JPH08257805A - ビルトインモータの回転軸ならびにロータ取り外し装置 - Google Patents

ビルトインモータの回転軸ならびにロータ取り外し装置

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JPH08257805A
JPH08257805A JP6819395A JP6819395A JPH08257805A JP H08257805 A JPH08257805 A JP H08257805A JP 6819395 A JP6819395 A JP 6819395A JP 6819395 A JP6819395 A JP 6819395A JP H08257805 A JPH08257805 A JP H08257805A
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JP
Japan
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shaft
rotor
peripheral surface
oil
stepped
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Application number
JP6819395A
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English (en)
Inventor
Masaru Owada
優 大和田
Hiroo Ueda
田 啓 雄 上
Katsutoshi Miyahara
原 克 敏 宮
Minoru Ota
田 稔 太
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロータを容易に取り外すことができると共
に、ロータ取り外し油供給用の孔あけ加工を簡単に行う
ことができるうえ、ロータと軸本体との間の熱伝導性お
よび軸本体の軸剛性の向上を実現できるビルトインモー
タの回転軸、ならびに、ロータ取り外し油を漏れなくそ
して効率よく供給して軸本体からロータを迅速に取り外
すことが可能であるロータ取り外し装置を提供する。 【構成】 ロータ3を嵌装したスリーブ4と嵌合してビ
ルトインモータの回転軸1を構成する軸本体2にはその
端部で開口する軸心孔2aおよび段付き嵌合外周面2b
を設ける。スリーブ4には軸本体2の段付き嵌合外周面
2bと圧接する段付き嵌合内周面4bを設ける。軸本体
2に、互いに圧接する段付き嵌合外周面2bおよび段付
き嵌合内周面4bの各々の段差部分間に形成した環状油
溜め空間5と軸本体2の軸心孔2aとを連通する油導通
孔2cを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の請求項1〜9に係わる発
明は、例えば、工作機械に作り付けられるビルトインモ
ータの回転軸に関し、本発明の請求項10〜14に係わ
る発明は、ビルトインモータの回転軸における軸本体に
嵌合したロータを取り外すのに利用されるロータ取り外
し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記したビルトインモータの回転
軸としては、例えば、図13に示すものがあり、このビ
ルトインモータの回転軸101は、テーパ付き嵌合外周
面102aを有する軸本体102と、ロータ103を嵌
装しかつテーパ付き嵌合外周面102aと圧接するテー
パ付き内周面104aを有するスリーブ104と、軸本
体102におけるテーパ付き嵌合外周面102aの両端
側に設けたねじ部102b,102bにねじ込まれるナ
ット105,105を備えていて、ロータ103は、テ
ーパ付き嵌合外周面102aにテーパ付き内周面104
aを圧接させて軸本体102に嵌合したスリーブ104
の両端にナット105,105を締め付けて、スリーブ
104とともに軸本体102に固定されるようになって
いる。
【0003】また、従来における他のビルトインモータ
の回転軸としては、例えば、図14に示すものがある。
【0004】図14に示すように、このビルトインモー
タの回転軸111は、3段の段付き嵌合外周面112a
を有する軸本体112と、ロータ113を嵌装しかつ両
端部に段付き嵌合外周面112aの大径部分および小径
部分と圧接する内向き突起114a,114bを有する
スリーブ114を備えており、ロータ113は、段付き
嵌合外周面112aの大径部分および小径部分に内向き
突起114a,114bを各々圧接させて軸本体112
にスリーブ114を締まりばめして、スリーブ114と
ともに軸本体112に固定され、一方、このロータ11
3をスリーブ114とともに軸本体112から取り外す
際には、スリーブ114の内向き突起114bに設けた
貫通孔114cから軸本体112の中径部分およびスリ
ーブ114の間に形成される空間115に取り外し油を
供給し、段付き嵌合外周面112aの大径部分および小
径部分と内向き突起114a,114bとの間に取り外
し油を浸入させて行うようにしている。
【0005】さらに、従来における他のビルトインモー
タの回転軸としては、例えば、図15に示すものがあ
る。
【0006】図15に示すように、このビルトインモー
タの回転軸121は、3段の段付き嵌合外周面122a
を有する軸本体122と、ロータ123を嵌装しかつ段
付き嵌合外周面122aの大径部分,中径部分および小
径部分とそれぞれ圧接する内向き突起124a,124
b,124cを有するスリーブ124を備えており、ロ
ータ123は、段付き嵌合外周面122aの大径,中
径,小径の各部分に内向き突起124a,124b,1
24cを各々圧接させて軸本体122にスリーブ124
を焼きばめして、スリーブ124とともに軸本体122
に固定され、一方、このロータ123をスリーブ124
とともに軸本体122から取り外す際には、スリーブ1
24に設けた油路124dから軸本体122の小径部分
および中径部分とスリーブ124との間にそれぞれ形成
される空間125,126に取り外し油を供給し、空間
125,126に生じる圧力差によって、ロータ123
をスリーブ124とともに軸本体122から取り外すよ
うにしている。(実開平5−26202号)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来にあっ
ては、図13に示すビルトインモータの回転軸101の
場合、スリーブ104にテーパ付き内周面104aを形
成する都合上、このスリーブ104を薄肉化することが
できないうえ、スリーブ104の外径には制限があるた
め、必然的に軸本体102の軸径を小さくしなければな
らないこととなり、軸剛性が低下してしまうと共に、ナ
ット105,105の締め付けにより軸本体102に曲
りが生じる可能性があるという問題を有していた。
【0008】また、図14に示すビルトインモータの回
転軸111の場合、軸本体112の中径部分およびスリ
ーブ114の間に空間115を有していることから、ロ
ータ113から軸本体112への熱伝導性が低下して、
モータ出力に悪影響を及ぼす恐れがあると共に、軸本体
112の内向き突起114bに貫通孔114cを設けて
いるため、スリーブ114を薄肉化することが困難であ
り、これによる軸本体112の小径化に伴って軸剛性が
低下してしまうという問題を有していた。
【0009】さらに、図15に示すビルトインモータの
回転軸121の場合、上記ビルトインモータの回転軸1
11と同様に、ロータ123から軸本体122への熱伝
導性の低下および軸本体122の小径化に伴う軸剛性の
低下といった問題があるほか、油路124dがスリーブ
124の軸方向の深孔となっていることから、この油路
124dの孔あけ加工が極めて難しいという問題があ
り、これらの問題を解決することが従来の課題となって
いた。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題に着目し
てなされたもので、請求項1〜9に係わる発明は、ロー
タを容易に取り外すことができるのはもちろんのこと、
ロータ取り外し油供給用の孔あけ加工を簡単に行うこと
ができるうえ、ロータと軸本体との間の熱伝導性および
軸本体の軸剛性の向上を実現できるビルトインモータの
回転軸を提供することを目的とし、請求項10〜14に
係わる発明は、ロータ取り外し油を漏れなくそして効率
よく供給して軸本体からロータを迅速に取り外すことが
可能であるロータ取り外し装置を提供することを目的と
している。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る発明は、ロータを嵌装したスリーブと軸本体とを嵌合
してなるビルトインモータの回転軸において、前記軸本
体にはその端部で開口する軸心孔および段付き嵌合外周
面を設けると共に、前記スリーブには前記軸本体の段付
き嵌合外周面と圧接する段付き嵌合内周面を設け、前記
軸本体に、互いに圧接する前記段付き嵌合外周面および
段付き嵌合内周面の各々の段差部分間に形成した油溜め
部と当該軸本体の軸心孔とを連通する油導通孔を少なく
とも1個設けた構成としており、このビルトインモータ
の回転軸の構成を上記した従来の課題を解決するための
手段としている。
【0012】本発明の請求項2に係わる発明は、ロータ
と軸本体とを嵌合してなるビルトインモータの回転軸に
おいて、前記軸本体にはその端部で開口する軸心孔およ
び段付き嵌合外周面を設けると共に、前記ロータには前
記軸本体の段付き嵌合外周面と圧接しかつ絶縁樹脂被膜
あるいは表面処理被膜で覆われた段付き嵌合内周面もし
くはロータコア間の隙間を樹脂で封止してなる段付き嵌
合内周面を設け、前記軸本体に、互いに圧接する前記段
付き嵌合外周面および段付き嵌合内周面の各々の段差部
分間に形成した油溜め部と当該軸本体の軸心孔とを連通
する油導通孔を少なくとも1個設けた構成としており、
このビルトインモータの回転軸の構成を上記した従来の
課題を解決するための手段としている。
【0013】本発明の請求項3に係わるビルトインモー
タの回転軸では、段付き嵌合外周面および段付き嵌合内
周面の間における小径部分締めしろを大径部分締めしろ
よりも小さくしてある構成とし、本発明の請求項4に係
わるビルトインモータの回転軸では、段差部分を複数有
し、段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周面の間の中
径部分締めしろを小径部分締めしろおよび大径部分締め
しろよりも小さくしてある構成とし、本発明の請求項5
に係わるビルトインモータの回転軸において、油導通孔
は段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周面の各段差部
分の数以上設けてある構成としている。
【0014】本発明の請求項6に係わるビルトインモー
タの回転軸は、油導通孔の閉塞手段を備えている構成と
し、本発明の請求項7に係わるビルトインモータの回転
軸において、閉塞手段は油導通孔を閉塞する弾性体およ
び前記弾性体を油導通孔に対して接触・離間させる弾性
体駆動部を具備している構成とし、本発明の請求項8に
係わるビルトインモータの回転軸において、閉塞手段は
油導通孔に形成した雌ねじ部および前記雌ねじ部にねじ
込まれる止めねじからなっている構成とし、本発明の請
求項9に係わるビルトインモータの回転軸において、閉
塞手段は熱可塑性樹脂である構成としている。
【0015】本発明の請求項10に係わる発明は、請求
項1ないし9に記載したビルトインモータの回転軸にお
ける軸本体からロータを取り外すロータ取り外し装置で
あって、取り外し油供給源と、前記回転軸の軸本体に装
着されて当該軸本体の油導通孔と前記取り外し油供給源
とを連通する治具と、前記治具に設けられて軸本体との
間をシールするシール手段を備えた構成としており、こ
のロータ取り外し装置の構成を上記した従来の課題を解
決するための手段としている。
【0016】本発明の請求項11に係わるロータ取り外
し装置において、治具は軸本体の軸心孔が開口する端面
に装着されるキャップ状本体を有し、シール手段は前記
端面における開口の周囲に圧接するOリングとしてある
構成とし、本発明の請求項12に係わるロータ取り外し
装置において、治具は軸本体の軸心孔に嵌合される円柱
状本体を有し、シール手段は前記円柱状本体の円周方向
にはめ込んだOリングとしてある構成とし、本発明の請
求項13に係わるロータ取り外し装置において、治具は
軸本体の軸心孔に嵌合される円柱状本体を有し、シール
手段は前記円柱状本体の外周面にはめ込まれて油導通孔
の周囲でシールするOリングとしてある構成とし、本発
明の請求項14に係わるロータ取り外し装置において、
治具は軸本体の軸心孔に嵌合される円柱状本体を有し、
シール手段は前記円柱状本体と前記軸本体における軸心
孔の内周面との間に塗布される凝固性シール剤としてあ
る構成としている。
【0017】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わるビルトインモ
ータの回転軸では、軸本体の軸心孔から油導通孔を通し
て段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周面の各々の段
差部分間に形成される油溜め部にロータ取り外し油を供
給すると、段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周面の
間にロータ取り外し油が浸入して、スリーブが軸本体に
対して浮いた状態となり、軸本体の小径部分方向に簡単
に抜けることとなる。
【0018】また、油導通孔は軸本体に設けてあり、孔
あけ加工を従来のようにスリーブの軸方向に施す必要が
ないので、この孔あけ加工は極めて簡単なものとなる。
【0019】さらに、軸本体の段付き嵌合外周面とスリ
ーブの段付き嵌合内周面とが互いに圧接するので、ロー
タと軸本体との間の熱伝導性が向上し、加えて、スリー
ブには段付き嵌合内周面を設けるだけなので、薄肉化が
図られることから、軸本体を小径のものとする必要がな
くなって、軸剛性が向上することとなる。
【0020】本発明の請求項2に係わるビルトインモー
タの回転軸では、軸本体の軸心孔から油導通孔を通して
油溜め部にロータ取り外し油を供給すると、段付き嵌合
外周面および段付き嵌合内周面の間にロータ取り外し油
が浸入する。そこで、ロータを構成する複数枚の板間、
例えば、鋼板間(ロータコアの板間)に絶縁樹脂を含浸
して隙間を封止すると、各鋼板間にロータ取り外し油が
浸入することはなく、したがって、ロータが軸本体に対
して浮いた状態となり、軸本体の小径部分方向に簡単に
抜けることとなる。
【0021】また、請求項1のビルトインモータの回転
軸と同様に、油導通孔の孔あけ加工は極めて簡単なもの
となり、さらに、軸本体の段付き嵌合外周面とロータの
段付き嵌合内周面とが互いに圧接することから、ロータ
および軸本体の間の熱伝導性がより一層向上するうえ、
スリーブを用いていない分だけ軸本体が大径のものとな
り、高い軸剛性が得られることとなる。
【0022】本発明の請求項3に係わるビルトインモー
タの回転軸において、段付き嵌合外周面および段付き嵌
合内周面の小径部分と大径部分とでは接触面圧が異なる
ことから、軸本体の軸心孔から油導通孔を通して油溜め
部にロータ取り外し油を供給して充満させると、まず、
接触面圧が低い締めしろを小さくした小径部分の段付き
嵌合外周面および段付き嵌合内周面の間にロータ取り外
し油が浸入し、次いで、締めしろを大きくした大径部分
の段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周面の間にもロ
ータ取り外し油が浸入し、この際、油溜め部の内部圧力
の上昇により、段差部分に斥力が生じてスリーブあるい
はロータは小径部分方向に移動することとなる。
【0023】本発明の請求項4に係わるビルトインモー
タの回転軸では、例えば、段付き嵌合外周面および段付
き嵌合内周面が、それぞれ小径部分,中径部分,大径部
分を有する3段の段付き嵌合外周面および段付き嵌合内
周面である場合、軸本体の軸心孔から油導通孔を通して
各油溜め部にロータ取り外し油を供給すると、まず、接
触面圧が低い締めしろを小さくした中径部分の段付き嵌
合外周面および段付き嵌合内周面の間にロータ取り外し
油が浸入し、続いて、締めしろを大きくした大径部分お
よび小径部分の段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周
面の間にロータ取り外し油が浸入することから、ロータ
取り外し油の漏出を少なく抑えつつ、ロータの取り外し
がなされることとなる。
【0024】本発明の請求項5に係わるビルトインモー
タの回転軸では、油導通孔を複数設ければ、それだけ油
溜め部にロータ取り外し油が流入しやすくなるうえ、ロ
ータ取り外し油が油溜め部の円周方向に均一に流入する
こととなる。
【0025】本発明の請求項6〜9に係わるビルトイン
モータの回転軸では、例えば、ビルトインモータの回転
軸をマシニングセンタのスルーホール式の回転主軸に適
用して、軸本体の軸心孔に水溶性切削液を流すようにし
た場合、油導通孔を通して油溜め部に切削液が浸入しな
いこととなり、したがって、段付き嵌合外周面および段
付き嵌合内周面の各々に錆が生じることがなくなり、ス
リーブあるいはロータの取り外しが確実になされ、とく
に、本発明の請求項9に係わるビルトインモータの回転
軸では、工具を用いずに油導通孔の閉塞がなされること
となる。
【0026】本発明の請求項10に係わるロータ取り外
し装置では、上記した構成としているので、ビルトイン
モータの回転軸における軸本体からロータを取り外す場
合、取り外し油供給源からのロータ取り外し油は、治具
と軸本体との間から漏出することなく油導通孔に導かれ
ることとなり、その結果、スリーブあるいはロータは効
率よくかつ迅速に軸本体から取り外されることとなり、
請求項11に係わるロータ取り外し装置では、軸本体の
軸心孔が細い場合であっても、油導通孔に対するロータ
取り外し油の供給が確実になされ、請求項12に係わる
ロータ取り外し装置では、油導通孔が円周方向に複数設
けられている場合、軸本体の軸心孔にロータ取り外し油
を満たすことなく各油導通孔に対するロータ取り外し油
の供給が確実になされるので、ロータ取り外し油が少量
でよいこととなり、請求項13に係わるロータ取り外し
装置では、余分な空間にロータ取り外し油がほとんど浸
入しないので、油導通孔の個々に対して集中したロータ
取り外し油の供給がなされることとなり、ロータ取り外
し油がさらに少量でよいこととなり、請求項14に係わ
るロータ取り外し装置では、軸本体における端面や軸心
孔の内周面の表面粗さがよくない場合であっても、油導
通孔に対するロータ取り外し油の供給が確実になされる
こととなる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0028】[第1実施例]図1および図2は本発明の
請求項1,3,5に係わるビルトインモータの回転軸お
よび本発明の請求項10および12に係わるロータ取り
外し装置の一実施例を示している。
【0029】図1(a)に示すように、この回転軸1
は、軸本体2とロータ3を嵌装したスリーブ4とを締ま
りばめしてなるものであり、軸本体2にはその端部(図
示右端部)で開口する軸心孔2aおよび2段の段付き嵌
合外周面2bが設けてあると共に、スリーブ4には軸本
体2の段付き嵌合外周面2bと圧接する段付き嵌合内周
面4bが設けてある。
【0030】この場合、スリーブ4の段差部分には、図
1(a)の拡大円内に示すように、円周方向に連続する
溝部4aが設けてあって、軸本体2とこのスリーブ4と
の締まりばめ状態において、互いに圧接する段付き嵌合
外周面2bおよび段付き嵌合内周面4bの各々の段差部
分間にこの溝部4aが位置して、環状油溜め空間5を形
成するようになっており、この実施例では、図2(b)
に示すように、環状油溜め空間5を境にして、段付き嵌
合外周面2bおよび段付き嵌合内周面4bの間の小径部
分締めしろδsが大径部分締めしろδlよりも小さくな
るように設定してある。
【0031】また、軸本体2には、環状油溜め空間5と
この軸本体2の軸心孔2aとを連通する油導通孔2c
が、図1(b)にも示すように、円周方向に約90゜の
間隔をおいて4個設けてある。(なお、油導通孔2cは
4個に限定されるものではなく、例えば、図3に示すよ
うに、円周方向に約120゜の間隔をおいて3個設けて
もよい。) 一方、図2(a)に示すように、この回転軸1の軸本体
2からスリーブ4とともにロータ3を取り外すロータ取
り外し装置10は、取り外し油供給源としてのポンプ1
1と、このポンプ11および軸本体2の油導通孔2cを
連通する治具12と、この治具12に設けたOリング1
3(シール手段)を備えている。
【0032】治具12は、回転軸1における軸本体2の
軸心孔2aに嵌合する円柱状本体12aおよび円柱状本
体12aとポンプ11とを連通するパイプ部12bを備
えており、円柱状本体12aには、パイプ部12bと連
通する軸心方向の油導入孔12cおよびこの油導入孔1
2cから分岐して各々約90゜の角度をもって径方向に
のびる4本の油排出孔12dが設けてあって、Oリング
13は円柱状本体12aにおける油排出孔12dの両側
(図示左右側)に1個ずつ円周方向にはめ込んである。
【0033】そして、上記回転軸1の軸本体2からスリ
ーブ4とともにロータ3を取り外す際には、まず、軸本
体2の軸心孔2aにロータ取り外し装置10における治
具12の円柱状本体12aを嵌合すると共に、円柱状本
体12aにおける4個の油排出孔12dを軸本体2の4
個の油導通孔2cに合わせる。
【0034】この後、ロータ取り外し装置10のポンプ
11を作動させて、治具12のパイプ部12b,円柱状
本体12aの油導入孔12c,油排出孔12dおよび軸
本体2の油導通孔2cを通して、軸本体2の段付き嵌合
外周面2bおよびスリーブ4の段付き嵌合内周面4bの
各々の段差部分間における環状油溜め空間5にロータ取
り外し油を供給する。
【0035】このとき、油導通孔2cは、軸本体2の円
周方向に4個設けてあるため、その分だけ環状油溜め空
間5にロータ取り外し油が流入しやすくなるうえ、ロー
タ取り外し油が環状油溜め空間5に均一に流入すること
となる。
【0036】また、環状油溜め空間5を境にして、段付
き嵌合外周面2bおよび段付き嵌合内周面4bの間の小
径部分締めしろδsを大径部分締めしろδlよりも小さ
く設定しているので、段付き嵌合外周面2bおよび段付
き嵌合内周面4bの小径側と大径側とでは接触面圧が異
なることとなり、環状油溜め空間5にロータ取り外し油
が充満して圧力が高まると、締めしろを小さくした小径
部分の段付き嵌合外周面2bおよび段付き嵌合内周面4
bの間にロータ取り外し油が浸入し、続いて、環状油溜
め空間5の内部圧力が一層高まると、締めしろを大きく
した大径部分の段付き嵌合外周面2bおよび段付き嵌合
内周面4bの間にもロータ取り外し油が浸入して、スリ
ーブ4の全体が軸本体2に対して浮いた状態となり、こ
の際、段差部分に斥力が生じていることから、ロータ3
はスリーブ4とともに小径部分方向(図2(b)矢印方
向)に移動して軸本体2から簡単に外れることとなる。
【0037】このように、上記した回転軸1において、
油導通孔2cは軸本体2の径方向に設けてあることか
ら、孔あけ加工を従来のようにスリーブ4の軸方向に施
す必要がないこととなり、この孔あけ加工は極めて簡単
なものとなる。
【0038】また、上記した回転軸1では、軸本体2の
段付き嵌合外周面2bとスリーブ4の段付き嵌合内周面
4bとが互いに圧接するので、ロータ3と軸本体2との
間の熱伝導性が向上するうえ、スリーブ4には段付き嵌
合内周面4bを設けるだけなので、薄肉化が図られるこ
ととなり、その結果、軸本体2を小径のものとする必要
がなくなって、軸剛性が向上することとなる。
【0039】[第2実施例]図4は本発明の請求項4に
係わるビルトインモータの回転軸の一実施例および本発
明の請求項10および12に係わるロータ取り外し装置
の他の実施例を示している。
【0040】図4に示すように、回転軸21の軸本体2
2にはその端部(図示右端部)で開口する軸心孔22a
および3段の段付き嵌合外周面22bが設けてあると共
に、スリーブ24には軸本体22の段付き嵌合外周面2
2bと圧接する段付き嵌合内周面24bが設けてあり、
スリーブ24の2つの段差部分に円周方向に連続してそ
れぞれ設けた溝部24a,24aを、互いに圧接する段
付き嵌合外周面22bおよび段付き嵌合内周面24bの
各々の段差部分間に位置させて、環状油溜め空間25,
25を形成している。
【0041】この実施例では、段付き嵌合外周面22b
および段付き嵌合内周面24bの間の中径部分締めしろ
を小径部分締めしろおよび大径部分締めしろよりも小さ
く設定していると共に、環状油溜め空間25と軸本体2
2の軸心孔22aとを連通する油導通孔22cを段差部
分毎に円周方向に約90゜の間隔をおいてそれぞれ4個
ずつ設けている。
【0042】一方、この回転軸21の軸本体22からス
リーブ24とともにロータ23を取り外すロータ取り外
し装置30の治具32は、回転軸21における軸本体2
2の軸心孔22aに嵌合しかつ軸心方向の油導入孔32
cおよびこの油導入孔32cから分岐して各々約90゜
の角度をもって径方向にのびる4本の油排出孔32dを
有する2個の円柱状本体32a,32aと、これらの円
柱状本体32a,32aおよびポンプ31を連通するパ
イプ部32bを備えており、Oリング33(シール手
段)は、円柱状本体32aにおける油排出孔32dの両
側(図示左右側)に1個ずつ円周方向にはめ込んであ
る。
【0043】上記回転軸21の軸本体22からスリーブ
24とともにロータ23を取り外す際には、ロータ取り
外し装置30により油導通孔22cを通して各環状油溜
め空間25,25にロータ取り外し油を供給すると、ま
ず、接触面圧が低い締めしろを小さくした中径部分の段
付き嵌合外周面22bおよび段付き嵌合内周面24bの
間にロータ取り外し油が浸入し、続いて、締めしろを大
きくした大径部分および小径部分の段付き嵌合外周面2
2bおよび段付き嵌合内周面24bの間にロータ取り外
し油が浸入することから、ロータ取り外し油の漏出を少
なく抑えつつ、ロータ23の取り外しがなされることと
なる。
【0044】[第3実施例]図5および図6は本発明の
請求項2,3,5に係わるビルトインモータの回転軸の
一実施例を示している。
【0045】図5に示す回転軸41が第1実施例による
回転軸と相違するところは、ロータ43に、軸本体2の
段付き嵌合外周面2bと圧接する段付き嵌合内周面43
bを設けると共に、その段差部分に、円周方向に連続す
る溝部43aを設けて、このロータ43を軸本体2に直
接焼きばめした点にあり、他の構成およびロータ43を
取り外すロータ取り外し装置の構成は、第1実施例と同
じである。
【0046】この場合、図5の拡大円内に示すように、
ロータ43の段付き嵌合内周面43bは、絶縁樹脂被膜
としてのワニス被膜43c(めっきによる表面処理被膜
でもよい)で覆ってある。
【0047】このロータ43の段付き嵌合内周面43b
にワニス被膜43cを形成するに際しては、図6(a)
に示すように、ワニスWを満たした真空容器46Aにロ
ータ43を入れて蓋46Bにより閉塞し、真空ポンプ4
7でワニスWの内部から気泡が生じなくなるまで真空引
きした後、取り出したロータ43を乾燥させてワニス被
膜43cを形成する、いわゆる真空含浸法や、図6
(b)に示すように、加熱装置48で暖めながらロータ
43を回転させ、この回転するロータ43に、タンク4
9A内のワニスをノズル49Bから所定量滴下させた
後、ロータ43を乾燥させてワニス被膜43cを形成す
る、いわゆる滴下含浸法が採用され、ワニスWには、乾
燥時に揮発成分の蒸発に伴うブローホールの発生を防ぐ
ため、溶剤を用いていない無溶剤型のワニスを使用す
る。
【0048】なお、ロータ43の段付き嵌合内周面43
bは、ロータ43を構成する複数枚の鋼板間の隙間(ロ
ータコア間の隙間)に樹脂を含浸してこれらの隙間を封
止して形成してもよい。
【0049】したがって、上記ビルトインモータの回転
軸41では、ロータ取り外し装置10により、軸本体2
の油導通孔2cを通して環状油溜め空間5にロータ取り
外し油を供給すると、ロータ43の段付き嵌合内周面4
3bが、ワニス被膜43cで覆われているので、ロータ
43を構成する複数枚の鋼板間の隙間(ロータコア間の
隙間)にロータ取り外し油が浸入することはなく、段付
き嵌合外周面2bおよび段付き嵌合内周面43bの間に
ロータ取り外し油が浸入することとなり、ロータ43が
軸本体2に対して浮いた状態となって、軸本体2の小径
部分方向に簡単に抜けることとなり、また、第1実施例
のビルトインモータの回転軸1と同様に、油導通孔2c
の孔あけ加工は極めて簡単なものとなり、さらに、軸本
体2の段付き嵌合外周面2bとロータ43の段付き嵌合
内周面43bとが互いに圧接することから、ロータ43
および軸本体2の間の熱伝導性がより一層向上するう
え、スリーブを用いていない分だけ軸本体2の大径化が
実現し、高い軸剛性が得られることとなる。
【0050】[第4実施例]図7は本発明の請求項6お
よび7に係わるビルトインモータの回転軸の一実施例を
示している。
【0051】図7に示すビルトインモータの回転軸51
は、マシニングセンタのスルーホール式の回転主軸とし
て使用されるものであって、この回転軸51の軸本体5
2にはその図示しない両端部で開口する軸心孔52aお
よび段付き嵌合外周面52bが設けてあると共に、スリ
ーブ54には軸本体52の段付き嵌合外周面52bと圧
接する段付き嵌合内周面54bが設けてあり、スリーブ
54の段差部分に円周方向に連続して設けた溝部54a
を互いに圧接する段付き嵌合外周面52bおよび段付き
嵌合内周面54bの段差部分間に位置させて、環状油溜
め空間55を形成している。
【0052】この実施例の回転軸51は、軸本体52に
1個設けた環状油溜め空間55と軸心孔52aとを連通
する油導通孔52cの閉塞手段を備えている。
【0053】この閉塞手段は2個のゴム板(弾性体)5
6,56と、ゴム板56,56を各々先端に装着したね
じ付きシャフト57aおよび逆ねじ付きシャフト57b
の各基端同士をナット状胴体57cを介して連結してな
るターンバックル状のゴム板駆動部57とからなってお
り、スリーブ54を軸本体52に焼きばめした後、ナッ
ト状胴体57cを回動操作してねじ付きシャフト57a
および逆ねじ付きシャフト57bをそれぞれ離間する方
向に移動させて、ゴム板56,56のうちの一方を油導
通孔52cの周縁部に当接させると共に、ゴム板56,
56のういちの他方を油導通孔52cの対向部分に当接
させることにより、油導通孔52cを閉塞するようにし
ている。
【0054】したがって、この回転軸51では、切削加
工を行うに際して軸本体52の軸心孔52aに水溶性切
削液を流すようにした場合、油導通孔52cを通して環
状油溜め空間55に切削液が浸入しないこととなり、そ
の結果、段付き嵌合外周面52bおよび段付き嵌合内周
面54bの各々に錆が生じることがなくなり、スリーブ
54と共にロータ53の取り外しが確実になされること
となる。
【0055】[第5実施例]図8は本発明の請求項6お
よび8に係わるビルトインモータの回転軸の一実施例を
示しており、この実施例におけるビルトインモータの回
転軸61では、閉塞手段を軸本体52の油導通孔52c
に形成した雌ねじ部66およびこの雌ねじ部66にねじ
込まれる止めねじ67から構成しており、他の構成は、
第4実施例と同じである。
【0056】つまり、この実施例における回転軸61に
おいても、スリーブ54を軸本体52に焼きばめした
後、油導通孔52cの雌ねじ部66に止めねじ67をね
じ込んでおけば、この油導通孔52cを通して環状油溜
め空間55に水分が浸入しないこととなり、したがっ
て、段付き嵌合外周面52bおよび段付き嵌合内周面5
4bの各々に錆が生じるのを阻止でき、スリーブ54の
取り外しが確実に行われることとなる。
【0057】[第6実施例]図9は本発明の請求項6お
よび9に係わるビルトインモータの回転軸の一実施例を
示しており、この実施例におけるビルトインモータの回
転軸71では、閉塞手段を熱可塑性樹脂76としてお
り、他の構成は、第4実施例と同じである。
【0058】すなわち、この実施例における回転軸71
において、スリーブ54を軸本体52に焼きばめした
後、油導通孔52cに熱可塑性樹脂76を押し込んでこ
の油導通孔52cを閉塞すれば、この環状油溜め空間5
5への水分の浸入が阻止されるので、段付き嵌合外周面
52bおよび段付き嵌合内周面54bの各々に錆が生じ
ることがなく、スリーブ54の取り外しが支障なく行わ
れることとなる。
【0059】また、スリーブ54の取り外しに際して
は、熱可塑性樹脂76が溶解するまで回転軸71を熱し
て油導通孔52cから熱可塑性樹脂76を除去した後、
油導通孔52cを通して環状油溜め空間55にロータ取
り外し油を供給するようにしており、この際、油導通孔
52cを開放するための工具を必要としないことから、
軸心孔52aが細くて工具を挿入できない場合であって
も、油導通孔52cの閉塞・開放が確実に行われること
となる。
【0060】[第7実施例]図10は本発明の請求項1
1に係わるロータ取り外し装置の一実施例を示してい
る。
【0061】図10に示すように、このロータ取り外し
装置80の治具82は、回転軸1における軸本体2の軸
心孔2aが開口する端面に装着されるキャップ状本体8
2aおよびキャップ状本体82aとポンプ81とを連通
するパイプ部82bを備えており、キャップ状本体82
aには、パイプ部82bと連通する軸心方向の油導入孔
82cが設けてあって、Oリング83はキャップ状本体
82aにおける油導入孔82cの周囲でかつ軸本体2の
端面における開口周縁部に圧接する部分にはめ込んであ
る。
【0062】そして、上記回転軸1の軸本体2からスリ
ーブ4とともにロータ3を取り外す際には、まず、軸本
体2の端面にロータ取り外し装置80における治具82
のキャップ状本体82aを装着してロータ取り外し装置
80のポンプ81を作動させ、治具82のパイプ部82
bおよびキャップ状本体82aの油導入孔82cを介し
て軸本体2の軸心孔2aにロータ取り外し油を供給し、
軸心孔2aをロータ取り外し油で充満させた後、軸本体
2の油導通孔2cを通して、軸本体2の段付き嵌合外周
面2bおよびスリーブ4の段付き嵌合内周面4bの各々
の段差部分間における環状油溜め空間5にロータ取り外
し油を供給するようにしている。
【0063】したがって、軸本体2の軸心孔2aが細
く、第1実施例のロータ取り外し装置10における治具
12の円柱状本体12aを嵌合することが困難である場
合であっても、油導通孔2cに対するロータ取り外し油
の供給が確実になされることとなる。
【0064】[第8実施例]図11は本発明の請求項1
3に係わるロータ取り外し装置の一実施例を示してい
る。
【0065】図11に示すように、このロータ取り外し
装置90の治具92は、回転軸1における軸本体2の軸
心孔2aに嵌合する円柱状本体92aおよび円柱状本体
92aとポンプ91とを連通するパイプ部92bを備え
ており、円柱状本体92aには、パイプ部92bと連通
する軸心方向の油導入孔92cおよびこの油導入孔92
cから径方向にのびる油排出孔92dが設けてあって、
Oリング93は円柱状本体92aの外周面にはめ込まれ
て油導通孔2cの周囲でシールするようになっている。
【0066】つまり、この実施例によるロータ取り外し
装置90では、油導通孔2cに対してロータ取り外し油
を供給するに際して、軸心孔2aと円柱状本体92aと
の間への取り外し油の漏出が、油導通孔2cの周囲でか
つOリング93の内側だけに制限されるので、ロータ取
り外し油が少量でよいこととなる。
【0067】[第9実施例]図12は本発明の請求項1
4に係わるロータ取り外し装置の一実施例を示してい
る。
【0068】図12に示すように、このロータ取り外し
装置95が第1実施例におけるロータ取り外し装置10
と相違するところは、シール手段を治具12における円
柱状本体12aの両端面と軸本体2における軸心孔2a
の内周面との間に塗布される凝固性シール剤96として
いる点にあり、他の構成は、第1実施例におけるロータ
取り外し装置10と同じである。
【0069】したがって、この実施例によるロータ取り
外し装置95では、軸本体2における軸心孔2aの内周
面の表面粗さがよくない場合であっても、油導通孔2c
に対するロータ取り外し油の供給が確実になされること
となる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係わるビルトインモータの回転軸では、上記した構成
としたから、ロータをスリーブとともに簡単に取り外す
ことができるのはいうまでもなく、ロータ取り外し油供
給用の孔あけ加工を従来のようにスリーブの軸方向に施
す必要がないので、この孔あけ加工を極めて簡単に行う
ことが可能になって、加工コストの低減を実現でき、加
えて、軸本体の段付き嵌合外周面とスリーブの段付き嵌
合内周面とが互いに圧接すると共に、スリーブの薄肉化
が図られることから、ロータと軸本体との間の熱伝導性
および軸剛性をいずれも向上させることが可能であると
いう極めて優れた効果がもたらされる。
【0071】また、本発明の請求項2に係わるビルトイ
ンモータの回転軸では、上記した構成としたから、ロー
タを簡単に取り外すことができるうえ、請求項1のビル
トインモータの回転軸と同様に、油導通孔の孔あけ加工
を極めて簡単に行うことができ、加えて、ロータおよび
軸本体の間の熱伝導性をより一層向上させることが可能
であると共に、スリーブを省略できる分だけ軸本体を大
径のものとすることが可能であることから、軸剛性の向
上が実現できるという極めて優れた効果がもたらされ
る。
【0072】さらに、本発明の請求項3に係わるビルト
インモータの回転軸において、上記した構成としている
ので、ロータを嵌装したスリーブあるいはロータを簡単
に取り外すことができ、本発明の請求項4に係わるビル
トインモータの回転軸では、例えば、段付き嵌合外周面
および段付き嵌合内周面が、それぞれ小径部分,中径部
分,大径部分を有する3段の段付き嵌合外周面および段
付き嵌合内周面である場合であっても、ロータ取り外し
油の漏出を少なく抑えつつ、ロータの取り外しを確実に
行うことが可能であり、本発明の請求項5に係わるビル
トインモータの回転軸では、油導通孔を複数設ければ、
それだけ油溜め部にロータ取り外し油が流入しやすくな
り、ロータ取り外し油を油溜め部の円周方向に均一に流
入させることが可能であるという極めて優れた効果がも
たらされる。
【0073】さらにまた、本発明の請求項6〜9に係わ
るビルトインモータの回転軸では、例えば、ビルトイン
モータの回転軸をマシニングセンタのスルーホール式の
回転主軸に適用して、軸本体の軸心孔に水溶性切削液を
流すようにした場合、油導通孔を通しての油溜め部への
切削液の浸入を阻止して、段付き嵌合外周面および段付
き嵌合内周面の各々に錆が生じるの防止できるので、ス
リーブあるいはロータの取り外しを確実に行うことがで
き、とくに、本発明の請求項9に係わるビルトインモー
タの回転軸では、工具を用いずに油導通孔の閉塞・開放
を行うことができるという極めて優れた効果がもたらさ
れる。
【0074】一方、本発明の請求項10に係わるロータ
取り外し装置では、上記した構成としているので、ビル
トインモータの回転軸における軸本体からロータを取り
外す場合、取り外し油供給源からのロータ取り外し油を
治具と軸本体との間から漏出させることなく油導通孔に
導くことができ、その結果、スリーブあるいはロータを
効率よくかつ迅速に軸本体から取り外すことが可能であ
り、請求項11に係わるロータ取り外し装置では、軸本
体の軸心孔が細い場合であっても、油導通孔に対するロ
ータ取り外し油の供給を確実に行うことができ、請求項
12に係わるロータ取り外し装置では、油導通孔が円周
方向に複数設けられている場合、軸本体の軸心孔にロー
タ取り外し油を満たすことなく、すなわち、必要最小限
のロータ取り外し油を各油導通孔に対して確実に供給し
て、スリーブあるいはロータを効率よくかつ迅速に軸本
体から取り外すことが可能であり、請求項13に係わる
ロータ取り外し装置では、余分な空間にロータ取り外し
油を満たすことなく油導通孔の個々に対して集中してロ
ータ取り外し油を供給できるので、ロータ取り外し油を
必要最小限で済ますことが可能であり、請求項14に係
わるロータ取り外し装置では、軸本体における端面や軸
心孔の内周面の表面粗さがよくない場合であっても、油
導通孔に対して確実にロータ取り外し油を供給すること
が可能であるという極めて優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるビルトインモータの回転軸の一
実施例を示す断面説明図(a)および図1(a)A−A
線位置での断面説明図(b)である。
【図2】本発明の一実施例によるロータ取り外し装置を
用いて図1に示したビルトインモータの回転軸における
軸本体からスリーブとともにロータを取り外す状況の断
面説明図(a)および軸本体とスリーブとの締めしろを
示す拡大断面図(b)である。
【図3】図1に示したビルトインモータの回転軸におけ
る油導通孔の他の配置例を示す図1(a)A−A線相当
位置での断面説明図である。
【図4】本発明に係わるビルトインモータの回転軸の他
の実施例および本発明に係わるロータ取り外し装置の他
の実施例を示す断面説明図である。
【図5】本発明に係わるビルトインモータの回転軸のさ
らに他の実施例を示す断面説明図である。
【図6】図5に示したビルトインモータの回転軸におけ
るロータの段付き嵌合内周面にワニス被膜を形成する際
に用いられる真空含浸法を説明する斜視図(a)および
滴下含浸法を説明する斜視図(b)である。
【図7】本発明に係わるビルトインモータの回転軸のさ
らに他の実施例を示す断面説明図(a)および図7
(a)B−B線位置での部分断面説明図(b)である。
【図8】本発明に係わるビルトインモータの回転軸のさ
らに他の実施例を示す断面説明図である。
【図9】本発明に係わるビルトインモータの回転軸のさ
らに他の実施例を示す断面説明図である。
【図10】本発明に係わるロータ取り外し装置のさらに
他の実施例を示す断面説明図である。
【図11】本発明に係わるロータ取り外し装置のさらに
他の実施例を示す断面説明図(a)およびロータ取り外
し装置の平面説明図(b)である。
【図12】本発明に係わるロータ取り外し装置のさらに
他の実施例を示す断面説明図である。
【図13】従来におけるビルトインモータの回転軸を示
す断面説明図である。
【図14】従来における他のビルトインモータの回転軸
を示す断面説明図である。
【図15】従来におけるさらに他のビルトインモータの
回転軸を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1,21,41,51,61 ビルトインモータの回転
軸 2,22,52 軸本体 2a,22a,52a 軸心孔 2b,22b,52b 段付き嵌合外周面 2c,22c,52c 油導通孔 3,23,43,53 ロータ 4,24,54 スリーブ 4b,24b,54b 段付き嵌合内周面 5,25,55 環状油溜め空間(油溜め部) 10,30,80,90,95 ロータ取り外し装置 11,31,81,91 ポンプ(取り外し油供給源) 12,32,82,92 治具 12a,32a,92a 円柱状本体 13,33,83,93 Oリング(シール手段) 43c ワニス被膜(絶縁樹脂被膜) 56 ゴム板(弾性体;閉塞手段) 57 ゴム板駆動部(弾性体駆動部;閉塞手段) 66 雌ねじ部(閉塞手段) 67 止めねじ(閉塞手段) 76 熱可塑性樹脂(閉塞手段) 82a キャップ状本体 96 凝固性シール剤(シール手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太 田 稔 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータを嵌装したスリーブと軸本体とを
    嵌合してなるビルトインモータの回転軸において、前記
    軸本体にはその端部で開口する軸心孔および段付き嵌合
    外周面を設けると共に、前記スリーブには前記軸本体の
    段付き嵌合外周面と圧接する段付き嵌合内周面を設け、
    前記軸本体に、互いに圧接する前記段付き嵌合外周面お
    よび段付き嵌合内周面の各々の段差部分間に形成した油
    溜め部と当該軸本体の軸心孔とを連通する油導通孔を少
    なくとも1個設けたことを特徴とするビルトインモータ
    の回転軸。
  2. 【請求項2】 ロータと軸本体とを嵌合してなるビルト
    インモータの回転軸において、前記軸本体にはその端部
    で開口する軸心孔および段付き嵌合外周面を設けると共
    に、前記ロータには前記軸本体の段付き嵌合外周面と圧
    接しかつ絶縁樹脂被膜あるいは表面処理被膜で覆われた
    段付き嵌合内周面もしくはロータコア間の隙間を樹脂で
    封止してなる段付き嵌合内周面を設け、前記軸本体に、
    互いに圧接する前記段付き嵌合外周面および段付き嵌合
    内周面の各々の段差部分間に形成した油溜め部と当該軸
    本体の軸心孔とを連通する油導通孔を少なくとも1個設
    けたことを特徴とするビルトインモータの回転軸。
  3. 【請求項3】 段付き嵌合外周面および段付き嵌合内周
    面の間の小径部分締めしろを大径部分締めしろよりも小
    さくしてある請求項1または2に記載のビルトインモー
    タの回転軸。
  4. 【請求項4】 段差部分を複数有し、段付き嵌合外周面
    および段付き嵌合内周面の間の中径部分締めしろを小径
    部分締めしろおよび大径部分締めしろよりも小さくして
    ある請求項1または2に記載のビルトインモータの回転
    軸。
  5. 【請求項5】 油導通孔は段付き嵌合外周面および段付
    き嵌合内周面の各段差部分の数以上設けてある請求項1
    ないし4のいずれかに記載のビルトインモータの回転
    軸。
  6. 【請求項6】 油導通孔の閉塞手段を備えている請求項
    1ないし5のいずれかに記載のビルトインモータの回転
    軸。
  7. 【請求項7】 閉塞手段は油導通孔を閉塞する弾性体お
    よび前記弾性体を油導通孔に対して接触・離間させる弾
    性体駆動部を具備している請求項6に記載のビルトイン
    モータの回転軸。
  8. 【請求項8】 閉塞手段は油導通孔に形成した雌ねじ部
    および前記雌ねじ部にねじ込まれる止めねじからなって
    いる請求項6に記載のビルトインモータの回転軸。
  9. 【請求項9】 閉塞手段は熱可塑性樹脂である請求項6
    に記載のビルトインモータの回転軸。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9に記載したビルトイ
    ンモータの回転軸における軸本体からロータを取り外す
    ロータ取り外し装置であって、取り外し油供給源と、前
    記回転軸の軸本体に装着されて当該軸本体の油導通孔と
    前記取り外し油供給源とを連通する治具と、前記治具に
    設けられて軸本体との間をシールするシール手段を備え
    たことを特徴とするロータ取り外し装置。
  11. 【請求項11】 治具は軸本体の軸心孔が開口する端面
    に装着されるキャップ状本体を有し、シール手段は前記
    端面における開口の周囲に圧接するOリングとしてある
    請求項10に記載のロータ取り外し装置。
  12. 【請求項12】 治具は軸本体の軸心孔に嵌合される円
    柱状本体を有し、シール手段は前記円柱状本体の円周方
    向にはめ込んだOリングとしてある請求項10に記載の
    ロータ取り外し装置。
  13. 【請求項13】 治具は軸本体の軸心孔に嵌合される円
    柱状本体を有し、シール手段は前記円柱状本体の外周面
    にはめ込まれて油導通孔の周囲でシールするOリングと
    してある請求項10に記載のロータ取り外し装置。
  14. 【請求項14】 治具は軸本体の軸心孔に嵌合される円
    柱状本体を有し、シール手段は前記円柱状本体と前記軸
    本体における軸心孔の内周面との間に塗布される凝固性
    シール剤としてある請求項10に記載のロータ取り外し
    装置。
JP6819395A 1995-03-27 1995-03-27 ビルトインモータの回転軸ならびにロータ取り外し装置 Pending JPH08257805A (ja)

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