JPH08268380A - 固液界面の気体膜形成方法 - Google Patents

固液界面の気体膜形成方法

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JPH08268380A
JPH08268380A JP7076483A JP7648395A JPH08268380A JP H08268380 A JPH08268380 A JP H08268380A JP 7076483 A JP7076483 A JP 7076483A JP 7648395 A JP7648395 A JP 7648395A JP H08268380 A JPH08268380 A JP H08268380A
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JP
Japan
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gas
air
solid
liquid
powder particles
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Withdrawn
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JP7076483A
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English (en)
Inventor
Hisashi Nobunaga
尚志 延永
Yoichi Sugiyama
洋一 杉山
Naoki Matsubara
直樹 松原
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目 的】 液体と接触する表面の防汚、腐食防止、流
体の摩擦低減を図る方法を提供する。 【構 成】 少なくとも接液時に固液界面に気体の薄い
膜を形成する性能を有する固体表面3と、気体供給装置
4より構成され、この気体供給装置4から前記固体表面
3に気体を供給して固体表面3と液体との界面に気体膜
を形成する固液界面の気体膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防汚、防食、流体摩擦
抵抗低減等の固体と液体の接触に関わる分野に利用でき
る固液界面の気体膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液体との接触による固体表面の防
食性、防水性、耐酸・アルカリ性、耐薬品性等を得る技
術としては、一般には化学的に安定なフッ素樹脂やシリ
コーン樹脂をガラスや金属等の固体表面にコーティング
する方法が良く用いられている。このようにして得られ
た表面の水との接触角は85゜〜115゜程度であり、
通常の固体表面に比べると疎水性が高く、防食性もあ
る。また、バージ等の浮体構造物または水中鋼管杭等の
定置される構造物接水表面には水中生物が付着したり、
または腐食が生ずる等の問題があり、この問題を解決す
る手段としては防汚、防食塗料を塗布することが知られ
ている。
【0003】一方、一般に船舶のような没水表面、すな
わち水と接する固体表面を有する構造物は船舶の移動に
伴ってその表面に沿った水に流れが生じ、その流速は没
水表面でゼロとなる。この没水表面の近傍での速度勾配
は流体の粘性に依存し、その際の剪断抵抗が流体摩擦抵
抗となる。この流体摩擦抵抗は、例えば船舶においては
極めて大きなものである。即ち、船舶が航行する際に受
ける抵抗は前記した流体摩擦抵抗の他に、造波抵抗、形
状抵抗や空気抵抗等があるが、流体摩擦抵抗は大型船の
場合全抵抗の60〜70%も占めている。
【0004】この船舶の流体摩擦抵抗の低減を図る方法
とし船底に突起物を設けて枠状の空気室を形成し、この
空気室内に空気を供給して船底表面に空気層を形成する
方法あるいは空気を船体表面に噴出し、船体表面を多数
の気泡で覆ういわゆるマイクロバブル法等が提案されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述の従来技術
の内、フッ素樹脂やシリコーン樹脂による防食は経時的
に特性が劣化し、長期的には初期特性を維持することが
できず、また液体の付着を完全に防止することはできな
いという問題を有する。また、防汚、防食塗料による防
食は塗膜の維持管理が面倒なばかりでなく、塗膜中の有
害物質が溶出し、公害問題が発生する恐れがあった。さ
らには、上記従来技術は共に、液体との接触を起因とす
る表面の汚染、腐食等を防止することは基本的にできな
いという問題点を有する。
【0006】一方、船舶の流体摩擦抵抗の低減を図る方
法の内、空気室による船底表面に空気層を形成する方法
においては船舶が航行すると空気室内に保有されている
空気が流出し、この空気の補給に大きな動力が必要にな
るという問題がある。また、マイクロバブル法において
は船側や船底に設けたノズルより大量の空気を補給しな
いと摩擦抵抗が減少しないことから大型のコンプレッサ
を設置しなければならず、設備費の増大と共にこれを駆
動するために大きな動力が必要となる。即ち、供給され
た空気は気泡となって船側や船底に沿って流れて流体摩
擦抵抗を低減させるが、下流側に行くにしたがって複数
の気泡が合体を繰り返しながら次第に大きな気泡となる
ため船体を覆う気泡の面積が減少し、流体摩擦抵抗低減
効果が小さくなるという問題がある。したがって船体全
体で大きな流体摩擦抵抗低減を得るためには大量の空気
を供給する必要があり、効果的な流体摩擦抵抗低減を図
ることができないという問題があり、そのためいずれも
実用に供することができないものであった。
【0007】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るもので、その目的とするところは、固液界面に気体膜
を形成させることにより、液体との接触を起因とする表
面の汚染、腐食等を防止したり、また少ない動力でもっ
て大幅な流体摩擦抵抗の低減を図るという従来にない概
念の固液界面の気体膜形成方法を提供するところにあ
り、また前述の問題解決ばかりではなく固体と液体の接
触に関わる様々な分野の新たな技術の創造に寄与すると
ころにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の固液界面の気体
膜形成方法は、少なくとも接液時に固液界面に気体膜形
成能を有する固体表面と、気体供給装置より構成され、
前記気体供給装置から前記固体表面に気体を供給して前
記固体表面と液体との界面に気体膜を形成することを特
徴とする。
【0009】また、前記固体表面が、少なくともI値が
30以上でかつ平均粒径が10μm以下の粉体粒子と、
水との接触角が90゜以上の樹脂とで微細凹凸構造を有
する形で被覆されている。また、前記粉体粒子が表面に
低表面張力化を施した疎水性粉体粒子、またはPTFE
粒子の中から選ばれた1種または2種以上からなる。
【0010】さらに、前記樹脂がフッ素樹脂、シリコー
ン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂の
中から選ばれた1種または2種以上からなること。ま
た、本発明の固液界面の気体膜形成方法は、前記微細凹
凸構造の表面粗さが0.3μm以上30μm以下となる
ように構成される。
【0011】
【作 用】本発明の上記構成によれば、粉体粒子及び樹
脂共に低表面張力の構成材料を用い、さらに固体表面が
これら粉体粒子と樹脂とで微細凹凸構造を有した状態で
覆われている。その結果、表面と液体との接触面積が著
しく小さくなり、液体と接触した時に、この凹凸部に気
体、通常は空中において予め付着していた空気(以下、
一次気体あるいは気体が空気の場合は一次空気と称す)
が封じ込まれ保持された状態となる。この表面に液体を
のせると液体は凸部の上に持ち上げられ、液体の表面張
力作用でころころと水銀のように転がる。そして液体中
においては表面に一次空気を保持し、この空気が表面で
膜状になって、いわゆる空気膜の状態で存在し、表面が
空気膜により銀色に見える。この空気膜は簡単には剥離
することがなく、さらにこの表面に外部から気体、例え
ば空気(以下、二次気体あるいは気体が空気の場合は二
次空気と称す)を供給するとこの二次空気は液体と空気
との表面エネルギーを減少させようとするために、既に
存在していた一次空気と合体する。そしてこの空気膜
は、逆に外乱を受けて固体表面に形成されている空気膜
から気泡として分離しようとしても気泡を引き留める吸
引力が作用する。その結果、空気膜が表面からほとんど
剥離することなく付着した状態となり、極めて少ない動
力により少量の二次空気を供給するのみでその空気膜を
保持、維持することができ、この空気膜が液体と表面と
の直接の接触を妨げるので流体摩擦抵抗を低減したり、
防汚や防食等を図ることができる。さらに、固体表面−
空気−水系のみならず、他の固体表面−気体−液体系に
も適応できる。
【0012】
【実 施 例】図1乃至図5を参照して本発明による固
液界面の気体膜形成方法の実施例を詳細に説明する。 (実施例1)図1は、桟橋の没水表面に海中生物が付着
するのを防止する目的で、本発明の固液界面の気体膜形
成方法を適用した例を示す模式図である。
【0013】桟橋(海中構造物)1の海底2に植立され
た脚部3の下部にリング状に空気供給装置4を設け、こ
の空気供給装置4から空気Gを多数の小孔から供給する
ように構成している。ここで、脚部3表面には気体膜形
成能を有する表面で構成されている。この気体膜形成能
を有する表面は図2に示されるように基材である脚部3
の表面に粉体粒子11と樹脂12からなる塗膜層13が
形成される。具体的にはこの粉体粒子11が少なくとも
塗膜層13の表面に突出し、微細な凹凸部が形成される
ようになっている。
【0014】ここで本発明で用いた〔I値〕について説
明する。本発明におけるI値とは、少なくとも空気と2
−プロパノール水溶液との界面に存在した状態から前記
2−プロパノール水溶液中に沈み始める時の2−プロパ
ノールの重量値を言う。通常、表面に水酸基等を持った
親水性の粉体粒子を水上にのせると、粉体粒子は濡れ、
水中を浮遊し、やがて沈降する。一方、表面の水酸基等
をマスクし疎水化した粉体粒子を水上にのせると、粉体
粒子は完全に気液界面に存在し、すなわち、水に浮くよ
うになる。
【0015】これらの現象は粉体粒子表面と水との表面
張力差によるもので、水以外に種々の表面張力の液体と
粉体粒子を同様に評価すれば、粉体粒子の表面疎水度の
強さを表す指標となる。本発明では、特に2−プロパノ
ール水溶液を用いて、粉体粒子の表面疎水度の強さを示
す指標とし、2−プロパノール水溶液上に粉体粒子をの
せた時、粉体粒子が空気と2−プロパノール水溶液との
界面に存在した状態から2−プロパノール水溶液中に沈
み始める時の2−プロパノールの重量%値を〔I値〕と
した。
【0016】この値が大きいほど粉体粒子の表面疎水度
は強く、低表面張力であることを示している。本発明の
粉体粒子のI値が30以上としたのは、これより小さい
とこの粉体粒子で形成した表面は十分な気体膜形成能が
得られず、また耐久性も劣るからである。また粉体粒子
の平均粒径が10μm以下としたのは、これより大きい
と表面に凹凸構造を形成した時、気体膜形成能が低く、
また気体膜形成能の経時的耐久性に劣るからである。粒
径の下限は特に限定されるものではないが、表面に凹凸
構造を形成した時、凹凸が小さく表面構造が平滑になり
すぎると液体との接触面積が大きくなり、気体を保持す
る空間が少なくなってしまい、気体膜形成能が劣る。
【0017】本発明の樹脂が水との接触角で90゜以上
としたのは、これより小さいと、この樹脂で形成した表
面は十分な気体膜形成能が得られず、また耐久性も劣る
からである。本発明で使用できる粉体粒子は、基本的に
はI値が30以上でかつ平均粒径が10μm以下の粉体
粒子であれば良く、具体的には大きく分けて2つある。
【0018】1つは、粒子表面を低表面張力に表面処理
した粒子がある。粉体粒子の原料としては、粒子表面を
低表面張力に表面処理できるものであれば良く、シリ
カ、アルミナ、チタニア等の無機系粒子、ポリメタクリ
ル酸メチル等の有機系粒子が挙げられる。粉体粒子の低
表面張力化のための表面処理剤としては、例えば、パー
フルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルシラザ
ン、パーフルオロアルキル基含有オルガノシロキサン、
ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、パーフルオロ
ポリエーテルといったフッ素含有表面処理剤であり、少
なくともこれらのフッ素含有表面処理剤の群から選ばれ
た一種または二種以上で粉体粒子表面を処理すれば良
い。ただし、表面処理剤により粉体粒子表面の親水部を
完全にかつ強固に被覆する必要があり、粉体粒子と表面
処理剤とのマッチングを取る必要がある。粉体粒子表面
の表面処理方法及び処理に関する条件は特に限定される
ものではなく、使用する粉体粒子や表面処理剤の種類、
材料特性等により適宜行えば良い。
【0019】さらに、粉体粒子表面の完全疎水化を施す
目的から、粉体粒子表面をフッ素含有表面処理剤で多段
階処理したり、粉体粒子表面の一部をフッ素含有表面処
理剤以外の炭化水素系表面処理剤を用いたり、粒子表面
を低表面張力に表面処理した後、さらにF2ガス等を用
いてフッ素化しても良い。ここで、低表面張力化のため
の表面処理剤としてフッ素含有表面処理剤としたのは、
フッ素を含有しない炭化水素系の表面処理剤だけだと、
化学的安定性が劣る上に、粉体粒子表面が十分に低表面
張力化できないためである。したがって、十分に低表面
張力化できない粉体粒子、例えば炭化水素系シランで表
面処理したI値20の粉体粒子で形成した表面は気体保
持能が低く、また耐久性も劣り、好ましくない。
【0020】2つ目は、粒子表面を低表面張力に表面処
理するまでもなく、粉体粒子自体が既にI値が30以上
である粒子で、これにはPTFE粒子が相当する。勿
論、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子表面
をさらに表面処理して使用しても問題はない。粉体粒子
形状は液体との接触面積を少なくし、粉体粒子自体にも
気体保持能を持たせ、表面は微細な凹凸部11aを有す
るものが好ましく、多孔性に富んだものや比表面積の大
きなものが好ましい。
【0021】PTFE粒子は、通常、表面は非常に滑ら
かで表面に微細な凹凸部11aを有していない。このた
めPTFE粒子表面自体に気体保持能を有することが難
しく、液体との接触面積が大きくなる傾向にある。後述
するが、粉体粒子自体の形状としては幾何学的複雑さの
度合いを増す方が好ましく、できれば形状的により不定
形のPTFE粒子を使用するか、表面に微細な凹凸部1
1aを有する粉体粒子と複合して使用するのが好まし
い。
【0022】本発明の気体膜形成能を有する表面の形成
方法は、基本的には少なくとも低表面張力化された粉体
粒子と樹脂を用いて、基材表面に微細凹凸構造を有する
形で形成できる方法であれば良く、基材表面に塗料層を
形成し、少なくともこの塗料層の表面に粉体粒子を突出
させるような形成方法であればいかなる方法でも良い。
具体的には例えば次の2つの形成方法がある。
【0023】 低表面張力化された粉体粒子と樹脂を
混合分散させた塗料を基材表面に塗布する。 予め、樹脂を基材表面に塗布し、この樹脂上に有機
溶剤に混合分散させた粉体粒子を塗布するか、あるいは
粉体粒子を粉体吹き付けする。また、ここで樹脂として
は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ウレタン樹脂等が使用できるが、表面張力を
高くする要因のある親水性の顔料等の使用は極力避け、
できればクリアータイプのものが好ましい。また、でき
れば樹脂自体の疎水性が高く、低吸水性、耐薬品性のも
のが好ましい。
【0024】さらに、必要な膜強度、密着性は確保しつ
つも表面の微細凹凸を樹脂で極力ふさがないようにし
て、気体保持空間を確保する方が液体の付着はし難く、
耐久性も増す傾向にある。すなわち、樹脂はあくまでも
粉体粒子で微細凹凸を形成するためのバインダに徹する
必要がある。本発明の気体膜形成能を有する表面の構造
は、少なくとも低表面張力化された粉体粒子とバインダ
である樹脂とで覆われている微細表面凹凸構造からな
る。粒子表面自体低表面張力である上に、粉体粒子と樹
脂とで微細な凹凸部を形成することにより、液体との接
触面積を少なくするとともに、接液時、より多くの気体
をこの凹凸部で保持させるためである。
【0025】本発明の微細凹凸構造の表面粗さが0.3
μm以上30μm以下であるのは、以下の理由による。
粉体粒子同志で形成される微細凹凸部をバインダである
樹脂で潰し、表面粗さが0.3μm以下となり、表面構
造が平滑化すると、液体との接触面積が大きくなり、気
体を保持する空間が少なくなってしまう。また、使用す
る粉体粒子の形状、粒径によっては、表面構造が平滑化
し、同じく表面粗さが0.3μm以下となると十分に気
体保持性を持たせる凹凸が形成されない。
【0026】一方、微細凹凸構造の表面粗さが30μm
以上となると、気体膜形成能の経時的耐久性が劣る。さ
らに、本発明の気体膜形成能を有する表面を後掲の実施
例2に示す流体摩擦抵抗低減に適用する場合、微細凹凸
構造の表面粗さが30μm以上となると、流体摩擦抵抗
が増加してしまう。したがって、微細凹凸構造の形成に
は、表面粗さが30μm以下で気体保持空間をできるだ
け大きく確保しつつ表面凹凸形状の幾何学的複雑さの度
合いを増す方が好ましいことを意味している。設計思想
的にはフラクタル的で、その次数が大きい、すなわち表
面の形状が複雑である方が好ましい。気体保持空間は大
きく確保しつつ表面凹凸形状の幾何学的複雑さの度合い
を増す方法としては本実施例の他に、例えば大きな粉体
粒子の周りに小さな粉体粒子を被覆させた複合粉体粒子
を用いても良い。これには前述したが複合粉体粒子の一
部としてPTFE粒子を使用することもできる。
【0027】このように構成された気体膜形成能を有す
る表面を脚部3に持つ桟橋1において、コンプレッサ
5、制御バルブ6、流量計7とパイプ8を経由して前記
空気供給装置4と接続し、制御装置9で制御しながら圧
力空気を空気供給装置4のノズルから脚部3の周囲に供
給してその表面に薄い空気膜を形成することにより海中
生物や海藻が脚部3の表面に接触することができず、長
期にわたって防汚効果を奏することができる。 (試験例)前記固液界面の気体膜形成方法の効果を確認
するために次の試験を行った。粉体粒子として平均粒径
2μm,比表面積300m2/gの多孔性シリカ粒子を
用い、このシリカ粒子表面をパーフルオロアルキルシラ
ンであるCF3(CF2 7CH2CH2Si(0C253
で表面処理し、I値が40であるシリカ粒子と水との接
触角が110゜のシリコーン樹脂を用いて微細凹凸構造
を有する形で基材表面を覆うことにより試験片を形成し
た。
【0028】形成方法としては、まずクリアータイプの
シリコーン樹脂のコーティング剤に対し、低表面張力の
シリカ粒子をコーティング剤中の固形分に対して、30
重量%添加して、十分撹拌、分散させた。次にこれを試
験片表面に塗布し、乾燥硬化させ、表面粗さが16μm
となる微細凹凸構造を有する気体膜形成能を有する表面
を形成させた。
【0029】このようにして形成された気体膜形成能を
有する表面に種々の液体を接触させた時の気体膜形成の
有無を評価した。評価方法としては、本試験例の表
面、板状のPTFE樹脂表面、シリコーン樹脂コー
ティング剤を塗布して形成した表面の3種類の表面を有
する試験片を準備し、これを水、酸、アルカリ、有機溶
剤等各種の液体中に浸漬して、表面に気体膜として一次
空気による空気膜が形成されるかどうか観察した。
【0030】これらの結果を表1に示す。表1が示すと
おり、本試験例の表面には供試液体の内、2−プロパノ
ール以外のすべての液体中で空気膜が形成され、表面が
反射により銀色を呈していることが確認された。この空
気膜は簡単には剥離することがなく、この表面に二次空
気を供給するとこの二次空気は既に存在していた表面の
一次空気と合体し、さらに供給二次空気が表面の空気保
持能以上供給されると、その一部が気泡となって表面か
ら剥離し、浮上することが確認された。またこの表面に
液滴を滴下させると、同じく供試液体の内、2−プロパ
ノール以外のすべての液体が表面上をころころと水銀の
ように転がるのが観察された。
【0031】一方、板状のPTFE樹脂表面およびシリ
コーン樹脂コーティング剤を塗布して形成した表面のい
ずれの表面にも供試液体中で空気膜は形成されなかっ
た。またこの表面に空気を供給しても直ちに気泡となっ
て浮上するだけで表面に空気が取り込まれるようなこと
はなかった。さらに液滴を滴下させても表面をころころ
転がるようなことはなかった。
【0032】尚、本試験例で供試した液体以外にも空気
膜が形成できる液体があれば、液体の付着を防止するこ
とが可能となり、特に限定されるものではない。また、
ここでは気体として空気を用いたが、基本的には気体膜
が形成できるものであれば良く、例えば、ヘリウム、ア
ルゴン、混合ガス等の気体を用いることもでき、使用目
的に合わせて選択することができる。 (実施例2)本実施例は、船舶の流体摩擦抵抗を低減す
る目的で、本発明の固液界面の気体膜形成方法を適用し
た例である。
【0033】図3は、本実施例で使用した模型船の概略
図であり、図4は図3におけるY部の拡大図である。図
3において船体20とは別置きされたコンプレッサ22
で圧縮された空気aをバルブ23とパイプ24を経由
し、さらに流量計25で流量を監視しながらさらにパイ
プ26により船体20の底部に導いた。空気aは船体2
0の底部20aにおいて分岐管27で多数のバルブに分
岐され、各バルブはそれぞれバルブ28を介して図4に
示されるように、スリットノズル29から供試表面とし
て気体膜形成能(ここでは空気膜形成能)を有する表面
21に沿って供給するようになっている。尚、スリット
ノズル29の吹き出し方向は船体20の進行方向の上流
から下流に向くようにする。
【0034】そして全長7.276m、型幅1.28
m、型深0.6mの模型船の船体20の船底部20aの
内、船首から1.45mに位置する幅1200mm、長
さ3500mmの範囲で空気膜形成能を有する表面21
を形成した。また、図3及び図4に示すように、空気膜
形成能を有する表面21の前縁にスリットノズル29を
設置した。
【0035】次に本実施例で使用した空気膜形成能を有
する表面21の形成方法について説明する。まず、船底
部20aの供試表面にショッププライマーを塗装し、そ
の上に水との接触角が110゜のクリアータイプのシリ
コーン樹脂を塗装した。次に、実施例1と同じ粉体粒
子、すなわち表面をパーフルオロアルキルシランである
CF3(CF27CH2CH2Si(0C253で表面処
理し、I値が40であるシリカ粒子をm−キシレンヘキ
サフルオライド溶剤に対して10重量%添加し、十分撹
拌、分散させた後、この分散液をシリコーン樹脂表面に
塗布し、溶剤を揮発乾燥させ、表面に微細凹凸構造を有
する空気膜形成能を有する表面21を形成させた。尚、
空気膜形成能を有する表面21以外の船底は現在一般的
に使用されている自己研磨型船底塗料を塗装した。
【0036】船体20の吃水はバラストロード状態の2
00mmとした。そしてこの状態で供試船体20の没水
面積Sは9.81m2、空気膜形成能を有する表面21
の面積Stは4.20m2で面積比St/Sは0.42
8であった。船体抵抗試験では長さ220m、幅14
m、深さ6.5mの曳航水槽を用い、船体20を曳引車
にセットして、各船速に対して所定流量の空気をスリッ
トノズル29により船首から船尾方向へ供給しながら船
体20の抵抗を抵抗動力計を用いて測定した。
【0037】種々の船速の粘性抵抗基準の抵抗低減量
(以下、DR量と称す)と空気膜形成能を有する表面部
分の摩擦抵抗低減量(以下、DR’量と称す)を表2に
示す。ここでDR量およびDR’量は次の式で示され
る。 DR=−(Ct−Ct0)/Cv0×100% DR’=(1+K)・DR/(St/S) 式中、Ct:供試船体の全抵抗係数、Cv:供試船体の
粘性抵抗係数、添字0:空気膜形成能を持たない表面の
試験の場合、K:形状影響係数でK=0.222をそれ
ぞれ意味する。
【0038】表2からわかるとおり、今回の測定船速す
べてにおいて20.5〜28.1%のDR量が得られ
た。また、船速U=2m/sの場合のDR量と、平均空
気膜厚を示す指標である空気量レベルとの関係を図5に
示す。空気量レベルとは、表面で保持される空気膜厚と
供給される空気とで形成される空気膜が船速と同一の速
度で一様に流れると仮定して計算した場合の平均空気膜
厚を示す指標で、船速U=2m/sの場合、実際の空気
供給量Qaは表3で示されるとおりである。
【0039】図5から明らかなように、少量の空気の供
給によって摩擦抵抗の低減効果が現れ、平均空気膜厚が
0.48mm(空気量レベル10)までは空気量を増加
させるとともにDR量%が高まるが、それ以上ではDR
量%はほぼ一定となる傾向を示している。本実施例の場
合、空気量レベル20でDR最大値として24.7%が
得られている。
【0040】一方、スリットノズル29より噴出する空
気流れを観察すると供給された空気aは空気膜形成能を
有する表面21に沿って付着した状態で広がりながら膜
状になって船尾側に流れることが確認された。比較のた
めに空気膜形成能を有する表面の代わりに通常の船底塗
料を用いた場合、スリットノズル29から供給された空
気はスリットノズル29下流近傍で空気だまりとなった
後、気泡状または塊状となり下流に向かって流れること
が確認された。
【0041】このように固液界面に空気膜が形成される
と、流体力学から明らかなように固体表面と水とが直接
に接触しなくなり、流体摩擦抵抗の低減に大きな効果を
発揮することができた。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【発明の効果】以上述べてきたように本発明によれば、
塗装方式といった至って汎用な形成方法により、基材表
面に低表面張力化された粉体粒子と樹脂とで微細凹凸構
造を形成させると、接液時に、凹凸部に一次気体が蓄え
られるようになり、いわゆる気体膜形成能を有する表面
となる。
【0046】この表面に液体をのせると液体は凸部の上
に持ち上げられ、ころころと水銀のように転がる。そし
て液体中においては表面に一次気体を保持し、この気体
が表面で膜状になって、いわゆる気体膜の状態で存在
し、表面が気体膜により銀色に見えるようになり、この
気体膜は簡単には剥離することはない。この表面に外部
の気体供給装置から二次気体を供給するとこの気体は液
体と気体との表面エネルギーを減少させようとするため
に、既に存在していた一次気体と合体し、極めて少ない
動力により少量の二次気体を供給するのみでその気体膜
を保持、維持することができる。そしてこの気体膜によ
り液体と表面が接触するのを妨げることが可能となる。
これにより、桟橋やケーソンのように定置される構造物
表面への海中生物の付着や汚れの付着防止、流体摩擦抵
抗低減等その適用範囲は極めて広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固液界面の気体膜形成方法を桟橋の防
汚・防食方法として適用した一実施例を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の固液界面の気体膜形成方法の固体表面
の一実施例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明で使用した模型船の概略図である。
【図4】図3のY部の拡大断面図である。
【図5】空気量レベルとDR量との関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 桟橋 2 海底 3 脚部
4 空気供給装置 5 コンプレッサ 6 制御バルブ
7 流量計 8 パイプ 9 制御装置 G 空気 11 粉体粒子11a 粉体粒子表面の微細凹
凸部 12 樹脂 13 塗膜層 20 船
体 20a 船底部 21 供試表面 2
2 コンプレッサ 23 バルブ 24 パイプ 25
流量計 26 パイプ 27 分岐管 28
バルブ 29 スリットノズル a 空気

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも接液時に固液界面に気体膜形
    成能を有する固体表面と、気体供給装置より構成され、
    前記気体供給装置から前記固体表面に気体を供給して前
    記固体表面と液体との界面に気体膜を形成することを特
    徴とする固液界面の気体膜形成方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも空気と2−プロパノール水溶
    液との界面に存在した状態から前記2−プロパノール水
    溶液中に沈み始める時の2−プロパノールの重量%値が
    30以上で、かつ平均粒径が10μm以下の粉体粒子
    と、水との接触角が90゜以上の樹脂とで微細凹凸構造
    を有する形で被覆されていることを特徴とする請求項1
    記載の固液界面の気体膜形成能を有する固体表面。
  3. 【請求項3】 表面に低表面張力化を施した疎水性粉体
    粒子、またはポリテトラフルオロエチレン粒子の中から
    選ばれた1種または2種以上からなる請求項2記載の粉
    体粒子。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル
    樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂の中から選ばれた1
    種または2種以上からなる請求項2記載の樹脂。
  5. 【請求項5】 表面粗さが0.3μm以上30μm以下
    である請求項2記載の微細凹凸構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014084324A1 (ja) * 2012-11-30 2014-06-05 中国塗料株式会社 水中での気体潤滑機能を利用する摩擦抵抗低減船舶に用いられる塗料組成物、該組成物から形成される塗膜、該塗膜で被覆された船舶、該船舶の製造方法、前記摩擦抵抗低減の効果を予測する方法、前記摩擦抵抗低減効果の予測に用いられる装置および前記摩擦抵抗低減船舶に用いられる摩擦抵抗低減システム
JP2014198559A (ja) * 2014-05-02 2014-10-23 独立行政法人物質・材料研究機構 接着構造体及びそれを用いた水中移動装置

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