JPH08259459A - 巨核球増殖分化剤 - Google Patents
巨核球増殖分化剤Info
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- JPH08259459A JPH08259459A JP7062782A JP6278295A JPH08259459A JP H08259459 A JPH08259459 A JP H08259459A JP 7062782 A JP7062782 A JP 7062782A JP 6278295 A JP6278295 A JP 6278295A JP H08259459 A JPH08259459 A JP H08259459A
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Abstract
板機能低下を伴う疾患の治療薬として有用な、巨核球増
殖分化剤を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の巨核球増殖分化剤は、NF活性を有
する物質および生体内でNFの産生を促進する物質の少
なくとも1種をを有効成分とする。
Description
rotrophic factor:以下、「NF」と
いう)活性を有する物質および生体内でNFの産生を促
進する物質の少なくとも1種を有効成分とする巨核球増
殖分化剤に関する。本発明の巨核球増殖分化剤は、巨核
球の増殖分化が十分でないために生じる疾患、特に血小
板減少症および/または血小板機能低下を伴う疾患の治
療薬として有用である。
球の細胞質が断片化して生成される、血液中の無核の細
胞である。血小板の寿命はヒトで9−10日と短いにも
かかわらず、血液中の血小板濃度は定常状態においてほ
ぼ一定に保たれている。また実験動物において種々の方
法で血小板を減少させても、数日のうちに血液中の血小
板数の回復が認められる。これらのことから血小板減少
期において血小板の産生を促進する因子が存在すること
が想定されていた。
たしている。血小板の数が減少または機能が低下したよ
うな場合には、Fanconi症候群、無巨核球性血小
板減少症、再生不良性貧血、Bernard−Soul
ier症候群等の臨床的に危険な疾患を伴う。特に出血
した場合にはそれをコントロールできなくなるような状
態に陥る。このような危険を回避するためには、血小板
を増多する因子の使用が有益である。さらに、血小板増
多因子の使用は、血小板減少症等の造血系疾患のみなら
ず、白血病治療のための骨髄移植におけるエリスロポエ
チン、顆粒球コロニー刺激因子等のサイトカインの治療
効果を高めたり、あるいはまた、ガン化学療法や放射線
療法の際の血小板減少のコントロールにも有益である。
従って、血小板の増多因子が得られれば、そのような治
療法の成功率はさらに上昇し、患者の入院期間も短縮で
きると期待される。
努力が払われており、現在、造血細胞から巨核球をへて
血小板が産生される系(巨核球血小板系造血)において
血小板の前駆細胞である巨核球の形成に関与すると考え
られる種々の調節因子が同定されている。
される。第1のグループは単独で巨核球コロニーを形成
させるもので巨核球コロニー刺激因子(Meg−CS
F)と呼ばれる。第2のグループは単独で巨核球コロニ
ーを形成させる活性はないが、前者を共存させると巨核
球のコロニー数を増やしたり、その増殖分化を促進する
作用を有するもので巨核球増幅因子(Meg−POT)
と呼ばれる。第1のグループに属する例としてインター
ロイキン−3(IL−3)、顆粒球・マクロファージコ
ロニー刺激因子(GM−CSF)が知られている。第2
のグループに属する例としてエリスロポエチン(EP
O)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CS
F)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロ
イキン−7(IL−7)、インターロイキン−11(I
L−11)、白血球遊走阻止因子(LIF)等が知られ
ている。in vitroでの活性によって同定された
因子の中には、実際にin vivoにおいて血小板数
の増加や回復時期の短縮等の効果が認められているもの
もある(溝口秀昭:蛋白質 核酸 酵素,36,119
5(1991))。
ものが見いだされれば、臨床面においても有益である。
血小板系の増殖や分化のみではなく、各系統の血球の分
化にも関与するなど極めて多様な生物活性を示す。例え
ば、IL−6およびIL−11には、実際にin vi
voにおける血小板の増多作用があるが、急性期蛋白質
の産生を促したり、場合によっては悪液質を引き起こす
おそれもある。また、IL−6の場合、腎臓のメサンギ
ウム細胞を増殖させ腎不全を起こす可能性がある(松田
正ら:蛋白質 核酸 酵素,36,1184(199
1))。
いNF活性を有する物質および生体内でNFの産生を促
進する物質の少なくとも1種を有効成分とする巨核球増
殖分化剤を提供することを目的とする。
増殖分化を促進する作用を有する、新規な巨核球増殖分
化因子を見いだすべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を
完成した。即ち、本発明によれば、NF活性を有する物
質および生体内でNFの産生を促進する物質の少なくと
も1種を有効成分とする巨核球増殖分化剤、特に、血小
板減少症および/または血小板機能低下を伴う疾患の治
療に有効な治療薬が提供される。
F)活性を有する物質とは、神経細胞(ニューロン)に
作用し、その分化、成熟、生存、再生または老化等にお
いて重要な役割を担っている物質の総称である。NFの
例としては、1940年代後半に発見された神経成長因
子(nerve growth factor;NG
F)がある。NGFは、アミノ酸118個のポリペプチ
ド鎖(配列番号1)が2本非共有結合した二量体構造を
もつ分子量約26,000の蛋白質である。従来知られ
ている機能としては、交感ニューロン、神経冠由来の知
覚ニューロン、脳の一部のコリン作動性ニューロンに作
用し、その生存や機能の維持、神経突起の伸長、神経伝
達物質の合成促進等がある(Meier,R.,ら E
MBO J.,5, 1489−1493(198
6))。またNFの別の例としては、1982年にNG
Fと相同性の高い蛋白質として発見された、脳由来神経
栄養因子(brain−derived neurot
rophic factor;BDNF)が挙げられ
る。さらに、別の例として、NGFやBDNFと相同性
が高く、かつNF作用を有する因子が近年新たに3種発
見されている(NT−3、NT−4、NT−5)。これ
らの3種は総称してニューロトロフィン(neurot
rophin;NT)ファミリーと呼ばれている。さら
に、別の神経栄養因子として、毛様体神経栄養因子(c
ilially neurotrophicfacto
r;CNTF)、ヘパリン親和性神経栄養因子(hep
arine−binding neurotrophi
c factor;HBNF)(pleiotroph
in;PTNと同等)等が挙げられる(蛋白質 核酸
酵素,Vol.36, No.7,(1991)249
−257頁)。
分化を促進させるという知見、さらに詳しくは、NFが
正常マウス骨髄細胞に対してMeg−POT活性を有す
るという驚くべき知見に基づいて完成された。NFの巨
核球増殖分化因子としての生理活性は従来全く知られて
おらず、本発明によって初めて明らかにされたものであ
る。
種特異性は、後述の実施例6に示す通り厳密でない。従
って、本発明の巨核球増殖分化剤の有効成分としては、
NF活性が得られる限り、特定の種由来のNFである必
要はない。しかし、ヒトに使用する場合には種々のヒト
NFを用いることが好ましい。本明細書においてヒトN
Fとは、ヒト由来の物質であって、神経細胞に作用し、
その分化、成熟、再生または老化等に生理学的影響を及
ぼす物質であればよく、これらに限られるわけではない
が、例えば、NGF、BDNF、CNTF、HBNFな
らびに、NT−3、NT−4、NT−5等のNTファミ
リーが含まれる。NFは、天然に発現しているものから
既知の方法により得られたものを使用できる。あるい
は、これらの蛋白質のアミノ酸配列および遺伝子配列は
既知であり、これらの配列に基づいて確立されている遺
伝子工学的手法により産生することもできる。遺伝子組
換えの手法によって製造されたNFは市販されており、
容易に入手可能である(例えば、Austral Bi
ologicals社)。NFはまた、所望により糖鎖
が結合していてもよく、また結合していなくてもよい。
列のうち1つまたは複数のアミノ酸残基が置換、欠失、
挿入等により変異したものであっても、NF活性を有す
る物質であれば本発明の巨核球増殖分化剤の有効成分に
含まれる。変異は自然に生じたものであっても、遺伝子
工学的手法によって施したものであってもよい。当業者
は、慣用された方法により容易にこのような変異蛋白質
を作成することができるであろう。
化剤の有効成分として、NF活性を有する物質を直接用
いる代わりに、生体内でNFの産生を促進する物質を単
独で、またはNF活性を有する物質とともに用いること
もできる。生体内でNFの産生を促進する物質として
は、これらに限られるわけではないが、例えば、エピネ
フリン、ノルエピネフリン、ドーパミン等のカテコール
アミン類、4−メチルカテコール、プロペントフィリ
ン、1,4−ベンゾキノン類(古川昭栄:HUMAN
SCIENCE,October 8,(199
2))、ニコチン(特開平5−201860号)、ポリ
塩基性アミノ酸、ポリ塩基性アミノ酸を分子内に有する
ペプチド(特開平5−51325号)、マルホルミンA
1、A2、A3およびA4(特開平5−262663
号)、式(I):
5−284992号)、一般式(II):
ロゲン、アルキル基、アルコキシ基、または置換されて
いてもよいフェニル基であり、Arは置換されていても
よいアリール基またはヘテロアリール基であり、Yは単
結合または鎖内に二重結合を有していてもよいアルキレ
ン基であり、そして、Wは式Wa:
ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、または置換され
ていてもよいフェニル基であり、Xは−O−、−S−ま
たは−N(R5)−(R5は水素、アルキル基またはアシ
ル基である)であり、Zは単結合、−O−、−S−、−
N(R6)−(R6は水素、アルキル基またはアシル基で
ある)、または−CON(R7)−(R7は水素、アルキ
ル基またはアシル基である)であり、Aはアルキレン基
であり、Bはアルコキシカルボニル基、カルボキシル
基、水酸基、−N(R8)(R9)(R8、R9は同一また
は異なっていて、水素、アルキル基、ヒドロキシアルキ
ル基、アシル基、または置換されていてもよいアラルキ
ル基もしくはヘテロアラルキル基であるか、あるいは隣
接する窒素原子と結合して複素環を形成する基であ
る)、または−CON(R10)(R11)(R10、R11は
同一または異なっていて、水素、アルキル基、ヒドロキ
シアルキル基、アシル基、または置換されていてもよい
アラルキル基もしくはヘテロアラルキル基であるか、あ
るいは隣接する窒素原子と結合して複素環を形成する基
である)である)により表される基であるか、あるいは
式Wb:
素、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、置
換されていてもよいフェニル基、または置換されていて
もよいアラルキル基もしくはヘテロアラルキル基である
か、あるいは隣接する窒素原子と結合して複素環を形成
する基であり、Pは、−O−、−S(O)p−(pは、
0〜2の整数を表す)、−N(R14)−(R14は水素、
アルキル基またはアシル基である)または−N(R15)
CO−(R15は水素、アルキル基またはアシル基であ
る)であり、Qは、アルキレン基、環状アルキレン基、
酸素または硫黄が介在したアルキレン基または末端にカ
ルボニル基を有するアルキレン基である)により表され
る基であるか、または式Wc:
る]で示されるピリジン化合物を有効成分とする物質
(特開平4−352721号)、一般式(III):
シル基、メルカプト基、カルバモイル基、ヒドロキシフ
ェニル基、グアニジノ基、イミダゾリル基もしくはメチ
ルメルカプト基によって置換されていてもよいC1−C4
アルキル基であり、R1、R2およびR3はそれぞれ独立
して、水素、アルキル基、アルケニル基またはベンジル
基である]で示されるオキサゾピロロキノリン類および
/またはそのエステルを有効成分とする物質(特開平6
−9396号)、一般式(IV):
る]で表されるチオフェン化合物(特開平6−1575
12号)、一般式(V):
−C30のアシル基であり、Xは、水素原子、または置換
もしくは無置換の低級アルキル基、C3−C8のシクロア
ルキル基または3−8員複素環であり、Yは水素原子ま
たは対カチオン基を表す。ただし、X中に対アニオンを
持たないカチオン基を有する場合には、OYは酸素アニ
オンである]で示されるジアシル型グリセロリン脂質
(特開平6−157338号)等が含まれる。これらの
生体内でNFの産生を促進する物質は、前記各文献に基
づいて合成等により産生することができる。また、ある
ものは市販として、容易に入手可能である。
内でNFの産生を促進する物質の少なくとも1種を有効
成分として含有する巨核球増殖分化剤は、Meg−PO
T活性を有し、体内に投与された時、存在するMeg−
CSFと協力して巨核球系細胞の増殖分化を促進させ
る。従って、本発明の巨核球増殖分化剤は血小板減少お
よび/または血小板機能低下を伴う疾患の治療に有効で
ある。血小板減少による疾患の例としては、Fanco
ni症候群、再生不良性貧血、悪性リンパ腫瘍もしくは
急性白血病等の癌、慢性肝障害、腎不全、手術時若しく
は保存血の大量輸血患者、重症感染症、骨髄障害性血小
板減少症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、ST
E、蛇咬症、溶血性尿毒症性症候群、脾機能亢進症、出
血等がある。血小板機能異常による疾患の例としては、
Bernard−Soulier症候群、Glanzm
ann’s血小板無力症、尿毒症、抗血小板抗体、骨髄
増殖性疾患等がある。
するわけではないが、一般に非経口的に行われ、例えば
注射投与することにより好ましく実施できる。本発明の
巨核球増殖分化剤の治療または改善薬としての使用量
は、その使用方法、使用目的等により異なるが、例え
ば、ヒトNGFの蛋白質量として、注射投与して用いる
場合には、例えば、1日量約0.002μg/kg−2
0mg/kgを投与するのが好ましく、より好ましく
は、1日量約0.2μg/kg−2mg/kgである。
製する場合は、NF活性を有する物質および/または生
体内でNFの産生を促進する物質を水性溶剤(例えば、
蒸留水)、水溶性溶剤(例えば、生理食塩水、リンゲル
液)、油性溶剤(例えば、ゴマ油、オリーブ油)等の溶
剤に溶解して、慣用の方法により調製できる。さらに所
望により溶解補助剤(例えば、サリチル酸ナトリウム、
酢酸ナトリウム)、緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウ
ム、グリシン)、等張化剤(例えば、ブドウ糖、転化
糖)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコール)、保存剤(例えば、ベンジルアルコー
ル、フェノール)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコ
ニウム、塩酸プロカイン)等の添加剤を加えることもで
きる。また、該水溶液におけるpHは、約3−8に、さ
らに好ましくは約5−7に調整される。上記pH範囲に
調整するためには、例えば希酸(例えば、希塩酸)や希
アルカリ(例えば、希水酸化ナトリウム、希炭酸水素ナ
トリウム)等を添加することにより行える。
のものとして調製する場合は、例えば、NF活性を有す
る物質および/または生体内でNFの産生を促進する物
質を凍結乾燥するか、または、固形状(例えば、粉末
状)のNF活性を有する物質および/または生体内でN
Fの産生を促進する物質に希釈剤(例えば、蒸留水、生
理食塩水、ブドウ糖)、賦形剤(例えば、カルボキシメ
チルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム)、
保存剤(例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコ
ニウム、フェノール)、無痛化剤(ブドウ糖、グルコン
酸カルシウム、塩酸プロカイン)等を混合し、凍結乾燥
等の慣用手段により、固形状筋肉内注射用製剤に製造す
ることができる。この製剤は、用時適当な溶剤に溶解し
て使用することができる。
り、例えば、NF活性を有する物質および/または生体
内でNFの産生を促進する物質を含有する液剤に、安定
剤としてヒト血清アルブミン(HSA)を配合すると、
溶液状態でpH3−8を示すように調整することができ
る。このようにすると、保存中および凍結や凍結乾燥操
作におけるNF活性を有する物質および/または生体内
でNFの産生を促進する物質の活性低下が少なく、また
凍結品においてはその再溶解時の溶状が透明であるので
好ましい。HSAとしては、いかなるものでもよいが、
本組成物を臨床応用するためには、非経口投与に用いる
程度の品質のものが好ましい。例えば、健康人血漿を原
料としてCohnのエタノール分画第6法によって分画
精製したものが用いられる。また、安定剤として、アセ
チルトリプトファンナトリウムや、カプリル酸ナトリウ
ムを含むものであってもよい。HSAは、各成分を水溶
液とした場合に、水溶液1mlあたり約0.1mg−約
50mg、特に、約0.5mg−約20mg含有させる
ことが好ましい。
っては、前記HSAに加えさらに、例えば、グリシン、
グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、プロリン等
のアミノ酸、特にモノアミノ脂肪酸アミノ酸、もしくは
環状アミノ酸、ブドウ糖、マンノース等の単糖類、ソル
ビット、マンニット等の糖アルコール類、およびこれら
の生理学的に許容される塩、ならびにこれらの誘導体か
らなるグループから選択される化合物の1種類または2
種類以上を配合してもよい。上記配合剤は、例えば、N
F活性を有する物質および/または生体内でNFの産生
を促進する物質を水溶液とした場合に、水溶液1ml当
たり、単糖類または糖アルコール類の場合は約10−1
00mg、アミノ酸の場合は約5−50mg配合するこ
とが好ましい。上記の製剤化にあたっては、水溶液を溶
液状態でpH約3−8、好ましくはpH約5−7を示す
ように調整する。グルタミン酸等の酸性アミノ酸を配合
する場合は該物質を上記所定量加えることにより、所定
のpHに調整できる。あるいは、所望により、または上
記酸性アミノ酸を配合しない場合は塩酸、リン酸等の鉱
酸、もしくはコハク酸、酒石酸、クエン酸等の緩衝剤で
所定のpHに調整できる。
結品または凍結乾燥品の形態が好ましく、特に、取り扱
いや貯蔵の安定性の面から凍結乾燥品が好ましい。凍結
品としての本発明の巨核球増殖分化剤は、水溶液として
調製した巨核球増殖分化剤を原料として用い、これを通
常約−80℃〜−20℃で凍結することにより製造でき
る。該凍結組成物は約−80℃〜−10℃で保管するこ
とが好ましい。凍結乾燥品としての本発明の巨核球増殖
分化剤は、例えば上記凍結組成物を常法により減圧乾燥
するか、または、上記水溶液もしくは上記凍結組成物の
融解により得られる水溶液を、所望により小分けし、上
述のように凍結した後、常法により減圧乾燥することに
より製造することができる。あるいは、上記方法により
製造した凍結乾燥品を、例えば前記した単糖類、糖アル
コール類、アミノ酸等を含有し、所望により塩酸等でp
H調整された溶解液に再溶解することによって、本発明
の巨核球増殖分化剤を溶解状態として使用してもよい。
巨核球増殖分化剤を製造する場合は、例えば、NF活性
を有する物質および/または生体内でNFの産生を促進
する物質の水溶液ならびに配合剤含有水溶液をそれぞれ
除菌濾過して混合するか、これらの混合液を小分けする
前に除菌濾過等により精製し、無菌操作によりバイアル
瓶等に分注小分けした後上記凍結乾燥処理に付すことが
好ましい。この場合、容器の空間部を真空にするか、窒
素ガス置換することにより、該組成物の安定性を高める
ことができる。また、アミノ酸や単糖類あるいは糖アル
コール類を含有する水溶液で、凍結乾燥品を溶解する場
合には、その水溶液は除菌濾過し、無菌操作によりアン
プル等に分注小分け後、常法により蒸気滅菌したものを
用いることが好ましい。
は、該組成物が水溶液のものである場合には、そのまま
注射用溶解液として用いる。該組成物が凍結乾燥により
固形状のものである場合には、蒸留水もしくは生理食塩
水等を用いて溶解し注射用溶解液として用いる。なお、
所望により前記の単糖類、糖アルコール類、アミノ酸等
を含有し、前記と同様にpH調整された溶解液で溶解し
た後使用することもできる。
F活性を有する物質および/または生体内でNFの産生
を促進する物質以外に、種々のサイトカインを1種類以
上含有させることもできる。これらの例としては、これ
らに限られるわけではないが、インターロイキン−1、
インターロイキン−2、インターロイキン−3(以下、
「IL−3」という)、インターロイキン−4、インタ
ーロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイ
キン−7、インターロイキン−10、インターロイキン
−11、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒
球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CS
F)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CS
F)、エリスロポエチン(EPO)、塩基性線維芽細胞
増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aF
GF)、インスリン様増殖因子、上皮増殖因子(EG
F)、肝細胞増殖因子(HGF)、トランスフォーミン
グ成長因子−α(TGF−α)、プロテアーゼネキシン
I、プロテアーゼネキシンII、血小板由来成長因子(P
DGF)、コリン作動性分化因子(CDF)、白血球遊
走阻止因子(LIF)等がある。これらのサイトカイン
を含有させると巨核球増殖分化剤としての効果は相乗的
に増加する。これらの添加量は特に限定しないが、例え
ば、ヒトNGFを100とした場合にそれぞれ0.00
01〜200000重量%添加すればよい。これらの補
助的有効成分の添加量は上述の値に限定されるものでな
く、症状、患者の年齢等により適宜決定すればよい。
F活性を有する物質および生体内でNFの産生を促進す
る物質と同時に同じ薬剤として投与しなくてもよい。即
ち、NF活性を有する物質および生体内でNFの産生を
促進する物質の少なくとも1種を有効成分として含有す
る巨核球増殖分化剤の投与前、または後の適当な時期に
これらの補助的有効成分を投与しても構わない。
号で表示する場合、IUPAC−IUB Commis
sion on Biochemical Nomen
clatureによる略号または当該分野における慣用
略号に基づく。
4号)の増殖に及ぼすNGFの影響を3H−TdRの取
り込み法により検討した。96穴マイクロプレートにて
2%または10%FCS存在下、5×103個の細胞に
マウス顎下腺由来2.5S NGF(mNGF、純度9
5%以上、Biomedical Technolog
ies Inc.社製)を10pg/ml〜1μg/m
lまでの濃度で加え、48時間培養後、0.5μCiの
3H−TdRを添加し、4時間後のアイソトープの取り
込みを測定した。
おいても、濃度依存的にS10細胞の増殖を促進させ
た。結果を図1に示す。
品であるため夾雑物の混入が避けられない。そこで、S
10細胞に対する増殖促進が真にmNGFによるもので
あることを確認するために、抗NGF抗体を添加した場
合の影響を検討した。即ち、mNGFに抗マウスNGF
IgG画分(CIDtech Research I
nc.社製)を加え、室温にて2時間反応させた後に、
S10細胞に添加し、増殖に及ぼす影響を3H−TdR
の取り込み法により検討した。なお、mNGFと抗マウ
スNGF IgG画分の最終濃度については、それぞれ
10ng/mlおよび10μg/mlとなるようにし
た。
場合はS10細胞の増殖には影響を及ぼさなかったが、
mNGFによるS10細胞の増殖促進活性は抗マウスN
GFIgG画分によって完全に抑えられた。従って、m
NGFそれ自体がS10細胞の増殖を促進させたことが
明らかとなった。結果を図2に示す。
形成に及ぼす影響を、溝口らの方法(Acta Hem
atol Jpn.,48:1780,(1985))
に準じた方法により検討した。BALB/c 雌性マウ
ス(6〜8週齢)の骨髄細胞2×105個に組換えマウ
スIL−3(rmIL−3,Genzyme Corp
oration社製)100ng/mlの存在あるいは
非存在下、mNGFを1ng/ml〜100ng/ml
の濃度になるように添加し、軟寒天中にて、5%C
O2、5%O2、100%湿度のインキュベーターで7日
間培養した。0.1%グルタルアルデヒドで固定後、ア
セチルコリンエステラーゼ染色により巨核球を同定し、
3個以上の細胞からなる集塊をコロニーとして計数し
た。
はほとんど認められなかったが、rmIL−3存在下で
は濃度依存的にコロニー形成が促進された。従って、m
NGFはMeg−CSF活性は無いものの、Meg−P
OT活性を有することが示された。結果を図3に示す。
による影響を検討した。mNGFに抗NGF IgG画
分を加えて室温にて2時間反応させた後、マウス骨髄細
胞に添加し無血清培養に付した。mNGFと抗マウスN
GF IgG画分の最終濃度は、それぞれ50ng/m
lおよび50μg/mlとなるようにした。
コロニー形成には影響を及ぼさなかったが、mNGFの
Meg−POT活性をほぼ完全に抑制した。従って、m
NGF自体がMeg−POT活性を有することが明らか
となった。結果を図4に示す。
を検討するため、非付着性骨髄細胞を用いて巨核球コロ
ニー形成を試みた。即ち、10%FCSを含む培地にマ
ウス骨髄細胞を5×106個/mlになるように懸濁さ
せ、組織培養用シャーレに入れ37℃、100%湿度の
CO2インキュベーターにて静置した。1時間後、ピペ
ットで洗い流しながら浮遊細胞を回収し、同様の操作を
さらに2回繰り返し付着細胞を除去し、血清無添加の培
地で洗浄した。このようにして調製した非付着性骨髄細
胞を巨核球コロニー形成法に付した。
認められなかったが、rmIL−3存在下(25または
100ng/ml)では、mNGFは濃度依存的にコロ
ニー形成を促進させた。従って、mNGFのMeg−P
OT活性は少なくとも単球・マクロファージ系の細胞を
介さず巨核球に直接作用することが示唆された。結果を
図5に示す。
ており、立体構造も極めて類似しているものと考えられ
る。実際、mNGFはヒト巨核球系細胞株S10の増殖
を促進させた(実施例1、実施例2)。従って、ヒトN
GFがマウス巨核球コロニー形成を促進させることが予
想される。そこでヒトNGFとしてヒトNGF cDN
AでトランスフェクトしたCHO細胞より精製した組換
えヒトNGF(rhNGF,Austral Biol
ogicals社製)を用いてマウス巨核球コロニー形
成を試みた。
ニー形成には影響を及ぼさなかったが、IL−3存在下
では濃度依存的に巨核球コロニー形成を促進させた。従
って、ヒトNGFもMeg−POT活性を有しているこ
とが明らかとなった。結果を図6に示す。
生体内でNFの産生を促進する物質の少なくとも1種を
有効成分とする新たな巨核球増殖分化剤は、巨核球の増
殖分化を促進し、末梢血液中の血小板数を増加させる作
用により、血小板減少症および/または血小板機能低下
を伴う疾患の治療に有効な治療薬となる。
る効果を示す。
対する抗NGF抗体の効果を示す。
るmNGFの巨核球コロニー形成に及ぼす効果を示す。
に対する抗NGF抗体の効果を示す。
系における、mNGFの巨核球コロニー形成に及ぼす効
果を示す。
るrhNGFの巨核球コロニー形成に及ぼす効果を示
す。
Claims (11)
- 【請求項1】神経栄養因子(以下、「NF」という)活
性を有する物質および生体内でNFの産生を促進する物
質の少なくとも1種を有効成分とする、巨核球増殖分化
剤。 - 【請求項2】NF活性を有する物質が天然由来のヒトN
Fである、請求項1に記載の巨核球増殖分化剤。 - 【請求項3】NF活性を有する物質が遺伝子組み換えの
手法により産生されたヒトNFである、請求項1に記載
の巨核球増殖分化剤。 - 【請求項4】NF活性を有する物質が蛋白質で構成され
るものである、請求項1に記載の巨核球増殖分化剤。 - 【請求項5】NF活性を有する物質がヒトNGFであ
る、請求項1−4のいずれか1項に記載の巨核球増殖分
化剤。 - 【請求項6】ヒトNGF蛋白質が配列番号1のアミノ酸
配列を有する、請求項5に記載の巨核球増殖分化剤。 - 【請求項7】NF活性を有する物質を構成する蛋白質
が、天然に存在するNF蛋白質のアミノ酸配列のうち1
つまたは複数のアミノ酸残基が置換、欠失または挿入に
より変異しているが、NF活性を保持しているものであ
る、請求項1−6のいずれか1項に記載の巨核球増殖分
化剤。 - 【請求項8】NF活性を有する物質が糖鎖を有するもの
である、請求項1−7のいずれか1項に記載の巨核球増
殖分化剤。 - 【請求項9】インターロイキン−1、インターロイキン
−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、
インターロイキン−5、インターロイキン−6、インタ
ーロイキン−7、インターロイキン−10、インターロ
イキン−11、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球・マク
ロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー
刺激因子、エリスロポエチン、塩基性線維芽細胞増殖因
子、酸性線維芽細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、
上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、トランスフォーミング
成長因子−α、プロテアーゼネキシンI、プロテアーゼ
ネキシンII、血小板由来成長因子、コリン作動性分化因
子または白血球遊走阻止因子の少なくとも1種をさらに
含有してなる、請求項1に記載の巨核球増殖分化剤。 - 【請求項10】インターロイキン−3をさらに含有して
なる、請求項1に記載の巨核球増殖分化剤。 - 【請求項11】血小板減少症および/または血小板機能
低下を伴う疾患の治療用の組成物である、請求項1−1
0のいずれか1項に記載の巨核球増殖分化剤。
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---|---|---|---|
JP06278295A JP3830553B2 (ja) | 1995-03-22 | 1995-03-22 | 巨核球増殖分化剤 |
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