JPH08266282A - ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子 - Google Patents
ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子Info
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Abstract
列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミ
ノ酸配列をコードするムラサキイガイ接着蛋白質遺伝
子。 【効果】 接着剤の原料として有用なムラサキイガイ接
着蛋白質の遺伝子を提供する。
Description
できる接着剤の原料となるペプチドを組換えDNA技術
を用いて製造するために用いる遺伝子DNAに関する。
接着蛋白質をコードするDNAを組み込んだ組換え体D
NAを含む微生物や培養細胞を培養液中で培養し、該培
養物中に蓄積される該ポリペプチドを採集することによ
り、得られる該ペプチドは、接着剤の原料として広い用
途で利用されることが期待される。
様々な種類のものが開発されている。そのうちの多くの
ものは一旦乾燥条件下で接着してしまえば湿潤環境にお
かれてもその強度を維持できる。しかし、湿潤な条件下
や水中で接着を開始した場合、有効な強度に達すること
ができる接着剤は存在しなかった。ムラサキイガイは自
己を良好な環境に固定するために接着蛋白質を合成して
自己を基物に接着させることができる。この接着蛋白質
には大まかには2種類あることがこれまでに知られてい
た(Rzepecki,L.M.,Hansen,K.M.and Waite,J.H.Biologi
cal Bulletin 183:123-137,1992 )。
質」という)は、主として数十個のAla-Lys-Pro-Ser-Ty
r-Pro-Pro-Thr-Tyr-Lys という10アミノ酸の繰り返しに
より構成される蛋白質で、配列中のPro 及びTyr 残基は
しばしば修飾されてそれぞれヒドロキシプロリン(Hydr
oxyproline)及びドーパ(Dopa)残基に変換されている
ことが知られており、ドーパのキノン架橋が接着に関与
することが推測されている(J.H.Waite,Int.J.Adhesion
and Adhesives,7:9-14,1987)。この蛋白質のcDNA
についてはすでに明らかにされ、その一部の配列を用い
て、微生物に作らせる方法がすでに報告されている(特
開平1-104180号公報)。
いう)は、上皮性細胞増殖因子に似た配列を繰り返し持
つ構造であることが明らかにされている(Inoue,K.,Tak
euchi,Y.,Miki,D.,Odo,S.,Journal of Biological Chem
istry )。近年さらに新たな接着蛋白質成分(以下「第
3蛋白質」という)が、単離され、その部分アミノ酸配
列が明らかにされたが(Waite,J.H.)、その全アミノ酸
配列及び遺伝子の配列は明らかにされていなかった。
の手法を用いて第3蛋白質を生産すべく、その生産のも
ととなる遺伝子を提供することを目的とする。
の配列を得るために、日本産のムラサキイガイより第3
蛋白質をコードするcDNAを単離した。日本産のムラ
サキイガイ(Mytilusgalloprovincialis )はチレニア
イガイとも呼ばれる地中海系の種である(Wilkins et a
l.Biol.J.Linnean Soc.,20:365-374,1983 )。研究の結
果、日本産ムラサキイガイの足から抽出したmRNAを
鋳型として、PCR法によりすでに知られている第3蛋
白質の断片配列と相同性のある配列を持つcDNA配列
を単離することに成功し、さらにその塩基配列を決定し
て本発明を完成した。
ミノ酸配列、又は配列番号1で示されるアミノ酸配列と
実質的に同一なアミノ酸配列をコードするムラサキイガ
イ接着蛋白質遺伝子である。また、本発明は、DNA配
列が配列番号2で表される上記記載のムラサキイガイ接
着蛋白質遺伝子である。
ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子は、配列番号1で示さ
れるアミノ酸配列、又は配列番号1で示されるアミノ酸
配列と実質的に同一なアミノ酸配列をコードする。ここ
で、「配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同
一なアミノ酸配列」とは、配列番号1で示されるアミノ
酸配列の幾つかのアミノ酸残基について、欠失、置換、
付加等の変化が生じた配列であって、前記配列と同様の
接着特性を有するアミノ酸配列をいう。
は、配列番号2で示される塩基配列を挙げることができ
る。本発明の遺伝子は以下の手順で得ることができる。
まず日本産ムラサキイガイ(Mytilus galloprovinciali
s )の足をチオシアン酸グアニジン等により可溶化し、
フェノール/クロロホルムによる抽出を行ない、イソプ
ロパノールにより沈殿させることにより全RNAを得る
ことができる。全RNAを得る方法はこの方法に限定さ
れるものではなく、LiCl沈殿法や塩化セシウム溶液に重
層して遠心することによっても得られる。
したプライマーを用いて逆転写PCR法を行なうことに
より部分cDNA配列を増幅することができる。また、
その部分配列から設計したプライマーを用いてRACE
(Rapid Amplification of cDNA Ends, Frohman et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci:USA.85:8998-9002(1988))法を
行なうことによりcDNAの両末端を含むDNA配列を
増幅することができる。さらにこの5'及び3'非翻訳領域
の配列から設計したプライマーを用いて全コーディング
領域を含むcDNA断片を得ることができる。得られた
断片の配列はサンガー法やマキサム−ギルバート法等の
一般的な方法によって決定できる。以上の手順により翻
訳開始コドンから終止コドンまでを含む第3蛋白質cD
NAを単離することができる。
し、微生物や培養細胞に導入して発現させることによ
り、当該ペプチドを大量調製することが可能である。こ
の際、当該DNAはシグナル部分(配列番号2に示す塩
基配列の1番目の塩基から63番目の塩基の部分)を含
むため、当該ペプチドを宿主細胞外に分泌させることが
できる。また、シグナル部分を除去して適当なベクター
に組み込んで用いることにより細胞内で生産させること
も可能である。
イガイ12個体の足をチオシアン酸グアニジン、クエン酸
ナトリウム、N−ラウリルザルコシン酸ナトリウム、β
−メルカプトエタノール等の溶液中で組織を機械的に破
砕し、フェノール及びクロロホルムによる抽出を行なっ
て蛋白質等を除去したのち、イソプロパノールを加えて
沈殿させることにより約1mgの全RNAを得た。
pliTaq Reverse transcription-PCRKitを用い、添付の
プロトコールにしたがって逆転写PCRを行なった。c
DNAの合成にはキットに添付のオリゴdTプライマー
を用いた。断片の増幅には2種のプライマーGA(T,C)TA
(T,C)TA(T,C)GG(G,A,T,C)CC(G,A,T,C)AA(T,C)GG及びTTC
CA(G,A,T,C)CC(A,G)TT(A,G)TTC CA(G,A,T,C)CC(T,C)TT
をミリジェンサイクロンDNA合成機により合成して
用い、94℃30秒、40℃30秒、72℃90秒の増幅サイクルを
30回、Perkin-Elmer Cetus社のサーマルサイクラー480
を用いて行なった。得られたDNA断片はStratagene社
のpCR-Script SK(+)Cloning Kit を用いてプラスミドベ
クターpCR-ScriptSK(+) に挿入した。挿入断片の配列を
Applyed Biosystems社製373ADNA シーケンサー及びPRIS
M Dye terminator cycle Sequencing Kit を用いて決定
した。
RACE法により増幅した。すなわち、上流の増幅は5'
-AmpliFinder RACE Kit(Clontech社製)を用いて添付
のプロトコールに従って行なった。鋳型として足の全R
NAを用い、相補鎖合成プライマーとしてGCC ATA ATA
GCC ATA ACG TCT GCC AT、増幅用プライマーとしてGTT
ATA GTT ACC ACC TCC GTA GCG TCT を各々ミリジェンサ
イクロンDNA合成機により合成して用いた。増幅は、
Tth DNAポリメラーゼを用い、94℃30秒、60℃30秒、
72℃120 秒の増幅サイクルを40回、Perkin-Elmer Cetus
社のサーマルサイクラー480 を用いて行なった。得られ
たDNA断片はStratagene社のpCR-Script SK(+) Cloni
ng Kitを用いてプラスミドベクターpCR-ScriptSK(+) に
挿入した。挿入断片の配列をApplyed Biosystems社製37
3ADNA シーケンサー及びPRISM Dye terminator cycle S
equencing Kit を用いて決定した。下流の配列は全RN
Aを鋳型としてRoche 社のAmpliTaq Reverse transcrip
tion-PCR Kitを用い、添付のプロトコールにしたがって
逆転写PCRを行なった。cDNAの合成にはオリゴd
Tプライマーを用い、断片の増幅には2種のプライマー
TAT GGC AGA CGT TAT GGC TAT TAT GGC 及びTTT TTT TT
T TTT TTT TTT TTT をミリジェンサイクロンDNA合成
機により合成して用い、94℃30秒、37℃30秒、72℃120
秒の増幅サイクルを40回、Perkin-Elmer Cetus社のサー
マルサイクラー480 を用いて行なった。得られたDNA
断片はStratagene社のpCR-Script SK(+)CloningKit を
用いてプラスミドベクターpCR-ScriptSK(+) に挿入し
た。挿入断片の配列をApplyed Biosystems社製373ADNA
シーケンサー及びPRISM Dye terminator cycle Sequenc
ing Kit を用いて決定した。
た5'- 及び3'- 非翻訳領域の配列をもとに、再度逆転写
PCRを行なった。逆転写PCRは5'- 非翻訳領域の一
部の配列のセンス鎖に相当するプライマーTCT CAG TAA
TCA CTT CCT TTC TG及び3'- 非翻訳領域の一部の配列の
アンチセンス鎖に相当するプライマーATT GAC AGT TTA
CTG ATG TCT GTA をミリジェンサイクロンDNA合成機
により合成して用い、次にこの全RNAを鋳型としてRo
che 社のAmpliTaq Reverse transcription-PCR Kitを用
い、添付のプロトコールにしたがって逆転写PCRを行
なった。cDNAの合成にはキットに添付のオリゴdT
プライマーを用いた。断片の増幅には5'- 非翻訳領域の
一部の配列のセンス鎖の相当するプライマーTCT CAG TA
A TCA CTT CCT TTC TG及び3'- 非翻訳領域の一部の配列
のアンチセンス鎖に相当するプライマーATT GAC AGT TT
A CTG ATG TCT GTA をミリジェンサイクロンDNA合成
機により合成して用い、94℃30秒、40℃30秒、72℃90秒
の増幅サイクルを30回、Perkin-Elmer Cetus社のサーマ
ルサイクラー480 を用いて行なった。得られたDNA断
片はStratagene社のpCR-Script SK(+)Cloning Kit を用
いてプラスミドベクターpCR-ScriptSK(+) に挿入した。
なお、このプラスミドベクターを導入したE.coli Mgfp3
-4は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託番号 F
ERM P-14866 として寄託されている(寄託日平成7年3
月27日)。
373ADNA シーケンサー及びPRISM Dye terminator cycle
Sequencing Kit を用いて決定した。この配列を配列番
号2に示す。また、この塩基配列から推定されるアミノ
酸配列を配列番号1に示す。
伝子を提供する。本発明の遺伝子から作られる蛋白質
は、接着剤の原料として極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 配列番号1で示されるアミノ酸配列、又
は配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一な
アミノ酸配列をコードするムラサキイガイ接着蛋白質遺
伝子。 - 【請求項2】 DNA配列が配列番号2で表される請求
項1記載のムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07521195A JP3619280B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07521195A JP3619280B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08266282A true JPH08266282A (ja) | 1996-10-15 |
JP3619280B2 JP3619280B2 (ja) | 2005-02-09 |
Family
ID=13569649
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07521195A Expired - Fee Related JP3619280B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3619280B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7947806B2 (en) * | 2005-04-08 | 2011-05-24 | Postech Foundation | Mussel bioadhesive |
US10590320B2 (en) | 2015-03-23 | 2020-03-17 | The Chugoku Electric Power Co., Inc. | Adhesive molecules |
-
1995
- 1995-03-31 JP JP07521195A patent/JP3619280B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7947806B2 (en) * | 2005-04-08 | 2011-05-24 | Postech Foundation | Mussel bioadhesive |
US10590320B2 (en) | 2015-03-23 | 2020-03-17 | The Chugoku Electric Power Co., Inc. | Adhesive molecules |
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