JPH08259556A - 4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体及びそれを有効成分とする抗アレルギー剤 - Google Patents

4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体及びそれを有効成分とする抗アレルギー剤

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JPH08259556A
JPH08259556A JP6757095A JP6757095A JPH08259556A JP H08259556 A JPH08259556 A JP H08259556A JP 6757095 A JP6757095 A JP 6757095A JP 6757095 A JP6757095 A JP 6757095A JP H08259556 A JPH08259556 A JP H08259556A
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JP
Japan
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derivative
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benzopyran
carbon atoms
dihydroxy
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JP6757095A
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English (en)
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Hideji Takagaki
秀次 高垣
Shigenori Nakanishi
滋典 中西
Yasuo Aoki
康夫 青木
Nobuyuki Kimura
信之 木村
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式(I)で表される4,7−ジヒドロキ
シベンゾピラン誘導体及びその生理学的に許容される
塩、および当該化合物またはその生理学的に許容される
塩を有効成分とする抗アレルギー剤。 (但し、式中R1は炭素数4〜8のアルキル基、炭素数
4〜8のアルケニル基を示す。) 【効果】 即時型アレルギー性疾患及びアトピー性皮膚
炎や喘息等の遅延型アレルギーに係わるアレルギー疾患
に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンゾピラン誘導体の
3位水酸基のアルキル化又はアルケニル化反応により得
られる4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体に関
し、これら化合物又は生理学的に許容される塩は抗アレ
ルギー剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】現在、市販されている抗アレルギー剤は
薬理効果、安全性及び吸収性において満足すべきものは
なく、抗アレルギー剤の開発研究は盛んに行われてい
る。例えば、抗アレルギー剤の代表例であるトラニラス
ト(Tranilast:一般名)は、治療効果を得るため高用
量の投与が必要であるにも拘らずマウスの急性毒性値
(LD50)が780mg/kgと低く、薬効量と毒性量
が接近しており安全域が狭く使用に際して注意を要する
欠点がある。またクロモグリク酸ナトリウム(Disodium
Cromoglicate:一般名)は、現在臨床において有効性が
確認されている著名な喘息治療薬であり、毒性の点では
満足出来るものの、消化管吸収性が極めて悪く噴霧吸入
により使用されている。しかもこれら既存の抗アレルギ
ー剤は即時型アレルギーには有効であるが、遅延型アレ
ルギーに対しては無効である。喘息、アトピー性皮膚炎
を始めアレルギー疾患は慢性化が大きな問題となってい
るが、この慢性化に遅延型アレルギーが深く関与してい
る。従って、抗アレルギー剤としては即時型アレルギー
及び遅延型アレルギー両方に有効な薬剤が望まれる。ス
テロイド剤は即時型アレルギー及び遅延型アレルギー両
方に有効であるが周知のように極めて重篤な副作用を有
する。
【0003】以上、現在報告されている多くの抗アレル
ギー剤は、遅延型アレルギーに対する治療作用を有せず
十分な治療効果が期待出来ない、安全域が狭く安全性が
低い、又は消化管吸収性が悪く投与方法が限られている
等の種々の問題点を有する。それ故、経口投与が可能で
あり、低毒性かつ即時型及び遅延型アレルギーに効力を
有する薬剤の開発が強く望まれている。
【0004】一方、このような従来技術の背景を受け
て、本発明者らは、WO92/13852において、一
連のベンゾピラン誘導体が抗アレルギー剤として従来に
ない優れた薬剤であることを見い出している。しかしな
がら、本発明の特定のベンゾピラン誘導体の具体的な記
載はなく、かつ本発明の特定のベンゾピラン誘導体が即
時型及び遅延型アレルギーの両方、特に遅延型アレルギ
ーに有効であること、並びにアトピー性皮膚炎や喘息の
治療に非常に有効であることは記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、多くのベンゾピラン誘導体の中より特に著しく優れ
た薬剤を見い出し、更に優れた抗アレルギー剤への応用
を計ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、医薬品と
して更に有用な化合物を提供するため、特に有用な抗ア
レルギー剤について鋭意検討を行った結果、一般式
(I)で表される4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘
導体が極めて優れた抗アレルギー作用を有するとともに
その毒性が低いことを見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】即ち、本発明は、一般式(I)
【0008】
【化5】
【0009】(式中、R1は炭素数4〜8のアルキル
基、炭素数4〜8のアルケニル基を示す。)で表される
4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体及びその生理
学的に許容される塩に関し、また上記一般式(I)中、
1が炭素数4〜8のアルキル基、炭素数4〜8のアル
ケニル基である4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導
体又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする抗
アレルギー剤に関し、また上記一般式(I)中、R1
炭素数4〜8のアルキル基、炭素数4〜10のアルケニ
ル基である、4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体
又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする、ア
トピー性皮膚炎治療剤並びに喘息治療剤に関する。
【0010】本発明の一般式(I)において、R1のア
ルキル基としては、直鎖のアルキル基として、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基
等、分岐したアルキル基としては、イソブチル基、sec-
ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペン
チル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、3−メチ
ルペンチル基、2−エチルブチル基、2−エチルヘキシ
ル基等、炭素数4〜8のアルキル基があげられる。好ま
しくは炭素数6〜8のアルキル基が挙げられ、特に、ヘ
キシル基、オクチル基が好ましい。
【0011】アルケニル基としては、3−ブテニル基、
2−メチル−2−プロペニル基、5−ヘキセニル基、2
−メチル−2−ペンテニル基、7−オクテニル基、シト
ロネリル基等の炭素数4〜10のアルケニル基が挙げら
れ、好ましくは炭素数4〜8のアルケニル基が挙げられ
る。R1としてはアルキル基がより好ましい。
【0012】次に、本発明における4,7−ジヒドロキ
シベンゾピラン誘導体の製造方法の概略を説明する。本
発明における一般式(I)で表される4,7−ジヒドロ
キシベンゾピラン誘導体の製造は、本発明者らによる先
願(WO92/13852)記載の方法と同様にして行
うことが出来る。即ち、例えば以下の(化6)の反応経
路に従って製造することが出来る。但し、式中のR1
前記と同じ意義を表す。
【0013】
【化6】
【0014】まず、2,4-ジヒドロキシアセトフェノン
(a)の水酸基をベンジル基で保護し(b)とする。次
に炭酸ジメチルとの反応によりケトエステル体(c)と
し、更に過酸化ベンゾイルと反応させ(d)とする。こ
こで水酸基の保護基であるベンジル基を水素化分解によ
り脱保護し、酸で処理する事によりベンゾイルオキシ体
(e)とする。更に、このベンゾイルオキシ体(e)の
ベンゾイル基を、非水系で金属アルコキシドと反応させ
ることにより、ベンゾピラン誘導体(f)が得られる。
3位置換体を製造するためには、4位及び7位水酸基に
選択的に保護基を導入し、更に3位水酸基に置換基を導
入後、脱保護反応を行うことにより、目的とする4,7
−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体が得られる。ここ
で、用いられる保護基としては、通常水酸基の保護基と
して用いられるもので、例えば、アシル基、テトラヒド
ロピラニル基、スルホニル基、トリアルキルシリル基、
ベンジル基等が挙げられる。
【0015】こうして得られる本発明に関わる4,7−
ジヒドロキシベンゾピラン誘導体の具体例としては、例
えば、以下の化合物が挙げられる。 3-ブトキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オ
ン 3-ペントキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-
オン 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン 3-へプチルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン 3-オクチルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン 3-イソブチロキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン 3-sec-ブチロキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン 3-(2-エチルブチロキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベ
ンゾピラン-2-オン 3-(2-エチルヘキシルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-
ベンゾピラン-2-オン 3-(2-メチル-2-プロペニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-
2H-1-ベンゾピラン-2-オン 3-(3-ブテニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベン
ゾピラン-2-オン 3-(5-ヘキセニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベ
ンゾピラン-2-オン 3-(2-メチル-2-ペンテニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ
-2H-1-ベンゾピラン-2-オン 3-(7-オクテニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベ
ンゾピラン-2-オン 3-シトロネリルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オン また、これらの生理学的に許容される塩も挙げられる。
ここでいう生理学的に許容される塩とは、例えば上記に
示される化合物のアルカリ付加塩であり、例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩、アンモニウム塩、無毒性のアミン塩等の無毒の塩が
挙げられる。これは公知の方法により製造出来、これら
の生理学的に許容される塩も本発明中に含まれる。
【0016】本発明の4,7−ジヒドロキシベンゾピラ
ン誘導体及びその生理学的に許容される塩(以下本発明
化合物と称する)は、後述の実施例が示すように、即時
型及び遅延型アレルギー反応を抑制する作用を有するの
で、抗アレルギー剤として種々のアレルギー性疾患の治
療又は予防に有用である。
【0017】本発明にいうアレルギー性疾患とは、外因
性又は内因性の抗原により生体の免疫機構が過剰に活性
化され生じるアレルギー性疾患であり、例えば、即時型
喘息、遅延型喘息、気管支喘息、小児喘息、アトピー性
皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、蕁麻疹、湿疹、アレルギ
ー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギ
ー、アレルギー性胃腸炎、アレルギー性大腸炎、接触性
皮膚炎、自己免疫性疾患等が挙げられる。特に本発明化
合物は、遅延型アレルギーに優れた抑制作用を発揮する
ため、アトピー性皮膚炎によるかゆみや腫れ、発疹等の
不快症状の緩和・抑制や、アトピー性皮膚炎と同様に遅
延型アレルギーが主に関与するとされている疾患、例え
ば、漆、銀杏、金属、薬剤等によるアレルギー性接触性
皮膚炎にも優れた効果を有する。また優れた喘息治療作
用を有するため、各種喘息の治療に用いることができ
る。
【0018】本発明化合物を有効成分とする抗アレルギ
ー剤は、経口又は非経口投与(例えば静脈内投与、皮下
投与、経皮投与又は直腸内投与等)することが出来、投
与に際してはそれぞれの投与法に適した製剤形態に調製
することが出来る。かかる製剤は、その用途に応じて錠
剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、トローチ剤、
舌下錠、坐剤、軟膏剤、注射剤、乳剤、懸濁剤、シロッ
プ剤等の製剤形体に調製することが出来る。これらの調
製に際しては、例えばこの種の薬剤に通常使用されてい
る無毒の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保存剤、酸
化防止剤、等張化剤、緩衝剤、コーティング剤、矯味
剤、溶解補助剤、基剤、分散剤、安定化剤、着色剤等の
添加剤を使用して公知の方法により製剤化することが出
来る。
【0019】前記使用し得る無毒性の添加剤の具体例を
以下に列挙する。まず、賦形剤としては、でんぷん及び
その誘導体(デキストリン、カルボキシメチルスターチ
等)、セルロース及びその誘導体(メチルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、糖類(乳
糖、白等、ブドウ糖等)、ケイ酸及びケイ酸塩類(天然
ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム)、炭酸塩
(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリ
ウム等)、水酸化アルミニウム・マグネシウム、合成ヒ
ドロタルサイト、ポリオキシエチレン誘導体、モノステ
アリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン等が挙
げられる。
【0020】結合剤としては、でんぷん及びその誘導体
(アルファー化デンプン、デキストリン等)、セルロー
ス及びその誘導体(エチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース等)、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、
糖類(ブドウ糖、白糖等)、エタノール、ポリビニルア
ルコール等が挙げられる。
【0021】崩壊剤としては、でんぷん及びその誘導体
(カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスタ
ーチ等)、セルロース及びその誘導体(カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、結晶セルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース等)、炭酸塩(炭酸カルシウ
ム、炭酸水素カルシウム等)、トラガント、ゼラチン、
寒天等が挙げられる。
【0022】滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、
ケイ酸及びその塩類(軽質無水ケイ酸、天然ケイ酸アル
ミニウム等)、酸化チタン、リン酸水素カルシウム、乾
燥水酸化アルミニウムゲル、マクロゴール等が挙げられ
る。
【0023】保存剤としては、パラオキシ安息香酸エス
テル類、亜硫酸塩類(亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナ
トリウム等)、リン酸塩類(リン酸ナトリウム、ポリリ
ン酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナ
トリウム等)、アルコール類(クロロブタノール、ベン
ジルアルコール等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベン
ゼトニウム、フェノール、クレゾール、クロロクレゾー
ル、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン
酸グリセリン、糖類等が挙げられる。
【0024】酸化防止剤としては、亜硫酸塩類(亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)、ロンガリッ
ト、エリソルビン酸、L−アスコルビン酸、システイ
ン、チオグリセロール、ブチルヒドロキシアニゾール、
ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アス
コルビン酸パルミテート、dl−αートコフェロール等
が挙げられる。
【0025】等張化剤としては、塩化ナトリウム、硝酸
ナトリウム、硝酸カリウム、デキストリン、グリセリ
ン、ブドウ糖等が挙げられる。緩衝剤としては、炭酸ナ
トリウム、塩酸、ホウ酸、リン酸塩(リン酸水素ナトリ
ウム等)等が挙げられる。
【0026】コーティング剤としては、セルロース誘導
体(ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸セル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト等)、セラック、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
ピリジン類(ポリ-2-ビニルピリジン、ポリ-2-ビニル-5
-エチルピリジン等)、ポリビニルアセチルジエチルア
ミノアセテート、ポリビニルアルコールフタレート、メ
タアクリレート・メタアクリル酸共重合体等が挙げられ
る。
【0027】矯味剤としては、糖類(ブドウ糖、白糖、
乳糖等)、サッカリンナトリウム、糖アルコール類等が
挙げられる。溶解補助剤としては、エチレンジアミン、
ニコチン酸アミド、サッカリンナトリウム、クエン酸、
クエン酸塩類、安息香酸ナトリウム、石鹸類、ポリビニ
ルピロリドン、ポリソルベート類、ソルビタン脂肪酸エ
ステル類、グリセリン、ポリプレングリコール、ベンジ
ルアルコール等が挙げられる。
【0028】基剤としては、脂肪類(豚脂等)、植物油
(オリーブ油、ゴマ油等)、動物油、ラノリン酸、ワセ
リン、パラフィン、ロウ、樹脂、ベントナイト、グリセ
リン、グリコール油、高級アルコール類(ステアリルア
ルコール、セタノール等)等が挙げられる。
【0029】分散剤として、アラビアゴム、トラガン
ト、セルロース誘導体(メチルセルロース等)、ステア
リン酸ポリエステル類、セスキオレイン酸ソルビタン、
モノステアリン酸アルミニウム、アルギン酸ナトリウ
ム、ポリソルベート類、ソルビタン脂肪酸エステル類等
が挙げられる。
【0030】最後に安定化剤としては、亜硫酸塩類(亜
硫酸水素ナトリウム等)、窒素、二酸化炭素等が挙げら
れる。
【0031】また、かかる製剤中における本発明化合物
の含有量は、その剤型に応じて異なるが、一般に0.0
1〜100重量%の濃度で含有している事が望ましい。
本発明の抗アレルギー剤の投与量は、対象とする人間を
はじめとする温血動物の種類、症状の軽重、医師の判断
等により広範囲に変える事が出来るが、一般に有効成分
として、経口投与の場合、体重1kg当たり1日に0.
01〜50mg、好ましくは、0.05〜10mg、非
経口投与の場合、体重1kg当たり1日に0.01〜1
0mg、好ましくは0.01〜5mg投与する事が好ま
しい。また、上記投与量は1日1回又は数回に分けて投
与する事が出来、患者の症状の軽重、医師の診断に応じ
て適宜変えることが出来る。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0033】(参考例1) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オン (化合物1) アルゴン雰囲気下、3-ヒドロキシ-4,7-ジベンジルオキ
シ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン 1.92 g (5.12 mmol)とよ
う化ヘキシル 1.19 g (5.63 mmol)をジメチルホルムア
ミド(DMF) 10 mlに添加し、撹拌した。これに炭酸カリ
ウム 0.855 g (6.20 mmol)を加え、室温にて18 時間攪
拌した後、固形物を濾別し濾液にベンゼン、水を添加し
分液抽出した。ベンゼン層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル=7/3)にて
精製し、標題化合物 (1) 1.57 g (収率=67 %)を得た。
【0034】1H- NMR (CDCl3, δ-TMS) 7.67 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.55〜7.20 (m, 10H), 6.85
(d, 1H, J=8.8Hz), 6.79 (s, 1H), 5.25 (s, 2H), 5.15
(s, 2H), 4.00 (t, 2H, J=7.2 Hz), 1.66〜1.30 (m, 8
H), 0.88 (t, 3H, J=7.2 Hz) IR (KBr, cm-1):1760, 1720, 1620, 1435, 1360, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C29H30O5として 計算値 (%):C 75.96; H 6.59; O 17.45 実測値 (%):C 75.75; H 6.53; O 17.72
【0035】(実施例1) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン (化合物2) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オン1.60 g (3.48 mmol)を酢酸エチル 20 ml
に溶解し、10 %パラジウム炭素(Pd-C)0.16 gを添加後
反応系内に水素ガスを導入し、室温にて5 時間撹拌し
た。反応終了後、触媒を濾別し濾液を減圧濃縮した。得
られた粗生成物をエーテルで洗浄し、標題化合物
(2)0.83 g(収率=85 %)を得た。
【0036】1H- NMR (DMSO-d6, δ-TMS) 11.38 (bs, 1H), 10.35 (bs, 1H), 7.62(d, 1H, J=8.8
Hz), 6.80 (d,1H, J=8.8 Hz), 6.68 (s, 1H), 3.89 (t,
2H, J=7.6 Hz), 1.70〜1.28(m, 8H), 0.87 (t, 3H, J=
7.6 Hz) IR (KBr, cm-1):3450, 3200, 1665, 1620, 1560, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C15H18O5として 計算値 (%):C 64.73; H 6.52; O 28.75 実測値 (%):C 64.70; H 6.60; O 28.70
【0037】(実施例2) 3-ブトキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オ
ン (化合物3) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オンのかわりに、3-ブトキシ-4,7-ジベンジル
オキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オンを用いる他は、(実
施例1)と同様にして、標題化合物(3)を得た。(収
率=82 %)1 H- NMR (DMSO-d6, δ-TMS) 11.25 (bs, 1H), 10.18 (bs, 1H), 7.62(d, 1H, J=8.8
Hz), 6.80 (d,1H, J=8.8 Hz), 6.68 (s, 1H), 3.95 (t,
2H, J=7.6 Hz), 1.70〜1.28(m, 4H), 0.84 (t, 3H, J=
7.6 Hz) IR (KBr, cm-1):3450, 3200, 1665, 1620, 1560, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C13H14O5として 計算値 (%):C 62.39; H 5.64; O 31.97 実測値 (%):C 62.54; H 5.60; O 31.86
【0038】(実施例3) 3-オクチルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラ
ン-2-オン (化合物4) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オンのかわりに、3-オクチルオキシ-4,7-ジベ
ンジルオキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オンを用いる他
は、(実施例1)と同様にして、標題化合物(4)を得
た。(収率=84 %)1 H- NMR (DMSO-d6, δ-TMS) 11.36 (bs, 1H), 10.25 (bs, 1H), 7.65 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.75(d,1H, J=8.8 Hz), 6.68 (s, 1H), 3.95 (t,
2H, J=7.6 Hz), 1.70〜1.28(m, 12H), 0.84 (t, 3H, J
=7.6 Hz) IR (KBr, cm-1):3450, 3200, 1665, 1620, 1560, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C17H22O5として 計算値 (%):C 66.65; H 7.24; O 26.11 実測値 (%):C 66.54; H 7.30; O 26.16
【0039】(実施例4) 3-(2-エチルブチロキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベ
ンゾピラン-2-オン (化合物5) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オンのかわりに、3-(2-エチルブチロキシ)-
4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オンを用
いる他は、(実施例1)と同様にして、標題化合物
(5)を得た。(収率=81 %)1 H- NMR (DMSO-d6, δ-TMS) 11.10 (bs, 1H), 10.15 (bs, 1H), 7.58 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.82(d,1H, J=8.8 Hz), 6.68 (s, 1H), 4.09 (d,
2H, J=7.6 Hz), 1.65〜1.24(m, 5H), 0.88 (t, 6H, J=
7.6 Hz) IR (KBr, cm-1):3450, 3200, 1665, 1620, 1560, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C15H18O5として 計算値 (%):C 64.73; H 6.52; O 28.75 実測値 (%):C 64.68; H 6.60; O 28.72
【0040】(実施例5) 3-(2-エチルヘキシルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1
-ベンゾピラン-2-オン(化合物6) 3-ヘキシルオキシ-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オンのかわりに、3-(2-エチルヘキシルオキ
シ)-4,7-ジベンジルオキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン
を用いる他は、(実施例1)と同様にして、標題化合物
(6)を得た。(収率=79 %)1 H- NMR (DMSO-d6,δ-TMS) 11.10 (bs, 1H), 10.15 (bs, 1H), 7.60 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.82(d,1H, J=8.8 Hz), 6.68 (s, 1H), 3.95 (d,
2H, J=7.6 Hz), 1.55〜1.24(m, 9H), 0.90 (m, 6H) IR (KBr, cm-1):3450, 3200, 1665, 1620, 1560, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C17H22O5として 計算値 (%):C 66.65; H 7.24; O 26.11 実測値 (%):C 66.68; H 7.15; O 26.17
【0041】(実施例6) 3-(2-メチル-2-プロペニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ
-2H-1-ベンゾピラン-2-オン (化合物7) 3-(2-メチル-2-プロペニルオキシ)-4,7-ジアセトキシ-
2H-1-ベンゾピラン-2-オン1.60 g(4.81 mmol)をメタノ
ール30 mlに添加攪拌し、氷冷下ナトリウムメトキシド
0.55 g(10.2 mmol)をメタノール5 mlに溶解した溶液を
滴下した。1時間攪拌後、アンバーリスト15 2.75 gを
添加し、1時間攪拌した。アンバーリスト15を濾過
し、濾液を濃縮後エーテルで洗浄して、標題化合物
(7)0.94 gを得た。(収率=79 %)1 H- NMR (DMSO-d6,δ-TMS) 11.20 (bs, 1H), 10.25 (bs, 1H), 7.65 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.85(d,1H, J=8.8 Hz), 6.70 (s, 1H), 5.12 (s,
1H), 4.94 (s, 1H), 4.10(s, 2H), 1.88 (s, 3H) IR (KBr, cm-1):3450, 3205, 1635, 1610, 1565, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C13H12O5として 計算値 (%):C 62.90; H 4.87; O 32.23 実測値 (%):C 62.93; H 4.78; O 32.29
【0042】(実施例7) 3-(5-ヘキセニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベ
ンゾピラン-2-オン (化合物8) 3-(2-メチル-2-プロペニルオキシ)-4,7-ジアセトキシ-
2H-1-ベンゾピラン-2-オンのかわりに、3-(5-ヘキセニ
ルオキシ)-4,7-ジアセトキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オ
ンを用いる他は、(実施例6)と同様にして、標題化合
物(8)を得た。(収率=80 %)1 H- NMR (DMSO-d6,δ-TMS) 11.10 (bs, 1H), 10.13 (bs, 1H), 7.63 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.79(d,1H, J=8.8 Hz), 6.65 (s, 1H), 5.86〜5.
72 (m, 1H), 5.05〜4.96 (m,2H), 3.98 (t, 2H, J=7.8
Hz), 2.09 (m, 2H), 1.88 (m, 2H), 1.54(m, 2H) IR (KBr, cm-1):3445, 3200, 1645, 1610, 1560, 1225 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C15H16O5として 計算値 (%):C 65.20; H 5.84; O 28.96 実測値 (%):C 65.10; H 5.88; O 29.02
【0043】(実施例8) 3-(7-オクテニルオキシ)-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベ
ンゾピラン-2-オン (化合物9) 3-(2-メチル-2-プロペニルオキシ)-4,7-ジアセトキシ-
2H-1-ベンゾピラン-2-オンのかわりに、3-(7-オクテニ
ルオキシ)-4,7-ジアセトキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オ
ンを用いる他は、(実施例6)と同様にして、標題化合
物(9)を得た。(収率=81 %)1 H- NMR (DMSO-d6,δ-TMS) 11.18 (bs, 1H), 10.18 (bs, 1H), 7.70 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.80(d,1H, J=8.8 Hz), 6.67 (s, 1H), 5.87〜5.
73 (m, 1H), 5.03〜4.92 (m,2H), 3.92 (t, 2H, J=8.0
Hz), 2.05 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.50〜1.28 (m, 6
H) IR (KBr, cm-1):3450, 3200, 1635, 1605, 1560, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C17H20O5として 計算値 (%):C 67.09; H 6.62; O 26.29 実測値 (%):C 67.10; H 6,68; O 26.22
【0044】(実施例9) 3-シトロネリルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾ
ピラン-2-オン (化合物10) 3-(2-メチル-2-プロペニルオキシ)-4,7-ジアセトキシ-
2H-1-ベンゾピラン-2-オンのかわりに、3-シトロネリル
オキシ-4,7-ジアセトキシキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オ
ンを用いる他は、(実施例6)と同様にして、標題化合
物(10)を得た。(収率=83%)1 H- NMR (DMSO-d6,δ-TMS) 11.28 (bs, 1H), 10.19 (bs, 1H), 7.71 (d, 1H, J=8.8
Hz), 6.80(d,1H, J=8.8 Hz), 6.66 (s, 1H), 5.09 (m,
1H), 3.80〜3.66 (m, 2H),2.08〜1.82 (m, 3H), 1.73
〜1.58 (m, 6H), 1.40〜1.10 (m,4H), 0.90 (d, 3H, J=
8.0 Hz) IR (KBr, cm-1):3450, 3205, 1640, 1615, 1565, 1220 UV:λmax=310 nm (MeOH) 元素分析値:C19H24O5として 計算値 (%):C 68.65; H 7.28; O 24.07 実測値 (%):C 68.70; H 7.28; O 24.02
【0045】(実施例10)マウス急性毒性試験 本実施例は、本発明化合物の安全性を確認するため行っ
たものである。以下に試験方法を説明する。 試験方法:マウス用胃ゾンデを用いて化合物2〜10の
各4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体2000m
g/kgを1群5匹のマウス(ICR系雄性 体重20
〜25g)に強制経口投与した。経口投与後、ケージ内
にて7日間飼育し、死亡動物の有無及び一般状態を観察
し、観察終了時のマウスの生存率より50%致死量(L
50:mg/kg)を推定した。この結果、試験した全
ての4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体のLD50
は2000mg/kg以上であり、本発明化合物は極め
て安全性が高い事が判明した。
【0046】(実施例11)ラット受身皮膚アナフィラ
キシー(PCA)反応による薬理試験 本発明化合物の抗アレルギー作用を確認するため、抗ア
レルギー作用の確認試験として広く用いられているラッ
ト受身皮膚アナフィラキシー反応による薬理試験を実施
した。本動物モデルは即時型アレルギー即ち抗原抗体反
応が関与するモデルである。以下に試験方法を説明す
る。 試験方法:ウイスター系雄性ラット(9週齢)の背部を
刈毛し、抗ジニトロフェノール−アスカリス(DNP−
As)血清を2カ所に皮内投与した。48時間後、0.
5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCN
a)に懸濁した4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導
体(被験薬物)を100mg/kg経口投与し、その1
時間後にトリニトロフェノール−アスカリス(TNP−
As)1mgを含有する0.5%エバンスブルー生理食
塩溶液 1mlを尾静脈より投与してアレルギー反応を
惹き起こした。反応惹起30分後、ラットをエーテル麻
酔下で放血致死させ、背部皮膚を剥離してKatayamaらの
方法(Microbiol.Immunol.,Vol.22, P89-101, 1978)に
従って色素漏出量を定量した。
【0047】溶媒対照として被験薬物の代わりに0.5
%CMCNaのみを経口投与した群、及び陽性対照とし
て、トラニラスト(Tranilast)を被験薬物と同様の方
法で100mg/kg経口投与した群を設けた。試験結
果は、式1によりPCA反応抑制率(%)を算出し、表
1に示した。尚、試験には1群5匹のラットを用いた。
【0048】
【数1】(式1)
【0049】また、比較例として先願(WO92/13
852)に記載の3-メトキシ-4,7-ジ ヒドロキシ-2H-1-
ベンゾピラン-2-オン(化合物11)、3-イソプロポキ
シ-4,7- ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン(化
合物12)、3-デシルオキシ-4,7-ジヒドロキシ-2H-1-
ベンゾピラン-2-オン(化合物13)のアレルギー反応
抑制率を挙げた。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示すごとく、本発明化合物はトラニ
ラストとほぼ同等又はそれ以上の抗アレルギー活性を有
する事が確認された。この試験結果より、本発明化合物
が即時型アレルギーに対して有用な抗アレルギー剤であ
る事が判明した。
【0052】(実施例12)塩化ピクリル誘発接触性皮
膚炎モデルによる薬効試験 本発明化合物の遅延型アレルギー抑制作用を確認するた
め、従来より知られているマウス塩化ピクリル誘発接触
性皮膚炎モデルによる薬理試験を実施した。本動物モデ
ルは代表的な遅延型アレルギーモデルであり、主に細胞
性免疫が関与する生体反応であり(イムノロジー第15
巻405−416頁1968年;Immunology, Vol.15,
P405-416, 1968)、従来の抗アレルギー剤では抑制出来
ずステロイド剤で抑制出来る反応である。以下に試験方
法を説明する。 試験方法:マウスの腹部を刈毛し、その翌日に7%(w
/v)塩化ピクリル−アセトン溶液0.1mlを塗布し
感作した。感作7日後、1%(w/v)塩化ピクリル−
オリーブ油溶液を5μlづつ左側耳介皮膚の両面に塗布
し反応を惹き起こした。反応惹起前及び反応惹起24時
間後の左耳の厚さを測定し、式(2)に従って耳介膨張
率(%)を求めた。尚、本発明化合物2〜10(被験薬
物)は0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム
(CMCNa)に懸濁し、反応惹起1時間前及び16時
間後の2回、10mg/kgを強制経口投与した。溶媒
対照として被験薬物の代わりに0.5%CMCNaのみ
を投与した群、及び陽性対照群としてステロイドホルモ
ンのプレドニゾロン10mg/kg又は化合物11〜1
3及びトラニラスト100mg/kgを経口投与した群
を設けた。本実施例の結果は、溶媒対照群に対する抑制
率(%)を式(3)により算出し表2に示した。尚、試
験には1群10匹のマウスを用いた。
【0053】
【数2】(式2) 耳介膨張率(%)=〔(反応惹起24時間後の左耳の厚
さ−反応惹起前の左耳の厚さ)/反応惹起前の左耳の厚
さ〕x100
【0054】
【数3】(式3) 抑制率(%)=〔(溶媒対照群の耳介膨張率−被験薬物
群又は陽性対象群の耳介膨張率)/溶媒対照群の耳介膨
張率〕x100
【0055】
【表2】
【0056】本実験モデルの反応惹起により、溶媒群で
は有意な左側耳介の膨張が認められた。これに対し、本
発明化合物は約60〜70%の耳介膨張抑制効果を示
し、プレドニゾロン(64%)とほぼ同等又はそれ以上
の活性を有する事が判明した。現在、抗アレルギー薬と
して広く用いられているトラニラストは遅延型アレルギ
ーに対して治療効果が認められなかった。又、本発明に
おける化合物2〜10は比較化合物11〜13に比べ
て、高活性な成績を示し、本発明化合物が遅延型アレル
ギーに対して高い治療効果を有する極めて有用な抗アレ
ルギー剤であることが判明した。
【0057】(実施例13)モルモット喘息モデルによ
る薬効試験 喘息は代表的なアレルギー疾患であるが、本発明化合物
の喘息治療作用を更に確認するため、従来より広く知ら
れているモルモット喘息モデルを用いた薬理試験を実施
した。以下に試験方法を説明する。 試験方法:ハートレイ系雄性モルモット(5週齢)に卵
白アルブミン(OVA)生理食塩溶液(5mg/ml/
body)を1週間間隔で3回腹腔内投与し感作した。
その2週間後、1%OVA生理食塩溶液を超音波ネブラ
イザーにより1分間吸入させ、気道抵抗を30分間測定
した(PULUMOS−1,(株)エム・アイ・ピー・
エス製)。OVA吸入1時間前に本発明化合物2〜10
(被験薬物)及び比較化合物11〜13は0.5%カル
ボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)に懸
濁し、10mg/kgを経口投与した。また、陽性対照
として著名な抗アレルギー剤であるクロモグリク酸ナト
リウム(DSCG)を生理食塩水に溶解し、20mg/
kgをOVA吸入直前に静脈内投与した。溶媒対照とし
て被験薬物の代わりに0.5%CMCNaのみを経口投
与した群を設けた。試験結果は、(式4)により気道抵
抗抑制率(%)を算出し、表3に示した。尚、試験には
1群5匹のモルモットを用いた。
【0058】
【数4】(式4)
【0059】
【表3】
【0060】本実施例により本発明化合物2〜10は、
経口投与により約70〜80%の気道抵抗抑制率を示
し、比較化合物11〜13に比べて高活性な成績を示
し、喘息に対する極めて高い治療効果が確認された。
【0061】 乳鉢で、化合物2の結晶を粉砕し、それに乳糖を添加
し、乳棒で粉砕しながら、充分混合し、5%散剤とし
た。
【0062】 乳鉢内で、化合物3を等量のでんぷんと混合粉砕した。
これに乳糖、でんぷんの残分を加え混合した。別にゼラ
チン30mgに精製水1mlを加えて、加熱溶解し、冷
後かき混ぜながらこれにエタノール1mlを加え、ゼラ
チン液としたものを調製し、先の混合物にゼラチン液を
添加練合し、造粒した後、乾燥して整粒した。
【0063】 乳鉢内で上記配合の20倍量の化合物を用いて5mg錠
剤の製造をした。すなわち、100mgの化合物4の結
晶を粉砕し、それに乳糖及びでんぷんを加え混合する。
10%でんぷんのりを上記の配合体に加え練合し、造粒
する。乾燥後、タルク及びステアリン酸マグネシウムを
混合し、常法により打錠した。
【0064】 上記記載の10倍量を用いて、20mg錠剤を製造し
た。すなわち、ヒドロキシプロピルセルロース6gを適
量のエタノールに溶解し、これに乳糖94gを添加して
練合した。少し乾燥した後、60号ふるいにて整粒し、
6%ヒドロキシプロピルセルロース乳糖とした。またス
テアリン酸マグネシウムとタルクを1:4の割合で混合
しステアリン酸タルクとした。化合物2、6%ヒドロキ
シプロピルセルロース乳糖、ステアリン酸タルク、バレ
イショデンプンをよく混合し、常法により打錠した。
【0065】 乳鉢内で上記化合物の各々10倍量を用いて25mg錠
剤を製造した。すなわち、乳鉢内で250mgの化合物
4の結晶を粉砕し、それに乳糖を加えながら充分混合す
る。カルボキシメチルスターチに適量の精製水を加え、
上記の混合物に添加練合し、造粒する。乾燥後、タルク
及びステアリン酸マグネシウムを混合し、常法により打
錠した。
【0066】 実施例15と同様の方法で顆粒を製造し、該顆粒100
mgづつをカプセルに充填した。
【0067】
【発明の効果】本発明によって、医薬品として有用な、
新規な4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導体を提供
する事が出来る。又低毒性で即時型及び遅延型アレルギ
ー疾患の治療又は予防に有用な優れた抗アレルギー剤を
提供することが出来る。特に従来の抗アレルギー剤では
効果が低かった遅延型アレルギーに対して、高い効果を
有するため、アトピー性皮膚炎や喘息の治療剤としても
優れた薬剤を提供出来る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (但し、式中R1は炭素数4〜8のアルキル基、炭素数
    4〜8のアルケニル基を示す。)で表される4,7−ジ
    ヒドロキシベンゾピラン誘導体及びその生理学的に許容
    される塩。
  2. 【請求項2】 R1が炭素数4〜8のアルキル基である
    請求項1記載の4,7−ジヒドロキシベンゾピラン誘導
    体及びその生理学的に許容される塩。
  3. 【請求項3】 一般式(I) 【化2】 (但し、式中R1は炭素数4〜8のアルキル基、炭素数
    4〜8のアルケニル基を示す。)で表される4,7−ジ
    ヒドロキシベンゾピラン誘導体又はその生理学的に許容
    される塩を有効成分とする抗アレルギー剤。
  4. 【請求項4】 R1が炭素数4〜8のアルキル基である
    請求項3記載の抗アレルギー剤。
  5. 【請求項5】 一般式(I) 【化3】 (但し、式中R1は炭素数4〜8のアルキル基、炭素数
    4〜10のアルケニル基を示す。)で表される4,7−
    ジヒドロキシベンゾピラン誘導体又はその生理学的に許
    容される塩を有効成分とするアトピー性皮膚炎治療剤。
  6. 【請求項6】 R1が炭素数4〜8のアルキル基である
    請求項5記載のアトピー性皮膚炎治療剤。
  7. 【請求項7】 一般式(I) 【化4】 (但し、式中R1は炭素数4〜8のアルキル基、炭素数
    4〜10のアルケニル基を示す。)で表される4,7−
    ジヒドロキシベンゾピラン誘導体又はその生理学的に許
    容される塩を有効成分とする喘息治療剤。
  8. 【請求項8】 R1が炭素数4〜8のアルキル基である
    請求項7記載の喘息治療剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6670391B2 (en) 2001-06-28 2003-12-30 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Benzopyran derivative and antiallergic agent
JP2016106140A (ja) * 2003-04-24 2016-06-16 ショウ,コウ ジン 醗酵乳製品およびその使用

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