JPH0827446B2 - 量子井戸形光変調器およびその製造方法 - Google Patents

量子井戸形光変調器およびその製造方法

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JPH0827446B2 JP61031782A JP3178286A JPH0827446B2 JP H0827446 B2 JPH0827446 B2 JP H0827446B2 JP 61031782 A JP61031782 A JP 61031782A JP 3178286 A JP3178286 A JP 3178286A JP H0827446 B2 JPH0827446 B2 JP H0827446B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明上の利用分野] 本発明は、1.3〜1.6μmの波長領域の光を高速かつ低
電圧で変調する量子井戸構造を有する量子井戸形光変調
器およびその製造方法に関するものである。
[従来の技術] 光通信においては、通常、半導体レーザを駆動する注
入電流自身を、伝送したい情報の信号により変化させ
て、その情報を光の強弱の形に変えて伝える直接変調方
法を用いられている。この方法では、数Gb/S以上の高速
で長距離にわたり光ファイバを通して伝送する場合、レ
ーザ光のスペクトル幅が広がり、群遅延の広がりはほぼ
これによって決まってしまう。
このため、光ファイバの低損失領域である1.55μm帯
を用いた光通信など、さらに高速伝送や無中継長距離伝
送、あるいは光の性質を利用したコヒーレント光通信を
実現しようとすると、高性能の外部変調器が不可欠とさ
れる。
従来、かかる外部変調器として、LiNbO3のバルク結晶
が主として用いられており、これにより20GHzの高周波
変調も実現されている。しかし、この変調器には、時間
的に出力がドリフトするなど安定性に難点があった。
これに対し、GaAsやInPなどの化合物半導体結晶に
は、安定性に優れ、しかも他の光デバイスとのモノリシ
ック集積化を実現できる利点があり、その研究が進めら
れているが、高速変調特性にやや難点があった。
この欠点を克服するために、GaAs/AlGaAs系の量子井
戸構造を採用して上記バルク結晶よりも効率よく高速に
光変調を行うことがAppl.Phys.Lett.Vol.44,pp.16(198
4)において提案され、良好な結果が得られている。し
かし、この場合には光伝送に適した長波長帯1.3〜1.6μ
mでは動作できないという欠点があった。
この問題を解決するために、我々は先に特願昭60−13
933号において、第8図に示すような光変調器を提案し
た。
第8図において、1はn形InP結晶基板であり、その
上にn形InP層2を配置し、その上にIn0.53Ga0.47-xAlx
Asによる障壁層3(0<X≦0.47)と、In0.53Ga0.47-y
AlyAsによる量子井戸層4(0≦y<x)とから成る活
性層を複数層配置し、さらにその上にp形InP層5を介
してp形In0.53Ga0.47-zAlzAsによるクラッド層6(0
≦z≦y)を配置する。基板1にはn形電極7を配置
し、クラッド層6にはp形電極8を配置する。そして、
層6側からの入力光の強度を電極7と8との間に印加す
る信号電圧に応じて変調して基板1側から出力光として
取り出す。
この例では、電界吸収効果を用い、特に量子井戸層を
積層することにより、光吸収係数がある波長、すなわち
吸収端において急峻に変化する光吸収スペクトルを実現
し、そのスペクトルが印加電圧に応じて変化することを
利用して光変調を行う。
ここで、電界吸収効果の概略について述べると、半導
体バルク内に強い電界が存在する場合、禁制帯の中に電
子(あるいは正孔)を見い出す確率が増大することは既
に1958年にフランツとケルディシュの両名により報告さ
れている(フランツ・ケルディシュ効果)。この効果を
利用した光変調器はGaAsの場合について、1974年米国応
用物理学会会議Appl.Phys.Lett.Vol.25,pp.671−673に
G.E.Stillmanらによって報告されている。
この光変調器の原理は、第10図に示すように電界を印
加すると半導体の光吸収係数がある程度の波長以下の波
長に対して増加することを利用しており、試料に吸収端
付近の波長より少し長い波長の光を入射すると電界印加
に伴って吸収係数が増加するため、試料透過光が減少
し、光の強度変調が可能となる。
この効果は、量子井戸構造ではより顕著に(通常3〜
10倍)生ずることがGaAs/AlGaAs系の量子井戸において
報告され(Appl.Phys.Lett.Vol.44,p.16 1984年,T.H.Wo
odら)、その理論的説明がD.A.B.MillerらによりPhys.R
ev.Lett.Vol.53,No22,P.473(1984)に発表されてい
る。すなわち、電子および正孔が量子井戸に閉じ込めら
れているため、外部電界により互いに逆向きに動いてエ
ネルギーは少し減少するものの(吸収端は長波長側に入
力しずれる)、井戸から抜け出ることができず、電子と
正孔は互いに引き合う状態(励起子,エキシトンと呼ば
れる)を保ち続け、通常のバルクでは分離してしまう電
界でもこの状態を保持するため、光吸収の急峻なピーク
は消えずに残っている。
従って、電界印加による吸収係数変化はバルク結晶に
比て量子井戸構造では大きく、第11図に示すようにな
る。これにより、量子井戸構造を用いて光変調器を構成
すれば、電圧は小さくて済み、素子長も短くでき、素子
容量を減らすことが可能であり、したがって高速応答化
が容易となることがわかる。この高速応答化について
は、電子通信学会技術報告会OQE85−76「長波長多重量
子井戸における光変調」に述べられているように、素子
のCR時定数で素子の応答速度が制限されているため、素
子面積を減らせば高速化できる効果がある。
このような構造の光変調器について種々の実験を行っ
た結果、この光変調器では、変調深さ(光の消光比、す
なわちON・OFF比)を十分とれないという問題につき当
った。その原因を調べた結果、第8図の例のように光を
量子井戸層4に垂直に入れる方法では、吸収長が短くて
大部分の光は吸収を受けずにそのまま通り抜けてしまう
ことがわかった。たとえ、量子井戸層の結晶を厚くして
も現状の結晶成長の技術ではその厚みが高々1μmであ
り、光の吸収長が短く、光の消光比は小さい。
このような問題点を解決するためには、第9図に示す
ような構造が考えられる。ここで、InP結晶基板11上にI
nAlAs第1クラッド層12と、障壁層13と、量子井戸層14
と、InAlAs第2クラッド層15と、InGaAs層16と電極18と
をメサ状に形成する。基板の他面に配置した電極17と電
極18との間に信号電圧を印加すると共に、入力光をメサ
構造の一方の端面においてクラッド層12と15との間に導
入し、その入力光の強さを信号電圧によって変調し、そ
の変調出力光をメサ構造の他方の端面においてクラッド
層12と15との間から取り出す。
この場合には入力光は量子井戸層14に平行に入射する
ので、吸収長を長くすることができる。ところが、この
場合には、実際に実験した結果、光の導波に問題があ
り、効率よく光が導波せず、しかも、InP基板1が光に
対して透明なため、光がInP基板1を直接通り抜けてし
まうことがわかった。
光がメサ型導波路層を導波される場合、光の拡がりを
少なくするためには、横モード単一の条件から導波路の
幅を数μmと狭くする必要があるが、導波路幅が狭い
と、その側壁の凹凸が光の散乱の原因ともなる。この凹
凸は、加工工程上から最大200Å程度存在し、このため
の光の導波特性は劣化してしまう。
すなわち、第9図のように光を量子井戸層に平行に入
射させる場合には、光導波路も必要とするが、ハイメサ
形では、メサ側壁の凹凸によって散乱損失が大きくな
り、しかもまた、InP基板は透明なため、入射光の一部
は変調を受けずに直接素子を素通りして光の消光比を低
下させていた。
これに対して、光の導波路層を基板結晶内に埋め込ん
で、異種物質間の屈折率差を空気に比べて減らせば、こ
の凹凸に対する精度を緩和することが可能であるが、こ
の場合には、この埋め込み構造の作製工程が複雑とな
り、その割りには、凹凸そのものに起因する散乱を全く
なくすことができない。
一方、光の導波路の上に異なる屈折率の層を装荷して
光の導波する部分の屈折率を外部より電界を加えて制御
する方法は、方向性結合器として広く利用されている
が、これを第9図示の素子に適用するには、装荷部分を
作製する工程で量子井戸層14とその上に設けられるクラ
ッド層15との間でエッチングに対する選択性が必要とさ
れる。通常、InGaAs量子井戸層14およびInGaAs障壁層13
とInAlAs層15およびInGaAs層16とは選択エッチが不可能
であり、装荷型の導波路形成は困難であった。
他方、通常の方向性結合器に用いられるバルク結晶で
は電界による屈折率変化は小さく、方向性結合器として
機能させるには数mmもの長さが必要とされることが種々
の研究機関で発表されている(例えば電子通信学会光量
エレ研究会資料OQE83−32(1983),84−50,84−51(198
4)等)。
素子の長さが長いと熱膨張等の影響を受けやすく、か
つこの長さにわたって均一な寸法および性能をもつ素子
を作製することはプロセス工程上および結晶成長上困難
であった。しかもまた電圧を通常は十数Vのように大き
く加える必要があり、高速で高電圧を発生できるパルス
発生器が少なく、このことも実用上問題であった。
[発明が解決しようとする問題点] そこで、本発明の目的は、このような問題点を解決し
て、良好な光導波機能をもち効率よい光変調が可能な量
子井戸形光変調器を提供することにある。
本発明の他の目的は、上述の問題点を解決して、良好
な光導波機能をもち効率よい光変調が可能な量子井戸形
光変調器を選択エッチングにより適切に製造する方法を
提供することにある。
[問題点を解決するための手段] このような目的を達成する本発明の光変調器は、第1
の導電型のInP基板上に、少なくとも、 このInP基板上に配置され、第1の導電型を有し、該I
nP基板に格子整合するIn1-x1-yGax1AlylAs(ただし0≦
y1)からなる第1クラッド層と、 この第1クラッド層上に配置され、In1-x2-y2Gax2Al
y2As(ただしy2<y3)よりなる量子井戸層とIn1-x3-y3G
ax3Aly3As(ただしy1≦y3)よりなる障壁層とが順次に
かつ交互に積層された多重量子井戸構造の形態をとる活
性層と、 この活性上層上に配置されたInP層と、 このInP層上に少なくとも1つのメサ形状に配置さ
れ、第2の導電型を有し、In1-x4-y4Gax4Aly4As(ただ
しy4≦y3)からなる第2のクラッド層と、 この第2のクラッド層上に配置され、第2の導電型を
有し、In1-x5Gax5Asからなるキャップ層と、 が積層されて、前記第1クラッド層と前記活性層と前記
InP層と前記第2クラッド層とで導波構造が形成され、
前記活性層のヘテロ界面に平行な入射光が当該活性層に
沿って伝搬する構造を持ち、 前記InP基板と前記キャップ層との間に電圧を印加す
る電圧印加手段を具備し、当該電圧に応じて前記活性層
の吸収端波長を長波長側に遷移させることにより、入射
光に対する吸収を変化させるようにしたことを特徴とす
る。
ここで、前記第2クラッド層および前記キャップ層
は、例えば、互いに平行に配置された2本のストライプ
の形態をなし、そのストライプの間隔Sと当該ストライ
プの幅Wとの比S/Wを0.5〜2の間に定める。
本発明の光変調器の製造方法は、半導体基板の一方の
主面上に、第1のクラッド層,障壁層と量子井戸層とを
相互に積層した活性層,耐エッチング材料層,第2クラ
ッド層,キャップ層および電極層をこの順序に形成する
ステップと、 前記電極層上にレジストを塗付し、該レジストに対し
てエッチングを施して、光導波路のパターンを持つレジ
スト層を形成するステップと、 前記第2クラッド層および前記キャップ層については
エッチングできるが、前記耐エッチング材料層について
はエッチングできないエッチング溶液を用いて、前記第
2のクラッド層,前記キャップ層および前記電極層を光
導波路の形状にエッチングするステップと、 このエッチング後、前記レジスト層を除去するステッ
プとを具備することを特徴とする。
[作用] 本発明では、量子井戸層と障壁層とから成る活性層の
上に装荷型のクラッド層を配置して活性層に光導波機能
をもたせるようにしたので、光を量子井戸構造に平行に
入射して光の吸収長を長くとれるようになり、その結
果、光変調を高速かつ効率よく行うことができる。すな
わち、本発明では、装荷型の光導波構造を有するため、
単に量子井戸構造の上下に配置した第1および第2クラ
ッド層よりも狭いバンドギャップを持つ量子井戸層によ
る上下方向での導波機能ばかりでなく横方向にも導波光
は閉じ込められる。この横方向閉じ込めは、第9図示の
ハイメサ構造における空気と半導体との大きな屈折率差
による場合に比べ、屈折率差は小さく、かつ導波部は同
一層用に形成されるため、メサ側面の凹凸による散乱の
問題はない。しかもまた、量子井戸構造を採用している
ため、電界印加による屈折率変化が1桁以上大きく、素
子長を長くとる必要はなくなり、温度変化等の影響を受
けにくくなる。
さらにまた、量子井戸構造からなる活性層と第1クラ
ッド層あるいは第2クラッド層との間にInP、InAlAsな
どの耐エッチング材料による緩衝層を設けることによっ
て、活性層とクラッド層との間においてエッチングに対
する選択性をもたせることができるので、装荷型の光導
波構造の製造工程も容易になる。
[実施例] 以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明の第1の実施例を示す斜視図であっ
て、ここに21はn形InP結晶基板、22は基板21上に配置
したn形In0.53Ga0.47-aAlaAs(0<a≦x)第1クラ
ッド層である。23はアンドープIn0.53Ga0.47-xAlxAs障
壁層(0<X≦0.47)、24はアンドープIn0.53Ga0.47-y
AlyAs量子井戸層(0≦y<x)であり、(m+1)層
の障壁層23とm層の量子井戸層24とを交互に積層して多
重量子井戸構造の活性層を構成し、この活性層を第1ク
ラッド層22の上に配置する。25はこの活性層上に配置し
たp形InP半導体層である。26はInp層25上に所望の導波
路パターン、たとえばストライプパターンの形状に形成
されたp形In0.53Ga0.47-zAlzAs第2クラッド層(0≦
z≦y)、27は第2クラッド層26上に第2クラッド層26
と同一パターンで配置されたIn0.53Ga0.47Asキャップ層
である。28は基板21の下面に配置したn形電極,29はキ
ャップ層27上に、このキャップ層27と同一パターンで配
置されたp形電極である。
この構造を得るには、たとえば分子線エピタキシー法
を用いて、たとえば第2図(A)に示すように、基板21
の上にn形In0.53Ga0.47-aAlaAs(0<a≦x)第1ク
ラッド層29、アンドープIn0.53Ga0.47-xAlxAs障壁層23
およびアンドープIn0.53Ga0.47-yAlyAs量子井戸層24を
交互に積層した活性層、p形InP半導体層25、p形In
0.53Ga0.47-zAlzAs第2クラッド層26およびp形In0.53G
a0.47Asキャップ層27を順次成長した後、n形電極層28
およびp形電極層29をそれぞれ蒸着する。
p型のストライプ電極29の形成は、リフトオフ法を用
いてフォトレジストに〈10〉方向のストライプ窓パタ
ーンを通常のマスク密着露光で作製した後に、AuZn/Zn
を0.3μm厚に蒸着して幅3μmのストライプ電極29を
形成する。たとえば、第2図(A)に示すように電極層
29上にレジスト、たとえばAZ1350を塗布してから、第2
図(B)に示すようにそのレジスト層30をストライプパ
ターンにフォトエッチングする。なお、ストライプ電極
29には80×80(μm)2のボンディング用パッドを付加
しておく。
ついで、第2図(C)に示すようにメサエッチングを
行う。ここで、選択エッチング溶液として、InPで選択
性をもたせるためにはヨウ化カリウムKIを用いることに
よって、InP半導体層25は、ヨウ化カリウムでエッチン
グされないので、第2図(C)に示すように、p形電極
29とともにIn0.53Ga0.47Asキャップ層27、In0.53Ga
0.47-zAlzAs第2クラッド層26をも同時にメサエッチン
グでき、したがって、1度のエッチングでストリップ装
荷構造を作製できる。引き続き、電極29上のレジスト層
30を剥離して、第2図(D)に示すようなストリップ装
荷構造を得る。
第1図の実施例において、n形SnドープInP基板21の
キャリア濃度を2×1018cm-3、n形SiドープIn0.53Ga
0.47-aAlaAs第1クラッド層22のキャリア濃度を1×10
18cm-3、厚さを0.5μmとなし、このアンドープIn0.53A
l0.47As障壁層23の厚さを75Å、層数を60層、アンドー
プIn0.53Ga0.47As量子井戸層24の厚さを75Å、層数を59
層、p形BeドープInp層25のキャリア濃度を1×1018cm
-3、厚さを0.2μm、p形BeドープIn0.53Ga0.47-zAlzAs
層26のキャリア濃度を1×10cm-3、厚さを1.2μm、In
0.53Ga0.47Asキャップ層27のキャリア濃度を2×1018cm
-3、厚さを0.2μmとした。これらの層は分子線エピタ
キシー法によって成長させた。また、n形電極28として
はAuGeNi、p形電極29としてはAuZn/Znを用いた。素子
の長さは100μmとした。
このようにして作製した素子において、n形電極28を
プラス、p形電極29をマイナスとして、105V/cmの電界
を印加したところ、波長1.55μmにおいて光の透過率は
50%(光の吸収による損失分は50%ある)から1%以下
に減少した。また、パルス状印加電圧に対する応答時間
は100ps以下にすることができた。キャリアの蓄積効果
がないため、この応答時間は、素子の容量で決まる。
なお、InP層25でエッチング選択性をもたせる代わり
に、最上層の障壁層であるInAlAs層でエッチング選択性
をもたせ、InPをエッチングするがInAlAsをエッチング
しない材料として塩酸HClをエッチング溶液としてもよ
い。この場合には、電極をまずKIでエチングしてからHC
lでInPをエッチングする。
さらにまた層25と26の材料を逆にしても、同様に、エ
ッチングの選択性はよい。
第3図は本発明の他の実施例を示すもので、図中、第
1図と同様の個所には同一符号を付す。本実施例におい
ては、InP層25上に、それぞれ、層26,27および29より成
る2本の互いに平行なストリップ装荷構造31および32を
配設する。ここで、第1の装荷部分に逆方向電圧を印加
することによって、第1の装荷部分31の下に形成された
量子井戸構造部分に入射された光を第2の装荷部分32に
結合させ、移動することが可能である。
第3図の構造は、外部より電圧を印加する点は第1図
の構造と同様であるが、装荷構造31と32とにおいて各構
成量子井戸の屈折率の電界による相対的変化を利用する
点が異なる。一般に物質に電界を加えると電気光学効果
によって屈折率は変化するが、量子井戸構造ではバルク
結晶に比べてかかる変化が大きいことが予想されている
(例えば、Electronics Letters Vol.21 No.13 pp.579
−580,H.Yamamoto等)。
メサストライプ31と32の間隔Sを導波光の波長オーダ
にまで近接して形成し、一方のメサストライプ31の下方
に形成される導波路にのみ電圧を印加した場合、電界に
よる屈折率の変化に伴ってそれぞれの導波路の伝播定数
に差が生じ、両導波路間においてパワー結合量が変化す
る。これは電気光学効果によって電圧を印加された導波
路の伝播定数が変化するためである。この原理を利用し
て一方の導波路の出力光の強度を電圧で制御することが
可能となり、電圧の印加条件によって、メサストライプ
32の側に入射させた光がメサストライプ31の側から出射
するようにすることが可能となる。すなわち、光の通過
する位置を変えることができる。
従来、この種の光変調器において、特に半導体のよう
に光の吸収係数が使用する光の波長付近において大きい
物質では、上記2つの効果、すなわち電界吸収効果と電
気光学効果は同時に生じており、使用目的に応じて一方
の効果を他方の効果に比べ大きくなるよう工夫すること
で設計されている。
このように、本実施例では、一方の導波出力光の強度
を電圧で制御することが可能となるので、光変調,光ス
イッチ等の機能素子として動作させることが可能であ
る。その場合の印加電圧も数Vで済み、容易に入手可能
な高速パルス発生器で使用できる。
第4図〜第7図は本発明のさらに他の実施例を示す。
第4図の例では、2つの装荷部分31および32を第3図
示のように直線ストライプ状とする代わりに、一部分で
互いに接近し、他の部分では離間するように形成し、両
装荷部分31と32との間で入力光をスイッチングする。
第5図の例では、ほぼL字形状の1つの装荷構造33を
設け、その出力光のON,OFFを行う。
第6図の例では、直線ストライプ状の装荷部分34とそ
れに近接して配置された半円状装荷分35とを有する。
第7図の例では、ほぼL字形状の2つの装荷部分36お
よび37を有し、両者を屈曲部で互いに近接させる。しか
して、各装荷部分36および37のいずれか一方への入射光
を直進させるか、あるいは両者の近接部では反射させて
直角に曲げるかを印加電圧により制御する。
なお、第4図〜第7図には詳細には示していないが、
各装荷部分32〜37はいずれも、上述したクラッド層26と
キャップ層27と電極29とを、所望の各形状で、かつこの
順序で積層した積層構造から成る。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明では、量子井戸層と障壁
層とから成る活性層の上に装荷型のクラッド層を配置し
て活性層に光導波機能をもたせるようにしたので、光を
量子井戸構造に平行に入射して光の吸収長を長くとれる
ようになり、その結果、光変調を高速かつ効率よく行う
ことができる。すなわち、本発明では、装荷型の光導波
構造を有するため、単に量子井戸構造の上下に配置した
第1および第2クラッド層よりも狭いバンドギャップを
持つ量子井戸層による上下方向での導波機能ばかりでな
く横方向にも導波光は閉じ込められる。この横方向閉じ
込めは、従来のハイメサ構造における空気と半導体との
大きな屈折率差による場合に比、屈折率差は小さく、か
つ導波部は同一層用に形成されるため、メサ側面の凹凸
による散乱の問題はない。しかもまた、量子井戸構造を
採用しているため、電界印加による屈折率変化が1桁以
上大きく、素子長を長くとる必要はなくなり、温度変化
等の影響を受けにくくなる。
したがって、本発明は低電圧でかつ高速で光の変調を
変調度深く行うことができるため、超大容量(1Gb/s以
上)かつ長距離光ファイバ伝送における外部変調器とし
て利用したり、あるいは高速光スイッチあるいは短い素
子長で、低電圧で駆動する方向性結合器としての利用も
可能である。
さらにまた、量子井戸構造からなる活性層と第1クラ
ッド層あるいは第2クラッド層との間にInP層あるいはI
nAlAs層をエッチングに対する緩衝層として設けること
によって、活性層とクラッド層との間においてエッチン
グに対する選択性をもたせることができるので、製造工
程も容易になる。
なお、上述したように、活性層23,24の上にInP層25を
配置する場合には、選択エッチングを行ってストリップ
装荷を形成するのに有効であるという製造上の利点に加
えて、InPは屈折率が低いので、上方向への光の閉じ込
め効率を高めるのに寄与すると共に、InPは2元素であ
るから3元素材料に比べて特性が安定しており、したが
って、層25の表面は劣化に対して強い利点もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明光変調器の一実施例の構成を示す斜視
図、 第2図(A)〜(D)はその製造工程の一例を順次に示
す工程図、 第3図は本発明の他の実施例の構成を示す斜視図、 第4図〜第7図は本発明のさらに他の実施例を示す平面
図、 第8図は量子井戸構造に垂直に光を入射する従来の光変
調器の構成例を示す断面図、 第9図は量子井戸構造に平行に光を入射する構成のメサ
形光導波路をもつ従来の光変調器の例を示す斜視図、 第10図はバルクの光吸収スペクトルを示す特性図、 第11図は量子井戸の光吸収スペクトルを示す特性図であ
る。 21……InP基板、22……In0.53Ga0.47-aAlaAs第1クラッ
ド層、23……In0.53Ga0.47-xAlxAs障壁層、24……In
0.53Ga0.47-yAlyAs量子井戸層、25……InP層、26……In
0.53Ga0.47-zAlzAs第2クラッド層、27……In0.53Ga
0.47Asキャップ層、28……電極、29……電極、30……レ
ジスト層、31〜37……装荷部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝日 一 神奈川県厚木市森の里若宮3番1号 日本 電信電話株式会社厚木電気通信研究所内 (72)発明者 上原 信吾 神奈川県厚木市森の里若宮3番1号 日本 電信電話株式会社厚木電気通信研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−164019(JP,A) 特開 昭62−85227(JP,A) 特開 昭62−47620(JP,A) 特開 昭62−3221(JP,A) 特開 昭62−3220(JP,A) 特開 昭61−198212(JP,A) 特開 昭59−116612(JP,A) 特開 昭54−88786(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の導電型のInP基板の上に、少なくと
    も、 このInP基板上に配置され、第1の導電型を有し、該InP
    基板に格子整合するIn1-x1-y1Gax1AlylAs(ただし0≦y
    1)からなる第1クラッド層と、 この第1クラッド層上に配置され、In1-x2-y2Gax2Aly2A
    s(ただしy2≦y3)よりなる量子井戸層とIn1-x3-y3Gax3
    Aly3As(ただしy1≦y3)よりなる障壁層とが順次にかつ
    交互に積層された多重量子井戸構造の形態をとる活性層
    と、 この活性層上に配置されたInP層と、 このInP層上に少なくとも1つのメサ形状に配置され、
    第2の導電型を有し、In1-x4-y4Gax4Aly4As(ただしy4
    ≦y3)からなる第2のクラッド層と、 この第2のクラッド層上に配置され、第2の導電型を有
    し、In1-x5Gax5Asからなるキャップ層と、 が積層されて、前記第1クラッド層と前記活性層と前記
    InP層と前記第2クラッド層とで導波構造が形成され、
    前記活性層のヘテロ界面に平行な入射光が当該活性層に
    沿って伝搬する構造を持ち、 前記InP基板と前記キャップ層との間に電圧を印加する
    電圧印加手段を具備し、当該電圧に応じて前記活性層の
    吸収端波長を長波長側に遷移させることにより、入射光
    に対する吸収乃至屈折率を変化させるようにしたことを
    特徴とする量子井戸形光変調器。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の量子井戸形光
    変調器において、前記第2クラッド層および前記キャッ
    プ層は、互いに平行に配置された2本のストライプの形
    態をなし、そのストライプの間隔Sと当該ストライプの
    幅Wとの比S/Wを0.5〜2の間に定めることを特徴とする
    量子井戸形光変調器。
  3. 【請求項3】半導体基板の一方の主面上に、第1のクラ
    ッド層、障壁層と量子井戸層とを相互に積層した活性
    層、耐エッチング材料層、第2クラッド層、キャップ層
    および電極層をこの順序に形成するステップと、 前記電極層上にレジストを塗付し、該レジストに対して
    エッチングを施して、光導波路のパターンを持つレジス
    ト層を形成するステップと、 前記第2クラッド層および前記キャップ層についてはエ
    ッチングできるが、前記耐エッチング材料層については
    エッチングできないエッチング溶液を用いて、前記第2
    のクラッド層、前記キャップ層および前記電極層を光導
    波路の形状にエッチングするステップと、 このエッチング後、前記レジスト層を除去するステップ
    とを具備することを特徴とする量子井戸形光変調器の製
    造方法。
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