JPH08258653A - 自動車の助手席側エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エアバッグ展開時に、インストルメントパネ
ルに設けられたエアバッグユニットを設置する開口部の
損傷を効果的に防止することのできる自動車の助手席側
エアバッグ装置を提供することである。 【構成】 エアバッグ23の展開時に、エアバッグ23が膨
張する膨張圧力により、リッド21を押し開けてエアバッ
グ23が展開するにつれて、ボルト３より下方に垂れてい
たエアバッグ23の開口端縁付近230 が上方に引き上げら
れる際に、開口端縁付近230 が補強部材８の下端83に当
接して補強部材８を上昇させ、係止ピン９が縦孔８Ａの
下端に達するまでの係止ピン９の中心の移動距離である
長さＬだけ補強部材８が上昇し、補強部材８の上端のフ
ランジ80が、ユニットケース22の開口部より外方に突出
するとともに、インストルメントパネル１の助手席側１
Ａの表面よりも外方に突出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のインストルメ
ントパネルの助手席側に設置される助手席側エアバッグ
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、前方からの衝撃による乗員への影
響を低減させるために、自動車のインストルメントパネ
ル、コラムシャフト端部等にエアバッグ装置を設けるこ
とが行われており、近来は運転席側のエアバッグ装置に
加えて助手席側のインストルメントパネルにもエアバッ
グ装置を設けることが提案されている。

【０００３】エアバッグ装置の一例を説明すると、図７
及び図８において、自動車の車室前部に配設されたイン
ストルメントパネル１の助手席側１Ａの上面にエアバッ
グユニット２が設置されており、インストルメントパネ
ル１は、エアバッグユニット２を収納する開口部１Ｂ
と、空気吹出口１Ｃとを備え、下部にはグローブボック
ス１Ｄが設けられている。

【０００４】開口部１Ｂに嵌装されたエアバッグユニッ
ト２は、エアバッグユニット２の開口部を閉塞するリッ
ド21と、開口部から下方に設けられた有底箱状のユニッ
トケース22と、開放端縁がユニットケース22の内壁に固
定されたエアバッグ23と、エアバッグ23内に高圧ガスを
供給してエアバッグ23を急速に膨張させる高圧ガス発生
機24とを備え、取付ブラケット25を介してステアリング
支持ロッド４に固定されており、リッド21の下面から下
方に延設されたフランジ210 にユニットケース22の上端
開口を嵌合させ、エアバッグ23の開放端縁とともにボル
ト３で固定されている。

【０００５】前方からの衝撃によるエアバッグ23の展開
時には、高圧ガス発生機24から畳み込まれているエアバ
ッグ23内に高圧ガスが供給され、その圧力でエアバッグ
23が膨張し、エアバッグ23の膨張圧力でリッド21がフラ
ンジ210 から切り離されて、助手席から遠いフロントガ
ラス６側の端部に形成されたヒンジ部212 を中心に、自
由端211 が上方に回動し（位置21Ａ）、エアバッグ23は
開放されたエアバッグユニット開口から助手席側に向か
って展開する（位置24Ａ）。なお、図８において、５は
空気調和用ダクト、６はフロントガラス、７はカウルパ
ネルである。

【０００６】このような助手席側エアバッグ装置におい
ては、ユニットケースの開口部に設けられたリッドが、
エアバッグ展開時にエアバッグの展開圧力で回動される
ものであるが、エアバッグの展開圧力が、ユニットケー
スの開口部周縁に圧力をかけて周縁部を変形させて損傷
を与えるという問題があった。この問題を解決するため
に、例えば、特開平４−151347号公報に記載されたエア
バッグ装置は、助手席側のインストルメントパネルに設
けられており、エアバッグを折り畳んだ状態で収容する
ユニットケースが助手席に向けて矩形状に開口する開口
部を備え、該開口部の周縁部のエアバッグ展開時に最大
変形する部位を含む周縁壁（例えば、上部周縁壁と下部
周縁壁）に、助手席側端が互いに離反する方向に折曲さ
れた補強フランジを設けることにより、エアバッグ展開
時における周縁壁（上部周縁壁と下部周縁壁）の変形を
抑制している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の助手席側エアバッグ装置においては、ユニットケー
スの開口部に設けられた開閉自在のリッドの外表面と開
口部の周囲のインストルメントパネルの表面とが同一の
面となるように形成されているから、リッドの厚さがあ
るため、リッドの外表面から補強フランジの助手席側端
までの間（リッドの厚さより大きい距離）の開口部周縁
壁は補強されておらず、エアバッグ展開時にエアバッグ
の展開圧力がこの開口部周縁壁にかかると、強度が不足
して破壊され、インストルメントパネルが損傷を受ける
という問題があった。

【０００８】本発明の目的は、エアバッグ展開時に、イ
ンストルメントパネルに設けられたエアバッグユニット
を設置する開口部の損傷を効果的に防止することのでき
る自動車の助手席側エアバッグ装置を提供することであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の自動車の助手席側エアバッグ装置は、インス
トルメントパネルの助手席側に設けられたエアバッグ装
置において、エアバッグユニット内に該エアバッグユニ
ットの開口部を補強する補強部材を移動自在に設け、エ
アバッグ展開時にエアバッグ展開圧力によって上記補強
部材をエアバッグユニット開口部から突出させることに
より、エアバッグ展開時に、補強部材がエアバッグユニ
ット開口部の内側に位置してエアバッグユニット開口部
の周縁壁を補強するから、エアバッグ展開圧力によりエ
アバッグユニット開口部が変形を抑制し、この変形に起
因するインストルメントパネルの開口部の損傷を効果的
に防止できる。また、補強部材は筒状に形成され、該補
強部材のエアバッグユニットの開口部側端部が外側に折
曲された補強フランジ部が形成されたことにより、簡単
な構成で補強部材の剛性を向上させることができる。さ
らに、補強部材は、エアバッグ展開時にエアバッグユニ
ットが取り付けられる部分のインストルメントパネル外
側面より外方へ突出することにより、エアバッグ展開時
に、補強部材がエアバッグユニット開口部の内側を確実
に覆ってエアバッグユニット開口部の周縁壁を補強する
から、エアバッグ展開圧力によるエアバッグユニット開
口部の変形を確実に抑制し、この変形に起因するインス
トルメントパネルの開口部の損傷を効果的に防止でき
る。

【００１０】

【実施例】本発明は、前述の助手席側エアバッグ装置
（図７及び図８参照）に適用するものであり、その第１
実施例を説明すると、図１及び図２において、エアバッ
グユニット２のユニットケース22内にその上端開口部か
ら補強部材８が摺動可能に挿入されている。リッド21の
フランジ210 は、ユニットケース22の外形寸法より十分
大きな内形寸法を有するフランジ上側拡大部211 と、該
フランジ上側拡大部211 よりは小さく、ユニットケース
22の外形寸法より大きな内形寸法を有するフランジ下側
縮小部212 とを備えている。

【００１１】補強部材８は、断面がユニットケース22と
同じ形状（本実施例では矩形断面）で、ユニットケース
22の内形寸法より小さい外形寸法の両端が開放した筒状
に形成されており、上端全周に外側に延びるフランジ80
が突設され、フランジ80の外側端はユニットケース22の
上端開口部の外側端より大きく形成されている。フラン
ジ80の内側端から下方に、ユニットケース22の内周面に
外周面が摺動自在に接触する即ち内形寸法より僅かに小
さい外形寸法を備えた上側部81が延設され、その下方に
連続して上側部81より小さい外形寸法を備えた縮小下側
部82が延設され、縮小下側部82の下端83は折り返す或い
は巻き込む等の手段により下に向けて角を無くして形成
されており、上側部81に上下方向に長い長孔として形成
された縦孔８Ａが複数個（本実施例では４個）設けられ
ている。

【００１２】リッド21のフランジ下側縮小部212 と、ユ
ニットケース22及びエアバッグ23の開放端縁がボルト３
で締結され、ユニットケース22内に嵌合された補強部材
８の上側部81の縦孔８Ａに、ユニットケース22の内周面
に突設された係止ピン９が挿入されて係合し、補強部材
８の縮小下側部82はボルト３の内側端よりユニットケー
ス22の内方に離れて位置している。図示の通常時即ちエ
アバッグ23の収納時には、係止ピン９は縦孔８Ａの上端
に位置している。なお、本実施例における縦孔８Ａは、
横方向の幅が略一定である長孔に形成されているが、上
端の幅より下端の幅を大きくする即ち略逆扇形状に形成
しても良い。

【００１３】動作について説明すると、エアバッグ23の
展開時において、高圧ガス発生機24からエアバッグ23内
に高圧ガスが供給され、エアバッグ23が膨張する膨張圧
力により、リッド21を押し開けてエアバッグ23が展開す
る（図８参照）につれて、ボルト３より下方に垂れてい
たエアバッグ23の開口端縁付近230 が上方に引き上げら
れる際に、開口端縁付近230 が補強部材８の下端83に当
接して補強部材８を上昇させ（上昇位置800 ）、係止ピ
ン９が縦孔８Ａの下端に達するまで、係止ピン９が縦孔
８Ａの上端位置から下端位置まで移動するときの係止ピ
ン９の中心の移動距離である長さＬだけ補強部材８が上
昇する。補強部材８が長さＬだけ上昇すると、補強部材
８の上端のフランジ80が、ユニットケース22の開口部よ
り外方に突出するとともに、インストルメントパネル１
の助手席側１Ａの表面よりも外方に突出する。

【００１４】この構成によると、エアバッグ23の展開時
に、補強部材８の上端のフランジ80がユニットケース22
の開口部より外方に突出するから、補強部材８が、ユニ
ットケース22の開口部周縁をエアバッグ23の膨張圧力か
ら保護して直接圧力がかからないようにし、ユニットケ
ース22の開口部周縁の損傷を防止する。また、エアバッ
グ23の展開時に、補強部材８の上端のフランジ80がイン
ストルメントパネル１の助手席側１Ａの表面よりも外方
に突出するから、インストルメントパネル１の開口部１
Ｂの周縁をエアバッグ23の膨張圧力から保護して直接圧
力がかからないようにし、インストルメントパネル１の
開口部１Ｂの損傷を防止する。さらに、補強部材８の上
端にフランジ80が設けられたことにより、簡単な構造で
補強部材８の剛性を向上させることができる。

【００１５】図３及び図４において第２実施例を説明す
ると、インストルメントパネル１の開口部１Ｂの周縁に
低段部１Ｅを設け、開口部１Ｂの周縁とリッド21との間
に補強パネル10を配設したものである。補強パネル10
は、矩形の枠体状に形成され、リッド21のフランジ210
の外側面に接触してボルト３で締結される垂直部10Ａ
と、垂直部10Ａの上端から外方向に延設されたリッド21
の外周縁下側面に接触する水平部10Ｂと、水平部10Ｂの
外周端から下方に延設されて下端がインストルメントパ
ネル１の開口部１Ｂの低段部１Ｅの上面に当接する外縁
部10Ｃとを備えている。

【００１６】この構成により、インストルメントパネル
１の開口部１Ｂの周縁を補強パネル10で補強して剛性を
増大させ、エアバッグ23の展開時におけるエアバッグ23
の膨張圧力による損傷を防止することができる。また、
インストルメントパネル１の開口部１Ｂの周縁に低段部
１Ｅを設けたことによより、リッド21の上面と、インス
トルメントパネル１の上面とを同一の高さとして外観を
損なうことが無い。

【００１７】図５及び図６において第３実施例を説明す
ると、インストルメントパネル１の開口部１Ｂの周縁と
リッド21との間に補強パネル11を配設したものである。
補強パネル11は、矩形の枠体状に形成され、リッド21の
フランジ210 の外側面に接触してボルト３で締結される
垂直部11Ａと、垂直部11Ａの上端から外方向に延設され
たリッド21の外周縁下側面に接触する水平部11Ｂと、水
平部11Ｂの外周端から上方に折曲されてリッド21の上面
と同じ高さにまで延びる折曲部11Ｃと、折曲部11Ｃの上
端からリッド21と同一面で外方向に延びてインストルメ
ントパネル１の開口部１Ｂの上面に当接する外縁部11Ｄ
とを備えている。

【００１８】この構成により、インストルメントパネル
１の開口部１Ｂの周縁を補強パネル11で補強して剛性を
増大させ、エアバッグ23の展開時におけるエアバッグ23
の膨張圧力による損傷を防止することができる。また、
補強パネル11に折曲部11Ｃと外縁部11Ｄが設けられたこ
とにより、インストルメントパネル１の開口部１Ｂの周
縁を一層確実に補強することができる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているか
ら、以下に述べるとおりの効果を奏する。エアバッグユ
ニット内に移動自在に設けた補強部材を、エアバッグ展
開時にエアバッグ展開圧力によって上記補強部材をエア
バッグユニット開口部から突出させることにより、エア
バッグ展開時に補強部材がエアバッグユニット開口部の
内側に位置してエアバッグユニット開口部の周縁壁を補
強するから、エアバッグ展開圧力によりエアバッグユニ
ット開口部が変形を抑制し、この変形に起因するインス
トルメントパネルの開口部の損傷を効果的に防止でき
る。また、補強部材は筒状に形成され、該補強部材のエ
アバッグユニットの開口部側端部が外側に折曲された補
強フランジ部が形成されたことにより、簡単な構成で補
強部材の剛性を向上させることができる。さらに、補強
部材は、エアバッグ展開時にエアバッグユニットが取り
付けられる部分のインストルメントパネル外側面より外
方へ突出することにより、エアバッグ展開時に、補強部
材がエアバッグユニット開口部の内側を確実に覆ってエ
アバッグユニット開口部の周縁壁を補強するから、エア
バッグ展開圧力によるエアバッグユニット開口部の変形
を確実に抑制し、この変形に起因するインストルメント
パネルの開口部の損傷を効果的に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施例を示す断面図である。

【図２】 本発明の第１実施例を示す斜視図である。

【図３】 本発明の第２実施例を示す断面図である。

【図４】 本発明の第２実施例を示す斜視図である。

【図５】 本発明の第３実施例を示す断面図である。

【図６】 本発明の第３実施例を示す斜視図である。

【図７】 従来の前部助手席側エアバッグ装置を示す斜
視図である。

【図８】 図７におけるVIII−VIII線断面図である。

【符号の説明】

１ インストルメントパネル、１Ａ 助手席側（インス
トルメントパネル） ２ エアバッグユニット、21 リッド、22 ユニットケ
ース、23 エアバッグ 24 高圧ガス発生機、25 支持ブラケット、８ 補強部
材、81 フランジ ８Ａ 縦孔、９ 係止ピン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インストルメントパネルの助手席側に設
   けられたエアバッグ装置において、エアバッグユニット
   内に該エアバッグユニットの開口部を補強する補強部材
   を移動自在に設け、エアバッグ展開時にエアバッグ展開
   圧力によって上記補強部材をエアバッグ開口部から突出
   させることを特徴とする自動車の助手席側エアバッグ装
   置。
2. 【請求項２】 補強部材は筒状に形成され、該補強部材
   のエアバッグユニットの開口部側端部が外側に折曲され
   た補強フランジ部が形成されたことを特徴とする請求項
   １記載の自動車の助手席側エアバッグ装置。
3. 【請求項３】 補強部材は、エアバッグ展開時にエアバ
   ッグユニットが取り付けられる部分のインストルメント
   パネル外側面より外方へ突出することを特徴とする請求
   項１または２記載の自動車の助手席側エアバッグ装置。