JPH08260355A - 繊維用糊剤 - Google Patents

繊維用糊剤

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JPH08260355A
JPH08260355A JP6770895A JP6770895A JPH08260355A JP H08260355 A JPH08260355 A JP H08260355A JP 6770895 A JP6770895 A JP 6770895A JP 6770895 A JP6770895 A JP 6770895A JP H08260355 A JPH08260355 A JP H08260355A
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JP
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mol
sizing agent
sizing
weaving
yarn
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JP6770895A
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Koji Onishi
幸治 大西
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 炭素数4以下のα−オレフィン単位の含有量
1〜9モル%およびけん化度50〜95モル%の変性ポ
リビニルアルコールからなる繊維用糊剤;ならびに炭素
数4以下のα−オレフィン単位の含有量1〜9モル%の
変性ポリビニルエステルからなる繊維用糊剤。 【効果】 本発明の繊維用糊剤は、疎水性繊維に対する
接着性、摩耗強度、抱合力、耐摩耗性に優れ、製織性を
大きく向上させるとともに、吸湿性が小さく高温高湿度
下で糊付糸ビームを保管しても糊付糸の解舒性・開口性
に優れ、製織効率を大幅に向上させることができる。ま
た、綿糸等の天然繊維に対しても従来の糊剤よりも良好
な製織性が得られる。特に高温高湿下における吸湿性が
小さく夏期

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種繊維を織機を用いて
製織する場合に優れた製織性能を有する繊維用糊剤に関
する。さらに詳細にはシャットル織機およびシャットル
レス織機による製織に先立ち、フィラメント糸、加工
糸、撚糸および紡績糸のような繊維糸条に糊付すること
により抱合性・耐摩耗性を付与するとともに、高温高湿
時にも粘着性を生じることなく、低温低湿時においても
その抱合性を失わない工業的に有用な繊維用糊剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より織物の経糸に補強の目的で付与
される糊剤としては、澱粉類、ポリビニルアルコール
(以下、PVAと略記する)類、アクリル系糊剤等が使
用されている。従来から使用されている代表的な糊剤の
うち、澱粉類やアクリル系糊剤は表1に示すよう、繊維
用糊剤として数多くの問題点が有る。
【0003】
【表1】 表1から明らかなように、PVA類は澱粉類に比較して
強靭な皮膜を有し繊維の集束保護作用に優れる上、腐敗
し難く長期の保存が可能であること等の特徴があるた
め、繊維用糊剤として広く用いられている。しかしなが
ら、PVAはポリエステル、ナイロン、ポリプロピレ
ン、アクリル等の疎水性繊維に対する接着性が不十分で
あることや高温高湿度下で糊付糸ビームを保管する場
合、糊付糸が吸湿により粘着性となり、ビームからの解
舒が困難になるという欠点があった。また、綿等の天然
繊維に対しても、夏期に糊付糸ビームを保管する際、高
温高湿下で糊付糸が吸湿し、その摩擦係数が大きくな
り、製織時開口不良や毛羽玉が発生し、製織効率を低下
させるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の上記の問題点
のない繊維用糊剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数4以下の
α−オレフィン単位の含有量1〜9モル%およびけん化
度50〜95モル%の変性PVA(さらに、該変性PV
Aは、イタコン酸単位、マレイン酸単位またはスルホン
酸単位を0.1〜20モル%含有していても良い)から
なる繊維用糊剤;ならびに炭素数4以下のα−オレフィ
ン単位の含有量1〜9モル%の変性ポリビニルエステル
(さらに、該変性ポリビニルエステルは、イタコン酸単
位、マレイン酸単位またはスルホン酸単位を0.1〜2
0モル%含有していても良い)からなる繊維用糊剤を見
い出し本発明を完成するに至った。
【0006】本発明の繊維用糊剤に用いる炭素数4以下
のα−オレフィン単位の含有量1〜9モル%およびけん
化度50〜95モル%の変性ポリビニルエステルは、ビ
ニルエステルと炭素数4以下のα−オレフィンとを共重
合することにより得られる。本発明の繊維用糊剤に用い
る炭素数4以下のα−オレフィン単位の含有量1〜9モ
ル%およびけん化度50〜95モル%の変性PVAは、
上記の変性ポリビニルエステルをけん化することにより
得られる。ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の公
知のものが挙げられるが、酢酸ビニルが経済的に望まし
い。本発明のα−オレフィンは、炭素数4以下のもの
で、例えばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブ
テン等が挙げられるが、原料の入手の容易性および糊付
して得られる糊付糸の製織時の織機へのガムアップ防止
の点からエチレンが望ましい。α−オレフィンの含有量
としては、1〜9モル%、好ましくは2〜9モル%であ
る。α−オレフィンの含有量が1モル%未満の場合に
は、上述の顕著な効果が得られず、9モル%を越える場
合には、水溶性もしくは水分散性が低下し、製織した織
物の糊抜き性が不良となり不適当である。
【0007】本発明の繊維用糊剤に用いられる変性PV
Aおよび変性ポリビニルエステルには、水溶性または水
分散性を向上させる目的で、(無水)イタコン酸;(無
水)マレイン酸;アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸およびそのナトリウム塩、ビニルスルホン酸
ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホ
ン酸を共重合しても良い。これらの単量体単位の含有量
としては、0.1〜20モル%、好ましくは0.1〜1
0モル%である。さらに、本発明の繊維用糊剤に用いら
れる変性PVAおよび変性ポリビニルエステルは、本発
明の効果を損なわない範囲でその他の共重合可能なエチ
レン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このよ
うなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、エチルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩
化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデ
ン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等が挙
げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン
酸等のチオール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニ
ルエステル系単量体を、炭素数4以下のα−オレフィン
と共重合することによって得られる末端変性物も用いる
ことができる。これらのエチレン性不飽和単量体単位の
含有量としては、2モル%未満が好ましく、1.0モル
%未満がより好ましく、0.5モル%未満がさらにより
好ましい。
【0008】本発明の繊維用糊剤に用いる変性PVAお
よび変性ポリビニルエステルの平均重合度は、通常10
0〜5000、好ましくは200〜3000から選ばれ
る。平均重合度が100未満では繊維用糊剤としての性
能、皮膜の強度、繊維への接着性に劣り、5000を越
えると糊液の粘度が高くなりすぎ、糊付の作業性の点で
好ましくない。変性PVAのけん化度としては、50〜
95モル%であり、60〜90モル%が好ましい。変性
ポリビニルエステルのけん化度としては、実質的に0モ
ル%(0〜5モル%)である。
【0009】一般に、経糸糊付用糊剤の糊液粘度として
は、フィラメント糸の場合には糊付温度(40〜50
℃)における粘度が4〜30cPと低粘度であることが
好ましく、紡績糸の場合には毛羽伏せを良くするために
比較的高粘度であることが好ましく、具体的には糊付温
度(70〜95℃)における粘度が50〜200cPで
あることが好ましい。糊液の樹脂分濃度としては、3〜
15重量%程度が一般的である。紡績糸の種類として、
合成繊維と天然繊維との組み合わせが非常に数多くなっ
ているため、糊液調製にあたっては対象とする経糸に合
った処方を組み立てる必要がある。フィラメント糸の場
合には、糊付の目的が紡績糸とは異なり、単繊維間の接
着による集束が主目的であって紡績糸のように毛羽伏せ
は必要がなく、低粘度、高接着性の糊液調製が要求され
る。また、季節の変化による製織時の湿度状況も考慮さ
れる。
【0010】繊維に対する糊剤の付着量は織物の規格、
使用する織機・糊付機等の設備等によって、任意に選ば
れる。一般に紡績糸の場合には、糊付糸の表面の毛羽伏
せと内部浸透による補強を主目的としているため、要求
される糊付糸性能を考えて、糊剤付着量が決定されてい
る。一般に糊剤付着量が多いほど糊付糸の耐摩耗性と毛
羽伏せ効果が向上し製織時の経糸切れが減少する。フィ
ラメント糸の場合には毛羽伏せの必要がないため、紡績
糸ほど糊剤付着量を必要としない。
【0011】本発明は繊維用糊剤には、本発明の効果を
損なわない範囲で、一般のPVA、澱粉、変性澱粉、ア
クリル系糊剤、セルローズ系糊剤、油剤およびその他の
助剤(消泡剤、防黴剤、帯電防止剤、その他のアニオン
性、ノニオン性あるいはカチオン性界面活性剤等)等を
併用しても差支えない。以上は経糸糊剤を例に挙げて説
明してきたが、本発明の繊維用糊剤は布帛の樹脂加工、
洗濯用糊剤、捺染用糊剤および不織布のバインダーとし
ても有用である。
【0012】
【実施例】以下に実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定され
るものではない。尚、以下で使用する「部」、「%」の
表示は特に断らない限り、それぞれ「重量部」、「重量
%」を意味する。
【0013】実施例1 エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をアルカリケン化し
てエチレン(以下、Etと略記する)単位を7.1モル%
含有し、酢酸ビニル単位のけん化度(以下、DHと略記
する)95.4モル%、重合度(以下、Pと略記する)
1700のEt変性PVAを得た。このPVAを用い、下
記の処方の糊液を調製した。 本発明のEt変性PVA 7.5%(固形分) (Et:7.1モル%、DH:95.4 モル%、P:1700 ) 油剤(ワープセット100;竹本油脂社製) 1.0%( 〃 ) 合計 8.5%( 〃 )
【0014】この糊液を用いて次の条件で糊付し、製織
に供した。 (1) 織物規格 経糸: 綿40/1コーマ(東洋紡社製;『金魚』) 緯糸: 同上 経糸密度: 136本/インチ 緯糸密度: 72本/インチ 織り幅 : 47インチ 経糸総本数: 6420本 組織: 平織 織機: 津田駒社製エアージェット織機 ZA−203型 回転数 540rpm (2) 糊付 糊付機; 機種: 津田駒社製 2ボックス2シート型 糊液温度: 92℃ 絞りロール幅: 1800mm 絞り荷重: 800kg/1800mm幅 糸速度: 65ヤード/分 乾燥温度: 100〜130℃ 糊付糸長: 5600ヤード その結果、着糊量は12.3%となり、摩耗強度は24
5回、1mm上の毛羽数は62個/mと良好であり、製
織性に関しても、製織効率は95.9%と満足できるも
のであった。また、同時に糊付した糊付糸ビームを夏期
を想定した環境下(30℃、84%RH)に20日間保
管した後、織機に設置し、製織に供し、ビーム設置直後
2日間の製織性を観察したが、吸湿によるトラブルは無
く、その間の製織効率も94.7%と良好であった。
【0015】実施例2 エチレン変性PVAとしてエチレン単位を2.3モル%
含有し、酢酸ビニル単位のけん化度88.0モル%、重
合度1200のエチレン変性PVAを使用する以外は実
施例1と同様に糊付し、製織に供した。その結果、着糊
量は11.6%となり、摩耗強度は236回、1mm以
上の毛羽数は64個/mと良好であり、製織性に関して
も、製織効率は95.6%と満足できるものであった。
また、同時に糊付した糊付糸ビームを夏期を想定した環
境下(30℃、84%RH)に20日間保管した後、織
機に設置し、製織に供し、ビーム設置直後2日間の製織
性を観察したが、吸湿によるトラブルは無く、その間の
製織効率も93.9%と良好であった。
【0016】実施例3 実施例1において用いた綿40/1コーマの代わりにポ
リエステル/綿混紡糸(以下、E/Cと略記する)45
/1コーマ(クラレ製;1013C45/1C35)を
用い、糊液の処方を 本発明のEt変性PVA 5.0%(固形分) (Et:7.1モル%、DH:88.0 モル%、P:1700 ) 本発明のEt変性PVA 5.0%( 〃 ) (Et:2.3モル%、DH:88.0 モル%、P:1200 ) アクリル系糊剤 0.5%( 〃 ) (互応化学工業社製 プラスサイズ663) 油剤(ワープセット100;竹本油脂社製) 0.7%( 〃 ) 合計 11.2%( 〃 ) とする以外は実施例1と同様に糊付し、製織に供した。
その結果、着糊量は13.1%となり、摩耗強度は23
3回、1mm以上の毛羽数は63個/mと良好であり、
製織性に関しても、製織効率は95.2%と満足できる
ものであった。同時に糊付した糊付糸ビームを夏期を想
定した環境下(30℃、84%RH)に20日間保管し
た後、織機に設置し、製織に供し、ビーム設置直後2日
間の製織性を観察したが、吸湿によるトラブルは無く、
その間の製織効率も93.6%と良好であった。
【0017】実施例4 実施例1において用いた綿40/1コーマの代わりにポ
リエステル糸(以下、Eと略記する)40/1(クラレ
製;1013S40/1)を用い、糊液の処方を 本発明のEt変性PVA 6.0%(固形分) (Et:7.1モル%、DH:88.0 モル%、P:1700 ) 本発明のEt変性PVA 5.0%( 〃 ) (Et:4.5モル%、DH:82.0 モル%、P:500) アクリル系糊剤 0.5%( 〃 ) (互応化学工業社製 プラスサイズ663) 油剤(ワープセット100;竹本油脂社製) 0.7%( 〃 ) 合計 12.2%( 〃 ) とする以外は実施例1と同様に糊付し、製織に供した。
その結果、着糊量は12.6%となり、摩耗強度は56
4回、1mm以上の毛羽数は73個/mと良好であり、
製織性に関しても、製織効率は92.1%と満足できる
ものであった。同時に糊付した糊付糸ビームを夏期を想
定した環境下(30℃、84%RH)に20日間保管し
た後、織機に設置し、製織に供し、ビーム設置直後2日
間の製織性を観察したが、吸湿によるトラブルは無く、
その間の製織効率も91.3%と良好であった。
【0018】比較例1 実施例1で用いたEt変性PVAの代わりにPVA−21
7(クラレ製;DH:88 モル%、P:1700 )を用いるこ
と以外は実施例1と同様に糊付し、製織に供した。その
結果、着糊量は12.9%となり、摩耗強度は219
回、1mm以上の毛羽数は69個/mとであり、製織効
率は93.2%と比較的良好であった。しかし、糊付し
た糊付糸ビームを夏期を想定した環境下(30℃、84
%RH)に20日間保管した後、織機に設置し、製織に
供し、ビーム設置直後2日間の製織性を観察したとこ
ろ、吸湿により製織時の開口性がやや不良となるととも
に、製織開始後約1時間で毛羽玉が発生し出し、経糸切
れ、緯止まりとも頻繁に起こり、2日間の平均製織効率
も83.4%と不良であった。このトラブルは3日目以
降徐々に改善された。
【0019】比較例2 実施例3で用いたEt変性PVAの代わりにPVA−21
7(クラレ製;DH:88 モル%、P:1700 )およびPV
A−205(クラレ製;DH: 88モル%、P:500 )を
用い、糊処方を PVA−217 7.5%(固形分) PVA−205 2.5%( 〃 ) アクリル系糊剤 0.5%( 〃 ) (互応化学工業社製 プラスサイズ663) 油剤(ワープセット100;竹本油脂社製) 0.7%( 〃 ) 合計 11.2%( 〃 ) とした以外は、実施例3と同様に糊付し、製織に供し
た。その結果、着糊量は13.4%となり、摩耗強度は
212回、1mm以上の毛羽数は73個/mであり、製
織効率は90.1%であった。しかし、糊付した糊付糸
ビームを夏期を想定した環境下(30℃、84%RH)
に20日間保管した後、織機に設置し、製織に供し、ビ
ーム設置直後2日間の製織性を観察したところ、吸湿に
よる製織時の開口性低下が著しく、製織開始後約40分
で毛羽玉が発生し出し、経糸切れ、緯止まりとも頻繁に
起こり、2日間の平均製織効率も79.4%と不良であ
った。このトラブルは3日目以降徐々に改善された。
【0020】比較例3 実施例4で用いたEt変性PVAの代わりにPVA−21
7(クラレ製;DH:88モル%、P: 1700)およびPV
A−205(クラレ製;DH: 88モル%、P:500 )を
用い、糊処方を PVA−217 6.0%(固形分) PVA−205 5.0%( 〃 ) アクリル系糊剤 0.5%( 〃 ) (互応化学工業社製 プラスサイズ663) 油剤(ワープセット100;竹本油脂社製) 0.7%( 〃 ) 合計 12.2%( 〃 ) とした以外は、実施例4と同様に糊付し、製織に供し
た。その結果、着糊量は12.8%となり、摩耗強度は
423回、1mm以上の毛羽数は82個/mであり、製
織効率は88.9%とやや不満足であった。また、同時
に糊付した糊付しビームを夏期を想定した環境下(30
℃、84%RH)に20日間保管した後、織機に設置
し、製織に供し、ビーム設置直後2日間の製織性を観察
したところ、吸湿による製織時の開口性低下が著しく、
製織開始後約30分で毛羽玉が発生し出し、経糸切れ、
緯止まりとも頻繁に起こり、2日間の平均製織効率も7
3.1%と不良であった。このトラブルは3日目以降徐
々に改善された。
【0021】実施例5 Et、酢酸ビニルおよびアリルスルホン酸ナトリウム(以
下、SASと略記する)の共重合体をアルカリケン化し
てEtを7モル%、SASを0.2モル%含有し、酢酸ビ
ニル単位のけん化度71モル%、重合度700のEt変性
PVAを得た。このEt/SAS変性PVAを用い、下記
の処方の糊液を調製した。 Et/SAS変性PVA 5.0%(固形分) (Et:7モル%、SAS:0.2 モル%、DH:71 モル%、P:700) アクリル系糊剤 5.0%( 〃 ) (互応化学工業社製 プラスサイズT−823) 油剤 0.6%( 〃 ) (互応化学工業社製 サイテックスT−190) 油剤 0.2%( 〃 ) (互応化学工業社製 サイテックスシリコン 53) 合計 10.8%( 〃 ) この糊液を用いて次の条件で糊付、製織を行った。 (1) 織物規格 経糸: ポリエステルフィラメントSD75d/36f (クラレ製) 緯糸: 同上 組織: 平織(タフタ) 織機: ZA−203型 回転数 540rpm (2) 糊付 糊付機; 機種: 津田駒社製 ワーピングサイザー 糊液温度: 45℃ 絞りロール幅: 1800mm 絞り荷重: 200kg/1800mm幅 糸速度: 140ヤード/分 乾燥温度: 130℃ 糊付糸長: 5600ヤード その結果、着糊量は9.2%となり、抱合力は34回と
良好であり、製織性に関しても、製織効率は96.8%
と良好であった。また、同時に糊付した糊付糸ビームを
夏期を想定した環境下(30℃、84%RH)に20日
間保管した後、織機に設置し、製織に供したところ、糊
付糸の吸湿による粘着トラブルもなく、良好に製織で
き、製織効率は94.8%であった。
【0022】実施例6 Et、酢酸ビニルおよびSASを共重合してEtを8.2モ
ル%、SASを10.2モル%含有し、P:700の変
性ポリ酢酸ビニル(以下、PVAcと略記する)を得
た。実施例5におけるEt/SAS変性PVAの代わりに
このEt/SAS変性PVAcを用いる以外は実施例5と
同様に糊付し、製織に供した。その結果、着糊量は9.
1%となり、抱合力は43回と非常に良好であり、製織
性に関しても、製織効率は97.6%と良好であった。
また、同時に糊付した糊付糸ビームを夏期を想定した環
境下(30℃、84%RH)に20日間保管した後、織
機に設置し、製織に供したところ、糊付糸の吸湿による
粘着トラブルもなく、良好に製織でき、製織効率は9
5.7%であった。
【0023】比較例4 実施例5におけるEt/SAS変性PVAの代わりにPV
A−205を用い、糊処方を PVA−205(DH: 88モル%、P: 500) 5.5%(固形分) アクリル系糊剤 5.5%( 〃 ) (互応化学工業社製 プラスサイズT−823) 油剤 0.6%( 〃 ) (互応化学工業社製 サイテックスT−190) 油剤 0.2%( 〃 ) (互応化学工業社製 サイテックスシリコン 53) 合計 10.8%( 〃 ) とする以外は実施例5と同様に糊付し、製織に供した。
その結果、着糊量は9.4%となり、抱合力は26回で
あり、製織効率は91.9%であった。また、同時に糊
付した糊付糸ビームを夏期を想定した環境下(30℃、
84%RH)に20日間保管した後、織機に設置し、製
織に供したところ、糊付糸は吸湿による粘着トラブルが
発生し、ビームからの解舒時に毛羽が発生し、製織中も
経糸切れが多発し、開口性も不良であった。その時の製
織効率は87.3%であった。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【発明の効果】本発明の繊維用糊剤は、上記のように疎
水性繊維に対する接着性、摩耗強度、抱合力、耐摩耗性
に優れ、製織性を大きく向上させるとともに、吸湿性が
小さく高温高湿度下で糊付糸ビームを保管しても糊付糸
の解舒性・開口性に優れ、製織効率を大幅に向上させる
ことができる。また、綿糸等の天然繊維に対しても従来
の糊剤よりも良好な製織性が得られる。特に高温高湿下
における吸湿性が小さく夏期の糊付糸ビームの保管にお
いても糊剤の粘着によるトラブルを発生せず優れた製織
性が得られる。本発明の繊維用糊剤は、経糸糊付用糊剤
としてのみならず、織物の樹脂加工、洗濯用糊剤、捺染
用糊剤あるいは不織布の結合剤としても有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数4以下のα−オレフィン単位の含
    有量1〜9モル%およびけん化度50〜95モル%の変
    性ポリビニルアルコールからなる繊維用糊剤。
  2. 【請求項2】 変性ポリビニルアルコールがイタコン酸
    単位、マレイン酸単位またはスルホン酸単位を0.1〜
    20モル%含有する請求項1記載の繊維用糊剤。
  3. 【請求項3】 炭素数4以下のα−オレフィン単位の含
    有量1〜9モル%の変性ポリビニルエステルからなる繊
    維用糊剤。
  4. 【請求項4】 変性ポリビニルエステルがイタコン酸単
    位、マレイン酸単位またはスルホン酸単位を0.1〜2
    0モル%含有する請求項3記載の繊維用糊剤。
JP6770895A 1995-03-27 1995-03-27 繊維用糊剤 Pending JPH08260355A (ja)

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