回転している光ディスクに再生用レーザ光(再生
光)が集光されて基板側から照射され、光ディスクから
の戻り光が検出される。そして前記戻り光を利用して、
レーザ光を光ディスクの所定位置にスポット状に照射す
るためのフォーカス制御とトラッキング制御がかけら
れ、微小な記録マーク(ピット)の読み出しが行われ
る。
【0010】光ディスク40のVO2 膜3に再生光が照
射されると、その光が吸収され温度が上昇する。レーザ
光スポットの光強度分布はガウス分布をとるため光ディ
スクが停止している場合にはレーザ光スポットの中心部
が光強度に応じて高温となる。しかし再生時には光ディ
スクが回転しているために、レーザ光スポットの周辺で
はトラック方向に温度分布が生じる。即ち光ディスクの
回転方向に関してレーザ光スポットの前方、即ち先に光
ビームが照射された方の温度より、レーザ光スポットの
後方、即ち後に光ビームが照射された方の温度が高くな
る。
【0011】そしてレーザ光スポットの前方の温度が相
転移点Tcより低くなり、後方の温度がTcより高くな
るようにレーザ光の出力が設定されると、レーザ光スポ
ット内の部分部分で屈折率の差が生じる。この結果図5
に示した如く、例えばVO2 の膜厚が130nm時のよ
うに相転移点Tcより高温で反射率Rが低下する場合に
は、レーザ光スポットの前方からの反射光のみが強くな
り、再生信号が得られる。この結果再生光スポットの直
径が縮小したのと実質的に同等の効果が得られる。また
例えばVO2 の膜厚が50nm時のように相転移点Tc
より高温で反射率Rが上昇する場合には、レーザ光スポ
ットの後方からの反射光のみが強くなり、再生信号が得
られる。この結果再生光スポットの直径が縮小したのと
実質的に同等の効果が得られる。このようにレーザ光ス
ポット内でのVO2 膜の反射率差を利用することで、隣
接するトラックの記録マークからのクロストークや同一
トラック内の符号間干渉を低減することが出来るのであ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、再生用レー
ザ光のスポット径を実質的に小さくさせる効果を得るた
めにはレーザ照射時に生じる低温領域と高温領域との反
射率差を大きくすることが必要である。しかしながら、
上記VO2 膜だけであれば比較的大きな反射率差が得ら
れるものの、実際に反射層や保護膜等を設けて光ディス
クの構造とすると大きな反射率差を得ることができず、
CN比が抑えられ、微小ピットの再生が困難であるとい
う問題があった。また、上記光ディスク20の反射率変
化は、780nm付近か或いはそれ以上の波長域のレーザ
光に対して確認されていたものであるが、780nmより
も短波長のレーザ光に対しては反射率変化が小さいとい
う問題があった。したがって、レーザ光照射部分の微小
化には限界があり、上記光ディスク40では将来のレー
ザ光源の短波長化には対応できないという問題がある。
【0013】そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて成
されたものであり、再生補助層として用いるVO2 膜の
反射率差を大きくした場合と同様な効果が得られ、従来
よりも短波長のレーザ光であっても反射率が変化する構
造の光ディスクを提供することを目的とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するための手段として、「少なくとも、透明基板と、
金属−非金属転移を示すバナジウム酸化物薄膜と、反射
膜とをこの順に設けた光ディスクにおいて、前記金属−
非金属転移を示すバナジウム酸化物薄膜と前記反射膜と
の間に低屈折率の誘電体層を設けたことを特徴とする光
ディスク」を提供するものである。
【0015】
【実施例】本発明の光ディスクは、透明基板と反射層の
間に、温度変化に応じて金属−非金属転移を起こすバナ
ジウム酸化物薄膜物質からなる層を設けた光ディスクで
あって、再生時には、光ディスク上に照射された再生用
レーザ光(再生光)の光スポット内で生じる温度分布に
伴う光学特性の変化を利用し、光の回折限界以下の微小
な記録マークを読み出せるようにしたものである。従っ
てこの光ディスクは、特に高密度型の光ディスクに適合
するものである。まず、本発明の光ディスクで用いる金
属−非金属転移を示す物質について述べる。
【0016】金属−非金属転移を示す物質とは、その物
質の温度を変化させた時に物質の性質が金属から非金属
に又はその逆に転移するものを言う。前記金属−非金属
転移は一般にモット(Mott)転移として知られてい
る。また前記非金属とは、半導体及び絶縁体を指す。前
記金属−非金属転移に伴い、物質の電気的特性や光学的
特性が大きく変化するが、本発明の光ディスクでは、実
数部n及び虚数部kで示される複素屈折率(n−ik)
の変化に伴う反射率R或いは光の位相の変化を利用して
再生が行われる。
【0017】金属−非金属転移を示す物質としては、例
えば、VO2 、VO、V2 3 、Ti2 3 等の結晶性
の薄膜があるが、本発明の光ディスクでは転移温度Tc
が室温より高いVO2 を採用している。このVO2 薄膜
は、前記転移温度Tcより低温側では半導体的な性質を
有し高温側では金属的な性質を有するが、この性質の変
化は温度変化と共に可逆的に、即ち昇温時にも降温時に
も起こる。
【0018】以下、本発明の光ディスクについて説明す
る。図1は、本発明の光ディスクの一実施例の構成を示
す断面図である。図1に於いて、ROM型光ディスク1
0は、予め情報ピットが形成された上記透明基板1の上
に、下地層2、上記バナジウム酸化物薄膜層3、誘電体
層4、上記反射層5、上記保護膜6がこの順に積層され
ている。情報ピット1Aは、基板1上に同心円状或いは
螺旋状に設けられて情報トラックが形成されている。
【0019】上記基板1としては、通常の光ディスクに
用いられている一般的な透明基板材料、例えばポリカー
ボネート、アクリル、エポキシ、ポリオレフィン等のプ
ラスチックや、ガラス等から選択して使用される。この
基板上には予め情報が凹凸状のピットとして周回状に形
成されているピット部1Aと、ピットのないランド部
(ミラー部)1Bとが設けられている。前記ピット1A
はドライエッチング法、フォトポリマ−法、射出成形法
等によって製造される。
【0020】上記下地層2は、バナジウム(V)、タン
タル(Ta)、チタン(Ti)の内のいずれか1つで構
成され、その膜厚は0〜20nmであり、基板を通して
再生光を入射する場合には、入射光量が減衰しないよう
な膜厚にしてある。また、下地層2の膜厚が薄すぎると
その製造時に酸素雰囲気中での加熱により下地層2が全
て酸化されてしまい、その後のVO2 形成を促す効果が
なくなるため、下地層2の膜厚を適宜設定するようにす
る。
【0021】ここで、バナジウムで下地層2を構成する
場合には、バナジウムとVO2 との間の格子定数の差を
小さくしてVO2 膜3の表面性を向上させるためにV
(バナジウム)下地層の厚さ方向に酸素の含有量が異な
るVOx (x=0〜2)層をV下地層上に設けるように
する。このVOx 層は、バナジウム下地層2に近いとこ
ろほど酸素の含有比率が0に近く、VO2 膜3に近いと
ころほど酸素の含有比率が2に近くなるようにする。ま
た、タンタル(Ta)或いはチタン(Ti)で下地層2
を構成した場合、その後のVO2 積層時にこの下地層2
が形成された基板は、加熱され、更に酸素が混入された
アルゴン(Ar)ガス中にさらされるので、厳密には、
下地層2の表面に酸化層が形成されていることになる。
この下地層2は、VO2 の結晶成長を促進させると共
に、VO2 薄膜の表面平滑性を向上させる(バナジウム
下地層の場合はVOx 膜を設けることによりVO2 薄膜
の表面平滑性が向上される)ために設けられるものであ
る。
【0022】また、上記バナジウム酸化物薄膜層3は、
温度変化により金属−非金属転移を示し、転移温度Tc
が室温より高い上記VO2 (二酸化バナジウム)を使用
している。このVO2 膜3の光学的特性は、上述の従来
例の光ディスク40で使用されているVO2 膜と同様で
あり、温度と反射率との関係は図4に示すようになって
おり、膜厚と反射率との関係は図5に示すようになって
いる。
【0023】また、上記誘電体層4は、低屈折率の透明
誘電体材料で構成されており、用いる材料としては、複
素屈折率の実数部nが1.3〜1.4、虚数部kはほぼ
0であるものが望ましく、MgF2 、CaF2 等、上記
複素屈折率を満足しながら薄膜成形できるものが使用さ
れる。また、この誘電体層4は、使用するレーザ光波長
に対して膜厚を最適にして構成することで、VO2 膜3
の高温領域と低温領域との両反射率を全体的に下げる作
用がある。このように反射率が全体的に下がれば反射率
差が変わらなくても実質的に反射率差が大きくなった場
合と同様の効果が得られるのである。即ち、VO2 膜の
高温領域と低温領域との反射率差を大きくすることは難
しいのであるが、上記誘電体層4を設けることで反射率
差を大きくすることと同様な効果が得られるようになる
ため、反射層5や保護膜6を設けて光ディスク構造とし
ても再生時に高いCN比を得ることができ、レーザ光ス
ポットの集光限界以下の微小なピットを低エラーレート
で再生できるようになるのである。従来よりも短波長の
レーザ光に対しても反射率が大きく変化するようになる
ため、将来の光源の短波長化にも対応でき、情報をより
高密度に記録することも可能になる。
【0024】また、上記反射層5は、Au、Ag、C
u、Al、In、Pt、Cr、Ni等の金属の内の1種
又はこれらの合金が用いられ、真空蒸着やスパッタによ
り膜厚が10〜500nmの範囲、好ましくは膜厚が5
0〜200nmの範囲で形成される。
【0025】次に、本発明の光ディスクの製造方法につ
いて図1及び図6を基に説明する。上記光ディスクを製
造するには図3に示す直流マグネトロン装置20を用い
る。 ここで、図3に示す直流マグネトロン装置20
は、一対の陰極(ターゲット)と陽極(基板ホルダー)
からなる直流マグネトロン装置を示している。図3に於
いて、真空チャンバー21内に基板22とターゲット2
8を対向して配置し、この間に膜厚センサ24を設け
る。基板22にはガラス基板、ターゲット28にはバナ
ジウム、タンタル、チタンの内のいずれか1つを用い
る。膜厚センサー24は水晶式のもので水晶振動子の表
面に薄膜が付着すると共振周波数が変化することを利用
している。成膜の間、基板22は基板ホルダーに埋め込
んだヒーター23で300〜500℃に加熱する。
【0026】最初に真空チャンバー21は真空ポンプ2
7により予め3×10-4Pa以下に排気する。排気調節
弁30によって排気量を調節した後、Arガスを導入し
て所定の真空度にし、シャッター25を閉じたまま本ス
パッタに先立ちターゲット金属をスパッタする。これに
よってターゲット表面の酸化層を除去する。続いてシャ
ッター25を開け所定の膜厚になるまで上記下地層2を
所定の膜厚になるまで成膜する。なお、バナジウム下地
層の場合には、所定の膜厚に達したら真空チャンバー2
1内に酸素(O2 )を徐々に注入してVOx 膜を成膜さ
せ、所定の膜厚に達した時点で次に行う本スパッタと同
様のO2 分圧比にする。そして、下地層2が所定の膜厚
に達したらシャッター25を閉じ放電を止める。
【0027】ついでArとO2 の混合ガス中で反応性ス
パッタを行う。ターゲット表面の酸化状態が定常になる
までシャッター25を閉じて前スパッタをした後、シャ
ッター25を開け所定の膜厚までVO2 を成膜する。こ
のとき成膜速度を膜厚センサ24でモニターして一定の
速度になるように制御器29を通して直流電源26の投
入電力を、例えば電流で調節する。ここで、成膜速度が
速いとVO2 に対し酸化不足(バナジウム過剰)とな
り、逆に遅いと過剰に酸化する。バナジウムの酸化状態
は酸素分圧に敏感で、わずかな変動でも著しく変化す
る。また、酸素分圧と投入スパッタ電力とを固定しても
成膜速度は変動するためバナジウム酸化物の生成速度に
対応する成膜速度を直接モニターし、調節することが必
要である。
【0028】次に、基板22の加熱を止め、基板温度が
常温まで下がったら上記誘電体材料を真空蒸着或いは高
周波スパッタリグで所定膜厚まで成膜して上記誘電体層
4を形成する。そして、上記誘電体層4の上に反射層5
を所定の膜厚まで真空蒸着やスパッタリング等の方法に
より成膜し、この反射層5の上に紫外線硬化樹脂をスピ
ンコートして保護膜6を形成する。以上のようにして光
ディスク10を作製する。
【0029】<実験例>真空チャンバー21内の雰囲気
を3×10-4Paまで排気した後、アルゴンを導入し、
4.0×10-1Paとした。シャッター25を閉じたま
まスパッタリング電流0.5A、電圧360Vで5分間
スパッタリングを行ってターゲット金属表面の酸化物層
を除去した。次に、シャッター25を開け、バナジウム
下地層2を10nm成膜した後、酸素を0〜1.4-2Paの
範囲の酸素分圧になるように4段階で注入しVOx 膜を
合計5nmまで成膜した後、シャッター25を閉じ、放電
を止めた。その後、系内を4×10-4Paまで排気して
酸素とアルゴンを導入し、全圧力4.2×10-1Pa、
酸素分圧1.4×10-2Paとし、スパッタリング電流
0.1A、電圧410Vで30分間プレスパッタリング
を行った後、表面温度360℃のガラス基板22上へ本
スパッタリングを成膜速度を制御して行った。次に、低
屈折率の誘電体としてMgF2 を真空蒸着で70nm成膜
して誘電体層4を形成し、この上にアルミニウムをスパ
ッタリングにより70nm成膜して反射層5を形成して光
ディスクとした。以上のように作製した光ディスクの基
板1側からの温度に対する反射率変化を波長650nmの
レーザ光を用いて測定したところ、急激な反射率変化が
68℃近傍で確認され、VO2 膜3の膜厚が70nmの時
に低温領域で25%、高温領域で5%であった。
【0030】<比較例>上記実験例の光ディスクのMg
2 による誘電体層4を形成せず、他の層構造は全く同
じにして光ディスクを作製した。この光ディスクの反射
率変化を上記実験例の光ディスクと同様に波長650nm
のレーザ光を用いて測定したところ、低温領域で50
%、高温領域で38%であった。
【0031】以上の結果からもわかるように、誘電体層
4を設けてもVO2 膜3の反射率特性は劣化せず、ま
た、誘電体層4を設けることで高温領域と低温領域との
両反射率を全体的に下げることができる。また、従来よ
りも短波長のレーザ光に対しても反射率変化を示すよう
になることもわかる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ディス
クによれば、少なくとも、透明基板と、金属−非金属転
移を示すバナジウム酸化物薄膜と、反射膜とをこの順に
設けた光ディスクにおいて、金属−非金属転移を示すバ
ナジウム酸化物薄膜と前記反射膜との間に低屈折率の誘
電体層を設けたので、バナジウム酸化物薄膜の光学的特
性を劣化させることなく高温領域と低温領域との両反射
率を全体的に下げることができ、実質的に反射率差を大
きくした場合と同様の効果が得られるようになる。この
ため、反射層等を設けて光ディスク構造としても再生時
に高いCN比を得ることができ、レーザ光スポットの集
光限界以下の微小なピットを低エラーレートで再生する
ことが可能になる。また、従来よりも短波長のレーザ光
に対しても反射率が大きく変化するようになり、将来の
光源の短波長化にも対応でき、情報をより高密度に記録
することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスクの一実施例の構成を示す断
面図である。
【図2】従来の光ディスクの構成の一例を示す断面図で
ある。
【図3】直流マグネトロン装置の一例を示す図である。
【図4】図1における光ディスクのVO2 膜の温度と反
射率との関係を示す図である。
【図5】図1における光ディスクのVO2 膜の膜厚と反
射率との関係を示す図である。
【符号の説明】
10、40 光ディスク 1 透明基板 2 下地層 3 バナジウム酸化物薄膜 4 誘電体層 5 反射層 6 保護層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、透明基板と、金属−非金属転
    移を示すバナジウム酸化物薄膜と、反射膜とをこの順に
    設けた光ディスクにおいて、 前記金属−非金属転移を示すバナジウム酸化物薄膜と前
    記反射膜との間に低屈折率の誘電体層を設けたことを特
    徴とする光ディスク。
JP7100219A 1995-03-31 1995-03-31 光ディスク Pending JPH08279180A (ja)

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