JPH08257397A - 吸水剤 - Google Patents

吸水剤

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JPH08257397A
JPH08257397A JP9164095A JP9164095A JPH08257397A JP H08257397 A JPH08257397 A JP H08257397A JP 9164095 A JP9164095 A JP 9164095A JP 9164095 A JP9164095 A JP 9164095A JP H08257397 A JPH08257397 A JP H08257397A
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polysaccharide
acid
polysaccharides
liquid
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JP9164095A
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Yoichi Oiso
洋一 大磯
Takeshi Okumiya
毅 奥宮
Ryosuke Sugihara
良介 杉原
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Tayca Corp
Original Assignee
Tayca Corp
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属塩水溶液や含水アルコールに対しても吸
液性を有する、多糖類からなる吸水剤を提供する。 【構成】 以下に記載の理化学的性質を有する多糖類
を、吸水剤に配合する。標記多糖類は、加熱処理により
水不溶化した方が、取扱の面から好ましい。 (1) 構成糖が、D−グルコース、D−ガラクトー
ス、D−グルクロン酸、D−リボースおよびD−リブロ
ン酸の5種からなる。 (2) 構成モル比が、D−グルコース:D−ガラクト
ース:D−グルクロン酸:D−リボース:D−リブロン
酸=10:1.8〜2.9:1.8〜2.6:0.5〜
1.7:0.5〜1.7である。 (3) ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて測定した
分子量が、約1×103 〜10×106 である。 (4) O−アセチル基の含有量が0〜10重量%であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属塩水溶液や含水ア
ルコールに対しても吸液性を有する、多糖類からなる吸
水剤に関する。
【0002】
【従来の技術】生理用品・紙オムツなどの高分子系吸水
剤には、デンプン系、セルロース系、ポリビニルアルコ
ール系、アクリル系などの合成樹脂が吸水剤として利用
されている。しかし、上記合成樹脂系吸水剤は生分解性
がなく使用後の廃棄に問題があったり、また、安全性に
ついても低毒性のものもあるが可食の域に達しているも
のはないといった欠点を抱えている。一方、多糖類は、
一般に動植物あるいは微生物由来の高分子天然物であ
り、安全性が高く、生分解性を有しているため、生物、
地球環境に優しい物質として各分野で広く使われてい
る。しかしながら、多糖類の多くは水溶性であるので、
水を流動性のない形で固定する必要のある吸水剤として
の用途には、一般的に不向きである。
【0003】また、たとえば寒天やゲランガムなどのよ
うに、水不溶性の多糖類も存在はするものの、上述した
吸水剤としての用途という観点からみると、吸水性自体
を有していなかったり、溶質が含まれていない水だけの
場合にのみ吸水性を示す程度であって、食塩水などのよ
うな金属塩水溶液や含水アルコールに対しても吸液性を
発揮し、合成樹脂系吸水剤の代替として期待できる程の
機能を有するような多糖類は知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の知見
にもかかわらず、蒸留水をはじめ、電解質、非電解質水
溶液や含水アルコール、さらには酸、アルカリ溶液に対
しても吸液性を有する、多糖類からなる吸水剤を提供す
るものである。なお、本発明においては、機能を正確に
表現するため、用語として「吸水性」という言葉を用い
る場合には水だけを吸収する機能をいい、「吸液性」と
は、溶質が含まれている水溶液中において溶質と共に吸
水する機能をいい、「吸水剤」とは、上記「吸水性」ま
たは「吸液性」の少なくとも一方の性質を有する材料を
いう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、アグロバクテリウム属細菌が生産する多糖類
が、従来の多糖類にはなかった優れた吸液性を有するこ
とをみいだし、本発明に到達した。すなわち本発明は、
ゲルろ過クロマトグラフィーにて測定した分子量が、約
5×103 〜10×106 であり、構成糖が、D−グル
コース、D−ガラクトース、D−グルクロン酸、D−リ
ボースおよびD−リブロン酸の5種からなり、構成モル
比が、D−グルコース:D−ガラクトース:D−グルク
ロン酸:D−リボース:D−リブロン酸=10:1.8
〜2.9:1.8〜2.6:0.5〜1.7:0.5〜
1.7であり、O−アセチル基の含有量が0〜10重量
%である多糖類を、加熱処理して水不溶化したものを成
分として配合することを特徴とする吸水剤である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
吸水剤に用いる、吸液性を有する多糖類は、一般に酸性
ヘテロ多糖類として分類され、上述の特徴の他に、以下
の物性を有している。
【0007】性状:白色繊維状(凍結乾燥物) 紫外吸収スペクトル:蛋白質(ペプチド)に特有な28
0nm、及び核酸に特有な260nmに、吸収が認めら
れない。 赤外吸収スペクトル:3400cm-1付近、2950c
-1付近、1620cm-1付近、1250cm-1付近、
1110cm-1付近のそれぞれに赤外吸収のピークが認
められる。 呈色反応:フェノール硫酸法、カルバゾール硫酸法およ
びm−フェニルフェノール法のいずれも陽性。
【0008】なお、本発明の吸水剤が含有する上記多糖
類の分子量や構成糖の種類、それらの構成比などは、液
体クロマトグラフィーや酸加水分解後のクロマトグラフ
ィー分析などにより特定が可能である。
【0009】上記多糖類の特定方法としては、具体的に
は、たとえば下記に示す方法が適用できる。 分子量:GPCモードの高速液体クロマトグラフィーを
測定装置とし、たとえば旭化成社製の「Asahipa
k GFA−7MF」をカラムとして、0.1Mの硝酸
ナトリウム水溶液を移動相として用い、分子量既知のプ
ルランなどを標準サンプルとしてあらかじめ作成した分
子量−保持時間標準曲線を基に測定する。構成糖および
各構成糖の構成比:測定対象の多糖類および、対象とす
る多糖類のウロン酸残基のカルボキシル基を予め還元し
たものについて、酸加水分解後(加水分解条件例:ガス
クロ分析の場合には2Mトリフルオロ酢酸、液クロ分析
の場合には5mM硫酸を使用。いずれの場合も100℃
で6時間処理。)、島津製作所社製「Shim−pac
k SCR−101N」などをカラムとして高速液体ク
ロマトグラフィー分析を行う。また、アルジトールアセ
テートに誘導して得られた各誘導体を、たとえば和光純
薬社製「Gaschrom Q」などのECNSS−M
コートカラムを使用してガスクロマトグラフィー分析を
行う。
【0010】上述したクロマトグラフィー分析結果など
により、本発明で用いる多糖類の構成糖および各構成糖
の構成モル比は、D−グルコース:D−ガラクトース:
D−グルクロン酸:D−リボース:D−リブロン酸=1
0:1.8〜2.9:1.8〜2.6:0.5〜1.
7:0.5〜1.7であると決定できる。
【0011】次に、本発明の吸水剤に配合する多糖類の
製造方法について説明する。通常、上記多糖類は、アグ
ロバクテリウム・ラディオバクターTNM2株(通商産
業省工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号FER
M BP−4393)またはその変異株による微生物培
養により、その培養物から採取される。上記変異株は、
紫外線、X線などの放射線、または、エチルメタンスル
ホン酸(EMS)、N−メチル−N´−ニトロ−N−ニ
トロソグアニジン(MNNG)などの化学的突然変異誘
発物質のような公知の突然変異誘発手段により発生させ
ることができる。
【0012】上記菌株を用いた微生物培養について、さ
らに詳細に説明する。本発明で用いる多糖類を産生する
微生物を培養するための培地としては、アグロバクテリ
ウム(Agrobacterium)属に属する微生物
が生育でき、上記多糖類を生産する炭素源、窒素源、無
機塩類及び微量栄養源を適量含有するものであれば特に
制限されない。そして、炭素源としては、グルコース、
ガラクトース、フルクトース、キシロース、マンニッ
ト、サッカロース、トレハロース、グルクロン酸、ガラ
クツロン酸などが使用できる。窒素源としては、硝酸
塩、アンモニウム塩、尿素などの合成化合物、ポリペプ
トン、コーンスティープリカー、酵母エキス、肉エキ
ス、脱脂大豆抽出物、ペプチド、アミノ酸などの天然有
機物が使用できる。無機塩類としては、リン酸塩、カリ
ウム塩、硫酸塩、マグネシウム塩などが使用できる。培
地には、必要に応じ、鉄塩、カルシウム塩、マンガン塩
などを添加してもよい。また、微量栄養源としては、酵
母エキス、各種ビタミン類などが使用できる。
【0013】培地の状態は、固体でも液体でも構わな
い。液体培地を使用する場合には、静置培養でもよい
が、振盪培養、通気撹拌培養の方がより高収量で多糖類
が得られる。培養時のpHは、微生物が生育できて多糖
類を生産し得るpHであれば特に制限されないが、通常
はpH4〜8が適切である。培養温度についても、特に
制限されないが、通常は20〜35℃が適切である。培
養時間は、本発明で使用する多糖類の生産量が最大に達
する期間が選ばれるが、通常は1〜7日が適切である。
【0014】上記培養方法で得られた培養物から、本発
明の吸水剤に使用する多糖類を採取する方法としては、
従来公知の方法を採用することができる。たとえばま
ず、遠心分離やろ過などにより、培養物から菌体を除去
した後、得られた培養液にメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、アセトンなどの有機溶媒を加えて沈殿
を生じさせる。次いで、沈殿物を水に溶解させた後、水
に対して透析を行い、得られる透析内液を、通風乾燥、
熱風乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥
などの方法により乾燥して多糖類を回収する。上記採取
方法の他に、限外ろ過により、上記培養液から多糖類以
外の成分を除去し、得られた濃縮液を上述の乾燥工程に
供する方法を採用してもよい。さらに必要に応じ、通常
の多糖類の精製法に従って精製することにより、高純度
精製品を得ることも可能である。精製法としては、イオ
ン交換、ゲルろ過、アフィニティーなどの各種カラムク
ロマトグラフィー、4級アンモニウム塩による沈殿や塩
析、有機溶媒による沈殿などが採用できる。
【0015】本発明で用いる多糖類の重合度は、製造時
の培地組成、採取法などの条件を調節することによって
変化させることができる。また、トリフルオロ酢酸、ギ
酸、塩酸などを使用しかつ条件を調節することにより、
採取品や精製品を加水分解することができる。またさら
に、加圧下での加温や超音波処理などを行って重合度を
変化させても、好適な結果が得られる。したがって、上
記多糖類の分子量は、約5×103 〜10×106 の範
囲で自由に調節することが可能である。
【0016】上記方法により得られた多糖類は、そのま
まの状態でも吸液性を有してはいるものの、水溶性であ
るため、通常は吸収した液体分を固定することができず
流動性のあるゾルとなってしまい、最終的には溶解して
しまうので、吸水剤としては扱いにくい。むろん、吸収
した水分を流動性のない形で保持できるように、高分子
を通さないタイプの不織布製袋や透析チューブなどの中
に入れて水分を固定するようにすれば、吸水剤として用
いるのは可能である。しかしながら、本発明で用いる多
糖類を吸水剤として利用する場合には、扱いやすくする
ため、加熱処理して水不溶化するのが好ましい。
【0017】すなわち、上記製造方法における、培養終
了後から乾燥工程までのいずれかの工程中で、培養液あ
るいは各工程での処理液を、少なくとも一回以上加熱処
理する。加熱処理温度としては、加熱後冷却すれば凝固
(ゲル化)する程度の温度でよいが、具体的には80℃
以上が好ましい。上記加熱処理は、冷却後、液全体ある
いはその一部でゲル化を起こすため、処理液中の多糖類
の含有量を調節したり、ゲル化しない程度の温度に保っ
たまま操作を続けるようにすることによって、工程上の
操作に支障が生じないように注意する必要がある。ま
た、乾燥工程後であっても、得られた多糖類を、多糖類
が溶解しうる溶媒(水など)に溶解させてから、上記と
同様の温度に加熱した後、再度乾燥することにより同様
の効果が得られる。この方法は、精製後の多糖類に対し
ても有効である。
【0018】このようにして得られる多糖類は、従来品
にはみられない優れた吸液性を有しており、従来の合成
樹脂系吸水剤の代替品としての用途が期待される。具体
的な用途としては、たとえば、衛生材用として、ベビー
用紙おむつ、生理用ナプキン、大人用紙おむつ、タンポ
ン、失禁者用品、母乳パッド、汗とりシートなど、医療
用として、ベッドパッド、湿布剤、ハップ剤、体液廃泄
物吸収体、歯科用材、手術用シートなど、農園芸用とし
て、播種用(流体播種、種子床)、吹付植生用(法面緑
化)、土壌保水改良剤(園芸ポット、土壌混入、人工水
苔、芝生用、砂漠の緑化、育苗用)、苗木の移植・移送
用、切花鮮度保持材、農業用マルチフィルム・シートな
ど、土木・建築用として、水膨張性止水材(シーリング
材、パッキング、ガスケット、止水板)、シールド工法
用、逸泥防止剤、コンクリート養生マット、推進工法用
滑剤、廃泥固化処理、塗料、接着剤など、産業用とし
て、脱水材(油水分離)、結露防止材(コンテナ用、壁
紙)、鮮度保持材(除湿、保冷)、通信ケーブル用止水
材、防火・消火用品、電池用など、雑貨用として、レン
ズ・鏡等の防曇剤、ケミカルカイロ、携帯トイレ、ペー
パータオル、化粧品用、芳香剤、蓄熱剤、蓄冷剤(保冷
剤)、乾燥剤(除湿剤、調湿剤)、玩具、棺用、靴中敷
用などが挙げられる。
【0019】また、本発明で用いる多糖類からなる吸水
剤は、この他にも、蒸留水を速やかに吸水してゲル状に
膨潤するので、インスタントゲル調製剤としての利用
や、蒸留水同様、含水エタノールに添加しても膨潤して
ゲルになることから、ビール、日本酒、ウイスキー等を
含んだゼリーを調製したり、固形燃料とすることも可能
である。たとえば、本発明で用いる多糖類0.1gに蒸
留水や10%(v/v)メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール10mlを加えた場合、おおよそ1
0分程度で流動性のないゲル状に膨潤する。
【0020】本発明で用いる多糖類が、なぜ、加熱処理
によって液体成分を固定しやすくなるのか、理由は定か
ではないが、加熱処理を行うことにより、 多糖類の液体クロマトグラフィー分析時のピーク保
持時間が変化する。 赤外吸収スペクトルからは、新たな官能基は生成し
た様子がない。 多量の水分には溶解してしまう(可逆性を有す
る)。という現象が見られることから、本発明で用いる
多糖類は、以下のような理由で加熱処理によりその立体
構造に変化が起こり、水分を吸収固定しやすい形態にな
る、と推測される。すなわち、本発明で用いる多糖類
は、加熱処理によりGPCモードの高速液体クロマトグ
ラフィー分析から決定される分子量としては、見かけ上
低い値を示すようになるものの、本発明においていうと
ころの加熱処理とは、実際にはせいぜい水溶液状態で約
10分沸騰させる程度であるので、多糖類の一般的な性
質から判断して、本来有する分子量が低下してしまった
とは考えにくい。GPCモードの高速液体クロマトグラ
フィー分析を用いた高分子の分子量測定においては、分
析メカニズムの関係で、重合度的に同一の分子量を有す
る高分子同士であっても、立体構造的な差異があれば、
あたかも異なった分子量を持つ物質として区別されてし
まう。この場合一般的に、立体的によりコンパクトな構
造を形成している物質の方が、より低い分子量値を示す
のである。この理由により、本発明で用いる多糖類は、
加熱処理によってその立体構造がよりコンパクトな形態
に変化しているものと推測される。本発明で用いる多糖
類は、加熱処理を行わなければ基本的には水溶性であ
り、水などに対する親和性は高いと考えられるが、加熱
処理を行うことによって立体構造的によりコンパクトな
形態に変化してしまうと、加熱処理を行う前の立体構造
に戻ろうとする力が働いて、周りに存在する水分を吸液
し、かつ、吸液分を流動性のない状態に固定する、と思
われる。その要因として水素結合が関与していると想像
されるが、具体的な立体構造形態の変化については、現
時点では定かではない。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施
例に限定されるものではない。
【0022】〔多糖類の製造例1〕500ミリリットル
容の坂口フラスコに、表1に示す組成の培地を100ミ
リリットル入れ、121℃で20分間湿熱滅菌後、表1
に示す組成の培地でスラント培養(斜面培養)していた
アグロバクテリウム・ラデイオバクターTNM2株(F
ERM BP−4393)を、一白金耳分植菌し、振盪
数毎分110ストローク、28℃で2日間レシプロ振盪
培養を行った。
【0023】
【表1】培地組成(重量%) スクロース 4 % 硝酸ナトリウム 0.1 % リン酸−水素カリウム 0.1 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05 % 硫酸鉄・7水和物 0.001 % 酵母エキス 0.4 % pH 7
【0024】上記表1と同様の組成培地6リットルを入
れて前記と同様の滅菌を行った10リットル容のジャー
ファーメンターに、上記で得られた培養液60ミリリッ
トルを接種し、温度28℃、通気量6リットル/min
の条件下で、94時間通気撹拌培養を行った。なお、回
転数は、培養19時間目までは200rpm、それ以降
51時間までは300rpm、それ以降70時間までは
300rpm、それ以降は400rpmとした。
【0025】得られた培養物を水で2倍に希釈し、遠心
分離により菌体を除去した。得られた培養上清分につい
ては、残留培地成分など多糖類以外の成分が除去される
まで、クロスフロー方式の限外ろ過を繰り返した。限外
ろ過には、東ソー社製限外ろ過システム「UF−LMS
II」(分画分子量:3×106 )を使用した。限外ろ過
膜を透過しなかった濃縮液を凍結乾燥し、培地1リット
ル当たり、約17gの単一な多糖類を得た。なお、多糖
類の単一性の確認は、GPCモードの高速液体クロマト
グラフィーを使用して行った。
【0026】旭化成社製「Asahipak GFA−
7MF」をカラムとし、0.1Mの硝酸ナトリウム水溶
液を移動相とした高速液体クロマトグラフィーを使用し
て、上記多糖類の分子量を測定した結果、多糖類のクロ
マトグラムのピークトップの保持時間は、分子量既知の
プルランを標準サンプルとして作成した分子量−保持時
間標準曲線において、分子量約2×106 に相当する値
を示した。
【0027】また、上記多糖類について、各構成糖まで
加水分解を行い、そのまま液体クロマトグラフィー分析
を行うと共に、加水分解物をアルジトールアセテートに
誘導し、ガスクロマトグラフィー分析を行った。各々の
場合であらかじめ作成した検量線から求めた各構成糖の
モル比は、D−グルコース:D−ガラクトース:D−グ
ルクロン酸:D−リボース:D−リブロン酸=10.
0:2.1:2.0:1.0:0.9であった。
【0028】さらに、製造例1で得られた多糖類におけ
る水酸基の修飾度合いについて調べるため、0.01M
の水酸化カリウムおよび0.13Mの塩化カリウム水溶
液中で、室温下6時間、脱アシル化処理を行った。処理
試料の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、173
0cm-1近傍のピークが消失していた。また、上記処理
試料の高速液体クロマトグラフィー分析を行ったとこ
ろ、得られるピークの保持時間は、アセチル基が離脱し
た場合に生じる酢酸カリウムの存在を示し、さらに、そ
のピーク高さとあらかじめ作成した検量線とから、製造
例1で得られた多糖類におけるアセチル基含有量は、多
糖類全体の約8重量%であることがわかった。
【0029】〔多糖類の製造例2〕製造例1で得られた
多糖類10gを水500mlに溶解した後、液全体が8
0℃になるまで加熱した。室温になるまで冷却した後、
50℃に設定した乾燥器に入れて乾燥して、水不溶性の
多糖類を得た。
【0030】実施例1 (多糖類の吸水性の評価) 製造例1、製造例2で得られた各多糖類、水不溶性のゲ
ル化多糖類である寒天(和光純薬工業社製)、カードラ
ン(和光純薬工業社製)およびゲランガム(ケルコ社
製)のそれぞれを0.1gずつ採取し、その各々に蒸留
水、10%(w/v)食塩水、30%(v/v)イソプ
ロピルアルコール(IPA)水溶液をそれぞれ10gず
つ加えて、20℃で24時間密閉放置した後、多糖類に
吸収されなかった液体を除去し、残った吸液後の多糖類
の重量(g)を測定した。各多糖類の上記水溶液それぞ
れに対する吸液倍率は、次式により算出した。吸液倍率
=(吸液後の多糖類の重量−0.1)/0.1結果を表
2に示す。
【0031】
【表2】 ──────────────────────────────────── 吸 液 倍 率 (倍) 蒸留水 食塩水 IPA水溶液 ──────────────────────────────────── 製造例1で得た多糖類 46 41 33 製造例2で得た多糖類 100 12 35 ──────────────────────────────────── 寒天 6 5 5 カードラン 5 4 6 ゲランガム 26 5 3 ──────────────────────────────────── (ただし、製造例1で得た多糖類の場合には、いずれの
液体に対しても流動性のある高粘度のゾル状物質が形成
されており、このゾル状物質は、液体除去前に振盪攪拌
した場合には溶解してしまう。また、蒸留水を吸水させ
たゲランガムの場合にも、同様のゾルが形成された。)
【0032】上記の結果から明らかな通り、本発明で用
いる多糖類は、蒸留水、10%(w/v)食塩水、30
%(v/v)イソプロピルアルコール水溶液のいずれの
水溶液に対しても、優れた吸液性を示している。特に加
熱処理して得た製造例2の多糖類では、蒸留水のみを吸
水させた場合、添加した水分全てを吸収して全体がゲル
を形成しており、自重の百倍もの水分を流動性のない形
で固定することができるので、吸水剤として非常に扱い
やすい、という利点を有している。
【0033】実施例2 (多糖類の吸水性の評価) 製造例2で得られた多糖類をサンプルとして0.1gず
つ採取し、表3に示す水溶液をそれぞれ20ml加え
て、20℃で24時間密閉放置した後、多糖類に吸収さ
れなかった液体を除去し、残った吸液後の多糖類の重量
(g)を測定し、実施例1と同様に吸液倍率を算出し
た。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】 ──────────────────────────────────── 水溶液の種類 各水溶液に対する吸液倍率 ──────────────────────────────────── 蒸留水 150 ──────────────────────────────────── 10%(v/v)メタノール水溶液 150 30%(v/v)メタノール水溶液 45 50%(v/v)メタノール水溶液 17 10%(v/v)エタノール水溶液 150 30%(v/v)エタノール水溶液 33 50%(v/v)エタノール水溶液 9 10%(v/v)イソプロピルアルコール水溶液 150 30%(v/v)イソプロピルアルコール水溶液 35 50%(v/v)イソプロピルアルコール水溶液 7 ──────────────────────────────────── 1%(w/v)食塩水 15 10%(w/v)食塩水 11 1%(w/v)塩化カルシウム水溶液 14 10%(w/v)塩化カルシウム水溶液 11 1%(w/v)塩化マグネシウム・六水和物水溶液 12 10%(w/v)塩化マグネシウム・六水和物水溶液 11 ──────────────────────────────────── 0.1M 塩酸 10 0.1M 水酸化ナトリウム水溶液 10 ────────────────────────────────────
【0035】上記の結果から明らかな通り、本発明で用
いる多糖類は、蒸留水の他にも、各種含水アルコール、
金属塩水溶液や酸、アルカリに対しても吸液性を示す。
なお、各種含水アルコールの吸液実験において、吸液さ
れなかった水分に対し高速液体クロマトグラフィーを用
いてそのアルコール濃度を測定したところ、いずれの場
合においても初濃度と同じであった。したがって、本発
明で用いる多糖類は、含水アルコールをそのままの濃度
で吸液していることが明らかである。
【0036】実施例3 (多糖類の吸水性の評価) 製造例1で得られた多糖類2gを、蒸留水100mlに
溶解させ、その水溶液を90℃まで加熱した後、室温下
で冷却してゲルを得た。得られたゲルの一部(10g)
を蒸留水、10%(v/v)メタノール、エタノール及
びイソプロピルアルコール水溶液各100ml中に入れ
て、20℃で24時間密閉放置した後、ゲルを取り出し
たところ、ゲルの重量はいずれの場合も約2倍になって
いた。このことから、本発明で用いる多糖類はゲル状に
なっても、吸水性を示すことがわかる。
【0037】実施例4 (油水分離) 流動パラフィン10gと蒸留水10gとを入れた容器
に、製造例2で得られた多糖類を0.2g添加した。多
糖類は流動パラフィンに対しては吸油性を示さず、油相
中を速やかに沈降した後、水相で直ちに吸水し、水相全
体をゲル状に固定した。水相の固定後、容器を傾けるだ
けで流動パラフィンをゲル状となった水相から分離する
ことができた。このことから、本発明で用いる多糖類
は、たとえば、半透膜などで作成した袋様物に封入し、
ガソリンタンク内底部にエンジンへの送液チューブを塞
がないように設置して、底部に溜まる水分を吸収させる
ような水抜き剤としての用途が期待できる。
【0038】実施例5 (ゼリーの調製) 5−1 製造例2で得られた多糖類0.3gに、インスタントコ
ーヒー粉末3.5gを150gの水に溶解させた液20
gを加えたところ、直ちに吸液が起こり、コーヒーゼリ
ーが調製できた。 5−2 製造例2で得られた多糖類0.1gに、20%(w/
v)砂糖水10gを添加したところ、直ちに吸液が起こ
り、甘味のあるゼリーが調製できた。 5−3 製造例2で得られた多糖類0.4gに、ビール10gを
添加したところ、直ちに吸液が起こり、ビール味のゼリ
ーが調製できた。
【0039】実施例6 (多糖類の吸湿性の評価) 製造例1、製造例2で得られた各多糖類を、各々秤量管
に入れて完全に真空乾燥した後、リン酸二水素アンモニ
ウムにより相対湿度92.9%に調整したデシケーター
中に入れ、30℃の一定温度下、3日間放置し、自重に
対する増加率、すなわち吸湿率を測定した。結果を表4
に示す。
【0040】
【表4】 吸湿率 ──────────────────────────────────── 製造例1で得た多糖類 41.7% 製造例2で得た多糖類 43.2% ────────────────────────────────────
【0041】実施例7 (固形燃料) 製造例2で得られた多糖類5gに、40%(v/v)エ
タノール水溶液100gを添加して、ゲル状物を得た。
得られたゲル状物をステンレス製の燃焼容器に充填し、
中のゲル状物に点火すると、燃焼音や臭気もなく快調に
燃焼を続けた。この燃焼容器上に架台を置き、そこに水
を入れたビーカーを乗せて加熱を続けたところ、中の水
は沸騰した。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、合成樹脂系吸水剤には
ない生分解性、安全性を有し、従来の多糖類には見出さ
れなかった吸水性を持った多糖類からなる吸水剤を提供
することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲルろ過クロマトグラフィーにて測定し
    た分子量が、約5×103 〜10×106 であり、構成
    糖が、D−グルコース、D−ガラクトース、D−グルク
    ロン酸、D−リボースおよびD−リブロン酸の5種から
    なり、構成モル比が、D−グルコース:D−ガラクトー
    ス:D−グルクロン酸:D−リボース:D−リブロン酸
    =10:1.8〜2.9:1.8〜2.6:0.5〜
    1.7:0.5〜1.7であり、O−アセチル基の含有
    量が0〜10重量%である多糖類を、加熱処理により水
    不溶化して配合することを特徴とする吸水剤。
JP9164095A 1995-03-24 1995-03-24 吸水剤 Pending JPH08257397A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003325687A (ja) * 2002-03-07 2003-11-18 Koofuku:Kk ぬれマスク

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JP2003325687A (ja) * 2002-03-07 2003-11-18 Koofuku:Kk ぬれマスク

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