JPH08269089A - ペプチド - Google Patents

ペプチド

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JPH08269089A
JPH08269089A JP7073253A JP7325395A JPH08269089A JP H08269089 A JPH08269089 A JP H08269089A JP 7073253 A JP7073253 A JP 7073253A JP 7325395 A JP7325395 A JP 7325395A JP H08269089 A JPH08269089 A JP H08269089A
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JP
Japan
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peptide
tsst
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phage
protein
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JP7073253A
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Atsushi Sato
佐藤  淳
Mayumi Fukuyama
真弓 福山
Takashi Miwa
敬史 三和
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】スーパー抗原に結合し、スーパー抗原と主要組
織適合性抗原クラスII蛋白との結合を阻害するペプチド
であり、かつ主要組織適合性抗原クラスII蛋白とのアミ
ノ酸配列の相同性が60%以下であることを特徴とする
ペプチド。 【効果】本発明によりスーパー抗原に結合しかつスーパ
ー抗原(TSST-1)とMHCクラスIIの結合を阻害する能力
を有するペプチドが提供される。これらペプチドはトキ
シンショック等の治療薬として活用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスーパー抗原に結合し、
スーパー抗原と主要組織適合性抗原クラスII蛋白との結
合を阻害するペプチドに関する物であり、更に詳しくは
感染症の治療薬として使用し得るペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】スーパー抗原とは従来の抗原と異なり抗
原提示細胞内におけるプロセッシングを経ることなく抗
原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラスII蛋白(以下
MHC クラスIIという)に結合し、さらにこのMHC クラス
IIとの複合体を形成することによりT細胞を異常に活性
化させる物質の総称である。この物質により、敗血症の
発熱、発疹、血圧低下などが引き起こされることが明ら
かにされている。さらに最近では慢性疾患との関係も示
唆されており、例えば川崎病、泉熱、アトピー性皮膚炎
などが関係しているのではないかと考えられている (Sc
hlievert,P.Mら.J.Infect.Dis. Vol.167, P.997-1002,
1993)。
【0003】スーパー抗原は細菌性とウイルス性に大別
され、前者の細菌性スーパー抗原にはブドウ球菌外毒素
である Toxic shock syndrome toxin-I (TSST-1)、Stap
hyloccal enterotoxins (SEs) 、連鎖球菌外毒素(SPEs)
などが代表例である。特にブドウ球菌外毒素 Toxicshoc
k syndrome toxin-I (TSST-1) は検出される症例が増加
しており、トキシンショック症候群、急性全身性感染症
の主要原因外毒素であることが知られている (Schlieve
rt,P.Mら. J.Infect.Dis. Vol.143, P.509-516, 1981)
。さらに TSST-1 はエンドトキシンとの相乗効果で毒
性が増強されることが報告されており臨床上問題である
(Fujikawa et al., Infect. Immun. 48,134-137, 198
6)。この細菌性スーパー抗原は抗原提示細胞上のMHC ク
ラスIIへの結合を介してT細胞上のT細胞レセプターの
リガンドとして働きT細胞の活性化を促す。この活性化
されたT細胞は自己免疫的な攻撃を引き起こしいわゆる
急性のトキシンショックや慢性の疾患を引き起こすと考
えられている。したがってスーパー抗原とMHC クラスII
との結合を阻害することができればT細胞の活性化を抑
えることができ、トキシンショック症状あるいは他の疾
患の治療薬として使用できる可能性があると言える。
【0004】この様なスーパー抗原とMHC クラスIIとの
結合を阻害する試みはすでにいくつかのグループで報告
されておりその主なアプローチは以下の方法である。
【0005】スーパー抗原であるトキシンのアミノ酸
配列にしたがって数種のペプチドを設計し、スーパー抗
原とMHC クラスIIとの結合を阻害することができる領域
(ペプチド)を同定する方法。エンテロトキシンB(S
EB)に関してJettら Infect.Immun. Vol.62, 3408- 3
415, 1994、エンテロトキシンC1(SEC1)に関し
てHoffman ら Infect. Immun. Vol. 62,3396-3407,199
4、TSST−1に関してSoosら BBRC Vol.191, 1211-1
217, 1993の方法が報告されている。これらはすべてMHC
クラスIIに結合するペプチドをスーパー抗原の配列か
ら同定し用いているのであって、スーパー抗原に結合し
て作用するものではない。したがってこのようなスーパ
ー抗原の一部であるペプチド自身がT細胞活性化作用を
有していて問題になる可能性が考えられる。スーパー抗
原の一部であるペプチドがT細胞活性化作用を有してい
た例はエンテロトキシンA(SEA)に関してPontzer
ら J.Immunol. Vol.143, 280-284, 1989 、エンテロト
キシンC1(SEC1)に関してHoffman ら Infect. I
mmun. Vol. 62,3396-3407,1994、TSST−1で報告さ
れている。特にTSST−1ではアミノ酸39−68の
領域がTSST−1とMHC クラスIIとの結合を阻害した
が (Soosら BBRC Vol.191, 1211-1217, 1993) 一方この
付近の領域(アミノ酸34−63)はT細胞活性化作用
を有していた(Rameshら。 J.Immunol. Vol.148, 1025-
1030,1992)。 さらにIn Vivo でこれらペプチドを作
用させる場合にはスーパー抗原により誘導産生された抗
体によって認識されてしまい実際に機能しない事も考え
られる。
【0006】スーパー抗原に対する抗体を作製しスー
パー抗原とMHC クラスIIとの結合を阻害する抗体を選択
する。例えばTSST−1に関してはMurphyらの報告が
ある(Murphyら J.Infect.Dis. Vol.158, 549-555, 19
88) 。この方法では抗体の分子量が大きく、治療薬とし
た場合にはその抗原性の大きさから免疫系に認識されや
すく問題となる場合が少なくない。
【0007】近年、蛋白質(例えば抗体やレセプター)
に結合する分子構造を同定する方法としてファージラン
ダムペプチドライブラリー(Scctt ら、Science, Vol.2
49,386-390, 1990) や化学合成ライブラリー(Lam,KS e
t al, Nature, Vol.354, 821991) を利用する方法が報
告されている。これは例えば前者のファージランダムペ
プチドライブラリーではランダムなアミノ酸配列を表面
上に発現しているファージライブラリーを構築し、この
ライブラリーから特定分子と結合可能な配列を選択する
方法である。すでにこの方法を用いてモノクローナル抗
体の抗原決定基の同定やレセプターに対するアンタゴニ
ストの同定が報告されているが、スーパー抗原に関して
はこの方法を用いた報告はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記問
題点をもたない低分子ペプチドを提供するところにあ
り、具体的にはブドウ球菌外毒素 Toxic shock syndro
me toxin-I (TSST-1)に代表されるスーパー抗原に特異
的に結合し、かつスーパー抗原 Toxic shock syndrome
toxin-I (TSST-1)と主要組織適合性抗原クラスII蛋白と
の結合を阻害するペプチドを提供するところにある。こ
れにより低分子であるペプチドを用いた Toxic shock s
yndrome toxin-I (TSST-1) によるT細胞活性の抑制が
可能であり、すなわちトキシンショック症状の治療薬の
開発が可能になる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は下記本発明に
より解決される。すなわち本発明はスーパー抗原に結合
し、スーパー抗原と主要組織適合性抗原クラスII蛋白と
の結合を阻害するペプチドであり、かつ主要組織適合性
抗原クラスII蛋白とのアミノ酸配列の相同性が60%以
下であることを特徴とするペプチドである。
【0010】本発明におけるスーパー抗原とは従来の抗
原と異なり抗原提示細胞内におけるプロセッシングを経
ることなく抗原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラス
II蛋白(以下MHC クラスIIという)に結合し、さらにこ
のMHC クラスIIとの複合体を形成することによりT細胞
を異常に活性化させる物質である。スーパー抗原は細菌
性とウイルス性に大別され、前者の細菌性スーパー抗原
にはブドウ球菌外毒素である Toxic shock syndrome to
xin-I (TSST-1)、Staphyloccal enterotoxins (SEs) 、
連鎖球菌外毒素(SPEs)などが代表例である。特にブドウ
球菌外毒素 Toxicshocksyndrome toxin-I (TSST-1) は
検出される症例が増加しており、トキシンショック症候
群、急性全身性感染症の主要原因外毒素であることが知
られている(Schlievert,P.Mら. J.Infect.Dis. Vol.14
3, P.509-516, 1981) 。
【0011】スーパー抗原例えば Toxic shock syndrom
e toxin-I (TSST-1)を得るためには、TSST-1を産生する
ブドウ球菌を培養し、培地中に分泌されるTSST-1を精製
することができる。その方法としては例えば五十嵐らの
方法(Igarashi et al., Infect.Immun. Vol.44, 175-1
81, 1984) を用いることができる。
【0012】本発明のペプチドを得るためには例えば以
下に述べるペプチドライブラリー法が挙げられる。ファ
ージランダムペプチドライブラリーを構築する方法とし
ては、例えばM13 系ファージの表面蛋白質(例えばgene
III 蛋白質)のN末端側遺伝子にランダム合成遺伝子を
連結し作製すれば良い。その方法としてはScott, JK.an
d Smith, GP., Science Vol. 249, 386, 1990, やCwirl
a, SE et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA Vol. 87, 6
378, 1990 等の報告がある。挿入する遺伝子の大きさは
ペプチドが安定に発現できれば特に制限はないが、作製
したライブラリーがすべてのランダム配列を網羅し、し
かも結合能を有するためには6から40アミノ酸に相当
する長さ(分子量約600から4000に相当)が適当
で、中でも15アミノ酸が好ましい。目的のTSST-1に結
合するファージを選択するためにはTSST-1を例えばカラ
ムやプレート上に固定化し上記のライブラリーをTSST-1
に接触させ結合ファージを残し非結合ファージは洗浄で
洗い流す。洗浄後残ったファージを酸などにより溶出し
緩衝液で中和した後大腸菌に感染させファージを増幅す
る。この選別を複数回繰り返すと目的のTSST-1に親和性
のある複数のクローンが濃縮される。ここで単一なクロ
ーンを得るため再度大腸菌に感染させた状態で培地プレ
ート上にコロニーを作らせる。それぞれの単一コロニー
を液体培地で培養した後、培地上清中に存在するファー
ジをポリエチレングリコール等で沈殿精製し、その塩基
配列を解析すればペプチドの構造を知ることができる。
【0013】ランダムなアミノ酸配列を有するペプチド
ライブラリーの作製方法としては、上記のようなファー
ジを用いる方法のほか化学合成したペプチドを用いるこ
とも可能である。その方法として例えばビーズを用いる
方法(Lam,KS et al, Nature,354, 82, 1991) 、液相フ
ォーカシング法(Houghton, RA et al., Nature, 354,8
4, 1991)、マイクロプレート法(Fodor, SPA et al., Sc
ience, 251, 767, 1991)などが報告されている。
【0014】このようにして得られる本発明のペプチド
はMHCクラスIIとの相同性が60%以下さらに好まし
くは40%以下のランダム配列由来であり、そのためス
ーパー抗原とペプチドの複合体がT細胞レセプターに認
識されT細胞活性化を示す可能性が極めて小さいため好
ましい。また本発明のペプチドは低分子であり、かつス
ーパー抗原との相同領域を持たないため、ペプチド自身
がT細胞を活性化したり、スーパー抗原より誘導産生さ
れた抗体により認識される可能性も極めて低いという利
点を持つ。
【0015】さらに得られた配列を含むペプチドを大量
に調製するためには人工的に合成して使用する方法や遺
伝子組換え技術を利用して大腸菌、酵母、昆虫細胞、動
物細胞などで発現させる方法が挙げられる。前者の方法
としては一般のペプチド合成法により行うことができ、
例えば固相合成法により行うことが操作上簡便である。
後者の場合は、例えば大腸菌では得られたDNA配列を
プロモーター配列例えばトリプトファン合成酵素オペロ
ン(Trp) 、ラクトースオペロン(lac) 、ラムダファージ
プロモーター、tac プロモーター、T7ファージプロモー
ターなどに連結し、リボゾーム結合配列例えばシヤイン
−ダルガルノ配列(SD配列)や、転写終結因子などを付
加するのが望ましい。作製した発現ベクターを大腸菌に
導入する方法は例えばマニアテイスのモルキュラークロ
ーニング (コールドスプリングハーバーラボラトリー
プレス、1989)P.1.74〜1.84記載の方法
を用いることができる。形質転換された株は例えばマニ
アテイスのモルキュラークローニング (コールドスプ
リングハーバーラボラトリープレス、1989)P.1
7.2〜17.4の方法で培養し発現させることができ
る。発現産物を精製する方法は公知の方法が用いられ、
例えば塩析、イオン交換クロマトグラフィー、遠心分離
等がある。
【0016】得られたペプチドがTSST-1とMHC クラスII
との結合を阻害することができるかを評価するために
は、例えばTSST-1を125 Iでラベルし、MHC クラスIIが
発現している培養細胞、ヒト由来リンパ球、あるいはマ
クロファージとの結合が起こる際にペプチドを混合さ
せ、混合させない時と比べてどの位結合が阻害されるか
を放射能活性で調べることができる。あるいはMHC クラ
スIIを培養細胞、ヒト由来リンパ球やマクロファージか
ら分離精製してきてプレートなどに固相化し、1次反応
としてTSST-1を反応させる。このときペプチドを混合し
てTSST-1との競合反応を行う。その後2次反応としてた
とえば酵素標識した抗TSST-1抗体を反応させたのち、基
質を加え発色させると阻害が大きい程発色が低くなるこ
とからも判定可能である。
【0017】本発明のペプチドは、TSST-1とMHC クラス
IIとの結合を阻害することができるためTSST-1によるト
キシンショック治療剤としての利用が可能となる。
【0018】また、本発明のペプチドは安定に合成でき
る長さ、結合能の保持の点、さらに治療剤として使用す
ることを考慮すると免疫系に認識されにくくするために
できるだけ低分子であることが好ましい。具体的には蛋
白質ー蛋白質結合の典型例である抗原ー抗体反応を考え
た場合、抗体が認識するエピトープは短くても6アミノ
酸の長さが必要なことから考えて少なくとも6アミノ酸
以上が好ましくさらに得られるペプチドを安定的に合成
することを考えた場合長くとも40アミノ酸が好まし
い。特に得られたペプチドが3次構造的にリガンドとし
て結合するためにはある程度の長さは必要であることか
ら、30ないし40アミノ酸が好ましい。
【0019】本発明のペプチドは分子量として、上記記
載理由から600〜4000が好ましく、さらに3次構
造的にリガンドとして結合することを考えた場合は30
00〜4000が好ましい。
【0020】さらに治療剤として使用する場合を考慮す
ると、得られたペプチド配列の結合能、立体構造が変化
しない程度に親水性のアミノ酸で置換したり付加したり
することによりペプチドを水溶性にして使用することも
可能である。
【0021】
【実施例】以下実施例をあげて本発明の詳細を説明す
る。
【0022】実施例1ペプチドライブラリーの作製 ファージランダムペプチドライブラリーの作製方法の概
要は実験医学の11巻13号1993、 P.95-98に記載されてい
る。以下簡単にその方法を説明する。
【0023】ファージベクターfuse5 (Dr.G.Smithらよ
り供与。University of Missouri,Scott,J.K. and Smit
h,G.P. Science 249、 386-390(1990) )を大腸菌K802株
に塩化カルシウム法で導入しテトラサイクリン耐性を指
標に形質転換株を選択した。この株を大量培養し、fuse
5 を塩化セシュウム法で精製後、30μgのfuse5 を制限
酵素120UのSfiIで50℃、2時間で完全に消化した。
【0024】ベクターに挿入するDNA 断片として、アミ
ノ酸15残基に相当するランダムな配列を有する2本鎖
オリゴヌクレオチドをあらかじめPCR 法を用いて作製し
BglIで完全消化した。得られたフラグメントをSfiIで完
全消化したfuse5 にリガーゼを用いて連結した。
【0025】上記fuse5 DNA を電気穿孔法によりあらか
じめ調製したコンピテントセル(MC1061) に導入し、テ
トラサイクリンを含む培地で一晩培養した。翌日上清に
でてくるファージ粒子をポリエチレングリコールで沈殿
させ高濃度のファージライブラリーとした。最終的に6
×10のクローンを含む15アミノ酸ライブラリーが
作製できた。
【0026】実施例2TSST-1の精製 TSST-1の精製は五十嵐らの方法(Igarashi et al., Inf
ect. Immun. 44, 175-181, 1984) に従った。TSST-1を
産生するブドウ球菌をNZアミン/イーストエクストラク
ト培地(4 % NZアミン、0.5 % イーストエクストラク
ト、10mg/ lニコチン酸、0.5 mg/ lチアミン塩酸)で
30℃、48時間培養した。遠心分離して菌体を沈め上清を
別の容器に移し蒸留水で5倍に希釈した。塩酸でpHを5
に調整し、10mMリン酸−クエン酸pH5.0 溶液で平衡化し
た陽イオン交換カラムSP- セファデックスC25 (ファル
マシア社)に吸着させた。10mMリン酸−クエン酸pH5.0
溶液で洗浄後、20mMリン酸溶液 pH 8.0 でTSST-1を溶出
した。溶液を20mMエタノール−アミンpH9.4 に交換しフ
ァルマシア社のクロマトフォーカシング(PBE94)で精製
した。得られたTSST-1をSDS-PAGEで調べたところ単一バ
ンドしか認められず純度は95% 以上と考えられる。
【0027】実施例3TSST-1結合ファージの選択(パニング) 実施例2で得られたをTSST-1を PBSバッファー(塩化ナ
トリウム8g、塩化カリウムで0.2g、燐酸水素2 ナトリウ
ム(12水)2.9g、燐酸水素カリウム0.2g /l)で5 μg
/mlの濃度に調製した。直径35mmのポリスチレン製シ
ャーレ(ファルコン社製)に上記溶液を2ml入れ4℃一
晩反応させ物理的吸着でシャーレに固定化した。PBS バ
ッファーで1回洗浄し、TBS バッファー( 50 mMトリ
ス塩酸溶液 pH8.0 、150 mM塩化ナトリウム)に0.5%
のBSA (ウシ血清アルブミン)を溶解したブロッキング
溶液で室温1時間反応させブロッキングした。洗浄液
(0.5%のツイーン20を含むTBS バッファー)で2回洗浄
し、緩衝液(0.5%のツイーン20を含むTBS バッファー)
400 μlと実施例1で作製したファージライブラリーを
約1012バイロン(ファージの個数)加え室温で1時間
反応させた。洗浄液で10回洗浄し非結合ファージを除
去し、pH2.2 のグリシンバッファーで結合ファージを溶
出させた。溶出後、大腸菌K91kanに感染させテトラサイ
クリンを含むLB培地で一晩培養しファージの増幅を行っ
た。上清に出てくるファージをポリエチレングリコール
で沈殿濃縮後このファージを2回目のパニングに用い
た。このパニングを全部で3回行いTSST-1に結合するフ
ァージを選択した。
【0028】実施例4TSST-1結合ファージの選択(96穴マイクロプレートを
使用) 実施例3で選択したTSST-1に結合するファージをもう一
度大腸菌K91kanに感染させテトラサイクリンを含むLB寒
天培地上でシングルコロニーを形成させた。各コロニー
を滅菌したつまようじでつつき、テトラサイクリンを含
むLB培地3mlにうえ一晩培養した。翌日上清に存在する
ファージをポリエチレングリコールで沈殿精製した。こ
の得られたファージをTSST-1が固相化されている96穴
マイクロプレート(1μg/mlの濃度のTSST-1を100 μl
/ウエル加え4℃で一晩反応させた)のウエルに約10
9 〜1010バイロン加え室温で1時間反応させた(1次
反応)。洗浄液(0.05% のツイーン20を含むPBS バッフ
ァー)で3回洗浄した後、5000倍希釈したHRP (西
洋ワサビペルオキシダーゼ)標識抗M13 ファージ抗体
(ファルマシア社製)を室温30分反応させた(2次反
応)。3回洗浄した後基質(3、3´、5、5´−テト
ラメチルベンジジン)を加え室温5分で発色させ、1M
硫酸で反応を停止した。マイクロプレートリーダーで4
50nmの吸光度を測定した。 さらに反応の特異性を
確認するために、1次反応の際に10ngのTSST-1を各
ウエルに加え固相化TSST-1との競合反応を行った。その
結果を図1に示す。16個のクローンを調べて1、6、
10の3クローン以外は競合反応において発色の低下を
認め、TSST-1との特異的反応を確認した。
【0029】実施例5クローンの塩基配列の決定 実施例4に示した方法で得られた各クローンのファージ
をフェノール、クロロホルム処理し蛋白を除いた後、さ
らにエタノールでDNAを精製し塩基配列決定のための
鋳型DNA とした。ベクターであるfuse5 の塩基配列を基
にしてプライマーをデザインし、ジデオキシ法で塩基配
列を決定した。12クローンの配列を決定し配列表に示
した4種類の配列が確認できた(ファージ2:配列番号
1、ファージ3:配列番号2、ファージ8:配列番号
3、ファージ11:配列番号4と命名した)。これら得
られた配列と既知蛋白との相同性を調べたところ、ファ
ージ8以外にはMHCクラスIIの配列との相同領域は認
められなかった。ファージ8はMHCクラスIIβ鎖の5
7〜62番目と188〜193番目に相同領域を認めた
が、一致したアミノ酸は15アミノ酸中最大で8アミノ
酸(53.3%)であり、アミノ酸相同性は60%以下
であった(図2)。
【0030】実施例6ペプチドの合成 塩基配列を決定した4種類の配列を基にしてペプチド自
動合成装置(米国、アプライドバイオシステムズ社製)
でペプチドを合成した。得られたファージの15アミノ
酸の配列にスペーサーとして2アミノ酸残基(グリシン
とアラニン)を前後に付加した19アミノ酸の合成ペプ
チドを調製した(配列番号1から4に対応するペプチド
をペップ2、3、8、11と命名)。
【0031】例えばファ−ジ3(配列番号2)のペプチ
ド(ペップ3と命名)の配列は式 NH3-Gly-Ala-Asp-Arg-Ser-Tyr-Leu-Ser-Phe-Ile-His-Le
u-Tyr-Pro-Glu-Leu-Ala-Gly-Ala -COOH で示される。
【0032】得られたペプチドは逆相液体クロマトグラ
フィーで精製し、95% 以上の純度であることを確認し
た。
【0033】実施例7ペプチドによるファージとTSST-1との結合阻害 実施例5で異なる配列を有していた4種類のファージ
(ファージ2:配列番号1、ファージ3:配列番号2、
ファージ8:配列番号3、ファージ11:配列番号4と
命名、)に関して、実施例6で作製したペップ3がこれ
らファージとTSST-1との結合を阻害することができるか
を実施例4記載の方法で調べた。得られた4種類のファ
ージをTSST-1が固相化されている96穴マイクロプレー
ト(1μg/mlの濃度のTSST-1を100 μl/ウエル加え4
℃で一晩反応させた)のウエルに約109 〜1010バイ
ロン加えた。次にこれらウエルにペップ3をまったく加
えない場合、1μg加えたもの、10μg加えたものを
用意し室温で1時間反応させた(1次反応)。陰性コン
トロールとしては得られた配列とはまったく相同性を有
さない24アミノ酸のペプチドをペップ3の場合と同様
に用意した。洗浄液(0.05% のツイーン20を含むPBS バ
ッファー)で3回洗浄した後、5000倍希釈したHRP
(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識抗M13 ファージ抗
体(ファルマシア社製)を室温30分反応させた(2次
反応)。3回洗浄した後基質(3、3´、5、5´−テ
トラメチルベンジジン)を加え室温5分で発色させ、1
M硫酸で反応を停止した。マイクロプレートリーダーで
450nmの吸光度を測定した。その結果を図3に示
す。縦軸は450nmの吸光度の相対値を示しており、
まったくペプチドを加えない場合の値を100としてい
る。ペップ3を加えた場合にはすべてのクローンに対し
て濃度依存的に吸光度の減少が確認できたが、コントロ
ールペプチドではこの減少は認められなかった。この事
実は得られた4種類のファージの配列には相同性は認め
られないが、TSST-1との結合認識部位に関してはすくな
くともオーバーラップしていることを示唆している。
【0034】実施例8ペプチドによるTSST-1とMHC クラスIIとの結合阻害 次にペップ3がTSST-1とMHC クラスIIとの結合を阻害す
ることが可能かを調べた。MHC クラスIIを発現している
B細胞(Daudi)をウシ胎児血清10% を含むRPM1640 培地
で培養した。Kaufman らが報告している方法 (Kaufman,
JF,et al, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76, P.6304-6308,
1979)に準じてDEAEカラムおよびコンカナバリンAカラ
ムでMHC クラスIIを精製した。得られた約1μg/mlの
MHC クラスIIを96穴のマイクロプレートのウエルに10
0 μlに入れ4 ℃一晩反応させ固相化した。0.5%ウシ血
清アルブミン溶液でブロッキングした後、 10 ng/ml
の濃度のTSST-1を加え室温で1時間反応させた。この際
ペップ3と陰性コントロールペプチド(実施例7と同じ
ペプチド)を各ウエルに0 、 0.5、2.5 、5.0 、10.0、
25.0、50.0μMの濃度になるよう加えた。3回洗浄後ビ
オチン化標識された抗TSST-1抗体(モノクローナル抗
体、三和ら、J. Clin. Microbiol. 32、P.539-542 、 1
994)を室温で1時間反応させ、洗浄後5000倍希釈したア
ビジン標識したHRP を室温15分反応させた。3回洗浄
した後基質(3,3',5,5' −テトラメチルベンジジン)を
加え室温15分で発色させ、1M硫酸で反応を停止し
た。マイクロプレートリーダーで450 nmの吸光度を測
定した。結果を図4に示す。陰性コントロールペプチド
では阻害は起こらなかったが、ペップ3を加えた場合に
濃度依存的な吸光度の低下を確認することができペップ
3によるTSST-1とMHC クラスIIとの結合阻害が認められ
た。なおペップ3を250nM加えてもTSST-1とビオチ
ン化抗TSST-1抗体との反応、およびビオチン−HRP アビ
ジン反応はまったく阻害されないことは別の実験で確認
した。なお実施例6で得られた残り3種類のペプチド
(ペップ2、8、11)に関しても同様にTSST-1とMHC
クラスIIとの結合阻害が認められた。
【0035】
【発明の効果】本発明によりスーパー抗原(特にTSST-
1)に結合しかつスーパー抗原とMHC クラスIIの結合を
阻害する能力を有するペプチドが提供される。これらペ
プチドはトキシンショック等の治療薬として活用可能で
ある。
【0036】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Phe Asn Gly Gly Ala Gln Met Gly Trp Asp Tyr Tyr Trp Phe Phe 1 5 10 15
【0037】配列番号:2 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asp Arg Ser Tyr Leu Ser Phe Ile His Leu Tyr Pro Glu Leu Ala 1 5 10 15
【0038】配列番号:3 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Trp Asp Ala Met Tyr Trp Asn Trp Arg Ser Val Ser Glu Phe His 1 5 10 15
【0039】配列番号:4 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Ala Arg Leu Trp Ala Glu Tyr Leu Pro Leu Tyr Arg His Met 1 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】 各ファージクローンのTSST-1に対する反応性
をELISA法で調べた結果を示す。表中横軸の番号は
クローン番号である。黒いバーは非競合反応、白いバー
はTSST-1を加えた競合反応での450nm の吸光度を示して
いる。
【図2】 ファージ8の配列とMHCクラスIIβ鎖の
相同領域を示す。DR1,5,7、DQ1,3、DRW
53、DPW2,DPW4はHLAのタイプを示してい
る、配列の上の数字はアミノ酸番号を示しており、スタ
ー印は一致したアミノ酸残基を示している。
【図3】 ペップ3によるファージとTSST-1との結合阻
害の結果を示す。表中横軸の番号はファージ番号であ
る。縦軸は450nm の吸光度の相対値を示しており100 は
ペプチドを加えない非競合反応での吸光度を示してい
る。各バーは左からペップ3を1μg 、10μg 加えた
反応での吸光度、陰性コントロールペプチド1μg 、1
0μg を加えた時の吸光度の相対値を示す。
【図4】 ペップ3によるTSST-1とMHC クラスIIとの結
合阻害の結果を示す。表中横軸は添加したペプチドの濃
度をしめし、縦軸は450nm の吸光度を示している。白丸
がペップ3を、黒丸が陰性コントロールペプチドの結果
である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スーパー抗原に結合し、スーパー抗原と主
    要組織適合性抗原クラスII蛋白との結合を阻害するペプ
    チドであり、かつ主要組織適合性抗原クラスII蛋白との
    アミノ酸配列の相同性が60%以下であることを特徴と
    するペプチド。
  2. 【請求項2】分子量が600以上4000以下である請
    求項1記載のペプチド。
  3. 【請求項3】スーパー抗原がブドウ球菌外毒素であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のペプチド。
  4. 【請求項4】配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列を
    含む請求項1〜3記載のペプチド。
  5. 【請求項5】配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を
    含む請求項1〜3記載のペプチド。
  6. 【請求項6】配列表の配列番号3記載のアミノ酸配列を
    含む請求項1〜3記載のペプチド。
  7. 【請求項7】配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列を
    含む請求項1〜3記載のペプチド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004069677A (ja) * 2002-06-13 2004-03-04 Canon Inc 免疫学的測定方法、免疫学的測定用試薬及びその製造方法

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