JPH08266161A - 接木苗養生器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 養生箱に接木苗の生育状態に合わせて仕切板
の間隔を調整し、接木苗の生育と活着を促進することの
できる接木苗の養生箱を提供する。 【構成】 方形の養生箱の相対する側壁の内側に、所定
の間隔で複数条の第１の支持溝を、またそれより広い間
隔で複数条の第２の支持溝を、それぞれ養生箱の上面開
口縁より縦方向に一定の長さにわたり形成し、これらの
相対する支持溝に接木苗を支持する仕切板の両側縁を係
合して、養生箱内における仕切板の間隔を調節してなる
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、野菜や果樹などの接木
した苗を養生する接木苗養生器の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、接木苗養生器においては、図９に
示すように、上面を開口した養生箱１の内側壁に、上面
開口縁より縦方向に一定の長さの複数条の支持溝ａを形
成し、相対する支持溝ａに仕切板１３の両側縁を係合し
て多数の仕切板１３を支持する。 そして各仕切板１３
の上辺に吊下げフック１２ｃを介して多数のクリップ６
を吊り下げ、このクリップ６に台木と穂木の接合部を挟
持して、接木苗２を直立し、その根部を養生箱１底部の
養液部に浸漬する。養生箱１の底部の養液部には、吸水
性のロックウールマット３を敷き、その上に遮根シート
４を張り、ロックウールマット３に養分を溶かした水を
供給し、収容した接木苗２の根部分を浸し、接木苗２に
養分を供給する。このように接木苗２を収容した養生箱
１を、温度、湿度、照明を人工的に制御する養生槽に入
れ、養生槽内で生育して接木苗２の接合部を活着させ
る。この場合、接木苗２の種類や穂木の生育状態によっ
ては、葉の拡がりによって接木苗２の設置間隔が狭すぎ
て照明や通風を妨げ、接木苗２の生育を損なうことがあ
り、接木苗２の生育状態に合わせて間隔を空けて収容す
ることが必要で、生育状態によっては、仕切板１３の枚
数を半減したり、吊下げる吊下げフック１２ｃの数を減
らす必要があり、養生箱１に収容される接木苗２の数が
バラツキ、接木苗２の数量確認や、畑への移植の際に余
分な労力を必要とすることがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題点を解決するため、接木苗の種類や生育状態に合わ
せて仕切板の間隔を調整して接木苗を重なりなく配置
し、接木苗の活着を促進することのできる養生箱を提供
することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決する手段】上記目的を達成するため本発明
では、方形の養生箱の相対する側壁の内側に、所定の間
隔で複数条の第１の支持溝を、またそれより広い間隔で
複数条の第２の支持溝を、それぞれ養生箱の上面開口縁
より縦方向に一定の長さにわたり形成し、これらの相対
する支持溝に接木苗を支持する仕切板の両側縁を係合し
て、養生箱内における仕切板の間隔を調節することので
きる接木苗養生器とする。

【０００５】

【作用】以上のように構成することにより、接木苗の生
育がよく、葉が広がっている場合には、間隔の広い第２
の支持溝に仕切板を係合して、接木苗の間隔を拡げ、養
生槽に入れた時に、照明や通風を妨げることなく生育を
促進し、接木苗の活着を確実にすることができる。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明
する。図１は本発明実施例の斜視図で、上面が開口した
養生箱１の対向する側壁に、上面開口縁から縦方向に所
定の長さに伸びる複数の第１の支持溝ａを所定の間隔Ａ
で形成する。また、間隔がＡより広い間隔Ｂで複数の第
２の支持溝ｂを支持溝ａに平行に形成する。第１の支持
溝ａおよび第２の支持溝ｂは左右の側壁からそれぞれ間
隔約Ａ／２および間隔約Ｂ／２をあけ、その間を間隔Ａ
および間隔Ｂにより等分に分割した位置に配置する。支
持溝ａおよび支持溝ｂに代わり、側壁の内外を貫通する
スリットを設けてもよい。養生箱１の底部には、図４に
示すように、ロックウールマット３を敷き、その上にネ
ット状の遮根シート４を重ね、養液をロックウールマッ
ト３に十分に含ませる。そして養生箱１の対向する第１
の支持溝ａまたは第２の支持溝ｂに仕切板１３を挿入
し、養生箱１の内部をこれらの仕切板１３により間隔Ａ
または間隔Ｂに仕切る。その際、仕切板１３の下辺が養
生箱１の底部に接触しないように、第１の支持溝ａおよ
び第２の支持溝ｂの縦方向の長さを設定する。

【０００７】図２の６は、接木苗２を接合部を挟持する
クリップで、左右一対のレバー７のスリット１０にバネ
１１を挿通し、支点９を中心に先端の挟持部８を開閉自
在に弾圧する。図３は接木苗の吊下げ状態を示す側面断
面図で、１２は吊下げフックで、バネ鋼線材からなり、
中央を逆Ｕ字状に折曲げて仕切板１３を挟持する仕切板
挟持部１４と、両端をコ字状に折曲げたクリップ装着部
１５とをそれぞれ形成し、仕切板挟持部１４により仕切
板１３の上辺に挟着し、クリップ装着部１５をクリップ
６の円弧状のバネ１１の内側とレバー７の支点９との間
に嵌入してクリップ６を水平に保持する。

【０００８】図４は吊下げフックの他の実施例で、吊下
げフック１２ａをバネ性の鋼板により形成し、中央部に
仕切板１３を挟持する仕切板挟持部１４と、両端に上方
に突出したプラスチック材等からなる段付円錐状のクリ
ップ装着部１５ａを固定し、仕切板挟持部１４で仕切板
１５ａに挟着する。そしてクリップ６の円弧状のバネ１
１の内側とレバー７の支点９との間にクリップ装着部１
５ａを嵌入し、クリップ装着部１５ａの段付部でクリッ
プ６を水平に保持する。以上のようにして、接木苗２の
接合部をクリップ６により挟持し、同クリップ６を吊下
げフック１２のクリップ装着部１５に固定する。接木苗
４の葉部分が大きい場合には、養生箱１の仕切板１３の
間隔を拡げて間隔Ｂに挿入し、これにより接木苗２の間
隔を拡げて光の照射や通風を確保して、接木苗２の生育
を促進する。

【０００９】図６は本発明の他の実施例の仕切板の側面
図で、仕切板１３ａは第１の支持溝ａおよび第２の支持
溝ｂに嵌入する厚さの板材からなり、仕切板１３ａの一
側両端に切欠き１６を形成する。図７および図８は、こ
の仕切板の取付状態を示す断面図で、接木苗２の背丈に
応じて、使い分ける仕切板１３ａの取付方法を示す。図
７は接木苗２の背丈が高い場合で、仕切板１３ａを切欠
き１６とは反対側から第１の支持溝ａまたは第２の支持
溝ｂに嵌入し、クリップ６の位置を高くして、接木苗２
を曲げることなく直立状態に保持する。図８は接木苗２
の背丈が低い場合で、仕切板１３ａを切欠き１６側から
嵌入し、第１の支持溝ａまたは第２の支持溝ｂに嵌入
し、接木苗２の根が浮き上がることなく遮根シート４に
接触するように保持する。なお間隔Ａより狭い間隔で第
３の支持溝を複数条形成し、仕切板の設置間隔を狭く調
整することにより、接木苗の収容密度を必要に応じ増や
してもよい。

【００１０】

【発明の効果】以上のように、本発明では、養生箱の相
対向する側壁に、間隔の異なる２組の支持溝を複数条設
け、接木苗の生育状態に合わせて接木苗の間隔を、前記
２組の支持溝のいずれかを選択することにより、接木苗
の密集を避けて間隔を適正に保ち、接木苗の活着を高め
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の斜視図である。

【図２】接木苗を接合するクリップの斜視図である。

【図３】接木苗の吊下げ状態を示す養生箱の断面図であ
る。

【図４】吊下げフックの他の実施例を示す斜視図であ
る。

【図５】図４の要部断面図である。

【図６】本発明の他の実施例の仕切板の側面図である。

【図７】図６の仕切板の取付け状態を示す養生箱の断面
図である。

【図８】図６の仕切板の他の取付け状態を示す養生箱の
断面図である。

【図９】従来の養生箱の斜視図である。

【図１０】従来の接木苗の吊下げ状態を示す養生箱の断
面図である。

【符号の説明】

ａ 第１の支持溝 ｂ 第２の支持溝 １ 養生箱 ２ 接木苗 ３ ロックウールマット ４ 遮根シート ６ クリップ ７ レバ ８ 挟持部 ９ 支点 １０ スリット １１ 円弧状のバネ １２ 吊下げフック １３ 仕切板 １４ 仕切板挟持部 １５ クリップ装着部 １６ 切欠き

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 方形の養生箱の相対する側壁の内側に、
   所定の間隔で複数条の第１の支持溝を、またそれより広
   い間隔で複数条の第２の支持溝を、それぞれ養生箱の上
   面開口縁より縦方向に一定の長さにわたり形成し、これ
   らの相対する支持溝に接木苗を支持する仕切板の両側縁
   を係合して、養生箱内における仕切板の間隔を調節して
   なる接木苗養生器。