JPH08268706A - 結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム及びその製造方法 - Google Patents

結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム及びその製造方法

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JPH08268706A
JPH08268706A JP7260295A JP7260295A JPH08268706A JP H08268706 A JPH08268706 A JP H08268706A JP 7260295 A JP7260295 A JP 7260295A JP 7260295 A JP7260295 A JP 7260295A JP H08268706 A JPH08268706 A JP H08268706A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた耐熱性、耐薬品性、耐候性等と優れたイ
オン交換特性とを兼ね備えた材料を提供することを主な
目的とする。 【構成】一般式H1+X Zr2 (SiO4 3-X (P
4 X ・mH2 O(但し、mH2 Oは結晶水又は吸着
水を示し、m及びXは係数であって、0≦m<5、0<
X<3である。)で表わされる、三次元網目状構造をも
つ結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶質ケイ酸リン酸ジ
ルコニウム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】リン酸ジルコニウムは、特異
な細孔構造を有し、結晶質又は非晶質で二次元層状構造
及び三次元網目構造のものが知られている。組成として
は、その骨格を形成しているP/Zrモル比で0.5、
1.0、1.5、2.0、2.0以上と様々なものがあ
る。これらのリン酸ジルコニウムは、無機カチオン交換
体として知られている。ところが、例えば、P/Zrモ
ル比=2.0の結晶質リン酸ジルコニウム(一般式Zr
(HPO4 2 ・nH2 O)は、二次元層状構造の細孔
を有する無機イオン交換体として知られているが、これ
はカチオン交換することによりその層間距離が変化する
ので、外部環境によって容易にイオンが吸着・脱着さ
れ、特定イオンの固定化には適してしない。
【0003】本発明者は、特定カチオンを確実に固定で
きるリン酸ジルコニウムについて種々研究を重ね、三次
元網目三次元網目構造の細孔を有するリン酸ジルコニウ
ムを開発した(特開昭60−239313号)。このリ
ン酸ジルコニウムは、それ自体耐熱性、耐薬品性等にも
優れ、しかも安定で均一な細孔を有するものであり、特
定カチオンを固定することが可能である。
【0004】これに関し、さらに本発明者は、リン酸ジ
ルコニウムにケイ酸を導入することによって、リン酸ジ
ルコニウム本来のもつイオン交換特性を生かしつつ、そ
れ単独では得られない大きな比表面積、吸着容量(イオ
ン交換容量)等を実現し、さらに吸着物を水分でコント
ロールリリースすることができる非晶質ケイ酸リン酸ジ
ルコニウムを開発し、イオン交換体、香料担持剤等とし
て実用化するに至っている(特開昭61−127742
号)。しかも、この非晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム
は、無色透明で光に対しても変色せず、また高分子化合
物に添加しても失透しないという特徴を有する。
【0005】ところで、われわれの日常生活において、
食品用、農業用、工業用等の各分野で非常に多種類の抗
菌剤が数多く用いられており、その大半は有機系のもの
である。抗菌剤として用いられる新しい合成薬品の開発
は安全性の見地から多くの試みがなされているが、この
場合において無機系又は天然のものの開発も重要となっ
ている。
【0006】殊に、繊維製品、電気製品、その他家庭用
品、農業食品資材等の分野で用いられる抗菌剤として、
多孔質無機材料(ゼオライト、リン酸塩、酸化物等)に
抗菌性金属(銀、銅、亜鉛等)を担持させた抗菌剤が注
目されている。これらの抗菌剤は、細孔内の水素イオ
ン、ナトリウムイオン等を抗菌性金属のイオンで置換し
て担持させたものが多いが、これらの用途においては特
に耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐水性等が要求される。
即ち、例えば、天然・合成樹脂成型体、フィルム加工品
等に添加した場合には日光や紫外線によって変質せず、
また合成繊維、塗料等に添加した場合には高pH下であ
っても抗菌力を発揮できるようなものであることが必要
である。従って、これらの用途には、耐熱性等に優れ
る、三次元網目構造をもつリン酸ジルコニウムを用いる
ことが可能である。
【0007】しかしながら、三次元網目構造のリン酸ジ
ルコニウムでは、イオン交換基の比率が小さく、しかも
細孔径が小さいために十分な量の抗菌性金属イオンを交
換することができない。そのため、合成樹脂等に多量に
添加する必要が生じる結果、繊維製品、成型体等の品質
等を低下させかねない。また、数十オングストロームの
極超微粒子径の特殊粒子を除き、一般に無機材料を高分
子化合物に添加した成型品、コーティング剤等は失透し
やすく、高分子本来の光学特性を劣化させる原因にもな
り、しかも外観上の問題も招くため、使用用途も制限さ
れてしまうという難点がある。
【0008】以上のような見地から、現在、耐熱性、耐
薬品性等の特性と優れたイオン交換特性の両者を兼ね備
えた材料、即ち前記の三次元網目構造リン酸ジルコニウ
ムと非晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムの両者の特性を有
する新規な材料の開発が切望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、特
に、耐熱性、耐薬品性等の諸特性と優れたイオン交換特
性とを兼ね備えた材料を提供することを主な目的とす
る。
【0010】さらに、本発明は、イオン交換により様々
な用途に利用できる材料を提供することをも目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、所定の工程か
ら製造して得た結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムは、特
定の構造を有するが故に耐熱性、耐薬品性等の諸特性と
優れたイオン交換特性とを兼ね備え、しかもそのイオン
交換されたものは抗菌剤、耐熱衝撃性材料、吸着剤等と
して優れた効果を発揮することを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0012】即ち、本発明は、下記の結晶質ケイ酸リン
酸ジルコニウム及びその製造方法に係るものである。
【0013】1.a)一般式 H1+X Zr2 (Si
4 3-X (PO4 X ・mH2 O(但し、mH2 Oは
結晶水又は吸着水を示し、m及びXは係数であって、0
≦m<5、0<X<3である。)で表わされ、 b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
一般式4ZrO2 ・6−2XSiO2 ・XP2 5 (但
し、0<X<3である。)で表わされる基本骨格構造を
有し、 c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉末X線回
折パターンを有し、 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.31〜6.49 s 4.50〜4.78 vs 4.35〜4.44 vs 3.69〜3.89 vs 3.18〜3.36 s〜vs 2.75〜3.01 vs 2.49〜2.62 m 2.05〜2.17 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非常に 強いことを示す。) d)熱天秤示差熱分析において、250℃以下の温度で
重量減少及び吸熱を伴った結晶水及び吸着水の脱水反応
を示し、かつ、850〜1050℃の温度範囲で発熱を
伴った熱分解反応による結晶構造の変化を示し、 e)BET法による比表面積が5〜600m2 /g、 f)真比重が2〜4g/cm3 、 g)3%水性分散液のpHが2〜7、及び h)イオン交換容量(最大)が6.5meq.K+ /g
である結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム。
【0014】2.a)ジルコニウム化合物、ケイ素化合
物及びリン化合物の水溶液をP2 5 /ZrO2 (モル
比)=0.1〜1かつSiO2 /ZrO2 (モル比)=
0.2〜10となるように混合して反応生成物を含むス
ラリーを調製する工程、 b)上記スラリーにアルカリ金属化合物及びアルカリ土
類金属化合物の少なくとも1種を加え、熟成し、結晶質
ケイ酸リン酸ジルコニウム前駆体を得る工程、 c)上記前駆体を熱処理して実質的に結晶質に変化させ
る工程、及び d)上記の熱処理物に酸を加える工程からなることを特
徴とする結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムの製造方法。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】本発明の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム
は、ケイ素、ジルコニウム及びリンの酸素四面体及び酸
素五面体の骨格構造を形成単位とする三次元網目状構造
体であり、具体的には上記のようにa)〜h)の構成か
らなるものである。
【0017】まず、a)一般式 H1+X Zr2 (SiO
4 3-X (PO4 X ・mH2 Oで表わされる。mH2
Oは結晶水及び/又は吸着水を示す。m及びXは係数で
あって、0≦m<5、0<X<3である。従って、m=
0の場合、即ち無水物も本発明に含まれる。
【0018】次いで、b)無水基準で酸化物のモル比で
表わされる化学組成が一般式4ZrO2 ・6−2XSi
2 ・XP2 5 (但し、0<X<3である。)で表わ
される基本骨格構造を有する。
【0019】また、本発明結晶質ケイ酸リン酸ジルコニ
ウムは、c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉
末X線回折パターンを有する。従って、下表の回折パタ
ーンを有する限り、他の回折パターンが現れても本発明
に包含される。
【0020】 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.31〜6.49 s 4.50〜4.78 vs 4.35〜4.44 vs 3.69〜3.89 vs 3.18〜3.36 s〜vs 2.75〜3.01 vs 2.49〜2.62 m 2.05〜2.17 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非常に 強いことを示す。) さらに、d)熱天秤示差熱分析において、250℃以下
の温度で重量減少及び吸熱を伴った結晶水及び吸着水の
脱水反応を示し、かつ、850〜1050℃の温度範囲
で発熱を伴った熱分解反応による結晶構造の変化を示
す。
【0021】最後に、本発明結晶質ケイ酸リン酸ジルコ
ニウムは、e)BET法による比表面積が5〜600m
2 /g、f)真比重が2〜4g/cm3 、g)3%水性
分散液のpHが2〜7、及びh)イオン交換容量(最
大)が6.5meq.K+ /gという物性を有する。こ
れら物性の測定方法は後記実施例に示す通りである。
【0022】本発明は、a)一般式 H3 Zr2 (Si
4 )(PO4 2 ・m1 2 O(但し、m1 2 Oは
結晶水及び/又は吸着水を示し、0≦m1<5であ
る。)で表わされ、 b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
一般式4ZrO2 ・4SiO2 ・P2 5 で表わされる
基本骨格構造を有し、 c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉末X線回
折パターンを有し、 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.35〜6.49 s 4.50〜4.78 vs 4.35〜4.44 vs 3.80〜3.89 vs 3.18〜3.24 s〜vs 2.86〜3.01 vs 2.50〜2.62 m 2.05〜2.17 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非常に 強いことを示す。) d)熱天秤示差熱分析において、250℃以下の温度で
重量減少及び吸熱を伴った結晶水及び吸着水の脱水反応
を示し、かつ、850〜1050℃の温度範囲で発熱を
伴った熱分解反応による結晶構造の変化を示し、 e)BET法による比表面積が5〜600m2 /g、 f)真比重が2〜4g/cm3 、 g)3%水性分散液のpHが2〜7、及び h)イオン交換容量(最大)が6.5meq.K+ /g である結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム(以下、「第2
発明」という)も包含される。
【0023】さらに、a)一般式 H2 Zr2 (SiO
4 2 (PO4 )・m2 2 O(但し、m2 2 Oは結
晶水又は吸着水を示し、0≦m2 <5である。)で表わ
され、 b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
一般式2ZrO2 ・SiO2 ・P2 5 で表わされる基
本骨格構造を有し、 c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉末X線回
折パターンを有し、 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.31〜6.36 s 4.52〜4.58 vs 4.36〜4.44 vs 3.69〜3.83 vs 3.30〜3.36 s〜vs 2.75〜2.89 vs 2.49〜2.59 m 2.20〜2.30 m 2.05〜2.14 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非常に 強いことを示す。) d)熱天秤示差熱分析において、250℃以下の温度で
重量減少及び吸熱を伴った結晶水及び吸着水の脱水反応
を示し、かつ、850〜1050℃の温度範囲で発熱を
伴った熱分解反応による結晶構造の変化を示し、 e)BET法による比表面積が5〜500m2 /g、 f)真比重が2〜4g/cm3 、 g)3%水性分散液のpHが2〜7、及び h)イオン交換容量(最大)が4.3meq.K+ /g
である結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム(以下「第3発
明」という)も、本発明に包含される。
【0024】第2発明は、第1発明のa)の一般式にお
ける係数X=2の場合を示す。また、第3発明は、第1
発明のa)の一般式における係数X=1の場合を示す。
これらは、三次元網目構造を有するHZr2 (PO4
3 ・mH2 Oにおける3個のリン酸(PO4 )をそれぞ
れ1個及び2個のケイ酸(SiO4 )で置換したもので
ある。これらは、第1発明の中でも、上記HZr2 (P
4 3 ・mH2 Oの細孔内径によりも特に大きく、イ
オン半径の大きなカチオンを容易に交換でき、またイオ
ン交換能、イオン交換速度等のイオン交換特性に優れた
ものである。しかも、表面積が大きく、耐熱性、耐薬品
性等にも優れている。
【0025】本発明結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムの
製造方法は、以下の通りである。
【0026】まず、a)ジルコニウム化合物、ケイ素化
合物及びリン化合物の水溶液をP25 /ZrO2 (モ
ル比)=0.1〜1、かつ、SiO2 /ZrO2 (モル
比)=0.2〜10となるように混合して反応生成物を
含むスラリーを調製する。
【0027】上記ジルコニウム化合物としては、水溶性
のもの又は酸により水可溶性となるものであれば特に制
限されず、例えば硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコ
ニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩、
オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロオキシ塩化ジルコニウ
ム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲ
ン化ジルコニウム、ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウ
ム等の有機酸のジルコニウム塩、炭酸ジルコニウムナト
リウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、硫酸ジルコニウ
ムカリウム等のジルコニウム錯塩、炭酸ジルコニウム、
水酸化ジルコニウム等の酸に可溶性となるジルコニウム
化合物等が例示される。これらジルコニウム化合物の中
でも、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジル
コニウム等を用いるのが好ましい。
【0028】ケイ素化合物としては、ケイ酸、ケイ酸ナ
トリウム、オルトケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナト
リウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリケイ酸塩、
水ガラスケイ酸塩が例示される。この中でも、価格、作
業性等の点からケイ酸ナトリウムを用いるのが好まし
い。
【0029】リン化合物としては、リン酸、第一リン酸
リチウム、第一リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウ
ム、第二リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、第三
リン酸ナトリウム等の水溶性オルトリン酸のアルカリ金
属塩、アンモニウム塩等が例示される。この中でも、リ
ン酸、オルトリン酸ナトリウム等を用いることが好まし
い。
【0030】上記混合は、各原料を一定割合で配合すれ
ば良く、これらを同時に配合しても或いは順次に配向し
ても良いが、特にa)ジルコニウム成分溶液とケイ素成
分溶液を混合した後、リン成分溶液を加えるか、或いは
b)リン成分溶液とケイ素成分溶液を混合した後、ジル
コニウム成分溶液を加えることが好ましい。
【0031】また、各水溶液の濃度は、原料の種類等に
応じて適宜定めれば良いが、特に最終反応生成物の濃度
が系全体の20重量%を超えないような範囲にすること
が品質の均質性及び操作上の点から望ましい。
【0032】P2 5 /ZrO2 モル比が1を上回る場
合、又はSiO2 /ZrO2 モル比が0.2未満の場合
には、未反応のリン化合物が残存し、またケイ素化合物
が反応しにくくなる。さらに、加熱処理して非晶質から
結晶質に変化させる場合において、目的物以外の結晶質
ピロリン酸ジルコニウム等が混在したり、イオン交換能
が低下する傾向があるので好ましくない。
【0033】P2 5 /ZrO2 モル比が0.1を下回
る場合、又はSiO2 /ZrO2 モル比が10を超える
場合には、未反応のケイ素化合物が残存し、またSiO
2 単独のゲルが生成する。さらに、加熱処理して非晶質
から結晶質に変化させる場合において、目的物以外の結
晶質又は非晶質のケイ酸、ケイ酸ジルコニウムあるいは
シリカが混在したり、またイオン交換能が低下する傾向
があるので好ましくない。
【0034】なお、ジルコニウム化合物水溶液の調製に
際しては、水酸化ジルコニウムの生成により最終製品中
に酸化ジルコニウムが混入することを防止する必要があ
る。このため、例えば硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニ
ウム、オキシ塩化ジルコニウム等の鉱酸塩の水溶液を調
製する場合には水溶液のpHを4以下とし、また酢酸ジ
ルコニル、ギ酸ジルコニル等の有機酸塩の場合には水溶
液のpHを2以上とし、さらに硫酸ジルコニウムナトリ
ウム、炭酸ジルコニウムナトリウム、炭酸ジルコニルカ
リウム、炭酸ジルコニルナトリウム等のジルコニウム錯
塩の場合には水溶液のpHを4〜12とすることが望ま
しい。
【0035】次いで、b)上記スラリーにアルカリ金属
化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種を
加え、熟成し、結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム前駆体
を得る。
【0036】上記アルカリ金属化合物としては、例えば
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。ま
た、上記アルカリ土類金属化合物としては、例えば水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等
が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等が好ましい。
【0037】これら化合物の添加は、主としてスラリー
のpHを調整するために行うものであり、スラリーのp
Hは通常7〜14程度とし、特に10〜14程度とする
ことが好ましい。これによって、最終的に得られる結晶
質ケイ酸リン酸ジルコニウムのイオン交換能をより高め
ることができる。
【0038】熟成条件は、一般的には温度5〜100℃
程度で10分〜24時間程度とすれば良いが、用いる原
料の種類・配合量等によってはこれらの範囲を適宜変更
しても良い。なお、熟成後は、常法に従って沈殿生成物
を水洗、濾過し、固液分離すれば上記前駆体が得られ
る。この前駆体は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
を含む非晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムを主成分とする
ものである。
【0039】続いて、c)上記前駆体を熱処理して実質
的に結晶質に変化させる。熱処理条件は、原料の種類、
pH調整剤の種類等によって適宜設定すれば良いが、通
常は常圧で850〜1300℃程度とすれば良い。熱処
理によりアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶
質ケイ酸リン酸ジルコニウムが主として得られる。
【0040】なお、熱処理に先立ち、必要に応じて上記
前駆体を予め250℃以下、好ましくは40〜150℃
程度で乾燥し、さらに必要であれば250〜800℃程
度で加熱処理しておいても良い。この場合、乾燥ないし
加熱処理された上記前駆体にアルカリ金属化合物又はア
ルカリ土類金属化合物を加えると、前駆体中の金属イオ
ン及び未置換水素イオンの熱分解をより効果的に防止す
ることができる。上記アルカリ金属化合物又はアルカリ
土類金属化合物としては、前記pH調整剤として用いる
ことができるもののほかに、アルカリ金属又はアルカリ
土類金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等も使用することが
できる。これらの使用量は、残存水素イオンの一部又は
全部を置換できる量であれば良い。また、上記アルカリ
金属化合物又はアルカリ土類金属化合物は、水溶液等と
して用いれば良い。
【0041】次に、d)上記の熱処理物に酸を加える。
これにより、上記結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム中の
アルカリ金属又はアルカリ土類金属が水素イオンに置換
される。
【0042】酸としては、硫酸、硝酸等の鉱酸、塩酸、
臭酸等のハロゲン化物、過塩素酸等の無機酸、ギ酸、酢
酸等の有機酸などを用いることができる。この中でも、
特に硫酸、硝酸、塩酸等が好ましい。用いる酸の酸量
は、通常は最終処理液のpH5以下、好ましくはpH2
以下に相当する量とする。なお、ケイ酸リン酸ジルコニ
ウムは、耐酸性に優れていて強酸処理しても変質しない
ため、強酸を用いる方が置換効率が高い。
【0043】酸を加える場合には、例えば、上記熱処理
物を予め水に分散させてから酸を加えても、或いは既に
調整された酸水溶液に分散させても良い。なお、アルカ
リ金属又はアルカリ土類金属が多量に含まれている熱処
理物は、塊状になることがあるが、この場合には水溶液
中での分散性を高めるために予め粉砕しておくことが好
ましい。
【0044】酸処理後は、常法に従って水洗、濾過し、
固液分離した後、室温〜800℃程度、好ましくは室温
〜250℃程度で乾燥すれば、本発明第1発明の結晶質
ケイ酸リン酸ジルコニウムが得られる。
【0045】本発明第2発明又は第3発明の結晶質ケイ
酸リン酸ジルコニウムは、SiO2/P2 5 モル比を
それぞれの化学式の応じた割合とすることによってそれ
ぞれ製造することができる。
【0046】本発明第1発明の結晶質ケイ酸リン酸ジル
コニウムは、イオン交換体として有用である。即ち、本
発明は、第1発明に係る結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウ
ムにおけるイオン交換可能な水素イオンの一部又は全部
を金属イオン及びアンモニウムイオンの少なくとも1種
で置換された結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物を
包含する(以下、「第4発明」という)。
【0047】本発明第4発明は、その置換イオンによっ
て様々な用途に利用することができる。例えば、1)L
i、Na、K、アンモニウム等のイオンを交換したもの
は、吸湿剤、吸着剤等として、2)Cu、Ni、Co、C
e、Pd、Rd、Pt等のイオンを交換したものは、触
媒等として、3)Li、Na、Tl、Cu、Ag等のイオ
ンを交換したものは、イオン伝導体、センサー、固体電
解質等として、4)Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、
Sr、Cs等のイオンを交換したものは、低熱膨張セラ
ミックス等として、5)Ag、Cu、Zn、Hg、Sn、
Pb、Bi、Cd、Cr、Tl等のイオンを交換したも
のは、抗菌剤、消臭剤、防カビ剤等として、それぞれ利
用することができる。本発明第4発明は、これらの用途
に限定されず、極めて多岐にわたる用途に利用すること
ができるが、この中でも特に低熱膨張性材料、抗菌性材
料等として優れた効果を発揮することができる。
【0048】第4発明はa)一般式M1 1+X-2Y2 Y
2 (SiO4 3-X (PO4 X・mH2 O(但し、
1 は水素イオン、アンモニウムイオン、アルカリ金属
イオン又は1価の抗菌性金属イオンを示し、M2はアル
カリ土類金属イオン又は2価の抗菌性金属イオンを示
し、M1 +M2 の原子価の合計は1+Xである。mH2
Oは結晶水及び/又は吸着水を示す。m、Y及びXはそ
れぞれ係数を示し、0≦m<5、0<Y≦1.5、0<
X<3である。) b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
一般式4ZrO2 ・6−2XSiO2 ・XP2 5 で表
わされる基本骨格構造を有する結晶質ケイ酸リン酸ジル
コニウム化合物を包含する。
【0049】上記構成を有する結晶質ケイ酸リン酸ジル
コニウム化合物において、M1 及びM2 の少なくとも一
方が抗菌性金属イオンであるものは、特に抗菌性材料と
して有用である。本発明において抗菌性金属イオンは、
そのイオン交換された結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム
化合物に抗菌性、防カビ性等を発現させるものであれば
その種類は制限されないが、特にAg、Cu、Zn、H
g、Sn、Pb、Bi、Cd、Cr及びTlから選ばれ
た少なくとも1種であることが望ましい。この中でも、
Ag、Cu及びZnから選ばれた少なくとも1種である
ことがより好ましい。
【0050】また、上記結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウ
ム化合物において、M1 及びM2 の少なくとも一方がア
ルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの少なく
とも1種であるものは、特に低熱膨張性材料として有用
である。これらアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金
属イオンの中でも、特にMg、Ca、Ba、Sr等が好
ましい。
【0051】本発明第4発明は、第1発明の結晶質ケイ
酸リン酸ジルコニウムをイオン交換することにより得ら
れる。例えば、第1発明の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニ
ウムにカチオン化合物を含む溶液を接触させたり、或い
は第1発明の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムを含む水
分散液にカチオン化合物を接触させることにより製造す
ることができる。装置面から言えば、結晶質ケイ酸リン
酸ジルコニウムを公知のカラム法、バッチ法等によって
イオン交換して製造することができる。
【0052】イオン交換の割合及び操作条件は、結晶質
ケイ酸リン酸ジルコニウムの組成・加熱乾燥温度、交換
するイオンの種類等に応じて適宜定めれば良い。
【0053】イオン交換した後は、公知のイオン交換法
における濾過、デカンテーション等により液から分離
し、洗浄及び乾燥すれば良い。乾燥処理は、例えば、常
圧又は減圧下で通常30〜1300℃程度、好ましくは
100〜300℃で1〜24時間程度行う。また、必要
に応じて、イオン交換された結晶質ケイ酸リン酸ジルコ
ニウムを水素気流下で加熱し、酸又はアルカリ水溶液に
浸漬し、シリコーン、パラフィンワックス、界面活性剤
等による処理を施すこともできる。この処理によって粒
子表面の改質を図ることができる。
【0054】
【発明の効果】本発明の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウ
ム化合物は、三次元網目状構造をもついわゆるミクロ多
孔質材料であり、それ自体優れたイオン交換特性を有
し、例えばイオン交換体、イオン伝導体、吸着材料、触
媒材料等として有用である。しかも、従来の三次元網目
状構造をもつ結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物と
同等以上の耐熱性、耐薬品性等をも有しており、様々な
用途に適用することが可能となる。
【0055】また、イオン交換されたものは、金属イオ
ンの種類等によって、例えば、以下に示すよう種々の用
途に利用できるものである。Li、Na、K、アンモニ
ウム等のイオンで交換したものは、特に吸着剤、吸湿剤
等として有用である。Cu、Ni、Co、Ce、Pd、
Rd、Pt等のイオンで交換したものは、特に触媒等に
有用である。Li、Na、Tl、Cu、Ag等のイオン
で交換したものは、特にイオン伝導体、固体電解質、セ
ンサー等に有用である。Ag、Cu、Zn、Hg、S
n、Pb、Bi、Cd、Cr、Tl等のイオンで交換し
たものは、特に抗菌剤、防カビ剤等に有用である。L
i、Na、K、Mg、Ca、Ba、Sr等のイオンで交
換したものは、特に低熱膨張性セラミックス材料等に有
用である。
【0056】特に、本発明は、Ag、Cu及びZnの少
なくとも1種のイオンでイオン交換したものは、酸性〜
アルカリ性のpH領域の幅広い範囲で優れた耐水性、耐
薬品性、耐塩性等を発揮し、また約1000℃の高温下
においても変質・変色せず、しかも日光や紫外線に対し
ても変質・変色せず、耐熱性、耐候性等にも優れてい
る。従って、これを、例えば無機材料、天然高分子、合
成樹脂等に配合、コーティング等をすることにより、耐
水性、耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れ、かつ抗菌
性、防カビ性のほか露結性、消臭性、保温性等を兼ね備
えたフィルム、成型品、繊維、紙、塗料・インク等を製
造することができる。
【0057】また、例えば天然合成樹脂に無機物を添加
する場合、白色ににごり、透明樹脂が不透明化すること
があるが、本発明結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合
物は失透度合いが極めて低く、これを用いて透明フィル
ム、透明容器、透明コーティング、透明塗料等を製造す
ることもできる。
【0058】さらに、アルカリ金属及びアルカリ土類金
属の少なくとも1種で交換したものは、耐熱衝撃性、耐
熱性、耐薬品性等に優れた低膨張性材料として有用であ
る。
【0059】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明
確に説明する。なお、本発明は、これら実施例以外の方
法によっても実施可能であり、下記実施例により限定さ
れるものではない。
【0060】なお、実施例における各測定は、次のよう
にして行った。
【0061】(1)粉末X線回折分析 X線回折分析装置(「ガイガーフレックスRAD−2
A」理学電機(株)製)を使用し、測定時の照射源は4
5KV及び25mAで操作される銅ターゲットX線管で
あり、圧縮粉末を2(2θ)/分で走査し、CuKα照
射及びグラファイトモノメーター〔(λ(CuKα1
=1.54056オングストローム〕から記録した。
【0062】d(面間隔)は、2θ(θはブラッグ角)
として表わされる回折ピークの位置から回折図形を得
た。I(強度)は、バックグラウンドを減じた後の回折
ピークの高さから測定した。
【0063】(2)Zr、Si及びPの組成分析 ガラスビード化蛍光X線法により測定した。試料調製に
おいては、測定試料0.30gを白金ルツボに量り取
り、ホウ酸リチウム4gを加えて混合した後、高周波誘
導加熱法でガラスビード化した。定量にあたっては、Z
rO2 、SiO2及びCa3 (PO4 3 を用いて検量
線を作成し、マトリックス補正を行った後、蛍光X線分
析(蛍光X線回折装置「System3080」(株)
リガク製)により測定した。測定条件を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】(3)イオン交換した元素成分の分析 フッ素樹脂製容器に乾燥した試料と濃硝酸又は濃硫酸と
を入れ、1日間リフラックスして溶離した後、溶離液中
の溶出金属をJIS K 0121の原子吸光法により
測定した。
【0066】(4)強熱減量 乾燥した試料を1000℃・2時間加熱して、その減量
値からH2 O量を求めた。
【0067】(5)交換基として作用する水素イオン量 金属イオンの置換によるイオン交換容量、溶液中に溶離
された酸量、熱分析及びIR分析により測定しつつ、上
記の強熱減量、X線回折分析及び化学分析と併用して求
めた。
【0068】(6)熱分析 示差熱天秤装置(「TAS−100,TG−8110」
理学電機(株)製)を使用して空気雰囲気中、試料20
mg・昇温速度10℃/分で測定した。
【0069】(7)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法で作製したペレットを、赤外分光光度計
(「IR−460」島津製作所(株)製)を用いて40
00cm-1から400cm-1で測定した。
【0070】(8)粉末粒子の色調及び形状 肉眼及び10倍ルーペにより観察した。
【0071】(9)比重 乾燥した試料をJIS Z 8807により比重ビンを
用いて真比重を測定した。
【0072】(10)比表面積 比表面積細孔分布解析装置(「オートソーブー1」カン
タクローム社製)を使用して、窒素ガスを用い、110
℃で脱気処理した試料をBET法に基づく窒素吸着−脱
着法により測定した。
【0073】(11)3%水性分散液のpH 試料3gを蒸留水97mlに加えて20分間攪拌した
後、上澄液のpHを測定した。
【0074】(12)イオン交換能の測定 試料1gを1.0moldm-3のM1 Cl又はM1 NO
3 及びM2 Cl2 又はM2 (NO3 2 (ここで、M1
はLi、Na、K又はAg、M2 はMg、Ca、Ba、
Cu又はZnを表わす。)溶液中に室温下で攪拌しなが
ら2時間浸漬した。浸漬終了時の溶液のpHを測定し、
処理上澄み液中の残存イオンを原子吸光分析装置(「Z
−6000」,日立(株)製)及びICP発光分光分析
装置(「SPS−1200A」,セイコー電子工業
(株)製)を用いて定量測定した。
【0075】実施例1 硝酸ジルコニウム溶液(ZrO(NO3 2 )、ZrO
2 換算で25.2%ZrO2 含有水溶液)60.8gに
水を加えて全量400gとした。これに、ケイ酸ソーダ
溶液(JIS規格3号、13.7%Si、7.0%Na
を含有)51.0gに水550gを加えて溶解させたケ
イ酸塩溶液を、pHが部分的に強アルカリにならないよ
うに攪拌しながら加えた。得られた混合液に、リン酸溶
液(JIS1級試薬、化学式H3 PO4 85%)1
4.3gを水200gを加えて得たリン酸希釈液を攪拌
しながら加えて反応させた。この混合物におけるジルコ
ニウム化合物、ケイ素化合物及びリン化合物の最終反応
混合物の原料配合割合は酸化物のモル比で表わして1.
0ZrO2 :2.0SiO2 :0.5P2 5 であっ
た。
【0076】上記で得られた反応スラリーを加熱して1
時間リフラックスさせた。次に、スラリーを65〜80
℃に加熱保持しながら5%(重量)KOH及び5%(重
量)KNO3 を含むナトリウム塩水溶液でスラリーのp
Hを12.0に調整した後、室温まで放冷した。
【0077】沈殿生成物を試験用フィルタープレスで濾
過し、水2000mlで水洗して湿潤ケーキを得た。得
られた湿潤ケーキを磁製蒸発皿に移し、これに10重量
%KNO3 80gを加え、均一に分散し、150℃に温
度調節された熱風乾燥器中で蒸発乾燥後、取り出した塊
状乾燥物を磁製乳棒で粉砕した。これを電気炉中105
0℃で1時間加熱処理した。その後、室温まで放冷して
得た白色粉末を2.5規定の硝酸500mlに投入し、
室温で2時間攪拌処理した。この酸処理物をブフナーロ
ートで濾過し、2500mlの水で洗浄後固液分離し
た。得られた脱水物を乾燥器中で100℃・5時間乾燥
し、白色粉末38.1gを得た。
【0078】このようにして得られた乾燥粉末の一部を
用いて化学分析及び粉末X線回折分析を行った。化学分
析の結果によれば、44.7重量%のZr、13.9重
量%のSi、7.60重量%のP、及び33.8重量%
の強熱減量(2.49重量%の結晶水及び吸着水を含
有)を含有しており、分析的結果による無水基準で、酸
化物のモル比で表して、1.0ZrO2 ・1.0SiO
2 ・0.25P2 5 の化学組成を示した。
【0079】X線回折分析の結果を下表及び図1(a)
に示す。
【0080】 2θ 面間隔d ピーク強度 (度) (オングストローム) (100×I/I 0 13.66 6.477 39 18.62 4.761 77 20.09 4.416 88 22.94 3.873 100 27.56 3.233 40 29.92 2.983 86 34.36 2.607 10 41.92 2.152 10 45.33 1.999 11 46.93 1.934 18 50.53 1.804 11 54.56 1.680 10 55.84 1.645 7 (d:1.600オングストロームまでの主な回折ピーク) このX線回折パターンは第2発明における主相と実質的
に同じX線回折パターンを示し、一般式H3 Zr2 (S
iO4 2 (PO4 )・0.6H2 Oで示される。この
パターンは、特公平6−53566号公報に開示された
HZr2 (PO4 3 ・mH2 Oと類似し、また三次元
網目状構造の一連のMZr2 (PO4 3 (MはH、L
i、Na、NH3 又はK)の結晶構造と類似しているこ
とから、三次元網目状構造を有する結晶質であることが
わかる。また、得られた白色粉末生成物の熱分析及び赤
外分分析を行った。その結果を図2(a)、図3(a)
及び図4(a)にそれぞれ示す。
【0081】図2(a)及び図3(a)から、34〜2
00℃の温度範囲では重量減少を伴った脱水反応が起こ
り、884〜1200℃の温度範囲では発熱を伴った熱
分解反応を起こすことがわかる。さらに、得られた白色
粉末生成物の諸物性を測定した。その結果、BET法に
よる比表面積65m2 /g、真比重3.04、3%水性
分散液のpH4.7であった。
【0082】このようにして得られた酸処理乾燥生成物
のケイ酸リン酸ジルコニウムのイオン交換体としての特
性を交換反応によって調べ、各金属イオンの交換能を測
定した。その結果を下表に示す。
【0083】 交換させる塩 浸漬後の上澄み液pH イオン交換能(meq/g) LiCl 3.8 3.2 NaCl 3.6 2.6 KCl 3.3 3.7 MgCl2 3.4 1.6 CaCl2 3.5 1.3 BaCl2 3.0 1.4 AgNO3 4.3 1.3 Cu(NO3 2 2.9 1.3 Zn(NO3 2 2.7 1.6 実施例2 硝酸ジルコニウム溶液(ZrO(NO3 2 )、ZrO
2 換算で25.0%ZrO2 含有水溶液)60.8gに
水を加えて全量300gとした。これに、ケイ酸ソーダ
溶液(JIS規格3号、13.7%Si及び7.0%N
aを含有)25.5gに水150gを加えて溶解させた
ケイ酸塩溶液を、pHが部分的に強アルカリにならない
ように攪拌しながら加えた。得られた混合液に、リン酸
溶液(JIS1級試薬、化学式H3 PO4 、85%)2
8.6gを水400gを加えて得たリン酸希釈液を攪拌
しながら加えて反応させた。この混合物におけるジルコ
ニウム化合物、ケイ素化合物及びリン化合物の最終反応
混合物の原料配合割合は酸化物のモル比で表わして1.
0ZrO2 :1.0SiO2 :1.0P2 5であっ
た。
【0084】得られた反応スラリーを90℃に加熱して
攪拌しながら3時間加熱熟成させた後、室温まで放冷し
た。次に、このスラリーを5%(重量)NaOH及び5
%(重量)NaNO3 を含むナトリウム塩水溶液でその
pHを13.0に調整した後、室温中で1時間攪拌し続
けた。
【0085】沈殿生成物を試験用フィルタープレスで濾
過し、未反応のナトリウム塩を含む湿潤ケーキ390g
を得た。得られた湿潤ケーキを熱風乾燥器により250
℃で5時間乾燥後、電気炉中1000℃で1時間加熱処
理した。その後、室温まで放冷して得た白色粉末を2規
定の硝酸500mlに投入し、室温で2時間攪拌処理し
た。この酸処理物をブフナーロートで濾過し、2000
mlの脱塩水で洗浄後脱水した。得られた脱水物を乾燥
器中で100℃・5時間乾燥し、白色粉末23.8gを
得た。
【0086】このようにして得られた乾燥粉末の一部を
用いて化学分析及び粉末X線回折分析を行った。化学分
析の結果によれば、41.0重量%のZr、6.3重量
%のSi、14.0重量%のP、及び38.7重量%の
強熱減量(2.4重量%の結晶水及び吸着水を含有)を
含有しており、分析的結果による無水基準で、酸化物の
モル比で表して、2.0ZrO2 ・1.0SiO2
1.0P2 5 の化学組成を示した。
【0087】X線回折分析の結果を下表及び図1(b)
に示す。
【0088】 2θ 面間隔d ピーク強度 (度) (オングストローム) (100×I/I 0 13.92 6.334 26 19.44 4.562 77 20.12 4.409 97 23.32 3.811 100 26.66 3.341 52 31.09 2.874 84 34.41 2.604 10 34.84 2.573 11 39.48 2.280 10 42.74 2.113 10 46.43 1.954 9 47.69 1.905 21 59.59 1.802 9 54.85 1.672 8 55.91 1.643 5 (d:1.600オングストロームまでの主な回折ピーク) このX線回折パターンは第2発明における主相と実質的
に同じX線回折パターンを示し、一般式H2 Zr2 (S
iO4 )(PO4 2 ・0.6H2 Oで示される。この
パターンは、特公平6−53566号公報に開示された
HZr2 (PO4 )・mH2 Oと類似し、また三次元網
目状構造の一連のMZr2 (PO4 3(MはH、L
i、Na、NH3 又はK)の結晶構造と類似しているこ
とから、三次元網目状構造を有する結晶質であることが
わかる。また、得られた白色粉末生成物の熱分析及び赤
外分分析を行った。その結果を図2(b)、図3(b)
及び図4(b)にそれぞれ示す。
【0089】図2(b)及び図3(b)から、43〜2
00℃の温度範囲では重量減少を伴った脱水反応が起こ
り、948〜1000℃の温度範囲では発熱を伴った熱
分解反応を起こすことがわかる。さらに、得られた白色
粉末生成物の諸物性を測定した。その結果、BET法に
よる比表面積25m2 /g、真比重2.97、3%水性
分散液のpH3.6であった。
【0090】このようにして得られた酸処理乾燥生成物
のケイ酸リン酸ジルコニウムのイオン交換体としての特
性を交換反応によって調べ、各金属イオンの交換能を測
定した。その結果を下表に示す。
【0091】 交換させる塩 浸漬後の上澄み液pH イオン交換能(meq/g) LiCl 3.7 3.4 NaCl 3.2 3.0 KCl 3.1 4.9 MgCl2 3.1 1.6 CaCl2 2.7 1.6 BaCl2 2.7 1.7 AgNO3 3.7 1.5 Cu(NO3 2 2.6 1.6 Zn(NO3 2 2.7 1.5 実施例3 ケイ酸ソーダ溶液(JIS規格3号)38.0gに水5
00gを加えて全量500gとした。リン酸二水素ナト
リウム粉末(JIS試薬、化学式NaH2 PO4 ・2H
2 O)14.7gに水350gを加え、加熱して溶解さ
せたリン酸溶液を調製した。両者の溶液を攪拌しながら
混合した。
【0092】次いで、ヒドロキシ塩化ジルコニウム溶液
(ZrOOHCl,ZrO2 換算で35.0%ZrO2
含有水溶液)65.5gに水を加えて全量500gとし
た希釈液を激しく攪拌しながら上記混合液に加えて反応
させた。この混合物におけるジルコニウム化合物、ケイ
素化合物及びリン化合物の最終反応混合物の原料配合割
合は酸化物のモル比で表わして1.0ZrO2 :1.0
SiO2 :0.51P2 5 であった。
【0093】得られた反応スラリーを加熱して1時間リ
フラックスさせた。放冷後、デカンテーション法による
水洗のため、この反応スラリー溶液に水2500mlを
加えて良く攪拌した後、静置して上澄み液を抜き取り、
再び水2500mlを加えて攪拌後上澄み液を抜き取る
という操作を4回繰り返した。ホッティングスターラー
を使用してこの水洗スラリーを含む860mlの液を9
0〜100℃に維持しながら硝酸カルシウム粉末(JI
S試薬、化学式Ca(NO3 2 ・4H2 O)33.0
gを加え、均一に分散させた後、磁製蒸発皿に移し、1
05℃に温度調節された乾燥器中で蒸発乾燥後、取り出
した塊状乾燥物を磁製乳棒で粉砕した。これを電気炉中
1050℃で1時間加熱処理した。その後、室温まで放
冷して得た白色粉末を2.5規定の硝酸500mlに投
入し、室温で5時間攪拌処理した。この酸処理物をブフ
ナーロートで濾過し、3000mlの水で洗浄後固液分
離した。得られた脱水物を25℃・相対湿度40%に調
節された恒温恒湿器中で48時間乾燥し、白色粉末2
3.8gを得た。
【0094】このようにして得られた乾燥粉末の一部を
用いて化学分析及び粉末X線回折分析を行った。化学分
析の結果によれば、44.5重量%のZr、14.1重
量%のSi、7.5重量%のP、及び33.9重量%の
強熱減量(2.3重量%の結晶水及び吸着水を含有)を
含有しており、分析的結果による無水基準で、酸化物の
モル比で表して、1.0ZrO2 ・1.0SiO2
0.25P2 5 の化学組成を示した。
【0095】X線回折分析の結果を下表及び図1(c)
に示す。
【0096】 2θ 面間隔d ピーク強度 (度) (オングストローム) (100×I/I 0 13.63 6.491 53 18.61 4.764 64 20.09 4.416 100 22.92 3.877 85 27.52 3.238 63 29.89 2.986 58 34.36 2.607 36 41.83 2.157 10 45.27 2.001 9 46.89 1.936 14 50.54 1.804 15 54.63 1.678 11 55.86 1.644 8 (d:1.600オングストロームまでの主な回折ピーク) このX線回折パターンは第2発明における主相と実質的
に同じX線回折パターンを示し、このパターン及び化学
分析の結果から、上記酸処理粉末は一般式H3Zr
2 (SiO4 2 (PO4 )・0.5H2 Oで示され
る。また、得られた乾燥粉末の熱分析の結果、実施例1
のものと同様のパターンを示し、250℃までの温度範
囲では重量減少を伴った脱水反応が起こり、965℃の
温度で発熱を伴った熱分解反応を起こし、ピロリン酸Z
rP2 7 のX線回折パターンをもつ生成物に変化し
た。さらに、得られた白色粉末生成物の諸物性を測定し
た。その結果、BET法による比表面積57m2 /g、
真比重3.01、3%水性分散液のpH3.3であっ
た。
【0097】このようにして得られた酸処理乾燥生成物
のケイ酸リン酸ジルコニウムのイオン交換体としての特
性を交換反応によって調べ、各金属イオンの交換能を測
定した。その結果を下表に示す。
【0098】 交換させる塩 浸漬後の上澄み液pH イオン交換能(meq/g) LiCl 4.1 2.5 NaCl 3.7 1.3 KCl 3.4 3.2 MgCl2 3.4 1.1 CaCl2 3.6 0.9 BaCl2 2.9 1.4 AgNO3 4.5 1.1 Cu(NO3 2 3.0 0.9 Zn(NO3 2 2.6 1.7 実施例4 塩基性硫酸ジルコニウム溶液(H2 ZrO(S
4 2 )、ZrO2 換算で18.0%ZrO2 含有水
溶液)85.0gに水を加え、溶解させて全量600g
とした。これに、ケイ酸ソーダ溶液(JIS規格3号)
25.5gとリン酸二水素カリウム粉末(JIS規格
化学式KH2 PO4 )34.0gに水を加えて溶解させ
た溶液500gを、pHが部分的に強アルカリにならな
いように攪拌しながら加えた。この混合物におけるジル
コニウム化合物、ケイ素化合物及びリン化合物の最終反
応混合物の原料配合割合は、酸化物のモル比で表わして
1.0ZrO2 :1.0SiO2 :1.0P2 5 であ
った。
【0099】得られたスラリーに10%(重量)KOH
水溶液を加えてスラリーのpHを12.0に調整した
後、90〜100℃で攪拌しながら2時間加熱熟成後、
室温中で20時間放冷した。
【0100】沈殿生成物を試験用フィルタープレスで濾
過し、水2000mlで水洗して湿潤ケーキを得た。得
られた湿潤ケーキを磁製蒸発皿に移し、これに硝酸カリ
ウム粉末(JIS試薬 KNO3 )3.0g及び水20
0gを加え、均一に分散し、150℃に温度調節された
熱風乾燥器中で乾燥後、取り出した塊状乾燥物を磁製乳
棒で粉砕した。これを電気炉中1000℃で1時間加熱
処理した。その後、室温まで放冷して得た白色粉末を
2.5規定の硝酸500mlに投入し、室温で2時間攪
拌処理した。この酸処理物をブフナーロートで濾過し、
2500mlの水で洗浄後固液分離した。得られた脱水
物を25℃・相対湿度40%に調節された恒温恒湿器中
で48時間乾燥し、白色粉末26.1gを得た。
【0101】このようにして得られた乾燥粉末の一部を
用いて化学分析及び粉末X線回折分析を行った。化学分
析の結果によれば、41.1重量%のZr、6.3重量
%のSi、13.7重量%のP、及び38.9重量%の
強熱減量(2.4重量%の結晶水及び吸着水を含有)を
含有しており、分析的結果による無水基準で、酸化物の
モル比で表して、2.0ZrO2 ・1.0SiO2
1.0P2 5 の化学組成を示した。
【0102】X線回折分析の結果を下表及び図1(d)
に示す。
【0103】 2θ 面間隔d ピーク強度 (度) (オングストローム) (100×I/I 0 13.94 6.347 20 19.43 4.564 54 20.11 4.411 66 23.30 3.814 67 26.64 3.343 100 31.08 2.875 60 34.39 2.605 14 34.83 2.573 15 39.45 2.282 7 (d:1.600オングストロームまでの主な回折ピーク) このX線回折パターンは第3発明における主相と実質的
に同じパターンを示し、一般式H2 Zr2 (SiO4
(PO4 2 ・0.6H2 Oで示される。このパターン
は、実施例2のものと同様のパターンを示した。また、
熱分析の結果、250℃までは重量減少を伴った脱水反
応が起こり、961℃で発熱を伴った熱分解反応を起こ
した。さらに、得られた白色粉末生成物の諸物性を測定
した。その結果、BET法による比表面積29m2
g、真比重2.99、3%水性分散液のpH3.7であ
った。
【0104】このようにして得られた酸処理乾燥生成物
のケイ酸リン酸ジルコニウムのイオン交換体としての特
性を交換反応によって調べ、各金属イオンの交換能を測
定した。その結果を下表に示す。
【0105】 交換させる塩 浸漬後の上澄み液pH イオン交換能(meq/g) NaCl 3.5 1.9 KCl 3.6 3.6 MgCl2 3.5 1.3 CaCl2 3.7 1.2 BaCl2 3.5 1.5 AgNO3 4.4 1.2 Cu(NO3 2 3.1 1.2 Zn(NO3 2 3.4 1.2 試験例1 本発明に係る結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物に
おける抗菌性について調べた。
【0106】実施例1で得られたH3 Zr2 (Si
4 2 (PO4 )・0.6H2 Oを10g用いた。こ
れに、下表に示すように濃度が異なる銀及び/又は亜鉛
の硝酸塩を含む水溶液150mlを加え、次に10重量
%アン水を徐々に添加した。アン水の添加は、溶液がp
H5以上にならないようにし、24時間攪拌接触させて
最終pH2.6に調整した。次いで、固液分離し、水洗
後、100〜120℃で2時間乾燥した。
【0107】ここに、調整時の硝酸銀・硝酸亜鉛の水溶
液濃度、及び生成物の銀・亜鉛含有値を下表に示す。
【0108】 試験No. 調整時の水溶液濃度% 生成物の金属含有量% AgNO 3 Zn(NO 3 2 Ag Zn 1 1 0 1 0 2 2 2 3 5 3 5 0 8 0 4 10 5 10 2.5 抗菌性金属を含有した乾燥試料の一部を抗菌力の評価に
供した。まず、水で2倍に希釈した懸濁液をそれぞれ1
/9量加えて十分混合した後、シャーレに分注し、固化
させて感受性測定用平板とした。試験菌株(Escherichi
a Coli IFO: 大腸菌)を増菌用培地で培養後、菌数を1
6 /mlに調製した接種用菌液とした。この菌液を感
受性測定用平板にニクロム線ループ(内径約1mm)で
2cm程度画線塗抹し、35℃で2日間培養した。評価
は、所定の時間培養後、発育が阻止された濃度をもって
最小発育濃度(MIC:単位ppm)とした。その結果
を下表に示す。
【0109】 次に、乾燥試料の種々の環境下における外観の変色度合
いを観察した。各試料No.1〜4を電気炉中、大気下
800℃で10時間加熱処理し、取り出して放冷後、肉
眼及び10倍ルーペで観察した。その結果、抗菌性金属
を含まない元の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムと全く
同じ色調の白色粉末であった。また、各試料0.5gを
1.0%食塩水100ml及び家庭用市販洗濯粉末を上
水に溶解させて得た1.0%溶解液100mlにそれぞ
れ25℃で5時間攪拌した後、固液分離し、風乾した。
次いで、7cmシャーレ(蓋なし)に均一に広げ、太陽
光が直接当たる窓際に20日間放置した後、目測及び1
0倍ルーペで観察したところ、上記熱処理の結果と同様
に色調に変化がなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で製造された結晶質ケイ酸リン酸ジルコ
ニウムの粉末X線回折パターンである。
【図2】実施例1及び2で製造された結晶質ケイ酸リン
酸ジルコニウムの加熱による重量変化の測定結果であ
る。
【図3】実施例1及び2で製造された結晶質ケイ酸リン
酸ジルコニウムの加熱による示差熱分析の測定結果であ
る。
【図4】実施例1及び2で製造された結晶質ケイ酸リン
酸ジルコニウムの赤外線スペクトルである。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)一般式H1+X Zr2 (SiO4 3-X
    (PO4 X ・mH2 O(但し、mH2 Oは結晶水及び
    /又は吸着水を示し、m及びXは係数であって、0≦m
    <5、0<X<3である。)で表わされ、 b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
    一般式4ZrO2 ・6−2XSiO2 ・XP2 5 (但
    し、0<X<3である。)で表わされる基本骨格構造を
    有し、 c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉末X線回
    折パターンを有し、 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.31〜6.49 s 4.50〜4.78 vs 4.35〜4.44 vs 3.69〜3.89 vs 3.18〜3.36 s〜vs 2.75〜3.01 vs 2.49〜2.62 m 2.05〜2.17 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非常に 強いことを示す。) d)熱天秤示差熱分析において、250℃以下の温度で
    重量減少及び吸熱を伴った結晶水及び吸着水の脱水反応
    を示し、かつ、850〜1050℃の温度範囲で発熱を
    伴った熱分解反応による結晶構造の変化を示し、 e)BET法による比表面積が5〜600m2 /g、 f)真比重が2〜4g/cm3 、 g)3%水性分散液のpHが2〜7、及び h)イオン交換容量(最大)が6.5meq.K+ /g
    である結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム。
  2. 【請求項2】a)一般式 H3 Zr2 (SiO4 )(P
    4 2 ・m1 2 O(但し、m1 2 Oは結晶水及び
    /又は吸着水を示し、 0≦m1 <5である。)で表わされ、 b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
    一般式4ZrO2 ・4SiO2 ・P2 5 で表わされる
    基本骨格構造を有し、 c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉末X線回
    折パターンを有し、 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.35〜6.49 s 4.50〜4.78 vs 4.35〜4.44 vs 3.80〜3.89 vs 3.18〜3.24 s〜vs 2.86〜3.01 vs 2.50〜2.62 m 2.05〜2.17 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非
    常に強いことを示す。)d)熱天秤示差熱分析におい
    て、250℃以下の温度で重量減少及び吸熱を伴った結
    晶水及び吸着水の脱水反応を示し、かつ、850〜10
    50℃の温度範囲で発熱反応を伴った熱分解反応による
    結晶構造の変化を示し、 e)BET法による比表面積が5〜600m2 /g、 f)真比重が2〜4g/cm3 、 g)3%水性分散液のpHが2〜7、及び h)イオン交換容量(最大)が6.5meq.K+ /g
    である結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム。
  3. 【請求項3】a)一般式 H2 Zr2 (SiO4
    2 (PO4 )・m2 2 O(但し、m2 2 Oは結晶水
    及び/又は吸着水を示し、0≦m2<5である。)で表
    わされ、 b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
    一般式2ZrO2 ・SiO2 ・P2 5 で表わされる基
    本骨格構造を有し、 c)少なくとも、下表に示す面間隔dを含む粉末X線回
    折パターンを有し、 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 6.31〜6.36 s 4.52〜4.58 vs 4.36〜4.44 vs 3.69〜3.83 vs 3.30〜3.36 s〜vs 2.75〜2.89 vs 2.49〜2.59 m 2.20〜2.30 m 2.05〜2.14 m (表中、m、s及びvsは、それぞれ中位、強い及び非
    常に強いことを示す。)d)熱天秤示差熱分析におい
    て、250℃以下の温度で重量減少及び吸熱を伴った結
    晶水及び吸着水の脱水反応を示し、かつ、850〜10
    50℃の温度範囲で発熱を伴った熱分解反応による結晶
    構造の変化を示し、 e)BET法による比表面積が5〜500m2 /g、 f)真比重が2〜4g/cm3 、 g)3%水性分散液のpHが2〜7、及び h)イオン交換容量(最大)が4.3meq.K+ /g
    である結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム。
  4. 【請求項4】請求項1記載の結晶質ケイ酸リン酸ジルコ
    ニウムにおけるイオン交換可能な水素イオンの一部又は
    全部が金属イオン及びアンモニウムイオンの少なくとも
    1種で置換された結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合
    物。
  5. 【請求項5】a)一般式M1 1+X-2Y2 Y Zr2 (Si
    4 3-X (PO4 X・mH2 O(但し、M1 は水素
    イオン、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン又は
    1価の抗菌性金属イオンを示し、M2はアルカリ土類金
    属イオン又は2価の抗菌性金属イオンを示し、M1 +M
    2 の原子価の合計は1+Xである。mH2 Oは結晶水及
    び/又は吸着水を示す。m、Y及びXはそれぞれ係数を
    示し、0≦m<5、0<Y≦1.5、0<X<3であ
    る。) b)無水基準で酸化物のモル比で表わされる化学組成が
    一般式4ZrO2 ・6−2XSiO2 ・XP2 5 で表
    わされる基本骨格構造を有する請求項4記載の結晶質ケ
    イ酸リン酸ジルコニウム化合物。
  6. 【請求項6】請求項5記載の結晶質ケイ酸リン酸ジルコ
    ニウム化合物において、M1 及びM2 の少なくとも一方
    が抗菌性金属イオンである抗菌性結晶質ケイ酸リン酸ジ
    ルコニウム化合物。
  7. 【請求項7】抗菌性金属イオンが、Ag、Cu、Zn、
    Hg、Sn、Pb、Bi、Cd、Cr及びTlから選ば
    れた少なくとも1種である請求項6記載の抗菌性結晶質
    ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物。
  8. 【請求項8】抗菌性金属イオンが、Ag、Cu及びZn
    から選ばれた少なくとも1種である請求項7記載の抗菌
    性結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物。
  9. 【請求項9】請求項5記載の結晶質ケイ酸リン酸ジルコ
    ニウム化合物において、M1 及びM2 の少なくとも一方
    がアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの少
    なくとも1種である低熱膨張性結晶質ケイ酸リン酸ジル
    コニウム化合物。
  10. 【請求項10】a)ジルコニウム化合物、ケイ素化合物
    及びリン化合物の水溶液をP2 5 /ZrO2 (モル
    比)=0.1〜1かつSiO2/ZrO2 (モル比)=0.
    2〜10となるように混合して反応生成物を含むスラリ
    ーを調製する工程、 b)上記スラリーにアルカリ金属化合物及びアルカリ土
    類金属化合物の少なくとも1種を加え、熟成し、結晶質
    ケイ酸リン酸ジルコニウム前駆体を得る工程、 c)上記前駆体を熱処理して実質的に結晶質に変化させ
    る工程、及び d)上記の熱処理物に酸を加える工程からなることを特
    徴とする結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウムの製造方法。
  11. 【請求項11】工程a)において、ジルコニウム化合
    物、ケイ素化合物及びリン化合物の水溶液の濃度を、最
    終反応生成物の量が20重量%を超えないようにする請
    求項10記載の製造方法。
  12. 【請求項12】工程b)において、スラリーにアルカリ
    金属及びアルカリ土類金属の少なくとも1種を加えて、
    pHを7〜14の範囲に調整する請求項10又は11に
    記載の製造方法。
  13. 【請求項13】工程c)において、熱処理に先立って、
    結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム前駆体を予め800℃
    を超えない温度で乾燥ないし加熱処理した後にアルカリ
    金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加する請求
    項10乃至12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項1の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニ
    ウムに、カチオン化合物を含む溶液を接触させることを
    特徴とする結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物の製
    造方法。
  15. 【請求項15】請求項1の結晶質ケイ酸リン酸ジルコニ
    ウムを含む水分散液に、カチオン化合物を接触させるこ
    とを特徴とする結晶質ケイ酸リン酸ジルコニウム化合物
    の製造方法。
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