JPH08257492A - 塗膜密着性、耐パンチング性及び耐プレッシャーマーク性に優れたガードフィルムフリー型の鮮映性プレコート鋼板 - Google Patents

塗膜密着性、耐パンチング性及び耐プレッシャーマーク性に優れたガードフィルムフリー型の鮮映性プレコート鋼板

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JPH08257492A
JPH08257492A JP6266695A JP6266695A JPH08257492A JP H08257492 A JPH08257492 A JP H08257492A JP 6266695 A JP6266695 A JP 6266695A JP 6266695 A JP6266695 A JP 6266695A JP H08257492 A JPH08257492 A JP H08257492A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 本発明はオーディオやクッキング商品の外箱
用として多用される分野で要求される耐パンチング性及
び耐プレッシャーマーク性に優れたガードフィルムフリ
ー型の鮮映性プレコート鋼板を提供する。 【構成】 めっき表面粗さが制御された亜鉛素又はアル
ミニウム系めっき鋼板の表面にNi,Co,Fe,Z
v,Sb,V,Mo,Wの少くとも一種以上からなる金
属皮膜を形成し、その上層にクロメート組成物を形成
し、さらにその上層にプライマー塗膜を形成したのち、
最上層の塗膜としてメラミン硬化型高分子ポリエステル
樹脂に、有機樹脂粒子の骨材とポリエチレンワックスの
滑剤を含有したトップ塗膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にオーディオ製品や
クッキング製品等の家電製品に要求される鮮映性の高い
プレコート鋼板のガードフィルムフリー化およびパンチ
ング機械加工における耐孔開け性(耐パンチング性)を
両立付与した鮮映性プレコート鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電や自動車分野における塗装鋼
板の低コスト化ニーズは高く、ポストコートのプレコー
ト化が一段と進む中、連続パンチング加工による耐孔開
け性(以下、単に耐パンチング性という。)及び圧痕転
写疵の発生がない耐プレッシャーマーク性(以下、単に
耐PM性という。)を両立したガードフィルムフリー型
プレコート鋼板の市場要求が高まりつつある。特にオー
ディオやクッキング製品の外板に多用される鮮映性の高
いプレコート鋼板(以下、単にプレコートという。)に
あっては、需要家での製品成形過程において生ずるトッ
プ塗膜の取扱い疵に対し、その防止策としてプレコート
を製造する側では、鮮映性の高いトップ塗装面側に膜厚
が数10〜数100μmのガードフィルムを別途貼付し
て市場提供しているためコスト高となっている。一方、
該フィルムは製品加工後に剥いでゴミ焼却等などの後処
置が必要で、資源の活用化や地球環境的視野においても
プリペイント鋼板のノンガード化要請は近年ますます強
まりつつあるのが現状である。
【0003】ところが、製造側としてこのガードフィル
ムフリー型プレコート鋼板を高生産性のライン下で製造
する場合には、切り板製品になるまでの間はコイル製品
として一旦床置され在庫されることが多いが、問題はこ
の期間でのコイル自重による塗装面への圧痕転写疵(プ
レッシャーマーク)が発生する危険性があり、この改善
対策がコイル製品の床置方法を含めてプレコート鋼板の
塗膜に課せられる。同様な耐PM性の付与についてはプ
レコート製造側の一次製品以外にもあって、需要家での
最終加工製品の輸送時の梱包材による製品外観維持は必
須条件であり、そのための耐PM性の付与要求は根強い
ものがある。ガードフィルムフリーではコイル単重によ
っては床との接触部分の塗膜に板巾方向に線状又は帯状
の圧痕マークが少なからず発生し、これがコイル長手方
向に一定ピッチで発生し生産性の大幅低下を招くため、
この点での塗膜の耐PM性の向上が最大の解決課題であ
る。
【0004】又、さらにはこの耐PM性を付与したプレ
コートにあっては他の塗膜性能に支障なく機械加工によ
る連続孔開け性(耐パンチング性)が基本的にクリアー
することが要求され、塗膜への耐パンチング性と耐PM
性を両立することが必須となる。ここで耐パンチング性
について定義する。耐パンチング性とは塗膜との擦過に
よるパンチング用金型の耐損耗性を言うが、これに伴っ
て生じる鋼板の孔周辺端部のバリ発生、或はパンチング
時に発生する粉末化した剥離塗膜の金型付着によって生
ずる塗装面への押疵防止をも含めていう。従ってこの耐
パンチング性向上にあたっては、塗膜密着性の向上を含
めた皮膜設計が必要となる。こうした意味では、従来技
術で耐パンチング性および耐PM性を両立付与した鮮映
性プレコート鋼板或いはその製造方法において開示され
た従来技術は殆ど見当たらないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来技術
にあって、本願発明は塗膜密着性を含めた耐パンチング
性と耐PM性を両立したガードフィルムフリー型の鮮映
性プレコートを安価で市場提供しようとするものであ
り、生産者から需要家での最終商品化に至るまで、一貫
して耐PM性及び耐パンチング性の優れたプレコートで
なければならない。そのためには以下のような塗装下地
処理及び塗膜改質にあたっての技術課題が挙げられる。
まず下地原板としてめっき表面の粗さ制御(塗装外観
の鮮映化)、下地クロメート皮膜の原板素地に対する
密着性の向上(塗膜密着性、耐パンチング性)が必要で
ある。一方塗膜側ではコイル製品或いは加工製品の保
管及び輸送環境に呼応した塗膜への耐弾力性及び耐圧強
度の付与(耐PM性の付与)、金型寿命を低下させる
恐れのある塗膜中硬質骨材の軟質化(耐PM性の付
与)、他の塗膜性能を犠牲にない等これらを全ての塗
膜性能を満足するプレコートでなければならない。
【0006】すなわち、基本的に下地クロメート皮膜の
素地密着性を上げて、かつ適度に硬くて弾力性に富んだ
塗膜の設計が要求される。そのためには、先ずめっき表
面粗さ(Ra)を特定範囲に制御した下地めっき原板を
基板とし、この原板に対するクロメート皮膜の密着性を
上げて剥離塗膜のパンチング金型への付着を抑制する必
要があるが、そのためにはクロメート皮膜の前処理とし
て特定金属でなるフラッシュめっき皮膜が効果的である
こと、かつ塗膜のガラス転移点(以下、単にTgとい
う。)を特定範囲に制御し、且つ耐衝撃性を高めて弾力
性に富む形の塗膜設計が耐パンチング性向上の上で基本
的に必要であるが、そのためには塗膜中の骨材の軟質化
として、バインダーの主樹脂と殆ど溶解または反応しな
い樹脂タイプの有機骨材の適用が必須で、従来技術で多
用される耐パンチング性の劣化因子である結晶化度の高
い硬質の無機系骨材(シリカ粒)の塗膜からの系外排除
が必要となる。また安定した表側トップ塗膜の耐PM性
を得るためには、特に裏面塗膜の表面状態、例えば裏面
塗膜の外観光沢をトップ塗膜の光沢度以下に制御するこ
とが必要である、などの知見に基づき本願発明を提案す
るに至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上のような従来技術の
欠点を解消し又、最近の市場ニーズであるプリペイント
鋼板の低コスト化に対応した商品として本願発明は次の
ような技術思想に基き、耐パンチング性と耐PM性を両
立付与した鮮映性プレコートの塗膜設計について適性化
を図ったものである。 原板として、めっき表面粗さを特定する(塗膜外観の
鮮映化)、 下地クロメート皮膜の素地に対する密着性向上には、
クロメート皮膜の組成及び付着量の適性化が必要のほ
か、特にクロメート皮膜の下層に特定の金属皮膜が必要
である(パンチング時の塗膜剥離防止)、 トップ塗膜への弾力性付与による耐パンチング性の付
与 有機系樹脂骨材の粒径および配合量の適正化 トップ塗膜への耐PM性の付与 樹脂Tg、バインダー樹脂の分子量および配合量の適正
化、 裏面塗膜の光沢制御によるトップ塗膜の耐PM性の高
位安定化にある。
【0008】以下、本願発明の皮膜構成について先ず説
明する。本願発明は、先ずめっき表面粗さを特定した原
板を基板とし、その上層に表裏とも成分を特定したクロ
ム組成物を特定量塗布して形成する。次にその上層の塗
膜形成にあたり、表側(トップ塗膜)は適宜なプライマ
ー塗膜とその上層にトップ塗膜として成分構成を特定し
てなる耐パンチング性と耐PM性を両立付与した2C2
Bの塗膜でなる。またその裏面は表面光沢度を特定した
1C1Bの塗膜でなる。
【0009】これら皮膜構成の詳細について以下に示
す。本願発明の鮮映性塗装鋼板とするには、まずめっき
原板としてめっき表面粗さをRaで0.5μm以下に制
御したものを基板とすることを必須とし、該表面粗さの
制御方法については従来技術の範疇であってもよい。な
お本発明に適用される原板としては、亜鉛系めっき鋼板
としては公知のめっき方法によって得られる何れであっ
てもよく、例えば電気めっき系では、Znめっき、合金
元素がNi,Cr,Feのいずれか一種以上からなるZ
n系合金めっき鋼板が用いられてよい。また、電気めっ
き系においては、Zn−Ni,Zn−FeをベースにS
iO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,BaCrO4 等の金属酸
化物を均一分散析出させてなるZn系分散合金めっき鋼
板が用いられてよい。さらに、溶融めっき系において溶
融亜鉛めっき鋼板、Zn−Al系合金めっき鋼板及びそ
れらの熱拡散による合金化処理した亜鉛めっき鋼板が適
用されてよい。
【0010】次に、このように表面粗さが制御された該
めっき原板の表面には、Ni,Co,Fe,Zr,S
b,V,Mo,Wの少なくとも一種以上からなる金属皮
膜が3〜50mg/m2 形成され、その上層に総Cr量
比でCr3+が10〜50%、一次平均粒径3〜50mμ
の気相シリカが総Cr量比で0.5〜2.0でなるクロ
メート組成物が総Cr付着量として10〜150mg/
2 形成してなることを特徴とする。またその上層にプ
ライマー塗膜を固形皮膜として1〜10μm、最上層の
塗膜として塗膜のガラス転移点(Tg)が5〜70℃、
平均分子量が15000〜50000のメラミン硬化型
高分子ポリエステル樹脂が固形分重量比で30〜90
%、この樹脂に殆ど融合しない一次平均粒径2〜50μ
mの有機樹脂粒子が骨材として固形分重量比で1〜50
%及び滑剤として融点が80〜130℃のポリエチレン
ワックスが固形分重量比で1〜5%含有してなることを
特徴とした塗料組成物を一定膜厚に形成してなることを
特徴とした表側塗膜の耐パンチング性及び耐PM性に優
れたガードフィルムフリー型の鮮映性プレコート鋼板で
ある。
【0011】さらには、裏面塗膜の表面光沢度が少なく
とも表側トップ塗膜の50〜100%に制御してなるこ
とを特徴とする耐パンチング性及び塗膜密着性に優れた
ガードフィルムフリー型の鮮映性黒色プレコート鋼板で
ある。その骨子は次の通り。 原板のめっき表面粗さを特定して塗装外観の高鮮映化
を図った点、 耐パンチング性の安定維持にあたってパンチ孔エッジ
周辺部の塗膜密着性を上げるために下地クロメート皮膜
の素地に対する密着性を向上させる必要があり、その機
能としてクロメート皮膜の下層に特定の金属皮膜を設け
た点、 塗膜の耐PM性の付与にあたっては樹脂のTgと分子
量を特定範囲に設け、これによって塗膜に適宜な硬さと
弾力性を付与した点、 金型摩耗を抑制して耐パンチング性を向上するにあた
り、塗膜骨材として平均粒径を特定した有機樹脂粒子を
適用した点、 裏面塗膜の表面光沢度を少なくとも表側トップ塗膜と
同等以下に制御することによって、トップ塗膜の耐PM
性を安定して得る点。 尚、本願発明のトップ塗膜設計にあっては、必要に応じ
た塗膜の着色化は特にこだわることはなく、自在に行わ
れてよく、またメタリック化および外観光沢等、トップ
塗膜としての意匠性付与についても特段制限されるもの
ではない。
【0012】
【作用】以下に本願発明鋼板の皮膜構成因子に対する作
用限界について述べる。 (1)原板のめっき表面粗さ 本願発明のプリペイント鋼板が表側トップ塗装面(2C
2B塗装)の塗装外観の鮮映性を商品価値の一つとする
以上、基板としてはできるだけ表面平滑度の高いめっき
原板が必須となる。従って、めっき表面粗さについては
できるだけ小さく制御することが肝要であるが、本願発
明にあっては平均表面粗さがRaで0.5μm以下、好
ましくは0.2μm以下がよい。
【0013】(2)クロメート皮膜下層の金属皮膜 本願発明でいう金属皮膜の作用は、クロメート皮膜の下
層にあってクロメート皮膜の素地密着性を向上し、又、
クロメート皮膜と上層塗膜との密着性を向上させるため
にある。特に、このクロメート皮膜の素地に対する密着
性の向上は、プリペイント鋼板としての連続パンチング
作業時における塗膜剥離を抑制し、耐パンチング性を飛
躍的に向上させる上で不可欠の皮膜である。この機能を
発揮する金属系としては、Ni,Co,Fe,Zr,S
b,V,Mo,Wの少なくとも一種以上からなり、皮膜
の適正付着量として3〜50mg/m2 形成されればよ
い。なお本願発明にあって該金属皮膜を得る手段として
は公知技術の範疇でよく、化学めっきや電気めっきとい
った手法が用いられてよい。
【0014】また該金属皮膜の作用効果については、E
SCAによるクロメート皮膜の状態分析及び水に対する
クロメート皮膜の溶出性から以下のように類推される。
すなわち、該金属皮膜は下地原板と金属同志で結合する
こと、また該金属皮膜が存在することによってクロメー
ト皮膜は難溶化すること及びクロメート皮膜中のCr6+
分が減少してCr3+分が増す事実があり、これは該金属
皮膜とその上層でウェット状態にあるクロメート皮膜と
の間で何等かのCr還元反応が生じていることを裏付け
るもので、その還元反応を引き起す源としては該金属皮
膜がカソードとなって素地めっき層のアノード溶解が起
り、その際発する電子の授受によってCr6+が還元さ
れ、Cr3+形態を増す形のクロメート皮膜に形態変化し
たものと推定される。
【0015】つまり、クロメート皮膜中のCr3+の比率
が増すことは、それ自身がゲル状の難溶性皮膜となって
金属や有機物との親和性が高まることを意味しており、
これがクロメート皮膜自身の該金属皮膜を介しての素地
との密着性を高めることになったと考えられ、と同時に
上層塗膜との密着性の向上をももたらしたと推定され
る。以上の点から、該金属皮膜の適正付着量としては3
〜50mg/m2 がよく、好ましくは5〜30mg/m
2 がよい。3mg/m2 未満では上記主旨の効果はあま
り発揮できないし、又50mg/m2 超では耐食性の低
下があって、プリペイント鋼板としての商品価値及びコ
ストの問題もあって得策でない。
【0016】(3)クロメート皮膜 本願発明のクロメート組成物は、総Cr量比でCr3+
10〜50%、一次平均粒径3〜50mμの気相シリカ
が総Cr量比で0.5〜2.0でなるクロメート組成物
が総Cr付着量として10〜150mg/m2 形成され
る。 組成物として、Cr3+量が総Cr量比で10%未満で
は、プリペイント鋼板として十分な塗膜密着性が得られ
ず、安定した耐パンチング性を得ることは難しい。また
50%超にあっては処理浴のゲル化から鋼板への均一な
ロール塗布性に支障か生じ、又、付着量の制御が難しく
なるなど、安定生産の上からもあまり得策でない。従っ
て、適正Cr3+量としては総Cr量比で10〜50%に
あって、好ましくは30〜40%がよい。
【0017】気相シリカを用いる目的は、主として裏
面塗膜の掻き傷防止にある。該シリカはクロメート液中
で二次凝集して数百mμ〜μmオーダーに粒成長する特
性があり、この粒成長がある一定範囲に収まるように制
御することが必要で、これがクロメート皮膜として塗膜
のアンカー効果を発揮せしめるものである。この機能を
十分発揮させるには該シリカの平均一次粒径は3〜50
mμがよく、好ましくは10〜30mμがよい。また同
様の主旨から該シリカの配合比も重要な制御要素であ
り、本願発明にあっては総Cr量比で0.5〜2.0が
よく、中でも0.7〜1.5が好ましい。
【0018】このようにしてなる該クロメート組成物
の本願発明におけるクロメート皮膜としての適正付着量
の範囲は総Cr付着量として10〜150mg/m2
成されてよく、好ましくは30〜90mg/m2 がよ
い。総Cr付着量が10mg/m2 未満では耐食性や塗
膜密着性といった塗装性能が十分満足されず、プリペイ
ント鋼板としての商品価値は期待できない。また150
mg/m2 超では加工応力の集中から加工部に塗膜剥離
が生じやすくなり、耐パンチング性の低下があってコス
ト面からもあまり得策でない。
【0019】(4)トップ塗膜 バインダー用の主樹脂の高分子ポリエステル樹脂の適
正分子量 本願発明にあってトップ塗膜に耐PM性を付与するにあ
たっては、先ず塗膜を適宜に硬くして加圧力に耐えるよ
うにすることが前提で、そのためにはバインダー樹脂の
高分子ポリエステル樹脂の分子量範囲を特定する必要が
ある。該樹脂の分子量が15000未満にあっては、架
橋密度が上がり過ぎて塗膜に加工割れが生じ易くなり、
またパンチングのような機械衝撃を受けると塗膜剥離が
発生し易くなる。一方、50000以上にあってはユズ
肌やワキの発生など塗装外観上の欠陥が生じ易くなり、
コストを含めてあまり得策でない。従って、本願発明に
あって該樹脂の分子量範囲としては15000〜500
00にあって、中でも20000〜30000が好まし
い。
【0020】高分子ポリエステル樹脂の適正配合比 本願発明にあって該バインダー樹脂の配合量は固形分重
量比として30〜90%がよい。40%未満では顔料及
び骨材に対する樹脂のバインダー機能が低下し、塗膜の
延び性が総体的に低下するため、耐パンチング性の低下
や加工による塗膜割れを生じやすくなり、塗装性への問
題もあって均一外観は得られ難くなる。一方、90%を
超えては所望の塗膜外観(着色隠ぺい性)の制御が難し
くなり、また塗膜が傷つきやすくなるためハンドリング
傷が発生し易くなり、塗膜性能及び生産性を含めてあま
り得策でない。従って、該樹脂の適正配合量については
30〜90%にあって、好ましくは40〜70%がよ
い。
【0021】塗膜Tg(ガラス転移点) 本願発明の塗膜Tgはトップ塗膜の耐PM性をより安定
して得るために特に制御すべき基本因子である。該Tg
が5℃未満では十分な耐PM性は得られず、又、70℃
を超えては塗膜の耐PM性は飽和状態にあるものの、逆
に塗膜が硬質化しやすいため加工延び性の低い塗膜にな
り、塗膜に割れが生じやすくなり、又、ユズ肌やワキ等
が生じ易くなって不均一塗装外観になりやすく、塗膜性
能や生産性の上からあまり得策でない。従って、塗膜T
gは本願発明にあって5〜70℃がよく、中でも20〜
60℃が好ましい。
【0022】有機樹脂粒子骨材の適性粒径及び適正配
合量 本願発明にあって、該有機樹脂骨材は塗膜に適宜な硬さ
と弾力性を付与し、塗膜の耐パンチング性及び耐スリ疵
性付与のためにある。該樹脂骨材にあって、塗膜への弾
力性付与の観点からバインダー樹脂に不溶ないし難溶性
であって、かつ塗膜の外観光沢を十分安定して制御し得
る機能をもった樹脂粒子性状でなければならない。その
ためには、粒径と配合については十分な設計が必要であ
る。まず該樹脂粒子骨材の平均粒径が2μm未満にあっ
ては、塗膜への弾力性が過剰に付与されるため、耐パン
チング性は十分付与されるものの、塗膜は軟質化し耐P
M性や耐傷付性は逆にやや低下して不安定化し、あまり
好ましくない。また塗膜外観にあっては艶や光沢の調整
機能が低下し、コストを含めてあまり得策でない。一
方、平均粒径が50μmを超えては突起の大きい塗膜外
観となり、就中塗膜光沢度の安定制御が難しくなり、
又、耐傷付性の低下もあって生産性を含めて余り得策で
ない。従って、該有機樹脂粒子骨材の粒径範囲としては
2〜50μmがよく、中でも3〜30μmが好ましい。
【0023】次に該樹脂粒子骨材の配合量については、
固形分重量比で1%未満では該骨材による塗膜への弾力
性が不足し、良好な耐PM性は維持されるものの耐パン
チング性の両立までは難しく、耐傷付性の低下や外観光
沢の制御が不安定化することもあって好ましくない。ま
た50%を超えては十分な耐PM性および耐パンチング
性の両立はできても塗膜外観の艶制御が難しくなり、あ
まり好ましくない。従って、該樹脂粒子骨材の配合量と
しては1〜50%がよく、好ましくは3〜20%がよ
い。尚、本願発明にあっては、該樹脂粒子骨材としてポ
リメチルメタクリレート,ポリプロピレン,ポリアマイ
ド,ポリアクリロニトリル,ポリエステル、アルキルシ
リコーン,メラミン−フォルムアルデヒド,ポリウレタ
ン及びポリ弗化ビニリデンが適用されてよく、その効果
に差異はない。
【0024】ポリエチレン滑剤の適正配合量 ポリエチレン滑剤は塗膜の耐スリ疵性やプレス加工にお
ける加工性の向上を主旨とする。該滑剤が固形分重量比
として1%未満では上記塗膜性能の低下は避けられず、
又、剥離塗膜の圧着による押疵発生があって耐パンチン
グ性は十分でない。また5%を超えては塗膜焼付時の水
冷模様が目立ち、均一な塗装外観は得られ難い。従っ
て、該滑剤の適正配合量は1〜5%にあって、好ましく
は1.5〜3%がよい。次に該滑剤の融点が80℃未満
では塗膜表面に形成される潤滑膜の強度が十分でないた
め耐疵付性の低下や肝心の耐PM性、更には焼き付け後
の塗膜表面に水冷模様が発生して商品価値を低下するな
ど、あまり好ましくない。
【0025】一方、該滑剤の融点が130℃を超えては
塗料中での均一分散性にやや欠けるため、塗膜表面での
均一な潤滑膜形成は難しくなり、外観ムラや耐疵付性の
不安定化を招き好ましくない。従って本願発明にあって
該滑剤の融点は80〜130℃がよく、好ましくは10
0〜120℃がよい。尚、本願発明にあっては、滑剤と
してポリエチレンの他にシリコーン系及び弗素系の滑剤
が用いられてもよく、その効果に差異はない。
【0026】(5)裏面塗膜の表面光沢度 本願発明にあって裏面塗膜の表面光沢は、トップ塗膜の
耐PM性をより安定して得るための制御因子である。裏
面塗膜の光沢度がトップ塗膜の光沢度に対して50%未
満ではトップ塗膜の耐PM性が低下し、また100%を
超えても同様にトップ塗膜の耐PM性は低下する。すな
わち、トップ塗膜の耐PM性を安定して得るには裏面光
沢度として本願発明の範囲を維持することが肝要であっ
て、好ましくは60〜90%がよい。
【0027】
【実施例】以下、実施例及び比較例をもとに本発明の効
果についてまた詳述する。本願発明が表1〜表9に特定
するめっき表面粗さの板厚0.7mm、板巾914mm
の亜鉛系又はアルミニウムめっき鋼板の両面に対し、ラ
イン速度70m/分で先ず従来技術のロール塗布法によ
る下地クロメート処理を行う。このクロメート皮膜は、
表1〜表9に特定する本願発明のクロメート組成物を固
形皮膜として特定量になるよう調整され、乾燥されて直
ちに塗装工程に入る。該下地処理された鋼板の表側は2
C2B塗装で裏面は1C1B塗装されるが、これらに用
いられる塗装系はいづれも有機溶剤系メラミン硬化型の
高分子ポリエステル樹脂系塗料であって、所定条件で塗
装焼付される。表側のトップ塗膜において、プライマー
塗装系が日本ペイント製のフレキコート600EUプラ
イマーで固形皮膜で5μmが塗装され、焼付、水冷及び
乾燥されたのち、その上層に本願発明が特定した成分系
でなる塗料組成物を黒色系に着色したトップ塗膜として
固形皮膜で18μmになるよう公知技術でロール塗装さ
れ、標準条件で焼付けされ水冷乾燥される。なお、この
時のトップ塗膜の表面光沢度は80%に制御した。一
方、鋼板の裏面塗装については日本ペイント製のNP0
2塗料を用い、公知のロール塗装法にり、塗膜厚が固形
皮膜として2μmになるよう制御され、所定板温で焼付
し水冷、乾燥される。こうして製造された本願発明によ
るプレコート鋼板の塗膜性能については、表1〜表8に
対応して表9〜表16に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】
【表9】
【0037】
【表10】
【0038】
【表11】
【0039】
【表12】
【0040】
【表13】
【0041】
【表14】
【0042】
【表15】
【0043】
【表16】
【0044】以下にその効果を記載するように、意匠性
の高いトップ塗膜に要求される耐プレッシャーマーク性
(耐PM性)及び耐パンチング性を両立したプレコート
鋼板として、これを安定生産できるようにした従来技術
にない画期的なプレコート鋼板を安価に市場提供するに
至ったものである。 (1)下地めっき原板の表面粗さの制御効果について 本願発明にあって、下地原板のめっき表面粗さは塗装外
観として平滑かつ鮮映性を安定して得るためにある。そ
の本願発明の実施例をNo.1〜No.5に示し、その
比較例をNo.6に示す。これらの実施例及び比較例か
ら明らかなように、原板のめっき表面粗さを本願発明の
範囲に特定することにより塗装外観の鮮映性が安定して
得られるようになった。
【0045】(2)クロメート皮膜下層の金属皮膜の効
果について クロメート皮膜と素地との密着性を上げ、かつクロメー
ト皮膜を難溶化して上層塗膜の密着性をも上げてプリペ
イント鋼板としての耐パンチング性を高位に安定させる
ための金属皮膜の効果について、本願発明の実施例をN
o.2,No.7〜No.13及びNo.16〜No.
27に示し、その比較例をNo.14〜No.15に示
す。これらの実施例から明らかなように、本願発明の該
金属皮膜をクロメート皮膜の下層に設けることによっ
て、塗膜の他の性能を阻害することなく耐パンチング性
と耐PM性(耐プレッシャーマーク性)を高位に安定し
て両立することが可能となった。
【0046】(3)クロメート皮膜の効果について 本願発明にあって、クロメート皮膜の役割は加工による
自らの凝集破壊を抑制し、また上記金属皮膜との相乗作
用によって発揮されるクロメート皮膜の素地に対する密
着性の向上がパンチング作業時の塗膜剥離を抑制し、プ
リペイント鋼板に対して安定した耐パンチング性を付与
するためにある。加えて該金属皮膜によるクロメート皮
膜の難溶化とそのクロム形態の変化によって塗装耐食性
寿命を向上させるためにある。このような本願発明の効
果について、実施例のうちCr3+の適正比についてN
o.2及びNo.28〜No.32に示し、その比較例
をNo.33〜No.34に示す。又、気相シリカの平
均一次粒径の適正範囲については本願発明の実施例をN
o.2及びNo.35〜No.38に、その比較例をN
o.39〜No.40に示す。
【0047】更に該気相シリカの配合比について本願発
明の実施例をNo.2及びNo.41〜No.44に、
その比較例をNo.45〜No.46に示す。また本願
発明が特定するクロメート付着量の範囲については、実
施例をNo.2及びNo.47〜No.54に、その比
較例をNo.55〜No.56に示す。これらの実施例
から明らかなように、本願発明が特定するクロメート皮
膜を用いることによって、塗膜の他の性能を阻害するこ
となく耐パンチング性と耐PM性(耐プレッシャーマー
ク性)を高位に安定して両立させることが可能となっ
た。
【0048】(4)主樹脂の作用効果について 塗膜への耐PM性付与に対する主樹脂の作用効果につい
て、本願発明による実施例をNo.2の他に比較例を含
めてNo.57〜No.77に示す。樹脂分子量の適正
範囲について実施例をNo.2及びNo.57〜No.
62に示し、比較例をNo.63〜No.64に示す。
また、塗膜Tgの適正範囲について実施例をNo.2及
びNo.65〜No.69に、比較例をNo.70〜N
o.71に示す。更に適正配合量について実施例をN
o.2及びNo.72〜No.75に、比較例をNo.
76〜No.77に示す。これらの実施例から明らかな
ように、塗膜の他の性能を阻害することなく塗膜に耐P
M性を付与するためには塗膜のTgを本願発明の範囲に
設計することが肝要であること、加えて塗膜の外観均一
性や耐パンチング性を安定して得られるようにするため
には本願発明がいう樹脂分子量及び配合量との適正設計
が必要であることが分かる。
【0049】(5)塗膜中の樹脂粒子骨材の適正配合に
ついて 該樹脂骨材は本願発明にあってはパンチング等の機械加
工における孔開け性において、金型摩耗を抑制すること
を主眼とし、そのためには該骨材の粒径及びその配合量
を適正範囲に制御することが肝要である。本願発明にあ
って該樹脂骨材の適正粒径範囲について実施例をNo.
2及びNo.78〜No.84に、比較例をNo.85
〜86に示す。またその適正配合量については実施例を
No.2及びNo.87〜No.94に、比較例をN
o.95〜No.96に示す。これらの実施例から明ら
かなように、他の塗膜性能を低下させることなく耐パン
チング性と耐PM性を塗膜に両立させるには、該樹脂粒
子骨材の粒径及び配合量を本願発明がいう適正範囲内に
制御することが肝要であることが分かる。
【0050】(6)ポリエチレン滑剤の適正配合につい
て この滑剤は粉末状であってその狙いは塗膜へのスベリ性
付与によって耐スリ疵性を適宜に上げることにあり、そ
の配合の適正化が必要である。本願発明による実施例を
No.2及びNo.97〜No.100に、比較例をN
o.101〜No.102に示す。この実施例から明ら
かなように、塗膜に潤滑性を付与することによって安定
したプレス加工等での鋼板ハンドリング疵が解消され、
特に塗膜への耐PM性の付与によってガードフィルムフ
リーを特徴とする本願発明の鋼板にあっては、該滑剤の
適正配合が肝要である。また該滑剤の配合にあっては、
上限を外れると塗膜外観に焼付後の水冷模様が発生し易
くあまり好ましくないことが分かる。更に該滑剤の融点
についてであるが、本願発明による実施例をNo.2及
びNo.103〜No.105に、比較例をNo.10
6〜No.107に示す。この実施例から明らかなよう
に、本願発明の該滑剤の融点範囲が適正領域を外れる
と、良好な耐スリ疵性のほか、本願発明が主旨とする耐
PM性をも安定して得ることが難しくなり、また塗膜に
水冷模様が多発して外観上商品価値を大きく損なうこと
が分かる。
【0051】(7)裏面塗膜の光沢度について 本願発明にあって、トップ側塗膜の耐PM性を安定して
得るためには裏面塗膜の光沢度を適正範囲に制御するこ
とが好ましい。この場合の裏面光沢度の制御はトップ塗
膜の光沢度対比で行なわれる。この点について、本願発
明の実施例をNo.2及びNo.108〜No.111
に、又その比較例についてはNo.112〜No.11
3に示す。これより明らかなように、本願発明がいう裏
面光沢度の制御範囲を逸脱すると、高生産性のライン下
において商品価値の高いトップ塗膜面への耐PM性の安
定維持は難しくなり、コストを含めてあまり得策ではな
い。
【0052】(8)下地鋼板の各種めっき系の適用事例 本願発明が適用できる下地鋼板のめっき系について実施
例をNo.2およびNo.114〜No.124に示
す。この実施例から明らかなように、本願発明は下地鋼
板のめっき系が異なってもその塗膜機能は何等支障とな
るものでないことが分かる。
【0053】(注) *1.めっき系 EZ :電気亜鉛めっき ZN :電気Zn−Ni合金めっき(Ni;11.5
%) EC :電気Zn−Cr−Ni合金めっき(Cr;10
%,Ni;2%) EF :電気Zn−Fe合金めっき(Fe;15%) ZNS:電気Zn−Ni−SiO2 (Ni;12%,S
iO2 ;3%) ZNT:電気Zn−Ni−TiO2 (Ni;12%,T
iO2 ;3%) ZNB:電気Zn−Ni−BaSO4 (Ni;12%,
BaSO4 ;3%) ZFS:電気Zn−Fe−SiO2 (Fe;10%,S
iO2 ;3%) GZ :溶融Znめっき GA :溶融Zn−Alめっき(Al;5%) GF :合金化溶融Znめっき(Fe;8〜11%) AL :溶融Alめっき
【0054】なお、該鋼板のめっき表面については、ラ
ボスケールでのロール圧延によって表面粗さの調整を行
った。 *2.金属皮膜 公知技術での化学めっき方法による。付着量(mg/m
2 )は化学分析方法により測定。 *3.クロメート皮膜 気相シリカの粒径は一次平均粒径を指し、表示単位はm
μ.また比率の表示単位は総クロム量に対する比率とし
てwt%で示す。付着量は総Cr量として表示し、蛍光
X線分析方法による。 *4.トップ塗膜性状 メラミン樹脂硬化による高分子ポリエステル樹脂を使
用。 Tgは硬化塗膜のガラス転移点を指し、TMAで実測
したもの。 配合量はすべて塗膜固形分に対する重量比でいう。 有機骨材とは樹脂粒子骨材をいう。粒径は一次平均粒
径を指す。
【0055】*5.裏面塗膜の光沢度 60度鏡面反射によるトップ側塗膜の光沢度対比をい
う。 *6.耐PM性評価 トップ塗膜面に裏面塗膜を重ね合わせた試験片上に荷重
80kg/cm2 、RH95%、40℃の湿潤雰囲気に
168hrs静置したのち、試験片を取り出し塗装面の
圧痕状態を目視評価。 ◎:初期外観と変化なし ○:透かすと極
く僅かな圧痕転写 △:正面から見て僅かな圧痕転写 ×:明瞭な圧痕
転写
【0056】*7.耐パンチング性 連続パンチング孔開け装置;電動式クランクプレス機に
よる連続孔開け、秒速4個 金型:表面硬質加工による金型を使用。肉厚1mm×巾
4.5mmの刃が4連セット 耐孔開け性評価:パンチング孔30万個目を対象に、そ
の孔周辺へのバリ発生状態を目視評価。 ◎:バリなし,○:僅かに押疵あるもバリなし,△:バ
リ数個発生,×:バリ頻発 塗膜粉末の発生性:◎:なし,○:僅かに発生するも押
疵なし,△:金型に付着し、押疵が散発,×:金型にか
なり付着し,押疵も頻発
【0057】*8.塗装耐食性 無塗油の角筒プレス(50w×50L×50H[m
m])加工部側面の塗膜膨れ発生状況を目視評価。 CCT60サイクル(24hrs/サイクル) SST6hrs →放置1hrs →乾燥70℃,RH60% ,4hr
s →放置2hrs**→湿潤49℃,RH98%,4hrs →放置
2hrs →冷却−20℃,4hrs →放置1hrs ◎:膨れなし,○:僅かに膨れ,△:細かな部分膨れ,
×:全面に膨れ *9.塗装外観(変色、塗膜欠陥の目視評価) ◎:外観均質,○:透かして極く僅かに不均一模様,
△:部分的に不均一,×:全面不均一
【0058】
【発明の効果】以上のように、本願発明は市場における
プレコート鋼板のガードフィルムフリー化要求に対し、
最大の課題である塗膜の耐プレッシャーマーク性(耐P
M性)及び耐パンチング性の両立について検討を行った
結果、以下の技術思想でなる特定範囲のめっき表面粗さ
に制御しためっき原板を基板とし、その上層にクロメー
ト皮膜の下層皮膜として特定の金属皮膜を設けることに
よるクロメート皮膜の素地密着性及び該金属皮膜による
クロメート皮膜の難溶化形態への変化によって塗膜密着
性を飛躍的に向上し、これが懸案の耐パンチング性を高
位に安定化させ得たこと、さらにはトップ塗膜構成およ
び裏面塗膜の光沢度制御を両立させることにより、他の
塗装性能を低下させることなく、これを工業的レベルで
ノンガードフィルム型の鮮映性プレコート鋼板を市場提
供するに至ったものである。すなわち、
【0059】(1)クロメート皮膜の下地皮膜として特
定の金属皮膜を形成することにより、上層クロメート皮
膜の素地密着性が大巾に改善されると同時に、該金属皮
膜生成によってクロメート皮膜が難溶型に形態し塗膜密
着性が高位に安定したことにより、課題であったプリペ
イント鋼板としての耐パンチング性が安定して得られる
ようになった(クロメート皮膜及び塗膜の密着性向上に
よるパンチング時の塗膜剥離防止の達成)。 (2)塗膜中の骨材を樹脂粒子型の骨材に限定し、その
粒径および配合量を特定することによって塗膜に弾力性
を付与し、これによってパンチング等の機械加工におけ
る金型摩耗を抑制および鋼板への耐孔開け性が安定して
得られるようになった(金型摩耗抑制による耐パンチン
グ性の達成)。 (3)トップ塗膜のTg、樹脂の分子量及びその配合の
適正化、滑剤の融点とその配合の適正化および裏面塗膜
の外観光沢の適正制御の各塗膜構成要素技術の両立によ
り、コイル製品および切り板製品の積載のいずれであっ
ても良好な耐プレッシャーマーク性が安定して得られる
ようになった(耐PM性付与による塗膜のノンガードフ
ィルム化の達成)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 302 B05D 7/24 302V 302S 303 303E C23C 2/06 C23C 2/06 2/12 2/12 2/26 2/26 28/00 28/00 C C25D 15/02 C25D 15/02 Q G

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき表面粗さがRaで0.5μmに制
    御された亜鉛系めっき鋼板又は溶融アルミニウムめっき
    鋼板の表面にNi,Co,Fe,Zr,Sb,V,M
    o,Wの少なくとも一種以上からなる金属皮膜が3〜5
    0mg/m2 形成され、その上層に総Cr量比でCr3+
    が10〜50%、一次平均粒径3〜50mμの気相シリ
    カが総Cr量比で0.5〜2.0でなるクロメート組成
    物が総Cr付着量として10〜150mg/m2 形成し
    てなることを特徴とし、さらにその上層に一定のプライ
    マー塗膜を形成したのち、最上層の塗膜としてガラス転
    移点(Tg)が5〜70℃、平均分子量が15000〜
    50000のメラミン硬化型高分子ポリエステル樹脂が
    固形分重量比で40〜90%、この樹脂に殆ど融合しな
    い一次平均粒径2〜50μmの有機樹脂粒子が骨材とし
    て固形分重量比で1〜50%及び滑剤として融点が80
    〜130℃のポリエチレンワックスが固形分重量比で1
    〜5%含有してなることを特徴としたトップ塗膜を形成
    してなることを特徴とした耐パンチング性及び塗膜密着
    性に優れたガードフィルムフリー型の鮮映性プレコート
    鋼板。
  2. 【請求項2】 裏面塗膜の表面光沢度が少なくとも表側
    トップ塗膜の50〜100%に制御してなることを特徴
    とする請求項1記載の耐パンチング性及び塗膜密着性に
    優れたガードフィルムフリー型の鮮映性黒色プレコート
    鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007044922A (ja) * 2005-08-08 2007-02-22 Nippon Steel Corp プレコート金属板とその製造方法,及び塗装金属成形物
KR101277940B1 (ko) * 2011-03-28 2013-06-27 주식회사 포스코 흑화층 밀착성 및 표면외관이 우수한 흑색강판 및 그 제조방법
KR101510555B1 (ko) * 2013-11-18 2015-04-09 주식회사 포스코 선영성이 우수한 금속부재
EP3205408A1 (en) * 2016-02-11 2017-08-16 AJU Steel Co., Ltd. Method of manufacturing color steel sheet having polished stainless steel texture, and color steel sheet manufactured by the method

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