JPH0953612A - 気体保持能を有する没水体表面の形成方法 - Google Patents

気体保持能を有する没水体表面の形成方法

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JPH0953612A
JPH0953612A JP20823395A JP20823395A JPH0953612A JP H0953612 A JPH0953612 A JP H0953612A JP 20823395 A JP20823395 A JP 20823395A JP 20823395 A JP20823395 A JP 20823395A JP H0953612 A JPH0953612 A JP H0953612A
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Tatsuo Nakatani
龍男 中谷
Toru Iwasaki
徹 岩崎
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 船体の流体摩擦抵抗を低減したり、水中構
造物の表面に生物が付着したり、汚物が付着するのを軽
減する表面を形成する。 【解決手段】 基体Pの表面に樹脂層Sを形成し、この
樹脂層S上に疎水性粒子Rをコーティングした後、プレ
スして前記樹脂S中に疎水性粒子Rの一部を埋め込み、
一部を樹脂表面上に突出させ、樹脂の固化により疎水性
粒子を固定化して微細な凹凸表面を形成した気体保持能
を有する没水体表面の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中での流体摩擦
抵抗を低減させる効果、あるいは生物付着防止効果を有
する表面の形成方法、より詳しくは船舶や液体輸送管の
ごとく水と接する表面を有する構造物における水中摩擦
抵抗を低減できる表面、あるいは船舶や水中に固定もし
くは浮上させた構造物、更には発電所の取水管のごとき
水と接する表面を有する構造物における水中生物の付着
を防止できる表面の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に船舶や液体輸送管のごとき没水表
面即ち、水と接する表面を有する構造物においては、そ
の表面に沿った水の流れが生じ、このとき剪断抵抗によ
る流体摩擦抵抗が生じることが知られている。この船舶
の流体摩擦抵抗を低減することは船舶の速度を高め、推
進動力を減少させる意味で必要であり、種々の方法が検
討されているが、これの例を挙げれば、船体に枠状の突
起物を設けて空気室を形成し、この空気室内に空気を供
給して船底表面上に空気層を形成する方法、あるいは大
量の空気を船体表面に噴出し、船体表面に多数の気泡を
発生させるいわゆるマイクロバブル法等が提案されてい
る。
【0003】一方、船舶の停船時や例えばバージ等の浮
体構造物または水中鋼管杭などの定置される構造物の没
水表面には水中生物が付着したり、または腐食が生ずる
等の問題があり、この問題を解決する手段としては防汚
・防食塗料を塗布することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した船舶の流体摩
擦抵抗低減を図る方法のうち、前者の空気室を設ける方
法では船舶が航行すると空気室内に保有されている空気
が流出し、この空気の補給に大きな動力が必要になると
いう問題がある。また、後者のマイクロバブル法では船
側や船底に設けたノズルより大量の空気を供給しないと
摩擦抵抗が減少しないことから、大型のコンプレッサを
設置しなければならず設備費の増加と共にこれを駆動す
るに大きな動力が必要となる。
【0005】即ち、供給された空気は気泡となって船側
や船底に沿って流れて流体摩擦抵抗を低減させるが、下
流側に行くにしたがって複数の気泡が合体を繰り返しな
がら次第に大きな気泡となるため船体を覆う気泡の面積
が減少し、流体摩擦抵抗低減効果が小さくなるという問
題がある。そのためいずれも実用に供することができな
いものであった 一方、従来の防汚・防食塗料の場合、塗膜の維持管理が
面倒なばかりでなく、塗膜中の有害物質が溶出し公害問
題が発生する恐れがあった。
【0006】本発明は、没水部分を有する構造物の没水
表面に空気を保持して薄い気体層を形成させ、少ない動
力で大幅な流体摩擦抵抗の低減及び公害を引き起こすこ
となく水中生物の付着防止が図れる膜体の作製方法は提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る気体保持能を有する没水体表面の形成方
法は、基体の表面に樹脂層を形成し、この樹脂層上に疎
水性粒子をコーティングした後、プレスして前記樹脂中
に疎水性粒子の一部を埋め込み、一部を樹脂表面上に突
出させ、樹脂の固化により疎水性粒子を固定化して微細
な凹凸表面を有する膜体を形成している。
【0008】本発明の構成要件の個々について述べれば
次の通りである。基体とは樹脂層を表面に形成できる部
材であり、船舶の表面に直接に樹脂層を形成する場合は
この船舶が基体であり、薄い金属板の場合や合成樹脂シ
ートのようなシート状物の場合もある。 (1) 疎水性粒子:この膜体を形成する際に使用する疎水
性粒子の特性は重要である。この疎水性の有無を判定す
る方法は、粒子を円板等に成形し、これに水を十分に浸
透させておき、つぎにこの円板上に水滴を作り、この水
滴の接触角が90°以上となる粒子をいう。
【0009】(2) 疎水性粒子の製造方法:シリカ、アル
ミナ等無機酸化物粒子表面をフッ素含有表面処理剤で処
理し、表面エネルギーを低下した粒子やポリテトラフル
オロエチレンが使用できる。ここで利用できるフッ素含
有表面処理剤は、例えばパーフルオロアルキルシラン、
パーフルオロアルキルシラザン、パーフルオロアルキル
基含有オルガノシロキサン、パーフルオロポリエーテル
等が利用できる。また、無機酸化物粒子表面の疎水化向
上を図るため、フッ素含有表面処理剤と共に炭化水素系
表面処理剤例えばアルキルシランとの併用も可能であ
る。
【0010】膜体表面を構成する疎水性粒子は水との接
触角が90°以上、好ましくは140°以上であること
が必要である。水との接触角が90°未満の疎水化度の
低い粒子を用いて微細な凹凸表面を有する膜体を形成し
た場合、空気の保持能力が不十分であり、十分な流体摩
擦抵抗低減の効果がえられないからである。 (3) 基体上の樹脂層:本発明は基体の表面に微細な凹凸
を形成する膜体を設けているが、この膜体に使用する樹
脂ないし接着剤は、基本的には前記疎水性粒子を固着で
きる機能を有していればよく、例えばシリコン樹脂、エ
ポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が使用できる
が、疎水性が高く、低吸水性のものが好ましい。
【0011】(4) 膜体の作製方法は以下の通りである。 a)樹脂の塗布工程:まず、基板上に疎水性粒子を固着
するための樹脂をハケ、ローラー、エアースプレーガ
ン、エアレススプレーガン等を用いて塗布する。 b)疎水性粒子の付与工程:さらに、塗布した樹脂が乾
燥する前に、前記の疎水性粒子を樹脂上に一様にコーテ
ィングする。
【0012】コーティング方法としては、エアーガンに
よって疎水性粒子を吹き付ける方法、静電吹き付け方法
等の粉粒体の分散方法が適用できるが、樹脂上に疎水性
粒子を一様にコーティングできる方法であれば特に限定
されない。 c)加圧工程:次に、一様にコーティングされた疎水性
粒子の上部より加圧する。このように疎水性粒子を加圧
することによってまだ硬化していない樹脂あるいは接着
剤中に埋め込まれる。樹脂層あるいは接着剤層上部に存
在する粒子は、その一部を樹脂層あるいは接着剤層内部
に埋め込まれ、残りの部分は、樹脂層あるいは接着剤層
上部に突出する。
【0013】加圧の方法としては、プレス機による平面
加圧、ローラーによる加圧等の各種の方法が適用でき
る。何れの方法を採用するにしても、平板上に撒布した
疎水性粒子の薄い層を加圧するものであるから、かなり
押圧力は小さいものである。ここまでの工程は、樹脂あ
るいは接着剤が固化する前に実施する必要がある。 d)表面処理工程:樹脂あるいは接着剤が十分に固化し
たのち、膜体表面のエアーブローあるいは水洗浄を行な
う。この操作により、膜体上の樹脂あるいは接着剤に固
着されていない疎水性粒子は膜体表面から取り除かれ、
膜体表面は、その一部を樹脂層あるいは接着剤層内部に
埋め込まれ、残りの部分は、樹脂層あるいは接着剤層上
部に突出した疎水性粒子で高密度に覆われた微細な凹凸
表面となる。
【0014】e)膜体表面の微細な凹凸:本発明によっ
て船体や海洋構造物等の基体の表面に形成された膜体表
面には、プレス加工によって樹脂層に押圧された疎水性
粒子が高密度に配置され、さらにその一部は膜体表面に
確実に突出し、固定化されて微細な凹凸表面を形成して
いる。基体表面に設けた膜体の表面に疎水性粒子の凹凸
によって形成される微細な凹凸表面の粗さは90μm以
下が必要であり、好ましくは1〜20μmであり、90
μm以上の場合は表面粗さの影響で摩擦抵抗が増加し、
流体摩擦抵抗低減の効果が著しく減ずるためである。
【0015】粗さが0.1μm以下であると膜体は平滑
な表面となり、空気を取り込む空間がないことから実質
的に空気層を形成する性能がなくなる。また、前記範囲
より粗くなると空気層を形成しても凹凸状の膜体表面に
よって水の流れに乱れを発生させて抵抗が増加する上
に、この空気層が膜体表面から分離し易くなる。このよ
うに微細な凹凸によって流体抵抗が増加すると基体表
面、即ち膜体表面に形成された空気層による抵抗減少に
よる効果がなくなる。
【0016】f)膜体表面の特性:このようにして形成
された膜体を空気中より水中に没した場合、その表面に
形成された凹部内に捕捉されている空気は水圧と水の表
面張力、そして凹凸部の疎水性によってこの凹部内に封
じ込められて、保持された状態となり、その結果、膜体
表面には薄い空気層が形成され、光りの屈折と反射の作
用で銀色を呈することが確認されている。
【0017】この膜体表面に形成された薄い空気層は簡
単に剥離することがなく、ある期間保持する性質があ
る。そしてこの膜体表面に更に気体、例えば空気を供給
すると、この空気は水と空気との表面エネルギーを減少
させようとする力が発生するために、既に存在していた
空気層(下地空気層)と合体して膜体表面に剥離し難い
空気層(上部空気層)を形成する。この空気層は、外乱
を受けて膜体表面に形成されている空気層から気泡とな
って分離しようとしても、気泡を引き止める吸引力が作
用し、簡単に剥離することがない。
【0018】このような空気層を没水構造物(主として
船舶)の表面に形成することによって極めて少ない動力
で少量の空気を供給するのみで空気層を保持することが
できる。そしてこの空気層が存在することにより水と膜
体表面との直接の接触が妨げられ、流体摩擦抵抗を著し
く低減することができる。また、没水構造物が桟橋やバ
ージ等のように移動しない構造物である場合には没水表
面に水中生物が付着すること、換言すれば汚染や腐食す
るのを防止することができる。
【0019】基体は船舶である場合が多いが、船舶自体
に本発明の膜体を形成することが困難な場合もあるの
で、薄い金属板やシート状物を基体として使用し、これ
の表面に前記加工を施し、この基体を船舶の表面に固着
するのが良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1)以下図1〜図6を参照して本発明の第1の
実施例につき詳しく説明する。図1は本発明により基体
表面に形成した膜体の効果の確認のための試験に使用し
た模型船の概略図であり、図2は図1におけるY部の拡
大図、図3は図1に矢印Bで示すノズル部分を拡大して
示す底面図である。
【0021】図1において船体1とは別置きされたコン
プレッサ2で圧縮された空気aをバルブ3とパイプ4を
経由し、さらに流量計5で流量を監視しながらパイプ6
により船体1の底部に導いた。空気aは船体1の底部1
aにおいて分岐管7で多数のパイプに分岐され、各パイ
プはそれぞれバルブ8を介して図2及び図3に示される
ように、多数のノズル9(この実施例においては直径が
0.6mmの細管を40本使用した。)から後述する試験
片TPの表面に沿って噴出するようになっている。な
お、ノズル9の吹き出し方向は船体1の進行方向の上流
から下流に向くようにする。また、多数のノズル9は図
3に示すように直線状に一定の間隔で配置されている。 〔気体保持能を有する没水体表面の形成方法〕 (1) この実験に使用した試験片TPは、幅400mm、長
さ500mm、厚さ1mmのアルミニウム平板(基体あるい
は基板)上に以下の方法を採用して膜体を形成した。
【0022】(2) 即ち、アルミニウム平板上にシリコー
ン樹脂をエアースプレーガンで20μmの厚さの膜にな
るように塗布する。そしてこのシリコーン樹脂が乾燥す
る前にパーフルオロアルキルシランの一つであるCF3(CF
2)7C2H4Si(OC2H5)3 で表面処理した平均粒径2μmの疎
水性シリカ粒子をシリコーン樹脂上に噴霧する。ここで
疎水性粒子とは、粒子を円板等に形成し、これに水を十
分に浸透させておき、つぎにこの円板上に水滴を作り、
この水滴の接触角が90°以上の粒子をいう。なお、こ
の接触角は90°以上であれば好ましいが親水性材料で
は0〜90°未満の範囲である。
【0023】(3) 次にアルミニウム平板を下面から支持
し、疎水性シリカ粒子の上からローラーで加圧すること
により、シリコーン樹脂中にシリカ粒子の一部を埋め込
み、一部を樹脂表面上に突出させた。そしてこの樹脂を
乾燥・固化させた後、この樹脂によって固定化されてい
ないシリカ粒子を水で洗い流し、図4の断面を有する膜
体Mを形成した。
【0024】図4はこの膜体Mの構造を模式的に描いた
ものであるが、アルミニウム平板P上にシリコーン樹脂
層Sを形成し、その表面にシリカ粒子Rを石垣状に付着
し、このシリカ粒子Rで形成した表面にその粒子の積み
重なり状態を反映して微細な凹凸面Tを形成している。
このシリカ粒子Rは一層ではなく、複数層に段積みされ
ており、最表面の粒子Rが脱落しても次の層が露出して
凹凸面を形成することができるようになっている。
【0025】この凹凸面Tの微細な粗さを走査型レーザ
ー顕微鏡により測定した結果12μmであり、アルミニ
ウム平板Pを水中に浸漬すると膜体表面に空気膜を形成
し銀色を呈することが確認された。 〔膜体の気体保持性能試験〕このようにして形成した平
板状の試験片TPをつなぎ合わせて幅800mm、長さ3
500mmとし、図1に示すような全長7.267m、型
幅1.28m、型深0.6mの模型船の船体1の船体1
aに船首から1.45mの位置に前記試験片TPの前縁
が一致するように取り付けた。
【0026】そして、図2及び図3に示すように、この
試験片TPの前縁に幅方向に等間隔(約20mm)に空気
吹き出し用の内径が0.6mmの注射針からなるノズル9
を40本配列した。船体1の吃水はバラストロードの状
態の200mmとした。そしてこの状態では船体1の没水
面積Sは9.81m2 、試験片TPの面積Stは2.8
2m2 で面積比St/Sは0.285であった。
【0027】次に船体抵抗試験を行なった。この船体抵
抗試験では長さ220m、幅14m、深さ6.5mの曳
航水槽を用い、船体1を牽引車にセットして、各船速に
対して所定流量の空気を40本の注射針ノズル9から微
細気泡として船首から船尾方向へ供給しながら船体1の
抵抗を抵抗動力計を用いて測定した。
【0028】種々の船速の場合の粘性抵抗基準の抵抗低
減量(DR量)と試験片TP部分の摩擦抵抗低減量(D
R′量)を表1に示す。ここで、DR量及びDR′量は
次の式で示される。 DR=−(Ct−CtO )/CvO ×100% DR′=(1+K)・DR/(St/S) 式中、Ct:供試船体の全抵抗係数、Cv:供試船体の
粘性抵抗係数、添字0:本発明による膜体を使用しない
通常の試験の場合、K:形状影響係数でK=0.222 をそ
れぞれ意味する。
【0029】表1に空気量レベル10におけるDR量と
DR′量を示す。DR量は6.8〜17.1%、DR′
量は29.1〜73.3%で試験領域全体にわたって高
い摩擦抵抗低減効果を示した。ここで、空気量レベルと
は、膜体Mの表面凹部に保持される空気膜と供給される
空気とで形成される空気膜が船速と同一の速度で一様に
流れると仮定して計算した場合の平均空気膜厚さを示す
指標で、船速U=2.11m/s(フルード数Fr=
0.25)の場合の実際の空気供給量Qaは表2で示さ
れる通りである。
【0030】
【0031】
【0032】船速2.11m/sの場合のDR量と空気
量レベルとの関係を図5に示す。この図は横軸に空気量
レベルを、竪軸にDR量%を示しており、少量の空気供
給によって、摩擦抵抗が著しく低減することが確認され
ている。また、平均空気膜厚さ0.24mm(空気量レベ
ル5)の空気量を供給すれば、最高レベルのDR量が得
られた。
【0033】(実施例2)実施例1で説明したように本
発明によって形成された膜体表面に気体を供給すること
によって、その表面に気体膜が形成されることが明らか
であることから、この現象を利用することによって優れ
た防汚・防食効果を発揮させることが可能である。
【0034】この防汚・防食作用は船舶の停船状態にあ
るとき、あるいは水中に定置されて設置される浮消波堤
やバージ、堤防、水中打設杭等にも適用して有効な効果
が期待できるものである。図6は桟橋に本発明の膜体表
面を形成して、この膜体表面に水中生物が付着するのを
防止するようになっている。
【0035】桟橋(水中構造物)10の海底11に植立
された脚部12の下部にリング状に空気噴出装置13を
設け、この空気噴出装置13から空気Gを多数の小孔か
ら噴出するように構成した。脚部12にはプライマーと
してゴム系シリコーン樹脂を塗布した後シリコーン樹脂
をエアースプレーで20μmの膜厚になるように塗布
し、このシリコーン樹脂が乾燥する前にパーフルオロア
ルキルシランの一つであるCF3(CF2)7C2H4Si(OC2H5)3 で
表面処理した平均粒径4μmのシリカ粒子をシリコーン
樹脂上に噴霧によって撒布した。
【0036】さらにシリカ粒子を撒布したシリコーン樹
脂表面をローラーで加圧することにより、樹脂中にシリ
カ粒子の一部を埋め込み、一部を樹脂表面上に突出さ
せ、樹脂を乾燥・固化させた後、樹脂によって固定化さ
れていないシリカ粒子を水流により洗い流し、膜体を形
成した。この膜体の表面の微細な粗さを走査型レーザー
顕微鏡により測定した結果、22μmであり、水中に浸
漬すると膜体表面に空気膜を形成し銀色を呈した。
【0037】さらに、コンプレッサ14、制御バルブ1
5、流量計16とパイプ17を経由して前記空気噴出装
置13と接続し、制御装置18で制御しながら圧力空気
を空気噴出装置13のノズルから脚部12の周囲に噴出
した。噴出された空気は、既に膜体表面に形成されてい
た空気膜と合体し、膜体表面に剥離し難い空気膜を形成
した。この状態で6カ月間維持したが、脚部12の表面
には海中生物が付着せず、良好な防汚効果が認められた
【0038】
【発明の効果】本発明は基体表面に樹脂層を形成し、こ
の樹脂層上に疎水性粒子をコーティングした後、プレス
して前記樹脂中に疎水性粒子の一部を埋め込み、一部を
樹脂表面上に突出させ、樹脂の固化により疎水性粒子を
固定化して微細な凹凸表面を形成するので、疎水性粒子
が高密度に配置された微細な凹凸形状を持ち、耐久性の
ある表面構造を得ることができた。
【0039】この凹凸表面が所定の粗さを持つと、この
膜体を空気中から水中に没した場合にその表面上に薄い
空気膜を形成しており、この空気膜に対してさらに気
体、特に空気をこの表面上に供給することによって大き
な流体摩擦抵抗低減効果や水中生物の付着防止効果が得
られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜体の性能を確認するための船体模型
装置を示す説明図である。
【図2】図1のY部の拡大図である。
【図3】図1のB部の拡大図である。
【図4】本発明で形成される膜体構造の拡大図である。
【図5】空気量レベルと流体摩擦低減量との関係を示す
グラフである。
【図6】桟橋に本発明を適用した場合の説明図である。
【符号の説明】 P アルミニウム平板、基体、基板 S シリコーン
樹脂層、樹脂層 R シリカ粒子、疎水性粒子 T 微細な凹凸 1 模型船 1a 底部 2 コンプレッサ 3
バルブ 4 パイプ 5 流量計 6 パイプ 7 分岐
管 8 バルブ 9 ノズル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面に樹脂層を形成し、この樹脂層
    上に疎水性粒子をコーティングした後、プレスして前記
    樹脂中に疎水性粒子の一部を埋め込み、一部を樹脂表面
    上に突出させ、樹脂の固化により疎水性粒子を固定化し
    て微細な凹凸表面を形成した気体保持能を有する没水体
    表面の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記微細な凹凸表面の粗さが90μm以
    下である請求項1記載の気体保持能を有する没水体表面
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記90μm以下の微細な凹凸表面の粗
    さを基体表面に設けた膜体に形成した請求項1記載の気
    体保持能を有する没水体表面の形成方法。
JP20823395A 1995-08-15 1995-08-15 気体保持能を有する没水体表面の形成方法 Withdrawn JPH0953612A (ja)

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