JPH08257615A - 熱間圧延機の仕上出側温度制御方法及び装置 - Google Patents

熱間圧延機の仕上出側温度制御方法及び装置

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JPH08257615A
JPH08257615A JP7065721A JP6572195A JPH08257615A JP H08257615 A JPH08257615 A JP H08257615A JP 7065721 A JP7065721 A JP 7065721A JP 6572195 A JP6572195 A JP 6572195A JP H08257615 A JPH08257615 A JP H08257615A
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JP
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temperature
rolling mill
finishing
finish
cooling means
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JP7065721A
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English (en)
Inventor
Takao Hashimoto
高男 橋本
Takayuki Kachi
孝行 加地
Ichiro Maeda
一郎 前田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スキッドマーク等による仕上圧延機入側材料
温度の短周期の変動を吸収して、仕上出側温度の変動を
減らし、形状、材質を向上させる。 【構成】 仕上圧延機の上流側スタンド間のストリップ
クーラントを複数とし、該複数のストリップクーラント
の少なくとも1つを、スキッドマーク等による仕上圧延
機入側材料温度の短周期の変動に対応させて制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延機の仕上出側
温度制御方法及び装置に係り、特に、熱間圧延ライン
で、仕上圧延機のスタンド間に配設された冷却手段によ
り、仕上圧延機出側の材料温度を制御する際に用いるの
に好適な、加熱炉で発生するスキッドマーク等による短
周期の温度変動から生じる仕上出側温度変動を小さくす
ることが可能な、熱間圧延機の仕上出側温度制御方法及
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延ラインにおいて、圧延前に圧延
材(スラブ)を加熱するための加熱炉から抽出されるス
ラブの温度偏差は、加熱炉内のバーナ配置や、加熱炉内
でスラブを支持するスキッドの接触部と非接触部の受熱
量の差等により生じる。この温度偏差は、圧延材の湾曲
及び圧延形状の悪化、製品内厚さ偏差の原因になり、極
力小さいことが望ましい。
【0003】連続式加熱炉の場合、スキッドに接触して
いた部分の温度変化が大きく、一般に20°〜50℃程
度認められ、これをスキッドマークと呼んでいる。この
スキッドマークは、製品の品質、特に材質に及ぼす影響
が大きいため、これを解消する必要がある。
【0004】このスキッドマークを解消するには、加熱
炉内での均熱時間を十分に取るか、スキッドの形状を変
更する等が考えられるが、いずれにしても、スキッドマ
ークを完全に除去することは困難である。
【0005】一方、従来から、熱間仕上圧延機の各スタ
ンド間の圧延材の温度変化を把握する方法として、例え
ば特開昭58−181407に記載されている如く、粗
圧延機出側温度、仕上圧延機入側温度(FET)と温度
降下モデルを用いる方法がある。
【0006】又、特開昭62−6713に記載されてい
る如く、各圧延スタンドから得られる圧下位置、圧延荷
重、入側板厚等の圧延データを用いて、各スタンドでの
圧延材の温度変化量を求め、該温度変化量に基づいて各
スタンド間の冷却水量を求め、該冷却水量に応じて各ス
タンド間の冷却装置を制御して、圧延材の温度を長手方
向に均一にする方法がある。
【0007】更に、特開平4−123808に記載され
ている如く、仕上圧延機より上流側に設置した冷却装置
を制御して、スキッドマークの影響を緩和することも提
案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
58−181407のように、仕上入側温度から、温度
計算により水冷条件を決定する従来方法や、特開昭62
−6713のように、各スタンドの圧延荷重等からスタ
ンド間の冷却水量を決定する方法では、ストリップ冷却
装置であるストリップクーラント(例えば水冷スプレ
ー)の使用順序が、仕上スタンド上流側を優先して常時
使用し、下流側のストリップクーラントをオンオフ制御
して、水冷条件を変更している。従って、スキッドマー
クによる温度変化の影響を緩和するのは、下流側のスト
リップクーラントのオンオフ調整によることとなり、下
流側までスキッドマークによる温度変化の影響が残存す
るため、上流側の圧延スタンドにおける板厚変動等の要
因になっていた。
【0009】一方、特開平4−123808のように、
仕上圧延機より上流側に冷却装置を設ける方法に関し
て、仕上圧延機より上流ラインでは、品質に問題がなけ
れば、仕上圧延できる最低の温度を目標にし、又、生産
性を上げるためにも、粗圧延機から仕上圧延機までは、
通常、高速で通板させる。そのため、仕上圧延機の上流
側に設ける場合には、高応答の冷却装置を使用する必要
があるが、冷却装置の応答性は、1秒程度であり、高応
答性とは言えない。又、仕上圧延機入側に設置される仕
上入側温度計の位置では、冷却後の復熱が完了していな
ければならないが、仕上圧延機入側では、未だ仕上圧延
前で板厚が厚いため、復熱に要する時間も大きい。従っ
て、仕上圧延機より上流側に冷却装置を設けるのは、実
際上困難である。
【0010】一方、出願人は特願平6−289856
で、本発明の前提となる、熱間圧延ラインで、仕上圧延
機のスタンド間に配設された冷却手段により、仕上圧延
機出側の材料温度を制御するための、ホットストリップ
ミルにおける圧延材温度制御方式を提案している。
【0011】しかしながら、この方式は、諸圧延条件を
考慮して、圧延進行と共に温度低下する、いわゆるサー
マルランダウン等を補償するべく、通板開始前に、予め
冷却条件を設定しておくものであり、スキッドマークの
ように短周期で変化する温度変動を考慮してはいなかっ
た。
【0012】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
くなされたもので、スキッドマーク等による仕上圧延機
入側材料温度の短周期の変動を解消することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱間圧延ライ
ンで、仕上圧延機のスタンド間に配設された冷却手段に
より、仕上圧延機出側の材料温度を制御するための熱間
圧延機の仕上出側温度制御方法において、少なくとも上
流側スタンド間の冷却手段を複数とし、該上流側スタン
ド間の複数の冷却手段の少なくとも1つを、スキッドマ
ーク等による仕上圧延機入側材料温度の短周期の変動に
対応させて制御することにより、前記目的を達成したも
のである。
【0014】又、圧延諸条件から予測した仕上圧延機入
側材料温度と、仕上圧延機入側で測定した材料温度を比
較し、その差によって、前記上流側スタンド間の複数の
冷却手段の少なくとも1つの制御状態を決定するように
したものである。
【0015】あるいは、仕上圧延機入側で測定した材料
温度及び圧延諸条件に基づいて仕上圧延機出側の材料温
度を予測し、該予測される仕上圧延機出側材料温度と目
標仕上圧延機出側材料温度とに差がある時は、この差を
小さくするように、前記上流側スタンド間の複数の冷却
手段の少なくとも1つの制御状態を決定するようにした
ものである。
【0016】本発明は、又、熱間圧延ラインで、仕上圧
延機出側の材料温度を制御するための熱間圧延機の仕上
出側温度制御装置において、仕上圧延機のスタンド間に
配設された、少なくとも上流側スタンド間に複数設けら
れた冷却手段と、仕上圧延機入側の材料温度を測定する
温度計と、該温度計で検出された、スキッドマーク等に
よる仕上圧延機入側材料温度の短周期の変動に応じて、
前記上流側スタンド間の複数の冷却手段の少なくとも1
つの制御量を決定する制御手段と、前記温度計で測定し
た材料上の位置をトラッキングして、温度測定位置が、
制御対象冷却手段の位置を通過する時刻に、該制御対象
冷却手段の応答遅れを考慮したタイミングで、該制御対
象冷却手段を作動させるためのトラッキング手段とを備
えることにより、前記目的を達成したものである。
【0017】又、前記上流側スタンド間の複数の冷却手
段を、材料長手方向の同じ場所を同時に冷却しないよう
にして、該冷却手段のオンオフ個数を制御することによ
り、材料長手方向の冷却長を増減するようにしたもので
ある。
【0018】
【作用】本発明においては、熱間圧延ラインで、仕上圧
延機のスタンド間に配設された冷却手段(例えば水冷ス
プレー等のストリップクーラント)により、仕上圧延機
出側の材料温度を制御するに際して、少なくとも上流側
スタンド間の冷却手段を複数(例えば上下にそれぞれ2
つずつ)とし、該上流側スタンド間の複数の冷却手段の
少なくとも1つを、スキッドマーク等による仕上圧延機
入側材料温度の短周期の変動に対応させて制御するよう
にしている。従って、仕上圧延機の下流側の冷却手段に
よらず、上流側の冷却手段によって、スキッドマーク等
による仕上圧延機入側材料温度の短周期の変動を解消す
ることができ、スキッドマーク等による板厚変動を確実
に防止することができる。
【0019】特に、圧延諸条件から予測した仕上圧延入
側材料温度と、仕上圧延機入側で測定した材料温度を比
較し、その差によって、前記上流側スタンド間の複数の
冷却手段の少なくとも1つの制御状態を決定するように
した場合には、制御対象冷却手段の制御状態を容易に決
定することができる。
【0020】又、仕上圧延機入側で測定した材料温度及
び圧延諸条件に基づいて仕上圧延機出側の材料温度を予
測し、該予測される仕上圧延機出側材料温度と目標仕上
圧延機出側材料温度とに差がある時は、この差を小さく
するように、前記上流側スタンド間の複数の冷却手段の
少なくとも1つの制御状態を決定するようにした場合に
は、材料の速度変動が大きい場合でも、対応可能であ
る。
【0021】更に、圧延機入側の温度計で測定した材料
上の位置をトラッキングして、温度測定位置が、制御対
象冷却手段の位置を通過する時刻に、該制御対象冷却手
段の応答遅れを考慮したタイミングで、該制御対象冷却
手段を作動させるためのトラッキング手段を備えた場合
には、タイミングを合せた的確な制御が可能である。
【0022】即ち、仕上圧延機入側の温度計測定値と測
定点をトラッキングしていき、仕上ミル内の冷却装置の
前段にあり、且つ複数設置されている冷却装置直下に、
温度計測定点が到達したときに、温度計測定温度から判
断できる補正量を冷却装置に与え、具体的にはストリッ
プクーラントをオン/オフさせることで、トラッキング
された位置の温度を調整することにより、スキッドマー
クの影響を緩和できる。
【0023】又、前記補正量の決定に際しては、例えば
制御間隔毎に仕上入側温度と鋼板上の位置における基準
温度を比較し、その差から補正量を決定し、仕上ミル前
段の冷却装置を通過するタイミングをトラッキング機能
により求めて、冷却量を増加させる、又は減少させる等
の補正を行うことにより、仕上圧延機出側温度の変動を
減らし、仕上出側目標温度に近づけることができる。
【0024】あるいは、前記補正量の決定に際して、例
えば制御間隔で仕上入側温度を測定し、予定の冷却条件
から仕上出側温度を温度計算により求め、該仕上出側温
度と目標仕上出側温度との差を求め、その差が小さくな
るように仕上ミル前段の冷却装置に補正量を与える。そ
の補正量が正しいかの判断を、予定の冷却条件に補正量
を加えて温度計算を行い、更に補正を加える必要がある
か判断し、補正の必要があれば補正量を変更して温度計
算をやり直し、又、これ以上補正の必要がなくなれば、
その補正量により、仕上ミル前段の冷却装置を通過する
タイミングをトラッキング機能により求めて、冷却量に
補正を加え、仕上出側温度の変動を減らし、仕上出側目
標温度に近づけることができる。
【0025】又、前記上流側スタンド間の複数の冷却手
段が、材料長手方向の同じ場所を同時に冷却しないよう
にして、該冷却手段のオンオフ個数を制御することによ
り、材料長手方向の冷却長を増減するようにした場合に
は、複数の冷却手段が材料長手方向の同じ場所を同時に
冷却して、冷却密度を高める場合よりも、冷却能力を増
大することができる。
【0026】
【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0027】本実施例が適用される熱間仕上圧延機は、
例えば図1に示す如く、第1仕上スタンド21〜第7仕
上スタンド27を有する7スタンドの熱間仕上圧延機2
0と、その入側に設けられた、圧延材10表面のスケー
ルを除去するためのデスケーリング装置30と、更にそ
の入側(即ち粗圧延機の出側)に設けられた入側温度計
32と、仕上圧延機20の出側の圧延材10の温度を検
出するための出側温度計34とを備えている。
【0028】前記仕上圧延機20の各スタンド間には、
少なくとも上下1つずつのストリップクーラント(水冷
スプレー)40〜46、50〜56が設けられている。
本実施例では、第1仕上スタンド21と第2仕上スタン
ド22の間のストリップクーラントが、上下それぞれ2
個ずつ(40、41と50、51)設けられ、そのう
ち、第1仕上スタンド21に近い上流側のストリップク
ーラント40、50が、初期設定時にオンとされ減量補
正時に順次オフとされる制御対象クーラントとされ、下
流側のストリップクーラント41、51が、初期設定時
にオフとされ、増量補正時に順次オンとされる制御対象
クーラントとされている。
【0029】更に、前記入側温度計32による温度検出
位置をトラッキングするためのトラッキング装置60、
各ストリップクーラントのオンオフ状態を個別に制御す
るためのストリップクーラント制御装置62、及び、こ
れらを総合的に制御するプロセスコンピュータ64が設
けられている。
【0030】前記入側温度計32は、例えば放射温度計
とされている。即ち、圧延機の入側には、品質向上のた
めにデスケーリング装置30が配設されており、圧延材
10が、この仕上入側のデスケーリング装置30を通過
する前でないと、デスケーリング装置による放射水の影
響で鋼板表面温度が正しく測定できないので、入側温度
計32は、デスケーリング装置30の上流側に設置す
る。なお、粗圧延機を終了して間もない圧延材も復熱過
程にあり、正しく表面温度を測定することができない。
従って、仕上入側温度を測定する温度計32の位置は、
仕上圧延機20のデスケーリング装置30の上流で、且
つ、粗圧延機からできるだけ離れたところとする。
【0031】第1仕上スタンド21と第2仕上スタンド
22の間に設けられた、本発明に係る冷却手段は、板長
手方向に上下それぞれ個別にオンオフ可能な2個のスト
リップクーラント40、41、50、51とされてい
る。なお、制御対象クーラントを配設する位置はこれに
限定されず、例えば第2仕上スタンド22と第3仕上ス
タンド23の間に上下それぞれ2個ずつのストリップク
ーラントを設けてもよいし、第1仕上スタンド21と第
2仕上スタンド22の間、及び、第2仕上スタンド22
と第3仕上スタンド23の間の両者に、それぞれ上下2
個ずつのストリップクーラントを設けて、制御対象クー
ラントを増やしてもかまわない。更に、全スタンド内に
上下2個ずつのストリップクーラントを設けて、全て制
御対象クーラントとしても良い。
【0032】前記第1仕上スタンド21と第2仕上スタ
ンド22の間の同じ側に設けられた2つのストリップク
ーラント(例えば上側の40と41)から噴射される冷
却水は、図2に示す如く、板長手方向の別々の場所A、
Bにあたるようにし、冷却水のあたる中心位置a、b
を、予め測定により把握しておき、トラッキング可能な
ようにしておく。このように冷却水のあたる場所が異な
ることにより、実際の冷却長が長くなり、同じ水量であ
れば、同じ場所に冷却水があたるようにして、単純に冷
却水を増加させる場合よりも、冷却能力が増加して、効
率がよい。
【0033】図2において、70は、仕上スタンド間の
圧延材10に所定の張力を与えるためのルーパである。
【0034】前記トラッキング装置60は、入側温度計
32が設けられた仕上入側温度測定地点において、圧延
材10を搬送しているテーブルローラ(図示省略)の回
転数又は回転速度を積分又は加算することによって、圧
延材10の進行長を求める。更に、各圧延スタンドで圧
延開始してからの圧延ロールの回転速度とワークロール
半径、先進率から、圧延材10の進行長を求める。但
し、圧延材10は、圧延される度に板厚が変化するの
で、温度測定点をトラッキングするために、例えば仕上
圧延機出側の板厚に相当する長さで統一してトラッキン
グする。そのため、各部分の進行長Li、各部分の板厚
tiと、仕上圧延機出側の板厚toを用いて、次式によ
り仕上圧延機出側の長さLoに換算する。
【0035】 Lo=Li×(ti/to) …(1)
【0036】前記ストリップクーラント制御装置62で
は、まず、出願人が既に特願平6−289856で提案
したような方法に従って、圧延材先端の温度、速度、板
厚、鋼種等に応じて、圧延材が入ってくる前に、冷却パ
ターンを初期設定する。本発明による補正がなければ、
この設定パターンに従って、ストリップクーラントのオ
ンオフ順序やタイミングが制御される。なお、この際、
ストリップクーラントの噴射順序は、仕上スタンド21
と22の間のストリップクーラント40、41、50、
51に関してのみ、仕上スタンド21に近い方のストリ
ップクーラント40、50しか噴射しないように初期設
定しておく。なお、設定冷却条件によって、ストリップ
クーラントを全部噴射する必要がある場合には、この限
りではない。
【0037】入側温度計算時による温度測定の結果、ス
キッドマーク等により、ストリップクーラントからの噴
射量を短周期で増やす補正を行う必要がある場合には、
仕上スタンド21と22の間にあるストリップクーラン
トのうち、初期設定で噴射していないもの(例えばスト
リップクーラント41と51)を、補正量に相当する数
だけ噴射する。補正可能量は、ストリップクーラントの
数で1又は2である。増加可能なクーラントの数は2ま
でしかないので、3以上は無効になる。一方、入側温度
計32で検出される温度が目標値よりも低く、ストリッ
プクーラントからの噴射量を減らす補正を行う必要があ
る場合には、逆に、既に噴射しているもの(例えばスト
リップクーラント40と50)を必要に応じて噴射停止
すればよい。
【0038】このようにして、予定されたストリップク
ーラントの噴射設定に対して、仕上入側温度の実測値か
らスキッドマークによる温度変動分を減小させ、仕上出
側温度(FDT)の変動を減小させることができる。
【0039】次に、入側温度計32によって検出される
仕上入側温度(FET)から補正量を決定する方法の実
施例について、具体的に説明する。
【0040】まず、仕上設定計算で、鋼板が仕上圧延機
に進入する前に、ストリップクーラントの切り換えタイ
ミングを決定しておく。この切り換えタイミングを決定
するために、その鋼板の仕上入側温度を代表する温度が
必要になる。
【0041】補正量決定の第1実施例では、図3に示す
如く、鋼板先端付近の温度が測定できる場合には測定値
(ステップ100)、鋼板が仕上入側温度計直下に行く
前は、粗出側温度計と仕上入側温度計までの予定搬送時
間を用いて温度計算した予測値、粗出側温度計でも測定
できないときは、設定計算で加熱抽出温度の計算値等か
ら、仕上入側まで温度計算して求めた値を、仕上入側の
鋼板先端温度Ttとする。
【0042】仕上入側の鋼板先端温度から予測される長
手方向の基準温度Trは、仕上圧延の速度変化に応じた
温度降下量を計算して求める。具体的には、鋼板先端が
仕上入側温度計を通過(又は仕上圧延機に進入)してか
らの経過時間tを計算し(ステップ110)、次いで、
この経過時間tを用いて、次式により基準温度Trを計
算する(ステップ120)。
【0043】Tr=Tt−k・t …(2)
【0044】ここで、kは、鋼種、板厚で決定される、
鋼板長手方向の温度低下割合を表わすサーマルランダウ
ン係数である。
【0045】この(2)式で求めた温度を鋼板の基準温
度Ttとして、ステップ130で、実際の測定温度Tm
と比較し、温度差ΔTを求める。図4に、基準温度Tt
と測定温度Tmの関係の例を示す。
【0046】この温度差ΔTが、鋼種、板厚、温度圧延
速度パターン等で決定される閾値を越えた場合に、補正
が必要と判断する。図5に、温度差ΔTと閾値1、2の
関係の例を示す。
【0047】前記閾値1、2は、例えば次のような方法
で決定することができる。即ち、ストリップクーラント
1個当りの仕上出側温度FDTに及ぼす冷却効果SCを
(ΔFDT/ΔSC)とし、仕上入側温度FETの変動
が仕上出側温度FDTに及ぼす影響を(ΔFDT/ΔF
ET)とする。これらは、板厚、鋼種、圧延速度、温度
により変化するが、例えば(ΔFDT/ΔSC)=5
(℃/ストリップクーラント1個)で、(ΔFDT/Δ
FET)=0.5である場合、閾値1を、次式によって
求めることができる。
【0048】 閾値1=(ΔFDT/ΔSC)/(ΔFDT/ΔFET) =10(℃/ストリップクーラント1個) …(3)
【0049】又、閾値2は、閾値1の2倍とすることが
できる。なお、温度変動が細かく、閾値1によるストリ
ップクーラントの変動が多くなり過ぎる場合には、閾値
1だけ、(3)式による計算値よりも大きくすることが
できる。
【0050】具体的には、ステップ140で、測定され
た仕上入側温度と基準温度の差ΔTの絶対値が、閾値1
以上であるか否かを判定する。判定結果が否である場合
には、補正は行わない。
【0051】一方、ステップ140の判定結果が正であ
り、温度差ΔTの絶対値が閾値2未満であるか否か判定
する。判定結果が正であるとき、即ち、温度差ΔTの絶
対値が閾値1以上閾値2未満であるときには、ステップ
160に進み、ストリップクーラント1個を補正量とす
る。
【0052】一方、前出ステップ150の判定結果が否
であり、温度差ΔTの絶対値が閾値2以上であると判断
されたときには、ステップ170に進み、ストリップク
ーラント2個を補正量とする。
【0053】次いでステップ180に進み、温度差ΔT
の正負によって、ストリップクーラントを増加させるか
減小させるかを決定する。即ち、測定温度Tmの方が基
準温度Trより高い場合には、噴射するストリップクー
ラントの数を増加し、逆に測定温度Tmの方が基準温度
Trよりも低い場合には、噴射するストリップクーラン
トの数を減らす。図6に、ストリップクーラントの増減
状態の例を示す。
【0054】ここで、上下のストリップクーラント4
1、51のいずれも補正対象とすることが可能である場
合には、なるべく下側のストリップクーラント51をオ
ンとするようにする。これは、上側のストリップクーラ
ント41よりも下側のストリップクーラント51の方
が、噴射された水の板乗りがなく、切れが良いからであ
る。
【0055】次いでステップ190に進み、温度測定点
がストリップクーラントの直下又は直上に来る時刻を計
算する。次いでステップ200で、鋼板の対応位置が、
補正するストリップクーラントの位置に到達する時刻
と、変更するストリップクーラントを、時系列データに
記録しておく。
【0056】以上の処理を、制御周期毎に繰り返す。例
えば、仕上入側温度検出点から仕上圧延後の鋼板で5.
67mに相当する板長さ毎に定長トラッキングを行うこ
とができる。又、登録する時刻は、ストリップクーラン
トの応答遅れを考慮し、本実施例では、0.5秒速く噴
射量を変更するようにしている。
【0057】図3のようにして決定された補正量に応じ
て、ストリップクーラント制御装置62は、時系列デー
タ中の時刻と現在時刻を監視し、時刻が一致したタイミ
ングで、補正量分のストリップクーラントの噴射を変更
する。但し、それ以前に補正されていた量が、今回の補
正量と等しい場合には、変更はしない。
【0058】この方法によって得られた結果を、図7及
び図8に示す。本発明の実施前は、図7に示す如く、仕
上出側温度FDTが目標温度±10℃を越えて変動して
いたものは、第1実施例実施後は、図8に示す如く、仕
上出側温度の変動量が小さくなっていることが分かる。
【0059】なお、前記第1実施例においては、単純に
閾値によってストリップクーラントの切り換えを行って
いたが、この方法では、同一圧延材で速度変動が大きい
場合、理想的な閾値の変動が大きくなり、対応すること
が困難である。このような場合には、図9に示す第2実
施例の如く、温度測定点が仕上出側へ到達するまでのス
トリップクーラント噴射量、通過時間、圧延条件を、初
期設定パターンより得て(ステップ210)、測定点の
速度変動を予測し、ステップ205で測定した仕上入側
温度から、仕上出側の温度を計算して仕上出側温度予測
値を求める(ステップ220)。次いでステップ230
に進み、このようにして予測された仕上出側温度予測値
と目標温度の差ΔTを求め、ステップ240で、この温
度差ΔTが正であれば、ステップ250に進み、ストリ
ップクーラントを1個増加させた場合の仕上出側温度を
求めて、ステップ260で、この新しい仕上出側温度予
測値と目標温度の差ΔTを求める。次いでステップ27
0に進み、温度差ΔTが依然として正である場合には、
ステップ280に進み、更にストリップクーラントを1
個増加させて、新しい仕上出側温度を求める。
【0060】一方、前出ステップ240の判定結果が否
であり、温度差ΔTが0以下であると判断されるときに
は、ステップ290に進み、ストリップクーラントを1
個減小させた場合の仕上出側温度を求める。次いでステ
ップ300に進み、ステップ290で求められた新しい
仕上出側温度予測値と目標温度の差ΔTを求める。次い
でステップ310に進み、差ΔTが0未満であるか否か
判定し、判定結果が正である場合には、ステップ320
へ進み、更にストリップクーラントを1個減小させて、
新しい仕上出側温度を求める。
【0061】ステップ280、320終了後、又はステ
ップ270、310の判定結果が否である場合には、ス
テップ330に進み、目標温度に近いストリップクーラ
ントの増減数(例えば0、±1、±2個)を選択して、
補正量とする。以下の手順は、図3のステップ190及
び200と同じである。
【0062】本発明実施前の仕上出側温度の変動状態が
図10に示す如くであったのが、図9の第2実施例の方
法で制御を行うことにより、仕上出側温度の変動を、図
11に示す如く、目標温度±10℃以内に収めることが
できた。ここで、先端部では圧延速度が小さい(例えば
600mpm)ので、スキッド間の圧延時間は長く、尾
端部では圧延速度が大きい(例えば900mpm)の
で、スキッド間の圧延時間は短くなっている。スキッド
部の長さの間隔は、ほぼ等間隔である。
【0063】本実施例においては、同期スタンド速度が
600mpmから900mpmに加速する圧延材におい
ても、仕上出側温度の変動は小さくなり、優れた効果が
得られることが分かる。
【0064】なお、前記実施例においては、スキッドマ
ーク等による短周期の変動に対応させて制御するストリ
ップクーラントが、第1圧延スタンドと第2圧延スタン
ドの間に2個ずつ設けられていたが、制御対象クーラン
トの数や配設位置はこれに限定されず、例えば3個以上
設けたり、他の圧延スタンド間に設けることも可能であ
る。
【0065】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
スキッドマーク等による仕上圧延機入側材料温度の短周
期の変動を解消して、仕上出側温度の変動を小さくでき
るので、板厚精度が向上する。更に、仕上出側温度が安
定することから、熱間圧延ラインの最後で鋼板を巻き取
っている巻取機の巻取温度制御精度も向上し、材質面で
も優れた鋼板を製造することが可能になるという優れた
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例が適用される熱間圧延機の全体
構成を示す工程図
【図2】図1の第1仕上スタンドと第2仕上スタンドの
間を拡大して示す斜視図
【図3】本発明のストリップクーラント補正量決定手順
の第1実施例を示す流れ図
【図4】第1実施例における、圧延材長手方向の基準温
度と仕上入側温度実測値の関係の例を示す線図
【図5】同じく基準温度と測定温度の差の変化状態の例
を示す線図
【図6】同じくストリップクーラントの補正量の変化状
態の例を示す線図
【図7】本発明を実施する前の仕上出側温度の変化状態
の例を示す線図
【図8】図7と同じ対象に対して、図3に示す第1実施
例の処理を行った場合の仕上出側温度の変化状態の例を
示す線図
【図9】本発明のストリップクーラント補正量決定手順
の第2実施例を示す流れ図
【図10】本発明を実施する前の仕上出側温度の変化状
態の他の例を示す線図
【図11】図10と同じ対象に対して、図9に示す第2
実施例の処理を行った場合の仕上出側温度の変化状態の
例を示す線図
【符号の説明】
10…圧延材 20…熱間仕上圧延機 21〜27…仕上スタンド 32…入側温度計 40〜46、50〜56…ストリップクーラント 60…トラッキング装置 62…ストリップクーラント制御装置 64…プロセスコンピュータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱間圧延ラインで、仕上圧延機のスタンド
    間に配設された冷却手段により、仕上圧延機出側の材料
    温度を制御するための熱間圧延機の仕上出側温度制御方
    法において、 少なくとも上流側スタンド間の冷却手段を複数とし、 該上流側スタンド間の複数の冷却手段の少なくとも1つ
    を、スキッドマーク等による仕上圧延機入側材料温度の
    短周期の変動に対応させて制御することを特徴とする熱
    間圧延機の仕上出側温度制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、圧延諸条件から予測し
    た仕上圧延機入側材料温度と、仕上圧延機入側で測定し
    た材料温度を比較し、その差によって、前記上流側スタ
    ンド間の複数の冷却手段の少なくとも1つの制御状態を
    決定することを特徴とする熱間圧延機の仕上出側温度制
    御方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、仕上圧延機入側で測定
    した材料温度及び圧延諸条件に基づいて仕上圧延機出側
    の材料温度を予測し、該予測される仕上圧延機出側材料
    温度と目標仕上圧延機出側材料温度とに差がある時は、
    この差を小さくするように、前記上流側スタンド間の複
    数の冷却手段の少なくとも1つの制御状態を決定するこ
    とを特徴とする熱間圧延機の仕上出側温度制御方法。
  4. 【請求項4】熱間圧延ラインで、仕上圧延機出側の材料
    温度を制御するための熱間圧延機の仕上出側温度制御装
    置において、 仕上圧延機のスタンド間に配設された、少なくとも上流
    側スタンド間に複数設けられた冷却手段と、 仕上圧延機入側の材料温度を測定する温度計と、 該温度計で検出された、スキッドマーク等による仕上圧
    延機入側材料温度の短周期の変動に応じて、前記上流側
    スタンド間の複数の冷却手段の少なくとも1つの制御量
    を決定する制御手段と、 前記温度計で測定した材料上の位置をトラッキングし
    て、温度測定位置が、制御対象冷却手段の位置を通過す
    る時刻に、該制御対象冷却手段の応答遅れを考慮したタ
    イミングで、該制御対象冷却手段を作動させるためのト
    ラッキング手段と、 を備えたことを特徴とする熱間圧延機の仕上出側温度制
    御装置。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記上流側スタンド間
    の複数の冷却手段が、材料長手方向の同じ場所を同時に
    冷却しないようにして、該冷却手段のオンオフ個数を制
    御することにより、材料長手方向の冷却長を増減するよ
    うにされていることを特徴とする熱間圧延機の仕上出側
    温度制御装置。
JP7065721A 1995-03-24 1995-03-24 熱間圧延機の仕上出側温度制御方法及び装置 Pending JPH08257615A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008221282A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Sumitomo Metal Ind Ltd 熱延鋼板の製造装置及び製造方法
TWI731809B (zh) * 2020-10-21 2021-06-21 中國鋼鐵股份有限公司 改善鋼條捲溫震盪的控制方法

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JP2008221282A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Sumitomo Metal Ind Ltd 熱延鋼板の製造装置及び製造方法
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