JPH08269882A - 高強度繊維素線及び撚り線並びにそれらの製造方法 - Google Patents

高強度繊維素線及び撚り線並びにそれらの製造方法

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JPH08269882A
JPH08269882A JP7076124A JP7612495A JPH08269882A JP H08269882 A JPH08269882 A JP H08269882A JP 7076124 A JP7076124 A JP 7076124A JP 7612495 A JP7612495 A JP 7612495A JP H08269882 A JPH08269882 A JP H08269882A
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JP
Japan
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resin
strands
fiber
fibers
strand
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JP7076124A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Yamashita
博明 山下
Yasuo Nagata
保雄 永田
Toshikazu Takeda
敏和 竹田
Osamu Yamauchi
修 山内
Atsuo Morii
惇雄 森井
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Nippon Steel Corp
Suzuki Metal Industry Co Ltd
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Suzuki Metal Industry Co Ltd
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外観良好で、破断強度の高い撚り線およびそ
れの簡単で安価に得られる製造方法を提供すること。 【構成】 未硬化のエポキシ樹脂をマトリックスとして
含浸した高強度繊維からなる連続ストランドが複数集束
し、その集束ストランドの外周を繊維体で編組織に被覆
してなり、内部に存在する揮発分が0.2重量%以下で
あることを特徴とする高強度繊維素線、及び高強度繊維
からなる連続ストランドに、無溶剤かつ液状の熱硬化性
樹脂をバックアップロールに対向する位置で吐出して付
着含浸させ、一本に集束させて形成した繊維束の外周
を、繊維体で編組織に被覆することを特徴とする高強度
繊維素線の製造方法、並びに素線の複数本を撚合し加熱
硬化した高強度繊維素撚り線。 【効果】 外観良好でマトリックス樹脂が外周の繊維体
ににじみだし、表面が樹脂だれ状態でなく適度に凹凸の
ある破断強度の高い撚り線が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外観良好で破断強度の
高い素線及び撚り線並びにそれらの簡単な製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ロープとしては、ワイヤーロープが
代表的なものであり、その材料としては、鋼線、天然繊
維、合成繊維から成るものがほとんどである。さらにこ
れらのものを用途により組合わせて使用されることもあ
る。鋼線は、前述した天然繊維や合成繊維に比較し、伸
びが少なく強度も高いが、一方比重が大きく、錆びの問
題もあるため用途的に海用構造物や酸性雨の多い地域で
は、不利な面もあり限定される。また天然繊維、合成繊
維は近年強度の高いものもあるが、一般に伸びが大き
く、また強度も鋼線に比較し弱いという欠点を持ってい
る。しかしながら、鋼線に比較し比重が小さいため、そ
の点は有利である。
【0003】以上のような両者の欠点を無くすため、特
公昭62−18679号や特開平2−104786号に
は、炭素繊維、ガラス繊維等の高強力、低伸度の繊維を
ヤーンやストランドとして複数本平行に集束させ、又は
撚合して、或いは編組等の手段により集合して繊維芯を
形成し、この繊維芯に熱硬化性樹脂を含浸し、粉末剤を
まぶして繊維芯の周面を乾燥させた後、外周を繊維から
なる編組体で被覆して複数本を撚合機や編組機でロープ
状物に組み合わせ、加熱槽に通して各繊維芯内部の熱硬
化性樹脂を硬化させる技術が提案されている。さらに特
開平2−127583号公報には、繊維のマルチフイラ
メントに熱硬化性樹脂を含浸し、加熱により半硬化させ
たプリプレグを形成してから、プリプレグの複数本を撚
合して複合ストランドとし、このストランドの外周にそ
の軸方向に対して直角に近い状態で緻密に繊維を巻き付
けて被覆し、このような複合ストランドを複数本撚合し
て加熱硬化させる技術が記載されている。また最近特開
平5−33278号公報には繊維含有率が40〜70w
t%になるように熱可塑性樹脂を含浸した直径1〜5m
mの炭素繊維強化複合材料を複数本撚合させてなる炭素
繊維強化複合材料からなるロープが提案されている。
【0004】しかしながら特公昭62−18679号や
特開平2−104786号及び特開平2−127583
号公報に記載のものは、ストランドをあらかじめ集束、
撚合或いは編組等の手段により集合した繊維芯の連続体
を熱硬化性樹脂槽中に侵漬して通し繊維芯にマトリック
ス樹脂を含浸させる方法をとっている。この場合含浸を
容易にするためには、一般に熱硬化性樹脂の粘度を下げ
るように有機溶剤で希釈しており、このため繊維中に多
量の有機溶剤や樹脂が含浸される。そこで一連の賦形ダ
イスで余剰の樹脂等を取り除き、繊維表面に粉末剤をま
ぶして繊維芯の周面を乾燥させたり、或いは加熱乾燥さ
せて半硬化したプリプレグとする工程を必要とする。ま
たその後該繊維芯の外周を編組体で被覆させるが、若干
の溶剤が繊維芯中に残存し、未硬化状態の素線あるいは
硬化したロープ表面に外観不良その他の問題が発生す
る。
【0005】例えば、溶剤を蒸発させるため、熱乾燥を
必要とし、未硬化状態のいわゆるBステージのマトリッ
クス樹脂が熱により、それ以上の影響を受け、熱乾燥後
の素線のポットラインが短かくなる可能性がある。次に
完全に該繊維中の溶剤を蒸発させることは、不可能であ
るため、硬化後も若干の溶剤が残り、マトリックス樹脂
が持っている本来の耐熱性が劣り、ロープにした場合、
外観的にもまた品質的にも悪影響をおよぼす。また熱乾
燥させるユーティリティーや設備費も加算され、加工費
が高くつき、建材・土木用途に対して、経済的にも不利
である。さらに溶剤を用いることは、環境衛生上、特に
問題となっており、今後規制が厳しくなり、使用するこ
と自体難しく成りつつある。
【0006】一方特開平5−33278号は、マトリッ
クス樹脂として熱硬化性樹脂の代わりに、熱可塑性樹脂
を含浸させるものであるが、一般に熱硬化性樹脂に比較
し、耐熱性が劣り、また繊維とのぬれ性も熱硬化性樹脂
に比較し悪いので、熱硬化性樹脂の方が物性にも有利で
ある。そのため、実際にFRPの土木建築用のマトリッ
クス樹脂に広く使用されているのは熱硬化性樹脂が一般
的である。そのため、マトリックス樹脂としては、量産
性やコスト的には競争力があるかもしれないが、安全面
や品質面等総合的には熱硬化性樹脂の方が良好である。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】しかしながら、前述したようにストランド
中の残存溶媒の影響を受けて外観良好なものが得られ難
く、熱乾燥による熱履歴の問題、さらに設備費等のコス
ト高という難題もあり、満足する製品とは言い難い。従
って本発明の目的は、熱履歴を受けにくく保存安定性の
良い素線(プリプレグ)、及び外観良好で破断強度の高
いロープ等の撚り線を簡単に得る製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、か
かる問題点を解決すべく、炭素繊維等の高強度繊維にマ
トリックス樹脂を被覆あるいは含浸させる方法について
種々検討した結果、無溶剤かつ液状の熱硬化性樹脂、特
にエポキシ樹脂を用い、繊維の連続ストランドを該熱硬
化性樹脂液に浸漬することなく塗布し付着含浸を連続的
に行なうことが、上記課題を解決する工程上有利な含浸
方法であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち本発明は、未硬化のエポキシ樹脂
をマトリックスとして含浸した高強度繊維からなる連続
ストランドが複数集束し、その集束ストランドの外周を
繊維体で編組織に被覆してなり、内部に存在する揮発分
が0.2重量%以下であることを特徴とする高強度繊維
素線、及び高強度繊維からなる連続ストランドに、無溶
剤かつ液状の熱硬化性樹脂をバックアップロールに対向
する位置で吐出して付着含浸させ、次いで複数の該樹脂
含浸ストランドを一本に集束させて形成した繊維束の外
周を、繊維体で編組織に被覆することを特徴とする高強
度繊維素線の製造方法である。また高強度繊維からなる
連続ストランドを、無溶剤かつ液状の熱硬化性樹脂を付
着したロール面に接触して連続ストランドに樹脂を付着
含浸させ、次いで複数の該樹脂含浸ストランドを一本に
集束させて形成した繊維束の外周を、繊維体で編組織に
被覆することを特徴とする高強度繊維素線の製造方法で
ある。
【0010】また熱硬化性樹脂をマトリックスとして含
浸した高強度繊維からなる連続ストランドが複数集束
し、その集束ストランドの外周を繊維体で編組織に被覆
してなる素線の複数本を、撚合し加熱硬化して編組織の
繊維体にマトリックス樹脂が完全に密着一体化してな
り、内部に実質的に揮発分が存在しないことを特徴とす
る高強度繊維素撚り線である。さらにまた素線の複数本
を、撚合機にて撚合し加熱硬化することを特徴とする高
強度繊維撚り線の製造方法である。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0011】高強度繊維からなる連続ストランドとは、
強度を保持する繊維であれば無機繊維又は有機繊維のい
ずれでもよい。無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊
維、炭化ケイ素繊維、ステンレス繊維等が使用でき、ま
た有機繊維としてはアラミド繊維、ビニロン繊維、高強
度ポリエチレン繊維等が使用できる。本発明ではこれら
の無機繊維又は有機繊維が、通常数10フィラメントか
ら数10万フィラメントの範囲で収束した繊維束から構
成されており、一般にストランドと総称されているもの
を利用するものである。
【0012】かかる連続ストランドに塗布し含浸させる
マトリックス樹脂としては、無溶剤かつ液状の熱硬化性
樹脂であり、特にエポキシ樹脂を使用することができ
る。この常温液状のエポキシ樹脂の粘度は、30〜30
0ポイズ(25℃)特に90〜250ポイズ(25℃)
程度が好ましい。より低い粘度では、連続ストランドを
一旦ボビンに巻き取ったとき樹脂がしみだし易くストラ
ンドへの樹脂付着量にバラツキを生じ作業上も不都合で
ある。一方より高い粘度にすると含浸しにくくなり十分
な強度を発現しない傾向となる。
【0013】このエポキシ樹脂にはそれぞれ硬化剤や硬
化促進剤を適宜配合して調整する。無溶剤という場合、
揮発性のある粘度調整剤(例えばスチレンモノマー)等
を配合してもよい。調整し塗布含浸させるときの温度条
件は、特に限定されず常温程度のままで使用することが
できるが場合によっては、一定温度以上(30〜50
℃)に加熱して使用することもできる。本発明では、か
かる溶剤を含まない常温液状の熱硬化性樹脂を用い、こ
の熱硬化性樹脂を繊維の連続ストランドに浸漬によらず
に一定のコータを使用して連続的に塗布しストランドに
連続的に塗布し含浸させる。
【0014】ここで採用するコータの例を示すと、 (イ)キスロールコータ;樹脂をロールに付着させ、そ
れをスクイーズバーにて平滑に均し、それをキスロール
面で連続ストランドの基材と接触させることにより樹脂
を転写塗布させるもの。 (ロ)ファウンテンダイコータ;樹脂を加圧によりスロ
ットオリフイスより吐出させ、バックアップロールとダ
イとの間に挟まれた基材へ塗布させるもの。 (ハ)ナイフロールオーバーコータ;樹脂溜まりに溜ま
った樹脂をナイフエッジを用いてバックアップロール面
の厚み方向に均一な樹脂膜を形成させ基材へ塗布させる
もの等が挙げられ、いずれも本発明に使用可能である。
【0015】さらに連続ストランドへのマトリックス樹
脂の含浸工程において、マトリックス樹脂の付着量のコ
ントロールは、ロールの回転数(移送速度)やスクイー
ズバークリアランス、スロットオリフイスノズルのスリ
ット幅等で調整できるため、ストランド繊維を傷付ける
ことなく含浸ストランドを作ることが可能となる。な
お、ストランドへのマトリックス樹脂の付着量は、20
〜50重量%が好ましい。含有率が20重量%未満の場
合は、繊維へのマトリックス樹脂の含浸が不十分で該ス
トランドで素線を作製し、硬化させてもマトリックス樹
脂が繊維へ均一に含浸していないので、複合材として、
繊維とマトリックス樹脂が一体化していない。そのため
強度的に問題があり、使用に耐えうるものではない。
【0016】またストランドを数本から数10本集束さ
せてからブレードを被覆させたいわゆる素線状態で硬化
させた場合や、撚り線の状態にして硬化させた場合、繊
維体で編組織にした表面の繊維にマトリックス樹脂が適
度に含浸し、集束させた含浸ストランドとブレード糸が
完全に密着し一体化させる必要がある。この点でもマト
リックス樹脂の含有率が20重量%未満であると表面へ
の樹脂のにじみが悪く、表面被覆繊維とストランドの密
着性が悪く、強度部材として利用する場合、相手材との
密着性において、編組織体が、繊維ストランド束からず
れ、引き抜け力が低下する。
【0017】また逆にマトリックス樹脂の含有率が50
重量%を越えると、繊維への含浸は十分であるが、繊維
自体の体積含有率が下がり、見かけ上の単位断面積当た
りの強度は落ちる。また樹脂のにじみが多くなり製品ロ
ープ表面に樹脂が多くなって表面の凹凸がなくなり、相
手材との密着性におけるアンカー効果が悪くなる。その
ため相手材との密着性が落ち、引き抜け力が低下する。
また撚り線状態で使用する場合は、樹脂だれが多くなる
と、マトリックス樹脂が製品ロープ表面に、にじみ、撚
り線を構成している素線と素線の間にマトリックス樹脂
が密着し、ロープ本来の曲げたりすることが困難にな
り、撚り線としての機能を持たない。これらの理由から
本発明の連続ストランドへのマトリックス樹脂の含有率
は20〜50重量%が好ましい。
【0018】本発明ではマトリックス樹脂の含有された
連続ストランドは、複数をそのまま収束させるか、又は
その後一旦ボビンに巻き取る。此の際本発明では有機溶
剤を使用していないので連続的にボビンに巻き取って
も、その周面同士が未硬化の熱硬化性樹脂で接着するこ
とはなくむしろ巻き取りに伴い全面への付着含浸を促進
させることができる。かかる処理をした複数のボビンか
ら、同時に連続ストランドを巻き戻し先細りダイス等の
集束装置(平行に集束する)で一本に集束させ、次いで
その外周をさらにブレーダー機等の編組機にて被覆材と
しての繊維体で編組織に被覆した素線を製造する。その
被覆材としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維、P
PS繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロ
ン繊維、TPX繊維等を上げることができいずれも使用
可能である。
【0019】なおマトリックス樹脂含浸ストランドの製
造工程と、該含浸したストランドを集束しその外周を繊
維体で編組織に被覆させる工程とは、別々の工程にする
ことが好ましい。含浸ストランド製造のラインスピード
は、本発明において20m/分以上が可能であり、一方
集束したストランド外周を繊維体で編組織に被覆させる
工程のラインスピードは一般に2m/分以下と遅いの
で、両工程を直結せず別々の工程を採ることが生産上効
率的である。ただし含浸ストランド製造のラインスピー
ドを遅くして同一工程に直結することも可能であり特に
限定されない。
【0020】次に繊維体で編組織に被覆した素線の複数
本を公知の編組機又は撚合機にて編組又は撚合させてか
ら最終的に内部のマトリックス樹脂を完全に加熱硬化し
て、ロープやケーブル等の撚り線を製造する。ここで加
熱硬化条件としては、使用するマトリックス樹脂の種類
によって異なるが、通常硬化剤や硬化促進剤の存在下
で、100〜150℃の温度条件で0.5〜1.5時間
程度によって行われる。こうして得られた高強度繊維素
線(未硬化のプリプレグ)は、内部に存在する揮発分が
0.2重量%以下、特に0.15重量%以下となってい
る。従って熱履歴を受けにくく、保存性が良くポットラ
イフを長く維持できる。又硬化後の撚り線(ロープ、ケ
ーブル等)については、内部に実質的に揮発分が存在せ
ず、樹脂だれが少なく品質上のバラツキも少ない。
【0021】このようにして得られたロープ等の製品
は、棒状態としても、また曲げた状態においても両方使
用できる。撚り線の形態になっているため、繊維強化熱
硬化性樹脂から成る同径の丸棒と違い、本発明品は曲げ
るという加工が可能であるが、同径の該丸棒は、容易に
曲げることができず、最大極率は本発明品の方が有利で
丸棒は、曲げるということが困難である。本発明の素線
1本のみを加熱硬化させた単線と呼ばれる棒や該素線を
数本から数10本より合わせて加熱硬化させた撚り線と
呼ばれるロープやケーブルがあり、その太さも用途によ
り種々存在する。このことからも、本発明品は、棒材に
比較し、応用範囲が広い。例えば、つり橋のケーブルや
湾曲した構造材等に使われる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1.図1は高強度、高弾性率を有するPAN系炭
素繊維(商品名T−700 12K 東レ社製)の連続
ストランド1を、バックアップロール3の表面に添わせ
て通過させる際、エポキシ樹脂(商品名エピコート83
4 油化シェル社製)を主剤としてなるマトリックス樹
脂100重量部と硬化剤としてのジシアンジアミド5重
量部及び硬化促進剤としての、1−ジメチル尿素4重量
部からなる無溶剤の熱硬化性樹脂4を常温にて調整し、
ファウンテンダイコーター2で塗布含浸させた製造フロ
ーを示す説明図である。この時の連続ストランド1への
樹脂付着量は29重量%とする。連続ストランド1は、
長手方向に連続的に移動させて、ファウンテンダイコー
ター2で熱硬化性樹脂4を塗布し含浸させストランドプ
リプレグ5として一旦ボビン6に巻き取る。
【0023】次に図2に示すように、一旦巻き取った該
ストランドプリプレグ5の18本をボビン6から解除
し、平行状態で集束ダイス7を通して集束させる。その
集束した周辺をブレーダー編組機8にて、繊維体として
の450デニールのビニロン(フィラメント糸)9を偏
角45°となるように組ひも状に巻き付け、素線10を
製造し巻取機11で巻き取る。次に図3で示すように巻
き取った素線のボビン11を7本用意し撚合機12にて
回転させながら、7本のより線状態のロープ状13に
し、次いで加熱硬化炉14にて130℃×60分で加熱
硬化させてロープ15とした後キャタピラー16で引き
取りつつカッター17にて2mの寸法にカットした。こ
のようにして得られた繊維強化熱硬化性樹脂製ロープ1
8は外観良好でマトリックス樹脂が適度に外周の繊維体
であるビニロンににじみだし、表面が樹脂だれ状態や逆
に樹脂不足の状態でなく適度に凹凸のある該ロープが得
られた。この時の破断強度は、32Tであり、規格値で
ある21.5Tを満足した。
【0024】実施例2.連続ストランド1として高強
度、高弾性率を有するPitch系炭素繊維(商品名N
T−353K 新日本製鐵(株)製)を使用し、実施例
1と同様のマトリックス樹脂及び含浸装置も実施例1と
同じファウンテンダイコーターを用い、この時の樹脂付
着量を28重量%とする。連続ストランド1は、長手方
向に連続的に移動させて、ファウンテンダイコーター2
で熱硬化性樹脂4を塗布し含浸させつつ、図2の集束ダ
イス7に導き平行状態で集束させた。その集束した周辺
をブレーダー編組機8にて、500デニールのビニロン
(フィラメント糸)9を偏角45°となるように組ひも
状に巻き付け、素線10を製造し巻取機11で巻き取っ
た。次いで実施例1と同様な処理を行って、7本の撚り
線状態のロープを得た。このように得られた繊維強化熱
硬化性樹脂ロープは、外観良好で、マトリックス樹脂が
適度に外周の繊維体であるポリエステルににじみ出し表
面が樹脂だれ状態や樹脂不足の状態ではなく、適度に凹
凸のある該ロープが得られた。この時の破断強度は1
2.5Tであり、規格値である11.0Tを満足した。
【0025】比較例1.連続ストランド1として実施例
1と同じPAN系炭素繊維(商品名T−70012K
東レ社製)を使用し、エポキシ樹脂(商品名エピコート
834、油化シェル社製)70部と(商品名エピコート
1002、油化シェル社製)30部及び硬化剤としてジ
シアンジアミド5部、硬化促進剤として1−ジメチル尿
素3部を2−メトキシエタノールの溶剤に希釈し固型分
が28重量%になるように調合し樹脂液を作製する。そ
の樹脂液に上記炭素繊維の連続ストランドを長手方向に
移動させ、樹脂液層中に含浸させる。その後熱風乾燥機
にて110℃×5分熱乾燥させ、2−メトキシエタノー
ルを蒸発させストランドプリプレグを得る。これを実施
例1と同様の処理をし、繊維強化熱硬化性樹脂ロープを
得た。該ロープは表面に樹脂がにじみ出し樹脂だれが発
生していた。これは得られた該ストランドプリプレグに
1.2重量%の2−メトキシエタノールが残留し、硬化
時に該溶剤が蒸発し、表面が発泡状態になり、到底ロー
プとして使用できるものではなかった。
【0026】比較例2 連続ストランド1として実施例1と同じ高強度、高弾性
率を有するPAN系炭素繊維(商品名T−700 12
K 東レ社製)を使用し、樹脂液として比較例1におけ
る溶剤を除いたホットメルトタイプのマトリックス樹脂
を使用し、含浸装置としては、実施例1で使用したと同
じファウンテンダイコーターを使用し、この時の樹脂付
着量は、55重量%とした。これを実施例1と同様の処
理をし、繊維強化硬化性樹脂ロープを得た。該ロープは
表面に樹脂がにじみ出し、また樹脂だれが発生してい
た。これは得られた該ストランドプリプレグの樹脂含有
率が多いため、硬化時被覆繊維体の表面に樹脂がにじみ
出したためである。さらに繊維含有率が低く、単位断面
積当たりの強度も低いため、到底ロープとしては、使用
できるものではなかった。
【0027】比較例3.一方向性(UD)プリプレグで
あって目付150g/m2樹脂量31.0重量%(新日
鐵化学社製 商品名エスカイノス)のものを5mm巾にカ
ットし、スリットテープを作製した。このテープを18
本長手方向に集束させ、実施例1と同様の処理をし繊維
強化熱硬化性樹脂ロープを得た。得られたロープは、外
観良好であり、また破断強度も33Tであり、規格値の
21.5Tを満足した。しかしながら一方向性(UD)
プリプレグは、樹脂フィルム層を作製し、繊維に含浸さ
せる工程をとるため、コスト高になり、またスリットに
カットする工程も必要なため経済的に到底土木建材用に
使用できるものではなかった。以下の結果をまとめると
以下の表になる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明によって得られる素線や撚り線
は、無溶剤かつ液状の熱硬化性樹脂を用いているため、
従来溶剤で希釈し、繊維に含浸させ、溶剤を蒸発させる
という工程を取らない。そのため品質的にもまた設備費
やユーティリティ面でコスト的にも有利な製品が得られ
る。つまり無溶剤タイプであるため、溶剤を蒸発させる
のに必要な熱乾燥による熱履歴を受けず、また含浸繊維
中の残存溶剤による影響もない。またコスト的には通常
のプリプレグの製造装置を用いずコータにより繊維への
マトリックス樹脂の塗布あるいは含浸方式を用いている
ため、品質的にも、またコスト的にも従来のFRPロー
プやケーブル等に比較し、有利なものが得られ、実用上
の効果は極めて顕著なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における樹脂含浸させた連続
ストランドプリプレグの製造フローを示した図である。
【図2】樹脂含浸した複数の連続ストランドプリプレグ
からの素線の製造フローを示した図である。
【図3】素線からのロープの製造フローを示した図であ
る。
【符号の説明】
1 高強度繊維の連続ストランド 2 ファウンテンダイコーター 3 バックアップロール 4 無溶剤タイプの熱硬化性樹脂 5 ストランドプリプレグ 8 ブレーダー編組機 10 素線 12 撚合機 14 加熱硬化炉 15 ロープ 18 製品ロープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 保雄 千葉県木更津市清見台南4−12−T2 (72)発明者 竹田 敏和 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新 日本製鐵株式会社内 (72)発明者 山内 修 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 森井 惇雄 千葉県習志野市東習志野7丁目5番1号 鈴木金属工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未硬化のエポキシ樹脂をマトリックスと
    して含浸した高強度繊維からなる連続ストランドが複数
    集束し、その集束ストランドの外周を繊維体で編組織に
    被覆してなり、内部に存在する揮発分が0.2重量%以
    下であることを特徴とする高強度繊維素線。
  2. 【請求項2】 未硬化のエポキシ樹脂の粘度が30〜3
    00ポイズ(25℃)であることを特徴とする請求項1
    記載の高強度繊維素線。
  3. 【請求項3】 高強度繊維からなる連続ストランドに、
    無溶剤かつ液状の熱硬化性樹脂をバックアップロールに
    対向する位置で吐出して付着含浸させ、次いで複数の該
    樹脂含浸ストランドを一本に集束させて形成した繊維束
    の外周を、繊維体で編組織に被覆することを特徴とする
    高強度繊維素線の製造方法。
  4. 【請求項4】 高強度繊維からなる連続ストランドを、
    無溶剤かつ液状の熱硬化性樹脂を付着したロール面に接
    触して連続ストランドに樹脂を付着含浸させ、次いで複
    数の該樹脂含浸ストランドを一本に集束させて形成した
    繊維束の外周を、繊維体で編組織に被覆することを特徴
    とする高強度繊維素線の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂をマトリックスとして含浸
    した高強度繊維からなる連続ストランドが複数集束し、
    その集束ストランドの外周を繊維体で編組織に被覆して
    なる素線の複数本を、撚合し加熱硬化して編組織の繊維
    体にマトリックス樹脂が完全に密着一体化してなり、内
    部に実質的に揮発分が存在しないことを特徴とする高強
    度繊維撚り線。
  6. 【請求項6】 請求項3乃至請求項4のいずれか一つの
    方法で製造された素線の複数本を、撚合機にて撚合し加
    熱硬化することを特徴とする高強度繊維撚り線の製造方
    法。
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