JPH08258780A - 自転車前部変速装置の取り付けを容易にするための補助部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 前部変速装置の取付けおよび位置決めを極め
て簡単且つ迅速に行える補助装置を提供する。 【解決手段】 前部変速装置を自転車のフレームに取付
および位置決めする際に、変速装置に第１および第２の
素子（２２、２３）から構成される着脱可能な補助部材
（２１）を係合し、第１の素子（２２）が、変速装置の
平行四辺形リンク装置の２つのレバー（１０、１１）間
に挿入され、復帰ばね（１８）の作用に抗して適正な取
付け位置にリンク装置を保持し、第２の素子（２３）
が、変速装置の案内フォーク部材（５）内に取り付けら
れ、大径の歯車から適当な径方向距離だけ離間させて案
内フォーク部材を適正位置に固定するために、該歯車の
周縁部分に基準面（３０ａ）を当接させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、自転車のフレーム
に固定するための手段を有する本体と、互いに平行で離
間した案内プレートを有するチェーン案内フォーク部材
であって二つの異なる歯車とチェーンが係合する位置に
対応する二つの端部位置の間で前記案内プレートに略垂
直な方向に沿って前記本体に対して移動可能なように平
行四辺形のリンク装置を構成する一対のレバーを介して
前記本体に接続されるチェーン案内フォーク部材と、前
記案内フォーク部材を第一の端部位置の方向に付勢する
ために前記平行四辺形のリンク装置に係合したばね手段
とを備えた自転車の前部変速装置、の取り付けを容易に
するための補助部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術によれば、上述した型の前部変
速装置の取り付けは、前記固定手段を自転車のフレーム
に暫定的に取り付けた後、自転車のクランク車軸上に取
り付けられた歯車に対して案内フォーク部材が適正位置
にあるかどうかを確認し、最後に前記固定手段を締め付
けることにより行われる。より詳細には、前記案内プレ
ートが大径の歯車の周縁部から径方向に適当な距離だけ
離間している、ことを確認する必要がある。これを行う
ために、前記平行四辺形のリンク装置をばね手段により
付勢された位置から手で離間させ、二つの案内プレート
の一方を大径の歯車の平面内に移動させている。

【０００３】実際にこの状態では、この案内プレート
（歯車と同心の湾曲した形状を有する）の下縁部が大径
の歯車の周縁部から所定の径方向距離にある、ことを確
認し得る。この状態を確認した時点で、固定手段を締め
付ける。しかしながら、上述した作業は実行が難しく比
較的時間がかかることは明らかであり、特に、生産速度
が重要な自転車の大量組み立てラインの場合、不利であ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この欠点を克服しよう
とする試みのなかで、前記ばね手段の作用に抗して前記
第一の端部位置から離間した位置に案内フォーク部材を
保持するために、平行四辺形のリンク装置の前記二つの
レバーの間に装着可能な一つの素子を含む本体を備えた
補助部材を使用することが提案された。前記補助部材を
平行四辺形のリンク装置の二つのレバー間に装着した状
態で、変速装置を自転車のフレーム上に暫定的に取り付
けると、案内フォーク部材の二つのプレートの一方は、
既に大径の歯車と実質的に共面の状態にあるので、使用
者は、ばね手段により付勢される端部位置から離間した
前記位置に平行四辺形のリンク装置を保持すべく注意を
払うことなく、歯車に対する案内フォーク部材の径方向
距離の調整に進むことができる。

【０００５】しかしながら、かかる装置を用いた場合で
も、通常、案内フォーク部材のプレートに接着されて歯
車の周縁部に対する基準トレースを有する透明フィルム
を用いて実行される径方向距離の調節作業が困難なた
め、取り付け作業はあまり容易ではなく、一定の時間か
かかる。

【０００６】本発明の目的は、従来技術の欠点を完全に
解消し、前部変速装置の取り付けを極めて単純且つ迅速
にすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成すべく、
本発明は、自転車のフレームに固定するための手段を有
する本体と、互いに平行で離間した案内プレートを有す
るチェーン案内フォーク部材であって二つの異なる歯車
とチェーンが係合する位置に対応する二つの端部位置の
間で前記案内プレートに略垂直な方向に沿って前記本体
に対して移動可能なように平行四辺形のリンク装置を構
成する一対のレバーを介して前記本体に接続されるチェ
ーン案内フォーク部材と、前記案内フォーク部材を第一
の端部位置の方向に付勢するために前記平行四辺形のリ
ンク装置に係合したばね手段とを備えた自転車の前部変
速装置、の取り付けを容易にするための補助部材であっ
て、前記補助部材が、前記案内フォーク部材を前記第一
の端部位置から離間した位置に保持するために前記平行
四辺形のリンク装置の前記二つのレバーの間に取り付け
可能な第一の素子を含む本体を備え、前記補助部材の本
体が、更に、前記案内プレート間に取り付け可能な第二
の素子を含み、該第二の素子が、案内プレートの下縁部
を越えて突出する表面を有し、該表面が、前記変速装置
を自転車に取り付ける間、大径の対応する歯車に対して
前記案内フォーク部材を適切に径方向に位置決めするた
めの基準当接面として使用可能であることを特徴とする
補助部

【０００８】上述したように補助部材を前部変速装置に
取り付けることにより、調節作業並びに自転車のフレー
ムへの変速装置の取り付けを、数秒で行うことができ
る。実際、使用者は、最初に従来通り変速装置を自転車
のフレームに接続し、その後、補助部材の本体の前記第
二の素子の突出面が自転車の大径の歯車の周縁部と接触
していることを確認するだけでよい。案内フォーク部材
を調節に適した位置に保持するための使用者の手作業
も、案内フォーク部材の径方向の位置決めの視覚検査も
要しないこの極めて簡単な確認を行えば、使用者は、単
に、フレームに対して変速装置の固定手段を締め付ける
だけでよい。

【０００９】

【発明の実施の形態】好適な実施形態において、補助部
材の本体は、プラスチック材料から一体的に形成され
る。この好適な実施形態において、前記第一の素子は、
円筒形の形状を有し、その軸線を前記二つのレバーの関
節軸線に平行にして、前記二つのレバーの間に取り付け
られる。第二の素子は、二つの平行で離間した翼状部を
備えたＵ字形の形状を有し、該翼状部の外表面が、前記
案内フォーク部材に対して前記第二の素子を適切に位置
決めするための基準突起を備えている。最後に、やは
り、前記好適な実施形態において、前記第一及び第二の
素子は、偏平なＣ字形に湾曲したブリッジ状部により、
互いに接続されている。これにより、補助部材全体が、
略Ｃ字形の形状を有し、前記第一及び第二の素子は、Ｃ
字形の端部に配設されている。また、好ましくは、前記
偏平なＣ字形に湾曲したブリッジ状部は、自転車への取
り付けが終了したとき、変速装置から補助部材を取り外
すために把持して引っ張ることができる幅広部分を有す
る。

【００１０】本発明は、また、上述した補助部材を用い
た変速装置の取り付け方法、並びに、前記補助部材を備
えた前部変速装置ユニットを提供する。

【００１１】本発明の更なる特徴と利点は、本発明を単
に非限定的に例示した添付図面を参照して、以下の説明
から明らかになろう。

【００１２】

【実施例】各図面において、参照符号１は、自転車クラ
ンク車軸に近接した自転車フレームの管Ｔ（図４）に固
定するための任意の公知の型の手段を備えた本体２を含
む、それ自体公知の型の構造を有する自転車用の前部変
速装置の全体を示す。図示例において、この固定手段
は、螺子４により管Ｔの周りに締め付け固定可能な、一
対の顎部３から成る。また、従来技術によれば、変速装
置１は、自転車チェーンを案内するためのフォーク部材
５を備える。フォーク部材５は、互いに平行で離間した
一対のプレート６、７を備え、該一対のプレートは、そ
れらの後端部で第一のブリッジ部８により接続され、そ
れらの上側部で第二のブリッジ部９により接続されてい
る。案内フォーク部材５は、平行四辺形のリンク装置を
構成する一対のレバー１０、１１を介して、本体２に接
続されている。図示例において、レバー１０は、一方の
端部が、ピン１２を介して本体２に接続され、他方の端
部が、プレート６から突出した一対の翼状部１４（図
２、図４ではその一方のみ示す）にピン１３（図４）を
介して接続されている。ピン１３には、螺旋ばね１８が
係合しており、該ばねの両端部（図面では見えない）
は、図２に示した如く平行四辺形のリンク装置を本体２
に対して一方の端部位置の方に付勢するように、それぞ
れプレート６とレバー１０に係合している。この位置を
基準にして、案内フォーク部材５を、プレート６、７に
略垂直な方向で本体２に対して右方向に（図１、図２、
及び図４参照）、移動させてもよい。ばね１８の作用に
抗するこの動作は、通常の技術に従って、レバー１１の
一方の端部１１ａに接続された可撓性ケーブル（図示せ
ず）により、生じさせることができる。また、従来技術
によれば、この案内フォーク部材５の移動により、自転
車チェーンを一つの歯車から他の歯車へ移し換えること
ができる。

【００１３】図３及び図４は、自転車の車軸に直径の異
なる二つの歯車、即ち大径の歯車１９と小径の歯車２０
を取り付けた典型的な場合を示す。

【００１４】本願明細書の冒頭に既に記載したように、
変速装置１は、自転車のフレーム上で歯車１９、２０に
対して適当な位置に、取り付けなければならない。この
ため、従来技術によれば、次の操作が行われる。最初、
本体２は、螺子４を部分的にのみ締め付けることによ
り、自転車フレームの管Ｔに暫定的に接続される。この
時点で、使用者は、手を用いて、プレート７が大径の歯
車１９の実質的に同一面内に来るまで、レバー１０、１
１（図２）により形成された平行四辺形のリンク装置
を、ばね１８（図２）により付勢されたその静止位置か
ら離間させなければならない。この状態で、歯車１９と
同心のアーチ形を有するプレート７の下縁部７ａが、大
径の歯車の周縁部から適当な距離ｓ（図３）典型的には
１．２ｍｍだけ離れていることを、確認する。この確認
を行った後、或いは必要な移動を行った後、固定手段
３、４を最終的に締め付け、変速装置を自転車フレーム
上の適当な位置に係止する。既に説明したように、これ
らの操作は、実行が困難で時間がかかる。

【００１５】本発明によれば、自転車フレーム上への変
速装置の取り付けは、全体を符号２１（図２）で示した
補助部材を用いて行われる。図面に示した好適な実施形
態において、この補助部材２１は、偏平でＣ字形に湾曲
したブリッジ状部分２４により互いに接続された第一の
素子２２と第二の素子２３とを含む、プラスチック材料
の単体としての本体から形成されている。変速装置を取
り付ける前に、付勢ばね１８の作用に抗して平行四辺形
のリンク装置を本体に対して図１に示した位置に維持す
るように、第一の素子２２をレバー１０、１１の間に図
１に示した如く取り付ける。この位置は、平行四辺形の
リンク装置がばね１８により付勢された静止位置から離
間しており、ちょうど、プレート７が大径の歯車１９と
実質的に共面に来る位置である。従って、第一の素子２
２を上述したように取り付ければ、使用者は、ばね１８
の作用に抗して平行四辺形のリンク装置を前記位置に保
持すべく留意することなく、調節作業を進め、変速装置
の取り付けを行うことができる。

【００１６】補助部材の本体の一部を形成する第二の素
子２３は、互いに平行で離間した二つの平らな翼状部２
５、２６を備えたＵ字形の形状を有する。第二の素子２
３は、ブリッジ部９の下側で、２枚のプレート６、７の
間に取り付けられる。案内フォーク部材５に対して適切
に位置決めするために、第二の素子２３は、ブリッジ部
９の後縁部に当接する弓状の断面形を有する第一の突起
２７を備える（図２）。更に、第二の素子２３の他方の
翼状部２５は、案内フォーク部材５のプレート６上に従
来設けられている開口部２９（図２）と係合する、円形
の突起２８を備える。上述した特徴により、第二の素子
２３を案内フォーク部材５内に取り付けると、第二の素
子２３は、このフォーク部材に対して正確に所定の位置
に位置決めされる。この状態で、図２で符号３０により
示した第二の素子２３の底部壁は、歯車１９の周縁部と
案内フォーク部材の下縁部７ａとの間の適当な距離の値
ｓ（図３）に対応する距離だけプレート７の下縁部７ａ
から突出した、下側表面３０ａ（図３）を有する。前記
表面３０ａは、歯車１９と実質的に同心の湾曲した形状
を有し、歯車１９に対して案内フォーク部材５を適切に
位置決めするための基準当接面として使用される。平行
四辺形のリンク装置の二つのレバーの間に第一の素子２
２が取り付けられているため、図３に示したように、変
速装置を管Ｔ上に暫定的に取り付けた時点で、変速装置
の平行四辺形のリンク装置は、プレート７を歯車１９と
共面にする図１の位置に既に在る。この状態で、使用者
は、表面３０ａを歯車１９の周縁部に当接させればよ
く、その後、固定手段３、４を最終的に係止する。かく
して得られた取り付け位置は、当接表面３０ａが必要な
間隔Ｓに対応する距離だけ案内プレート７の下縁部７ａ
から突出しているので、正確に所望の位置となる。

【００１７】再び図２を参照すると、接続ブリッジ部２
４は、銃の引き金のように把持可能な幅広部分３１を有
する。該部分３１を引っ張ることにより、取り付け完了
後、補助部材２１を変速装置２１から取り外すことがで
きる。

【００１８】言うまでもなく、上述した補助部材の使用
により、歯車１９、２０に対してプレート６、７を共面
に調節する作業や、平行四辺形リンク装置の外側歯車方
向への移動を規制する止め面を構成すべく従来技術に従
って設けられる螺子３２（図１）を調節する作業等の、
別の調節作業が容易になる。

【００１９】補助部材２１は、自転車フレームへの変速
装置の取り付けを容易且つ迅速にするために、変速装置
１内に予め取り付けた状態で、変速装置１と共に市販す
ることができる。明らかに、本発明の利点は、生産速度
が重要な自転車用の組み立てラインで使用する場合に、
特に有用である。

【００２０】勿論、単に例示的に説明し図示した本発明
の実施形態に関し、本発明の原理を維持しつつ、その構
成の細部を広範に変更し得ることは言うまでもない。

【００２１】

【発明の効果】上述したように、本発明による補助部材
を前部変速装置に予め取り付けておくことにより、自転
車フレームへの変速装置の取付け並びに調整作業を、数
秒程度の短時間で完了することが可能であり、実際に
は、使用者は最初に従来通り変速装置を自転車のフレー
ムに仮組付けし、その後、補助部材の本体の前記第二の
素子の突出面が自転車の大径の歯車の周縁部と接触を確
認した後に本締め付けすると言った極めて単純かつ簡単
な作業で、従来試行錯誤を繰り返しながら行っていた大
変に手間のかかる取付け作業および調整作業は完了する
と言った作業能率の飛躍的向上が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る補助部材を備えた自転車の前部変
速装置の斜視図。

【図２】前部変速装置から補助部材を取り外した状態を
示した、図１に対応する図。

【図３】自転車のクランク車軸に取り付けられた歯車に
対する、変速装置の取り付け位置を示す側面図。

【図４】図３の細部を示す拡大背面図。

【符号の説明】

１……変速装置 ２……本体 ３……固定手段 ４……固定手段 ５……案内フォーク部材 ６……案内プレート ７……案内プレート １０……レバー（リンク装置） １１……レバー（リンク装置） １８……ばね １９……歯車 ２０……歯車 ２１……補助部材 ２２……第一の素子 ２３……第二の素子 ３０ａ……当接基準面

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自転車の前部変速装置（１）の取り付け
   を容易にするための補助部材であって、 前記変速装置（１）が、 自転車のフレーム（Ｔ）に固定するための手段（３、
   ４）を有する本体（２）と、 互いに平行で離間した案内プレート（６、７）を有する
   チェーン案内フォーク部材（５）であって、二つの異な
   る歯車（１９、２０）とチェーンが係合する位置に対応
   する二つの端部位置の間で前記案内プレート（６、７）
   に略垂直な方向に沿って前記本体（２）に対して移動可
   能なように、平行四辺形のリンク装置を構成する一対の
   レバー（１０、１１）を介して前記本体（２）に接続さ
   れるチェーン案内フォーク部材（５）と、 前記案内フォーク部材（５）を第一の端部位置の方向に
   付勢するために、前記平行四辺形のリンク装置（１０、
   １１）に係合したばね手段（１８）と、 を備え、 前記補助部材（２１）が、 前記案内フォーク部材（５）を前記第一の端部位置から
   離間した位置に保持するために前記平行四辺形のリンク
   装置の前記二つのレバー（１０、１１）の間に取り付け
   可能な第一の素子（２２）を含む、本体を備え、 前記補助部材（２１）の本体が、更に、前記案内プレー
   ト（６、７）間に取り付け可能な第二の素子（２３）を
   含み、該第二の素子が、案内プレート（６、７）の下縁
   部（７ａ）を越えて突出する表面（３０ａ）を有し、該
   表面（３０ａ）が、前記変速装置（１）を自転車に取り
   付ける間、歯車（１９）に対して前記案内フォーク部材
   （５）を適切に径方向に位置決めするための基準当接面
   として使用可能であることを特徴とする補助部材。
2. 【請求項２】 前記第一の素子（２２）と前記第二の素
   子（２３）を含む前記補助部材（２１）の本体が、プラ
   スチック材料から一体的に形成されることを特徴とする
   請求項１記載の補助部材。
3. 【請求項３】 前記第一の素子（２２）が、円筒形の形
   状を有し、その軸線を前記二つのレバー（１０、１１）
   の関節軸線に平行にして、前記二つのレバー（１０、１
   １）の間に取り付けられることを特徴とする請求項１記
   載の補助部材。
4. 【請求項４】 前記第二の素子（２３）が、二つの平行
   で離間した翼状部（２５、２６）を備えたＵ字形の形状
   を有し、該翼状部の外表面が、前記案内フォーク部材
   （５）に対して前記第二の素子（２３）を適切に位置決
   めするための基準突起（２７、２８）を備えたことを特
   徴とする請求項１記載の補助部材。
5. 【請求項５】 前記第一及び第二の素子（２２、２３）
   が、幅広の把持部分（３１）を含む偏平なＣ字形に湾曲
   したブリッジ状部（２４）により、互いに接続されてい
   ることを特徴とする請求項１記載の補助部材。
6. 【請求項６】 前記請求項１乃至５のいずれか一項に記
   載の補助部材を利用したことを特徴とする前部変速装置
   を取り付けるための方法。
7. 【請求項７】 前記請求項１乃至５のいずれか一項に記
   載の補助部材を備えた変速装置を含むことを特徴とする
   自転車前部変速装置ユニット。