JP2021508646A - 粘性抗力低減クラッド - Google Patents

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Abstract

船体(101)の粘性抗力低減クラッドは,船体表面と水との間に空気を散在させて船体のウェット領域を減少させる。船体の水没領域の相当部分は,密集させた空気ポケット(123)を備える。空気ポケットの寸法は,水の毛管長さの2倍未満である。各空気ポケットには,絞り(213)により圧縮空気が供給される。その圧縮空気は,波形チャネルのネットワークにより各空気ポケットに供給される。
【選択図】図1

Description

本発明は,粘性抗力の低減に関する。特に,本発明は,粘性抗力を低減するためのクラッドに関する。
本発明は,船舶の船体等の粘性抗力の低減に関する。また,本発明は,水上を航行する海洋船舶や,水面下で潜航する潜水艦や魚雷等の移動体にも関連する。更に,本発明は,パイプやダクトを通して,又は液体を含むその他の構造物を通して液体を移送する事例,例えばオイル等の液体がパイプラインに沿ってポンプ圧送される化学産業等にも関連する。粘性抗力は,大型船舶の推進に必要とされる燃料の大部分を消費する。海運業界は温室効果ガスの大規模な世界的生産者であるため,粘性抗力による燃料消費の削減は,環境被害の大幅な削減と大幅な経済的節約につながる。
粘性抗力は,流体力学において,固体及び液体の界面での「滑りなし」境界条件として既知の現象に起因する。固体に接している液体分子層は,固体に対して移動しない。その液体分子層と隣接液体層との間には,せん断力が発生する。この条件は,海洋運航型船舶の場合と同様,液体を通過する移動体にも適用されることが既知である。更に,この条件は,パイプを流れる液体,例えばパイプラインを圧送されるオイル等の場合にも適用される。空気の粘度は,水の粘度の約1000分の1である。液体を固体から完全に分離させるために液体及び固体の間に空気を介在させれば,液体中における粘性抗力が効果的に低減されることも既知である。
ハスの葉等の植物や特定の昆虫は,その表面に空気を閉じ込める特性を示す。典型的に,この効果は,多くの場合に階層構造をなす複雑な表面形状と相まって,疎水性表面により生成される。この特性により,ウェット面積が大幅に減少する。この非ウェット性は一般に「ハス効果」として知られている。自然界で見られるこの影響を再現するため,多種の実験材料について試験が行われている。この効果を模倣すべく設計された材料は,水面直下で試験した場合には短期的に機能する可能性があるが,現代の船舶の船体に作用する静水圧下において,長期に亘って機能することは示されていない。喫水深さ20mの船体は,今日では一般的である。このような船体には,2N/mmに相当する2バールの静水圧が作用する。そのような静水圧に由来する力は,非ウェット性材料の依存する表面張力よりも遥かに大きくなる。この非ウェット挙動は,水面に近い場合のみに制限される。「ハス効果」の更なる制限は,閉じ込められた空気が時間の経過と共に水中に拡散し,表面が水で飽和した状態となることである。この原理を再現する材料は,ドライドックにおける定期点検間隔が1年を超える船舶に対しては有効でない。そのような材料が船体の粘性抗力に係る問題点を解決し得るものでないことは,明白である。
特許文献1(米国特許第5456201号明細書)は,船体を通して気泡を吹き込む方法を開示している。ただし,孔自体が大きいため,吹き込まれる空気は大きな気泡を形成する。従って,船体表面はウェット状態に維持される。その結果,「気泡流」と称される物理的現象が発生する。これにより,水の粘性が低下し,粘性抗力が低下する。ただし,気泡流は,水の密度低下と浮力の低下も生じさせる。大量の気泡流を生成するために必要となる大きな動力要件は,船体の粘性抗力の低下による動力減少を相殺する傾向がある。それ故,このシステムは当業界により支持されるものではない。
以上に鑑み,粘性抗力の問題に関して小型船舶や他の海洋船舶での使用に適した解決策が望まれている。
本発明は,複数の空気ポケットを内部に有する外面を備え,各空気ポケットが空気入口及び出口を有し,各空気入口の断面積が前記空気ポケットの出口の断面積よりも小さい粘性抗力低減クラッドを提供する。
各空気ポケットの半径は,水の毛管長の2倍未満とすることができる。
各空気入口の断面積は,空気ポケットの出口断面積の10分の1未満とすることができる。
各ポケットは,円錐形状とすることができる。複数の空気ポケットは,密接に配置することができる。ポケットの出口は,重ねることができる。
各空気ポケットの外面は,疎水性材料を含むことができる。疎水性材料は,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),又はペルフルオロアルコキシ共重合体樹脂(PFA)を含むことができる。
前記外面は,疎水性の糸ループを備え,該ループが両端で前記表面に取り付けられる構成とすることができる。
疎水性材料は,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),又はペルフルオロアルコキシ共重合体樹脂(PFA)を含むことができる。
前記外面は,疎水性のコアと,疎水性の外面を有する糸のストランドを備え,糸の一方の端部がクラッドの外面に取り付けられ,糸の他方の端部は取付けられない構成とすることができる。
前記糸は,グラスファイバ糸で構成することができる。
糸は,PTFE被覆を施したステンレス鋼糸,PTFE被覆を施したグラスファイバ糸,PFA被覆を施したステンレス鋼糸及びPFA被覆を施したグラスファイバ糸の少なくとも1種を備えることができる。
粘性抗力低減クラッドは,空気分配システムを更に備えることができる。
空気分配システムは:
少なくとも2つの波形シートを備え,そのうちの少なくとも1つの波形シートが多数の孔を有し;これらのシートは,それぞれの波形における隆起部が互いに実質的に直交するように配置され,これにより前記孔を介して互いに連通する少なくとも2つの空気チャンバを形成する構成とすることができる。
空気分配システムは,少なくとも2つの空気チャンバのうちの1つと連通する空気入口を更に備えることができる。
粘性抗力低減クラッドは,少なくとも1つの実質的に平坦なシートに形成された複数の空気出口を更に備え,各空気出口は,複数の空気ポケットの1つにおける空気入口と連通する構成とすることができる。
空気分配システムは,波形シートを備えることができる。波形シートは,トップシートに結合されて単一のパネルを形成する構成とすることができる。トップシートと波形シートとの間に,単一のプレナムを形成することができる。粘性抗力低減クラッドは,受け孔及び溶接ディンプルを有する取り付けシートを更に備えることができる。
粘性抗力低減クラッドは,ポリイソブチレン等の粘弾性材料で埋め戻された構成とすることができる。
上述した粘性抗力低減クラッドも,本発明の一態様を構成する。
クラッドの外面は,互いに位置決めされてサンドイッチ構造に結合された3枚のシートを備えることができる。粘性抗力低減クラッドは,2つの厚肉シートに結合された薄肉中央シートを備えることができる。薄肉中央シートは,約25〜約200μmの範囲の厚さを有することができる。薄肉中央シートは,それぞれが空気ポケット入口を形成する複数の絞り孔を有することができる。各絞り孔は,疎水性フルオロポリマー被覆を施すことができる。
前記外面は,有孔シートアセンブリに結合された繊維表面テープを備えることができる。粘性抗力低減クラッドは,開放基板を更に備えることができる。この開放基板には,疎水性繊維層を結合することができる。粘性抗力低減クラッドは,疎水性繊維よりなる1つ以上の層と,露出した親水性コアを有する疎水性繊維の単一層とを更に備えることができる。粘性抗力低減クラッドは,有孔金属シートに結合されたフォイルを更に備えることができる。
粘性抗力低減クラッドは,多孔質の熱可塑性シートに結合された熱可塑性シートを更に備えることができる。粘性抗力低減クラッドは,2つのシート内に空気ポケットを形成するための長くて薄いニードルを備える雄型ダイ上で真空成型することができる。粘性抗力低減クラッドは,細長い空気ポケットを備え,各空気ポケットから空気流が前記外面に対して実質的に垂直に排出される構成とすることができる。
また,本発明は,船舶におけるクラッドシステム用の空気分配システムを提供する。この空気分配システムは:
少なくとも2つの波形シートを備え,その少なくとも1つは複数の穿孔を含み;前記少なくとも2つのシートは,これらのシートにおける波形の隆起部が互いに実質的に直交し,これにより互いに孔を介して連通する少なくとも2つの空気チャンバを形成する配置とされている。
空気分配システムは,前記少なくとも2つの空気チャンバのうちの1つと連通する空気入口を更に備えることができる。
空気分配システムは,少なくとも1つの実質的に平坦なシートに形成された複数の空気出口を更に備えることができる。
また,本発明は,船体を被覆するためのテープを提供する。このテープは,
表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルムと,
該疎水性裏打ちフィルムの表面側に取り付けられた疎水性糸の複数のループと,
を備える。
前記裏面側は,接着結合用として構成することができる。前記疎水性糸は,ePTFE糸で構成することができる。
また,本発明は,船体を被覆するためのテープを提供する。このテープは:
表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルムを備え,前記テープの裏面側は接着結合用として構成され,
2つの端部を有する糸のストランドを更に備え,その一方の端部は前記疎水性裏打ちフィルムの表面側に取り付けられ,
他方の端部は取り付けられず,
糸の外面は疎水性であり,
内部コアは親水性材料を備え
該親水性コアが,各ストランドにおける前記取り付けられない端部において露出する。
糸は,PTFE被覆又はPFA被覆を施したステンレス鋼糸又はグラスファイバ糸で構成することができる。
また,本発明は,有孔金属シートを提供する。この金属シートは,孔径に対するシート厚さの比が約1:1以下である有孔シートと,前記孔に結合され,任意的には前記シートにおける平坦な表面の片面又は両面にも結合された被覆と,を備え,該被覆の施されたシートの厚さとその孔径の比は,2:1よりも大きい。
被覆は,無電解堆積されたニッケルで構成することができる。
また,本発明は,円錐形の孔を有する金属シートを形成する方法を提供する。この方法は:
金属シートに円筒孔を形成するステップと;
各円筒孔を,円錐状の基部を有する成形ダイで打ち抜くステップと;
各孔の内側を被覆して,前記円錐部の先端部において前記孔の寸法を減少させるステップと;
金属シートにテープを貼り付け,該テープを円錐形の孔内に押し込むステップと;
テープに孔を形成し,前記円錐部の先端部における孔の寸法を更に減少させるステップと;
を備える。
更なる態様において,本発明は,多数の密接に配置された空気ポケットを外面に備える船体用のクラッドを提供する。このクラッドにおいて,空気ポケットのスケール長は,水の毛管長の2倍未満であり,各空気ポケットの入口に,絞りを介して加圧空気が供給され,絞りの面積は,ポケットの出口面積の1/10未満であり,各絞りの入口が空気分配システムに接続され,空気分配システムが,少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。
各空気ポケットの外面は,疎水性材料で構成することができる。前記疎水性材料は,PTFEを備えることができる。
クラッド表面は,疎水性糸のループを備えることができ,ループは,両端で前記表面に取り付けられる。疎水性糸は,ePTFEを備えることができる。
表面は,親水性コア及び疎水性外面を含む糸のストランドを備えることができる。一方の糸端部はクラッド表面に取り付けられ,他方の糸端部は取り付けられない構成とすることができる。そのような糸は,PTFE被覆を施したステンレス鋼糸を備えることができる。
また,本発明は,船舶のクラッドシステム用の空気分配システムを提供する。この空気分配システムは,少なくとも1つの空気入口と,少なくとも2つの波形シートを備え,少なくとも1つの波形シートが複数の孔を有し,少なくとも1つの実質的に平坦なシートを更に備え,その1つが多数のオリフィスを有し,これらのシートは,少なくとも2つのシートにおける波形の隆起部が互いに実質的に直交することにより,その中に含まれる孔を介して互いに連通する少なくとも2つのチャンバを形成し,空気が,入口から導入され,チャンバを通過し,平坦なシートの1つにおける多数のオリフィスから排出されるように組み立てられ,かつ,互いに接合される。
また,本発明は,船体を被覆するためのテープを提供する。このテープは,表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルムを備え,疎水性裏打ちフィルムの表面側と,接着接合に適した裏面側に取り付けられた疎水性糸のループと,を備える。疎水性糸は,ePTFE糸で構成することができる。
また,本発明は,船体を被覆するためのテープを提供する。このテープは,表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルムを備え,テープの裏面側は接着結合に適しており,2つの端部を有する糸のストランドを更に備え,その一方の端部が前記疎水性裏打ちフィルムの表面側に取り付けられ,他方の端部は取り付けられず,糸の外面が疎水性であり,内部コアが親水性材料を備え,親水性コアが,各ストランドにおける取り付けられない端部で露出する。糸は,PTFE被覆を施したステンレス鋼糸で構成することができる。
また,本発明は,有孔金属シートを提供する。この金属シートは,従来手段によって製造された有孔シートを備え,孔径に対するシートの厚さの比が約1:1以下であり,孔と,任意的に前記シートにおける平坦な表面の片面又は両面に接着された被覆を更に備え,被覆されたシートの厚さと孔径との比は,2:1より大きい。被覆は,無電解析出ニッケルで構成することができる。
従って,本発明は,船舶用のクラッドを提供する。このクラッドは,その外面に多数の密接に配置された空気ポケットを備え,空気ポケットのスケール長が水の毛管長の2倍未満であり,各空気ポケットの入口に絞りを介して加圧空気が供給され,絞りの断面積がポケットの出口の断面積の1/10未満であり,各絞りの入口が空気分配システムに接続され,空気分配システムが,少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。空気分配システムは,空気に代えて防汚ガスを時々システムに通すことにより,被覆に対する生物付着を防止するために使用することができる。典型的に,好ましい防汚ガスはオゾンを含む。
本発明の利点は,船舶の消費電力が低減され,ひいては船舶による温室効果ガスの生成が低減されることである。本発明の他の利点は,所与の燃料消費率に対する船舶の速度を増加させ,所与の燃料負荷に対する船舶の航続距離を増加させ,所与の設計速度で船舶を推進するのに必要な推進装置の寸法を減少させることである。本発明の他の利点は,帆走力や電力等,より環境に優しい推進手段の実行可能性を高めることである。本発明の他の利点は,生物付着の生じにくい船体表面を提供することである。本発明の他の利点は,海洋環境に対する侵入種汚染のリスクを低減することである。本発明の他の利点は,断熱性を高めた船体表面を提供することである。本発明の他の目的は,現時点では海洋生物に対して有害と理解されている海洋騒音汚染を低減することである。
本発明に基づく粘性抗力低減特性は,船舶及び潜水艦の船体,魚雷,石油及び化学パイプライン等,様々な用途で有利に使用することができる。
また,本発明は,接着結合によりPTFEテープを船体表面に貼り付けて,船舶その他の船体のファウリングを低減する方法を提供する。
テープの厚さは,1mm未満とすることができる。テープは,片面を低圧水素プラズマエッチングにより活性化させておくことができる。接着結合は,感圧シリコーン接着剤により行うことができる。
また,本発明は,船体に接着剤で接着されたPTFEテープを備える船舶又は他の海洋船舶を提供する。
また,本発明は,航空機用の境界層制御システムを提供する,このシステムは,密接に配置された多数の空気ポケットを有する外面を備え,各ポケットが入口及び出口を有し,各ポケットの出口は自由流に隣接し,各ポケットの入口はプレナムに隣接し,各ポケット入口の面積は前記ポケットの出口の面積の半分未満であり,各プレナムは少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。
圧力源の圧力は,航空機表面における圧力よりも高くてもよい。圧力源の圧力は,航空機表面における圧力よりも低くてもよい。航空機は,飛行機とすることができる。航空機は,無人航空機とすることもできる。境界層制御システムは,回転機械のブレードにも適用することができる。
また,本発明は,境界層制御システムを有する航空機を提供する。このシステムは,密接に配置された多数の空気ポケットを含む外面を備え,各ポケットは入口及び出口を有し,各ポケットの出口は自由流に隣接し,各ポケットの入口はプレナムに隣接し,各ポケットの入口面積は,該ポケットの出口面積の半分未満であり,各プレナムは,少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。
また,本発明は,境界層制御システムを有する鉄道車両を提供する。このシステムは,密接に配置された多数の空気ポケットを含む外面を備え,各ポケットは入口及び出口を有し,各ポケットの出口は自由流に隣接し,各ポケットの入口はプレナムに隣接し,各ポケットの入口面積は,該ポケットの出口面積の半分未満であり,各プレナムは,少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。
また,本発明は,境界層制御システムを備えた道路車両を提供する。このシステムは,密接に配置された多数の空気ポケットを含む外面を備え,各ポケットは入口及び出口を有し,各ポケットの出口は自由流に隣接し,各ポケットの入口はプレナムに隣接し,各ポケットの入口面積は,該ポケットの出口面積の半分未満であり,各プレナムは,少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。
また,本発明は,境界層制御システムを備えたミサイルを提供する。このシステムは,密接に配置された多数の空気ポケットを含む外面を備え,各ポケットは入口及び出口を有し,各ポケットの出口は自由流に隣接し,各ポケットの入口はプレナムに隣接し,各ポケットの入口面積は,該ポケットの出口面積の半分未満であり,各プレナムは少なくとも1つの加圧空気源に接続されている。
また,本発明は,航空機における境界層制御システム用の空気分配システムを提供する。このシステムは,多数のオリフィスを含み,かつ,少なくとも1つの波形シートに結合された実質的に平坦な外側シートを備え,実質的に平坦な外側シートに隣接する波形シートがスパン方向に向けられることにより,スパン方向に向けられる一連のプレナムが形成され,各プレナムは,加圧空気源に接続されている。
外側シートに隣接する波形シートは,孔を有することができる。プレナムは,これらの孔を介して加圧空気源に接続することができる。
外面において外板に結合され,スパン方向に配向された各波形シートは,その内面において,弦方向に配向された第2の波形シートに更に結合することができる。
本発明の他の目的及び利点は,以下の説明及び添付図面から明らかである。
添付図面は,本開示に組み込まれてその一部を形成するものであり,本発明の実施形態を示すと共に,以下の記載と相まって,本発明の原理の説明に資するものである。
本発明に係るクラッドとして使用される粘性抗力低減パネルの実施形態の破断断面を有する斜視図である。 本発明に係る粘性抗力低減クラッドの実施形態を示す説明図である。 図2aと同様な説明図である。 比較用の単純な開口を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る図2a又は2bのクラッドの製造中間段階におけるシートの孔を,該孔を形成するために使用されるダイと共に示す断面図である。 加圧可能な空気ポケットが密接に配置され,各空気ポケットが近くのポケットに隣接する本発明のクラッドの実施形態を示す説明図である。 加圧可能な各空気ポケットが近くのポケットと重なり合う本発明のクラッドの実施形態を示す説明図である。 加圧可能な各空気ポケットが近くのポケットに近接する本発明の実施形態を示す説明図である。 本発明のクラッドの実施形態を示す分解図である。 本発明のクラッドにおける加圧可能な空気ポケットを複製方法に従って形成するために使用し得るツールの実施形態を示す説明図である。 図5aと同様な説明図である。 製造中のクラッドの一実施形態における外面(トップシート)を示す説明図である。 図5cと同様な説明図である。 本発明の一態様によるカレンダ処理が施された,本発明での使用に適したPTFEテープの実施形態を示す説明図である。 繊維処理が施され,テープ表面に取り付けられた適切な糸を有する,本発明の1つ以上の実施形態での使用に適したPTFEテープの実施形態を示す説明図である。 図7aと同様な説明図である。 スルーハルを使用せずに設置された,本発明の一実施形態による船舶用の空気分配システムの実施形態を示す説明図である。 被覆処理が施され,孔径を減少させると共にシートの厚さを増加させた,スルーホールを含む本発明の一実施形態によるシートの実施形態を示す説明図である。 パネルを形成するためにトップシート(外面)が取り付けられた,本発明の一実施形態による波形状のクラッドの実施形態を示す説明図である。 サンドイッチ構造とした,本発明の一実施形態によるクラッドの実施形態を示す説明図である。 小さな空気孔を含むシートに取り付けられ,階層構造の繊維状オープンテープを含む本発明の一実施形態によるクラッドの実施形態を示す説明図である。 本発明によるクラッド又はアセンブリの実施形態の断面を示す斜視図である。 本発明によるクラッドの代替的な実施形態を示す説明図である。 図14aと同様な説明図である。 比較用としての従来の開口を示す説明図である。 本発明の一態様による,製造中間段階におけるシートの孔を,その孔を形成するために使用されるダイと共に示す断面図である。 加圧可能な空気ポケットが密接に配置され,各空気ポケットが近くのポケットに隣接しているクラッドの実施形態を示す説明図である。 加圧可能な各空気ポケットが近くのポケットに近接しているクラッドの実施形態を示す。 複製方法に従って図14及び図15のクラッドにおける加圧可能な空気ポケットを形成するために使用できるツールの実施形態を示す説明図である。 図16aと同様な説明図である。 製造中におけるクラッドの実施形態の外面(トップシート)を示す説明図である。 図16cと同様な説明図である。 加圧可能な空気ポケットが密接に配置された上部シートが中間多孔質層に結合され,中間多孔質層が有孔シートに結合されたクラッドの一実施形態を示す断面斜視図である。
本発明に係る粘性抗力低減クラッドの一実施形態を図1に示す。クラッドの上面(外面)は,密接に配置された多数の空気ポケット124を有するトップシート104で構成され,船舶の場合に水に接する外面の直径は,船体に隣接することのある内径よりも大きい。加圧空気が空気ポケットの内側に供給され,ポケットの外側からの水の浸入を阻止し,かつ,ポケットに導入すべき水を排出するように作用させる。加圧空気は,この実施形態では,空気チャンバ110,111,112を形成するように組み立てられた成形金属シート102,103を備える空気分配システムにより供給される。空気は,シート121,122における開口部を介して,1つのチャンバから次のチャンバに流れる。この空気分配システムは,船体表面領域又はクラッドの適用される物体の表面領域の大部分に亘って,実質的に等しい圧力を提供する。本発明の動作と,適切な実施形態の製造方法の詳細については,後述するとおりである。
先ず,以下の記載において使用される幾つかの用語について説明しておくのが有用である。本発明は,水を通って移動する船舶の船体における粘性抗力の低減に関して説明される。しかしながら,本発明は,淡水又は海水を通って移動する船舶及び物体,例えば潜水艦やミサイル等にも関連する。また,本発明は,パイプラインに沿って送出される油,水又はその他の液体にも関連する。以下,「船舶」という用語は,通常,表面が液体に対する相対運動から粘性抗力を受ける船,潜水艦,魚雷,パイプライン,又はその他の固体物体を総称するために使用される。以下,「水」という用語は,粘性抗力が発生する水,油,又はその他の液体を指すものとする。「船体」という用語は,水に直接隣接する船舶の表面を指す。本発明は,液体を通って移動する船舶に関して説明されているが,パイプライン等の固定構造物を通って移動する液体にも適用される。水に接するクラッド表面は,「外面」と称される。また,船体に隣接する反対側のクラッド表面は,内面と称される。
船体に関する「ウェット領域」という用語は,通常,喫水線の下側にある船体の表面領域を表すために使用される。本発明以前は,全ての水没領域が濡れていたため,「ウェット領域」と「浸水領域」を区別する必要はなかった。以下,「水没領域」という用語は,喫水線の下方にある船体の表面領域を指す。「ウェット領域」という用語は,水没領域のうち,水で濡れた部分のみを指す。「非ウェット領域」とは,喫水線よりも下側の船体表面のうち,濡れていない領域である。図面を参照して後述するように,ポケットの内部面積は,この計算には含まれない。「非ウェット領域百分率」は,「水没領域」に対する「非ウェット領域」の比率である。「非ウェット領域百分率」は,本発明の効率の有用な尺度であり,粘性抗力の減少割合と相関する。本発明は,船体の水没領域全体を覆うクラッドに関して説明されているが,クラッドは,その一部にのみ有利に適用することもできる。
定常状態にある水滴が材料表面上での接触角が90°を超える場合,その材料は「疎水性」と言われる。液滴が油で構成される場合,その材料は「疎油性」と言われる。一般に,液滴が材料表面で90°を超える接触角をなす場合,その材料はその液体に対して「非ウェット性」と言われる。以下,疎水性の材料特性は,液体が何によって構成されているかを問わず,液体による材料の非ウェット性を指すものとする。
ある材料に対する水の接触角が90°未満の場合,その材料は親水性である。最新の船舶の船体表面は,鋼,アルミニウム,ガラス繊維,銅で構成されており,銅系塗料は親水性であることが知られている。
本発明の一実施形態において,外面は疎水性である。これにより,後述するように,表面張力が加圧空気ポケットを濡らす水に抵抗するように作用する。親水性の表面を使用する場合,閉塞した絞りを浄化するために,より高い第3段階のチャンバ圧力が必要である。これにより,加圧空気ポケットが塞がれていない通常の操作では,空気の消費量が増加する。そのようなシステムは,あまり望ましいものではない。好ましい疎水性表面は,PFA(ペルフルオロアルコキシコポリマー樹脂)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)であるが,他の多くのフッ素系ポリマーも適当である。シリコーンゴム,フルオロエラストマ,ポリエチレン,ePTFE,炭化水素,シリコーンオイル,ワックス等の素材も同様である。疎水性は,表面だけについて重要である。船体を形成するバルク材料としては,任意の適切な材料を使用することができる。材料が疎水性でない場合,疎水性とするための被覆又は表面処理を施しておくことができる。PTFE及びPFAは,何れもファウリングに対する耐性があるという追加的な利点を有し,これも本発明にとって望ましい特性である。
加圧ガスは,以下において「空気」と呼ぶが,任意の適切なガスで構成することができる。船体に防汚処理を施す場合,ガスにはオゾン等の殺生物性ガスが含まれる場合もある。このような処理は,汚染防止プログラムの一環として時に実行されることがある。空気を使用する場合,空気ポンプシステムの何れの部分にも結露が生じないよう,乾燥していることが望ましい。湿った空気は,当業者に知られているように,任意の適切な手段により乾燥させるべきである。空気は,絞りを閉塞させかねない粒子が圧縮空気システムを強制通過するのを阻止するためにろ過することもできる。加圧空気は,圧縮機により,又は貯蔵タンクから供給することができる。魚雷の場合,圧縮空気は,化学反応の生成物であり得る。
金属製シートに言及する場合,他の非金属材料も適切であり,そのような材料のシートも以下の記載では「金属シート」と総称されることを理解されたい。ポリエステル結合ガラス繊維及びエポキシ結合炭素繊維は,プレジャーボート等において一般的に使用されている2種の好適な材料である。マリングレードのステンレス鋼に言及する場合,アルミニウム及び他の金属も使用することができる。
流体力学において,「毛管長さ」という用語は,液体の表面張力が重力よりもはるかに大きくなる長さ尺度を定義するために使用される。これは,液体の表面張力の平方根を,その密度に重力を掛けたもので除した値として定義される。水の場合,この値は2.7mmである。これは,空気から落下する水滴が,半径2.7mm未満である場合には略球形になることを示している。単一の自由落下液滴の寸法が2倍を超えると,これは小さな液滴に分割される傾向があることが観察されている。この効果は,水中の気泡にも当てはまる。油の毛管長さは2mm未満であり,水の毛管長さより短いことに留意されたい。これは主に,水の表面張力が油の表面張力よりも相当高いためである。本発明は,加圧空気ポケット内に実質的に完全な空気相を確立することができ,ポケットの直径が毛管長さよりかなり大きい場合に生じるような,空気が別々の気泡に分解することを防止することを目的とする。最も効果的にするため,空気ポケットの半径は,毛細管長さの2倍未満にすることができる。空気ポケットの表面形状が円形でない場合,半径は同じ面積の同等の円の半径を意味するものとする。
本発明以前において,船体の広い表面領域に亘って,多数の加圧空気ポケットに空気を供給する方法は知られていなかった。相互接続された配管又はダクトによる従来方法で空気を供給することは,船舶のクラッドの限られたスペースでは実行することができない。更に,多数の接続が必要となる。配管に沿った圧力降下は,本発明の操作に有害な影響を与えることとなる。クラッド全体に空気を供給するための適切な方法が発明され,以下に開示される。
図1に示されるクラッドの実施形態を参照すると,ベースシート102,波形シート103,及びトップシート104が互いに結合される。これはセクション単位で行うのが便宜的である。サイドシート105が取り付けられ,隣接するセクションからクラッドのそのセクションをシールするように機能する。サイドシート105は,好適にはベースシート102の一部で構成することができるが,便宜上,別個のシートとして説明されている。このようなアセンブリを,以下「パネル」と称する。パネルには取り付けブラケット130が取り付けられており,船体101に対してボルト留め又は溶接することができる。必要であれば,取り付けブラケットを中空とし,空気取り入れ口としても機能させることができる。空気入口は,船体120を介して接続されている。組み立て状態において,船体101とベースシート102は組み合わされて,以下「第1段チャンバ」110と称される一連の相互接続された長手方向の空間を形成する。組み立てられると,ベースシート102及び波形シート103は,組み合わされて,以下「第2段チャンバ」111と称される一連の相互接続された空間を形成する。波形シート103及びトップシート104は,組み合わされて,以下「第3段チャンバ」112と称される一連の空間を形成する。図4を参照すると,パネルの分解図は,成形されたシートメタルの単純なシートを使用して各空気ポケットに空気を均等に分配する複雑なタスクがどのように達成されるかを示す。パネルは,ベースシート401,波形シート402,トップシート403,4つのサイドシート404,及びこの実施例では吸気ダクトとしても機能し,吸気孔408と一直線に接続されている中空の取り付けブラケット407で構成されている。
再び図1を参照すると,使用中,加圧空気は,スルーハル120を介して供給され,第1段チャンバ110内に流入することができる。そこから,開口部121を通って第2段チャンバ111に流れ,他の隣接する第1段チャンバ110に流入する。空気は,第2段チャンバ111から孔122を通って第3段チャンバ112に流れ,そこから加圧空気ポケット123を通って流れる。圧力分布は,各第1段チャンバの長さに沿ってほぼ均一である。ベースシートは,空気が第1段チャンバから各第2段チャンバ内に通過可能とするための幾つかの孔121を含む。波形シート103は,空気が第2段チャンバから各第3段チャンバ内に通過可能とするための幾つかの小孔を含む。孔の位置及び寸法は,空気入口から第3段チャンバへの最適な空気の流れを確保するように調整されている。例えば,空気入口ポート120の近くで,次に外側コーナー部123内では,より少数の孔及びより小径の孔が好ましい。圧力は,各第3段チャンバ全体で実質的に均一であり,各パネルの全ての第3段チャンバ内で実質的に等しい。
シートは,組み立てられたパネルの長さと幅の2次元での空気の流れに対する抵抗が,パネルを通る直交方向の空気の流れに対する抵抗よりもはるかに低くなるように設計されている。シートは,溶接又は接着結合等の既知の方法により互いに結合される。
場合によっては,既存船舶を改造するときのように,パイプネットワークを船の水没部分の内部全体に取り付けることは,実現不可能であるか,又は望ましいものではない。図8に示すように,船舶801の外面に追加のフレームワークを取り付けることができる。このフレームワークは,接続部804において加圧空気源に接続されている。フレームワークは,幾つかのメインチャネル802と,それぞれに接続された幾つかのサブチャネル803で構成されている。
海水圧力は船の船体によって異なる。圧力は,喫水線の下方で深さ10mごとに約1バール増加する。喫水線自体は,船舶の積載荷重によって異なる。船舶が航行しているとき,動的な圧力差が発生し,より高い圧力が船首に作用し,より低い圧力が船尾に作用する。通常,船体には領域806付近で最高圧力が作用する。この圧力は,船尾に向かって,そして水深が浅くなるにつれて低下する。最低圧力は喫水線の近くであり,船尾807に向かっている。さらに,海の状態によって圧力変動が発生する。波が通過する都度,船体に作用する海水圧は高まる。後述するように,各パネルへの供給圧力は,各パネルに作用する最高海水圧よりも高くする必要がある。大型船舶の場合,船体の場所に応じて,この最小供給圧力の値に大きな違いがある。喫水20mの大型船舶では,2バールの圧力差が発生する。10mの波は,1バールの圧力変動を引き起こす。波に乗り上げる浅いビームの小型船舶では,船体の圧力範囲がはるかに狭まる。その領域で供給空気圧を必要な最低限まで近づけると,加圧空気の消費量が減少する。従って,圧力コントローラ805をメインチャネルとサブチャネルの間の接続点でチャネル内に設置し,これを使用して各船体領域における第3段チャンバ内の圧力レベルを制御する。個々のパネルは船体に固定されている。次に,各パネルとサブチャネルの間に空気供給接続部を確立する。メインチャネル802内の圧力は,船舶が航行中に遭遇する最大圧力よりも高い。空気は,圧力源からメインチャネルに流れ,そこからサブチャネルに流れ,次に加圧空気パネルを通って加圧空気ポケットから海中に放出される。この簡単で薄型のシステムは,船体を貫通することなく,また船舶の内部スペースを大幅に再配置する必要なく,船舶の外面全体に空気を分配する。接続部804は,喫水線の上方に位置する。メインチャネル及びサブチャネルと加圧パネルは,船体を貫通させることなく,溶接又は接着接合によって船体に取り付けられる。高層建築業界においては,カーテンウォール部門によりパネルの取り付けや内部排水システムの設計に係る多くの有用な技術が開発されている。当業者であれば,そのような技術を本発明に係る粘性抗力低減クラッドの設計及び取り付けに容易に適用することが可能である。
以上に基づき,単純な材料で構成され,造船業界において一般的な方法で構築された,非常に満足すべき空気分配ネットワークが発明され,ここに開示されている。この空気分配ネットワークは,船体の水没領域全体に亘って,薄型クラッドにより制御可能な圧力及び流量を提供する。従って,この空気分配ネットワークは,船舶の外装システムとして非常に好適である。
図2a〜2cを参照すると,各図は,クラッドの一実施形態の外面を示している。吸気口は,絞りとして機能する。絞りの動作は,図2aに示されるような絞りを組み込んだ,加圧可能な空気ポケット210を検証することによって理解することができる。特に,その動作は,図2cに示されるように,絞りの組み込まれていないアパーチャ230と比較するのが有利である。図2aを参照すると,明確化のために空気ポケットの面積は,その出口における断面積,すなわち出口216の円形面積として定義される。絞りの面積は,その最狭セクション213における絞りの断面積である。以下の段落において説明するように,絞りの機能は,本発明の効率的な動作にとって重要である。
図2cを参照すると,空気が無制限の加圧空気ポケット230を横切って流れると,後述するように,小さな圧力降下のみが発生する。孔の入口232に隣接するチャンバ内における空気圧は,出口233における空気圧に非常に近い。当業者であれば,本発明が最も効果的であるため,開口率の大きな開口領域が必要とされることを理解することができ,この場合に孔はシート領域231において可能な限り大きな割合を占める。また,当業者であれば,孔230の形状が製造上の制限によって制限され,孔径が少なくともシートの厚さと同じ大きさになることも理解することができる。アスペクト比が約1:1未満の孔を製造する上での制限と相まって,設計目標を大きな開口面積とすれば,この設計の薄いシートを通過する空気流に対する抵抗は必然的に最小となる。これにより,シート全体の圧力降下が,波や海流から船体が及ぼされる圧力変動よりも低下する可能性があるという制限が生じる。この制限は,空気を,非常に高い流量で孔230を強制通過させることにより克服される。例えば,高さ10mの大きな波は,その下側のる船体に作用する圧力を約1バール増加させる。これは,トップシート231全体で実現可能な最大圧力降下よりも大きい。海水圧の急激な上昇が発生すると,この設計の空気ポケットは閉塞する。これは,ポケット全体の圧力降下が海水圧の上昇よりも小さいためである。ポケットが閉塞され,入口232において閉塞を解除するための圧力が不足すると,ポケットは閉塞状態のままとなる。これにより,粘性抗力低減のメリットは失われる。そのような設計では,クラッド内の空気分配チャンバが浸水するという更なるリスクがある。従って,図2cの設計に応じて密接に配置された空気ポケットは,望ましいものではない。
対照的に,図2a及び2bは,空気流に対する絞りを組み込んだ空気ポケットを有するクラッドの実施形態を示している。空気が空気チャンバから空気入口(本明細書では「絞り」とも称される)213を通って空気キャビティ215に流れ込み,その出口216を通って排出されると,かなりの圧力降下が発生する。ポケット出口216が遮断されると,空気キャビティ215内の圧力は,絞り入口での圧力まで急速に高まる。この圧力は,閉塞を解除し,ポケットを濡れていない状態に戻すのに十分である。空気供給システム,絞りの寸法,及びポケットの全体形状は,この圧力降下が船舶に及ぼされる海水圧変動よりも大きく,閉塞を迅速に解消するように設計されている。絞りの入口圧力は,増加した海水圧よりも高いままなので,内部の空気分配チャンバが浸水するリスクがなくなる。パイプラインを通してオイルがポンプ圧送される場合には,ポンプ動作により圧力変動が発生する。重力によりパイプ内では,重力による圧力差も存在している。内部チャンバの浸水を防止するためには,絞り全体で常に正の圧力降下を生じさせる必要がある。空気圧制御システムがパッシブ制御に依存している場合,絞り全体の最小設計圧力降下は,これらの変動よりも大きくする必要がある。ただし,パネル又はパネル群内における空気圧がフローコントローラによってアクティブ制御される場合,絞り全体の設計圧力降下は,任意の時点で各パネルの外面に作用する圧力差よりも大きければ十分である。例えば,2mx1mのパネルを船体側面に垂直に取り付け,その長辺を水平方向に向けて配置される場合がある。この場合,パネルの上下に約0.1バールの圧力差が発生する。静水中に係留されている間,前後方向での2mに沿う圧力差は発生しない。航行中又は海流にさらされると動圧が発生するが,これは典型的には水深に基づく圧力変動よりもはるかに小さくなる。同様に,平底の船体底部に取り付けられたパネルは,静的条件下では圧力変動を発生しない。
当業者であれば,より大きな外航船が5mを超える波に定期的に遭遇し,0.5バールの動的圧力変動が及ぼされることを理解することができる。このような船舶では,空気流が経時的に均一になるように供給圧力をアクティブ制御する空気供給システムが最も有益である。これにより,空気消費量を大幅に削減することができる。波に乗り上げる小型船舶の場合,そのような空気制御システムは必要でない場合もある。
絞りの有効性の有用な指標は,ポケットの面積に対する絞りの面積の比率である。以下,これを「絞り寸法比」と称する。別の有用な設計指標は,絞りの直径に対するシートの厚さの比率である。以下,これを「絞りアスペクト比」と称する。これらの比率は,絞りの両端における圧力降下が,動作中に常に発生する圧力変動を確実に超えるように,空気供給制御システムと共に設計することが望ましい。
図2aは,幾つかの加圧空気ポケット216を備えるトップシートの適切な実施形態を示している。各ポケットは,キャビティ215及び絞り213を備える。上述したように,絞り入口はポケットを第3段チャンバに接続する。最も効率的な動作のため,キャビティ215及び絞り213の表面は,好適には疎水性である。この場合,水の表面張力が作用して加圧ポケットをドライ状態に維持する。絞り213の面積は,ポケット216の面積の10分の1未満とするのが好適である。後述するように先進的な製造技術を使用して,ポケット面積の1万分の1未満の絞り面積を形成する。これにより,本発明の動作における空気消費量が大幅に削減される。このような先進的な設計により,空気圧のアクティブ制御の必要性も減少する。
使用中,各空気ポケットの入口には,空気供給システムを介して圧縮空気が供給される。この空気圧は,疎水性表面からの毛管力と組み合わされて,ポケットから水を排出する。ウェット状態とする水を排出するという空気ポケットの特性により,ポケットはドライ状態に維持される。ポケットから水が排出されると,空気は第3段チャンバからポケットを通って流れる。絞りは,ポケットを通過する体積流量を制限する。一部の気泡は空気と水の界面で生成されるが,これらは船の安定性を損なうものでなく,大量のエネルギを消費するものでもない。空気ポケットは,定常状態ではこのような態様で動作する。ポケットが水ではなく空気で満たされ,ポケットの表面で粘性抗力は発生しない。上記の空気ポケットを,以下「加圧空気ポケット」と称する。
前述したように,空気の粘度は水の粘度の約1000分の1であるため,空気で満たされた加圧空気ポケットの粘性抗力は効果的に排除される。複数の加圧空気ポケットが船体の水没面にある場合,粘性抗力はそれぞれ効果的に排除される。複数の空気ポケットを密接に配置すれば,カバーされる領域全体の粘性抗力が大幅に減少する。本発明は,加圧された空気ポケットにより,船体の水没領域の実質的に全てをカバーすれば,船体上における全体的な粘性抗力を大幅に低減できることを開示するものである。
上述したように,本発明の好適な実施形態において,加圧空気ポケットの半径は,毛細管長さの2倍以下とし,ポケット内の空気と水の界面が破壊されて気泡がポケット内に形成され,ポケットから排出されることを防止する。水の場合,ポケット半径は理想的には5.4mm未満である。実際には,1mm未満のポケット半径が非常に効果的であると共に,経済的に製造可能である。
本発明のクラッドは,多数の加圧可能な空気ポケットを備え,ポケット内の空気が加圧される際に各ポケット内の固体/水界面を空気/水界面で置き換えるものである。図3aの実施形態に示すように,ポケット302は,各ポケットの周縁部が隣接するポケットの周縁部に接するように船体表面に密接に配置することができる。カバーされる船体表面積割合が大きいほど,船体のウェット領域がより減少する。これにより,粘性抗力が大幅に低下する。図3bは,加圧空気ポケット312が互いに重なり合う実施形態を示す。図3cは,加圧空気ポケット322が互いに短い距離を隔てて配置される実施形態を示している。
幾何学的に言えば,図3aに示すように隣接して配置された加圧空気ポケットは,外面の90%以上をカバーし,対応するウェット領域を減少させる。従って,加圧可能な空気ポケットの幾何学的設計は,単純な貫通孔よりも大きい外面領域302と低い入口領域311の両者の望ましい効果を与える。評価ツール設計における有用な指標は,加圧空気ポケットで覆われている船体領域の百分率である。以下,これを「ポケットカバー率」と称する。
固体から空気への熱伝達係数は,固体から直接水への熱伝達係数よりもはるかに小さい。従って,本明細書に記載の低粘性抗力クラッドには,船舶から海水への熱損失を低減するという追加の利点を有する。断熱材の特性は,低温海域を横断する船や低温気候下で油を汲み上げる船舶において特に有益である。
クラッドの上記実施形態は,ちょうど3枚のシートを備える。当業者であれば,波形シートメタル設計が同じ質量の単一プレートよりも高い強度及び剛性を有することを理解することができる。本明細書において説明される本発明のクラッドが船体構造に組み込まれ,船体の強度及び剛性の重要部分を形成するように船を設計することが望ましい場合がある。そのプロセスでは,必要に応じて追加のシートを使用することができる。
クラッドの代替的な実施形態が図10に示されている。トップシート1003は,波形シート1002に接着されて単一のパネルを形成する。波形シートの側面は,サイドシートをトップシートと波形に溶接することによりシールされる。サイドシートは,波形シートと一体であることが好ましいが,別体として構成することもできる。単一のプレナム1005が,トップシート1003と波形シート1002との間に形成される。取り付けシート1007は,受け孔1009及び溶接ディンプル1006を備える。取り付けシートは,ディンプルにおいて船体1001に溶接される。ディンプルは,取り付けシートを船体表面から突出させるように作用する。これにより,取り付けラグを配置してロックするためのスペースが提供され,また,ノイズ抑制及び防錆フィラー用のキャビティが提供される。取り付けラグ1008は,取り付けシート1007の受け孔と整列するようにウェーブシートに接着される。次に,トップシート,波形シート及び取り付けラグを含む,シールされた接合パネルは,取り付けシート1007に位置合わせされ,ラグ1008は,取り付けシート1007上の受け部1009に嵌合し,所定の位置に機械的にロックされる。パネルは,パネル上の閉鎖タブを取り付けシートに溶接することにより,更に固定することができる。
パネルと取り付けシートの間に形成されたキャビティは,取り付けシートと船体の間に形成されたキャビティと隣接している。これは,ポリイソブチレン等の粘弾性材料で埋め戻される。ポリイソブチレンゴムは適所に注入又は射出され,好適には粘弾性の固体又は液体を形成する。ゴムは,船体から発せられる騒音を減衰させ,海洋環境の騒音汚染を防止する。更に,ゴムは,鋼製の船体を錆から保護し,パネルと船体の間に接着結合を形成する。波形シート設計を含むこのパネル1001は,トップシートが加圧ポケットと対比して断面積の桁違いに小さい絞りを含むサンドイッチ設計を備える場合のように,パネルを通る空気流量が低い場合に特に適している。。この場合,プレナム内の圧力は実質的に均一であり,単段プレナムは,単一パネル内における全ての絞りを横切る実質的に均一な空気の流れを提供することに成功している。
本発明の多くの用途は,非常に多数の孔を有するシートの製造を必要とする。孔の間隔が2.5mmの場合,1mあたり約20万個の孔が必要となることに留意されたい。水没面積が2万5千mの大型タンカーには,約50億個の孔が必要である。機械的ドリル加工,レーザ,ウォータージェット,電子ビーム加工等の製造方法は,波形トップシートに必要な小さな孔を製造するのに適したプロセスであり,実験室規模又は小規模の製造には適している。しかしながら,現時点で利用可能な機械を使用する場合,上記のプロセスは,何れも一度に単一の孔しか形成できず,本発明の産業用途に必要とされる大量の孔を形成し得るものではない。
本明細書に記載のクラッドを製造する際の更なる難点は,各孔が,好適にはシートの厚さよりもはるかに小さい直径を有する点である。このような孔を必要な寸法及び数量で形成する方法は知られていない。これらの問題を解決する方法及び設計が現在発明されており,ここに開示されている。
本発明に係るパネルは,標準的な金属シートプロセスによって製造することができる。大型のプレス金型を使用してプレス加工により孔を打ち抜いて有孔金属シートを製造することは,当業者に知られている標準的な作業である。このプロセスは,「スタンピング」とも称されている。このプロセスにより,非常に微細な孔を大量に形成することができる。例えば,0.5mmの孔が間隔1mm程度で形成された厚さ0.4mmのステンレスシートが標準品として市販されている。このようなシートは,通常は縦2m,横1mの寸法で作成されている。当業者に知られているように,リールツーリール製造も可能である。典型的に,パンチングダイは,1サイクルあたり最大1000個の孔を,1秒あたり最大10サイクルもペースで形成するように動作する。このプロセスでは,大量の微細孔を形成することができる。しかしながら,孔の直径をシートの厚さ以下とすることができないという点で制限されている。従って,パンチングは,必要な量の孔を生成することができるとは言え,所要の絞り比を有する孔までは形成することができない。
もう1つの有用なプロセスは,化学的なエッチングプロセスである。通常,大規模なフォトエッチングプロセスは,ステンレス鋼やアルミニウム等の金属シートで製品を製造するために一般的に使用されている。フォトリソグラフィープロセスは,0.1mm以下の微細なディテールと解像度を有する製品を製造するために使用される。エッチングされる孔の数や寸法に関係なく,1つのシートは同じプロセスを経るものであり,実質的に同じ製造時間と入力を必要とする。従って,このプロセスでは,1mあたり100万個の微細な孔が,1mあたり1個の孔を生成するのと同じ時間及びほぼ同じコストで形成される。フォトエッチングは,パンチングよりもコスト高となる傾向があり,厚いシートに孔を形成するのには適していない。電鋳プロセスは,フォトリソグラフィープロセスにより金属,特にニッケルをマンドレル上に堆積させてシートを形成するプロセスである。フォトエッチングの特徴の多くを共有している。以下,「フォトエッチング」という用語は,電鋳プロセスを含むものとする。更に,フォトエッチング,電鋳又はパンチングによって形成された孔を有する金属シートは,従来の手段によって生成されたものと称する。
金属シートスタンピング及びフォトエッチングの両者における現在の孔あけ技術では,最小孔径がほぼ材料の厚さに制限される。特に,一側に狭い制限オリフィスを備え,他側に大きな出口を備え,出口領域全体がシート表面の大部分を占める薄い金属シートに密接に配置される異形孔を大量生産する方法は知られていない。今日まで,本発明が必要とする異形孔を形成する方法は知られていない。しかしながら,それぞれに特定の適用上の利点を有する3つの別々の方法が発明され,ここに開示されている。
好適な第1の方法を図2aに示し,その中間ステップを図2c及び図2dに示す。第1ステップでは,図2cに示すように,鋼製シートに直線状の側面を有する孔230を打ち抜き,有孔鋼製シート231を形成する。上部直径233は,下部直径232と実質的に同じである。次に,シート241の孔を成形ダイ245で打ち抜き,面取り形状を有する孔を形成する。ダイ形成プロセスにより,図2dに示すように,加圧空気ポケットの直径243を実質的に増加させる。また,絞りの直径242を減少させる。拡大された直径243は,ポケットカバー率の高い密集したポケットを形成する。シートの厚さも増加する。次に,シートに被覆を施して,絞りの開口部の直径を更に減少させる。無電解めっきされたニッケルは,被覆厚が非常に均一であり,許容誤差を数μmに制御できるため,好適な被覆材である。被覆厚は,好適には100μm以下とする。これにより,シートの厚さよりも相当に小さい,非常に均一な絞り寸法が生成される。図2aを参照すると,次にPTFEテープ212をシート211の上面に貼り付けた後,ポケット内に押し込む。これは,キャビティ215の形状に塑性変形し,金属シートに付着する。次に,PTFEテープに孔を形成し,その際にはダイを使用してニードル穿孔として既知のプロセスで多数の小径ニードルを挿入する。ニードル穿孔は,プラスチック業界で一般的に使用されている既知のプロセスである。この方法によれば,高い絞り比と高いポケットカバー率が得られる。このPTFEテープにより,シートは疎水性となる。また,汚れを発生することもない。
無電解ニッケル被覆を施すと,図9に示すように,絞りのアスペクト比が大幅に向上する。図9は,アスペクト比1:1の孔902が打ち抜かれた金属シート901の断面を示す。この実施例のシートは,厚さが300μm,孔径が300μmである。次に,厚さ100μmの精密無電解ニッケル被覆903を施す。被覆された金属は,厚さが500μmまで増加し,孔径が100μmまで減少する。この方法で被覆を施した鋼製品は,海洋環境下での使用に適しており,硬くて強靭であり,かつ,化学的に安定な合金を形成するための熱処理に適している。本発明に係る被覆により,孔のアスペクト比は1:1から5:1まで増加している。このプロセスは,本発明に係るクラッド以外の業界でも幅広い用途がある。
図2bに示すように,厳密に制御された小さな寸法の絞りを作成する第2の方法は,2つ以上の個別のシートを組み合わせてトップシートを作成する方法である。先ず,上述した打ち抜きプロセスでより厚いシート222及び223を製造する。また,フォトエッチングプロセスでより薄いシート221を製造し,その厚さは典型的には約0.3mm未満である。この減少した厚さにより,小径の孔を製造することができる。シート221の厚さとほぼ同じ直径の絞り228を,顕密な公差をもってエッチングされる。3枚のシート221,222及び223を,それらの孔226,227及び228が整列するように互いに結合させる。次に,好適な無電解ニッケル被覆を施して,絞りの直径を所望の寸法まで減少させる。
組み合わされたシートを疎水性とするため,電着ニッケル層上に追加的な疎水性層を堆積させる。この疎水性層は,好適には,無電解堆積中にPTFE相が封入されたニッケルの薄層を備える。PTFEカプセルを組み込んだ無電解ニッケルめっきは,広く適用されている既知のプロセスである。この方法により,絞りの寸法比が高く,ポケットのカバー率が高い,一貫した寸法の絞りを生成することができる。
絞り寸法が非常に小さいクラッドの実施形態が図11に示されており,以下では「サンドイッチ設計」と称される。トップシート1101は,サンドイッチ構造で互いに位置合わせされ,接着された3枚のシートを含む。薄い中央シート1102は,2つの厚肉シート1103及び1104に結合される。中央シート1102は厚さが非常に薄いので,この中央シートは「フォイル」と称される。混同を避けるため,添付図面の多くは縮尺通りではないことに留意されたい。幅が10mm以上のシートのセクションで直径10μmの孔を表示することはできない。フォイルの厚さは,通常,約25μm〜約200μmの範囲にある。フォイルの厚さが薄いため,高度な製造プロセスにより非常に小さな直径の絞り孔を経済的な生産速度で加工することができる。複数のレーザドリルヘッドを並行して使用すれば,このような孔のレーザ孔あけを,非常に高い精度及び生産速度で経済的に行うことができる。絞りの直径は,1回又は複数回の被覆により,更に減少させることができる。最終被覆は,好ましくは,疎水性のフッ素系ポリマー被覆である。薄いフォイルは壊れやすく,製造中又は使用中に損傷する可能性がある。しかしながら,2つの厚肉シートの間にフォイルを挟めば,フォイルが保護され,通常の金属シート製造及び造船プロセスで取り扱い,かつ使用することができる。
当業者であれば理解できるように,この設計のフォイルは,実質的にトップシート1101の中立軸線上にある。これは,金属シートの加工中にトップシートが曲げられる際,脆弱なフォイルが破れる原因となる圧縮力又は引張力を受けないことを意味する。その代わりに,フォイルには曲げ力のみが作用するが,曲げ力は絞りに損傷を与えるものではない。上述したサンドイッチ設計は堅牢であり,繊細なフォイルと絞りを金属シート製造プロセス中における損傷から保護する。このサンドイッチ設計により,厚さ1mm以上のトップシートで,直径が10μm未満の絞りを含むパネルを経済的に製造することができる。この小さな直径の絞りは,本発明が使用される際の圧縮空気の消費量最小化に資するものである。ここに開示されるサンドイッチ設計は,荒海に遭遇する外航船のクラッドに特に適している。
図11の実施形態は,複製プロセスによって製造することができる。複製プロセスは,工作機械のベッドやその他の工業製品の製造において広範に使用されている。これは,特定の雌型から雄型を作成する非常に正確な方法である。この方法によりトップシートを,高い精度と再現性をもって再現することができる。このプロセスを図5a,5b,5c及び5dに示す。先ず,砥石車501は,図5aに示すように,その外面にダイヤモンドドレッサーにより機械加工された所望の雄型を有する。次に,型502を平面グラインダー上で2つの直交する方向に研削して,型表面トポグラフィーを形成する。一方向に研削すると,砥石プロファイル503は,型プロファイル504を生成する。次に,直交方向に研削してプロファイル505を生成する。次に,型を離型剤の薄層で被覆する。次に,好適には室温加硫型の液体シリコーンゴムを含むレプリカントを型表面に塗布する。金属又は複合材の薄い有孔シート512は,最初に薄いプライマ層で被覆する。シートの孔パターン及び寸法は,金型の特徴部と一致している。次に,シートを型に合わせ,湿ったレプリカントに押し付ける。この有孔シートは,レプリカントのベース及び補強材として機能する。レプリカントを加硫させ,その間に有孔シートとの接着結合も形成する。レプリカントが硬化すると,レプリカントで被覆されたシートを型から取り出す。シリコーンゴムは,有利な疎水性表面を形成する。支持金属シートの表面上に突出するタブ511を尖鋭な刃で切除して,貫通オリフィスを露出させる。必要に応じて,有孔金属シートの代わりにガラス繊維又は炭素繊維の布を有効に使用することもできる。このようにして形成されたトップシートを,次に空気分配フレームに接着する。この方法は,小型の物品を作成するのに適しており,二重に湾曲した表面を製造する場合に適している。
パネルの上面は,好適には,疎水性となるように処理を行う。その好適な方法は,テープ形態のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層を適用することである。これは,疎水性であるだけでなく,化学的に不活性であり,従って海洋環境を汚染しないという利点がある。その厚さは,好適には,トップシートの厚さより薄い。PTFEテープは,リールに巻き取れるように十分に薄いPTFE層を削って作成する。次に,テープの片面のみをエッチングして,その表面上のフッ素イオンのみを除去する。これにより,その側での接着接合に適した構造とする。次に,以下に詳述するように,カレンダ加工又はテキスタイル処理を実行し,次に,感圧シリコーン接着剤の薄層を,エッチングされた表面に塗布する。この方法で製造された粘着テープは,金属シートの表面に押し付けられ,しっかりと接着する。形成された結合は,水中で無期限の耐久性を有するに十分なものである。本発明の空気ポケット内に押し込まれると,PTFEは塑性変形し,空気ポケットの形状と恒久的に適合する。その疎水性は,優れたものである。次に,複数のニードルを備えるダイを使用して絞り開口を形成するための穿孔ステップを実行する。
PTFE層の疎水性を向上するのに好適な方法は,既知のカレンダ加工プロセスを使用することである。これは,特許文献2(米国特許第3354022号明細書)に開示されているように,所定のプロファイルを有するローラを使用して容易に行われる。ローラのプロファイルは通常凹型であり,PTFEテープに凸型プロファイルを生成する。2つ以上のプロファイルの寸法的な階層は,階層的なプロファイルを有するプロファイルローラーを使用して簡単に作成することができる。より簡単な方法は,異なるローラ表面トポロジを使用してテープを2回処理することである。この場合,最初に小さな寸法プロファイルから始め,次に大きな寸法プロファイルに進める。図6は,このようにしてカレンダ加工されたPTFEテープ601の断面を示す。寸法的により小さい特徴部611及び612は,初回のカレンダ加工ステップで形成される。より大きい特徴部603は,2回目のカレンダ加工ステップで形成される。カレンダ加工ローラに薄い液体層を塗布することは,2回目のカレンダ加工ステップ中に特徴部612の破壊を確実に防止する上で有用である。PTFEは,降伏強度が低く,破損前の塑性変形率が高いため,この方法で簡単に処理することができる。この方法によりカレンダ加工を行うと,PTFEの疎水性が高まり,ウェット状態のポケットから水を排出するために必要とされる空気圧が低下する。
PTFEテープを以下「テキスタイルプロセス」と称する方法で処理することにより,空気層の安定性が向上する。テキスタイルプロセスは,疎水性の糸がテープに取り付けられる。好適な糸は,一般にePTFEとして既知の延伸ポリテトラフルオロエチレンである。ePTFEは,多様な繊維プロセスで一般的に使用されるものである。ePTFEは疎水性があり,強度が高く,広く市販されている。糸径は,適切な繊維加工機械での使用を可能とするために,十分に小さな値に選択する。図7aを参照すると,糸を取り付けるための好適な方法は,閉ループ702を形成する態様で糸をテープ701に縫い付けることである。これは,繊維産業では既知のプロセスである。
ループの長さは,加圧空気ポケット間の間隔と同じオーダとする必要がある。スタンドは全て同一寸法とすることができるが,2種又は3種の異なる長さとした寸法的な階層構造を提供することも可能である。
図7bを参照すると,使用に好適な糸は,PTFE被覆が施されたステンレス鋼線である。この市販の糸は,種々の業界において一般的に使用されている。糸のゲージは,使用可能な機械に縫い付けるのに十分な柔軟性があるように選択する。この糸は,上述のようにループ702が形成されるのと同様の方法で,最初にPTFEテープ711に閉ループとして縫い付ける。次に,ループを切断して2つの個別のストランドを形成することにより,個別のストランドを形成する。これは,ステッチプロセスの一部として,各ループを鋭い刃の間で渡すことによって行われる。これは,繊維産業では既知のプロセスである。切断プロセスにより,糸の先端部でのみステンレス鋼713の親水性の内部コアを露出させる。
糸712の残部は,疎水性のままである。親水性のステンレス鋼に対する水の誘引力により気泡が空気の中間層から水中に逃げるのが抑制されるため,この糸は動作中に安定した空気及び水の界面を提供する。圧縮空気ポケットからの空気の流れにより,疎水性の糸から水が押し出され,船体の表面は乾燥したままとなる。
図7a及び7bに示すテープの2通りの実施形態は,船体表面から離れた距離における空気及び水の界面の安定化に資するものである。
クラッド上部シート/外面の更なる実施形態が図12に示されている。これは,以下に説明するように,有孔シートアセンブリ1205に結合された繊維表面テープ1201を含む。開放基材1202は,好ましくはPFA被覆を施したガラス繊維メッシュを使用して製造される。これは市販の製品である。次に,疎水性繊維層1203を,ステッチング又は接着結合の何れかによって基材に結合させる。好適な繊維はePTFEであり,更にはPFA被覆又はPTFE被覆が施されたガラス布である。これらは基材に取り付けられ,図示のように閉ループを形成する。代替的に,ePTFE糸を使用し,閉ループを切断してテープ表面上に疎水性繊維の開いたストランドを形成する。内部親水性コア及び外部疎水性被覆を含む第2の繊維層を,基材1202に結合させる。最初に閉ループを形成し,次に閉ループを切断して疎水性糸1205の端部にある親水性コア1204を露出させる。このようにして製造された繊維テープは,疎水性繊維の1つ以上の層と,親水性コアが露出した疎水性繊維の単一層とを含む階層構造を備える。親水性コアが露出した繊維は,疎水性繊維よりも長い必要がある。テープは,カーペット及び他の繊維製造業界において一般的な機械で生産される。
孔1209の形成された有孔金属シート1207にフォイル1206を結合する。そのフォイルの表面には,その下側の支持層内まで達する貫通孔1208をレーザ加工する。孔の間隔は,好適には,水の毛管長さの4倍未満とする。孔径は,空気消費量を制限するために十分に小さくする必要がある。開放テープ1201をフォイル表面に接着して,クラッドトップシートを生成する。このトップシートを,船体における単純なストラットに取り付ける。シーラントとしては,ポリイソブチレンを使用する。圧縮空気は,トップシートと船体の間のキャビティに供給され,多数の貫通孔を通って流れる。疎水性繊維は濡れていないままであり,繊維1205の親水性の先端部1204は,空気層からの空気の制御されない漏出を制限することにより空気層を安定化させる。当業者であれば理解できるように,この設計の被覆は空気ベアリングに類似している。この場合に空気層は,厚さが外圧の増加に応じて減少し,外圧の減少に応じて増加する。安定状態で動作している場合,空気は大部分が喫水線からしか漏洩しない。親水性コアにより空気が残りの空気層から漏洩するのが防止されるからである。有孔支持シート層1207は,開口率の大きい多孔質層と置き換えることができる。この実施形態における薄いフォイル層は,大型船舶における損傷に対して脆弱である。これは,より小さな船舶に有用であり得ると共に,特に液体の搬送パイプにも有用であり得る。
個別の船舶における気流システム設計は,既知のシミュレーションソフトウェアを適用して最適化することができる。推奨される2種のシミュレーションソフトウェアパッケージは,ANSYS CFX及びANSYS Fluentである。チャネル,チャンバ及びオリフィスの最適設計によるパッシブ制御は本発明の一部を構成するものではあるが,特に大規模な設備の場合には,圧力及び流量センサやレギュレータ,並びに制御弁等の既知の機材を使用して,この操作を最適化し得ることが想定される。これらは空気分配システムにおける自明の構成要素であり,本発明の一部として主張されるものではない。
本発明の一態様は,船体及び他の海洋構造物等の海洋構造物のファウリング防止を対象とする。
「ファウリング」は,船体における生物の成長を表すために使用される用語である。通常,このプロセスは,最初に微生物が表面付着する裸の構造から始まる。微生物は時間の経過と共に成長し,更に大きな生物も表面に付着する。これらは,浮力,性能,更には構造的一体性に悪影響を与える可能性がある。船の粘性抗力が大幅に増加し,燃料消費量が増加する可能性があるため,ファウリングは輸送時に特に問題となる。世界中の海運業界は温室効果ガスの世界的な大規模生産者であるため,ファウリングによる燃料消費の増加は,環境コスト及び経済コストの大幅な増加につながる。
現行の業界規範は,影響を受ける表面を防汚塗料で被覆することにより,ファウリングを防止しようとすることである。しかしながら,これらには通常,海洋生物に有害な銅等の殺生物性化学物質が含まれている。実際,防汚塗料を有効化するのは,その毒性である。防汚塗料は,それを消費する生体を殺傷することにより作用する。しかしながら,有毒化学物質が生体により消費されるため,塗装面の効果は時間の経過と共に低下する。このような塗料は,有効性を維持するために一定速度で摩耗するように設計されており,ファウリングに抵抗するために新しい有毒な層を継続的に露出させる。その結果,これらの有毒物質が海洋全体に拡散して生体を殺害し,海洋生物を汚染する。防汚剤としての殺生物剤に代わる実行可能な代替手段がないため,防汚塗料での殺生物剤の使用を禁止するEU法は施行が延期されている。規制の実施は,海運業界による燃料使用と温室効果ガス排出の受け入れがたいほどの増加をもたらすこととなる。
従って,環境的に安全な方法で船体をファウリングから保護する方法を提供することが急務である。
すなわち,本発明は,ファウリングを低減し,これを非汚染的な方法で実行することにより船体表面を処理する方法を更に提供するものである。この方法では,薄いPTFEテープを準備し,テープの片面を処理して,その表面のフッ素イオンを除去し,接着結合に適合させ,次に接着結合によりPTFEテープを船体に取り付ける。
本発明の目的は,環境に対して有毒となる方法でファウリングに抵抗するように船体を処理する方法を提供することである。本発明の他の目的及び利点は,後述するところから明らかになる。本発明の防汚被覆を塗布する方法は,船体,ブイ等の海洋構造物,桟橋,石油プラットフォーム,エネルギ発生装置の被覆等,様々な用途において有利に使用することができる。
本発明のこの態様は,船舶,潜水艦,ブイ,桟橋,石油プラットフォーム,エネルギ発生装置等の海洋構造物に適用される。以下,「船舶」という用語は,そのような全ての船舶及び構造物を記述するために使用される。「船体」という用語には,船体外面における任意の部分を指し,船体構造,キール,ラダー,軸受ハウジング,プロペラシャフト,インペラ等が含まれる。
一般にPTFEとして知られているポリテトラフルオロエチレン(C2F4)nは,表面エネルギが非常に低い材料である。PTFEは,炭素原子の長い鎖で構成され,それぞれが2つのフッ素原子に結合する。PTFEは,ほとんど全ての化学物質に対して不活性で非反応性である。ただし,表面エネルギが低いため,一般に鋼,アルミニウム,炭素繊維,又はガラス繊維で構成される船体に接着するのが困難である。PTFEも優れた電気絶縁体である。
本発明では,先ずPTFEシートを薄いシートとする。好適な方法は,最初にPTFEの大きな円筒形ブロックを製造する方法である。次に,そのロールを旋盤に取り付け,中心軸線周りに回転させる。スカイビングと呼ばれる既知のプロセスで薄い層を削り取る。本発明において有効であるため,そのように製造される薄いシートは,厚さが1mm未満,幅が150mmを超え,長さが1mを超える必要がある。そのように製造された薄いシートは,それ自体の周りに巻回してロール状とするのに十分な薄さでなければならず,以下では「テープ」と称する。
テープを船体表面に接着可能とするため,次の要領で片面のみに活性化プロセスを実行する。活性化プロセスは,好適には低圧水素プラズマエッチングにより行う。このエッチングは,真空チャンバ内において1Torr未満の圧力で,室温よりも少し高い温度下で行われる。低温プラズマ中の水素をフッ素原子と反応させ,HFガスとしてPTFE表面から遊離させる。HFガスは真空ポンプで吸引する。水素イオンも不飽和炭素原子と反応して結合し,CHxポリマー表面を形成する。この表面は,既知の多種の接着剤による接着に適している。シリコーン系接着剤は,海洋環境に非常に適した適切な接着剤群の1つである。上記の表面処理を,以下では「活性化」工程と称する。
あまり好ましくはない活性化方法は,既知のプロセスにおいてナトリウムアンモニアを使用してテープを片側で化学的にエッチングすることである。このプロセスは危険な化学物質を使用し,高い環境リスクを伴ものではあるが,活性化ステップの定義にも含まれるものである。
次に,活性化されたテープ表面に,好適には厚さが約50μmの感圧シリコーン接着剤の薄層で被覆を施す。以下,このテープを「接着剤付きPTFEテープ」と称する。小さな凹面に被覆を施す場合等,特定のケースでは,接着剤被覆をテープにではなく,船体に塗布するのが有効である。この場合も,「接着剤付きのPTFEテープ」及び「船体」という用語が使用される。
船体は,その表面に接着剤を付着させたPTFEテープとの間で信頼性の高い結合部を形成できるように準備する。金属製船体の場合,表面は好適にはグリットブラストを施すべきである。また,素材の表面状態が良ければ,目の細かい紙やすりで研磨することもできる。その後,イソプロピルアルコールで拭き取って浄化し,乾燥させる。次に,テープを表面上で転動させることにより貼り付ける。ローラを使用して,接着剤で裏打ちされたPTFEテープを船体に対して緊密に押し込み,接着剤を船体の表面に対してほぼ全面に亘って密着させる。これを達成するために,ローラ表面は,好適には硬くて剛性が高いもの,好適には金属製又はセラミックス製とする。
テープの連続部分が表面上で重なる場合には,ローラブレードを使用してトリミングを行い,シリコーン接着剤が殆ど又は全く存在せず,隣接する2つのテープの連続部分が密着する重なり接合部を形成する。
二次元的に湾曲した表面は,好適には,テープを引き伸ばしながら適用することによって被覆する。PTFEのロールを船体の幅方向中央部で船体表面に適用する。次に,表面が柔軟なゴム等のローラを使用して,テープを中心側から外側に向けて加工する。PTFEテープは,破断前の大きな塑性変形に耐えるという利点がある。その結果,PTFEテープは容易に引き伸ばすことができ,二次元的に湾曲した表面に適合可能となる。更に,PTFEテープは柔軟であり,他のプラスチック材料よりも丈夫で耐久性に優れている。海洋テストでは,何ヶ月間にも亘ってテープの厚さの検出可能な摩耗は認められなかった。シリコーン接着剤は,海洋条件に完全に適合していることも判明した。シャフトやプロペラブレード等の回転部品でも,テープは,船体に確実に接着されている。プロペラの前縁部には摩耗が認められたが,これは想定範囲内のことである。
最も重要な点は,海洋テストにおいて,表面に生物が殆ど又は全く成長していないことも示されたことである。このように,接着剤で裏打ちされたPTFEテープは効果的な防汚カバーであること,そして化学的に不活性であって海洋環境を汚染しないことが証明された。
本発明は,移動体の空気力学的表面に対しても適用可能である。
本発明は,航空機の表面における抗力の低減及び境界層の制御にも適用可能である。本発明は,船舶や空中を移動するその他の物体,例えばヘリコプタ,無人航空機,グライダ,ロケット,ミサイル等にも関連する。また,本発明は,道路車両や鉄道車両にも関連する。更に,本発明は,ヘリコプタや風力タービンのブレード等の回転物体にも関連する。陸上及び航空輸送産業は,化石燃料の世界的な大規模の消費者であり,温室効果ガスの生産者である。粘性抗力による燃料消費量の削減と空気力学的表面の境界層制御により,大幅な環境被害の低減と,大幅な経済的節約が可能である。
空力面における境界層を制御すれば,表面に作用する抗力全体を低減できることは,何十年も前から知られている。境界層に対する空気の吹き込み又は吸い出しにより,表面に作用する抗力を低減させることができる。この手法は,典型的には二通りの手法の何れかで機能する。第1の手法は,層流から乱流への移行を遅延させることである。乱流境界層からの抗力が層流境界層からの抗力よりもかなり高いため,これにより抗力が低減する。第2の手法は,空力面からの境界層の分離開始を完全に遅延させ,又は回避することである。この効果は,一般に,逆の圧力勾配が存在する翼の上面において生じるものである。
特許文献3(米国特許第5,803,410号明細書)は,航空機の翼の表面にある丸い空気孔の使用を開示している。特許文献3は,前記孔を通る空気の吹き込みと吸い出しの両者により,抗力が低減されることを開示している。特許文献3は,表面の最大23%が微細孔を含む空気力学的表面も開示している。特許文献4(米国特許第7,152,829号明細書)は,空気力学的抗力を低減するよう幾何学的に規定された間隔で離間された,実質的に長方形の形状のマイクロスロットの使用を開示している。 特許文献5(米国特許第8,783,624号明細書)は,弦方向に配向された内部の波形と連通する有孔スキンを含み,このスキンを通して空気が吸い込まれる空気力学的本体を開示している。これらの発明の効果は限定的であり,典型的には航空機の翼又は尾部に限定される。鉄道車両の場合,粘性抗力を回避する手段として,旅客列車が移動する真空トンネルを作成する非常に複雑なシステムが提案されている。これは,未だ解決策として実施されているものではない。
それ故,空気力学上の粘性抗力の問題に対する解決策が必要とされる。
従って,本発明は,その外面に多数の小さな密に詰められた空気ポケットを含む航空機の空力面を更に提供する。この場合には,各空気ポケットの空気入口が前記ポケットへの空気流の絞りとして機能し,前記絞りの面積がポケットの出口の面積の半分未満であり,各ポケットの入口が空気分配システムに接続され,空気分配システムが少なくとも1つの加圧空気源に接続される。
本発明の利点は,航空機の粘性抗力が低減されることである。鉄道車両を対象とする場合,本発明は,燃料消費を低減し,高速鉄道による旅客車両及び貨物車両の運転を可能にする。本発明の他の目的は,所与の燃料負荷に対する航空機,鉄道及び陸上車両の走行範囲を拡大し,所与の設計速度でそれらの推進装置の寸法及びコストを低減することである。
本発明に基づく粘性抗力低減特性は,航空機の翼及び胴体,ヘリコプタ,ミサイル,回転機械,鉄道及び道路車両等,様々な用途で有利に適用することができる。
次に,この本発明の態様について説明する。便宜のため,以下の記載において使用される用語の幾つかについて説明すれば,次のとおりである。本発明は,空気媒体を通って移動する航空機の粘性抗力低減に関して説明されている。しかしながら,本発明は,ヘリコプタ,無人航空機,グライダ,ロケット,ミサイル等,空中を移動する船舶及び物体にも関連する。本発明は,鉄道に沿って移動する車両のエンジン及び列車にも関連する。また,本発明は,道路を走行するトラックや車にも関連する。また,本発明は,付着した境界層に粘性抗力が生じ,望ましくない粘性抗力が発生する風力タービンやヘリコプタブレード等の回転部品や機械にも関連する。以下,「航空機」という用語は,表面が気体に対して相対的に移動する物体を記述するために使用され,飛行機,ロケット,ヘリコプタ,無人航空機,グライダ,鉄道車両,自動車,トラック及びその他の道路車両を含むものとする。以下,「空気」という用語は,航空機に粘性抗力を及ぼすガス媒体を指すものとする。「翼」という用語は,空気媒体に直接隣接する空気力学的表面を指し,飛行機の機体及び尾翼部を含む航空機表面の全ての領域や,道路及び鉄道車両における全ての空気力学的表面を含むものとする。明確化のため,自由な流れに隣接する表面を「外面」と称する。
本発明において,空気ポケットを通して圧送されるガスは,以下,「空気」と称されるが,任意の適切なガスであってよい。ガスは,空気ポンプシステムの何れの部分にも結露が発生しないように,必要に応じて乾燥させておく必要がある。また,絞りを閉塞する可能性のある粒子が確実に除去されるように,ガスは必要に応じてろ過する必要がある。加圧空気は,コンプレッサーにより,又は貯蔵タンクから供給することができる。加圧空気は,好適には,燃焼又は化学反応からのガス,あるいは相転移からのガスであり得る。多くの航空機は,圧縮機又は高圧空気領域を翼面に備えており,これらも本発明の圧縮空気の適切な供給源であり得る。
本発明は金属シートに関して説明されているが,非金属材料も適切であり,非金属材料よりなるシートも以下においては「金属シート」と称する。航空機の製造において一般的に使用されるそのような好適な材料の1つは,エポキシ結合炭素繊維である。特に低速車両の場合には,ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂も適している。このように呼称が列記された実施例は,その範囲の限定を意図するものではない。
本発明は,図13に示されるような航空機用の境界層制御システムを提供する。このシステムは,多数の加圧空気ポケット1124を含むトップシート1104を備える。図15aに示すように,これらのポケット1124は,各ポケットの外縁部が隣接するポケットの外縁部に接触する形態をもって航空機の表面上に密接に配置され,これによりポケットは航空機の大部分をカバーしている。図15bは,加圧空気ポケット1322が互いに短い距離を隔てて配置される実施例を示している。
幾何学的に,図15aに示すように配置された隣接する加圧空気ポケットは,外表面の最大約90%をカバーする。従って,本発明の加圧空気ポケットの幾何学的設計は,図14cに示される従来型設計による単純な貫通孔1230よりも大きい外面領域1302と,小さい入口領域1301の両者の望ましい効果を与える。境界層制御設計の有効性を評価するための効果的な指標は,加圧空気ポケットで覆われている表面積の局所領域での割合及び航空機全体での割合である。
「実質的に平坦」という用語は,航空機の外面に実質的に平行な表面を意味するものとする。
便宜上,本発明は,3つのシートのみからなるクラッドとして以下に説明されている。当業者であれば理解できるように,波形金属シート設計は,同一質量の単一プレートよりも高い強度及び剛性を有する。本明細書に記載のクラッドを航空機構造に組み込んで,航空機の強度及び剛性を高めるのが有利な場合がある。そのプロセスにおいて,必要であれば追加的なシートを使用することもできる。
空力面上における粘性抗力は,その表面に隣接する空気の速度変化率に比例する。本発明は,航空機の表面上の速度勾配を減少させて,表面に作用する抗力を減少させるように作動する。加圧空気ポケットの寸法は,各ポケットを自由流から実質的に隔離するのに十分な程度に小さく設計されている。加圧空気ポケットの許容最大寸法は,境界層の厚さと空気の流れの性質によって異なる。自由流は,層流状態であるか,又は乱流状態である。境界層の厚さと流れの性質は,空力面上で変化する可能性がある。一般に,ポケットの寸法は1cm未満とするのが好適であるが,約1mm未満のポケットの寸法は,後述する製造技術を使用して製造することが可能である。ポケットは,翼面の最大約90%をカバーする。その形状のため,ポケット入口は絞りとして機能し,本明細書では「絞り」と称されることもある。各ポケット内では,低速の空気がポケット入口からポケット出口に向けて流れる。空気の流速は,自由流の流速よりも大幅に低い。その結果,各ポケットの表面で得られる速度勾配は,同じ飛行条件のもとで自由流に隣接する平坦面の場合よりも大幅に低くなる。更に,ポケットから排出される低速空気は,図15aに示すランド1303を通過する。これらの領域における翼面上の速度勾配は,ポケットで得られるものよりは高いが,同じ空気力学的条件下で自由流に隣接する平坦面で得られるものよりも実質的に低く,その結果,粘性抗力が減少する。
実際,本発明は,ポケットの表面を高速自由流の粘性抗力効果から保護するように機能し,また,翼の外面を規定するランドの粘性抗力効果を低減するように機能する。本発明に係るポケットは,吹込み孔又は吸込み孔として機能する。吸込み孔は,空気を吸込むと汚れや虫が絞りに吸い込まれて閉塞リスクを生じるという欠点がある。
図14a,14b及び14cは,以下に説明するように,トップシートのセクションを示す。図14aにおいて,絞りの動作は,本発明に係る多数の加圧空気ポケット1210を含むシート1211を検証することによって理解することができる。各ポケットの入口1212の断面積は,出口1213の断面積よりも小さい。特に,その動作は,絞りを備えてはいるが,入口1232が出口1233と実質的に同一の断面積を有する図14cの孔1230と対比することができる。図14aを参照すると,明確化のため,本発明に係る空気ポケットの面積は,その出口1212における断面積として定義される。絞りの面積は,その最も狭いセクション1213における絞りの断面積である。以下の段落において記載するように,絞りの機能は,本発明の効率的な動作にとって重要である。
図14cを参照すると,特許文献6(米国特許第5,803,410号明細書)に開示されているように,空気が絞られていない加圧空気孔1230を横切って流れる従来技術の場合には,以下に説明するように,僅かな圧力降下しか生じない。孔の入口1232に隣接するチャンバ内の空気圧は,出口1233における空気圧に非常に近い。本発明が所期の効果を奏するためには,孔がシート1231の面積の可能な限り大きな割合を占める場合に大きな開口率が必要とされる。孔1230の形状は,製造上の制限により,孔の直径が少なくともシートの厚さと同等となるように制約される。大きな開口率とする設計目標により,この設計に基づく薄肉トップシート全体の空気の流れに対する抵抗は最小限となる。この結果,空気入口に最も近い孔を通過する空気の流れが,離れた孔を通過する空気の流れよりも大幅に大きくなるという,重大な欠陥が発生する。これにより,航空機の翼全体に不均一な気流が生じる。すなわち,図14cの設計に基づく空気孔は,本発明には不適切である。
対照的に,図14a及び14bは,空気流に対する絞りを組み込んだ本発明の空気ポケットの適切な実施形態を示している。空気がプレナムから絞り1212を通って空気キャビティ1214に流れ込み,その出口1213を通って排出される際に,著しい圧力低下が発生する。空気供給システム,絞りの寸法及び全体的なポケットの形状は,絞り全体におけるこの圧力降下が,図13に示すプレナム1113に沿った圧力降下よりも大幅に大きくなるように設計されている。これにより,プレナム1113に隣接する全ての絞りに均等な空気の流れが生じ,翼面にとって最適な空気の流れが実現される。
このように,入口絞りは,各ポケットを通るより均一な体積流量を生成するのに役立ち,各プレナム内における空気圧を均一化するように機能する。上記の空気ポケットを,以下「加圧空気ポケット」と称する。
本発明以前には,航空機表面の広い表面積に亘って多数の加圧空気ポケットに最適圧力で空気を供給するための明確な方法は存在していなかった。適切な空気分配ネットワークが発明され,ここに開示されている。
図13を参照すると,クラッドの上面は,密集した多数の小さな空気ポケット1124を含むトップシート1104を備える。自由流空気に隣接する各ポケットの外面の面積は,プレナム1113に隣接するその入口の面積の2倍以上である。加圧空気は,各空気ポケットの内側に供給され,低速空気がポケットの表面を横切って自由流空気に安定に流れるものとする。加圧空気は,実質的に翼幅方向に配向された空気チャンバ1112及び1113を形成するように組み立てられ,かつ,航空機表面101に取り付けられた成形金属シート1102及び1103を含む空気分配システムによって供給される。明確化のため,スパン方向は空気の流れに対して垂直な方向を意味し,弦方向は空気の流れに対して平行な方向を意味する。空気は,オリフィス1121を介してアセンブリに入り,チャンバ1112に沿ってスパン方向に流れる。空気は,孔1112を介して,チャンバ1112から隣接するプレナム1113に流入する。孔1122の位置及び寸法,並びに隆起部1110の高さは,空気入口から各プレナムへの最適な空気流を確実にするように適合されている。例えば,空気入口ポート1121の近傍では,空気供給入口から離隔した領域1123と対比して,より少数の孔及びより小径の孔が好適である。より大きな弦方向の圧力勾配が必要とされる場合には,隆起部1110の高さ及び間隔を減少させて弦方向の流れを制限する。
当業者であれば理解できるように,シート1102は,必要に応じて弦方向に取り付けられた一連のバトンと置き換えてもよい。バトンの高さ及び間隔は,波形シート1102を使用する場合における隆起部1110の高さ及び距離と同様に,弦方向における圧力降下を決定する。本発明の目的のために,そのようなバトンのシステムは,弦方向に向けられた波形シートと称される。
この簡潔な構成の薄型システムは,空気を航空機の外面全体に分散させるものである。単純な材料を含み,航空機,鉄道及び自動車産業において一般的な方法を使用して構成された,非常に満足すべき空気分配ネットワークが発明され,ここに開示されている。
本発明は,非常に多数の孔を有するシートの製造を必要とする。孔の間隔が1mmの場合,1mあたり約100万個の孔が必要になることに留意されたい。表面積が5千mの単一の大型航空機には,そのような間隔で配置される約50億個の孔が必要である。機械的ドリル加工,レーザ加工,ウォータージェット加工,電子ビーム加工等の製造方法は,波形トップシートに必要とされる小孔を製造するのに適したプロセスであり,実験室規模又は小規模での製造に適している。しかしながら,現時点で利用可能な機械を使用する場合,上記のプロセスは,何れも一度に単一の孔しか形成することができず,本発明の産業用途に必要とされる大量の孔を形成できるものではない。
本発明の製造における更なる難点は,多くの実施形態において,各孔がシートの厚さよりも小さい入口径を要することである。このような孔を必要な寸法及び数量で作成する既知の方法,又は明確な方法は存在していない。これらの問題を解決する方法及び設計が現在発明されており,ここに開示されている。
パネルは,標準的な金属シートプロセスによって最適に製造されるものである。大型のプレス金型を使用してプレス加工により孔を打抜いて有孔金属シートを製造することは,当業者において既知の標準的作業である。このプロセスは,「スタンピング」とも称されている。このプロセスにより,非常に微細な孔を大量に形成することができる。例えば,0.5mmの孔が間隔1mm程度で形成された厚さ0.4mmのステンレスシートが標準品として市販されている。このようなシートは,通常は縦2m,横1mの寸法で作成されている。当業者において既知のことではあるが,リールツーリール形式での製造も可能である。典型的に,パンチングダイは,1サイクルあたり最大1000個の孔を,1秒あたり最大10サイクルのペースで形成するように動作する。このプロセスでは,大量の微細孔を形成することができる。しかしながら,孔の直径をシートの厚さ以下とすることが不可能である点で制限されている。従って,パンチングは,必要な量の孔を生成することができる反面,所要の絞り比を有する孔まで形成することはできない。
もう1つの有用なプロセスは,化学エッチングのプロセスである。通常,大規模なフォトエッチングプロセスは,ステンレス鋼やアルミニウム等の金属シートで製品を製造するために使用される。フォトリソグラフィープロセスは,0.1mm以下の微細なディテールと解像度を有する製品を製造するために使用される。エッチングされる孔の数や寸法に関係なく,1つのシートは同じプロセスを経るものであり,実質的に同じ製造時間と入力を必要とする。従って,このプロセスでは,1mあたり100万個の微細な孔が,1mあたり1個の孔を生成するのと同じ時間及びほぼ同じコストで形成される。フォトエッチングは,パンチングよりもコスト高となる傾向があり,厚いシートに孔を形成するのには適していない。電鋳プロセスは,フォトリソグラフィープロセスにより金属,特にニッケルをマンドレル上に堆積させてシートを形成するプロセスである。フォトエッチングの特徴の多くを共有している。以下,「フォトエッチング」という用語は,電鋳プロセスを含むものとする。更に,フォトエッチング,電鋳又はパンチングによって形成された孔を有する金属シートは,従来の手段によって生成されたものと称する。航空機産業ではアルミニウム合金や炭素繊維複合材等の低密度材料が好まれ,ニッケルや鋼の材料は通常は不適切とされている。ただし,これらの低密度材料は,道路車両及び鉄道車両や,その他の空力面に完全に適してる。
金属シートスタンピング及びフォトエッチングの両者における現在の孔あけ技術では,最小孔径がほぼ材料の厚さに制限される。特に,一側に狭い制限オリフィスを備え,他側に大きな出口を備え,出口領域全体がシート表面の大部分を占める薄い金属シートに密接に配置される異形孔を大量生産する方法は知られていない。今日まで,本発明が必要とする異形孔を形成する方法は知られていない。しかしながら,それぞれに特定の適用上の利点を有する3つの別々の方法が発明され,ここに開示されている。
好適な第1の方法を図14aに示し,その中間ステップを図14c及び図14dに示す。第1ステップでは,従来のシートの図14cに示すように,鋼製シートに直線状の側面を有する孔1230打ち抜き,有孔鋼製シート1231を形成する。上部直径1233は,下部直径1232と実質的に同じである。次に,シート1241の孔を成形ダイ1245で打ち抜き,面取り形状を有する孔を形成する。ダイ形成プロセスにより,図14dに示すように,加圧空気ポケットの直径1243を実質的に増加させる。また,絞りの直径1242も減少させる。拡大された直径1243は,ポケットカバー率の高い密集したポケットを形成する。シートの厚さも増加する。次に,シートに対して任意的に被覆を施して,絞り開口部の直径を更に減少させる。無電解めっきされたニッケルは,被覆厚が非常に均一であり,許容誤差に数μmに制御できるため,鋼の好適な被覆材である。被覆厚は,好適には100μm以下とする。これにより,シートの厚さよりも相当に小さい,非常に均一な絞り寸法が生成される。
厳密に制御された小さな寸法の絞りを作成するための第2の方法は,図14bに示すように,2つ以上の個別のシートを組み合わせてトップシートを作成する方法である。先ず,上述した打ち抜きプロセスでより厚いシート1223を製造する。また,打ち抜き又はフォトエッチングプロセスの何れかでより薄いシート1221を製造し,その厚さは典型的には約0.3mm未満である。この減少した厚さにより,小径の孔を製造することができる。シート1221の厚さとほぼ同じ直径の絞り1228が,厳密な公差をもって製造される。2つのシート1221及び1223を,それらの孔1226及び1228が整列するように互いに結合させる。
好適な第3の方法は,既知の複製プロセスを採用するものである。これは,特定の雌型から雄型を作成する非常に正確な方法である。この方法によりトップシートを,高い精度と再現性をもって再現することができる。このプロセスは,図5a,5b,5c及び5dに示したものと同じである。先ず,図5aに示すように,所定の断面を有する研削砥石501は,その外面にダイヤモンドドレッサーにより機械加工された所望の雄型503を有する。次に,型502を平面グラインダー上で2つの直交する方向に研削して,型表面トポグラフィーを形成する。第1方向に研削すると,砥石プロファイル503は,型プロファイル504を生成する。次に,第2の直交方向に研削してプロファイル505を生成する。次に,型に離型剤の薄層の被覆を施す。次に,呼応的にはエポキシを含むレプリカントを型表面に塗布する。次に,炭素繊維布512を,湿ったレプリカントに押し付ける。必要に応じて,複数の層にも適用することができる。当業者間で知られているように,通常は熱及び真空を作用させる。エポキシレプリカントを硬化させ,堅い炭素繊維シートを形成した後に型から取り出す。支持金属シートの表面上に突出するタブ511を機械加工により除去して,貫通オリフィスを通して露出させる。このようにして形成されたトップシートを,次に空気分配フレームに接着する。この方法は,強度と重量,剛性と重量の比率の高い材料が必要とされる航空機翼面の製造に適している。
開発された第4の方法は,図17に示される実施形態を参照して容易に理解することができる。この方法では,先ず,熱可塑性シート1701を多孔質の熱可塑性シート1702に結合する。次に,2つの熱可塑性シートを加熱してから,鋼製の金型上で真空成形する。雄型は長く細いニードルで構成されており,これらを結合して単一のダイを形成するものである。ニードルは,直径とテーパが精密に研磨されている。そのようなニードルは,一般的に高いスペックを有し,妥当なコストで製造されている。ニードルは,金型に対する熱可塑性プラスチックの付着を防止するため,必要に応じて被覆が施され,かつ,潤滑されるものである。金型を通して真空引きを行うと,シートが金型上に押し込まれ,ニードルが固体シートを完全に貫通し,多孔質シートを穿刺する。従って,固体シートのポケット1704及び多孔性シートのポケット1705が,同一プロセスにおいて形成される。これにより,ポケット1704の入口径が高精度に製造される。ポケットが形成されると,真空を遮断すると共に正の空気圧を作用させ,形成されたシートを金型から解放する。最終的な機械加工ステップにより,トップシートの平坦な外面を形成することができる。このトップシートは,図13に示すように,境界制御システムに取り付けられる。空気は,孔1706,多孔質媒体及び各ポケット入口を通って流れる。従って,各空気ポケットには均一な空気圧と空気流が供給される。空気ポケットの形状が細長いため,各空気ポケットから排出される空気の流れは,翼面に対して実質的に垂直である。空気ポケットは,翼面における相当部分をカバーしている。ポケットは,その内部で乱流が発生しないように十分に小さな形状とし,外部の流れ場から隔離させる。これは,設計条件下での空気の流れによって決定される。このような状況下において,航空機の抗力は減少する。
当業者であれば理解できるように,本発明に係るトップシートは,単純な貫通孔を使用して生成され,外面に同様のポケットカバー率を有する同等のトップシートと対比して,機械的により強く,より頑丈である。本発明の設計に基づく高強度により,翼面のより大きな割合を占める領域を空気ポケットで覆うことができる。
個別の航空機におけるポケット形状の計算と気流システムの設計は,既知のシミュレーションソフトウェアを適用して最適化が可能である。推奨されるシミュレーションソフトウェアパッケージは,ANSYS CFXである。これは,用途に応じて圧縮空気ポケットと絞りの最適寸法を特定するのに特に有用である。また,弦方向の圧力勾配を主に支配するリブ1110の高さを特定するのにも有用である。チャネル,チャンバ及びオリフィスの最適設計によるパッシブ制御は本発明の一部を構成するものではあるが,特に大規模な設備の場合には,圧力及び流量センサやレギュレータ,並びに制御弁等の既知の機材を使用して,この操作を最適化し得ることが想定される。これらは空気分配システムにおける自明の構成要素であり,本発明の一部として主張されるものではない。
以上において詳述したとおり,本発明は,船体におけるウェット領域を減少させ,ひいては遭遇する粘性抗力を減少させる手段を提供する。また,本発明は,船体に対するファウリングを防止する手段を提供する。更に,本発明は,粘性抗力を低減する境界層制御システムを提供する。なお,本発明を特定の実施形態について例示したが,これらは限定を意図するものではない。当業者にとって自明の範囲内において多くの修正及び変更が可能であり,本発明の技術的範囲は,添付した特許請求の範囲の記載のみに基づいて定められるものである。
米国特許第5456201号明細書 米国特許第3354022号明細書 米国特許第5803410号明細書 米国特許第7152829号明細書 米国特許第8783624号明細書 米国特許第5803410号明細書

Claims (48)

  1. 複数の空気ポケットを内部に有する外面を備え,各空気ポケットが空気入口及び出口を有する粘性抗力低減クラッドであって,
    各空気入口の断面積が前記空気ポケットの出口の断面積よりも小さい,粘性抗力低減クラッド。
  2. 各空気ポケットの半径が水の毛管長の2倍未満である,請求項1に記載の粘性抗力低減クラッド。
  3. 各空気入口の断面積が,空気ポケットの出口の断面積の10分の1未満である,請求項1又は2に記載の粘性抗力低減クラッド。
  4. 各ポケットが円錐形状である,請求項1から3のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  5. 前記複数の空気ポケットが密接に配置されている,請求項1から4のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  6. 前記ポケットの出口が重なっている,請求項1から4の何れか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  7. 各空気ポケットの外面が疎水性材料を含む,請求項1から6のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  8. 前記疎水性材料が,ポリテトラフルオロエチレン,PTFE,又はペルフルオロアルコキシ共重合体樹脂,PFAを含む,請求項7に記載の粘性抗力低減クラッド。
  9. 前記外面が複数の疎水性糸のループを含み,該ループが両端で前記外面に取り付けられている,請求項1から8のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  10. 前記疎水性糸が,延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE),又はペルフルオロアルコキシ共重合体樹脂(PFA)を含む,請求項9に記載の粘性抗力低減クラッド。
  11. 外面が親水性コア及び疎水性外面を含む糸のストランドを含み,一方の糸端が被覆外面に取り付けられ,他方の糸端が取り付けられていない,請求項1から10のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  12. 前記糸がグラスファイバ糸を含む,請求項11に記載の粘性抗力低減クラッド。
  13. 前記糸が,PTFE被覆ステンレス鋼糸,PTFE被覆グラスファイバ糸,PFA被覆ステンレス鋼糸又はPFA被覆ガラス繊維糸のうちの少なくとも1つを含む,請求項11に記載の粘性抗力低減クラッド。
  14. 空気分配システムを更に含む,請求項1から13のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  15. 前記空気分配システムは:
    少なくとも2つの波形シートを備え,そのうちの少なくとも1つの波形シートが多数の孔を有し;前記孔を介して互いに連通する少なくとも2つの空気チャンバを形成するように構成された,請求項14に記載の粘性抗力低減クラッド。
  16. 前記空気分配システムが,前記少なくとも2つの空気チャンバのうちの1つと連通する空気入口を更に備える,請求項15に記載の粘性抗力低減クラッド。
  17. 少なくとも1つの実質的に平坦なシートに形成された複数の空気出口を更に備え,各空気出口は,前記複数の空気ポケットの1つにおける前記空気入口と連通している,請求項15又は請求項16に記載の粘性抗力低減クラッド。
  18. 前記空気分配システムが波形シートを備える,請求項14に記載の粘性抗力低減クラッド。
  19. 前記波形シートがトップシートに結合されて単一のパネルを形成する,請求項15に記載の粘性抗力低減クラッド。
  20. 前記トップシートと前記波形シートとの間に単一のプレナムが形成されている,請求項16に記載の粘性抗力低減クラッド。
  21. 受け孔及び溶接ディンプルを有する取り付けシートを更に備える,請求項19又は20に記載の粘性抗力低減クラッド。
  22. ポリイソブチレン等の粘弾性材料で埋め戻された,請求項21に記載の粘性抗力低減クラッド。
  23. 前記外面が,互いに位置合わせされてサンドイッチ構造に結合された3つのシートを備える,請求項1から22のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  24. 2つの厚肉シートに薄肉中央シートが結合されている,請求項23に記載の粘性抗力低減クラッド。
  25. 前記薄肉中央シートが,約25乃至約200μmの範囲の厚さを有する,請求項24に記載の粘性抗力低減クラッド。
  26. 前記薄肉中央シートは,それぞれが空気ポケット入口を形成する複数の絞り孔を有する,請求項24又は25に記載の粘性抗力低減クラッド。
  27. 各絞り孔は,疎水性フルオロポリマー被覆が施されている,請求項26に記載の粘性抗力低減クラッド。
  28. 前記外面が,有孔シートアセンブリに結合された繊維表面テープを備える,請求項1から27のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  29. 開放基板を更に備える,請求項28に記載の粘性抗力低減クラッド。
  30. 前記開放基板に疎水性繊維層が結合されている,請求項29に記載の粘性抗力低減クラッド。
  31. 疎水性繊維よりなる1つ以上の層と,露出した親水性コアを有する疎水性繊維の単一層とを更に備える,請求項28から30のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  32. 有孔金属シートに結合されたフォイルを更に備える,請求項28から31のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  33. 密接配置形態とした先細の細長いポケットを備える,請求項1から32のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  34. 多孔質熱可塑性シートに結合された熱可塑性シートを備える,請求項33に記載の粘性抗力低減クラッド。
  35. 細長い空気ポケットを備え,各空気ポケットから空気流が前記外面に対して実質的に垂直に排出される,請求項34に記載の粘性抗力低減クラッド。
  36. 船舶におけるクラッドシステム用の空気分配システムであって,
    少なくとも2つの波形シートを備え,その少なくとも1つは複数の穿孔を含み,
    前記少なくとも2つのシートは,該少なくとも2つのシートにおける波形の隆起部が互いに実質的に直交することにより,
    それぞれ互いに前記穿孔を介して連通する少なくとも2つの空気チャンバを形成するように配置されている,
    空気分配システム。
  37. 前記少なくとも2つの空気チャンバのうちの1つと連通する空気入口を更に備える,請求項36に記載の空気分配システム。
  38. 少なくとも1つの実質的に平坦なシートに形成された複数の空気出口を更に備える,請求項36又は請求項37に記載の空気分配システム。
  39. 船体を被覆するためのテープであって,
    表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルムと,
    該疎水性裏打ちフィルムの表面側に取り付けられた疎水性糸の複数のループと,
    を備えるテープ。
  40. 前記裏面側が接着結合用として構成されている,請求項39に記載のテープ。
  41. 前記疎水性糸がePTFE糸である,請求項39又は請求項40に記載のテープ。
  42. 船体を被覆するためのテープであって,
    表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルムを備え,
    前記テープの裏面側は接着結合用として構成され,
    2つの端部を有する糸のストランドを更に備え,該ストランドの一方の端部は前記疎水性裏打ちフィルムの表面側に取り付けられ,
    他方の端部は取り付けられず,
    前記糸の外面は疎水性であり,
    内部コアは親水性材料を備え,
    該親水性コアが,各ストランドにおける前記取り付けられない端部において露出する,
    テープ。
  43. 前記糸がPTFE被覆ステンレス鋼糸である,請求項42に記載のテープ。
  44. 有孔金属シートであって,
    有孔シートであって,その孔径に対するシートの厚さの比が約1:1以下である有孔シートと,
    前記孔に結合され,任意的には前記シートにおける平坦な表面の片面又は両面にも結合された被覆であって,その孔径に対する該被覆の施されたシートの厚さの比が2:1より大きい被覆と,
    を備える,金属シート。
  45. 前記被覆が,無電解堆積されたニッケルである,請求項44に記載の金属シート。
  46. 円錐形の孔を有する金属シートを形成する方法であって:
    金属シートに円筒孔を形成するステップと;
    各円筒孔を,円錐状の基部を有する成形ダイで打ち抜くステップと;
    各孔の内側を被覆して,前記円錐部の先端において前記孔の寸法を減少させるステップと;
    前記金属シートにテープを貼り付け,該テープを円錐形の孔内に押し込むステップと;
    前記テープに孔を形成し,前記円錐部の先端における孔の寸法を更に減少させるステップと;
    を備える,方法。
  47. 細長い空気ポケットを備え,各空気ポケットから空気流が,前記外面に対して実質的に垂直に排出される構成とした,請求項1から35のいずれか一項に記載の粘性抗力低減クラッド。
  48. 船体を被覆するためのテープであって,
    表面側及び裏面側を有する疎水性裏打ちフィルム,又は
    前記疎水性裏打ちフィルムの表側に取り付けられた疎水性糸の複数のループ,
    の少なくとも一方を備える,テープ。
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